説明

車載用非接触充電装置

【課題】車の急発進、急停車、急ハンドル、悪路など振動の大きい道路の走行時においても誘導コイルの位置ずれや浮きによる充電効率の悪化を防ぎ、かつ消費電力、周りへのDC磁場の影響の低減、および電池内蔵機器の簡単な取り外しができる。
【解決手段】自装置に内蔵され、起電力を誘導する電源コイルを備えた非接触充電装置であって、自装置には、前記起電力を誘導する電源コイルと、誘導コイルを吸引する電磁石と、3軸方向の加速度を検出する3軸加速度センサ部と、検出された加速度を用いて電流制御信号の値を計算する電流制御部と、制御信号の値によって出力電流を可変させる可変電流レギュレータを備え、加速度検出時に可変電流レギュレータから電磁石に電流を送り、磁力を発生させることにより、電池内蔵機器の誘導コイルを吸引する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被充電機器である電池内蔵機器などを充電するための非接触充電装置に関し、特に自動車等の移動体に搭載される非接触充電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の非接触充電装置に関連して、電磁石にて電池内蔵機器を非接触充電装置に引きつけ正しい位置に設置し、充電を開始するもの(電磁気エネルギ転送のための装置)が開示されており、特に、自動車内における環境で充電中に電池内蔵機器(充電可能な電子デバイス)が移動しないように電磁石にてDC磁場を発生させ電池内蔵機器の位置を非接触充電装置上に保持し続けるものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2010−504074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示された非接触充電装置においては、自動車内における環境での使用時に常に電池内蔵機器保持し続けるため、常に電磁石に電流を流し続けなければならず電力を常に消費し続けてしまい周りへのDC磁場の影響も常に与えることになるという問題があった。
【0005】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、3軸の加速度センサを非接触充電装置内に新たに設けることにより、検出した加速度に応じた電流値を電磁石に流し、電池内蔵機器の誘導コイルを非接触充電装置に吸引させることにより、消費電力、周りへのDC磁場の影響の低減ができることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、自装置に内蔵され、起電力を誘導する電源コイルを備えた非接触充電装置であって、自装置には、前記起電力を誘導する電源コイルと、誘導コイルを吸引する電磁石と、3軸方向の加速度を検出する3軸加速度センサ部と、検出された加速度に応じて電流を可変させる電流制御部とを備え、電流制御部は、3軸加速度センサ部での加速度検出時に電磁石に電流を送り、電池内蔵機器の誘導コイルを吸引する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、非接触充電器の車内での使用時において、消費電力および周りへのDC磁場の影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1における非接触充電装置のブロック図
【図2】本発明の実施の形態1における非接触充電装置の概略斜視図
【図3】本発明の実施の形態1における非接触充電装置の動作説明のためのフロー図
【図4】本発明の実施の形態2における非接触充電装置のブロック図
【図5】本発明の実施の形態2における非接触充電装置の概略斜視図
【図6】本発明の実施の形態2における非接触充電装置の動作説明のためのフロー図
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における非接触充電装置について図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1は本発明の実施の形態1における非接触充電装置10および電池内蔵機器50のブロック図、図2は本発明の実施の形態1における非接触充電装置10および電池内蔵機器50の概略斜視図である。
【0011】
図1において、非接触充電装置10は、車内のコンソールボックスの中や上などに設置され、車内に持ち込んだ携帯電話などの電池内蔵機器を自動車の移動中に待ち受け受信などの動作をさせながら充電するもので、直流電源部17、DC/ACコンバータ11、電源コイル12、可変電流レギュレータ13、加速度センサ部としての3軸加速度センサ部14、電流制御部15及び電磁石16を備え、電池内蔵機器50は、車内に持ち込む携帯電話のように、充電池による電力を用いて画像の表示や、その他の動作を行うものでこれらの機能を実現するための表示部、動作部(図示せず)以外に、共振回路部51、電池52、整流回路部53、充電制御回路部54および吸着部55を備える。
【0012】
非接触充電装置10は、車両の走行中における振動時や加減速時に車両とは別の方向に動かないように車内にビスなどで固定して設けられる。
【0013】
非接触充電装置10は、電源コイル12に交流電流を流すことで発生する振動磁場により、電源コイル12と電池内蔵機器50に設けられた誘導コイル56の間で磁気共鳴が起こり、誘導コイル56に電源コイル12と同様の電流を発生させる。電池内蔵機器50では、この電流を整流回路部53にて整流し、電池52が充電される。
【0014】
非接触充電装置10において、直流電源部17は、車のバッテリー電源32から得られる12Vの直流電圧をコイルやコンデンサを用いてリップル除去し、車両のエンジンスタート時における電源変動の低減を行う。
【0015】
また直流電源部17は、車のアクセサリー電源33の電圧を監視することにより、車両のバッテリーの充電状態を把握し、アクセサリー電源33のOFF時にDC/ACコンバータ11と可変電流レギュレータ13への電源供給を止める。
【0016】
非接触充電装置10において、DC/ACコンバータ11は、直流電源部17から得られる電流を交流に変換し、たとえば、20kHz〜1MHzの高周波電力を電源コイル12に供給する。
【0017】
電源コイル12は、非接触充電装置10の筐体の上面であり電池内蔵機器50を載せるための上面プレート31に対して平行な面を形成するよう渦巻き状に巻かれた空芯コイルであって、交流磁束を放射して上面プレート31に載せられた電池内蔵機器50内の誘導コイル56に起電力を誘導する。
【0018】
3軸加速度センサ部14は、非接触充電装置10に固定して設けられ、非接触充電装置10が前後、左右、上下にそれぞれ加速度がかかったときに各方向の加速度を検出する。すなわち、3軸加速度センサ部14は、車両の挙動に応じて非接触充電装置10に加わる加速度を検出する。
【0019】
3軸加速度センサ部14にて検出された加速度の情報は、加速度検出信号として電流制御部15に送られる。
【0020】
可変電流レギュレータ13は、直流電源部17から電源供給され、電流制御部15からの制御信号の値(入力値)により出力電流値を変化させる。
【0021】
電磁石16は、コアとコイルからなり、コイルが可変電流レギュレータ13に接続されて電磁石16に電流が供給される。
【0022】
電流制御部15は、演算処理を行なうためのマイコン18を備え、3軸加速度センサ部14で検出した加速度を用いて制御信号の値を計算し、可変電流レギュレータ13の出力電流値を変化させる。
【0023】
電流制御部15から可変レギュレータ13へ入力する制御信号の値は、3軸加速度センサ部14で検出した加速度が増加すると可変電流レギュレータ13から出力される電流値(電磁石のコイルに供給される電流値)を増やし、減少すると電流値を減らすように計算される。
【0024】
制御信号の値は、上面プレート31と垂直な方向(z方向)と水平な方向(x、y方向)にかかる加速度から計算される各方向ごとの制御信号の値の総和によって決まる。
【0025】
z方向とx、y方向では吸着部55が電磁石16から離れるために要する加速度が異なるため、z方向とx、y方向では異なる計算式で各制御信号の値を算出する。
【0026】
図1においては説明の便宜上、電磁石16と電源コイル12とを分離して、さらに、誘導コイル56と吸着部55とを分離して、それぞれ図示しているが、具体的には図2に示すとおり、電磁石16のコアが電源コイル12の略中心に位置するように、さらに、吸着部55が誘導コイル56の略中心に位置するように、それぞれが配置される。
【0027】
すなわち、電磁石16は、電源コイル12の中心に配置され、可変電流レギュレータ13から電流が供給されると誘導コイル56がある方向がN極になるように線が巻かれている。これは、電磁石16の磁束の方向を電源コイル12から出る磁束の方向と同じにするためである。電磁石16に電流が供給されると上面プレート31をはさんで誘導コイル56の中心に配置された吸着部55に磁力をかける。
【0028】
電池内蔵機器50において、共振回路部51は、誘導コイル56と誘導コイル56に並列接続されたコンデンサ57とからなり、共振回路部51の共振周波数は電源コイル12から電力搬送される周波数に近似する周波数となっている。
【0029】
また、電池内蔵機器50における整流回路部53は誘導コイル56から出力された交流電流を整流するダイオード58と整流された脈流を平滑化する平滑コンデンサ59とからなり、整流回路部53から出力される直流電流が充電制御回路部54を通じて電池52を充電する。
【0030】
吸着部55は電池内蔵機器50内に固定されており、材質は磁性体のように磁力に引きつけられるものであれば良い。
【0031】
以上のように構成された非接触充電装置10について、以下にその処理動作を説明する。
【0032】
図3は本発明の実施の形態1における非接触充電装置10のフロー図である。非接触充電装置10が動作している状態(アクセサリー電源33がONの状態)においては、DC/ACコンバータ11が高周波電力を電源コイル12に供給しているため、この状態でユーザが、電池内蔵機器50を非接触充電装置10の上面プレート31上に置くと、まず、マイコン18が電源コイル12に供給された高周波電力の共振を検出する(ステップS11)。
【0033】
すると、この検出結果に基づいてマイコン18が可変電流レギュレータ13を制御して電磁石16に直流電流を供給し、電磁石16からはDC磁場が発生する(S12)。
ステップS12で発生したDC磁場により、吸着部55が電磁石16上の正しい位置に引き付けられる(S13)。
【0034】
ここで、「正しい位置」とは、誘導コイル56に効率良く電流を発生させるために電源コイル12と誘導コイル56が最も重なる位置であり、吸着部55と電磁石16が重なる位置を意味する。この際、吸着部55は電池内蔵機器50に固定されているものであるため、電池内蔵機器50も移動する。
【0035】
電池内蔵機器50が正しい位置に引き付けられると電源コイル12から誘導コイル56に起電力を誘導し、充電を開始する(S14)。
【0036】
充電が開始されると、マイコン18は3軸加速度センサ部14が非接触充電装置10の加速度を検出したか否か判定する(S15)。
【0037】
たとえば、車の発進時、走行時からの停止時、右左折、勾配のある道路の走行時、悪路など振動の大きい道路の走行時など、車両に加減速が発生すると、非接触充電装置10は車両(あるいは車室内)に固定されているため、3軸加速度センサ部14が非接触充電装置10の加速度を検出する(S15、YES)。
【0038】
この場合、マイコン18にて3軸加速度センサ部14で検出した加速度から制御信号の値が計算され(S17)、計算された制御信号の値のに相当する直流電流が可変電流レギュレータ13から電磁石16に電流供給される(S18)。
【0039】
なお、充電が開始されないとマイコン18は加速度の検出を行なわないため、不要な電流を流すことなく、消費電力および周りへのDC磁場の影響の低減を行う。
【0040】
電磁石16に電流が供給されると、電磁石16から電池内蔵機器50内の吸着部55に対して電流値に比例した磁力を発生し、吸着部55が上面プレート31を介して電磁石16に磁力に比例した力で吸着する。
【0041】
車が停止中または勾配が少なく振動が少ない道路での一定速度での直進走行で加速度が検出されなくなる(S15、NO)と、可変電流レギュレータ13から電磁石16に電流の供給を停止する(S16)。
【0042】
電磁石16への電流の供給が停止されると、電磁石16から電池内蔵機器50内の吸着部55に対する磁力が止まり、吸着部55への上面プレート31を介した磁力による吸着がなくなる。
【0043】
電池内蔵機器50内の電池52が満充電になっていないとマイコン18が判断すれば(S19、NO)マイコン18が、引き続き加速度の検出されたか否かの判定を行う。
電池内蔵機器50内の電池52が満充電になっているとマイコン18が判断すれば(S1
9、YES)、DC/ACコンバータ11から電源コイル12への高周波電力の供給を停止し、充電を終了する(S20)。
【0044】
なお、電池内蔵機器50内の電池52が満充電になっているとマイコン18が判断しても車の走行時の振動や急停止、急発進により電池内蔵機器50が大きく跳ねたり、非接触充電装置10外に飛び出したりするのを防ぐために、加速度検出による上記の電磁石の動作を続けてもよい。
【0045】
以上のように本実施の形態1によれば、3軸の加速度センサと電磁石を非接触充電装置内に新たに設けることにより、車の発進時、走行時からの停止時、右左折、勾配のある道路の走行時、悪路など振動の大きい道路の走行時に発生する各軸の加速度を検出し、検出した加速度に応じた電流値を電磁石に流して電池内蔵機器の誘導コイルを非接触充電装置に吸引させることにより、車の急発進、急停車、急ハンドル、悪路など振動の大きい道路の走行時においても誘導コイルの位置ずれや浮きによる充電効率の悪化を防ぎ、充電時間の短縮化、消費電力の低減を行うことができる。
【0046】
また、停車時や安定走行時など加速度が検出されない時は電磁石に電流を供給しないため、電磁石の消費電力の低減、周りへのDC磁場の影響の低減を行うことができる。
さらに、停車時などユーザが電池内蔵機器を取り出すときにも電磁石から磁力が発生していないため、電池内蔵機器を簡単に非接触充電装置から取り外すことができる。
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2における非接触充電装置について図面を参照しながら説明する。
【0047】
図4は本発明の実施の形態2における非接触充電装置20のブロック図および電池内蔵機器50のブロック図、図5は本発明の実施の形態2における非接触充電装置20および電池内蔵機器50の概略斜視図である。
【0048】
本実施の形態2において、実施の形態1と同様の構成については同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0049】
実施の形態2と実施の形態1との相違点は、非接触充電装置が自装置の上面プレート上に圧力センサ部を有していることである。
【0050】
図4において、非接触充電装置20は、車内のコンソールボックスの中や上などに設置され、車内に持ち込んだ携帯電話などを移動中に待ち受け受信などの動作をさせながら充電するもので、直流電源部17、DC/ACコンバータ11、電源コイル12、可変電流レギュレータ13、3軸加速度センサ部14、電流制御部15a、電磁石16および、圧力センサ部21を備え、電池内蔵機器50は、車内に持ち込む携帯電話のように、充電池による電力を用いて表示、動作するもので表示部、動作部以外に、共振回路部51、電池52、整流回路部53、充電制御回路部54および吸着部55を備える。
【0051】
電流制御部15aはマイコン18aを備え、3軸加速度センサ部14で検出した加速度と充電開始時に記憶しておいた圧力センサ値(詳細後述)に応じた電流値を計算し、可変電流レギュレータ13から電磁石16に電流供給する。
【0052】
圧力センサ部21は、電磁石16の真上の上面プレート31上に配置されており、充電開始時に圧力センサ部21にて検出した値(例えば抵抗値)である圧力センサ値をマイコン18aに記憶しておく。
【0053】
また、圧力センサ部21での値測定時が走行時などで圧力センサ部21に加わる力が一定ではない場合を加味して圧力センサ部21の値測定時に3軸加速度センサ部14の値もマイコン18aに記憶し、記憶時の圧力センサ部21と垂直な方向への加速度を考慮しても良い。
【0054】
以上のように構成された非接触充電装置20について、以下にその処理動作を説明する。
【0055】
図6は本発明の実施の形態2における非接触充電装置20のフロー図である。
【0056】
非接触充電装置20が動作している状態(アクセサリー電源33がONの状態)においては、DC/ACコンバータ11が高周波電力を電源コイル12に供給しているため、この状態でユーザが、電池内蔵機器50を非接触充電装置20の上面プレート31上に置くと、まず、マイコン18aが電源コイル12に供給された高周波電力の共振を検出する(ステップS21)。
【0057】
すると、この検出結果に基づいてマイコン18aが可変電流レギュレータ13を制御して電磁石16に直流電流が供給され、電磁石16からDC磁場が発生する(S22)。
ステップS22で発生したDC磁場により、吸着部55が電磁石16上の正しい位置に引き付けられる(S23)。
【0058】
ここでの正しい位置とは、誘導コイル56に効率良く電流を発生させるために電源コイル12と誘導コイル56が最も重なる位置であり、吸着部55と電磁石16が重なる位置を意味する。この際、吸着部55は電池内蔵機器50に固定されているものであるため、電池内蔵機器50も移動する。
【0059】
電池内蔵機器50が正しい位置に引き付けられると電源コイル12から誘導コイル56に起電力を誘導し、充電を開始する(S24)。
【0060】
充電開始時に圧力センサ部21にて電池内蔵機器50の重量を検知し、値をマイコン18aに記憶する(S25)。
【0061】
充電が開始されると、マイコン18aは3軸加速度センサ部14が非接触充電装置10の加速度を検出したか否か判定する(S26)。
【0062】
たとえば、車の発進時、走行時からの停止時、右左折、勾配のある道路の走行時、悪路など振動の大きい道路の走行時など、車両に加減速が発生すると、非接触充電装置10は車両(あるいは車室内)に固定されているため、3軸加速度センサ部14が非接触充電装置10の加速度を検出する(S26、YES)。
【0063】
この場合、マイコン18aにて3軸加速度センサ部14で検出した加速度と充電開始時にマイコン18aに記憶しておいた電池内蔵機器50の重量から制御信号の値が計算され(S28)、計算された制御信号の値のに相当する直流電流が可変電流レギュレータ13から電磁石16に電流供給される(S29)。
【0064】
なお、充電が開始されないとマイコン18aは加速度の検出を行なわないため、不要な電流を流すことなく、消費電力および周りへのDC磁場の影響の低減を行う。
【0065】
電磁石16に電流が供給されると、電磁石16から電池内蔵機器50内の吸着部55に対して電流値に比例した磁力を発生し、吸着部55が上面プレート31を介して電磁石1
6に磁力に比例した力で吸着する。
【0066】
車が停止中または勾配が少なく振動が少ない道路での一定速度での直進走行で加速度が検出されなくなる(S26、NO)と、可変電流レギュレータ13から電磁石16に電流の供給を停止する(S27)。
【0067】
電磁石16への電流の供給が停止されると、電磁石16から電池内蔵機器50内の吸着部55に対する磁力が止まり、吸着部55への上面プレート31を介した磁力による吸着がなくなる。
【0068】
電池内蔵機器50内の電池52が満充電になっていないとマイコン18aが判断すれば(S30、NO)、マイコン18aが、引き続き加速度の検出されたか否かの判定を行う。
【0069】
電池内蔵機器50内の電池52が満充電になっているとマイコン18aが判断すれば(S30、YES)、DC/ACコンバータ11から電源コイル12への高周波電力の供給を停止し、充電を終了する(S31)。
【0070】
なお、電池内蔵機器50内の電池52が満充電になっているとマイコン18aが判断しても車の走行時の振動や急停止、急発進により電池内蔵機器50が大きく跳ねたり、非接触充電装置20外に飛び出したりするのを防ぐために、加速度検出による上記の電磁石の動作を続けてもよい。
【0071】
以上のように構成・取付られた非接触充電装置20について、以下にその特性等を説明する。
【0072】
以上のように本実施の形態2によれば、3軸の加速度センサと圧力センサと電磁石を非接触充電装置内に新たに設けることにより、車の発進時、走行時からの停止時、右左折、勾配のある道路の走行時、悪路など振動の大きい道路の走行時に発生する各軸の加速度を検出し、検出した加速度に応じた電流値を電磁石に流して誘導コイルを非接触充電装置に吸引させることにより、車の発進時、走行時からの停止時、右左折、勾配のある道路の走行時、悪路など振動の大きい道路の走行時の誘導コイルの位置ずれや浮きを防ぎ、充電時間の短縮化、消費電力の低減を行うことができる。
【0073】
また、停車時や安定走行時など加速度が検出されない時は電磁石に電流を供給しないため、電磁石の消費電力の低減、周りへのDC磁場の影響の低減を行うことができる。さらに、停車時などユーザが電池内蔵機器を取り出すときにも電磁石から磁力が発生していないため、電池内蔵機器を簡単に非接触充電装置から取り外すことができる。
【0074】
上述したように、本発明では、第1の発明に係る非接触充電装置として、車内のコンソールボックスの中や上などに設置され、自装置に内蔵され起電力を誘導する電源コイルを備えた、車内に持ち込んだ携帯電話などを移動中に待ち受け受信などの動作をさせながら充電する非接触充電装置であって、自装置には、前記起電力を誘導する電源コイルと、誘導コイルを吸引する電磁石と、3軸方向の加速度を検出する3軸加速度センサ部と、検出された加速度を用いて電流制御信号の値を計算する電流制御部と制御信号の値によって出力電流を可変させる可変電流レギュレータを備え、加速度検出時に可変電流レギュレータから電磁石に電流を送り、磁力を発生させることにより、電池内蔵機器の誘導コイルを吸引する。
【0075】
第1の発明によれば、3軸加速度センサ部での加速度により電磁石に供給する電流を制
御することで、車の急発進、急停車、急ハンドル、悪路など振動の大きい道路の走行時でも誘導コイルの位置ずれや浮きによる充電効率の悪化を防ぎ、かつ消費電力、周りへのDC磁場の影響の低減、および電池内蔵機器の簡単な取り外しができる。
【0076】
また、本発明では、第2の発明に係る非接触充電装置として、電流制御部は、3軸加速度センサ部での加速度と圧力センサによる重量から電流を制御する。
【0077】
第2の発明によれば、3軸加速度センサ部での加速度と圧力センサによる重量により電流を制御することで、電池内蔵機器の重量にかかわらず車の急発進、急停車、急ハンドル、悪路など振動の大きい道路の走行時でも誘導コイルの位置ずれや浮きによる充電効率の悪化を防ぎ、かつ消費電力、周りへのDC磁場の影響の低減、および電池内蔵機器の簡単な取り外しができる。
【0078】
以上説明したとおり、本発明は、車両に搭載され、誘導コイルを介して充電される充電池を備えた電池内蔵機器に対して起電力を誘導する非接触充電装置において、前記充電池に充電するための起電力を前記誘導コイルへ誘導する電源コイルと、前記電池内蔵機器を吸引する電磁石と、自装置の加速度を検出する加速度センサ部とを備え、前記電磁石は前記加速度センサ部の検出結果に応じて磁力を変化させる構成を採る。
【0079】
この構成により、自装置の加速度に応じて必要な分だけ電磁石の磁力を変化させることとなるため、不要な電力消費が低減でき、装置周辺へのDC磁場の影響を低減することができる。
【0080】
さらに本発明は、前記電池内蔵機器は前記誘導コイルの中心に磁性部材を備え、前記電磁石のコアが前記電源コイルの中心に配置される構成を採る。
【0081】
この構成により、電磁石によって電源コイルと誘導コイルが重なる位置まで電池内蔵機器が移動して、誘導コイルに効率良く電流を発生させることができる。
【0082】
また、本発明は、前記加速度センサ部で検出した加速度を用いて前記電磁石へ供給する電流値を制御する電流制御部を備え、前記電流制御部は、前記加速度センサ部による自装置の加速度が検出されない場合に前記電磁石への電流の供給を停止する構成を採る。
この構成により、より確実に電力消費を低減することができる。
【0083】
また、本発明は、前記加速度センサ部は水平方向および垂直方向を含む3方向の加速度を検出する3軸加速度センサである構成を採る。
【0084】
この構成により、水平方向の振動のみならず、悪路など特に垂直方向に振動の大きい道路の走行時においても誘導コイルの位置ずれや浮きによる充電効率の悪化を防ぎ、充電時間の短縮化、消費電力の低減を行うことができる。
【0085】
さらに、本発明は、自装置に載せられた電池内蔵機器の重量を検知する圧力センサ部を備え、前記電流制御部は、前記加速度センサ部で検出した加速度と前記圧力センサ部が検知した値とを用いて前記電磁石へ供給する電流値を制御する構成を採る。
【0086】
この構成により、、充電を行なう電池内蔵機器の種類(重量)も加味して吸引を行なうことができるので、不必要に電磁石に電力を供給する必要がなくなり、消費電力低減の最適化を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明の車載用非接触充電装置は、自動車等の移動体に搭載される非接触充電装置等として有用である。
【符号の説明】
【0088】
10、20 非接触充電装置
11 DC/ACコンバータ
12 電源コイル
13 可変電流レギュレータ
14 3軸加速度センサ部
15、15a 電流制御部
16 電磁石
17 直流電源部
18、18a マイコン
21 圧力センサ部
31 上面プレート
32 バッテリー電源
33 アクセサリー電源
50 電池内蔵機器
51 共振回路部
52 電池
53 整流回路部
54 充電制御回路部
55 吸着部
56 誘導コイル
57 コンデンサ
58 ダイオード
59 平滑コンデンサ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、誘導コイルを介して充電される充電池を備えた電池内蔵機器に対して起電力を誘導する非接触充電装置において、
前記充電池に充電するための起電力を前記誘導コイルへ誘導する電源コイルと、前記電池内蔵機器を吸引する電磁石と、自装置の加速度を検出する加速度センサ部とを備え、
前記電磁石は前記加速度センサ部の検出結果に応じて磁力を変化させる車載用非接触充電装置。
【請求項2】
前記電池内蔵機器は前記誘導コイルの中心に磁性部材を備え、前記電磁石のコアが前記電源コイルの中心に配置される請求項1記載の車載用非接触充電装置。
【請求項3】
前記加速度センサ部で検出した加速度を用いて前記電磁石へ供給する電流値を制御する電流制御部を備え、
前記電流制御部は、前記加速度センサ部による自装置の加速度が検出されない場合に前記電磁石への電流の供給を停止する請求項1記載の車載用非接触充電装置。
【請求項4】
前記加速度センサ部は水平方向および垂直方向を含む3方向の加速度を検出する3軸加速度センサである請求項3記載の車載用非接触充電装置。
【請求項5】
自装置に載せられた電池内蔵機器の重量を検知する圧力センサ部を備え、
前記電流制御部は、前記加速度センサ部で検出した加速度と前記圧力センサ部が検知した値とを用いて前記電磁石へ供給する電流値を制御する請求項3記載の車載用非接触充電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−257381(P2012−257381A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128794(P2011−128794)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】