説明

車載装置および忘れ物確認サービス

【課題】車両内の忘れ物に関するユーザへの不必要な通知の回数を低減することができる車載装置および忘れ物確認サービスを提供すること。
【解決手段】車両内の忘れ物を検知する車載装置へ、忘れ物として検知すべき物品のリストを記憶するリスト記憶部と、車両の乗員が降車した場合に、車両内の物品を判別する物品判別部と、物品判別部によって判別された物品がリストに含まれていた場合に、当該物品を忘れ物として検知する忘れ物検知部と、忘れ物検知部による検知結果を出力する出力部とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置および忘れ物確認サービスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車室内に置き忘れられた忘れ物を自動的に検知して車両のユーザへ通知する車載装置が知られている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、車室内に設けたカメラによって撮像された運転開始前および運転終了後の車室内の各画像を比較して忘れ物の有無を判定し、忘れ物があった場合に、その旨をユーザへ通知する装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−47343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の装置は、車両内の忘れ物に関するユーザへの不必要な通知の回数を低減することが困難であるという問題があった。
【0006】
すなわち、特許文献1に記載の装置は、ユーザが降車する際に車両内へ残した全ての物品を忘れ物として検知してユーザへ通知するため、たとえば、ユーザが意図的に車両内に残した物品まで誤って忘れ物として検知してユーザへ不必要な通知を行う恐れがある。
【0007】
このため、特許文献1に記載の装置では、車両内の忘れ物に関するユーザへの不必要な通知の回数を低減することができない。このことから、車両内の忘れ物に関するユーザへの不必要な通知の回数を低減することができる車載装置および忘れ物確認サービスをいかにして実現するかが大きな課題となっている。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、車両内の忘れ物に関するユーザへの不必要な通知の回数を低減することができる車載装置および忘れ物確認サービスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、車両内の忘れ物を検知する車載装置であって、前記忘れ物として検知すべき物品のリストを記憶するリスト記憶部と、前記車両の乗員が降車した場合に、前記車両内の物品を判別する物品判別部と、前記物品判別部によって判別された物品が前記リストに含まれていた場合に、当該物品を忘れ物として検知する忘れ物検知部と前記忘れ物検知部による検知結果を出力する出力部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車両内の忘れ物に関するユーザへの不必要な通知の回数を低減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明に係る忘れ物検知手法の概要を示す図である。
【図2】図2は、本実施例に係る車載装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、本実施例に係る物品名情報の一例を示す図である。
【図4】図4は、本実施例に係る登録要求画面の一例を示す図である。
【図5】図5は、本実施例に係る忘れ物リストの一例を示す図である。
【図6】図6は、本実施例に係る車載装置の動作および車載装置が提供する忘れ物確認サービスの一例を示す図である。
【図7】図7は、本実施例に係る車載装置の制御部で実行される処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る忘れ物検知手法を適用した車載装置および忘れ物確認サービスの実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本発明に係る忘れ物検知手法の概要について図1を用いて説明した後に、本発明に係る忘れ物検知手法を適用した車載装置および忘れ物確認サービスについての実施例を図2〜図7を用いて説明することとする。
【0013】
図1は、本発明に係る忘れ物検知手法(以下、「本検知手法」という)の概要を示す図である。本検知手法は、車両の乗員であるユーザが車両内に置き忘れた物品を忘れ物として検知してユーザへ通知する。
【0014】
特に、本検知手法は、車両のユーザが意図的に車両内に残した物品や車両内に忘れても支障のない物品については忘れ物として検知せず、ユーザの意図に反して車両内へ残された物品のみを忘れ物として検知してユーザへ通知する。
【0015】
具体的には、図1に示すように、本検知手法は、車両のユーザが乗車する前の車両内を撮像し(ステップS1)、撮像画像を保存する。なお、ここでは、ユーザが乗車する前に、車両内に持ち込まれた物品が存在しないものとする。
【0016】
続いて、本検知手法では、ユーザが車両を運転後に降車した場合、降車後の車両内を撮像し(ステップS2)、撮像画像を保存する。このとき、車両内に傘が残されていたとする。
【0017】
かかる場合、本検知手法では、ユーザの乗車前に撮像された画像と、ユーザの降車後に撮像された画像との差分画像を生成する(ステップS3)。たとえば、本検知手法では、ユーザの降車後に撮像された画像中の被写体から、ユーザの乗車前に撮像された画像の被写体を差し引く画像処理を行うことによって差分画像を生成する。
【0018】
これにより、本検知手法では、ユーザの乗車前には車両内に存在せず、ユーザの降車後に車両内に存在していた物品、すなわち、車両内に残された傘の画像だけが抽出された差分画像を生成することができる。
【0019】
特に、本検知手法では、忘れ物として検知すべき物品をユーザに忘れ物リストへ予め登録させておき、かかる忘れ物リストを記憶しておく。ここで、ユーザによって忘れ物リストへ傘が登録されていたとする。
【0020】
かかる場合、本検知手法では、差分画像に写っている物品と忘れ物リストとを比較して(ステップS4)、差分画像に写っている物品が忘れ物リストに含まれていた場合、差分画像に写っている物品を忘れ物として検知し、検知結果を出力する(ステップS5)。
【0021】
ここでは、差分画像に写っている傘が忘れ物リストに含まれているため、本検知手法は、たとえば、「車両内に傘の忘れ物があります」という文字情報を車両のユーザが所持する携帯電話へ送信してユーザへ忘れ物の通知を行う。
【0022】
一方、本検知手法では、差分画像に写っている物品が忘れ物リストに含まれていなかった場合、車両内に物品が残されていたとしても差分画像に写っている物品を忘れ物として検知はせず、ユーザへ忘れ物の通知も行わない。
【0023】
このように、本検知手法では、ユーザが降車した後に車両へ残された物品と忘れ物リストとを比較する。そして、忘れ物リストに含まれている物品、すなわち、車両内に忘れた場合にユーザが通知を望む物品が車両内に残されていた場合にのみ、その物品を忘れ物として検知して検知結果をユーザへ通知する。
【0024】
このため、本検知手法によれば、車両内の忘れ物に関するユーザへの不必要な通知の回数を低減することができる。また、本検知手法では、たとえば、忘れ物の検知結果を示す文字情報をユーザの携帯電話へ送信するため、通信費を増大させることなく的確に忘れ物の通知を行うことができる。
【0025】
また、本検知手法は、前述の差分画像またはユーザの降車後に撮像された画像から車両に残された忘れ物の車両内における場所を特定し、忘れ物の検知結果を示す文字情報へ忘れ物の車両内における場所を示す文字情報を付加してユーザへ通知することができる。
【0026】
これにより、通知を受けたユーザは、たとえば、車両に複数の乗員が乗っていた場合に、忘れ物の車両内における場所から忘れ物の持ち主を容易に推測することができる。また、本検知手法をタクシー等の営業用の車両へ適用すれば、乗務員が乗客に対して降車直後に忘れ物があることを知らせるという新たなサービスを提供することができる。
【実施例】
【0027】
以下では、図1を用いて説明した本検知手法を適用した車載装置および忘れ物確認サービスの実施例について図2〜7を用いて詳細に説明する。図2は、本実施例に係る車載装置1の構成を示すブロック図である。
【0028】
図2に示すように、車載装置1は、車両内に設けられている各種のセンサ4、撮像装置5、表示操作装置6と接続され、車両のユーザが車両内に置き忘れた忘れ物を検知して検知結果をユーザへ通知する装置である。
【0029】
なお、以下では、車載装置1が忘れ物の検知結果をユーザの所持する携帯電話7へ送信して通知する場合について説明する。なお、検知結果の送信先は、携帯電話7に限定するものではなく、たとえば、ユーザのPDA(Personal Digital Assistant)やパーソナルコンピュータ等、ユーザが所持・携帯する携帯端末と車載装置1が無線乃至有線で通信できる端末であってもよい。
【0030】
センサ4は、ユーザの乗車意思、乗車、降車を検知する装置である。具体的には、センサ4は、車両のドアの開閉を検知するセンサ4、ドアロックの施錠および解錠を検知するセンサ4、イグニッションスイッチの状態を検知するセンサ4、車両内のユーザの有無を検知するセンサ4である。
【0031】
なお、上記したセンサ4は、本発明を実施するための一例にすぎず、ユーザの乗車意思、乗車、降車を検知することが可能なセンサであれば、これに限ったものではない。
【0032】
そして、センサ4は、車両内にユーザが存在しない状態でドアロックが解錠されてドアが開放された場合に、ユーザの乗車意思を検知して検知結果を撮像装置5および車載装置1へ出力する。その後、センサ4は、車両内にユーザの存在を検知した場合にユーザの乗車を検知して検知結果を撮像装置5および車載装置1へ出力する。
【0033】
また、センサ4は、イグニッションスイッチがOFFされてドアが開放され、その後、車両内にユーザが存在しなくなった状態でドアが閉塞された場合に、ユーザの降車を検知して検知結果を撮像装置5および車載装置1へ出力する。
【0034】
なお、センサ4は、ドアの閉塞不良(所謂、半ドア)を検知するためのドアセンサやエンジンの始動に用いられるイグニッションセンサ等の予め車両に設けられている各種センサを流用することができる。
【0035】
撮像装置5は、車両内を撮像するカメラである。本実施例では、車室の天井の中央に広角(たとえば、画角が190度)のカメラが1台設けられている場合について説明する。
【0036】
なお、カメラの台数や設置個所は、本実施例における台数および設置個所に限定するものではない。すなわち、カメラは、車両内を撮像可能な任意の場所に任意の台数設けることができる。また、カメラは、車両のトランク(荷物室)内に設けてもよい。
【0037】
なお、車両内に運転者の居眠りや運転状態を監視するカメラが設けられている場合、かかるカメラを撮像装置5として流用することもできる。そして、撮像装置5は、ユーザの乗車意思、乗車、降車を示す検知結果がセンサ4から入力された場合に、車両内を撮像し、撮像画像を車載装置1へ出力する。
【0038】
表示操作装置6は、タッチパネル機能を備えた液晶表示装置等の情報表示デバイスである。そして、表示操作装置6は、車載装置1から入力される画像を表示させ、表示画像中のアイコンがユーザによってタッチ操作された場合に、ユーザの操作に応じた操作信号を車載装置1へ出力する。
【0039】
具体的には、表示操作装置6は、車載装置1の制御部2が備える後述の登録要求部21から入力される登録要求画面(図4参照)用の画像を表示させる。また、表示操作装置6は、登録要求画面上のアイコンがユーザによってタッチ操作された場合に、車載装置1の制御部2が備える後述の登録部22へユーザの操作に応じた操作信号を出力する。なお、表示操作装置6は、車両に予め設けられたカーナビゲーションシステム用のディスプレイ等を流用することができる。
【0040】
車載装置1は、制御部2と記憶部3とを備えている。記憶部3は、フラッシュメモリ等の不揮発性の情報記憶デバイスであり、乗車前画像31、乗車中画像32、降車後画像33、物品名情報34、忘れ物リスト35等の各種情報を記憶する。
【0041】
乗車前画像31は、ユーザが乗車する前に、撮像装置5によって撮像された車両内の状況を示す画像である。乗車中画像32は、ユーザが乗車した後に、撮像装置5によって撮像された車両内の状況を示す画像である。
【0042】
なお、以下では、センサ4によってユーザの乗車意思が検知された場合に撮像された画像を乗車前画像31とするが、乗車前画像31は、前回ユーザが降車した後に撮像した画像を用いてもよい。
【0043】
降車後画像33は、ユーザが降車した後に、撮像装置5によって撮像された車両内の状況を示す画像である。なお、乗車前画像31、乗車中画像32、降車後画像33の具体例については、図6を用いて後述する。
【0044】
物品名情報34は、複数種類の物品の画像と物品名とが対応付けられた情報である。なお、物品名情報34の具体例については、図3を用いて後述する。忘れ物リスト35は、車両内の忘れ物として検知すべき物品のリストであり、ユーザによって登録される情報である。なお、忘れ物リスト35の具体例については、図4を用いて後述する。
【0045】
制御部2は、CPU(Central Processing Unit)とROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)とを有するECU(Electronic Control Unit)である。
【0046】
かかる制御部2では、CPUがROMから各種プログラムを読出し、RAMを作業領域として使用して実行することにより機能する複数の処理部を備えている。具体的には、制御部2は、画像記憶処理部20と、登録要求部21と、登録部22と、物品判別部23と、忘れ物検知部24と、出力部25と、期間設定部26とを備えている。
【0047】
画像記憶処理部20は、センサ4から入力されるユーザの乗車意思、乗車、降車の検知結果に基づき、撮像装置5から入力される画像を判別して乗車前画像31、乗車中画像32、降車後画像33として記憶部3へ記憶させる処理部である。
【0048】
具体的には、画像記憶処理部20は、センサ4からユーザの乗車意思を示す検知結果が入力されたことをトリガとして撮像装置5から入力された画像を乗車前画像31と判別する。
【0049】
また、画像記憶処理部20は、センサ4からユーザの乗車を示す検知結果が入力されたことをトリガとして撮像装置5から入力された画像を乗車中画像32と判別し、センサ4からユーザの降車を示す検知結果が入力されたことをトリガとして撮像装置5から入力された画像を降車後画像33と判別する。
【0050】
登録要求部21は、乗車前画像31と乗車中画像32と物品名情報34とに基づき、ユーザに忘れ物リスト35へ登録させる物品の候補を示す登録要求画像を生成する処理部である。
【0051】
かかる登録要求部21は、生成した登録要求画像を表示操作装置6へ出力することによって表示操作装置6へ登録要求画面を表示させ、ユーザに対して忘れ物リスト35への物品の登録を要求する。なお、登録要求部21の動作については、図3および図4を用いて後述する。
【0052】
登録部22は、表示操作装置6によって表示されている登録要求画面がユーザによって操作された場合に、表示操作装置6から入力される操作信号に基づいて忘れ物リスト35へ物品の登録を行う処理部である。
【0053】
ここで、図3〜図5を用いて登録要求部21および登録部22の動作と、物品名情報34および登録要求画面ならびに忘れ物リスト35の具体例について説明する。図3は、本実施例に係る物品名情報34の一例を示す図であり、図4は、本実施例に係る登録要求画面の一例を示す図であり、図5は、本実施例に係る忘れ物リスト35の一例を示す図である。
【0054】
図3に示すように、物品名情報34では、傘の物品画像を示す画像データAに対して物品名である傘というテキストデータが対応付けられている。同様に物品名情報34では、バッグ、本、手帳にそれぞれ対応した画像データB、画像データC、画像データDに対し、バッグ、本、手帳というテキストデータがそれぞれ対応付けられている。
【0055】
なお、ここでは、説明を簡単に行うため、1つの画像データへ1つの物品名が対応付けられている場合について説明するが、実際には、1つの物品名に対して複数種類の画像データが対応付けられている。たとえば、傘というテキストデータに対しては、色、形、模様等が異なる複数種類の傘の画像データが対応付けられている。
【0056】
そして、登録要求部21は、記憶部3から乗車前画像31と乗車中画像32とを読み出し、乗車前画像31と乗車中画像32との差分画像を生成する。たとえば、登録要求部21は、乗車中画像32に写っている被写体から乗車前画像31に写っている被写体を差し引く画像処理を行うことで差分画像を生成する。
【0057】
これにより、登録要求部21は、ユーザの乗車前に車両内に存在せず、乗車後に車両内に存在した物品、すなわち、ユーザによって車両内へ持ち込まれた物品だけが写し出された差分画像を生成することができる。
【0058】
続いて、登録要求部21は、記憶部3から物品名情報34を読み出し、差分画像に対して物品名情報34に含まれている各画像データを用いたパターンマッチング処理を行うことにより、差分画像に写っている物品の物品名を特定する。
【0059】
続いて、登録要求部21は、生成した差分画像と特定した物品名とを対応つけた画像と、特定した物品名から忘れ物リスト35へ登録する物品を選択させる操作ボタンの画像とを含んだ登録要求画像を生成し、表示操作装置6へ出力する。
【0060】
たとえば、ユーザによって傘と手帳とバッグとが車両内へ持ち込まれた場合、登録要求部21は、図4に示すように、差分画像における傘、手帳、バッグの各領域の画像と、各画像に写っている各物品の物品名と、各物品を登録するか否かをユーザへ問うYesおよびNoの文字とを対応付けた登録要求画面用の画像を生成する。
【0061】
さらに、登録要求部21は、かかる登録要求画面中に、選択ボタンa、決定ボタンb、修正ボタンcの各画像を付加して表示操作装置へ表示させる。ここで、選択ボタンaは、忘れ物リスト35へ登録する物品を選択するために操作するボタンの画像である。
【0062】
また、決定ボタンbは、選択ボタンaの操作による選択結果を決定するために操作するボタンの画像である。また、修正ボタンcは、登録要求部21によって特定された物品名を修正するために操作するボタンの画像である。
【0063】
そして、登録要求部21は、かかる登録要求画像を表示操作装置6へ出力することによって表示操作装置6へ登録要求画面を表示させ、ユーザに対して忘れ物リスト35への物品の登録を要求する。
【0064】
これにより、ユーザは、登録要求画面の選択ボタンaと決定ボタンbとを操作するだけで忘れ物として検知すべき物品を容易に忘れ物リスト35へ登録することができる。また、ユーザは、修正ボタンcを操作することで物品名の修正を行うこともできる。
【0065】
すなわち、登録要求部21は、前述のパターンマッチング処理において、たとえば、手帳を誤って本と認識した場合、手帳の物品名を本と特定する。かかる場合、ユーザは、登録要求画面を操作して手帳の画像を選択し、修正ボタンcを操作することで物品名を本から手帳へ修正することができる。
【0066】
たとえば、登録要求部21は、修正ボタンcが操作された場合、表示操作装置6へ文字入力画面を表示させ、ユーザへかかる文字入力画面を操作させることによって物品名の修正を行わせる。
【0067】
登録部22は、ユーザによって登録要求画面が操作された場合に、表示操作装置6から入力される操作信号に基づいて物品名を判定し、判定した物品名を忘れ物リスト35へ登録する。
【0068】
ここでは、図4に示すように、手帳とバッグとを忘れ物リスト35へ登録する操作が行われているため、登録部22は、図5に示すように、忘れ物リスト35へ手帳とバッグとを登録する。なお、忘れ物リスト35には、ユーザによって過去に登録された他の物品も含まれている。
【0069】
このように、忘れ物リスト35へ過去に登録された物品を保存しておくことで、ユーザは、特に忘れやすい物品について毎回登録を行わなくても、車両へ置き忘れた場合に、車載装置1から忘れ物の通知を受け取ることができる。
【0070】
このように、車載装置1によれば、ユーザは、忘れ物リスト35へ物品を登録するために物品の画像や名称の入力を行う必要がなく、登録要求画面から所望の物品を選択して決定するだけで容易に忘れ物リスト35へ物品を登録することができる。
【0071】
図2の説明に戻り、物品判別部23は、ユーザの降車を示す検知結果がセンサ4から入力された場合に、乗車前画像31と降車後画像33と物品名情報34とを記憶部3から読み出してユーザが車両に残した物品を判別する処理部である。
【0072】
具体的には、物品判別部23は、乗車前画像31と降車後画像33との差分画像を生成する。たとえば、物品判別部23は、降車後画像33に写っている被写体から乗車前画像31に写っている被写体を差し引く画像処理を行うことで差分画像を生成する。
【0073】
これにより、物品判別部23は、ユーザの乗車前に車両内に存在せず、降車後に車両内に存在した物品、すなわち、ユーザによって車両内へ残された物品だけが写し出された差分画像を生成することができる。
【0074】
続いて、物品判別部23は、記憶部3から物品名情報34を読み出し、差分画像に対して物品名情報34に含まれている各画像データを用いたパターンマッチング処理を行うことにより、差分画像に写っている物品および物品名を特定して忘れ物検知部24へ出力する。
【0075】
このとき、物品判別部23は、特定した物品の差分画像における位置から物品の車両内における存在位置を判別し、判別した存在位置を示すテキストデータを物品名とともに忘れ物検知部24へ出力する。
【0076】
なお、物品判別部23は、降車後画像33に対して物品名情報34に含まれている画像データを用いたパターンマッチング処理を行うことによっても各物品を判別可能であるが、上記した差分画像に対してパターンマッチング処理を行うことで物品判別に要する処理量を低減することができる。
【0077】
忘れ物検知部24は、記憶部3から忘れ物リスト35を読み出し、物品判別部23から入力された物品名が忘れ物リスト35に含まれていた場合に、かかる物品を忘れ物として検知する処理部である。
【0078】
かかる忘れ物検知部24は、忘れ物を検知した場合に、忘れ物の物品名と忘れ物の車両内における存在位置を含むテキストデータを出力部25へ出力する。出力部25は、忘れ物の検知結果を示す情報として、忘れ物検知部24から入力されるテキストデータをユーザの携帯電話7へ向けて出力する処理部である。
【0079】
なお、ここでは、図示を省略しているが、出力部25は、車両に設けられているDCU(Data Communication Unit)を介して携帯電話7へテキストデータの送信を行う。
【0080】
期間設定部26は、表示操作装置6から入力される操作信号に基づき、忘れ物検知部24から出力部25へテキストデータが入力されてから出力部25がテキストデータの出力を行うまでの期間を設定する処理部である。
【0081】
すなわち、出力部25は、忘れ物検知部24からテキストデータが入力されてから、期間設定部26によって設定されている所定期間が経過した後に、携帯電話7へ向けてテキストデータの出力を行う。これにより、たとえば、ユーザが比較的短い時間、一時的に車両を離れるような場合に、忘れ物の検知結果を不必要にユーザへ通知することを防止することができる。
【0082】
なお、期間設定部26は、ユーザの降車から物品判別部23が物品判別の処理を開始するまでの期間、または、ユーザの降車から忘れ物検知部24が忘れ物検知の処理を開始するまでの期間、または、ユーザの降車から出力部25が忘れ物の検知結果を出力するまでの期間のいずれかを設定するように構成してもよい。かかる構成によっても、ユーザに対して忘れ物の検知結果を不必要に通知することを防止することができる。
【0083】
次に、図6を用いて車載装置1の動作および車載装置1が提供する忘れ物確認サービスの一例について説明する。図6は、本実施例に係る車載装置1の動作および車載装置1が提供する忘れ物確認サービスの一例を示す図である。
【0084】
図6に示すように、車載装置1は、時刻T1にセンサ4によってユーザの乗車意思が検知されると、時刻T2に撮像装置5によって撮像された乗車前画像31を記憶する。ここでは、ユーザによって車両内へ持ち込まれた物品が存在しなかったものとする。
【0085】
続いて、車載装置1は、時刻T3にセンサ4によってユーザの乗車が検知されると、時刻T4に撮像装置5によって撮像された乗車中画像32を記憶する。ここでは、ユーザによって傘、手帳、バッグが車両内へ持ち込まれたとする。
【0086】
続いて、車載装置1は、時刻T5に表示操作装置6によって登録要求画面を表示させることにより、ユーザに対して忘れ物リスト35への物品の登録要求を行う。ここで、車載装置1は、傘、手帳、バッグのなかから忘れ物リスト35へ登録する物品をユーザへ選択させる。
【0087】
このとき、ユーザがバッグと手帳とを忘れ物リスト35へ登録する操作を行ったとする。すると、車載装置1は、時刻T6にユーザの操作に従ってバッグと手帳とを忘れ物リスト35へ登録する。
【0088】
続いて、車載装置1は、時刻T7にセンサ4によってユーザの降車が検知されると、時刻T8に撮像装置5によって撮像された降車後画像33を記憶する。ここで、ユーザがバッグだけを持って降車したとする。
【0089】
すると、車載装置1は、車両内に残された傘と手帳とが忘れ物リスト35に含まれているか否かを判定する。ここで、車載装置1は、忘れ物リスト35に含まれている手帳が車両内に残されているため、時刻T9に手帳を忘れ物として検知する。このとき、車載装置1は、車両内における手帳の場所についても判定する。
【0090】
続いて、車載装置1は、前述した期間設定部26によって設定されている期間が経過した後の時刻T10に忘れ物の検知結果として「左後部座席に手帳の忘れ物があります。」というテキストデータをユーザの携帯電話7へ向けて出力する。このとき、車載装置1は、車両内に残されている傘については、忘れ物リスト35に含まれていないため忘れ物としては検知せず、傘に関する検知結果をユーザの携帯電話7へ向けて出力することはない。
【0091】
このように、車載装置1は、ユーザの降車後に車両内に残された物品を判別し、判別した物品がユーザによって忘れ物リスト35へ予め登録された物品であった場合に限り、忘れ物として検知して検知結果をユーザへ通知する忘れ物確認サービスを提供する。
【0092】
これにより、車載装置1が提供する忘れ物確認サービスは、ユーザが意図的に車両内に残した物品を忘れ物として誤って検知してユーザへ通知することを防止することができるため、車両内の忘れ物に関するユーザへの不必要な通知の回数を低減することができる。
【0093】
また、車載装置1は、忘れ物の検知結果を示すテキストデータをユーザの携帯電話7へ送信するため、忘れ物の画像データを携帯電話7へ送信する場合に比べて安い通信費によって忘れ物の検知結果を通知することができる。
【0094】
また、車載装置1は、忘れ物の物品名に加え、忘れ物の車両内における場所をユーザへ通知する。これにより、ユーザは、たとえば、車両に複数の乗員が乗っていた場合、忘れ物の場所から忘れ物の持ち主を容易に推定することができる。
【0095】
次に、図7を用いて車載装置1の制御部2で実行される処理について説明する。図7は、本実施例に係る車載装置1の制御部2で実行される処理を示すフローチャートである。制御部2では、センサ4によってユーザの乗車意思が検知された場合に、図7に示す処理が実行される。
【0096】
具体的には、センサ4によってユーザの乗車意思が検知されると、図7に示すように、画像記憶処理部20は、撮像装置5によって撮像された乗車前画像31を記憶部3へ記憶させる(ステップS101)。
【0097】
続いて、画像記憶処理部20は、センサ4によってユーザの乗車が検知されると、撮像装置5によって撮像された乗車中画像32を記憶部3へ記憶させる(ステップS102)。続いて、登録要求部21は、表示操作装置6へ登録要求画面を表示させてユーザに対して忘れ物リスト35への物品の登録要求を行う(ステップS103)。
【0098】
続いて、登録部22は、表示操作装置6から入力される操作信号に基づいてユーザによる忘れ物リスト35への物品の登録操作があったか否かを判定する(ステップS104)。そして、登録部22は、登録操作があったと判定した場合(ステップS104,Yes)、登録操作に従って忘れ物リスト35へ物品の登録を行って(ステップS105)処理をステップS106へ移す。
【0099】
一方、登録部22は、登録操作がなかったと判定した場合(ステップS104,No)、処理をステップS106へ移す。すなわち、登録部22は、所定時間内に登録操作がなかった場合、または、所定の登録拒否操作があった場合に、処理をステップS106へ移す。
【0100】
続いて、画像記憶処理部20は、センサ4によってユーザの降車が検知されると、撮像装置5によって撮像された降車後画像33を記憶部3へ記憶させる(ステップS106)。続いて、物品判別部23は、乗車前画像31と降車後画像33との差分画像を生成し(ステップS107)、生成した差分画像から車両内に残された物品を判別する(ステップS108)。
【0101】
続いて、忘れ物検知部24は、物品判別部23によって判別された物品が忘れ物リスト35に含まれているか否かを判定する(ステップS109)。そして、忘れ物検知部24は、忘れ物リスト35に含まれていると判定した場合(ステップS109,Yes)、物品判別部23によって判別された物品を忘れ物として検知する。
【0102】
続いて、出力部25は、忘れ物検知部24によって忘れ物が検知された後、期間設定部26によって設定されている所定期間が経過した場合、忘れ物検知部24による忘れ物検知結果をユーザの携帯電話7へ向けて出力して(ステップS110)、処理を終了する。
【0103】
一方、忘れ物検知部24は、物品判別部23によって判別された物品が忘れ物リスト35に含まれていないと判定した場合(ステップS109,No)、処理を終了する。
【0104】
上述してきたように、本実施例に係る車載装置では、ユーザが降車した後に車両へ残された物品と忘れ物リストとを比較し、車両へ残された物品のうち忘れ物リストに含まれている物品のみを忘れ物として検知して検知結果をユーザへ通知する。
【0105】
これにより、本実施例に係る車載装置によれば、ユーザが意図的に車室内に残した物品や車両内へ置き忘れても支障のない物品を誤って忘れ物として検知して検知結果をユーザへ通知することを防止することができる。これにより、本実施例に係る車載装置によれば、車両内の忘れ物に関するユーザへの不必要な通知の回数を低減することができる。
【0106】
ところで、これまで説明した車載装置は、本発明に係る車載装置の一例にすぎない。すなわち、本実施例に係る車載装置は、本発明の技術思想の範囲内において構成を変更することができる。
【0107】
たとえば、車載装置は、車両の各座席と、各座席へ着座するユーザによって登録された忘れ物リストと、各座席へ着座するユーザの携帯電話のメールアドレスとを対応付けて記憶するように構成することもできる。
【0108】
かかる構成とした場合、車載装置は、降車後画像に写っている物品が置かれている座席を特定し、特定した座席に対応付けられている忘れ物リストに基づいて物品が忘れ物として検知すべき物品か否かを判別する。
【0109】
そして、車載装置は、降車後画像に写っている物品を忘れ物として検知すべき物品と判定した場合、先に特定した座席に対応付けられている携帯電話のメールアドレスを宛先として忘れ物の検知結果を送信する。
【0110】
かかる構成とすれば、車載装置は、車両に残された忘れ物が置かれている座席の位置から忘れ物の持ち主の可能性が高いユーザを特定し、特定したユーザの携帯電話へ忘れ物の検知結果を通知することができる。
【0111】
また、車載装置は、忘れ物を検知した場合に、車両のウインカーまたはヘッドライトの点滅やクラクションを作動させることによって車両内に忘れ物がある旨をユーザへ通知するように構成することができる。
【0112】
このように、車両に設けられている既存の装置を用いて忘れ物の検知結果を通知することで、たとえば、ユーザが携帯電話を所持していない場合であっても、車両の近傍にユーザがいれば、車両内に忘れ物があることをユーザへ認識させることができる。
【0113】
また、車載装置による物品の判別手法は、画像処理に限定するものではない。たとえば、ユーザが車両内へ持ち込む各物品に物品を識別するための情報が記憶されたICタグを予め添付しておき、ユーザの降車後に物品判別部がICタグから情報を取得して物品を判別するように車載装置を構成することもできる。かかる構成とすれば、物品の判別に要する処理量を低減することができる。
【0114】
また、忘れ物リストへの物品の登録は、必ずしもユーザが乗車した際に毎回行う必要はなく、たとえば、自宅のパーソナルコンピュータ等を用いて所定の記憶媒体へ忘れ物リストを記憶させておき、記憶媒体を車載装置へ接続して車載装置内へ取り込んでもよい。
【符号の説明】
【0115】
1 車載装置
2 制御部
20 画像記憶処理部
21 登録要求部
22 登録部
23 物品判別部
24 忘れ物検知部
25 出力部
26 期間設定部
3 記憶部
31 乗車前画像
32 乗車中画像
33 降車後画像
34 物品名情報
35 忘れ物リスト
4 センサ
5 撮像装置
6 表示操作装置
7 携帯電話

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内の忘れ物を検知する車載装置であって、
前記忘れ物として検知すべき物品のリストを記憶するリスト記憶部と、
前記車両の乗員が降車した場合に、前記車両内の物品を判別する物品判別部と、
前記物品判別部によって判別された物品が前記リストに含まれていた場合に、当該物品を忘れ物として検知する忘れ物検知部と、
前記忘れ物検知部による検知結果を出力する出力部と
を備えたことを特徴とする車載装置。
【請求項2】
前記物品判別部は、
前記乗員の乗車前および降車後に撮像装置によってそれぞれ撮像された前記車両内の画像の差分に基づいて前記車両内の物品を判別する
ことを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記出力部は、
前記忘れ物検知部によって前記忘れ物として検知された物品の名称を示す文字情報を出力する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記物品判別部は、
前記車両内の物品の前記車両内における位置を判別し、
前記出力部は、
前記物品判別部によって判別された前記位置示す文字情報を出力する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の車載装置。
【請求項5】
前記乗員が降車してから前記出力部が前記検知結果を出力するまでの期間を設定する期間設定部
をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の車載装置。
【請求項6】
前記乗員に対して前記リストへの物品の登録を要求する登録要求部と、
前記登録要求部による要求に対する応答を受け付けて前記リストへ物品を登録する登録部と
をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の車載装置。
【請求項7】
車両内の忘れ物を検知する忘れ物確認サービスであって、
外部からの情報を受信して表示可能な携帯端末と、
前記忘れ物として検知すべき物品のリストを記憶するリスト記憶部と、
前記車両の乗員が降車した場合に、前記車両内の物品を判別する物品判別部と、
前記物品判別部によって判別された物品が前記リストに含まれていた場合に、当該物品を忘れ物として検知する忘れ物検知部と、
前記忘れ物検知部による検知結果を出力する出力部と
を有し、
前記出力部からの検知結果を前記携帯端末に表示する
ことを特徴とする忘れ物確認サービス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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