説明

車載電子機器,車載物理量測定計および熱式空気流量計

【課題】
内燃機関の吸気管、あるいは排気管に設置される空気流量センサや圧力センサ,温度センサ,酸素濃度センサ類は、各種の腐食性ガスに曝されるので、この腐食性ガスにより腐食しない物理量測定装置を提供することが課題である。
【解決手段】
吸気管、および排気管に搭載される温度センサ,流量測定装置,圧力センサ,酸素濃度センサなどの各種センサ類に本発明の硫黄ガスを除去する銅製のメッシュ,ハニカム体,多孔質体を採用することにより、Agを主体とする配線の腐食を防止でき、信頼性の大幅な向上が期待でき、低価格で耐食性の高い製品とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の流量,圧力,温度,酸素量を検出する装置に係わり、例えば内燃機関に吸入される空気量を計測する空気流量測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの内燃機関の吸気管や排気管には、内燃機関の運転を適正に制御するための流量センサ,圧力センサ,温度センサ,酸素濃度センサなど物理量を計測する装置が設置されている。これら物理量測定装置は、物理量を計測するためのセンサと、そのセンサを駆動するとともにセンサ信号を増幅して制御装置へ伝える駆動回路および入出力回路で構成されている。これら物理量測定センサは、高温,低音,湿度など過酷な環境条件下で使用されることを想定しており、駆動回路と入出力回路を樹脂などから成るケース部材、さらにケース部材上面をカバーで接着する封止構造となっている。接着材としてはシリコーン接着材が使用される場合が多い。駆動回路および入出力回路は、セラミック製回路基板とその上に実装された電子部品により構成されている。回路基板に使用している配線材料は、従来のAg−Pd導体から、回路基板の小型,低価格化のため純銀(Ag)、あるいは銀を主体とした銀パラジウム(Ag−Pt)導体を使用する例が多くなってきた。純
Ag,Ag−Pt導体は抵抗率が比較的小さいことから配線の微細化が可能で小型化に適している反面、従来のAg−Pd導体に比べて耐食性が低下する。自動車などの内燃機関に用いられる物理量測定装置の曝される環境は、硫黄ガス(S8 など)、硫黄酸化物ガス(SOx),硫化水素ガス(H2S ),窒素酸化物ガス(NOx),炭化水素ガス(HC),塩素ガス(Cl2 )が存在する。Ag導体は、このうちSOx,H2S 、特に硫黄ガスにより腐食する。Ag導体材料の上には、防食のためガラス被覆が施されるが、ガラスにはピンホールが存在するため、完全に防食することはできない。
【0003】
【特許文献1】特開2001−12987号公報
【特許文献2】特開平6−22373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術は、樹脂ケースを接着材で接合した封止構造としていたが、シリコーン接着材は、それ自体に気体を透過させる物理特性を有している。外部に腐食性ガスが存在すると、腐食性ガスがシリコーン接着剤を透過して、ケース内部に侵入する。導体材料の上には、防食のためガラス被覆が施されているが、ガラス被覆にはピンホールが存在する。このためケース内に進入した腐食性ガスにより、ガラス被覆のピンホールを介してAg配線材料は腐食する。Ag配線材料は、腐食の進行により断線する可能性があり、その信頼性に不安があった。
【0005】
ところで空調器や空気清浄器では、四大悪臭(硫化水素,メルカプタン,アンモニア,アミン)を除去するために、酸化第一銅と固体酸を担持したセラミック質繊維ペーパのハニカムからなる脱臭フィルタが採用されている。空調器や空気清浄器では、外部からの吸入空気中の悪臭を除去することを対象にしているため、吸入口に脱臭フィルタを設けている。
【0006】
内燃機関の吸気管、あるいは排気管に設置される空気流量センサや圧力センサ,温度センサ,酸素濃度センサ類は、ゴムから放出される腐食性ガスに曝される。この腐食性ガスは、運転中では吸入空気に希釈されるため低濃度であるが、停止後は空気が滞留するため高濃度になる。したがって内燃機関の吸気管、あるいは排気管に設置される空気流量センサや圧力センサ,温度センサ,酸素濃度センサ類は、空調機や空気清浄器のように吸入管だけでなく、排気管からも拡散する硫黄ガスに曝されることになる。これが空調器や空気清浄器の構造と大きく異なる点であり、内燃機関のセンサ類で硫黄ガスによる腐食障害が発生する要因となる。
【0007】
このように内燃機関の吸気管、あるいは排気管に設置される空気流量センサや圧力センサ,温度センサ,酸素濃度センサ類は、各種の腐食性ガスに曝されるので、この腐食性ガスにより腐食しない物理量測定装置を提供することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、被測定流体が流れる導管中に設置した流量測定管と、前記流量測定管内に外部から挿入した物理量測定通路構造と、前記物理量測定通路構造内に設置したセンサと駆動回路基板とからなる物理量測定装置および熱式空気流量計において、前記物理量測定管の被測定流体入口側と出口側に銅製のメッシュ(線材格子)またはハニカム体(板材格子)を設けたものである。これにより、Agを主体とする配線の腐食を防止でき、信頼性の大幅な向上が期待できる。
【0009】
また本発明は、被測定流体が流れる導管中に設置した流量測定管と、前記流量測定管内に外部から挿入した物理量測定通路構造と、前記物理量測定通路構造内に設置したセンサと駆動回路基板とからなる物理量測定装置および熱式空気流量計において、前記測定通路構造の被測定流体入口側と出口側に銅製のメッシュ(線材格子)またはハニカム体(板材格子)を設けたものである。
また本発明は、被測定流体が流れる導管中に設置した流量測定管と、前記流量測定管内に外部から挿入した物理量測定通路構造と、前記物理量測定通路構造内に設置したセンサと駆動回路基板とからなる物理量測定装置および熱式空気流量計において、前記流量測定通路構造の挿入部周りを銅製のメッシュ(線材格子)で覆ったものである。
【発明の効果】
【0010】
被測定流体入口側と出口側に銅製のメッシュ(線材格子)またはハニカム体(板材格子)または多孔質構造を設けることにより、硫黄ガス,硫黄系化合物ガスSOx,H2S などの腐食性ガスを除去できる。これにより、信頼性の高い物理量測定装置を提供できる。
【0011】
また予め硫黄ガス環境で銅表面を硫化させたメッシュ(線材格子)またはハニカム体
(板材格子)または多孔質構造、予めオイルを付着させた銅表面を硫化させたメッシュ
(線材格子)またはハニカム体(板材格子)または多孔質構造を用いることにより、さらに安定して硫黄ガス,硫黄系化合物ガスSOx,H2S などの腐食性ガスを除去できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
従来の物理量測定管の入口側と出口側に銅製のメッシュ(線材格子),ハニカム体(板材格子)を設けるだけで、信頼性の改善が可能である。
【実施例1】
【0013】
本発明の実施の形態を以下に説明し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明がそのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
【0014】
まず、図3に示す車載電子機器の代表的な断面構造及び、これら車載電子機器が曝される腐食環境を示した図4により、車載電子機器の構造及び使用環境と問題点を説明する。車載電子機器は大別するとセンサとコントロールユニットの燃料制御装置、及びイグナイタやコイルの点火制御装置に分けられる。センサは吸入空気流量,空気温度,大気圧,ブースト圧等の物理量を検出し、コントロールユニットは、センサの信号を受け、シリンダ内での燃焼状態を制御する機能であり、イグナイタやコイルはシリンダ内部の点火時期を制御する機能を担っている。これら、車載電子機器の構造において共通することは、それぞれの電子駆動回路1、あるいは電子制御回路を有し、この電子駆動回路1、あるいは電子制御回路を設置する金属製のベース2に接着固定され、前記電子駆動回路1、あるいは電子制御回路を格納するケース3をベース2に接着封止4し、更に上面をカバー5で接着封止6構造が多い。前記電子駆動回路1、あるいは電子制御回路はセラミック等の無機材により形成されたセラミック基板7の表面に回路の導体配線8と抵抗を印刷焼成することにより形成され、さらに表面にコンデンサ,ダイオード,半導体集積回路を実装した形態のハブリッドIC基板9が搭載される。またハイブリッドIC基板9からの放熱を促すため、ハイブリッドIC基板9はシリコーン接着剤で前記金属製ベース2に接着固定される。金属製ベース2は放熱のヒートシンクを担うため、熱伝導率の高い金属、特にアルミニウムが多く使用されている。ハイブリッドIC基板9を格納するケース3及び、上面を覆うカバー5は、電子駆動回路1の入出力信号インターフェースとなるコネクタと一体となった形状である。ケース3を形成する樹脂内部に電気的信号を伝達する導電性部材より成るターミナル11をインサート成形する構造が多く採用されている。ここで、吸入空気温度,吸入空気流量,ブースト圧力等の物理量を検出するセンサは、外部あるいはケース開口部にセンシングエレメント10が設置される構造をとり、電子駆動回路1とターミナル11を介して電気的に接続されている。
【0015】
ここで、前記した主に樹脂からなるケース3と主に金属からなるベース2は双方の線膨張係数が大きく異なるためシリコーン接着剤のような粘弾性を有する接着剤で接着封止4されることが多い。またケース3とカバー5は同一部材ならエポキシ接着剤、異なる部材ならシリコーン接着剤で封止される例が多い。この状態において、センサの出力特性等の調整を行った後、ケース3内部にハイブリッドIC基板9の保護膜としてシリコーンゲル22を注入し、ケース3上面にカバー5で覆いシリコーン接着剤,エポキシ接着剤等で接着封止6した構造となっている。
【0016】
以上説明した車載電子機器の多くには構造部品と部品の接合には接着が多くの構造場所で採用され、シリコーン接着剤の使用が多いことが特徴である。しかしながら、シリコーン接着剤は、シリコーン樹脂特有の性質により不都合な面がある。車載電子機器が搭載される車両のエンジンルーム内部はエンジンからの燃焼ガスの吹き返しがあり、未燃焼ガスの戻しがあり、硫黄酸化物ガスSOx,窒素酸化物ガスNOx,ハイドロカーボンHCの滞留する雰囲気に曝される。またエンジンルーム内部はエンジン構成部品に多く配置されている硫黄を含むゴムダクト,ホース26等の製品らが群集した状態にあり、エンジン内部温度は一部の車載電子機器は100℃を超える状態にも達する。この状態にある際、ゴムダクトやホース26等の硫黄で加硫した製品群からは硫黄ガス,硫黄系化合物等の腐食性ガス14が放出される。場合によっては、前記した硫黄ガスに加えて燃焼ガスの吹き返し、未燃焼ガスの戻しガス、ハイドロカーボンが混在された複合ガス状態が形成される。したがってこれら腐食性ガスに対して抗力ある車載電子機器を製造しなければ、信頼性の低い製品となりうる可能性がある。これら車載電子機器において多くの電子駆動回路1のセラミック基板7上に形成される導体配線8は、Ag、あるいはAg合金により形成されている場合が多く、ケース3内部が腐食性ガス、特に硫黄ガス,硫黄系化合物等の腐食性ガス14が侵入した場合、導体配線8であるAg,Ag合金の導体配線部分は硫化が進行し、電子駆動回路1の導体配線8が最終的に断線し、電子駆動回路1が動作しない状態となる可能性がある。
【0017】
車載電子機器の多くに使用されているシリコーン接着剤は、ガス透過率が大きい。従って、前述したように車載電子機器が腐食ガスの環境下に曝された場合、シリコーン接着剤の接着封止部4より、硫黄ガス,硫黄系化合物等の腐食性ガス14が透過し、ケース3内部に侵入する。導体材料の上には、防食のためガラス被覆が施されるが、ガラスにはピンホールが存在するため、ケース内に進入した腐食性ガスによりガラス被覆のピンホールを介して、電子駆動回路1表面に形成されたAg、あるいはAg合金により形成された導体配線8が硫化腐食する問題点がある。
【0018】
本発明による車載電子機器の耐硫化構造は、電子駆動回路1表面に形成されたAg、あるいはAg合金により形成された導体配線の周りに硫黄ガスと反応性の高い銅製のメッシュ,多孔質構造を設けて、腐食性ガスからAg、あるいはAg合金により形成された導体配線を遮断することができる。
【0019】
以下、本発明によるAg、あるいはAg合金により形成された導体配線の腐食を抑制するための銅製のメッシュ(線材格子)またはハニカム体(板材格子)または多孔質構造について説明する。
【0020】
車載電子機器は多数に及び、ここで全てに渡り説明することは困難なので、車載電子機器を代表して、図1に示す吸入空気流量を測定する熱式流量計を代表例として断面構造、及び本発明の実施例を説明する。図2は本発明の熱式流量計の構造を示す構造図である。
【0021】
熱式流量計は、近年急速に市場で普及している吸入空気を計測するセンサである。発熱抵抗体15及び感温抵抗体16を用いた熱式流量計17の発熱抵抗体15は、空気温度を計測する感温抵抗体16と常に一定の温度差に保たれるように定温度制御回路18により定温度制御され、常時加熱されている。発熱抵抗体15は空気流の中に設置されるため空気流に放熱する発熱抵抗体15の表面部分が放熱面、つまり熱伝達面となる。この熱伝達で該空気流に奪われた熱量を電気的信号に変換し空気流量を計測するものである。その全体的な構成は吸入空気を導入しつつ、熱式流量計17を保持するボディ19において、全流量の一部が流入する副通路20に発熱抵抗体15,感温抵抗体16,吸気温度センサ
21が配置されている。これら抵抗体素子と定温度制御回路18はケースに埋設された導電性部材によるターミナル11を介し電気的信号の伝達を行う構造となっている。上記した熱式流量計17は、パワートランジスタ等のパワーデバイスの自己発熱を放散するためのベースが構造上の基体となる。このベースは熱伝導率の高い金属材料、例えばアルミニウムが使用されることが多い。このベース2表面にセラミック基板表面に導体配線や抵抗を印刷で形成し、更に半導体集積回路,コンデンサ,ダイオード等を実装したハイブリッドIC基板をシリコーン接着剤で接着する。更にハイブリッドIC基板を格納する基体としてかつ、センサ信号を外部に伝達する、あるいは外部より回路駆動電源を供給するインターフェース部であるコネクタを同時に形成したケース3をベース2上にシリコーン接着剤で接着封止4する。この状態において、センサの出力特性等の調整を行った後、ケース内部にハイブリッドIC基板の保護膜としてシリコーンゲルを注入し、ケース上面にカバーで覆いシリコーン接着剤,エポキシ接着剤等で封止した構造となっている。
【0022】
ここで、前述したように、多くの部材と部材の接着に採用されているシリコーン接着剤はガス透過性が高く、腐食環境下にある場合、接着封止部より、ケース内部に透過して、ハイブリッドIC基板の実装部品や、導体配線を腐食させ、最終的に断線障害に至る。排気ガスであるSOx,NOx,H2S に加えて、空気流量計を保持するボディ19の上下流側に設置される吸気管や排気管で使用されているゴムから放出される硫黄ガスが腐食要因となる。空気流量計のAg導体配線がこれらの腐食ガスと接触させなければ、Ag導体配線の腐食を防止できる。そこで、ゴムダクトと接続されている空気流量計を保持するボディ19の上下流端面に、硫黄ガスと反応性の高い銅製のメッシュ50a,50bを設けることにより、耐腐食信頼性が高い、熱式流量計17を含む車載電子機器を製造出来うることを可能にする。銅製のメッシュが腐食することにより、拡散してきた腐食性ガスを銅製のメッシュで捕獲する。これによりAg配線は腐食ガスと接触しないため腐食を防止できる。同時にメッシュ設置は、空気流の整流効果があり、空気流量の測定精度の向上に寄与する。
【0023】
発明者らは、銅製のメッシュ50を硫黄源と銀の間に設置することで、銀の腐食量を著しく低減できることを見出した。銅は、銀と同様に硫黄ガス環境で腐食し易い金属であり、腐食性ガスを吸収するのに充分な面積の銅製のメッシュを設ける。
【0024】
さらに、銅の表面に予め硫化物を形成させることにより、安定して硫黄ガスを捕獲できることを見出した。自動車で想定される高湿度環境で銅は、酸化と硫化を比較すると酸化が優先する。これは、Cu2S の標準生成エネルギ(ΔGf゜=−86.20kJ/mol)に比べてCuO(ΔGf゜=−128.12kJ/mol)またはCu2O の標準生成エネルギは低い値をとるためである。一度、銅表面に酸化銅が形成されると、酸化銅は緻密で安定であり硫黄ガスが酸化皮膜中を拡散し難いため、硫化速度が低下する。そこで、予め硫化物を形成させて酸化物の生成を抑制することが有効となる。また銅表面に酸化銅を形成することも、酸化膜の生成を抑制することに有効である。
【0025】
さらに、銅の表面に予めオイルを付着させることにより、安定して硫黄ガスをトラップできることを見出した。銅表面のオイル層は、自動車で想定される高湿度環境で水の浸入を抑制し、一方オイルに対して溶解性の硫黄ガスの進入を容易にする。そのため、銅の表面に予めオイルを付着させることは、銅の酸化抑制効果、銅の硫化促進効果がある。
【実施例2】
【0026】
本発明の別の実施例を説明する。図5に本発明の熱式流量計の断面構造、及び図6は本発明の熱式空気流量計の構造を示す構造図である。この実施例では、銅製のメッシュ50を空気流量計副通路20の入口,出口に設けている。上記発明では、ゴムダクト26と接続されている空気流量計を保持するボディ19の上下流端面に、硫黄ガスと反応性の高い銅製のメッシュ50を設けている。ゴムから放出されて副通路内に拡散する以外の硫黄ガスまでを銅製のメッシュで捕獲しているため、硫黄ガスの捕獲効率が低い場合がある。これに対して、本実施例では、Ag導体配線の腐食障害に関与する副通路内に拡散する硫黄ガスのみを捕獲するため、硫黄ガスを効率よく捕獲することができる。この実施例と同様に硫黄ガスを効率よく捕獲するため、図7の断面構造、図8の熱式空気流量計の構造に示すように、熱式流量計17全体を銅製のメッシュで覆うのもよい。
【0027】
上記発明では、銅製のメッシュについて記載した。腐食性ガスを吸収するのに充分な面積を確保するため複数のメッシュ積層してもよい。また、表面積の大きいハニカム体を用いてもよい。さらに銅製のメッシュやハニカム体をエッチングなどにより表面積を拡大させた構造も有効である。
【0028】
この吸気管、および排気管に搭載される温度センサ,流量測定装置,圧力センサ,酸素濃度センサなどの各種センサ類に本発明の硫黄ガスを除去する銅製のメッシュ,ハニカム体,多孔質体を採用することにより、低価格で耐食性の高い製品とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
内燃機関の吸気管,排気管に取付けられる物理量測定装置以外にも、EGRガスの流量を検出する流量センサや圧力センサ,温度センサにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明による流量測定装置を示す断面図(実施例1)。
【図2】本発明による流量測定装置を示す構造図(実施例1)。
【図3】車載電子装置の代表的な断面構造。
【図4】車載電子装置の曝される腐食環境。
【図5】本発明による流量測定装置を示す断面図(実施例2)。
【図6】本発明による流量測定装置を示す構造図(実施例2)。
【図7】本発明による流量測定装置を示す断面図(実施例2)。
【図8】本発明による流量測定装置を示す構造図(実施例2)。
【符号の説明】
【0031】
1 電子駆動回路
2 ベース
3 ケース
4 ベースとケースの接着封止部
5 カバー
6 カバーとケースの接着封止部
7 セラミック基板
8 導体配線
9 ハイブリッドIC基板
10 センシングエレメント
11 ターミナル
12 ボンディングワイヤ
13 燃焼ガス,未燃焼ガス,ハイドロカーボン等のNOx,HCの腐食性ガス
14 硫黄ガス,硫黄系化合物等の腐食性ガス
15 発熱抵抗体
16 感温抵抗体
17 熱式流量計
18 定温度制御回路
19 ボディ
20 副通路
21 吸気温度センサ
22 シリコーンゲル
26 ゴムダクト,ホース
50 銅製メッシュ(線材格子)またはハニカム体(板材格子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子回路が形成された電子部品と、前記電子部品を内蔵するケースと、前記ケース内に前記電子部品を配置し、前記ケースの開放面を覆うカバーを有する車載電子装置において、
電子部品の周りを銅製のメッシュまたはハニカム体で覆うことを特徴とする車載電子装置。
【請求項2】
請求項1の車載電子装置において、
電子部品の周りを、予め銅表面に硫化皮膜が形成されたメッシュまたはハニカム体で覆うことを特徴とする車載電子装置。
【請求項3】
請求項1の車載電子装置において、
電子部品の周りを、予め銅表面にオイル層が形成されたメッシュまたはハニカム体で覆うことを特徴とする車載電子装置。
【請求項4】
被測定流体が流れる導管中に設置した測定管と、前記測定管内に外部から挿入した物理量測定通路構造と、前記物理量測定通路構造内に設置したセンサと駆動回路基板からなる物理量測定計において、
前記流量測定通路構造の挿入部周りを銅製のメッシュまたはハニカム体で覆うことを特徴とする物理量測定計。
【請求項5】
被測定流体が流れる導管中に設置した測定管と、前記測定管内に設置した物理量測定通路構造と、前記物理量測定通路構造内に設置したセンサとセンサ駆動回路基板からなる物理量測定計において、
前記測定管の被測定流体入口側面または出口側面に銅製のメッシュまたはハニカム体を設けたことを特徴とする物理量測定計。
【請求項6】
被測定流体が流れる導管中に設置した測定管と、前記測定管内に設置した物理量測定通路構造と、前記物理量測定通路構造内に設置したセンサとセンサ駆動回路基板からなる物理量測定計において、
前記測定通路構造の被測定流体入口側または出口側に銅製のメッシュまたはハニカム体を設けたことを特徴とする物理量測定計。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれかの物理量測定計において、
前記銅は、予め銅表面に硫化皮膜が形成された銅であることを特徴とする物理量測定計。
【請求項8】
請求項4〜6のいずれかの物理量測定計において、
前記銅は、予め銅表面にオイル層が形成された銅であることを特徴とする物理量測定計。
【請求項9】
被測定流体が流れる導管中に設置した測定管と、前記測定管内に外部から挿入した流量測定通路構造と、前記流量測定通路構造内に設置した発熱抵抗体と感温抵抗体、および前記発熱抵抗体と感温抵抗体を制御する電子回路を有してなる吸入空気流量を計測する熱式流量計において、
空気流量計の周りを銅製メッシュまたはハニカム体で覆うことを特徴とする熱式空気流量計。
【請求項10】
被測定流体が流れる導管中に設置した測定管と、前記測定管内に外部から挿入した流量測定通路構造と、前記流量測定通路構造内に設置した発熱抵抗体と感温抵抗体、および前記発熱抵抗体と感温抵抗体を制御する電子回路を有してなる吸入空気流量を計測する熱式流量計において、
前記流量測定管の被測定流体入口側または出口側に銅製のメッシュまたはハニカム体を設けたことを特徴とする熱式空気流量計。
【請求項11】
被測定流体が流れる導管中に設置した測定管と、前記測定管内に外部から挿入した流量測定通路構造と、前記流量測定通路構造内に設置した発熱抵抗体と感温抵抗体、および前記発熱抵抗体と感温抵抗体を制御する電子回路を有してなる吸入空気流量を計測する熱式流量計において、
前記測定通路構造の被測定流体入口側または出口側に銅製のメッシュまたはハニカム体を設けたことを特徴とする熱式空気流量計。
【請求項12】
請求項9〜11のいずれかの熱式空気流量計において、
前記銅は、予め銅表面に硫化皮膜が形成された銅であることを特徴とする熱式空気流量計。
【請求項13】
請求項9〜11のいずれかの熱式空気流量計において、
前記銅は、予め銅表面にオイル層が形成された銅であることを特徴とする熱式空気流量計。
【請求項14】
被測定流体が流れる導管中に設置された測定管と、前記測定管内に設置され前記被測定流体が流れる通路を有する物理量測定通路構造と、前記物理量測定通路構造内の通路に設置したセンサと、AgまたはAg合金の導体配線を有して前記センサを制御する電子部品とを備えた物理量測定計において、
前記測定管の前記被測定流体入口あるいは出口、または前記物理量測定通路構造の前記被測定流体入口あるいは出口のいずれかに、銅製の部材を設けたことを特徴とする物理量測定計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−209243(P2008−209243A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−46369(P2007−46369)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】