説明

軌跡表示装置

【課題】監視者が複数の移動物体の行動を視認しやすい軌跡表示ができる軌跡表示装置を提供する。
【解決手段】軌跡表示装置において、記憶部3は移動物体を追跡して得られた時系列の物体位置を当該移動物体ごとに記憶し、軌跡画像生成部41は物体位置それぞれと対応する対応座標の周辺領域に所定数の粒状図像を分散配置して軌跡画像を生成し、表示部5は生成された軌跡画像を表示する。前記所定数は、周辺領域において粒状図像間に隙間が形成される程度の多数に設定されており、軌跡同士が交差している部分でも一方軌跡の隙間に他方軌跡の粒状図像が視認可能に表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動物体の軌跡を表示する軌跡表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、監視員が不審者等の行動を把握するために、監視画像を処理して移動物体を追跡し、その軌跡を表示する画像監視システムが提案されている。
特許文献1には、検知した複数個の目標物体画像を同一画面に重ね合わせて同時表示するとともに、これらの目標物体画像を結んだ移動軌跡を表示する画像監視システムが記載されている。
また特許文献2には、移動する人物のマークを、軌跡として一定時間ずつ残しながら表示するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−224237号公報
【特許文献2】特開2005−182398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
不審者の行動には、他人をつけまわすストーカー行為、他人との接触など当該不審者以外との関係により把握可能となる行動がある。監視員がこのような行動を把握するには、複数人の軌跡を同時に表示する必要がある。
【0005】
しかしながら、従来技術により複数人の軌跡を表示すると、複数人の線同士が絡み合った表示、或いは複数人のマーク同士が交錯し合い重なり合った表示となり、複数人に関する行動を監視員が瞬時に視認することが困難であった。
また、これらの表示において軌跡が交差した箇所だけを見ても時間の流れを把握しにくく、監視員が複数人に関する行動を把握するには、各線の先端からの長さを比較する、各マークの先頭からの数を数えて比較する、或いはプレイバックするなどしなくてはならなかった。
【0006】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、監視者が複数の移動物体の行動を視認しやすい軌跡表示ができる軌跡表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するために、本発明は、移動物体の軌跡を表示する軌跡表示装置であって、移動物体を追跡して得られた時系列の物体位置を記憶する記憶部と、物体位置それぞれと対応する対応座標の周辺領域に所定数の粒状図像を分散配置して軌跡画像を生成する軌跡画像生成部と、軌跡画像を表示する表示部と、を備え、所定数は、周辺領域において粒状図像間に隙間が形成される程度の多数に設定される軌跡表示装置を提供する。
【0008】
かかる軌跡表示装置において、軌跡画像生成部は、乱数に基づいて分散配置を行なうことが好ましい。
【0009】
かかる軌跡表示装置において、軌跡画像生成部は、時系列中の時刻ごとに粒状図像の大きさを異ならせることが好ましい。
【0010】
かかる軌跡表示装置において、軌跡画像生成部は、時刻が古いほど粒状図像の大きさを小さく設定することが好ましい。
【0011】
かかる軌跡表示装置において、軌跡画像生成部は、粒状図像それぞれを対応座標から当該粒状図像の配置位置までの近さに応じた透過度にて合成することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、監視者が複数の移動物体の行動を視認しやすい軌跡表示が可能となる。特に、複数の移動物体同士が交錯しあっても、監視者がそれぞれの軌跡を区別して認識しやすい軌跡表示が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】画像監視装置1の構成を示す図である。
【図2】粒サイズ32の設定を例示した図である。
【図3】基準色33の設定を例示した図である。
【図4】画像監視処理全体のフローチャートを示す図である。
【図5】軌跡画像生成処理のフローチャートを示す図である。
【図6】位置履歴31とその各物体位置に設定される描画単位領域の関係を例示した図である。
【図7】図6の位置履歴31に対して生成された軌跡画像の例である。
【図8】移動物体が交錯したときの軌跡画像の例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る軌跡表示装置を用いた画像監視装置について図を参照しつつ説明する。
【0015】
軌跡表示装置は、人等の移動物体を追跡した結果として得られる時系列の物体位置に対応した軌跡画像を表示する。特に、この軌跡表示装置は、各物体位置と対応する対応座標の周辺領域それぞれに多数の粒状図像を分散配置して軌跡画像を生成し、当該軌跡画像を表示する。
【0016】
[画像監視装置1の構成]
図1に画像監視装置1の全体構成を示す。画像監視装置1は、撮像部2、記憶部3及び表示部5が制御部4に接続されてなる。
【0017】
撮像部2は、いわゆる監視カメラであり、複数の人物が通行するビルのエントランス等の監視空間を所定時間おきに撮像して監視画像を制御部4に順次出力する。監視画像が撮像される時間間隔は例えば1/5秒である。以下、この時間間隔で刻まれる時間の単位を時刻と称する。
【0018】
記憶部3は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリ装置である。記憶部3は、各種プログラムや各種データを記憶し、制御部4との間でこれらの情報を入出力する。各種データには、追跡用情報30、位置履歴31、粒サイズ32、基準色33が含まれる。
【0019】
追跡用情報30は、移動物体の位置を追跡するために生成され、参照される画像情報である。具体的には、追跡用情報30は、監視空間の背景が撮像された背景画像、及び各移動物体の物体像から抽出された特徴量である。特徴量としては輝度ヒストグラム、テクスチャ情報等を用いることができる。追跡は、前後する時刻における物体像のうち特徴量が類似するものを同一移動物体として同定することにより各時刻における移動物体の位置を求める処理である。同定された移動物体には共通の識別子(物体ID)が付与され、特徴量は同定された移動物体の物体IDと対応付けて記憶される。
【0020】
位置履歴31は、各移動物体の位置(物体位置)の履歴であり、追跡結果として生成され、記憶される。移動物体ごとにその物体IDと対応付けた時系列の物体位置が記憶される。
【0021】
画像監視装置1は、現時刻及び過去10時刻の合計11時刻の間の移動軌跡を表示する。この11時刻が表示対象期間として予め設定されている。
【0022】
粒サイズ32は、軌跡画像に描画される粒状図像の大きさを規定する情報である。表示対象期間内の各時刻に対応して11種類の大きさが設定されている。
【0023】
粒状図像は円形であり、粒サイズ32は半径で規定される。具体的には、現時刻用の半径が8画素、1時刻前用の半径が4画素、2時刻前用の半径が3.7画素、以下順に3〜8時刻前用の半径が3.3画素、3画素、2.7画素、2.3画素、2画素、1.6画素、1.3画素、1画素と設定されている。図2のテーブル320は、粒サイズ32の上記設定を図示したものである。
【0024】
各粒サイズ32はその適用時刻が古くなるほど小さく設定されていることが特徴である。過去用の粒サイズ32は比例関係に設定されているが、現時刻用の16画素は過去用に比して特に大きな倍率で設定されている。これは現時刻の物体位置を特に強調するためである。尚、半径が小数の粒状図像は描画或いは表示の際に量子化される。
【0025】
画像監視装置1は、移動物体ごとに異なる色にて軌跡を表示する。基準色33は、これに対応して軌跡表示用の複数の基準色が列挙された色コード群である。監視空間を同時に通行する移動物体の数と比べて十分多い個数の色コードが予め設定され、各色コードには通し番号が付与されている。図3のテーブル330は、RGB表色系の色コードとして定められた基準色33の設定を例示したものである。
【0026】
制御部4は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、MCU(Micro Control
Unit)等の演算装置である。制御部4は、追跡部40、軌跡画像生成部41等の動作を記述したプログラムを記憶部3から読み出して実行することによりこれら各部として機能する。
【0027】
追跡部40は、追跡用情報30を用いて監視画像内の移動物体を追跡し、各移動物体の位置履歴31を記憶部3に記憶させる。そのために追跡部40は、各時刻において監視画像を背景画像と比較して移動物体の物体像を抽出する物体像抽出処理と、前後する時刻に抽出された物体像の中から特徴量が一致する移動物体を同定する同定処理を繰り返し、同定された移動物体ごとにその重心位置を時系列に位置履歴31として記憶させる。
【0028】
このとき同定が得られなかった物体像があると、追跡部40は新規移動物体が出現したとして当該物体像の特徴量に新規の物体IDを付与して追跡用情報30に追記する。新規の物体IDの付与に伴って追跡部40は当該物体IDと対応する位置履歴31を新たに作成する。
【0029】
また同定が得られなかった物体IDがあると、追跡部40は当該物体IDが表す移動物体が消失したとして当該物体IDと対応する特徴量を記憶部3から削除する。
【0030】
軌跡画像生成部41は、記憶部3から位置履歴31を読み出して、各位置履歴31を構成する物体位置それぞれと対応する対応座標に多数の粒状図像を分散配置して軌跡画像を生成し、生成した軌跡画像を表示部5に出力する。生成処理の詳細は後述する。
【0031】
表示部5は、液晶ディスプレイ、CRT等のモニタ装置であり、入力された軌跡画像を表示する。表示された軌跡画像はストーカー行為や他人との接触を繰り返す行為などの不審行動の監視するために監視員等により視認される。
【0032】
[画像監視装置1の動作]
図4のフローチャートを参照して、画像監視装置1の動作を説明する。
【0033】
監視空間が無人であることを確認した監視員が画像監視装置1を起動すると各部は動作を開始し、撮像部2が監視画像を順次制御部4に入力し始める。制御部4の追跡部40は起動直後に撮像された監視画像を用いて背景画像を初期化し、追跡用情報30として記憶部3に記憶させる。初期化が終わると画像監視処理がスタートし、撮像部2から制御部4へ新たな監視画像が入力されるたびにステップS1〜S4の処理が繰り返される。
【0034】
新たな監視画像が入力されると(S1)、まず、追跡部40は当該監視画像と追跡用情報30を比較して監視画像中の移動物体の追跡処理を一時刻分進捗させる(S2)。移動物体が監視空間内を通行すると、ステップS2の追跡処理により当該移動物体の位置履歴31が生成されて、記憶部3に蓄積される。
【0035】
追跡処理が進捗すると、制御部4の軌跡画像生成部41は位置履歴31を基に軌跡画像の生成を行う(S3)。
【0036】
図5のフローチャートを参照して軌跡画像生成処理を説明する。
【0037】
まず、軌跡画像生成部41は、軌跡画像を初期化する(S30)。軌跡画像生成部41は、監視画像と同サイズの軌跡画像を用意し、軌跡画像全体を黒で塗りつぶすことで初期化を行う。
【0038】
軌跡画像生成部41は、記憶部3を参照して表示対象期間内の位置履歴31が記憶されている移動物体を抽出する(S31)。
【0039】
該当する移動物体が抽出されなければ(S32にてNO)、処理は図4のステップ4へ進められる。この場合、初期化された軌跡画像がそのまま表示されることになる。
【0040】
他方、該当する移動物体が抽出された場合(S32にてYES)、軌跡画像生成部41は抽出された移動物体を順次注目物体に設定して(S33)、抽出された全移動物体に対してステップS33〜S43のループ処理を実行する。
【0041】
注目物体のループ処理において軌跡画像生成部41は、注目物体の基準色33を決定するとともに(S34)、注目物体の位置履歴31を読み出し(S35)、読み出した位置履歴31を構成する物体位置を新しいものから順次注目位置に設定して(S36)、ステップS36〜S42のループ処理を実行する。
【0042】
ここで、軌跡画像生成部41は、ステップS31にて抽出された移動物体間で互いに異なる基準色33を決定するとともに、注目物体の物体IDと基準色33の対応関係を記憶部3に保持して一度設定した物体IDと基準色33の対応関係を次時刻以降も維持するよう決定する。こうすることで各移動物体の軌跡を区別して視認しやすくなる。
【0043】
注目位置のループにおいて軌跡画像生成部41は、まず注目位置を中心とする描画単位領域(本発明における対応座標の周辺領域)を設定し(S37)、設定された描画単位領域内に予め設定された配置個数だけ粒状図像の配置位置をランダムに設定する(S38)。
【0044】
描画単位領域は、ひとつの物体位置に対して粒状図像を描画する領域であり、半径23画素の円形領域として予め設定される。粒状図像の最大半径が8画素であることを考慮し、軌跡画像生成部41は、注目位置を中心とする半径15画素の円内に配置位置を乱数に基づき生成する。こうすることにより各粒状図像は半径23画素の描画単位領域内に収まる。
【0045】
上述した描画単位領域の大きさは監視画像に撮像される移動物体程度の大きさでもある。描画単位領域を移動物体程度の大きさとすることで、軌跡画像を視認した監視員が移動物体間の関係を把握しやすくなる。
【0046】
図6の画像100は、ひとつの移動物体の位置履歴31と、当該位置履歴31を構成する各物体位置に対して設定される描画単位領域の関係を例示したものである。図中の×印が各物体位置を表し、各物体位置を中心とする円が当該物体位置に対応する描画単位領域をそれぞれ表している。
【0047】
配置個数は描画単位領域において過去用の粒状図像間に隙間が形成される程度の多数に予め設定される(現時刻用の粒状図像の大きさは前述したように目立たせることを優先して設定されている)。粒状図像間の隙間を形成することで軌跡同士が交差しても一方の軌跡の図形の隙間から他方の軌跡の図形の一部が重なりなく視認できるので、交差した軌跡を監視員が識別しやすくなる。配置個数は例えば10〜20個の間で設定され、本例では13個と設定した。
【0048】
描画単位領域の面積は約1662画素(半径23画素)、過去用の粒状図像の最大面積は約50画素(半径4画素)であるから、上記配置個数の上限20個なる設定は、1662>50×20なる関係を満たし、描画単位領域において過去用の粒状図像間に必ず隙間が形成される設定となっている。また、隙間が形成される範囲の多数とすることで視認性が高まる。仮に少数に設定すると隙間は増えるが視認が困難となる。
【0049】
続いて軌跡画像生成部41は、注目位置を平均値とし描画単位領域の半径の3分の1を標準偏差とする2次元正規分布関数を設定して、当該関数にステップS36で設定された各配置位置の座標を代入して関数の出力値が大きいほど低く出力値が小さいほど高い透過度を各配置位置に対して設定する(S39)。配置位置が注目位置に近いほど低い透過度が設定され、配置位置が注目位置から遠いほど高い透過度が設定されることになる。
【0050】
具体的には、描画単位領域の半径をR、物体位置を(x0,y0)配置位置を(x,y)としたときに透過度α(値域;0〜1)は数式1にて算出される。
【0051】
【数1】

【0052】
続いて軌跡画像生成部41は、注目位置の時刻と対応する粒サイズ32を読み出し(S40)、軌跡画像の各配置位置に、ステップS40で読み出した当該配置位置と対応する粒サイズ32を有し、ステップS34にて決定した注目物体の基準色で塗りつぶした粒状図像を、ステップS39にて設定された当該配置位置と対応する透過度にて透過合成する(S41)。透過合成は、粒状図像の色と軌跡画像の色とをα:(1−α)の割合で混合することを意味する。
【0053】
こうして注目物体の位置履歴31に含まれる物体位置のうち表示対象期間内の物体位置全てに対してステップS36〜S42の処理が行われ(S42にてYES)、且つステップS31にて抽出された全ての移動物体に対してステップS33〜S43の処理が行われると(S43にてYES)、現時刻における軌跡画像生成処理は終了し、処理は図4のステップS4へと進められる。
【0054】
図4に戻り、軌跡画像生成部41は、ステップS3にて生成した軌跡画像を表示部5に出力する(S4)。軌跡画像が入力された表示部5は、当該軌跡画像を視認可能に表示する。現時刻の軌跡画像を表示すると、処理はステップS1へ戻され、次時刻の監視画像に対する処理が始まる。
【0055】
図7は、図6で例示した物体位置31に対して生成された軌跡画像200を例示したものである。各物体位置には複数の粒状図像からなる粒状図群像が描画されている。
【0056】
各粒状図群像における粒状図像の粒サイズ32は、最も新しい現時刻の物体位置で最大、最も古い10時刻前の物体位置で最小であり、これらの間で時刻が古くなるに従って順次小さく設定される。これにより時間の経過や移動方向が視認しやすくなっている。
【0057】
また、各粒状図群像における粒状図像は、上述した透過度の設定により、中心すなわち物体位置に近いほど濃く物体位置から遠いほど淡く描画されている。これにより移動軌跡の芯線が視認しやすくなっている。
【0058】
また図8は、交錯した2つの移動物体について生成された軌跡画像300を例示したものである。ただし、モノクロで分かりやすいように下地を白にしている。
【0059】
各物体位置にて複数の粒状図像が隙間を有して描画されているので、2つの軌跡が交錯している部分においても一方移動物体の粒状図群像の隙間に混色することなく描画された他方移動物体の粒状図像の少なくとも一部を視認できる。そのため交錯する2つの軌跡の存在を容易に識別できる。
【0060】
またこれらの粒状図像は乱数に基づいて配置されているので一方の粒状図群像の隙間に他方の粒状図像が配置されやすくなっている。仮に規則的に配置されると、隙間同士が重なって隙間が活かされない機会が増加する。
【0061】
また時刻ごとに粒状図像の大きさを異ならせて描画されているので、2つの軌跡が交錯している部分においても一方移動物体の粒状図群像と他方移動物体の粒状図群像とを容易に識別でき、2つの軌跡を容易に識別できる。図8はモノクロであるが実際には2つの軌跡が互いに異なる基準色で描画されているので、交錯する2つの粒状図群像の識別はさらに容易であり、2つの軌跡を容易に識別できる。
【0062】
以上のように、多数の粒状図像を分散配置して生成された軌跡画像は、マクロで見ても時間の経過、移動方向、移動軌跡の芯線が視認しやすく監視員が複数人に関する行動を把握するのに好適であり、ミクロで見ても交差部分に各移動物体が存在していた時刻の違いを認識しやすく監視員が複数人に関する行動を把握するのに好適である。
【0063】
上記実施形態において軌跡画像生成部41は、円形の粒状図像を用いて軌跡画像を生成したが粒状図像の形状は円形に限定されない。別の実施形態において粒状図像は、菱形、星形などとされる。
【0064】
上記実施形態においては下地を全面黒色とした。別の実施形態において、下地は背景画像或いは背景の模式図などとすることもできる。背景画像とする場合、軌跡画像生成部41は図5のステップS30において、追跡用情報30として記憶されている背景画像を軌跡画像に複写して初期化を行う。背景の模式図とする場合、当該模式図は予め記憶部3に記憶され、軌跡画像生成部41は図5のステップS30において、記憶部3の模式図を軌跡画像に複写して初期化を行う。
【0065】
また上記実施形態において、軌跡画像生成部41は監視画像と同サイズの軌跡画像を生成した。別の実施形態において軌跡画像生成部41は、監視画像を拡大或いは縮小したスケールの軌跡画像を生成する。この場合、軌跡画像生成部41はスケールに応じた倍率で物体位置、描画単位領域、粒サイズを拡大又は縮小して軌跡画像の対応座標にそれぞれを配置する。或いは、軌跡画像生成部41は、監視画像と同サイズの軌跡画像を生成してからスケールに応じた倍率で軌跡画像を拡大又は縮小して表示部5に出力する。
【0066】
また上記実施形態においては予め設定された粒サイズ32にて粒状図像の大きさが設定された。別の実施形態においては、表示対象期間は可変とされ、表示対象期間に応じた時刻数の粒サイズ32が動的に設定される。この場合、画像監視装置1はキーボードやマウス等で構成された設定部を備えて表示対象期間の設定の入力を受け付け、入力された期間に応じた段階数の粒サイズ32を半径4画素から1画素の間で動的に設定する。

【符号の説明】
【0067】
1・・・画像監視装置
2・・・撮像部
3・・・記憶部
30・・・追跡用情報
31・・・位置履歴
32・・・粒サイズ
33・・・基準色
4・・・制御部
40・・・追跡部
41・・・軌跡画像生成部
5・・・表示部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動物体の軌跡を表示する軌跡表示装置であって、
前記移動物体を追跡して得られた時系列の物体位置を記憶する記憶部と、
前記物体位置それぞれと対応する対応座標の周辺領域に所定数の粒状図像を分散配置して軌跡画像を生成する軌跡画像生成部と、
前記軌跡画像を表示する表示部と、
を備え、
前記所定数は、前記周辺領域において前記粒状図像間に隙間が形成される程度の多数に設定されたこと、を特徴とする軌跡表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の軌跡表示装置において、
前記軌跡画像生成部は、乱数に基づいて前記分散配置を行なうことを特徴とする軌跡表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の軌跡表示装置において、
前記軌跡画像生成部は、前記時系列中の時刻ごとに前記粒状図像の大きさを異ならせること、を特徴とする軌跡表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の軌跡表示装置において、
前記軌跡画像生成部は、前記時刻が古いほど前記粒状図像の大きさを小さく設定すること、を特徴とする軌跡表示装置。
【請求項5】
請求項2から請求項4のいずれかひとつに記載の軌跡表示装置において、
前記軌跡画像生成部は、前記粒状図像それぞれを前記対応座標から当該粒状図像の配置位置までの近さに応じた透過度にて合成すること、を特徴とする軌跡表示装置。



【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−228885(P2011−228885A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−95870(P2010−95870)
【出願日】平成22年4月19日(2010.4.19)
【出願人】(000108085)セコム株式会社 (596)
【Fターム(参考)】