説明

軌陸作業車吊上装置

【課題】緊急時に軌陸作業車を避難させるために迅速な対応を可能とする軌陸作業車吊上装置、及びそれを用いた軌陸作業車緊急避難方法を提供する。
【解決手段】軌陸作業車吊上装置は、軌陸作業車Sを挟んで左右のレールRの長さ方向に間隔をおいて仮設されかつ左右のレールRをまたぐように路盤F上に載せられる一対の門型クレーン11よりなり、各クレーン11は、一対の縦フレーム21と、両縦フレーム21の上端に渡されかつ左右一対の巻上機23を装備した横フレーム22とよりなる。両縦フレーム21の上端および横フレーム22の対応する端同士が連結解除自在にそれぞれ連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、軌道の各種メンテナンスを行うためにレール上を走行する軌陸作業車を、軌道から撤去する際に、レール上から吊上るために用いられる軌陸作業車吊上装置に関する。また、前記軌陸作業車吊上装置を用いた軌陸作業車緊急避難方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
軌陸作業車は、バックホーと一般に呼ばれている作業機械が果たす機能、軌道および陸上走行機能をもっている。
【0003】
軌道の各種メンテナンス作業は、通常、深夜から早朝の始発までの間に行われる。軌陸作業車は、自分自身のもつ機能によって、レールに対する上り下りを行うこととができる。ところが、レール上の軌陸作業車がその機能に何らかのトラブルが生じ、自力でレールから下りれなくなってしまうことがある。その場合、何らかの手段によって、レール上から軌陸作業車を下ろす必要がある。このような場合、例えば、始発列車の出発時間が迫っていたりする緊急時には迅速な対応が必要となる。
【0004】
従来、上記のような事態に対応するための対策は十分には配慮されていなかったのが実情である。そのような事態への対策として、軌陸作業車を吊り上げできる装置を、作業現場の軌道上に仮設し、仮設された吊上装置によって、レール上から軌陸作業車を吊上げて、これを、レール上のトロッコに載置して、トロッコによって軌陸作業車を避難させることが考えられる。しかしながら、鉄道軌道上で作業を行う軌陸作業車は、例えば、12.8トンもの重量がある。このような重量物を吊り上げることは容易ではない。
【0005】
軌道上で物を吊り上げる装置として、目的は異なるが、例えば、特開2006−104849号公報には、軌道スラブ敷設位置調整装置が開示されている。しかしながら、この装置は、現場で簡単に組み立てて仮設できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−104849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明の目的は、緊急時に軌陸作業車を避難させるために迅速な対応を可能とする軌陸作業車吊上装置、及びそれを用いた軌陸作業車緊急避難方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明による軌陸作業車吊上装置は、軌陸作業車を挟んで左右のレールの長さ方向に間隔をおいて仮設されかつ左右のレールをまたぐように路盤上に載せられる一対の門型クレーンよりなり、各クレーンは、一対の縦フレームと、両縦フレームの上端に渡されかつ左右一対の巻上機を装備した横フレームとよりなり、両縦フレームの上端および横フレームの対応する端同士が連結解除自在にそれぞれ連結されているものである。
【0009】
この発明による軌陸作業車吊上装置では、各クレーンの縦フレームおよび横フレームが連結解除自在であるから、縦フレームおよび横フレームを分解・組立をすることができる。縦フレームおよび横フレームを分解した状態で搬送することができるため、軌陸作業車吊上装置を、軌道上に短時間かつ簡単に仮設することができる。
【0010】
さらに、両縦フレームの上端および横フレームの対応する端に、互いに同心状に重なり合った一対のピン孔がそれぞれ形成されており、両ピン孔に連結ピンが抜差自在に通されていると、連結ピンの抜差だけの簡単な操作によって、縦フレームおよび横フレームの分解・組立作業を簡単に行うことができる。
【0011】
また、各巻上機は、ダブルチェーン式チェーンブロックよりなると、シングルチェーン式チェーンブロックと比較して、巻上時の力が半分で済むため、巻上作業が容易であると共に、巻上機の耐荷重が半分で済むため、巻上機自体の小型、軽量化が可能である。小型、軽量化した巻上機を採用すると、巻上機の設置を容易に行うことができる。
【0012】
また、各巻上機は、横フレームに着脱自在かつ横フレームの長さ方向に移動自在であると、軌陸作業車の大小・形状に対応して、巻上機を移動させれば、巻上作業を容易かつ安全に行うことが可能となる。
【0013】
また、各巻上機は、チェーンを巻上げるための巻上機本体と、巻上機本体に取付られている走行ローラと、走行ローラの回転をロック解除自在に解除するためのロック機構とを備えていると、走行ローラをロック機構によってロックしておけば、巻上機を横フレームの長さ方向の所定位置に停止させた状態にさせることができる。
【0014】
前述のように、鉄道軌道上で作業を行う軌陸作業車は、例えば、12.8トンもの重量がある。軌陸作業車を吊り上げようとすると、前後各クレーンの左右一対の巻上機には、それぞれ3.2トンもの荷重がかかることになる。従って、作業の安全性を確保するためには、巻上機を所定位置に停止させた状態とできることが重要である。巻上機に、走行ローラの回転をロック解除自在に解除するためのロック機構が備えられていると、作業の安全性を十分に確保して吊り上げ作業を行うことができる。
【0015】
さらに、各巻上機は、走行ローラの外面端部に円環状フランジが設けられており、フランジ外面に歯が設けられており、ロック機構は、歯と噛合解除自在に噛合うる爪を有するロック部材を備えていると、歯および爪の噛み合いによる簡単な操作によって、ロック機構を作動させることができる。
【0016】
さらに、各巻上機は、ロック部材は、爪を一端に形成した直棒状ガイドロッドを有しており、ガイドロッドは、爪をホルダから突出させて筒状ホルダに直動自在かつ回転自在に保持されており、爪を歯と相対させた状態で、ガイドロッドを円環状フランジの半径方向に移動させうるようにホルダが巻上機本体に固定されていると、ロック部材を直動させる簡単な操作によって、歯および爪の噛み合いを行わせることができる。
【0017】
さらに、各巻上機は、ホルダ周壁にL字状ガイド溝が形成されており、ガイド溝は、ホルダ周壁の軸方向にのびたロック用縦溝と、爪より遠い側の、縦溝の端部からホルダ周壁の周方向にのびたロック解除用横溝とよりなり、ガイドロッドに摘みが設けられており、摘みは、ホルダに内外に貫通させられかつガイド溝に沿って移動自在であり、ホルダは、爪を突出させた開口端およびこれと反対側の閉鎖端を有しており、閉鎖端およびガイドロッド他端間に圧縮コイルばねが介在させられていると、ガイド溝の縦溝および横溝のいずれかに摘みを位置させことによつて、ロックおよびロック解除状態を保持することができる。
【0018】
この発明による軌陸作業車緊急避難方法は、軌陸作業車による作業現場において、上記軌陸作業車吊上装置を用い、レール上から軌陸作業車を吊上げて、これを、レール上のトロッコに載置し、トロッコを走行させて、軌陸作業車を作業現場から避難場所まで移動させるものである。
【0019】
この軌陸作業車緊急避難方法によれば、緊急避難事態が発生した時に、簡便にかつ迅速に、軌陸作業車を作業現場から避難場所まで移動させることができる。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、緊急時に軌陸作業車を避難させるために迅速な対応を可能とする軌陸作業車吊上装置、及びそれを用いた軌陸作業車緊急避難方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明による吊上装置の側面図である。
【図2】同吊上装置の正面図である。
【図3】同吊上装置のクレーンの縦フレームおよび横フレームの連結構造を示す分解斜視図である。
【図4】同吊上装置の巻上機の正面図である。
【図5】図4のV−V線に沿う断面図である。
【図6】図5のVI−VI線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
この発明の実施の形態を図面を参照しながら以下に説明する。
以下の説明において、前後とは、図1を基準として、その左側を前、これと反対側を後といい、左右とは、後より見て、その左右の側を左右というものとする。
【0023】
図1および図2を参照すると、路盤F上に左右のレールRが敷設されている。両レールRには軌陸作業車Sがまたがらされている。軌陸作業車Sは、陸上走行用キャタピラCおよびレール走行用車輪Wを有している。両レールRに車輪Wが載せられている。軌陸作業車Sが陸上を走行する際は、キャタピラC底面レベルより上方に車輪Wは格納されるようになっている。
【0024】
吊上装置は、軌陸作業車Sを前後挟んでその両側に仮設されかつ両レールRをまたぐように路盤F上に載せられている前後一対の門形クレーン11を備えている。両クレーン11は、前後の向きは逆であるが、同一構造のものである。
【0025】
各クレーン11は、左右一対の縦フレーム21と、両縦フレーム21の上端に渡されるように左右方向にのびかつ左右両端が左右対応する側の縦フレーム21の上端に連結されている横フレーム22とよりなる。横フレーム22上には左右一対の巻上機23が左右方向に走行自在に載せられている。
【0026】
各縦フレーム21は、左右対応する側のレールRの外側をのびている側面視方形枠状脚部材31と、脚部材31の上端から側方に張り出している水平方形枠状天板部材32と、脚部材31の下端近くおよび天板部材32の先端を連絡している補強部材33と、天板部材32頂面に固定されている連結部材34とよりなる。連結部材34は、横断面コ字状のもので、前後方向に間隔をおいて相対させられた前後一対の垂直状連結壁35を有している。
【0027】
横フレーム22は、前後方向に間隔をおいて相対させられかつ左右方向に水平にのびた前後一対の横断面方形状レール部材41を備えている。両レール部材41は、スペーサ42および端板43によって互いに連結固定されている。横フレーム22の左右両端部は、左右対応する側の連結部材34の前後連結壁35に挟まれている。
【0028】
図3に、右側の連結部材34および横フレーム22の右端部が詳細に示されている。連結部材34の前後連結壁35には前後の第1ピン孔51が互いに同心状に形成されている。第1ピン孔51から右方に間隔をおいて、連結部材34の前後連結壁35には前後の第2ピン孔52が互いに同心状に形成されている。これらの第1ピン孔51および第2ピン孔52に対応して、これらにそれぞれ合致させられた第3ピン孔53および第4ピン孔54が横フレーム22の前後レール部材41の右端部にそれぞれ形成されている。合致させられた第1ピン孔51および第3ピン孔53と、第2ピン孔52および第4ピン孔54とに、連結ピン55がそれぞれ抜差自在に通されている。各連結ピン55の前後両端部にはワイヤ孔56およびリング孔57がそれぞれ形成されている。ワイヤ孔56にはワイヤ58の一端が通されて固定されている。ワイヤ58の他端にはスナップリング59が取付られている。スナップリング59は、リング孔57に差込まれて固定されている。
【0029】
横フレーム22及び縦フレーム21の構成部材(脚部材31、天板部材32、補強部材33)は、特殊アルミ合金製であり、強度と軽量さを兼ね備えている。また、連結部材34及び連結ピン55は、ステンレス製である。
【0030】
巻上機23は、図4に示すように、ロードチェーン61と、チェーン61を巻上げるための巻上機本体62とを備えている。
【0031】
チェーン61は、前後のレール部材41の間を通されるように巻上機本体62から垂下されている。チェーン61の下端にはフック63が吊下られている。巻上機本体62は、公知のダブルチェーン式チェーンブロックよりなる。巻上機本体62にはチェーン巻上ハンドル64が備えられている。
【0032】
巻上機本体62には前後一対の走行ローラ65およびフリーローラ66が左右に間隔をおいてそれぞれ取り付けられている。前側の走行ローラ65およびフリーローラ66が前レール部材41の頂面に載せられ、後側の走行ローラ65およびフリーローラ66が後レール部材41の頂面に載せられている。
【0033】
図5は、走行ローラ65およびその周辺部の詳細を示すものである。前走行ローラ65の外面後縁部および後走行ローラ65の外面前縁部にレール外れ止めフランジ71がそれぞれ設けられている。
【0034】
巻上機本体62にローラ軸72が前後方向に貫通させられている。巻上機本体62を挟んでその前後両側のローラ軸72に、前後の走行ローラ65がキー止めされている。ローラ軸72の後部は、後走行ローラ65より後方に突出させられている。ローラ軸72の後方突出部分には、横断面輪郭四角形状(稜角は面取りされている)伝導部73および横断面輪郭円形状非伝導部74が前後に並んで形成されている。伝導部73および非伝導部74にはこれらにわたって移動自在に送りハンドル75のボス76がはめ被せられている。ボス76の内面は、伝導部73外面に合致させられた四角形の横断面輪郭を有している。
【0035】
伝導部73にボス76が位置させられていると、送りハンドル75の回転力は、ローラ軸72に伝導されるが、非伝導部74にボス76が位置させられていると、送りハンドル75は、空回りして、その回転力は、ローラ軸72に伝導されないようになっている。
【0036】
図5に加えて、図6に、走行ローラ65の回転をロック解除自在に解除するためのロック機構81が示されている。
【0037】
後走行ローラ65のフランジ71外面には、その周方向に一列に並んだ歯82が設けられている。この歯82の列上方に垂直筒状ホルダ83が配置されている。ホルダ83にはロック部材84が収容されている。
【0038】
ホルダ83は、下端開口および上端閉鎖端壁を有しかつ巻上機本体62に固定されている。ホルダ83周壁には、逆L字状ガイド溝91が形成されている。ガイド溝91は、上下方向にのびたロック用縦溝92と、縦溝92の上端からホルダ83周方向左向きにのびたロック解除用横溝93とよりなる。
【0039】
ロック部材84の下端には、歯82と噛合いうる下向き爪94が設けられている。ロック部材84の爪94より上方部分には垂直棒状ガイドロッド95が設けられている。ガイドロッド95は、爪94をホルダ83から下方に突出させてホルダ83に昇降自在かつ回転自在にはめ入れられている。
【0040】
ガイドロッド95には摘み96が設けられている。摘み96は、ガイド溝91にホルダ83内外貫通状に通されかつガイド溝91に沿って移動自在である。ホルダ83の端壁およびガイドロッド95上端間には、ホルダ83に収容された圧縮コイルばね67が介在させられている。
【0041】
横溝93に摘み96を位置させているときは、歯82から爪94が離れて双方の噛み合いが解除された状態に保持される。この状態で、走行ローラ65の回転は自由である。横溝93から縦溝92に摘み96を移動させ、ロック部材84を下降させて歯82に爪94を噛み合わせると、走行ローラ65の回転はロックされる。
【0042】
つぎに、上記吊上装置を用いて、作業現場から軌陸作業車Sを避難させる手順を説明する。
【0043】
作業現場まで、軌陸作業車Sは、トラック(図示略)によって陸上輸送される。作業現場で、軌陸作業車Sはトラックから自力で下りて、レールRに上がることができる。トラックでは軌陸作業車Sとともに、吊上装置一式が分解された状態で搬送される。
【0044】
作業現場には、通常、作業基地から、レールR上を走行してきたトロッコ(図示略)が到着している。トロッコには作業者が乗り、作業器具等が積載されている。上記トラックに代わり、トロッコによって、軌陸作業車Sを搬送してもよい。
【0045】
例えば、作業中の軌陸作業車Sのエンジントラブルが発生し、軌陸作業車SがレールRから自力で下りられなくなったとする。この場合、吊上装置一式を現場で組立て、吊上装置によって軌陸作業車SをレールRから吊り上げ、トロッコに移し替える。トロッコによって、軌陸作業車Sは作業基地まで搬送される。
【0046】
吊上装置の手順は、以下の通りである。
クレーン11の縦フレーム21および横フレーム22を連結ピン55によって連結することによって、クレーン11が組立られる。2つのクレーン11が組立られると、これを軌陸作業車Sをはさんでその両側に設置する。各クレーン11の横フレーム22上には2つの巻上機23をセットする。軌陸作業車Sの適所4カ所に吊りベルトBを巻き付ける(図4参照)。各吊りベルトBにこれに対応する巻上機23のフック63を引っ掛ける。走行ローラ65のロックを解除し、送りハンドル75を回転させ、各巻上機23を走行させる。巻上機23を適所に位置決めをした後、走行ローラ65をロックする。そして、巻上げハンドル64を回転させて、巻上げ操作によって、チェーン61を引揚げてフック63を上昇させることによって、軌陸作業車SをレールRから吊上げる。
【0047】
吊上げられた軌陸作業車Sの下方にトロッコが進入しうる高さまで吊上げられると、吊上操作は停止する。このときの吊上高さは、例えば、50cm程度である。軌陸作業車Sの下方にトロッコを進入させると、今度は、巻上機23の巻戻し操作によって、軌陸作業車Sを下ろし、トロッコ上に載置する。吊りベルトからフック63を外し、軌陸作業車Sの周囲から吊上装置を撤去する。この後、トロッコが発進させられる。
【0048】
このように、軌陸作業車Sの吊上高さは50cm程度であるので、縦フレーム21における脚部材31の高さ(路盤Fから脚部材31上端までの高さ)を120cm程度(115cm〜125cm)に設定することがよい。そして、横フレーム22の高さを34.5cm程度(30cm〜40cm)に設定することがよい。このような高さ設定とすることによって、巻上機23の縦フレーム21上への設置作業を容易に行うことができ、送りハンドル75による巻上機23の位置決め作業、及び巻上げハンドル64による巻上げ作業を容易に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
この発明による軌陸作業車吊上装置は、作業現場の軌道上に短時間かつ簡単に仮設することができ、この吊上装置を用いて、緊急時に軌陸作業車を迅速に軌道から撤去することができる。これまで、何らかのトラブルが発生した際に重量物である軌陸作業車を迅速に軌道から撤去することはできなかったので、この発明による軌陸作業車吊上装置は、軌道の各種メンテナンス作業を軌陸作業車によって行う際に、鉄道運行の安全保証上の観点から大きな利点を有している。
【符号の説明】
【0050】
11 クレーン
21 縦フレーム
22 横フレーム
S 軌陸作業車
R レール
F 路盤
23 巻上機
61 チェーン
62 巻上機本体
65 走行ローラ
71 円環状フランジ
81 ロック機構
82 歯
84 ロック部材
94 爪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌陸作業車を挟んで左右のレールの長さ方向に間隔をおいて仮設されかつ左右のレールをまたぐように路盤上に載せられる一対の門型クレーンよりなり、各クレーンは、一対の縦フレームと、両縦フレームの上端に渡されかつ左右一対の巻上機を装備した横フレームとよりなり、両縦フレームの上端および横フレームの対応する端同士が連結解除自在にそれぞれ連結されている軌陸作業車吊上装置。
【請求項2】
両縦フレームの上端および横フレームの対応する端に、互いに同心状に重なり合った一対のピン孔がそれぞれ形成されており、両ピン孔に連結ピンが抜差自在に通されている請求項1に記載の軌陸作業車吊上装置。
【請求項3】
各巻上機は、ダブルチェーン式チェーンブロックよりなる請求項1または2に記載の軌陸作業車吊上装置。
【請求項4】
各巻上機は、横フレームに着脱自在かつ横フレームの長さ方向に移動自在である請求項1〜3のいずれか1項に記載の軌陸作業車吊上装置。
【請求項5】
各巻上機は、チェーンを巻上げるための巻上機本体と、巻上機本体に取付られている走行ローラと、走行ローラの回転をロック解除自在に解除するためのロック機構とを備えている請求項4に記載の軌陸作業車吊上装置。
【請求項6】
各巻上機は、走行ローラの外面端部に円環状フランジが設けられており、フランジ外面に歯が設けられており、ロック機構は、歯と噛合解除自在に噛合うる爪を有するロック部材を備えている請求項5に記載の軌陸作業車吊上装置。
【請求項7】
各巻上機は、ロック部材は、爪を一端に形成した直棒状ガイドロッドを有しており、ガイドロッドは、爪をホルダから突出させて筒状ホルダに直動自在かつ回転自在に保持されており、爪を歯と相対させた状態で、ガイドロッドを円環状フランジの半径方向に移動させうるようにホルダが巻上機本体に固定されている請求項6に記載の軌陸作業車吊上装置。
【請求項8】
各巻上機は、ホルダ周壁にL字状ガイド溝が形成されており、ガイド溝は、ホルダ周壁の軸方向にのびたロック用縦溝と、爪より遠い側の、縦溝の端部からホルダ周壁の周方向にのびたロック解除用横溝とよりなり、ガイドロッドに摘みが設けられており、摘みは、ホルダを内外に貫通させられかつガイド溝に沿って移動自在であり、ホルダは、爪を突出させた開口端およびこれと反対側の閉鎖端を有しており、閉鎖端およびガイドロッド他端間に圧縮コイルばねが介在させられている請求項7に記載の軌陸作業車吊上装置。
【請求項9】
軌陸作業車による作業現場において、請求項1〜8のいずれか1項に記載の軌陸作業車吊上装置を用い、レール上から軌陸作業車を吊上げて、これを、レール上のトロッコに載置し、トロッコを走行させて、軌陸作業車を作業現場から避難場所まで移動させる軌陸作業車緊急避難方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−6737(P2012−6737A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145570(P2010−145570)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(504377002)株式会社アイエム (8)
【出願人】(591065848)名工建設株式会社 (15)
【Fターム(参考)】