説明

軟質ポリウレタンフォームの製造方法

本発明は、a)ポリイソシアネートを、b)イソシアネート基と反応性を有する少なくとも2個の水素原子を有する化合物と反応させることにより軟質ポリウレタンフォーム、特に軟質ポリウレタン成形フォームの製造方法であって、上記のイソシアネート基と反応性を有する少なくとも2個の水素原子を有する化合物b)として、DMC触媒により製造され、そして15〜35mgKOH/gのヒドロキシル価及び5〜18質量%のエチレンオキシド含有量(後述の当該ポリエーテルアルコール総量に対して)を有し、且つエチレンオキシドとプロピレンオキシドの末端ブロックのアルキレンオキシド量に対して25〜75質量%のエチレンオキシドを有する当該末端ブロックを有する少なくとも1種のポリエーテルアルコールb1)を使用することを特徴とする製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟質ポリウレタンフォーム、特に高弾性(high-resilience)の軟質成形フォームの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイソシアネートと、イソシアネート基と反応性を有する少なくとも2個の水素原子を有する化合物とを反応させる軟質ポリウレタンフォーム及びその製造法は、以前から公知である。
【0003】
エチレンオキシド単位の末端ブロックを有するポリエーテルアルコールは、このエチレンオキシド単位の末端ブロックを、通常、ポリエーテルアルコールの質量に対して5〜25質量%で有し、そしてポリオールの十分な反応性を確保するために70〜90%の1級ヒドロキシル基を有しており、このようなポリエーテルアルコールは、通常、前記用途に使用される。このようなポリオールの典型的なヒドロキシル価は、25〜35mgKOH/gである。上述のポリエーテルアルコールは、通常、H−官能性出発物質(H−官能基を有する出発物質)、特に2−及び/又は3−官能性アルコールに、アルキレンオキシドを付加させることにより製造される。
【0004】
最近、複合金属(multimetal)化合物(DMC触媒としても知られている)は、H−官能性出発物質にアルキレンオキシドを付加させるための触媒として屡々使用されてきた。DMC触媒の使用により、不飽和成分の含有量の低いポリエーテルアルコールを得ることが可能となる。DMC触媒を使用することによる別の利点は、塩基性触媒に比較して、空時収率が高い。しかしながら、これらは不利もある。重大な不利は、ポリオール中に極めて高分子量の成分が形成されることで、これは発泡中に極めて悪い影響を及ぼす。他の不利は、プロピレンオキシドのみを、そしてプロピレンオキシド及びエチレンオキシドとの混合物を、均一に付加させることができることである。純粋なエチレンオキシドの付加反応は、極めて広い分子量分布の生成物をもたらす。このようなポリオールは、通常濁っており、比較的高粘度であり、フォームの製造において処理(加工)が困難となり、そして得られるフォームは加水分解の受け易さが増大する。
【0005】
この欠陥を克服するために、例えば、特許文献1(EP1403301)、特許文献2(EP1199323)、特許文献3(WO91/18909)、特許文献4(EP1277775)及び特許文献5(WO03/59980)において、まずDMC触媒を用いて、プロピレンオキシド又はエチレンオキシド及びプロピレンオキシドの混合物を付加させ、得られた中間体に塩基性触媒を添加し、そしてエチレンオキシドを付加させる方法が提案されている。この方法の不利は、特に、追加の工程が必要となり、そして塩基性触媒を除去しなければならず、コストがかかる。一方、DMC触媒は通常生成物中に残存し得る。
【0006】
【特許文献1】EP1403301
【特許文献2】EP1199323
【特許文献3】WO91/18909
【特許文献4】EP1277775
【特許文献5】WO03/59980
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、良好な空気透過性及び向上した反発弾性を有する軟質ポリウレタンフォーム、特に軟質ポリウレタン成形フォームを製造する方法で、DMC触媒を用いて製造することができるポリエーテルアルコールを用いることが可能な製造方法を開発することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
驚くべきことに、DMC触媒により製造されるポリエーテルアルコールであっても、15〜35mgKOH/gのヒドロキシル価及び5〜18質量%のエチレンオキシド含有量(後述の当該ポリエーテルアルコール総量に対して)を有し、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの末端ブロックのアルキレンオキシド量に対して25〜75質量%のエチレンオキシド含有量を有する当該末端ブロックを有するポリエーテルアルコールの場合は、純粋なエチレンオキシド単位の末端ブロックを有する伝統的なポリエーテルアルコールに類似するフォーム製造における挙動を示すことを見いだした。
【0009】
従って、本発明は、
a)ポリイソシアネートを、
b)イソシアネート基と反応性を有する少なくとも2個の水素原子を有する化合物と反応させることにより軟質ポリウレタンフォーム、特に軟質ポリウレタン成形フォームの製造方法であって、
上記のイソシアネート基と反応性を有する少なくとも2個の水素原子を有する化合物b)として、
DMC触媒により製造され、そして15〜35mgKOH/gのヒドロキシル価及び5〜18質量%のエチレンオキシド含有量(後述の当該ポリエーテルアルコール総量に対して)を有し、且つエチレンオキシドとプロピレンオキシドの末端ブロックのアルキレンオキシド量に対して25〜75質量%のエチレンオキシド含有量を有する当該末端ブロックを有する少なくとも1種のポリエーテルアルコールb1)を使用することを特徴とする製造方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明で使用されるポリエーテルアルコールb1)は、2〜3個の官能価を有することが好ましい。1級ヒドロキシル基の割合は、15〜50モル%の範囲にあることが好ましい。1級ヒドロキシル基は、エチレンオキシド単位からもたらされる。
【0011】
ポリエーテルアルコールb1)全質量に対する末端ブロックの割合は、特に5〜50質量%、好ましくは10〜30質量%の範囲である。
【0012】
本発明の好ましい態様において、ポリエーテルアルコールb1)の末端ブロックは、2種のアルキレンオキシドの比を付加反応の間に変更しながら、付加される。このような操作法は、WO01/44347に記載されている。本発明に従い使用されるポリエーテルアルコールの製造において、末端ブロックの計量導入の間に、混合物中のエチレンオキシドの割合をプロピレンオキシド割合に対して増加させることが好ましい。混合物中のエチレンオキシドの割合を、少なくとも5質量%から95質量%以下に変えることが好ましい。
【0013】
ポリエーテルアルコールb1)の製造は、上述のように、複合金属シアン化合物(屡々DMC触媒と呼ばれる)を用いてアルキレンオキシドをH−官能性出発物質に付加させることにより行われる。このような複合金属シアン化合物は公知であり、例えばEP−A1053787又はEP−A0755716に記載されている。
【0014】
H−官能性出発物質としては、2−及び/又は3−官能性アルコールを使用することが好ましい。62〜400(g/モル)の範囲の分子量を有するアルコールを使用することが好ましい。グリセロール、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール及びこれらのアルコール2種以上の混合物を使用することが好ましい。特にグリセロール及び/又はエチレングリコールを使用することが好ましい。
【0015】
反応の開始における遅延(誘導期間とも呼ばれる)を回避するために、低級アルコールとアルキレンオキシドとの反応生成物が屡々使用される。これらの反応生成物は、通常、400〜1000(g/モル)の範囲の分子量を有する。これらの反応生成物は、慣用の塩基性触媒により、上述のアルコールにアルキレンオキシドを付加させることにより得られるものが好ましい。DMC触媒の損傷を回避するために、塩基性触媒は反応生成物から完全に除去されなければならない。
【0016】
ポリエーテルアルコールb1)の製造は、種々の方法で行うことができる。
【0017】
バッチ製造も可能である。このためには、出発物質と触媒を反応器(通常撹拌容器)に導入し、活性化させ、反応開始後、アルキレンオキシドを計量導入する。ポリエーテル鎖の個々のセグメント(部分鎖:segment)を連続的に導入し、そして反応器中になおも存在するモノマーのアルキレンオキシドを完全に反応させるための後反応段階が、これらの計量導入の間に設けられる。
【0018】
バッチ法の特に好ましい態様では、低分子量アルコールが、アルキレンオキシドに加えて、その時間の少なくとも1部の時間において導入される。その別のアルコールの計量導入は、ポリエーテルアルコールの均一な組成を確保するために、ポリエーテル鎖の第1セグメントの計量導入中においてのみ行うことが好ましい。付加的なアルコールの計量導入は、例えばEP879259に記載されている。
【0019】
ポリエーテルアルコールb1)の製造の別の態様においては、ポリエーテル鎖の全て又は一部のセグメントが連続法で付加される。このために、その中間体及びアルキレンオキシドを、連続的に、連続反応器(例、撹拌容器又は管型反応器)に導入し、そして最終生成物を連続的に取り出す。上述の方法を、低分子量アルコールの平衡導入と組み合わせることも可能である。DMC触媒によるポリエーテルアルコールの連続製造方法は、例えばWO98/03571に記載されている。
【0020】
ポリエーテルアルコールb1)の製造は、慣用の条件で行うことができる。反応の開始時に、出発物質を反応容器に導入し、必要により、水及び他の揮発性化合物を除去する。これは、通常、蒸留、好ましくは減圧下の蒸留により行われる。触媒は、初期は出発物質中に存在するが、出発物質の処理後のみ触媒を添加することも可能である。後の方法では、触媒が受ける熱負荷(stress)が小さくなる。アルキレンオキシドの計量導入の前に、アルキレンオキシドと酸素との不都合な反応を回避するために反応器を不活性化することが通常である。その後、アルキレンオキシド、又はアルキレンオキシドと出発物質の混合物を、計量導入し、付加反応は上述のように行われる。アルキレンオキシドの付加反応は、0.01〜10バールの範囲の圧力、及び50〜200℃、好ましくは90〜150℃の範囲の温度で通常行われる。アルキレンオキシドを計量導入する速度は、同様に、形成されるポリエーテルアルコールの反応性に影響を及ぼすことが見いだされた。アルキレンオキシドの計量導入速度が速いほど、得られるポリエーテルアルコールの反応性が向上する。
【0021】
ポリエーテルアルコールb1)の製造方法の好ましい態様においては、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの同時計量導入におけるアルキレンオキシドの比を、その計量導入の間に変化させることである。この方法は、例えば、WO01/44347に記載されており、動的計量(dynamic metering)とも呼ばれる。動的計量(動的計量導入)は、本発明の方法で使用されるポリエーテルアルコールの製造における末端ブロックの付加(導入)のために使用されることが好ましい。動的計量は、混合物中のプロピレンオキシドの割合を計量導入の間に減少させながら行うことが好ましい。動的ブロックのエチレンオキシドに対するプロピレンオキシドの質量比を、計量導入の最初における1:0.05〜1:2から計量導入の最後における1:5〜1:20へと減少させることが好ましい。ポリエーテルアルコール中の1級ヒドロキシル基の割合は、この範囲が特に好ましい。
【0022】
アルキレンオキシドの添加後に、アルキレンオキシドの完全な反応を確保するために後反応段階が通常行われる。その後、未反応モノマー及び揮発性化合物が反応混合物から除去される(一般に蒸留により除去される)。DMC触媒は、通常、ポリエーテルアルコール中に残存することがあるが、一般に、その全て又は一部を、例えばろ過により、除去することができる。最終のポリエーテルアルコールは、通常、熱酸化による劣化に対して安定化させるために、一般に、酸化防止剤(例、立体障害アミン又はフェノール)が添加される。
【0023】
記載されたポリエーテルアルコールb1)は、軟質ポリウレタンフォームを製造するために、単独で、或いは混合物で、イソシアネート基と反応性を有する少なくとも2個の水素原子を有する他の化合物と反応させることができる。
【0024】
本発明の軟質ポリウレタンフォームは、ポリエーテルアルコールb1)をポリイソシアネートと反応させることにより製造される。この反応は、通常、発泡剤、触媒及び慣用助剤及び/又は添加剤の存在下に行われる。
【0025】
使用される出発材料に関して、以下にその詳細を示すことができる。
【0026】
使用することができるポリイソシアネートは、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する全てのイソシアネートである。脂肪族イソシアネート、例えばヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)又はイソホロンジイソシアネート(IPDI)、又は芳香族イソシアネート、例えばトリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)又はジフェニルメタンジイソシアネートの混合物、及びポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(粗MDI)を使用することが可能である。芳香族イソシアネートが好ましい。変性イソシアネートとして公知である、ウレタン、ウレトジオン(uretdione)、イソシアヌレート、アロファネート、ウレトニミン及び他の基の導入により変性されたイソシアネートを使用することも可能である。
【0027】
ポリイソシアネートa)として、TDI又はMDI、より高分子の同族体、及び/又はこれらと、イソシアネート基と反応性を有する少なくとも2個の水素原子を有する化合物との反応生成物、を使用することが好ましい。
【0028】
軟質スラブ材フォームを製造するため、TDIを使用することが特に好ましく、一方、MDI及びより高分子の同族体は成形フォームの好適製造において使用することが好ましい。
【0029】
イソシアネート基と反応性を有する少なくとも2個の水素原子を有する化合物(必要により、ポリエーテルアルコールb1)との混合物で使用される)としては、ポリオールを使用することが好ましい。ポリオールの中で、ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールが最も工業的に重要である。ポリウレタンを製造するために使用されるポリエーテルポリオールは、通常、アルキレンオキシド、特にエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドのH−官能性出発物質への塩基性触媒による付加により製造される。ポリエステルポリオールは、通常、多官能カルボン酸と多官能アルコールのエステル化により製造される。使用されるポリオールは、20〜100mgKOH/gの範囲のOH価、及び2〜4の範囲の官能価を有していることが好ましい。
【0030】
本発明の特別の態様では、成分b)は、少なくとも1種のグラフトポリオールを含むことができる。このようなポリオールは、キャリヤーポリオール、好ましくはポリエーテルアルコール中で、エチレン性不飽和モノマー、特にスチレン及び/又はアクリロニトリルをその場重合することにより製造される。重合は、通常、開始剤、重合調節剤及びエチレン性不飽和結合が組み込まれたポリオール(屡々マクロマーと呼ばれる)の存在下に行われる。このようなポリオールは、以前から知られており、例えばWO03/78496に記載されている。本発明の方法で好ましいグラフトポリオールは、10〜50mgKOH/gの範囲のOH価、2〜3の範囲の官能価及び35〜50質量%の固体含有量を有している。グラフトポリオールを用いて製造されたフォームは、硬度が向上し、開放気泡含有量が改善している。
【0031】
本発明の別の態様においては、成分b)は、少なくとも1種のアミン末端ポリエーテルを含むことができる。これらの成分のポリエーテル鎖は、プロピレンオキシド単位のみ含むことが好ましい。このような生成物は以前から知られており、例えば、Huntsman社により商品名Jeffamine(登録商標)で市販されている。2000のモル質量を有する2官能性のJeffamine D 2000、及び5000のモル質量を有する3官能性のJeffamine T5000が好ましい。これらのアミン末端ポリエーテルを用いて製造されたポリウレタンフォームは加工性及び開放気泡含有量が改善されている。
【0032】
さらに、400〜4000(g/モル)のモル質量を有するポリプロピレングリコール又はポリエチレングリコール、或いは50〜80%のエチレンオキシド含有量及び28〜50mgKOH/gの範囲のOH価を有するエチレンオキシド−プロピレンオキシドポリエーテルポリオール等の他のポリールを使用することも好ましい。このようなポリオールは触媒としてDMC又はKOHを用いて製造することができる。
【0033】
イソシアネート基と反応性を有する少なくとも2個の基を有する化合物はまた、適宜使用することができる鎖延長剤及び/又は架橋剤も包含する。これらは、分子量が60〜400(g/モル)の、少なくとも2官能のアミン及び/又はアルコールである。
【0034】
発泡剤として、水、ウレタン反応の反応温度でガス状で、ポリウレタンの出発材料に不活性な化合物(物理作用発泡剤として公知)、及びこれらの混合物を使用することが通常である。使用される物理作用発泡剤としては、一般に、炭素原子数2〜6の炭化水素、炭素原子数2〜6のハロゲン化炭化水素、ケトン、アセタール、エーテル、不活性ガス(例、二酸化炭素又は貴ガス)を挙げることができる。
【0035】
触媒として、アミン化合物及び/又は金属化合物、特に重金属塩及び/又は有機金属化合物を使用することが好ましい。特に、公知の3級アミン及び/又は有機金属化合物を、触媒として使用することが好ましい。使用可能な有機金属化合物としては、例えば、スズ化合物、例えば有機カルボン酸のスズ(II)塩、その例としてはスズ(II)アセテート、スズ(II)オクトエート、スズ(II) エチルヘキサノエート及びスズ(II)ラウレート、及び有機カルボン酸のジアルキルスズ(IV)塩、その例としてはジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレート及びジオクチルスズジアセテートを挙げることができる。このために慣用の有機アミンの例としては、トリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルブタンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミン、ジメチルシクロヘキシルアミンを挙げることができる。上記の触媒は単独で、或いは混合物の形で使用することができる。
【0036】
使用される助剤及び/又は添加剤としては、例えば離型剤、難燃剤、染料、フィラー及び/又は強化材料(reinforcing material)を挙げることができる。
【0037】
工業的には、ポリイソシアネート以外の全ての材料を混合してポリオール成分を形成し、これをポリイソシアネートと反応させてポリウレタンを得る方法が慣用的である。
【0038】
ポリウレタンは、ワン−ショット法又はプレポリマー法により製造することができる。
【0039】
ポリウレタンの製造用の出発材料及びこのために使用される方法の概説が、例えば、Kunststoffhandbuch, 第7巻"Polyurethane", Carl-Hanser-Verlag Munich, Vienna, 第1版, 1966, 第2版, 1983及び 第3版, 1993に見ることができる。
【0040】
本発明の方法により製造される軟質ポリウレタンフォームは高い空気透過率及び良好な機械特性、特に高い反発弾性を有している。
【0041】
以下の実施例により本発明を説明する。
【実施例】
【0042】
[実施例1](ポリエーテルアルコールの製造)
合成は、清掃、乾燥した、10L(リットル)撹拌オートクレーブで行った。[量=8kg×目標のOH価/出発化合物のOH価(8kg * target OHN/ starter OHN)]に従い計算された所望のヒドロキシル価を達成するために必要な出発化合物の量を、撹拌容器に導入し、 そしてEP0862947の実施例1に従い、界面活性剤の存在下に亜鉛アセテートとヘキサシアノコバルト酸から製造される125ppmの複合金属シアニド化合物と混合した。表1の実施例1〜18(3官能性ポリオール)の出発化合物は、OH価が142mgKOH/gのグリセロールプロポキシレートであり、実施例19(2官能性ポリオール)の出発化合物はOH価が240mgKOH/gのプロピレングリコールプロポキシレートであり、両方ともKOH触媒で製造し、その後塩基性触媒を除去した。
【0043】
容器の内容物は、窒素により不活性化し、減圧下、120℃で、合計1時間処理した。120℃で、表に示されたアルキレンオキシドの量を、示された添加速度で導入した。計量導入終了後、反応混合物を、圧力が一定になるまで撹拌し、その後反応混合物を105℃、10ミリバールで脱気した。得られた生成物は、使用前に、酸化防止剤としての500ppmのIrganox 1135と混合した。
【0044】
得られたポリエーテルアルコールの特性を、同様に表に示す。
【0045】
上記特性は以下の方法により測定した:
エチレンオキシド及びプロピレンオキシドから誘導される1級ヒドロキシル基の含有量の測定は、ポリエーテルアルコールのヒドロキシル基とトリクロロアセチルイソシアネートとを反応させ、次いで5mmのz−遮蔽された逆サンプルヘッド(5mm z-shielded inverse sample head)を備えたBRUKER DPX 250 NMR分光器を用いて測定することにより行われる。エチレンオキシドからの1級ヒドロキシル基、プロピレンオキシドからの1級ヒドロキシル基、そして2級ヒドロキシル基は、スペクトルのピークが異なる。エチレンオキシド単位からの1級ヒドロキシル基は、各場合、表1に示されている。ポリオールの粘度は、DIN53018及び53019に従い25℃で測定し、ヒドロキシル価はDIN53240に従い測定した。
【0046】
【表1】

【0047】
* ポリエーテルアルコールの質量に対する
** エチレンオキシドの1級ヒドロキシル基
コア 内部ブロック
チップ 末端ブロック
動的ブロックの計量導入速度における(*) 開始時のPOの計量導入速度(kg/h)及び終了時のPOの計量導入速度(kg/h)を示す
動的ブロックの計量導入速度における(**) 開始時のEOの計量導入速度(kg/h)及び終了時のEOの計量導入速度(kg/h)を示す
【0048】
【表2】

【0049】
[イソシアネートの製造]
下記のイソシアネート組成物がB成分として機能した。イソシアネート組成物1〜5は、3種のイソシアネートを50℃で簡単に混合することにより得た。これらの3種のイソシアネートは:NCO含有量31.5質量%の高分子MDI(イソシアネート1)、純粋な4,4’−MDI(イソシアネート2)及び2,4’−MDIと4,4’−MDIの50/50質量混合物(イソシアネート3)であった。混合後、イソシアネート組成物を室温まで冷却し、そのまま使用した。
【0050】
【表3】

【0051】
イソシアネートプレポリマーP1及びP2の製造を次のように行った:上述のイソシアネート混合物の1つを、まずガラスフラスコで80℃に加熱した。その後、42mgKOH/gのOH価及び75質量%のエチレンオキシド含有量を有するグリセロールを基礎としてランダム重合されたエチレンオキシド−プロピレンオキシドポリエーテルポリオールを、撹拌しながら30分間に亘って滴下した。ポリオールのイソシアネートに対する質量比は、全ての場合で、15/85であった。この混合物を80℃で2時間撹拌した。次いで、プレポリマーを冷却し、NCO価を測定した。
【0052】
P3はイソシアネート3から製造したが、上記の42mgKOH/gのOH価及び75質量%のエチレンオキシド含有量を有するグリセロールを基礎としてランダム重合されたエチレンオキシド−プロピレンオキシドポリエーテルポリオールと、55mgKOH/gを有し且つランダム重合したエチレンオキシド−プロピレンオキシド内部ブロック(EOの割合:5%)及び純粋なエチレンオキシド末端ブロック(末端ブロックのエチレンオキシドの合計量が合計質量の5.6%である)を有するグリセロールを基礎とポリエーテルオールとの混合物を、ポリオール成分として添加した。42mgKOH/gのOH価ポリオールの55mgKOH/gのOH価を有するポリオールに対する混合比は、60:40であり、ポリオール混合物のイソシアネートに対する質量比が12:88であった。
【0053】
【表4】

【0054】
[フォームの製造]
軟質フォームを、ポリオール成分(A成分)を100の指標(index)のイソシアネート成分(B成分)と混合することにより製造した。
【0055】
A成分を、
100部のポリオール、
3.2部の水、
0.8部の触媒Dabco(登録商標)33LV(Air製品)、
1部の安定剤Tegotab(登録商標)B8616(Goldschmidt)
で構成した。
【0056】
ポリオール配合物は、室温にて実験室天秤で処方に従い計測され、1000rpmの速度で30分間撹拌した。この混合物(A成分)を室温に冷却し、その後発泡させることができた。発泡のため、A成分及びB成分の必要量を、適当なカップに測り入れた。発泡工程の安定性を改善するために、任意に、触媒としてジブチルスズジラウレート(DBTDL)を添加することができた。DBTBLの量は、ポリオールに対するパーセントとして報告した。
【0057】
その後、成分を約7秒間1400rpmで撹拌し、250gの質量の混合物を2Lバケツに入れた。クリーム時間、ファイバー時間及び立ち上がり時間を測定した。フォームを、30分間、手で圧搾した。
【0058】
フォームを適当なサイズ及び形状にカットし、試験片を作製し、密度(DIN EN ISO 8307)、空気透過率、反発弾性(DIN EN ISO 845)及び40%圧縮時の圧縮強度(DIN EN ISO 3386)を測定した。圧縮永久歪み(DIN EN ISO 1856)、引張強度及び破断時伸び(DIN EN ISO 1798)、及び引裂き抵抗(DIN53515)も一部のフォームについて測定した。
【0059】
フォームの空気透過率を測定するために、空気流のそのフローに対する抵抗を測定した。図1は、測定装置の構造を示す。空気は、80×80×50mm3の寸法のフォーム試験片に、20℃において、17m3/hで吹き付けた。上側の金属板を4つの支持体(1×1×4.5cm3)によって支え、これによりフォームは測定中約10%だけ圧縮される。フォームの開放気泡含有量に依存して、空気の特定の割合がフォームを通り抜ける。発生した圧力を測定する。この圧力はフォームの開放気泡含有量の尺度である。実際の用途に対しては、圧力は20ミリバール未満とするべきである。ポリオール構造及びイソシアネート組成物の両方がフォームの開放気泡含有量に大きな影響を及ぼす。示されたポリオールについては、イソシアネート組成物は、フォーム密度が46kg/m3未満、フロー抵抗が20ミリバール未満となるように選択される。
【0060】
[実施例1]
シリーズ1
【0061】
【表5】

【0062】
【表6】

【0063】
[実施例2](フォーム生成物へのプレポリマーの使用)
シリーズ2
【0064】
【表7】

【0065】
[実施例3](ジオール及びトリオールの使用)
ここでは、ポリオール成分を、50質量部の3官能ポリオール15、50質量部の2官能ポリオール19、3.2質量部の水、1.0質量部のTegostab(登録商標)B 8616及び0.8質量部のDabco(登録商標)33LVで構成した。ポリオール成分は、95の指標(index)プレポリマーイソシアネート組成物で予備発泡させた。
【0066】
ポリオール配合物は、室温にて実験室天秤で処方に従い計測され、1000rpmの速度で30分間撹拌した。このポリオール組成物を室温に冷却し、その後発泡させることができた。発泡のため、ポリオール(A)成分及びイソシアネート(B)成分の必要量を、適当なバケツに測り入れた。A及びBの合計量は1300gであった。
【0067】
その後、バケツ中で成分を約10秒間1500rpmで撹拌し、40cm×40cm×40cmボックスに注入した。クリーム時間、ファイバー時間及び立ち上がり時間を測定した。
【0068】
1〜2時間の硬化工程の後、フォームを圧搾し、適当なサイズの形状にカットし、試験片を作製した。
【0069】
【表8】

【0070】
[実施例4](イソシアネートとしてTDIを用いた軟質フォーム)
軟質フォームを、ポリオール成分(A成分)を110の指標(index)のイソシアネート成分(80/20、B成分)と混合することにより製造した。
【0071】
A成分を、
100部のポリオール、
2.25部の水、
0.8部のジエタノールアミン、
0.8部の安定剤Tegostab(登録商標)B8616(Goldschmidt)、
0.8部の触媒Lupragen N201(BASF)、
0.05部の触媒Lupragen N206(BASF)、
0.03部のジブチルスズジラウレート
で構成した。
【0072】
ジブチルスズジラウレートを含まないポリオール配合物は、室温にて実験室天秤で処方に従い計測され、1000rpmの速度で30分間撹拌した。このA成分を室温に冷却し、その後発泡させることができた。
【0073】
発泡のため、1300gのポリオール成分及びイソシアネート成分を、適当なバケツに測り入れ、上記の処方に基づき適当量のジブチルスズジラウレートを添加した。
【0074】
その後、その成分を約10秒間1500rpmで撹拌し、40cm×40cm×40cmボックスに注入した。クリーム時間及び立ち上がり時間を測定した。
【0075】
24時間の硬化工程の後、フォームを圧搾し、適当なサイズ及び形状にカットし、試験片を作製した。
【0076】
【表9】

【0077】
[実施例5](アミン末端ポリエーテルポリオールを用いた軟質フォーム)
Jeffamine T5000はHuntsmann製のアミン末端ポリプロピレングリコールである。
【0078】
ポリオール成分を、90質量部のポリオール15、10質量部のJeffamine T5000、3.2質量部の水、1.0質量部のTegostab(登録商標)B 8616及び0.8質量部のDabco(登録商標)33LVで構成した。ポリオール成分は、実施例3の95の指標(index)プレポリマーイソシアネート組成物で発泡させ、機械特性を測定した。
【0079】
【表10】

【0080】
[実施例6](グラフトポリオールを用いた軟質フォーム)
実施例1の方法により製造されたポリエーテルアルコールを使用した。即ち、このポリエーテルアルコールは、1.65kgの出発物質に、まず、4.11kgのプロピレンオキシドを加え、その後1.12kgのエチレンオキシドと1.12kgのプロピレンオキシドとの混合物を加え、そしてエチレンオキシドの計量導入中の計量導入速度を0.2kg/hから1.0kg/hに増加させ、プロピレンオキシドの計量導入中の計量導入速度を1.0kg/hから2.0kg/hに減少させた。ポリエーテルアルコールは、32.3mgKOH/のヒドロキシル価、919mPa・sの25℃の粘度、及び39%の1級ヒドロキシル基含有量を有するもの(ポリオール20)であった。
【0081】
ポリオール成分を、90質量部のポリオール20、10質量部の、ヒドロキシル価が20mgKOH/で、質量1:1のスチレン及びアクリロニトリルの固体含有量が43.5質量%であるグラフトポリオール(Lupranol(登録商標)L 4800, BASF AG製)、1.30質量部の80%濃度トリエタノールアミン溶液、0.21質量部の触媒N 201(BASF AG製)、0.03質量部の触媒N 206(BASF AG社製)、0.10質量部の触媒Kosmos(登録商標)29(Goldschmidt AG製)、2.50部の気泡安定剤Tegostab(登録商標)B4380(Goldschmidt)、及び2.50質量部の水で構成した。これを、95の指標のプレポリマー2を用いて発泡させた。金型温度は45℃であった。得られた成形物はラテックス様の感じであった。
【0082】
[比較例1]
イソシアネート1〜5を最適化することにより、実施例1に記載の試験方法に従ってポリオールI〜VIからフォームを製造することはできなかった。全てのケースにおいて、得られたフォームは、余りにも不安定であるか、独立気泡型であった。第1のケースでは、極端な場合は気泡の崩壊が起こり、そうでない場合は、粗い気泡で、予想より遙かに高密度のフォームが得られた。第2のケースでは、フォームは、極端な場合は皺が発生し、或いはその空気透過率が極端に低かった。累積した測定圧力が20ミリバールを超えた場合、フォームは極めて閉じた系であると見なされる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】空気透過率を測定するための測定装置の構造を示す。
【符号の説明】
【0084】
1 圧力計
2 流量計(flow meter)
3 フォーム試験片
4 上側測定板
5 支持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ポリイソシアネートを、
b)イソシアネート基と反応性を有する少なくとも2個の水素原子を有する化合物と反応させることにより軟質ポリウレタンフォーム、特に軟質ポリウレタン成形フォームの製造方法であって、
上記のイソシアネート基と反応性を有する少なくとも2個の水素原子を有する化合物b)として、
DMC触媒により製造され、そして15〜35mgKOH/gのヒドロキシル価及び5〜18質量%のエチレンオキシド含有量(後述の当該ポリエーテルアルコール総量に対して)を有し、且つエチレンオキシドとプロピレンオキシドの末端ブロックのアルキレンオキシド量に対して25〜75質量%のエチレンオキシド含有量を有する当該末端ブロックを有する少なくとも1種のポリエーテルアルコールb1)を使用することを特徴とする製造方法。
【請求項2】
ポリエーテルアルコールb1)において、末端ブロックを、当該ポリエーテルアルコール総量に対して5質量%以下で含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ポリエーテルアルコールb1)の1級のヒドロキシル基の含有量が15〜50モル%である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ポリエーテルアルコールb1)の製造におけるエチレンオキシドとプロピレンオキシドの同時計量導入中において、その計量導入の間にアルキレンオキシドの比を変化させる請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ポリエーテルアルコールb1)の製造における末端ブロックの分子付加のための計量導入の間にアルキレンオキシドの比を変化させる請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ポリエーテルアルコールb1)の製造における計量導入中において、末端ブロックのエチレンオキシドに対するプロピレンオキシドの質量比を、計量導入の最初における1:0.05〜1:2から計量導入の最後における1:5〜1:20へと減少させる請求項1に記載の方法。
【請求項7】
イソシアネート基と反応性を有する少なくとも2個の水素原子を有する化合物b)が、キャリヤーポリオール中でのエチレン性不飽和モノマーのその場重合により製造される少なくとも1種のポリオールを含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項8】
イソシアネート基と反応性を有する少なくとも2個の水素原子を有する化合物b)が、少なくとも1種のアミン−末端ポリエーテルを含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ポリイソシアネートa)として、MDI、及び/又はMDIとイソシアネート基と反応性を有する少なくとも2個の水素原子を有する化合物との反応生成物を使用する請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ポリイソシアネートa)として、TDIを使用する請求項1に記載の方法。
【請求項11】
DMC触媒を用いて、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドをH−官能性出発物質に付加することにより製造され、そして15〜35mgKOH/gのヒドロキシル価及び5〜18質量%のエチレンオキシド含有量(後述の当該ポリエーテルアルコール総量に対して)を有し、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの末端ブロックのアルキレンオキシド量に対して25〜75質量%のエチレンオキシド含有量を有する当該末端ブロックを有するポリエーテルアルコール。
【請求項12】
エチレンオキシドとプロピレンオキシドの同時計量導入の間に、アルキレンオキシドの比が変化させられている請求項11に記載のポリエーテルアルコール。
【請求項13】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法により製造される軟質ポリウレタンフォーム。

【図1】
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【公表番号】特表2008−514741(P2008−514741A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−532817(P2007−532817)
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【国際出願番号】PCT/EP2005/010121
【国際公開番号】WO2006/034799
【国際公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】