説明

軟質ポリウレタンフォーム及びその製造法

軟質ポリウレタンフォームは、発泡剤の存在での、イソシアネート成分とイソシアネート反応性成分との反応生成物を含む。該イソシアネート成分は、ポリマージフェニルメタンジイソシアネート成分とモノマージフェニルメタンジイソシアネート成分とを含む。該モノマージフェニルメタンジイソシアネート成分は、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートと4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとを含む。該イソシアネート反応性成分は、約700〜約20000の分子量と、実質的にエチレンオキシド基を含まない複数の末端キャップとを有するポリエーテルポリオールを含む。該軟質ポリウレタンフォームは、実質的に補助的な難燃添加剤を含んでおらず、かつカリフォルニア州技術告示117規定による燃焼試験下で難燃性を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本特許出願は、2008年12月23日付けで出願された米国特許出願第12/342,397号の一部継続出願である2010年2月24日付けで出願された米国特許出願第12/711,849号に基づく優先権及び全ての優位性を主張する。
【0002】
発明の背景
1.技術分野
本主題発明は、概して軟質ポリウレタンフォーム及び該軟質ポリウレタンフォームの製造法に関する。特に、本主題発明は難燃性を示す軟質ポリウレタンフォームに関する。
【0003】
2.背景技術
ポリウレタンフォームは、広範囲の剛性、硬度及び密度を示す。ポリウレタンフォームの一種である軟質ポリウレタンフォームは、家具にクッション性、支持性及び快適性を付与するのに特に有用である。例えば、軟質ポリウレタンフォームは、多くの場合、クッション、詰め物、マットレス、上層パッド及び枕等の家具の快適品(comfort article)、並びにソファ、2人用の小型ソファ及び椅子等の支持品(support article)に組み込まれている。
【0004】
軟質ポリウレタンフォームは、典型的には、特に圧縮及び曲げを繰り返し受けた場合には可燃性であるが、小さな裸火発火源に対する抵抗性を示すような配合が可能である。圧縮及び曲げの繰り返しによって、しばしば軟質ポリウレタンフォームの気泡構造は損なわれ、これは一般に屈曲疲労と称される。軟質ポリウレタンフォームは、家具の快適品及び支持品に使用された場合に、圧縮及び曲げを繰り返し受けることにより長い期間を掛けて屈曲疲労を受けるので、米国の連邦行政規則及び州行政規則では、現在、軟質ポリウレタンフォームに関する可燃性の限度が規制されている。このような州行政規則の一つであるカリフォルニア州技術告示(California Technical Bulletin)117は、弾性充填材、例えば被覆された家具内部の軟質ポリウレタンフォームの難燃性を試験するための要件、試験手法及び装置を規定している。
【0005】
従来技術において、難燃性及び軟質性を示す軟質ポリウレタンフォームを製造するための様々な手法が公知である。例えば、難燃性を示す既存の多くの軟質ポリウレタンフォームは、トルエンジイソシアネート(TDI)と、1以上のポリオールを含むイソシアネート反応性成分とを反応させることにより製造される。TDIはポリウレタンフォームに低密度で所望の物理的特性及び屈曲疲労特性を付与することが知られているため、総じて他のイソシアネートよりも多く利用されている。
【0006】
難燃性を示す軟質ポリウレタンフォームを製造するためのより一般的な手法は、イソシアネート反応性成分に補助的な難燃添加剤を混入させることによる。例えば、アルミニウム三水和物等の鉱物;ヒドロキシメチルホスホニウム塩等の塩類;リン化合物;リン酸エステル;及びハロカーボン類又は例えば臭素及び/又は塩素を含む他のハロゲン化化合物を含む難燃添加剤を、イソシアネート反応性成分中に含有させることができる。
【0007】
発明の概要及び利点
本主題発明は、発泡剤の存在での、イソシアネート成分とイソシアネート反応性成分との反応生成物を含む、軟質ポリウレタンフォームを提供する。該イソシアネート成分は、実質的にトルエンジイソシアネートを含んでおらず、かつ、ポリマージフェニルメタンジイソシアネート成分とモノマージフェニルメタンジイソシアネート成分とを含む。該モノマージフェニルメタンジイソシアネート成分は、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートと4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとを含む。該イソシアネート反応性成分は、約700〜約20000の分子量と、実質的にエチレンオキシド基を含まない複数の末端キャップとを有するポリエーテルポリオールを含む。該軟質ポリウレタンフォームは、実質的に補助的な難燃添加剤を含んでおらず、かつカリフォルニア州技術告示117規定による燃焼試験下で難燃性を示す。本主題発明はさらに、該軟質ポリウレタンフォームの製造法を提供する。該方法は、該イソシアネート成分を準備する工程、該イソシアネート反応性成分を準備する工程、及び、該イソシアネート成分と該イソシアネート反応性成分とを発泡剤の存在で反応させて、該軟質ポリウレタンフォームを製造する工程を含む。
【0008】
本主題発明の軟質ポリウレタンフォームは、補助的な難燃添加剤を必要とすることなく、カリフォルニア州技術告示117による燃焼試験下で難燃性を示す。これによって、このような軟質ポリウレタンフォームの製造に付随するコスト及び処理工程が低減する。さらに、本発明の軟質ポリウレタンフォームは、優れた快適特性及び支持特性を示し、かつ難燃性の達成にトルエンジイソシアネート(TDI)の使用を必要としない。
【0009】
発明の詳細な説明
本発明は、軟質ポリウレタンフォーム及び該軟質ポリウレタンフォームの製造法を含む。該軟質ポリウレタンフォームは、クッション、詰め物及びマットレス等の家具にクッション性、支持性及び快適性を付与するのに特に有用である。しかしながら、本発明の軟質ポリウレタンフォームが、家具の用途を超えて、例えば車両用の騒音、振動及びハーシュネス(NVH)低減の用途を有することは高く評価されるべきである。
【0010】
ここで用いられている通り、「軟質ポリウレタンフォーム」との用語は軟質ポリウレタンフォームの1つのクラスを表し、かつ硬質ポリウレタンフォームとは対照的である。軟質ポリウレタンフォームが一般に多孔質であり、連続気泡及び含気特性を有しているのに対して、硬質ポリウレタンフォームは一般に非多孔質であり、独立気泡を有しており、かつゴム様特性を有していない。特に、軟質ポリウレタンフォームは、ASTM D3574−03により定義されているように、200mm×25mm×25mmのサンプルを、18℃〜29℃の温度で5秒間に1巻きの一定速度で直径25mmのマンドレルの周りで曲げても破断しない軟質気泡性生成物である。さらに、ポリオールの選択は軟質ポリウレタンフォームの剛性に影響を与える。即ち、軟質ポリウレタンフォームは、典型的には、重量平均分子量が約1000〜約10000g/molでありかつ水酸基価が約10〜約200mgKOH/gであるポリオールから製造される。対照的に、硬質ポリウレタンフォームは、典型的には、重量平均分子量が約250〜約700g/molでありかつ水酸基価が約300〜約700mgKOH/gであるポリオールから製造される。さらに、軟質ポリウレタンフォームは、一般に、硬質ポリウレタンフォームと比較してより多くのウレタン結合を含むのに対して、硬質ポリウレタンフォームは、軟質ポリウレタンフォームと比較してより多くのイソシアヌレート結合を含み得る。また、軟質ポリウレタンフォームは、典型的には、官能価(f)の低い、即ちf<4の開始剤、例えばジプロピレングリコール(f=2)又はグリセリン(f=3)を有するポリオールから製造される。対照的に、硬質ポリウレタンフォームは、典型的には、官能価の高い、即ちf≧4の開始剤、例えばマンニッヒ塩基(f=4)、トルエンジアミン(f=4)、ソルビトール(f=6)又はスクロース(f=8)を有するポリオールから製造される。また、従来技術において公知である通り、軟質ポリウレタンフォームは、典型的には、グリセリンをベースとするポリエーテルポリオールから製造されるのに対して、硬質ポリウレタンフォームは典型的には、三次元の架橋された気泡構造を形成する多官能性ポリオールから製造され、これにより硬質ポリウレタンフォームの剛性が向上する。最後に、軟質ポリウレタンフォーム及び硬質ポリウレタンフォームは双方ともに気泡構造を含むが、軟質ポリウレタンフォームは、典型的には、硬質ポリウレタンフォームと比較して、力が加えられたときに空気が該軟質ポリウレタンフォームを通過し得る連続気泡壁をより多く含む。それ自体、軟質ポリウレタンフォームは、典型的には圧縮後に形状が復元する。対照的に、硬質ポリウレタンフォームは、典型的には、力が加えられたときに空気が該硬質ポリウレタンフォームを通過するのを阻む独立気泡壁をより多く含む。そのため、軟質ポリウレタンフォームは、典型的には、緩衝及び支持用途、例えば家具の快適品及び支持品に有用であるのに対して、硬質ポリウレタンフォームは、典型的には、断熱が必要とされる用途、例えば装置及び建物のパネルに有用である。
【0011】
本発明の軟質ポリウレタンフォームは、イソシアネート成分とイソシアネート反応性成分との反応生成物を含む。ここで使用する「イソシアネート成分」との用語は、モノマーイソシアネートに限定されるものではなく、即ち、イソシアネート成分はモノマーイソシアネート及びポリマーイソシアネートを含み得る。さらに、ここで使用する「イソシアネート成分」との用語は、プレポリマーを含む。換言すれば、プレポリマー、例えば過剰のイソシアネートと反応したポリオールを、本発明におけるイソシアネート成分として利用することができる。
【0012】
イソシアネート成分は、ポリマージフェニルメタンジイソシアネート(pMDI)を含む。以下により詳細に述べるように、PMDIは、典型的には、軟質ポリウレタン発泡反応の間に、反応基、即ちNCO基を提供するためにイソシアネート成分中に存在する。PMDIは、典型的には、オリゴマージフェニルメタンジイソシアネートの混合物、即ち、MDIとその2量体及び/又は3量体の混合物である。PMDIは、NCO基を含む3個以上のベンゼン環を有する粗製MDIを含んでいる。PMDIは、典型的には、酸触媒の存在でアニリンとホルムアルデヒドとを縮合させ、次いでホスゲン化し、得られたポリマーアミン混合物を蒸留することにより得られる。PMDIは、典型的には、イソシアネート成分中に、該イソシアネート成分100質量部に対して約1〜約30、さらに典型的には約5〜約25、さらに典型的には約8〜約12質量部の量で存在している。
【0013】
イソシアネート成分は更に、モノマージフェニルメタンジイソシアネート(MDI)成分を含む。従来技術で理解されているように、ここで使用する「モノマーMDI」との用語は、2,4’−MDI、4,4’−MDI及び/又は2,2’−MDI等のMDI異性体を含む成分を意味する。本発明のモノマーMDI成分は、2,4’−MDI及び4,4’−MDIを含む。4,4’−MDIと比較して、2,4’−MDIは非対称の分子であり、異なる反応性を有する2つのNCO基を提供する。そのため、理論による制限を意図せずに、2,4’−MDIは軟質ポリウレタン発泡反応パラメータ、例えば軟質ポリウレタンフォームの安定性や硬化時間に影響を与えるものと考えられる。
【0014】
モノマーMDI成分は、典型的には、イソシアネート成分中に、該イソシアネート成分100質量部に対して約70〜約99、さらに典型的には約75〜約95、さらに典型的には約88〜約92質量部の量で存在している。上で述べた通り、モノマーMDI成分は、2,4’−MDI及び4,4’−MDIを含む。全てのイソシアネート成分に関して、2,4’−MDIは、典型的には、該イソシアネート成分中に、該イソシアネート成分100質量部に対して約10〜約50、さらに典型的には約30〜約48、さらに典型的には約39〜約45質量部の量で存在している。一般に、イソシアネート成分の残分(即ち、pMDI及び2,4’−MDI以外のイソシアネート成分)は4,4’−MDIを含む。
【0015】
特に、イソシアネート成分は実質的に補助的な難燃添加剤を含まない。ここで、イソシアネート成分が実質的に補助的な難燃添加剤を含まないことに関して使用される「実質的に含まない」とは、イソシアネート成分が、典型的には、補助的な難燃添加剤を該イソシアネート成分100質量部に対して約1.0質量部未満、さらに典型的には約0.5質量部未満、さらに典型的には0質量部の量で含むことを意味する。補助的な難燃添加剤とは、イソシアネート成分又はイソシアネート反応性成分に、別個に、即ち別々に、該成分から製造される慣用のポリウレタンフォームに難燃特性を付与するために添加される難燃添加剤である。補助的な難燃添加剤の例には、これに限定されるものではないが、アルミニウム三水和物等の鉱物;ヒドロキシメチルホスホニウム塩等の塩類;リン含有化合物;ハロカーボン類等のハロゲン化難燃添加剤;及び、特別な適用において難燃添加剤としても利用されるメラミンが含まれる。難燃添加剤は典型的には高価であり、かつ軟質ポリウレタンフォームの製造法に付加的な処理工程を導入し得るものであるため、イソシアネート成分とイソシアネート反応性成分との反応生成物を含む本発明の軟質ポリウレタンフォームは、従来の難燃性ポリウレタンフォームと比較して製造に関してコスト効率が高い。
【0016】
本発明のイソシアネート成分は、トルエンジイソシアネート(TDI)、特に2,4’−TDI及び2,6’−TDIを実質的に含まない。TDIは、典型的にはMDIと比較して人間や環境に対して望ましくないので、本発明のイソシアネート成分は、TDIを含む従来のイソシアネート成分と比較してより許容可能な処理特性を示す。ここで、イソシアネート成分が実質的にTDIを含まないことに関して用いられる「実質的に含まない」との記載は、イソシアネート成分が、典型的にはTDIを該イソシアネート成分100質量部に対して約25質量部未満、さらに典型的には約10質量部未満、さらに典型的には0質量部の量で含むことを意味する。さらに、本発明の軟質ポリウレタンフォームは、以下に詳細に述べる通り、カリフォルニア州技術告示117規定による燃焼試験下で難燃性を示す。
【0017】
理論による制限を意図せずに、pMDI及びモノマーMDI成分を含むイソシアネート成分は、該成分から製造された軟質ポリウレタンフォームの優れた難燃性に寄与するが、その理由は、モノマーMDI成分及びpMDIが軟質ポリウレタンフォームの溶融特性を変化させるためであると考えられる。例えば、モノマーMDI成分及びpMDIは、燃焼中に軟質ポリウレタンフォームに対して付加的な炭化物(char)の形成をもたらすと考えられる。付加的な炭化物の形成により、典型的には、炎が下部の軟質ポリウレタンフォームに接近することを防止する、安定な炭素質のバリアが形成される。より具体的には、イソシアネート成分は軟質ポリウレタンフォームの結晶性に影響を及ぼすため、炎に曝された際に、軟質ポリウレタンフォームは炎の中にとどまるのではなく、むしろ炎から離れて溶融する。換言すれば、イソシアネート成分は、火炎伝播に対する炭化バリアをもたらす連続的な結晶質マトリックスを本発明の軟質ポリウレタンフォームに付与するものと考えられる。更に、イソシアネート成分は、本発明の軟質ポリウレタンフォームが熱に曝された際に蒸気の生成を最小化するものと考えられる。火炎伝播は気相を必要とするため、本発明の軟質ポリウレタンフォームは、カリフォルニア州技術告示117による燃焼試験下で優れた難燃性を示す。
【0018】
イソシアネート成分は、典型的には、該イソシアネート成分中に該イソシアネート成分100質量部に対して約33質量部の量で存在するNCO基を有している。更に、イソシアネート成分は、典型的には、25℃における粘度が約17cpsであり、かつ平均官能価が約2.1である。イソシアネート成分は、典型的には、引火点が200℃であり、密度が25℃で約1.20g/cm3であり、これにより成分の混合の容易性等の加工性向上効果が奏され、これは軟質ポリウレタンフォームの製造のコスト効率の向上に寄与する。本発明の目的に好適なイソシアネート成分の一例は、ニュージャージー州Florham Park在のBASF Corporation社から市販されているLupranate(R) 280である。
【0019】
特定の実施態様において、イソシアネート成分は実質的にpMDI及びモノマーMDI成分からなる。この実施態様において、pMDIは、典型的には、イソシアネート成分中に、該イソシアネート成分100質量部に対して約5〜約25質量部の量で存在しており、かつモノマーMDI成分は、典型的には、イソシアネート成分中に、該イソシアネート成分100質量部に対して約75〜約95質量部の量で存在している。この実施態様において、イソシアネート成分は、典型的には、pMDI及びモノマーMDI成分(これには、上記の通り2,4’−MDI及び4,4’−MDIが含まれる)以外のイソシアネートを含まない。
【0020】
本発明のイソシアネート反応性成分は、約700〜約20000の分子量と、実質的にエチレンオキシド基を含まない複数の末端キャップとを有するポリエーテルポリオールを含む。ポリエーテルポリオールは、典型的には、約1000〜約5000、さらに典型的には約2000〜約4000の分子量を有する。このポリエーテルポリオールの分子量は重量平均分子量である。特定の実施態様において、ポリエーテルポリオールはポリエーテルトリオールである。従来技術において公知である通り、ポリエーテルポリオールは一般には、塩基性触媒又は複合金属シアン化物(DMC)触媒等の触媒の存在で、アルキレンオキシドを開始剤と反応させることにより製造される。さらに典型的には、得られるポリエーテルポリオールがエチレンオキシド(EO)でキャップされるようにEOを用いる。しかしながら上で述べた通り、イソシアネート反応性成分のポリエーテルポリオールは、実質的にEO基を含まない複数の末端キャップを有する。特定の実施態様において、ポリエーテルポリオールの末端キャップはプロピレンオキシド(PO)基を含む。しかしながら、ポリエーテルポリオールの末端キャップは他のアルキレンオキシド基、例えばブチレンオキシド(BO)基、又はそのようなアルキレンオキシド基の組合せを含むことができる。換言すれば、ポリエーテルポリオールの複数の末端キャップは、典型的には、PO基、BO基及びその組合せから選択されたアルキレンオキシド基を含む。例えば、イソシアネート反応性成分のポリエーテルポリオールがポリエーテルトリオールを含む特定の実施態様において、該ポリエーテルトリオールは以下の一般構造式:
【化1】

[式中、
それぞれのAは、独立して選択された、2〜4個の炭素原子を有する二価の炭化水素基であり、
それぞれのBは、3個の炭素原子を有する二価の炭化水素基であり、かつ
x、y及びzはそれぞれ1を上回る整数である]
を有する。この実施態様において、該ポリエーテルトリオールの鎖は、EO、PO及び/又はBOから形成されるランダム及び/又は繰り返し単位を含み、かつ該ポリエーテルトリオールの末端キャップはPO基を含む単位を含む。該ポリエーテルポリオールは、典型的には、約20〜約100、さらに典型的には約25〜約75mgKOH/gの水酸基価を有する。
【0021】
ポリエーテルポリオールは、典型的には、イソシアネート反応性成分中に、該イソシアネート反応性成分中に存在する全てのポリオール100質量部に対して約20〜約100、さらに典型的には約25〜約75、さらに典型的には約30〜約65質量部の量で存在している。
【0022】
特定の実施態様において、イソシアネート反応性成分はさらにグラフトポリオールを含む。このグラフトポリオールとは、キャリアポリオールに化学的にグラフトされた分散されたポリマー固体を指す。イソシアネート反応性成分のグラフトポリオールは、キャリアポリオールと、スチレンとアクリロニトリルとの共重合物の粒子とを含んでおり、その際、このスチレンとアクリロニトリルとの共重合物の粒子は、以下に詳細に述べる通り、該キャリアポリオール中に分散している。典型的には、グラフトポリオールのキャリアポリオールはポリエーテルポリオールである。グラフトポリオールは、典型的には約2〜約4、さらに典型的には約2.5〜約3.5の官能価を有する。
【0023】
典型的には、グラフトポリオールのキャリアポリオールはポリエーテルポリオールである。キャリアポリオールは、従来技術において公知であるいずれのポリエーテルポリオールであってもよく、有利には分散したスチレンとアクリロニトリルとの共重合物の粒子のための連続相として機能する。即ち、スチレンとアクリロニトリルとの共重合物の粒子はキャリアポリオール中に分散して分散液を形成しており、即ち、グラフトポリオールを形成している。特定の実施態様において、キャリアポリオールは約700〜約20000、さらに典型的には約1000〜約5000、さらに典型的には約2000〜約4000の分子量を有するポリエーテルトリオールである。キャリアポリオールは、典型的には、以下に詳説する通り、軟質ポリウレタンフォームに柔軟性及び所望の密度を付与するような分子量を有する。このキャリアポリオールの分子量は、典型的には、ランダムなサイズの、不規則な形状をした気泡、例えば隣接する気泡とサイズも形状も異なる気泡をもたらす。
【0024】
スチレンとアクリロニトリルとの共重合物の粒子は、キャリアポリオール中に、該キャリアポリオール100質量部に対して約30〜約60、典型的には約40〜約55、さらに典型的には約42〜約50、さらに典型的には約44質量部の量で分散している。スチレンとアクリロニトリルとの共重合物の粒子を有するキャリアポリオールであって、該粒子を該キャリアポリオール中に分散させて該キャリアポリオール100質量部に対して44質量部の量で有するキャリアポリオールの一例は、ニュージャージー州Florham Park在のBASF Corporation社から市販されているPluracol(R) 4600である。
【0025】
理論による制限を意図せずに、グラフトポリオールがイソシアネート反応性成分中に存在することによって、典型的には、最適な断面密度を有する軟質ポリウレタンフォームが形成され、かつ該軟質ポリウレタンフォームの固形分レベルが調整される。グラフトポリオールはまた、典型的には、軟質ポリウレタンフォームの加工性及び硬さに寄与する。また、グラフトポリオールによって、軟質ポリウレタンフォームのレジリエンスに不利な影響を与えることなく、軟質ポリウレタンフォームの形成中に最適な連続気泡を生じさせることが可能となる。さらに、グラフトポリオールは、本発明の軟質ポリウレタンフォームの難燃性に影響を与えるものと考えられる。しかしながら、本発明において、該軟質ポリウレタンフォームがカリフォルニア州技術告示117規定による燃焼試験下で難燃性を示すためにグラフトポリオールが必須でないことは、高く評価されるべきである。グラフトポリオールが存在する場合には、該グラフトポリオールは、典型的には、イソシアネート反応性成分中に、該イソシアネート反応性成分中に存在する全てのポリオール100質量部に対して0超〜100、さらに典型的には約5〜約50、さらに典型的には約10〜約30質量部の量で存在する。グラフトポリオールがイソシアネート反応性成分中に100質量部の量で存在する場合には、該イソシアネート反応性成分はさらに、該グラフトポリオール中のキャリアポリオールとしてポリエーテルポリオールを含む。グラフトポリオールのキャリアポリオールは、上で図解し、かつ説明したポリエーテルトリオールを含んでよい。さらに、グラフトポリオールは、典型的には、約10〜約60、さらに典型的には約20〜約40mgKOH/gの水酸基価を有する。さらに、グラフトポリオールは、典型的には、25℃における粘度が約1000〜約7000センチポイズであり、これにより成分の混合の容易性等の加工性向上効果が奏され、これは軟質ポリウレタンフォームの製造のコスト効率の向上に寄与する。
【0026】
イソシアネート反応性成分は、典型的にはさらに、4未満の公称官能価を有する架橋剤を含む。該架橋剤をイソシアネート反応性成分中で使用する場合には、該架橋剤により、一般に、軟質ポリウレタンフォームのコポリマーセグメントの間の相分離が可能となる。即ち、軟質ポリウレタンフォームは、典型的には、尿素コポリマーハードセグメントとポリオールコポリマーソフトセグメントの双方を含む。架橋剤は、典型的には、化学的及び物理的に、尿素コポリマーハードセグメントをポリオールコポリマーソフトセグメントに結合する。従って、架橋剤をイソシアネート反応性成分中に存在させる目的は、典型的には、軟質ポリウレタンフォームの硬度を変化させ、安定性を向上させ、かつ収縮を抑制することである。架橋剤を使用する場合には、該架橋剤は、典型的には、イソシアネート反応性成分中に、該イソシアネート反応性成分中に存在する全てのポリオール100質量部に対して、0超〜約2、さらに典型的には約0.1〜約1質量部の量で存在する。
【0027】
好適な架橋剤には、従来技術において公知であるあらゆる架橋剤、例えばジエタノールアミンが含まれる。ジエタノールアミンを使用する場合、該ジエタノールアミンは、典型的には、架橋剤中に、該架橋剤100質量部に対して約85質量部の量で存在している。本発明の目的に好適な架橋剤の一具体例は、ペンシルバニア州Allentown在のAir Products and Chemicals, Inc.社から市販されているDabco(R) DEOA-LFである。
【0028】
イソシアネート反応性成分は、典型的には更に触媒成分を含む。触媒成分は典型的には、イソシアネート成分とイソシアネート反応性成分との軟質ポリウレタン発泡反応を触媒するためにイソシアネート反応性成分中に存在する。触媒成分は典型的には、イソシアネート成分とイソシアネート反応性成分との反応生成物を形成するためには消費されない。即ち、触媒成分は、典型的には、軟質ポリウレタン発泡反応に関与はするものの消費はされない。触媒成分を使用する場合、該触媒成分は、典型的には、イソシアネート反応性成分中に、該イソシアネート反応性成分中に存在する全てのポリオール100質量部に対して0超〜約2、より典型的には約0.10〜約1質量部の量で存在する。該触媒成分には、従来技術において公知である全ての好適な触媒又は触媒混合物が含まれ得る。好適な触媒の例には、これに限定されるものではないが、ゲル化触媒、例えばジプロピレングリコール中の結晶性触媒;発泡触媒、例えばジプロピレングリコール中のビス(ジメチルアミノエチル)エーテル;及びスズ触媒、例えばオクチル酸スズである。本発明の目的に好適な触媒成分の一つが、ペンシルバニア州Allentown在のAir Products and Chemicalsから市販されているDabco(R) 33LVである。Dabco(R) 33LVは、トリエチレンジアミン33%及びジプロピレングリコール67%の溶液であり、典型的にはゲル化触媒として用いられる。
【0029】
特定の実施態様において、イソシアネート反応性成分はさらに、気泡連通化添加剤を含む。典型的には、該気泡連通化添加剤は、以下の式:
【化2】

[式中、
1は、独立して選択された、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、かつ、
2は、2〜6個の炭素原子を有する二価のアルキル基である

を有する二置換の脂肪族エステルである。気泡連通化添加剤の具体例には、これに限定されるものではないが、ジメチルアジペート、ジメチルグルタレート、ジメチルスクシネート、二塩基酸エステル及びその組合せが含まれる。ジメチルアジペートは、ミシガン州Midland在のDow Chemical Company社から市販されている。
【0030】
イソシアネート反応性成分は、さらに添加剤成分を含んでよい。該添加剤成分は、典型的には、界面活性剤、ブロッキング剤、染料、顔料、希釈剤、溶剤、特殊機能性添加剤、例えば酸化防止剤、紫外線安定剤、殺生物剤、付着促進剤、帯電防止剤、離型剤、香料の群及び該群の組み合わせから選択される。添加剤成分を使用する場合には、該添加剤成分は、典型的には、イソシアネート反応性成分中に、該イソシアネート反応性成分中に存在する全てのポリオール100質量部に対して0超〜約15、より典型的には約1〜約10質量部の量で存在する。
【0031】
イソシアネート反応性成分の添加剤成分中には、典型的には界面活性剤が存在し、該界面活性剤が、軟質ポリウレタンフォームの気泡構造を制御し、かつ各成分の混和性及び該軟質ポリウレタンフォームの安定性を改善する。好適な界面活性剤には、従来技術において公知である全ての界面活性剤、例えばシリコーン及びノニルフェノールエトキシレートが含まれる。典型的には、界面活性剤はシリコーンである。より具体的には、該シリコーンは典型的にはポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマーである。イソシアネート反応性成分中のポリエーテルポリオール及び/又は(存在する場合には)グラフトポリオールの反応性に応じて界面活性剤を選択することができる。界面活性剤を使用する場合には、該界面活性剤は、典型的には、イソシアネート反応性成分中に、該イソシアネート反応性成分中に存在する全てのポリオール100質量部に対して約0.5〜約2質量部の量で存在する。本発明の目的のための界面活性剤の一具体例は、ウエストバージニア州Friendly在のMomentive Performance Materials社から市販されているNiax(R) silicone L-650である。
【0032】
イソシアネート反応性成分の添加剤成分は、ブロッキング剤を含んでもよい。ブロッキング剤は典型的には、クリームタイムを長引かせ、かつ軟質ポリウレタンフォームの硬化時間を増加させるために、イソシアネート反応性成分の添加剤成分中に存在する。好適なブロッキング剤には、従来技術において公知であるあらゆるブロッキング剤が含まれる。典型的には、ブロッキング剤は、ポリマー酸、即ち、繰返し単位及び複数の酸官能基を有するポリマーである。当業者により、典型的には、イソシアネート成分の反応性に応じてブロッキング剤が選択される。
【0033】
イソシアネート成分とイソシアネート反応性成分とは発泡剤の存在で反応して、軟質ポリウレタンフォームが生じる。従来技術において公知である通り、イソシアネート成分とイソシアネート反応性成分との軟質ポリウレタン発泡反応の間に、発泡剤は発泡ガスの放出を促進し、該発泡ガスにより軟質ポリウレタン中に気泡空洞が形成される。該発泡剤は、物理発泡剤、化学発泡剤、又は物理発泡剤と化学発泡剤との組合せのいずれであってもよい。
【0034】
「物理発泡剤」との用語は、イソシアネート成分及び/又はイソシアネート反応性成分との化学的反応によらずに発泡ガスを供給する発泡剤を指す。物理発泡剤は、ガスであっても液体であってもよい。液体の物理発泡剤は、典型的には、加熱時には蒸発してガスとなり、典型的には冷却時に液体に戻る。物理発泡剤は、典型的には、軟質ポリウレタンフォームの熱伝導性を低減させる。本主題発明の目的に好適な物理発泡剤には、液体CO2、アセトン、メチルホルメート及びこれらの組合せが含まれ得る。最も典型的な物理発泡剤は、典型的には、オゾン破壊ポテンシャルがゼロである。
【0035】
「化学発泡剤」との用語は、イソシアネート成分又は他の成分と化学的に反応して発泡ガスを放出する発泡剤を指す。本主題発明の目的に好適な化学発泡剤の例には、ギ酸、水及びこれらの組合せが含まれる。
【0036】
発泡剤は、典型的には、イソシアネート反応性成分中に、該イソシアネート反応性成分中に存在する全てのポリオール100質量部に対して約0.5〜約20質量部の量で存在する。特定の実施態様において、化学発泡剤と物理発泡剤との組合せ、例えば水及び液体CO2が使用される。
【0037】
イソシアネート成分と同様に、イソシアネート反応性成分は実質的に補助的な難燃添加剤を含まない。それ自体、本発明の軟質ポリウレタンフォームは実質的に補助的な難燃添加剤を含まない。ここで、該軟質ポリウレタンフォームが実質的に補助的な難燃添加剤を含まないことに関して用いられる「実質的に含まない」との記載は、該軟質ポリウレタンフォームが、典型的には、補助的な難燃添加剤を、該軟質ポリウレタンフォームの製造に用いる全ての成分100質量部に対して約1.0質量部未満、さらに典型的には約0.5質量部未満、さらに典型的には0質量部の量で含むことを意味する。補助的な難燃添加剤とは、イソシアネート成分又はイソシアネート反応性成分に、別個に、即ち別々に、該成分から製造される慣用のポリウレタンフォームに難燃特性を付与するために添加される難燃添加剤である。上で述べた通り、補助的な難燃添加剤の例には、これに限定されるものではないが、アルミニウム三水和物等の鉱物;ヒドロキシメチルホスホニウム塩等の塩類;リン含有化合物;ハロカーボン類等のハロゲン化難燃添加剤;及び、特別な適用において難燃添加剤としても利用されるメラミンが含まれる。意想外にも、補助的な難燃添加剤を含有していなくとも、該軟質ポリウレタンフォームはカリフォルニア州技術告示117規定による燃焼試験下で難燃性を示す。軟質ポリウレタンフォームに難燃性を付与するのに慣用されているTDIの代わりに、pMDI及びモノマーMDIを、上述の量で、イソシアネート反応性成分のポリエーテルポリオールと組み合わせて含めることによって、意想外にも優れた難燃性を有する軟質ポリウレタンフォームがもたらされる。特に、上述の通り、理論による制限を意図せずに、pMDIとモノマーMDI成分とを含むイソシアネート成分は軟質ポリウレタンフォームの優れた難燃性に寄与するが、その理由は、モノマーMDI成分及びpMDIが軟質ポリウレタンフォームの溶融特性を変化させるためであると考えられる。より具体的には、イソシアネート成分は、火炎伝播に対する炭化バリアをもたらす連続的な結晶質マトリックスを本発明の軟質ポリウレタンフォームに付与するものと考えられる。更に、イソシアネート成分は、本発明の軟質ポリウレタンフォームが熱に曝された際に蒸気の生成を最小化するものと考えられる。火炎伝播は気相を必要とするため、本発明の軟質ポリウレタンフォームは、カリフォルニア州技術告示117規定による燃焼試験下で優れた難燃性を示す。さらに、該軟質ポリウレタンフォームは、典型的には、約1.0〜約4.0、さらに典型的には約1.5〜約2.5 lb/ft3の密度を有する。
【0038】
上述の通り、本発明はさらに、該軟質ポリウレタンフォームの製造法を提供する。該軟質ポリウレタンフォームの製造法は、該イソシアネート成分を準備する工程、該イソシアネート反応性成分を準備する工程、及び、該イソシアネート成分と該イソシアネート反応性成分とを発泡剤の存在で反応させて、該軟質ポリウレタンフォームを製造する工程を含む。該方法はさらに、触媒成分を準備する工程、及び、該触媒成分の存在で該イソシアネート成分と該イソシアネート反応性成分とを反応させて、該軟質ポリウレタンフォームを製造する工程を含むことができる。
【0039】
イソシアネート成分とイソシアネート反応性成分とは、典型的には、約90以上、さらに典型的には約100以上、さらに典型的には約110のイソシアネート指数で反応する。「イソシアネート指数」との用語は、イソシアネート反応性成分中のヒドロキシル基に対する、イソシアネート成分中のNCO基の比に100を乗じたものとして定義される。本発明の軟質ポリウレタンフォームは、イソシアネート成分とイソシアネート反応性成分とを混合して、室温か又はわずかに高い温度、例えば15〜30℃で混合物を形成させることによって製造することができる。該軟質ポリウレタンフォームをモールド内で製造する特定の実施態様においては、イソシアネート成分とイソシアネート反応性成分とを混合して混合物を形成させ、その後、該混合物をモールド内で処理することが望ましい。例えば、該混合物を開放モールドに流し込んでもよいし、該混合物を密閉モールドに注入してもよい。また、イソシアネート成分とイソシアネート反応性成分とをモールド内で混合して混合物を形成させることもできる。この実施態様において、軟質ポリウレタン発泡反応が完了すると、該軟質ポリウレタンフォームにモールドの形が付される。該軟質ポリウレタンフォームは、例えば、低圧成形装置、低圧スラブ材コンベアシステム、高圧成形装置(多成分装置を含む)、高圧スラブ材コンベアシステム内で、及び/又はハンドミキシングで製造することができる。
【0040】
特定の実施態様において、軟質ポリウレタンフォームは、典型的には細長い矩形又は円形の形状を有する軟質ポリウレタンフォームを形成するスラブ材コンベアシステム内で製造又は処理される。軟質ポリウレタンフォームは加工性が優れているため、スラブ材コンベアシステム内で軟質ポリウレタンフォームを製造することが特に有利である。従来技術において公知であるように、スラブ材コンベアシステムは、典型的には、各成分、例えばイソシアネート成分及びイソシアネート反応性成分を混合するための機械的ミキシングヘッド、軟質ポリウレタン発泡反応が行われるトラフ、軟質ポリウレタンフォームのライズ及び硬化用の可動コンベア、及び膨張する軟質ポリウレタンフォームを該可動コンベア上に誘導するための傾斜板ユニットを含む。
【0041】
上述の通り、本発明の軟質ポリウレタンフォームは、約1.0〜約4.0、さらに典型的には約1.5〜約2.5 lb/ft3の密度を有する。意想外にも、そのような密度を有しており、かつ実質的に補助的な難燃添加剤を含んでいないにもかかわらず、該軟質ポリウレタンフォームはカリフォルニア州技術告示117規定による燃焼試験下で難燃性を示す。即ち、本発明の軟質ポリウレタンフォームは、典型的には、優れた難燃性を示し、かつカリフォルニア州技術告示117のセクションAに規定されている垂直裸火試験(Vertical Open Flame test)の要件を満たす。
【0042】
より具体的には、カリフォルニア州技術告示117の垂直裸火試験では、裸火を取り去った後に軟質ポリウレタンフォームが炎を上げて燃焼している時間の長さ、即ち残炎時間を測定する。垂直裸火試験の結果は、残炎時間と共に、炭化の長さ、即ち軟質ポリウレタンフォームの炎に曝された末端から、生じた空洞領域の上端までの距離として記録される。
【0043】
意想外にも、本発明の軟質ポリウレタンフォームは、典型的には、5秒未満、より典型的には3秒未満、より典型的には1秒未満、より典型的には0秒の残炎時間を示す。即ち、裸火を取り去った後に、該軟質ポリウレタンフォームは5秒を超えて燃焼が持続しないため、該軟質ポリウレタンフォームが家具の快適品及び支持品に使用された場合に火傷のリスクが最小限に抑えられる。さらに、該軟質ポリウレタンフォームは、意想外にも、炭化の長さ、即ち、炎に曝された該軟質ポリウレタンフォームの末端から該軟質ポリウレタンフォームの空洞領域の上端までの距離が、4インチ未満、典型的には3インチ未満、より典型的には2インチ未満である。即ち、炎に曝された該軟質ポリウレタンフォームの末端から生じた空洞領域の上端までの距離は、4インチ未満である。即ち、該軟質ポリウレタンフォームによって、ろうそく、マッチ又はタバコ用ライター等の裸火に曝された家具によって引き起こされる火傷のリスクが最小限に抑えられる。さらに、本発明の軟質ポリウレタンフォームは、難燃性を示すだけでなく、優れた快適性及び支持性、例えば柔軟性及び安定性をも示す。
【0044】
以下の実施例は本発明を説明するためのものであり、如何なる場合にも本発明の範囲を限定するように解釈されるべきものではない。
【実施例】
【0045】
実施例
軟質ポリウレタンフォームは、イソシアネート成分とイソシアネート反応性成分との反応生成物を含む。該イソシアネート成分及び該イソシアネート反応性成分は、別個に形成される。該イソシアネート成分及び該イソシアネート反応性成分に関する各々の組成を、以下に例示する。
【0046】
イソシアネート反応性成分1〜5:
各イソシアネート反応性成分を形成させるのに使用する各成分の量及び種類を以下の第1表に示す。いずれの値も、各イソシアネート反応性成分中に存在する全てのポリオール100質量部に対する質量部で表したものである。即ち、各成分についての質量部は、該イソシアネート反応性成分の全質量100部に対して規格化したものではない。
【0047】
【表1】

【0048】
ポリエーテルポリオールは、プロピレンオキシド(PO)基を含む複数の末端キャップを有するポリエーテルトリオールであり、公称分子量は3000であり、かつ水酸基価は56である。
【0049】
触媒1は、トリエチレンジアミン33%及びジプロピレングリコール67%の溶液である。
【0050】
触媒2は、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル70%及びジプロピレングリコール30%の溶液である。
【0051】
触媒3はオクチル酸スズである。
【0052】
界面活性剤はオルガノシリコーン界面活性剤である。
【0053】
発泡剤1は水である。
【0054】
発泡剤2はCO2である。
【0055】
イソシアネート成分1〜5:
各イソシアネート成分を形成させるのに使用する各成分の量及び種類を以下の第2表に示す。いずれの値も、それぞれのイソシアネート成分の全質量に対する質量部で表したものである。各イソシアネート成分は、2,4’−MDIと4,4’−MDIとを含むモノマーMDI成分、及び、pMDIを含む。第2表に、2,4’−MDI及び4,4’−MDIの量を個別的に示す。これを合計すると、各イソシアネート成分に関する各モノマーMDI成分の量となる。
【0056】
【表2】

【0057】
軟質ポリウレタンフォームを、上述のイソシアネート反応性成分とイソシアネート成分とから製造する。特に、軟質ポリウレタンフォーム1を、イソシアネート反応性成分1とイソシアネート成分1との反応から製造する。軟質ポリウレタンフォーム2を、イソシアネート反応性成分2とイソシアネート成分2との反応から製造する。軟質ポリウレタンフォーム3を、イソシアネート反応性成分3とイソシアネート成分3との反応から製造する。軟質ポリウレタンフォーム4を、イソシアネート反応性成分4とイソシアネート成分4との反応から製造する。軟質ポリウレタンフォーム5を、イソシアネート反応性成分5とイソシアネート成分5との反応から製造する。
【0058】
特に、各配合物をCannon-Viking Maxfoam装置で処理する。このCannon-Viking Maxfoam装置は、各成分を混合するための機械的ミキシングヘッド、軟質ポリウレタン発泡反応が行われるトラフ、軟質ポリウレタンフォームのライズ及び硬化用のコンベア、及び膨張する軟質ポリウレタンフォームを可動コンベア上に誘導するための傾斜板ユニットを有する。
【0059】
具体的には、軟質ポリウレタンフォーム1〜5を形成させるため、イソシアネート成分1〜5のそれぞれの第一の流れを、温度約73°F、圧力805psiで機械的ミキシングヘッドへ搬送する。イソシアネート反応性成分1〜5のそれぞれの第二の流れも、温度約80°Fで機械的ミキシングヘッドへ搬送する。機械的ミキシングヘッドによって第一の流れと第二の流れとを4000rpmの速度で混合し、反応混合物を形成させる。この反応混合物を、ポリイソシアネート組成物とイソシアネート反応性組成物との反応を継続させるトラフに供給する。膨張する軟質ポリウレタンフォームをトラフの頂部から傾斜板ユニット上に送る。膨張する軟質ポリウレタンフォームを、傾斜板ユニットによって、軟質ポリウレタンフォームがライズ及び硬化を完了させるためのコンベアの上及び該コンベアに沿って誘導する。
【0060】
得られた軟質ポリウレタンフォーム1〜5を24〜48時間硬化させる。その後、様々な快適性及び支持性、即ち、物理的特性及び燃焼性の値を測定する種々の試験に使用するために、軟質ポリウレタンフォーム1〜5のそれぞれを、厚さ4インチのサンプルに切断する。
【0061】
このサンプルについて、ASTM D3574に従って、68℃、相対湿度50%での密度、及び25%の押込力撓み(indentation force deflection)(IFD)を測定するために試験を行う。25%IFDは、50in2の円形の圧子の先端部を、サンプルに、該サンプルの厚さの25%の長さ分押込むのに必要な力の量をポンドで表したものとして定義されている。同様に、65%IFDは、該圧子の先端部を、サンプルに、該サンプルの厚さの65%の長さ分押込むのに必要な力の量をポンドで表したものとして定義されている。
【0062】
該サンプルを、ASTM D3574に従って、引張強さ、伸び、及び引裂強さに関して試験する。引張強さ、引裂強さ、及び伸び特性は、製造又は組み立て操作時の取扱いに持ちこたえる、軟質ポリウレタンフォームの能力を示す。具体的には、引張強さは、軟質ポリウレタンフォームを破断点まで伸ばすのに必要とされる力をlbs/in2で表したものである。引裂強さは、分裂及び破断が開始した後に軟質ポリウレタンフォームの引裂を継続させるのに必要な力の測定値であり、lbs/in(ppi)で表される。1.0ppiを超える引裂強さ値は、快適品及び支持品である家具や寝具等の固体の基材にステープルで留められる、縫われる又は鋲で留められる軟質ポリウレタンフォームが必要とされる用途に特に好ましい。最後に、伸びは、軟質ポリウレタフォームの元の長さから破断前の伸びの百分率の測定値である。
【0063】
軟質ポリウレタンフォーム1〜5のレジリエンスは、ASTM D3574に従って、鋼球を参照高さからサンプル上に落下させ、球の跳ね上りのピーク高さを計測することにより測定される。参照高さの百分率として表される球の跳ね上りのピーク高さが、軟質ポリウレタンフォームのレジリエンスである。
【0064】
軟質ポリウレタンフォームを、圧縮永久ひずみ及び圧縮力撓み(CFD)についても、それぞれASTM D3574に従って評価する。静的疲労は、軟質ポリウレタンフォームの耐荷重性能の損失の尺度である。また、圧縮永久ひずみは、軟質ポリウレタンフォーム内部における気泡構造の曲がり又は崩壊による、圧縮後の軟質ポリウレタンフォームの元の高さの永続的な部分的減少の尺度である。圧縮永久ひずみは、軟質ポリウレタンフォームを、90%圧縮、即ち元の厚さの10%に圧縮し、該軟質ポリウレタンフォームをこの圧縮下で70℃で22時間保持することにより測定される。圧縮永久ひずみは、元の圧縮度の百分率として表される。最後に、CFDは、軟質ポリウレタンフォームの耐荷重性能の尺度であり、サンプルよりも大きい平坦な圧子で軟質ポリウレタンフォームを圧縮することにより計測される。CFDは、平坦な圧子により与えられる力の量であり、典型的には、軟質ポリウレタンフォームの25%、40%、50%及び/又は65%の圧縮で表される。
【0065】
さらに、軟質ポリウレタンフォームを、圧縮永久ひずみ及びCFDのために湿潤老化させ、かつASTM D3547に従う引張強さ及び伸びのために熱老化させる。湿潤老化は、相対湿度100%で220°Fで3時間の条件下での促進老化試験法である。熱老化は、220°F、3時間の条件下での促進老化試験法である。
【0066】
さらに、サンプルについて、ASTM D2574の空気流動試験に従って多孔率を測定する。空気流動試験では、空気が軟質ポリウレタンフォームを通過する容易さを測定する。空気流動試験は、チャンバ上のキャビティ内にサンプルを配置し、かつ特定の一定の空気圧力の差を生じさせることからなる。空気流量値は、一定の空気圧力差を維持するのに必要な空気流量を、1分間当たりの立方フィートで表した割合である。即ち、空気流量値は、標準温度、及び、2’’×2’’×1’’のサンプルを横切って125Paの一定の空気圧力差を維持するのに必要な圧力における、1秒あたりの空気の体積である。
【0067】
さらに、サンプルについて、ASTM D3574−03に従って耐打撃疲労性を測定する。動的打撃疲労によって、80000サイクル後の摩耗特性を評価する。
【0068】
重要なことは、サンプルについて燃焼性も評価することである。各サンプルについて、カリフォルニア州技術告示117のセクションAの要件、即ち、垂直裸火試験を充足するか否かを決定するために試験を行う。具体的には、垂直裸火試験では、裸火を取り去った後にサンプルが炎を上げて燃焼している時間の長さ、即ち残炎時間を測定する。垂直裸火試験のため、サンプルをバーナーの0.75インチ上方に垂直に吊り下げて、サンプルの下端の中央で12秒間垂直に炎を当てる。垂直裸火試験の結果を、炭化の長さとして、即ち、サンプルの炎に曝された末端から、生じた空洞領域の上端までの距離として記録する。垂直裸火試験を、元のフォームサンプルと、熱老化コンディショニングしたフォームサンプルとについて行う。
【0069】
耐シガレット性及び燻りスクリーニング試験では、タバコの着火と同じような燃焼及び燻りに対する軟質ポリウレタンフォームの抵抗性を測定する。耐シガレット性及び燻りスクリーニング試験の両方において、試験前に各サンプルを70+/−5°F、相対湿度55%未満で少なくとも24時間コンディショニングする。
【0070】
燻りスクリーニング試験のため、フォームのサンプルについて、屈曲疲労を受けさせる前と後の双方で試験を行った。サンプルに屈曲疲労を受けさせる前の参照値を確定するため、軟質ポリウレタンフォームの各サンプルを秤量し、試験前の質量を記録する。サンプルをL字型構成に配置する。即ち、サンプルの水平部を、サンプルの垂直部に隣接及び接触させて配置する。火のついたタバコを、サンプルの水平部と垂直部の双方に隣接及び接触させて置き、このサンプル及び火のついたタバコを、コットン又はコットン/ポリエステルのベッドシーツ材料で覆う。火のついたタバコを、全ての燃焼の形跡が完了するまで少なくとも5分間燻ぶらせる。燃焼が終わった後、サンプルの燃えなかった部分を秤量し、試験前の質量と比較して、燻られていない軟質ポリウレタンフォームの百分率を求める。結果を、打撃疲労前に保持された質量%として記録する。
【0071】
軟質ポリウレタンフォーム1〜5に関するこれらの物理的性質の一覧を、第3表に示す。
【0072】
【表3】

【0073】
特に、軟質ポリウレタンフォーム1〜5のそれぞれは、難燃添加剤を含んでいなくとも、カリフォルニア州技術告示117規定による燃焼試験下で難燃性を示す。さらに、軟質ポリウレタンフォーム1〜5のそれぞれは難燃性添加剤を含んでいないため、該軟質ポリウレタンフォームは製造に関してコスト効率が高い。
【0074】
比較例:
比較イソシアネート反応性成分1〜4:
各比較イソシアネート反応性成分の形成に使用する各成分の量及び種類を、以下の第4表に示す。いずれの値も、各比較イソシアネート反応性成分中に存在する全てのポリオール100質量部に対する質量部で表したものである。即ち、各成分についての質量部は、比較イソシアネート反応性成分の全質量100部に対して規格化したものではない。
【0075】
【表4】

【0076】
比較イソシアネート成分1〜4:
各比較イソシアネート成分の形成に使用する各成分の量及び種類を、以下の第5表に示す。いずれの値も、各比較イソシアネート成分の全質量に対する質量部で表したものである。各比較イソシアネート成分は、2,4’−MDIと4,4’−MDIとを含むモノマーMDI成分、及び、pMDIを含む。第10表〜第12表に、2,4’−MDI及び4,4’−MDIの量を個別的に示す。これを合計すると、各比較イソシアネート成分に関する各モノマーMDI成分の量となる(TDIを含むイソシアネート成分4を除く)。
【0077】
【表5】

【0078】
上述の比較イソシアネート反応性成分と比較イソシアネート成分とから、4つの比較軟質ポリウレタンフォームを製造する。軟質ポリウレタンフォーム1〜5と同様に、比較軟質ポリウレタンフォーム1を比較イソシアネート反応性成分1と比較イソシアネート成分1とから製造する(他も同様)。
【0079】
比較軟質ポリウレタンフォーム1〜4の物理的特性を、軟質ポリウレタンフォーム1〜5に関して上で概要を述べたのと同じ方法及び手順に従って測定する。結果を以下の第6表にまとめる。
【0080】
【表6】

【0081】
特に、比較軟質ポリウレタンフォーム1〜4は、カリフォルニア州技術告示117規定による燃焼試験下で難燃性を示さない。
【0082】
実際に、各イソシアネート反応性成分1〜5は、比較イソシアネート反応性成分1〜4と同じポリエーテルポリオールを、同じ相対量で含んでいる。しかしながら、該比較イソシアネート反応性成分1〜4は、モノマージフェニルメタンジイソシアネート成分及びポリマージフェニルメタンジイソシアネートの相対量の点でイソシアネート反応性成分1〜5と異なる比較イソシアネート成分1〜4と反応し、生じる比較軟質ポリウレタンフォーム1〜4は、カリフォルニア州技術告示117規定による燃焼試験下で難燃性を示さない。これは、イソシアネート成分が、比較イソシアネート4において示されているように、TDI、及び、比較軟質ポリウレタンフォーム4から得られる物理的特性を含む場合にも言えることである。
【0083】
本発明は例証的様式で記述したものであり、使用されている用語は、限定を意図したものではなく、記載の語の本質を意図したものであると理解されるべきである。言うまでもなく、上述の教示に照らして、本発明の多くの変更及び変化が可能である。本発明は、具体的に記述されているのとは異なる様式で実施されてよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的にトルエンジイソシアネートを含んでおらず、かつ、以下のものを含むイソシアネート成分:
ポリマージフェニルメタンジイソシアネート、及び
2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートと4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとを含むモノマージフェニルメタンジイソシアネート成分
(ここで、該ポリマージフェニルメタンジイソシアネートは、該イソシアネート成分中に、該イソシアネート成分100質量部に対して5〜25質量部の量で存在しているものとする);
と、
以下のものを含むイソシアネート反応性成分:
約700〜約20000の分子量と、実質的にエチレンオキシド基を含まない複数の末端キャップとを有する、ポリエーテルポリオール、及び、
キャリアポリオールと、該キャリアポリオール中に分散されたスチレンとアクリロニトリルとの共重合物の粒子とを含む、グラフトポリオール;
との、発泡剤の存在での反応生成物を含有する軟質ポリウレタンフォームであって、該軟質ポリウレタンフォームが実質的に補助的な難燃添加剤を含んでおらず、かつカリフォルニア州技術告示117規定による燃焼試験下で難燃性を示す、軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項2】
イソシアネート反応性成分のポリエーテルポリオールが、さらに以下の一般構造式:
【化1】

[式中、
それぞれのAは、独立して選択された、2〜4個の炭素原子を有する二価の炭化水素基であり、
それぞれのBは、3個の炭素原子を有する二価の炭化水素基であり、かつ
x、y及びzはそれぞれ1を上回る整数である]
を有するポリエーテルトリオールとして定義されている、請求項1記載の軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項3】
ポリエーテルトリオールが約1000〜約5000の分子量を有している、請求項2記載の軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項4】
キャリアポリオールがさらに、約1000〜約5000の分子量を有するポリエーテルトリオールとして定義されている、請求項1記載の軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項5】
スチレンとアクリロニトリルとの共重合物の粒子が、グラフトポリオールのキャリアポリオール中に、該グラフトポリオール100質量部に対して約40〜約55質量部の量で分散している、請求項4記載の軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項6】
モノマージフェニルメタンジイソシアネート成分が、イソシアネート成分中に、該イソシアネート成分100質量部に対して約75〜約95質量部の量で存在している、請求項1から5までのいずれか1項記載の軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項7】
2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが、イソシアネート成分中に、該イソシアネート成分100質量部に対して約10〜約50質量部の量で存在している、請求項1から6までのいずれか1項記載の軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項8】
以下の工程:
実質的にトルエンジイソシアネートを含んでおらず、かつ、以下のものを含むイソシアネート成分:
ポリマージフェニルメタンジイソシアネート、及び
2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートと4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとを含むモノマージフェニルメタンジイソシアネート成分
(ここで、該ポリマージフェニルメタンジイソシアネートは、該イソシアネート成分中に、該イソシアネート成分100質量部に対して5〜25質量部の量で存在しているものとする)
を準備する工程;
以下のものを含むイソシアネート反応性成分:
約700〜約20000の分子量と、実質的にエチレンオキシド基を含まない複数の末端キャップとを有する、ポリエーテルポリオール、及び、
キャリアポリオールと、該キャリアポリオール中に分散されたスチレンとアクリロニトリルとの共重合物の粒子とを含む、グラフトポリオール
を準備する工程;及び、
該イソシアネート成分と該イソシアネート反応性成分とを発泡剤の存在で反応させ、それにより、軟質ポリウレタンフォームを製造する工程;
を含む、軟質ポリウレタンフォームの製造法であって、
ここで、該軟質ポリウレタンフォームは実質的に補助的な難燃添加剤を含んでおらず、かつカリフォルニア州技術告示117規定による燃焼試験下で難燃性を示すものとする、方法。
【請求項9】
イソシアネート反応性成分のポリエーテルポリオールが、さらに以下の一般構造式:
【化2】

[式中、
それぞれのAは、独立して選択された、2〜4個の炭素原子を有する二価の炭化水素基であり、
それぞれのBは、3個の炭素原子を有する二価の炭化水素基であり、かつ
x、y及びzはそれぞれ1を上回る整数である]
を有するポリエーテルトリオールとして定義されている、請求項8記載の方法。
【請求項10】
ポリエーテルトリオールが約1000〜約5000の分子量を有している、請求項9記載の方法。
【請求項11】
キャリアポリオールがさらに、約1000〜約5000の分子量を有するポリエーテルトリオールとして定義されている、請求項8記載の方法。
【請求項12】
スチレンとアクリロニトリルとの共重合物の粒子が、グラフトポリオールのキャリアポリオール中に、該グラフトポリオール100質量部に対して約40〜約55質量部の量で分散している、請求項11記載の方法。
【請求項13】
モノマージフェニルメタンジイソシアネート成分が、イソシアネート成分中に、該イソシアネート成分100質量部に対して約75〜約95質量部の量で存在している、請求項8から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが、イソシアネート成分中に、該イソシアネート成分100質量部に対して約10〜約50質量部の量で存在している、請求項8から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
実質的にトルエンジイソシアネートを含んでおらず、かつ、実質的に以下のものからなるイソシアネート成分:
該イソシアネート成分中に該イソシアネート成分100質量部に対して約5〜約25質量部の量で存在している、ポリマージフェニルメタンジイソシアネート成分、及び、
該イソシアネート成分中に該イソシアネート成分100質量部に対して約75〜約95質量部の量で存在しており、かつ2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートと4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとを含む、モノマージフェニルメタンジイソシアネート成分;
と、
以下のものを含むイソシアネート反応性成分:
約700〜約20000の分子量と、以下の一般構造式:
【化3】

[式中、
それぞれのAは、独立して選択された、2〜4個の炭素原子を有する二価の炭化水素基であり、
それぞれのBは、3個の炭素原子を有する二価の炭化水素基であり、かつ
x、y及びzはそれぞれ1を上回る整数である]
とを有するポリエーテルトリオール;
との、発泡剤の存在での反応生成物を含む、軟質ポリウレタンフォームであって、該軟質ポリウレタンフォームは実質的に補助的な難燃添加剤を含んでおらず、かつカリフォルニア州技術告示117規定による燃焼試験下で難燃性を示すものとする、軟質ポリウレタンフォーム。

【公表番号】特表2013−520559(P2013−520559A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555098(P2012−555098)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【国際出願番号】PCT/US2011/025862
【国際公開番号】WO2011/106377
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】