説明

軟質吸着素地

【課題】 高度な水吸着容量を有する軟質吸着材料を提供する。
【解決手段】 軟質吸着素地であって、
(a)100ミクロンのフィルムとして23℃で示す透過係数が1g/md以上である熱可塑性重合体マトリクス、および
(b)素地の総重量の少なくとも約30重量%の多孔質吸着材料から本質的に成る乾燥剤、
を含んで成っていて、該多孔質吸着材料が該マトリクス材料に取り込まれた混合物であり、23℃において約10MPa以上の曲げ弾性率を示す軟質吸着素地が提供される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、高度な水吸着容量を有する軟質吸着材料(flexible adsorbing material)に関し、これは、重合体マトリクス(polymer matrix)の中に組み込まれている少なくとも1種の多孔質機能的固体を含有する。本発明は、更に、上述した吸着材料を含んで成る成形素地(shaped body)、それの製造方法およびそれの使用に関する。
【0002】
多孔質の機能的固体の公知例はゼオライトばかりでなく機能的特性を有する他のアルミノケイ酸塩およびシリカゲルおよびシリカ−コゲルである。機能的特性は分子の特異的および非特異的吸着および脱離を意味し、これは、いずれかの気体および液体の乾燥、幅広く多様な産業、例えば化学品、石油化学品、気体および油加工産業などにおける富裕化または精製そして果実および飲料産業で用いるに有用である。その上、それらは診断薬、薬剤、化粧品および栄養産業における分析、製造および乾燥工程用の吸着材および分離剤としても適用可能である。多孔質の機能的固体は更に触媒としても用いられる。
【0003】
そのような材料を粉末またはペレット(限られた耐摩滅性を示しかつ産業規模では塊状形態として固定床の形態で用いられる)として提供する場合、工程中に生じる粉じん様の摩滅材料によって工程装置の機能が悪化する。
【0004】
脱水用プラスチック材料組成物が特許文献1に開示されており、それはとりわけ1種以上の熱硬化性重合体を50重量%から80重量%および1種以上の脱水剤(これは好適にはシリカゲルおよびモレキュラーシーブから選択される)を20から50重量%含有して成る。そのような混合物の重合体成分を1種以上の熱硬化性重合体で構成させる場合、いろいろな形状の固形構造物、例えば中空円筒およびプレートなどへの変換は好適には押出し加工で実施される。そのような充填剤含有脱水用熱硬化性材料の欠点は、重合体の柔軟性が不足している結果として重合体フィルムもしくは素地が極めて堅い点にある。
【0005】
乾燥能力を有する容器が特許文献2に開示されている。その容器は、とりわけ、吸着材混合重合体から生じさせた挿入片を含んで成る。前記挿入片内に混合されている吸着材の濃度は75重量%以上であってもよいが、典型的には重合体に対して40から75重量%の範囲内の吸着材である。そのような濃度は高分子吸着材の分野では高濃度であると見なされるが、それでも、その特性は吸着材粒子を封じ込めている重合体マトリクスが極めて堅いことで制限される。
【0006】
水に不溶な重合体と親水剤と吸収材料を含んで成るモノリス型組成物がHekal他の一連の特許文献、例えば特許文献3、4および5などの全部に開示されている。1つの態様では、吸収材料混合重合体を生じさせており、それは、容器の製造および制御した環境が必要な品目の包装で用いるに有用である。その生成物を固化させると前記親水剤が相互連結している通路を形成し、その中を通って、所望組成物が前記水吸収材料と伝達し得る。そのような材料は、前記重合体が前記水吸収材料に剛性を与えるような重合体であると言った欠点を有する。
【0007】
機能的固体成分を含有する有機重合体が基になった混合物が示す望ましい特性、例えば耐久性および耐破壊性などは前記機能的固体の濃度が非常に高いと低下する傾向があることが一般に知られている。
【0008】
ゼオライト、可塑剤および無機結合剤、即ちシロキサンなどを含有する反応混合物から
成形品を製造する別の方策が特許文献6に開示されている如く存在する。そのような材料のゼオライト含有量は比較的高く、即ち40から90重量%(成形素地の製造で用いられる反応混合物が基準)でありかつそれは良好な水吸着速度を示す。しかしながら、シリコーンマトリクスを架橋させるには反応混合物の温度を繊細に制御する必要がある。焼成温度があまりにも高いか或は低いと、それらの両方とももたらされる成形品の圧縮強度は充分でない可能性がある。そのような乾燥工程中に無機物と結合している押出し加工品が15%に及んで収縮する傾向があることで形状保証に関して問題が生じる。多くの場合、そのような収縮によって破壊がもたらされることでスクラップ発生率が受け入れられない率になってしまう。その上、無機物と結合している押出し加工品が示す柔軟性も極めて低い。
【0009】
吸着材を重合体に取り込ませることを記述している特許文献は例えば特許文献7、8、9、10、11、12、13などである。これらのケース全部で、機械的安定性が向上しそして/または製造工程が簡潔になるように、単に無機結合剤に置き換える目的で重合体を用いている。前記特許文献のいずれも軟質吸着素地(flexible adsorbent body)を言及していない。冷媒流動システム用の高分子吸着素地が特許文献14に記述されており、それは、ゼオライトおよび2種以上の成分である重合体系で構成されている。相当する製造工程は成形前に数段階の混合および加熱を行うことから成る。その製品を成形した後に硬化を行う必要がある。押出し加工で製造される成形ゼオライト素地(素地または棒材形状を包含)の製造および使用が特許文献15に記述されており、それは、これらに限定するものでないが、液状冷媒の乾燥で用いるに有用である。特許文献15に従う吸着素地は、本発明とは対照的に、弾性をいくらか示すが硬質であり、確実に軟質ではない。特許文献15に従う乾燥剤素地を冷蔵庫の冷却器で用いることが特許文献16に記述されている。その乾燥剤素地を冷蔵庫の冷却器の中に直接位置させることで、個別の乾燥剤カートリッジを廃止することができる。標準的な配置では、乾燥剤カートリッジが個別に製造されかつ冷却器に溶着されることを注目されたい。モレキュラーシーブが脂肪族エポキシ重合体マトリクスの中に分散している吸着素地が特許文献14に記述されている。その樹脂は現実に熱可塑性材料ではあるが、熱硬化性であり、その結果として、現実に真には柔軟ではない吸着素地がもたらされる。
【0010】
上述した公開のいずれにも多孔質の機能的固体が高度に充填されている重合体で構成されていて高い柔軟性を示す吸着素地が要求される特定の吸着用途で用いるに受け入れられる相当する水吸着速度および弾性を示す成形素地は記述されていない。
【0011】
【特許文献1】米国特許第5,432,214号
【特許文献2】WO特許出願番号9633108
【特許文献3】米国特許第6,174,952 B1
【特許文献4】米国特許第6,194,079 B1
【特許文献5】米国特許第6,214,255 B1
【特許文献6】WO 9949964
【特許文献7】米国特許第5,384,047号(C.A.Sheckler)
【特許文献8】特開昭62 201642 A(Keinoke Isono)
【特許文献9】米国特許第5,149,435号(H.J.Laube)
【特許文献10】WO 99 49964 A(Grace GmbH)
【特許文献11】米国特許第5,114,584 A(C.A.Sheckler)
【特許文献12】米国特許第4,433,063号(Bernstein P.他)
【特許文献13】EP 0 119 913 A(Cmmisariat Energie Atomique)
【特許文献14】米国特許第4,013,566号(Taylor R Daniel)
【特許文献15】米国特許第6,458,187 B1(Grace GmbH & Co.KG)
【特許文献16】米国特許第6,318,115号(Kirchner他)
【発明の開示】
【0012】
発明の要約
本発明は、熱可塑性重合体マトリクスと多孔質固体状の吸着材料を含有する軟質吸着素地に関し、ここで、この吸着素地のマトリクス材料が23℃で示す曲げ弾性率は約10MPa以上である。本軟質吸着素地のマトリクス材料は一般に23℃で約10から約1000MPaの曲げ弾性率、好適には23℃で約10から約500MPaの曲げ弾性率、より好適には23℃で約10から約100MPaの曲げ弾性率、更により好適には23℃で約10から約70MPaの曲げ弾性率を示す。
【0013】
本軟質吸着素地が25℃で10%相対湿度の時に示す水分吸着容量は一般に本素地の総重量の少なくとも5重量%の水吸着容量であり、そして本素地は吸着材を本素地の総重量の少なくとも30重量%の量で含んで成る。好適には、本軟質吸着素地が25℃で10%相対湿度の時に示す水分吸着容量は本素地の総重量の少なくとも10重量%の水吸着容量であり、そして本素地は吸着材を本素地の総重量の少なくとも70重量%の量で含んで成る。本軟質吸着素地の重合体のマトリクス材料が示すガラス転移温度は一般に約10℃未満であり、好適には、前記重合体は約0から−60℃のガラス転移温度を包含する。本軟質吸着素地の重合体のマトリクス材料が100ミクロンのフィルムとして23℃で示す透過係数は一般に約1g/md以上であり、好適には、前記重合体が100ミクロンのフィルムとして23℃で示す透過係数は約5g/md以上であり、より好適には、前記重合体が100ミクロンのフィルムとして23℃で示す透過係数は約10g/md以上である。本軟質吸着素地の重合体は一般に熱可塑性重合体または熱可塑性もしくは架橋した状態の熱硬化性重合体を含んで成るか、或はこれを本明細書に記述する如き特性プロファイルを有する他の熱可塑性重合体、例えばこれらに限定するものでないが、ポリエーテルエステル(PEE)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、スチレンブタジエン、エチレンオクテン重合体などで構成させる。本軟質吸着素地の吸着材料を一般に吸着材料としての多孔質の機能的固体で構成させてもよい。好適な機能的固体は吸着材、例えば気体または液体の調整、分離または精製で用いるに有用な吸着または乾燥特性を有する作用剤、例えば活性炭、活性粘土、シリカゲル、シリカコゲルまたはアルミノケイ酸塩などである。そのような機能的固体を好適にはゼオライトで構成させてもよく、より好適には、そのような機能的固体を3Aゼオライトで構成させてもよい。前記吸着材料を一般に本固形素地の約30から約85重量%の量で存在させかつ前記重合体を本素地の70から約15重量%の量で存在させる。本軟質吸着素地の断面は楕円形、正方形、長方形、三葉形、荷馬車の車輪、ハニカムまたはフィルム(これを巻いてもよい)の形態であってもよいか、或はプラスチック加工産業で一般に公知の如き成形装置、押出し加工装置などで成形される如き他の如何なる形状であってもよい。好適な方法は押出し加工、共押出し加工、カレンダー加工、射出成形、圧縮成形およびブロー成形である。本発明の軟質吸着素地は気体および液体を調整、分離または精製するための装置で使用可能である。
【0014】
別の態様において、本発明は、軟質吸着素地を製造する方法を包含し、これは、熱可塑性重合体マトリクスと多孔質吸着材料の混合物を準備し、前記混合物を押出し加工することで吸着素地を生じさせ、前記素地を所望の大きさに切断するか、或は前記素地を巻くことによる方法である。前記段階のいずれかまたは全部を水分の無い環境下で実施してもよい。前記混合物の調製は、吸着材−重合体の濃マスターバッチを用いてそれを後で高純度の重合体の添加によって希釈することで実施可能である。前記重合体と吸着材の混合物の調製では、軟質押出し加工品を成形するに妥当な押出し加工用ダイスが備わっている単軸もしくは同方向回転二軸押出し加工機を用いる。
【0015】
本発明の別の態様は、気体および液体を調整、分離または精製するための装置に関し、これは、軟質吸着素地およびハウジング部材を含有し、ここで、前記ハウジング部材は本軟質吸着素地を含んで成る湾曲部分を含有する。そのような装置には冷蔵装置、冷却装置または気候システムが含まれ得る。前記ハウジング部材には冷却装置の回路、より具体的には冷却装置または蒸発装置の管が含まれ得る。本軟質吸着素地を前記湾曲部分を生じさせる前または後に前記ハウジング部材の中に挿入してもよい。
【0016】
本発明のさらなる態様は、気体および液体を調整、分離または精製するための装置を加工する方法に関し、これは、軟質吸着素地を準備し、前記軟質吸着素地を保持するハウジング部材を準備し、そして前記ハウジング部材の形状を変えることで湾曲部分を生じさせることによる方法である。本軟質吸着素地を前記湾曲部分を生じさせる前または後に前記ハウジング部材の中に挿入してもよい。そのような装置には冷蔵装置、冷却装置または気候システムが含まれ得る。前記ハウジング部材には冷却装置の回路、より具体的には冷却装置または蒸発装置の管が含まれ得る。
【0017】
好適な態様の詳細な説明
本発明は、吸着材料を含有していてそれが軟質重合体マトリクスの中に取り込まれている軟質吸着素地の生成および製造を包含する。本軟質吸着材は気体および液体の乾燥およびいろいろな産業的分離および精製工程で使用可能であり、それには非再生様式(即ち、吸着材の再生を使用中に行わない)、例えば冷蔵および気候システムにおける液状冷媒の乾燥などが含まれる。
【0018】
その上、本発明の軟質吸着素地を適切な包装用デバイスと組み合わせて用いることは、非永久的および永久的に包装されている製品の中の水分からデリケートな品を保護するに有効であり得る。例えば、そのような包装用デバイスを例えば薬瓶および容器および診断薬および使用済み診断薬を貯蔵しそして使用済み診断薬を廃棄する前に貯蔵(この場合には、本軟質吸着乾燥剤素地を瓶および容器および箱およびカートリッジの中に入れるか或は取り付けておくか、或はそれの一体部分にする)するための箱およびカートリッジに入れる乾燥剤および水分捕捉剤として用いて、それに家庭用栄養素または食品、薬剤、診断薬、化粧品、電子機器、光学機器、光−電子機器ばかりでなくミクロ−およびナノ−機械部品などを入れてもよい。本軟質吸着素地は、特に、乾燥剤カートリッジおよび硬質乾燥剤素地の代わりとして用いるに有用であり得、これは冷却装置の冷却管の中に直接充填可能である。現在のデバイスで用いられる個別の乾燥剤カートリッジまたは硬質乾燥剤素地の使用とは対照的に、本発明の軟質吸着素地は押出し加工後に巻くことができ、巻き物として貯蔵可能であり、巻き戻しそして冷却器組み立てラインに直接送り込むことができる。本軟質吸着素地を適切な長さに切断してもよく、そしてそれを1つの片として生成、成形または曲げる前または後に冷却管の中に送り込んでもよい。
【0019】
1つの態様における本発明は、熱可塑性重合体マトリクスと多孔質固体状の吸着材料を含有する軟質吸着素地に関し、ここで、本素地が23℃で示す曲げ弾性率は約10MPa以上である。本軟質吸着素地は一般に23℃で約10から約1000MPaの曲げ弾性率、好適には23℃で約10から約500MPaの曲げ弾性率、より好適には23℃で約10から約100MPaの曲げ弾性率、更により好適には23℃で約10から約70MPaの曲げ弾性率を示す。本軟質吸着素地が25℃で10%相対湿度の時に示す水分吸着容量は一般に本素地の総重量の少なくとも5重量%の水吸着容量であり、そして本素地は吸着材を本素地の総重量の少なくとも30重量%の量で含んで成る。好適には、本軟質吸着素地が25℃で10%相対湿度の時に示す水分吸着容量は本素地の総重量の少なくとも10重量%の水吸着容量であり、そして本素地は吸着材を本素地の総重量の少なくとも70重量%の量で含んで成る。本軟質吸着素地が示す水吸収速度は相対湿度が10%の時の約0
.001重量%/時から相対湿度が80%の時の約40.0重量%/時である。本軟質吸着素地の重合体が示すガラス転移温度は一般に約10℃未満であり、好適には、前記重合体は約0から−60℃のガラス転移温度を包含する。本軟質吸着素地の重合体が100ミクロンのフィルムとして23℃で示す透過係数は一般に約1g/md以上であり、好適には、前記重合体が100ミクロンのフィルムとして23℃で示す透過係数は約5g/md以上であり、より好適には、前記重合体が100ミクロンのフィルムとして23℃で示す透過係数は約10g/md以上である。本軟質吸着素地の重合体は一般に熱可塑性重合体、弾性重合体、または熱可塑性もしくは架橋した状態の熱硬化性重合体を含んで成るか、或はこれを本明細書に記述する如き特性プロファイルを有する他の熱可塑性重合体、例えばこれらに限定するものでないが、ポリエーテルエステル(PEE)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、スチレンブタジエン、エチレンオクテン重合体などで構成させる。本軟質吸着素地の吸着材料を一般に多孔質の機能的固体で構成させてもよい。好適な機能的固体は吸着材、例えば気体または液体の調整、分離または精製で用いるに有用な吸着または乾燥特性を有する作用剤であり、それには、非晶質および結晶性無機酸化物、アルカリ(Me+)およびアルカリ土類(Me2+)のアルミニウムケイ酸塩、それらの固溶体、Me+およびMe2+のアルミニウムケイ酸塩[ここで、前記Me+およびMe2+の一部は遷移元素、周期律表のIIIA、IVA、VAおよびVIA族の元素およびこれらの任意組み合わせから選択される適切ないずれかの金属イオンに置き換わっていてもよい]、これらの固溶体、燐酸アルミニウム、Me+およびMe2+のアルミニウム燐酸塩、これらの固溶体、Me+およびMe2+のアルミニウム燐酸塩(ここで、前記Me+およびMe2+の一部は遷移元素、周期律表のIIIA、IVA、VAおよびVIA族の元素およびこれらの任意組み合わせから選択される適切ないずれかの金属イオンに置き換わっていてもよい)、これらの固溶体、活性炭および上述した種類の吸着材の任意組み合わせが含まれる。その上、そのような吸着材に網状組織ケイ酸塩(Deel;Howie &
Zussman、The Rock Forming Minerals、2fld版、Longman Scientific & Technical、Harlow、Essex、英国、1993に開示されている如き)、アイソタイプ(iso−type)構造、それぞれ上述した網状組織シリケート、フライアッシュ、柱状層状粘土、非晶質および結晶性燐酸アルミニウム、シリカゲル、シリカコゲル、非晶質アルミナ、非晶質チタニア、非晶質ジルコニア、活性炭およびこれらの任意組み合わせのアイソモルファス(iso−morphous)構造を有する組成物を含めるのが好適であるが、グループ1、2、3、4、5、6および7(Donald W Breck、Zeolite Molecular Sieves、Robert E.Kriegel;Publishing CoMPany;Malabal;Florida、1984に従う)のゼオライト、アイソタイプ構造、それぞれ上述した種類のゼオライト、シリカゲル、シリカコゲルおよびこれらの任意組み合わせのアイソモルファス構造を有する組成物が特に好適である。用語「アイソタイプ」および「アイソモルファス」はそれぞれR.C.Evans、An
Introduction to Crystal Chemist〜2fld版、Cambridge University Press、London、1966の中で定義されている。結晶性無機酸化物の中では、グループ1、2、3、4、5、6および7のゼオライト、アイソタイプ構造、それぞれ上述した種類のゼオライトまたはこれらの任意混合物のアイソモルファス構造を有する組成物が好適である。上述した種類のゼオライトの更により好適な例には、ゼオライトAファミリー(例えば3A、4A、5A)、ゼオライトXファミリー、ゼオライトYファミリー(例えばUSY超安定性Y、DAY脱アルミY)、ゼオライトZSM−5(高純度およびドーパントが添加されているシリカライトを包含)、チャバザイト、ZSM−11、MCM−22、MCM−41の員、燐酸アルミニウムファミリーの員、アイソタイプ構造、それぞれ上述した種類のゼオライトのアイソモルファス構造を有する組成物およびこれらの任意組み合わせが含まれる。ゼオライトファミリーA、XおよびYの員が最も好適である。本軟質吸着素地の吸着材料を一般に本固形素地の約30から約85重量%の量で存在させかつ前記重合体を本素地の70から約1
5重量%の量で存在させる。本軟質吸着素地の断面は楕円形、正方形、長方形、三葉形、荷馬車の車輪、ハニカムまたはフィルム(これを巻いてもよい)の形態であってもよいか、或はプラスチック加工産業で一般に公知の如き成形装置で成形される如き他の如何なる形状であってもよい。好適な方法は共押出し加工、カレンダー加工、射出成形、圧縮成形およびブロー成形である。本発明の軟質吸着素地は気体および液体を調整、分離または精製するための装置で使用可能である。
【0020】
本発明で用いるに適した重合体は下記の物理的パラメーターを示す:

長期使用温度TLST: 40℃≦TLST≦120℃、
好適には 60℃≦TLST≦100℃、
23℃における曲げ弾性率:10−1000MPa、
好適には 10−70MPa
ガラス転移温度: <10℃、
好適には <−30℃
重合体がフィルムとして示す水透過係数(100μm、23℃):
1−500g/md、
好適には >20g/m
【0021】
上述した特性を有する重合体の例は下記である:Hytrel G3548L(PEE)、EVATANE 28−40(EVA、架橋した状態のみ)(これをどのようにして行うか?)、Styroflex(スチレンブタジエン共重合体)、Engage EG
8200(エチレンオクテン共重合体、架橋した状態のみ)。
【0022】
本発明は、別の態様において、軟質吸着素地を製造する方法を包含し、これは、熱可塑性もしくは熱硬化性重合体マトリクスと多孔質固体状吸着材の混合物を準備し、前記混合物を押出し加工することで吸着素地を生じさせ、前記素地を切断して所望の大きさにするか、或は前記素地を巻くことによる。前記段階のいずれかまたは全部を無水または水分の無い環境または雰囲気(即ち露点が−40℃の雰囲気)中で実施してもよい。前記混合物の調製は濃吸着材−重合体マスターバッチを用いた後に未充填重合体を添加して希釈することで実施可能である。本軟質吸着素地の断面は円形、楕円形、正方形、長方形、三葉形、星形、荷馬車の車輪、ハニカムまたはフィルム(巻かれていてもよい)の形状であってもよいか、或はプラスチック加工産業で一般に公知の如き成形装置、押出し加工装置などで成形される如き他の如何なる形状であってもよい。好適な方法は押出し加工、共押出し加工、カレンダー加工、射出成形、圧縮成形およびブロー成形である。本軟質吸着素地の重合体マトリクスが23℃で示す曲げ弾性率は約10から約1000MPaであり得る。本軟質吸着素地が25℃で10%相対湿度の時に示す水分吸着容量は本素地の総重量の少なくとも5重量%の水吸着容量であり得、そして本素地の吸着材含有量を本素地の総重量の少なくとも30重量%にしてもよい。本軟質吸着素地の重合体が100ミクロンのフィルムとして23℃で示す透過係数は約1g/md以上であり得る。本軟質吸着素地の重合体をHYTREL G3548L(PEE、ポリエーテルエステル)、EVATANE
28−40(EVA、エチレン酢酸ビニル、架橋した状態のみ)、Styroflex(スチレンブタジエン共重合体)、Engage EG 8200(エチレンオクテン共重合体)(熱可塑性状態または架橋した状態)またはこの上に記述した特性プロファイルを有する他の熱可塑性重合体で構成させてもよい。本軟質吸着素地の固形吸着材の乾燥剤に活性炭、活性粘土、シリカゲル、シリカコゲル、グループ1、2、3、4、5、6および7のゼオライト(アイソタイプである構造を有する組成物、例えば上述した種類のゼオライト、シリカゲル、シリカコゲルおよびこれらの任意組み合わせのアイソモルファス形態などを包含)を含めてもよい。本軟質吸着素地の乾燥剤を本固形素地の約30から約85重量%の量で存在させてもよくかつ前記重合体を本素地の約70から約15重量%の量
で存在させてもよい。
【0023】
上述した素地の製造は1段階もしくは2段階工程で実施可能である。1段階工程はコンパウンド化と成形の組み合わせを単一の機械で実施する工程であり得る。それとは対照的に、2段階工程では、コンパウンド化と成形を個別の装置を用いて逐次的に独立して実施する。
【0024】
本発明の1段階工程に関する態様では、コンパウンド化工程を同方向回転もしくは異方向回転の二軸押出し加工機で実施してもよい。当該吸着材料を当該重合体と混合する前に前記吸着材料を残存水分含有量が約2重量%以下の材料がもたらされるに充分な温度(例えば600℃以上)で充分な時間加熱することでそれを活性化させておいてもよい。好適には、配合成分を無水環境(即ち露点が−40℃の雰囲気)中で加工する。これは前記吸着材料にとって特に好適である。当該重合体のペレットをコンパウンド化用押出し加工装置に送り込んで溶融させてもよい。その押出し加工機の下流部分で溶融した重合体に当該乾燥剤または吸着材料を側流供給装置で添加してもよい。両方の材料が混合ゾーンの中で充分に均一になった時点でコンパウンド化調製が完了し、そしてその2相材料を単穴もしくは多穴ダイスで成形して素地を生じさせてもよい。このような1段階工程では、混合とコンパウンド化と素地成形を各工程段階の専用セクションが備わっている押出し加工装置を用いて実施することができる。
【0025】
本発明に従う2段階工程の態様では、混合とコンパウンド化をコンパウンド化装置である押出し加工装置を用いて実施することでペレットを中間生成物として生じさせた後、それを素地押出し加工に適したダイスが備わっている2番目の押出し加工機(単もしくは二軸押出し加工機)で加工してもよい。
【0026】
本発明に従う素地の製造および包装は無水環境(即ち露点が−40℃の雰囲気)中で実施可能である。さらなる加工を実施する前の貯蔵および輸送中に本素地が活性化されたままであるように素地の包装は水密であってもよい。本素地の幾何学的寸法および相当する曲げ特性に応じて、完成軟質素地を巻いてもよい。
【0027】
本素地の断面は、押出し加工段階で用いるダイスに応じて、円形、正方形、長方形、三葉形、荷馬車の車輪または他の如何なる形状であってもよい。その上、本素地は管状であってもよい。それを管形態で用いる場合、円形断面からいくらか逸脱すると結果として平衡状態の容量が低くなる可能性はあるが、水吸収速度は向上し得る。
【0028】
別の態様では、上述した素地にハニカム構造を持たせてもよい。ハニカム構造を有する軟質乾燥剤素地の製造もまた1段階もしくは2段階工程を用いて実施可能である。相当する装置はダイスの形状および形態を除いて固形素地の製造で用いる装置と同じであり得る。ハニカム構造を有する軟質乾燥剤素地を製造しようとする時には、壁組織で分離されている通路の隊列を押出し加工するに適したダイスを用いる。1段階工程および2段階工程の両方の態様とも、高度に充填されたゼオライト系吸着材と重合体の混合物が示す流動特性を受け入れるように溶融物分散装置を容易に調整することができる。ハニカム構造を有する軟質吸着素地の製造および包装は好適には無水環境(即ち露点が−40℃)中で実施可能である。その上、さらなる加工を実施する前の貯蔵および輸送中にハニカム構造物が活性化された状態のままであるようにハニカム構造物の包装を好適には水密状態で実施してもよい。
【0029】
その上、フラットフィルム押出し加工およびフラットフィルム共押出し加工を用いて平な薄いフィルムの形状の軟質吸着素地を製造することも可能である。2基以上の押出し加工機を多層ダイスを用いて作動させると、各フィルムが異なる特徴、例えば水吸着特性(
吸着効果)および水遮断特性(水分バリヤー効果)などを有していてもよい2層もしくは多層フィルムを製造することができ、それでいずれかの基質、例えばアルミ箔または板紙などを被覆してもよい。これは単および/または二軸押出し加工機を用いた1段階工程もしくは2段階工程のいずれかで実現可能である。1番目のケースとして、コンパウンド化と成形を一緒にして単一段階工程にする。素地共押出し加工用フラットダイスまたはフィルム共押出し加工用ダイスを用いて共押出し加工を実施してもよい。個別の押出し加工機を用いて各層を生じさせてもよい。デリケートな品を保護する目的で用いる本発明の共押出し加工軟質フィルムは、バッグ、軟質箱およびそのような品を入れた後に密封することができる他の種類の軟質容器の形態であってもよい。
【0030】
単層および多層フィルムを製造する別の任意選択はフィルムブロー成形であるが、後者の場合には、少なくとも1層のフィルム層が吸着特性を示しかつ少なくとも1層の他のフィルム層が異なる特徴、例えば水遮断もしくは水透過性などを示すようにする。
【0031】
ほとんど任意の形状の軟質吸着素地を製造するに適した別の任意選択は射出成形である。これは2段階工程で実施可能であり、この場合には、コンパウンド化と射出成形をコンパウンド化用装置(二軸押出し加工機)および射出成形装置を用いて逐次的に実施する。また、単一段階工程も可能であり、この場合には、コンパウンド化と射出成形を射出成形用のコンパウンド化用装置を用いて実施する。
【0032】
本発明の別の態様は、気体および液体を調整、分離または精製するための装置に関し、これは、軟質吸着素地およびハウジング部材を含有し、ここで、前記ハウジング部材は前記軟質吸着素地を含んで成る湾曲部分を含有する。本素地の断面は円形、楕円形、正方形、長方形、三葉形、荷馬車の車輪、ハニカムまたはフィルム(巻かれていてもよい)の形状であってもよいか、或はプラスチック加工産業で一般に公知の如き成形装置で成形される如き他の如何なる形状であってもよい。好適な方法は押出し加工、共押出し加工、カレンダー加工、射出成形、圧縮成形およびブロー成形である。本素地が23℃で示す曲げ弾性率は約10から約1000MPaであり得る。本素地が25℃で10%相対湿度の時に示す水分吸着容量は本素地の総重量の少なくとも5重量%の水吸着容量であり得、そして本素地の吸着材含有量を本素地の総重量の少なくとも30重量%にしてもよい。本重合体が100ミクロンのフィルムとして23℃で示す透過係数は約1g/md以上であり得、これを、これらに限定するものでないが、HYTREL G3548L(PEE、ポリエーテルエステル)、EVATANE 28−40(EVA、エチレン酢酸ビニル)、Styroflex(スチレンブタジエン共重合体)、架橋したEngage EG 8200(エチレンオクテン共重合体)(熱可塑性状態または架橋した状態)またはこの上に記述した特性プロファイルを有する他の熱可塑性重合体などの如き重合体で構成させてもよい。本固形吸着材に活性炭、活性粘土、シリカゲル、シリカコゲル、グループ1、2、3、4、5、6および7のゼオライト1種または2種以上(アイソタイプである構造を有する組成物、例えば上述した種類のゼオライト、シリカゲル、シリカコゲルおよびこれらの任意組み合わせのアイソモルファス形態などを包含)を含めてもよい。そのような固形吸着材を本固形素地の約30から約75重量%の量で存在させてもよくかつ前記重合体を本素地の70から約25重量%の量で存在させてもよい。そのような装置には冷蔵装置、冷却装置または気候システムが含まれる。前記ハウジング部材には冷却装置の回路、より具体的には冷却装置または蒸発装置の管が含まれ得る。前記湾曲部分を生じさせる前または生じさせた後に前記軟質吸着素地を前記ハウジング部材の中に挿入してもよい。
【0033】
本発明のさらなる態様は、気体および液体を調整、分離または精製するための装置を加工する方法に関し、これは、軟質吸着素地を準備し、前記軟質吸着素地を保持するハウジング部材を準備し、そして前記ハウジング部材の形状を変えることで湾曲部分を生じさせることによる。前記湾曲部分を生じさせる前または生じさせた後に前記軟質吸着素地を前
記ハウジング部材の中に挿入してもよい。そのような装置は冷蔵装置、冷却装置または気候システムであってもよく、そして前記ハウジング部材は冷却装置の回路、より具体的には冷却装置または蒸発装置の管であってもよい。前記素地の断面は円形、楕円形、正方形、長方形、三葉形、荷馬車の車輪、ハニカムまたはフィルム(多層フィルム)(巻かれていてもよい)の形状であってもよいか、或はプラスチック加工産業で一般に公知の如き成形装置で成形される如き他の如何なる形状であってもよい。好適な方法は押出し加工、射出成形およびブロー成形である。23℃で示す曲げ弾性率は約10から約1000MPaであり得る。本素地が25℃で10%相対湿度の時に示す水分吸着容量は本素地の総重量の少なくとも5重量%の水吸着容量であり得、そして本素地の吸着材含有量を本素地の総重量の少なくとも30重量%にしてもよい。前記重合体が100ミクロンのフィルムとして23℃で示す透過係数は約1g/md以上であり得、この重合体はHYTREL G3548L(PEE、ポリエーテルエステル)、EVATANE 28−40(EVA、エチレン酢酸ビニル)、Styroflex(スチレンブタジエン共重合体)、Engage EG 8200(エチレンオクテン共重合体)(熱可塑性状態または架橋した状態)またはこの上に記述した特性プロファイルを有する他の熱可塑性重合体などであってもよい。前記固形吸着材は活性炭、活性粘土、シリカゲル、シリカコゲル、グループ1、2、3、4、5、6および7のゼオライト(アイソタイプである構造を有する組成物、例えば上述した種類のゼオライト、シリカゲル、シリカコゲルおよびこれらの任意組み合わせのアイソモルファス形態などを包含)であってもよい。前記固形吸着材を本固形素地の約30から約75重量%の量で存在させてもよくかつ前記重合体を本素地の70から約25重量%の量で存在させてもよい。
【0034】
本発明のさらなる態様は、水分に敏感なデリケートな製品、例えば電子機器、光学電子機器、光学機械ばかりでなくミクロ−およびナノ−機械器具などを入れる装置に軟質吸着素地を装備する方法に関する。本軟質吸着素地をハウジング部材の中に挿入してもよいか或はハウジングの一体部分にしてもよい。本軟質吸着素地を用いて薬剤、栄養補助食品、生物学的サンプル、生きている有機体、食品および他の腐り易いもしくは水分に敏感な製品を保護することができる。本軟質吸着素地は包装材の一部として使用可能であるか或はこれを包装材の中に入れてもよい。本素地の断面は円形、楕円形、正方形、長方形、三葉形、荷馬車の車輪、ハニカムまたはフィルム、また多層フィルム(巻かれていてもよい)の形状であってもよいか、或はプラスチック加工産業で一般に公知の如き成形装置で成形される如き他の如何なる形状であってもよい。好適な方法は押出し加工、共押出し加工機、カレンダー加工、射出成形、圧縮成形およびブロー成形である。23℃で示す曲げ弾性率は約10から約1000MPaであり得る。本素地が25℃で10%相対湿度の時に示す水分吸着容量は本素地の総重量の少なくとも5重量%の水吸着容量であり得、そして本素地の吸着材含有量を本素地の総重量の少なくとも30重量%にしてもよい。前記重合体が100ミクロンのフィルムとして23℃で示す透過係数は約1g/md以上であり得、この重合体はHYTREL G3548L(PEE、ポリエーテルエステル)、EVATANE 28−40(EVA、エチレン酢酸ビニル)、Styroflex(スチレンブタジエン共重合体)、Engage EG 8200(エチレンオクテン共重合体)(熱可塑性状態または架橋した状態)またはこの上に記述した特性プロファイルを有する他の熱可塑性重合体などであってもよい。前記固形吸着材は活性炭、活性粘土、シリカゲル、シリカコゲル、グループ1、2、3、4、5、6および7のゼオライト(アイソタイプである構造を有する組成物、例えば上述した種類のゼオライト、シリカゲル、シリカコゲルおよびこれらの任意組み合わせのアイソモルファス形態などを包含)であってもよい。前記固形吸着材を本固形素地の約30から約75重量%の量で存在させてもよくかつ前記重合体を本素地の70から約25重量%の量で存在させてもよい。
【0035】
本出願に挙げた特許および公開全部の主題事項は全体が引用することによって本明細書に組み入れられる。以下の実施例を請求する発明の具体例として示す。しかしながら、本
発明を本実施例に挙げる具体的詳細に限定するものでないと理解されるべきである。本実施例ばかりでなく本明細書の残りの部分に示す部およびパーセントは全部特に明記しない限り重量である。
【0036】
その上、数の範囲、例えば個々の組の特性、条件、物理的状態またはパーセントなどを表す範囲を本明細書または請求項に示す場合、いずれも、そのような範囲内に入る如何なる数(その示すいずれかの範囲内に入るサブセットの数のいずれも包含)のいずれも文字通り明らかにそれの中に入ることを意図する。本明細書に示しかつ説明する発明に加えて、本発明の何らかの修飾形が前記説明および添付図から本分野の技術者に明らかになるであろう。そのような修飾形を添付請求項の範囲内に入れることを意図する。
【実施例1】
【0037】
この実施例は、直径が3mmの軟質吸着素地の製造に関する。E.I.DuPont De Nemours & Co.から入手可能なPEEタイプのHytrel G3548Lをマトリクス重合体として用いる。W.R.Grace & Co.−Conn.から入手可能な3Aゼオライトを吸着材料として用いる。コンパウンドの35重量%をHytrel G3548Lおよび65重量%を活性ゼオライト3Aで構成させる。この素地の製造を個別のコンパウンド化および成形手順を用いた2段階工程で実施する。コンパウンド化をCoperion Werner & Pfleidererから入手可能なタイプZSK25の同方向回転二軸押出し加工機を用いて実施する。コンパウンド化の温度を200℃にする。成形を3mmの円形押出し加工用ダイスが備わっているCoperion Werner & Pfleidererから入手可能な単軸押出し加工機を用いて前記コンパウンド化段階後直接実施する。成形温度を150℃から155℃の範囲内にする。押出し加工素地を取り出し用ロールで引き下ろした後、巻く。巻いた後、そのスプールを防水容器の中に入れた。相当する流動学的データを図1に示しかつ吸着性能データを図2に示す。
【実施例2】
【0038】
この実施例は、直径が27.5mmで長さが25mmの円形ハニカム構造のゼオライト系吸着素地の製造に関する。通路の形状は1.2x1.2mmでありかつ壁厚は1.6mmである。DuPontから入手可能なPEEタイプのHytrel G5544をマトリクス重合体として用いる。吸着材料はW.R.Grace & Co.−Conn.から入手可能な3Aゼオライトである。コンパウンドを吸着素地の総重量を基準にして30重量%のHytrel G5544および70重量%の活性ゼオライト3Aで構成させる。これらのコンパウンド成分を乾燥状態の形態で加工する。ハニカム構造片の製造を1段階工程で実施する。Coperion Werner & Pfleidererから入手可能なタイプZSK25の同方向回転二軸押出し加工機を用いてコンパウンド化と成形を実施する。コンパウンド化の温度を230−240℃にする。ハニカム構造物の成形を可能にするダイスを用いて成形を前記コンパウンド化段階後直接実施する。前記ダイスの温度を218−223℃に設定する。その押出し加工したハニカム構造片を冷却した後、所望片の大きさに切断する。成形および切断後のハニカム構造片を防水容器に入れる。工程段階全部を無水雰囲気(即ち、露点が−40℃)中で実施する。
【実施例3】
【0039】
この実施例は、直径が27.5mmで長さが25mmの円形ハニカム構造のゼオライト系吸着素地の製造に関する。通路の形状は1.2x1.2mmでありかつ壁厚は1.0mmである。E.I.DuPontから入手可能なPEEタイプのHytrel G5544をマトリクス重合体として用いる。吸着材料はGraceから入手可能な3Aゼオライトである。コンパウンドの30重量%をHytrel G5544および70重量%を活性ゼオライト3Aで構成させる。これらのコンパウンド成分を乾燥状態または形態で加
工する。ハニカム構造片の製造を2段階工程で実施する。段階1:実施例1に示した二軸押出し加工機を用いてコンパウンド化を230−240℃の範囲の温度で実施した後、冷却し、そして顆粒状に成形する。段階2:顆粒の成形から出発して実施例1に示した単軸押出し加工機につなげたハニカム構造片成形に有効なダイスを用いて実施する。前記ダイスの温度を218−223℃に設定する。その押出し加工したハニカム構造片を冷却した後、所望片の長さに切断する。成形および切断後のハニカム構造片を防水容器に入れる。工程段階全部を無水雰囲気(即ち、露点が−40℃)中で実施する。吸着特性を図3に示す。
【実施例4】
【0040】
この実施例は、フィルム厚が0.25mmの軟質ゼオライト系フィルムの製造に関する。DuPontから入手可能なPEEタイプのHYTREL G3548Lをマトリクス重合体として用いる。吸着材料はGraceから入手可能な3Aゼオライトである。コンパウンドの50重量%をHYTREL G3548Lおよび50重量%を活性ゼオライト3Aで構成させる。フィルムの製造を個別のコンパウンド化および成形手順を用いた2段階工程で実施する。コンパウンド化をCoperion Werner & Pfleidererから入手可能なタイプZSK25の同方向回転二軸押出し加工機(L/Dが40に相当)を用いて実施する。コンパウンド化の温度を200℃にする。成形を100mmのフラットフィルム押出し加工用ダイス(0.5mmのギャップ幅)が備わっているCoperion Werner & Pfleidererから入手可能な単軸押出し加工機を用いて前記コンパウンド化段階後直接実施する。成形温度を150℃から155℃の範囲内にする。押出し加工フィルムを取り出し用ロールで引き下ろした後、切断して要求されるシートサイズにする。取り出し用ロールによる引き出し速度を用いてフィルムの厚みおよび幅を調整する。成形および切断後のフィルムを防水容器に入れる。吸着特性を図4に示す。
【実施例5】
【0041】
この実施例は、フィルム厚が0.25mmの軟質ゼオライト系フィルムの製造に関する。Atofinaから入手可能なEVAタイプのEVATANE 28−40をマトリクス重合体として用いる。吸着材料はGraceから入手可能な3Aゼオライトである。コンパウンドのEVATANE 28−40含有量を50重量%にしかつ活性ゼオライト3A含有量を50重量%にする。フィルムの製造を個別のコンパウンド化および成形手順(2段階工程)で実施する。コンパウンド化をCoperion Werner & Pfleidererから入手可能な同方向回転二軸押出し加工機ZSK25(L/Dが40に相当)を用いて実施する。コンパウンド化の温度を150℃にする。成形を100mmのフラットフィルム押出し加工用ダイス(0.5mmのギャップ幅)が備わっているCoperion Werner & Pfleidererから入手可能な単軸押出し加工機を用いて前記コンパウンド化段階後直接実施する。成形温度を130℃から140℃の範囲内にする。押出し加工フィルムを取り出し用ロールで引き下ろした後、切断して要求されるシートサイズにする。取り出し用ロールによる引き出し速度を用いてフィルムの厚みおよび幅を調整する。成形および切断後のフィルムを防水容器に入れる。吸着特性を図5に示す。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、本軟質乾燥剤素地の重合体マトリクス材料が3種類の異なる温度で示す粘度をせん断速度と対比させて示すグラフ図である。
【図2】図2は、本発明の乾燥剤棒材が示した水吸着速度のグラフ図である。
【図3】図3は、本発明のモノリスが示した水吸着速度のグラフ図である。
【図4】図4は、本発明のフィルムが示した水吸着速度のグラフ図である。
【図5】図5は、本発明のフィルムが示した水吸着速度のグラフ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟質吸着素地であって、
(a)100ミクロンのフィルムとして23℃で示す透過係数が1g/md以上である熱可塑性重合体マトリクス、および
(b)素地の総重量の少なくとも約30重量%の多孔質吸着材料から本質的に成る乾燥剤、
を含んで成っていて、該多孔質吸着材料が該マトリクス材料に取り込まれた混合物であり、23℃において約10MPa以上の曲げ弾性率を示す軟質吸着素地。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−67807(P2013−67807A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−253364(P2012−253364)
【出願日】平成24年11月19日(2012.11.19)
【分割の表示】特願2007−548750(P2007−548750)の分割
【原出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(500367492)グレイス・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンジツトゲゼルシヤフト (5)
【Fターム(参考)】