説明

転倒防止パッド

【課題】保管時や輸送時のスペース効率を低下させることなく、包装箱等の転倒を容易に防止できるようにする。
【解決手段】包装箱21に備えられる転倒防止パッド1において、起伏片2の基端両側に連結片3を、各連結片3の外側に抜止片4を順次連設して、両側の連結片3の対向縁を、起伏片2の基端中央から外側へ斜めに切断し、起伏片2と連結片3との境界に基折線5を入れると共に、起伏片2の基端中央から先端中央へかけて中折線6を入れ、包装箱21の下部に設けたスリット27に出し入れ自在に挿入し、スリット27から引き出すと、包装箱21の外側で、起伏片2が中折線6に沿ってV字状に折れ曲がりつつ、基折線5に沿って連結片3から起立し、連結片3の対向縁が突き合わされ、抜止片4によりスリット27から抜け止めされるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、奥行きの小さい包装箱等の転倒を防止する出し入れ自在の転倒防止パッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年普及している液晶テレビ等の薄型テレビは、画面サイズが大きく奥行きが小さいことから、その包装箱も正面及び背面の幅に比べてテレビの奥行きに対応する端面の幅が小さくなっている。このため、テレビを収納した包装箱を、保管や輸送に際し、立てた状態で床や荷台に置くと、包装箱に僅かに触れただけで、包装箱が転倒するおそれがある。
【0003】
このような包装箱の転倒を防止するため、例えば、下記特許文献1に記載されたような三角筒状の支持脚を、包装箱の転倒しやすい方向である正面又は背面の下部に貼り付けておくことが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭59−72971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような支持脚を包装箱に貼り付けると、保管時や輸送時に隙間なく包装箱を並べることができなくなり、倉庫やトラックの荷台におけるスペース効率が低下してしまうという問題がある。
【0006】
そこで、この発明は、スペース効率を低下させることなく、包装箱等の転倒を容易に防止できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、この発明は、包装箱等の被支持物に備えられる転倒防止パッドにおいて、起伏片の基端両側に連結片を、各連結片の外側に抜止片を順次連設して、両側の連結片の対向縁を、起伏片の基端中央から外側へ斜めに切断し、起伏片と連結片との境界に基折線を入れると共に、起伏片の基端中央から先端中央へかけて中折線を入れ、被支持物の下部に設けたスリットに出し入れ自在に挿入し、スリットから引き出すと、被支持物の外側で、起伏片が中折線に沿ってV字状に折れ曲がりつつ、基折線に沿って連結片から起立し、連結片の対向縁が突き合わされ、連結片から張り出した抜止片により、スリットから抜け止めされるようにしたのである。
【発明の効果】
【0008】
このような転倒防止パッドを包装箱等の被支持物に備えておき、被支持物の保管や輸送に際し、転倒防止パッドを被支持物のスリットから引き出して、起伏片を起立させると、転倒防止パッドがスリットから抜け出すことなく、被支持物の荷重により起伏片の起立状態が維持されるので、被支持物が起伏片の方向へ倒れようとしても、被支持物を起伏片に凭れさせるように支持して、被支持物の転倒を防止することができる。
【0009】
また、被支持物を少し傾けて、被支持物の荷重を解放すると、突き合わされていた連結片及び抜止片が離反しつつ、起伏片の折れ曲がりが伸びて、起伏片が倒伏するので、転倒防止パッドを被支持物の内側に完全に挿入することができる。
【0010】
このため、被支持物の保管時や輸送時には、被支持物に転倒防止パッドを完全に挿入した状態で、収納スペースの最も奥に配置される被支持物を倉庫や荷台の壁面に沿わせ、順次手前側へ被支持物を隙間なく並べ、最も手前となった被支持物から転倒防止パッドを引き出して、起伏片を起立させることにより、スペース効率を低下させることなく、簡単な作業で全ての被支持物を倒れないように支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明に係る転倒防止パッドによる包装箱の支持状態を示す全体斜視図
【図2】同上の転倒防止パッドを包装箱に完全に挿入した状態の全体斜視図
【図3】同上の転倒防止パッドを包装箱に挿入する過程の部分拡大斜視図
【図4】同上の転倒防止パッドを包装箱に完全に挿入した状態の部分拡大斜視図
【図5】同上の転倒防止パッドを包装箱から引き出す過程の部分拡大斜視図
【図6】同上の転倒防止パッドを包装箱から引き出した状態の部分拡大斜視図
【図7】同上の転倒防止パッドのブランクを示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0013】
図1及び図2に示すように、この転倒防止パッド1は、薄型テレビを包装する段ボール製の包装箱21に出し入れ自在に備えられるものである。
【0014】
包装箱21は、正面板22、背面板23及び一対の端面板24から周壁が形成され、これらの下端及び上端端から延びるフラップ25、26を重ね合わせて、底壁及び天壁が形成されるものであり、正面板22及び背面板23の幅に比べて、テレビの奥行きに対応する端面板24の幅が小さくなっている。
【0015】
正面板22の下端中央部には、スリット27が設けられ、スリット27は、正面板22とフラップ25との稜線から上方へずれた位置を基端として、フラップ25を切り込んで形成した抑止片28を内側へ折り曲げることにより、開口するものである。スリット27の上縁中央部には、抑止片28を切り込んで、押圧突起29が突設されている。
【0016】
転倒防止パッド1は、図7に示すような段ボール製のブランクから形成されるものである。このブランクでは、起伏片2の基端両側に連結片3が連設され、各連結片3の外側に抜止片4が連設されている。両側の連結片3及び抜止片4の対向縁は、起伏片2の基端中央から外側へ斜めに切断されている。
【0017】
起伏片2と連結片3の境界には、押罫の基折線5が入れられ、起伏片2には、基端中央から先端中央へかけて押罫の中折線6が入れられている。連結片3と抜止片4との境界には、押罫に断続する切目を入れたリード罫の側折線7が入れられている。
【0018】
抜止片4の起伏片2寄りの端縁部外側にはストッパ縁8が形成され、その内側には段差を介して隙埋突起9が設けられている。また、起伏片2の先端側中央部には、指入穴10が設けられている。
【0019】
この転倒防止パッド1を包装箱21によるテレビの包装に使用するには、図3に示すように、抜止片4を側折線7に沿って連結片3の上面に折り重ねた状態で、転倒防止パッド1を包装箱21の外側から内側へスリット27を介して挿入する。
【0020】
そして、図4に示すように、抜止片4が包装箱21内に完全に進入すると、抜止片4が折曲部分の反発により外側へ広がるので、転倒防止パッド1は、スリット27から抜け止めされ、抜止片4の先端が背面板23に当接して、箱内への没入が阻止される。
【0021】
一方、このように転倒防止パッド1を挿入した包装箱21により薄型テレビを包装し、包装箱21を倉庫やトラックの荷台に立てて置く際には、図5に示すように、包装箱21を手前側が浮くように少し傾けて、指入穴10に指を入れ、スリット27から転倒防止パッド1を引き出す。
【0022】
これにより、包装箱21の外側で、起伏片2が中折線6に沿ってV字状に折れ曲がりつつ、基折線5に沿って連結片3から起き上がり、図6に示すように、起伏片2が直立すると、連結片3及び抜止片4の対向縁が突き合わされ、ストッパ縁8がスリット27の側方で正面板22の内面に当接し、スリット27から転倒防止パッド1が抜け止めされる。
【0023】
また、このとき、隙埋突起9が起伏片2の両側方に生じたスリット27の隙間に挿入されて、転倒防止パッド1の幅方向への移動が阻止されると共に、連結片3及び抜止片4が抑止片28と押圧突起29とで上方から押圧されて、転倒防止パッド1の上下方向のがたつきが防止される。
【0024】
このように、転倒防止パッド1をスリット27から引き出して、起伏片2を起立させ、包装箱21の傾きを戻すと、図1に示すように、包装箱21の荷重により、基折線5及び中折線6での折り曲げの反発が抑制されて、起伏片2の起立状態が維持されるので、包装箱21が起伏片2の方向へ倒れようとしても、包装箱21を起伏片2に凭れさせるように支持して、包装箱21の転倒を防止することができる。
【0025】
また、包装箱21を手前側が浮くように少し傾けて、包装箱21の荷重を解放すると、図2に示すように、折目の反発により、突き合わされていた連結片3及び抜止片4が離反しつつ、起伏片2の折れ曲がりが伸びて、起伏片2が倒伏するので、転倒防止パッド1を包装箱21の内側に完全に挿入することができる。
【0026】
このため、包装箱21の保管や輸送に際しては、包装箱21に転倒防止パッド1を完全に挿入した状態で、収納スペースの最も奥に配置される包装箱21を倉庫や荷台の壁面に沿わせ、順次手前側へ包装箱21を隙間なく並べ、最も手前となった包装箱21から転倒防止パッド1を引き出して、起伏片2を起立させることにより、スペース効率を低下させることなく、簡単な作業で全ての包装箱21を倒れないように支持することができる。
【0027】
なお、上記実施形態では、転倒防止パッド1により薄型テレビの包装箱21の転倒を防止する場合について例示したが、転倒防止パッド1は、衝立等の転倒防止にも使用することもできる。この場合、衝立等の垂直板の下部にスリットを設け、スタンドの反対側に起伏片2を引き出して起立させるようにするとよい。
【符号の説明】
【0028】
1 転倒防止パッド
2 起伏片
3 連結片
4 抜止片
5 基折線
6 中折線
7 側折線
8 ストッパ縁
9 隙埋突起
10 指入穴
21 包装箱
22 正面板
23 背面板
24 端面板
25,26 フラップ
27 スリット
28 抑止片
29 押圧突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装箱等の被支持物に備えられる転倒防止パッド(1)において、起伏片(2)の基端両側に連結片(3)を、各連結片(3)の外側に抜止片(4)を順次連設して、両側の連結片(3)の対向縁を、起伏片(2)の基端中央から外側へ斜めに切断し、起伏片(2)と連結片(3)との境界に基折線(5)を入れると共に、起伏片(2)の基端中央から先端中央へかけて中折線(6)を入れ、被支持物の下部に設けたスリット(27)に出し入れ自在に挿入し、スリット(27)から引き出すと、被支持物の外側で、起伏片(2)が中折線(6)に沿ってV字状に折れ曲がりつつ、基折線(5)に沿って連結片(3)から起立し、連結片(3)の対向縁が突き合わされ、連結片(3)から張り出した抜止片(4)により、スリット(27)から抜け止めされるようにしたことを特徴とする転倒防止パッド。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−37505(P2011−37505A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−189032(P2009−189032)
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【出願人】(000115980)レンゴー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】