説明

転写器およびそれを用いた画像形成装置

【課題】転写ムラなどがなく、画質の向上が図れる転写器を提供する。
【解決手段】感光体2上に形成されたトナー像を記録媒体15上にコロトロンワイヤ18を用いて転写する転写器において、前記コロトロンワイヤ18の記録媒体搬送方向下流側に前記記録媒体15を感光体2に機械的に押し付ける押付部材22を設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電情報記録装置や電子写真複写装置などの画像形成装置に係り、特に感光体上の粉体トナーを記録媒体に転写する転写器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1は連続紙電子写真方式の画像形成装置の概略構成図、図2は画像形成装置を2台用いて両面印刷を行っている状態を説明する概略構成図である。
【0003】
図1に示す連続紙電子写真方式の画像形成装置Pでは、帯電器1によって感光体2の表面が一様に帯電され、帯電後の感光体2表面にレーザ等の光3が照射され、感光体2上に静電潜像を形成する。形成された静電潜像に現像機4内部で帯電した粉体トナーが電気力線に沿って感光体2表面に付着し、これによって可視化像が感光体2表面に形成される。
【0004】
次いで転写器5により用紙6へトナーが転写されるが、全てのトナーが用紙6へ転写されるわけではなく、感光体2の表面に残ったトナーは清掃機7で除去される。転写器5で転写された粉体トナー像が乗った用紙6は定着機8に搬送される。
【0005】
定着機8は、熱板9と、ヒータ10を内蔵した熱ローラ11と、その熱ローラ11に対して離接する加圧ローラ12と、その加圧ローラ12を支持した離接機構17などを備えている。トナー像を定着した用紙6はプラー16を通り、用紙折り畳み部13に送られてZ状に折り畳められる。従ってこの画像形成装置Pに使用される用紙6は、Z状に折り畳められる所謂ボックス紙である。
【0006】
図2は前記用紙折り畳み部13を使用せず、また、前記用紙はZ字に折り畳めるボックス紙ではなく、ロール状に巻かれたロール紙15を使用し、画像形成装置を2台使用し、1台目の画像形成装置P1と2台目の画像形成装置P2の間にターンバーユニット14を配置した両面印刷を行うシステムSを示している。
【0007】
1台目の画像形成装置P1でロール紙15の表面に印刷して、ターンバーユニット14でロール紙15を反転させた後、2台目の画像形成装置P2でロール紙15の裏面に印刷することによってロール紙15への両面印刷がなされる。
【0008】
この構成による両面印刷を実施した際、印刷停止時に熱板9と長時間接触するため、用紙15は接触面側が加熱され、内包している水成分が空気中に蒸発し、更に、繊維が熱膨張する。しかし、次に印刷が再開された際、用紙15は1台目の定着機を出て冷えるため、伸びていた用紙15の繊維が縮み用紙15は水分が減った分更に縮む。加熱された部分が縮むため用紙長手方向及び幅方向ともに縮むが、長手方向よりも幅方向が短いため、幅方向の縮み具合が顕著に確認できる。詳しくは、用紙15の縮みは均一でない為、用紙15には波打ちが発生する。用紙15の波打ちにより裏面を印刷する際、印刷品質の劣化を招く。本現象は熱定着を採用した場合、必ず発生する自然現象である。
下記特許文献等に開示されているように、転写電界前において用紙を感光体に押し当てる方式は多種提案されている。
1台目の画像形成装置P1の定着機8の熱板9上にあった用紙15が、2台目の画像形成装置P2の転写器5を通過する際、画像形成装置P2の転写器5で感光体2から微小な浮き上りが起こる。浮き上りに関しては転写コロトロン上流にて押し付ける構成を採用する特許が開示されているが、転写電界が発生していない上流側での押し付けでは、効果が非常に少ない。
【特許文献1】特開平11−65328号公報
【特許文献2】特開平9−179416号公報
【特許文献3】特開平9−171308号公報
【特許文献4】特開平8−220896号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
1台目の画像形成装置の熱板上で縮んだ用紙を2台目の画像形成装置によって裏面印刷を行う場合、用紙が波打ちしているため、転写部において、用紙と感光体間で微小な浮き上りが発生する。この現象により転写部における転写電界が用紙全体で不均一となり、転写ムラが発生する。
本発明の目的は、このような従来技術の欠点を解消し、転写ムラなどがなく、画質の向上が図れる転写器およびそれを用いた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため本発明の第1の手段は、感光体上に形成されたトナー像を記録媒体上にコロトロンワイヤを用いて転写する転写器において、前記コロトロンワイヤの記録媒体搬送方向下流側に前記記録媒体を感光体に機械的に押し付ける押付部材を設けたことを特徴とするものである。
【0011】
本発明の第2の手段は前記第1の手段において、前記押付用部材の摩擦帯電列がトナーと逆極性であることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の第3の手段は前記第1または第2の手段において、前記押付用部材がゴムローラであり、そのゴム層の体積抵抗率が10〜1010Ωcmであり、電気的に装置のGNDからは抵抗を介し接地していることを特徴とするものである。
【0013】
本発明の第4の手段は、画像形成装置において前記第1ないし第3の手段の転写器を用いたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
転写部の電界を発生させるコロトロンワイヤの下流側に記録媒体を感光体に押し付ける機構を設けた転写器の提供を図ることにより、1台目の熱板上で縮んだ用紙を2台目によって裏面印刷を行う場合、用紙が波打ちしているため、転写部において、用紙と感光体間で微小な浮き上りが発生する。本現象により、転写部における転写電界が用紙全体で不均一となり、転写ムラが発生する現象の大幅な低減を図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施例を図を用いて説明する。
図2に示す両面印刷を行うシステムSにて、用紙15が装填された状態で放置した際、用紙15は上述の如く波打ち変形を起こす。本発明では転写電界が発生した後における押付により良好な転写効果を得ることができる。そもそも、転写器5では、用紙裏面に被転写物であるトナーを静電的にひきつけるため電荷をのせることでトナーの転写を達成する。よって、転写電界形成の前段階における機械的な押し当ては効果が少ないと考えた。そこで、用紙裏面に電荷が乗った状態で機械的に用紙を感光体に軽く押し当てることにより、用紙と感光体間の空隙を極小なものとし転写電界の形成を図ることを目指した。
本発明の実施例を図3及び図4を用いて説明する。これらの図に示すように転写器は、コロナワイヤ18、シールド板金19、ロアペーパガイド20及びアッパペーパガイド21などを備えている。ロアペーパガイド20及びアッパペーパガイド21は、用紙15のパスを形成するためのペーパガイドである。
【0016】
コロトロン転写器のコロナワイヤ18の下流側に記録媒体である用紙15を感光体2に押し付けるための部材として、図3に示す実施例では布22(例えば、フッ素系繊維やポリエチレン系繊維から構成された布)を設けた。また図4に示す実施例では、導電性を持たせたゴムローラ23(体積抵抗率が10〜1010Ωcm)を設けた。ゴム等の弾性体を用いる場合は摩擦抵抗が高いため、磨耗を考慮する必要があり、またゴムローラ23に導電性を持たせ、電気的にGNDからは抵抗を介し浮いた状態にしている。
【0017】
尚、押付部材の摩擦帯電列がトナーと同極性であった場合、押付部材の帯電の変動によりトナーが用紙上で弾け飛ぶ現象が発生した。そこで押付部材の摩擦帯電列をトナーと逆極性とすることで、安定した像の形成ができた。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】連続紙電子写真方式の画像形成装置の概略構成図である。
【図2】画像形成装置を2台用い両面印刷を行っているシステムの概略構成図である。
【図3】本発明の実施例に係る転写器の構成を説明する説明図である。
【図4】本発明他の実施例に係る転写器の構成を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0019】
Pは印写装置、P1,P2は画像形成装置、Sは両面印刷システム、1は帯電器、2は感光体、3は光、4は現像機、5は転写器、6は用紙、7は清掃機、8は定着機、9は予熱板、10はヒータ、11は定着ローラもしくは熱ローラ、12は加圧ローラ、13は用紙折りたたみ部、14はターンバーユニット、15は用紙、16はプラー、17は離接機構、18はコロナワイヤ、19はシールド板金、20はロアペーパガイド、21はアッパペーパガイド、22は不織布、23はゴムローラである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体上に形成されたトナー像を記録媒体上にコロトロンワイヤを用いて転写する転写器において、前記コロトロンワイヤの記録媒体搬送方向下流側に前記記録媒体を感光体に機械的に押し付ける押付部材を設けたことを特徴とする転写器。
【請求項2】
前記押付用部材の摩擦帯電列がトナーと逆極性であることを特徴とする請求項1記載の転写器。
【請求項3】
前記押付用部材がゴムローラであり、そのゴム層の体積抵抗率が10〜1010Ωcmであり、電気的に装置のGNDからは抵抗を介し接地していることを特徴とする請求項1または2に記載の転写器。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の転写器を用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−222819(P2009−222819A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−65016(P2008−65016)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】