説明

転写装置、画像形成装置

【課題】低コストで小型化が可能な画像読取センサを備えた転写装置を提供する。
【解決手段】複数の感光体201,202,203,204と、無端の中間転写ベルト230と、前記中間転写ベルト230を張架するテンションローラ211と、前記中間転写ベルト230を駆動するベルト駆動ローラ212と前記テンションローラ211を保持する保持手段215とを備えた転写装置100において、前記保持手段215に設けられ、前期転写ベルトを介して、前記テンションローラに対向して、画像読取センサを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写装置、及び画像形成装置に係り、特に複数の像担持体と、無端の転写ベルトとを備えた転写装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置の小型化が重要視され、その小型化のための一つの技術として、複数の像担持体上の各色トナー像を中間転写ベルト上に重畳的に転写し、その後一括して転写材に転写する方式を採用した画像形成装置がある。
【0003】
従来の画像形成装置の例を図に示す。本例に係る画像形成装置では、4つの感光体11,12,13,14を有する作像ユニットが配設され、ベルト駆動ローラ21及び張架ローラ22、2次転写対向ローラ19により中間転写ベルト10を張架し、中間転写ベルトの走行方向上流側から1次転写ローラ15〜18に所定の電圧を印加することにより、中間転写ベルト10上に各色を重ねることによりカラー画像を形成する。形成されたカラー画像は、2次転写ローラ20に所定の電圧を印加することにより転写材である用紙24に転写され、定着(図示せず)され出力される。2次転写ローラ20で転写できず中間転写ベルト10上に残留したトナーはクリーナユニット23に回収される。
【0004】
このような画像形成装置には、中間転写体に重畳される各色トナーの転写位置精度を向上させるため、画像読取センサを配置し、中間転写体における各色トナーの転写位置のずれを検出するようにしている。従来、このような画像読取センサは、検出精度を確保するため、駆動ローラや従動ローラのような固定したローラに対向して設置されていた。
【0005】
特許文献1には、ベルト体上のトナー像を常に精度よく読み取るとともに、画像読取センサの位置決めを容易とするため、画像読取センサを駆動ローラと従動ローラとの間で中間転写ベルトに対面して配置するものが記載されている。
【0006】
一方、このような装置において、装置を小型化するため、以下のような技術が提案されている。特許文献2には、複数の像担持体と、前記複数の像担持体に当接するベルト部材と、前記ベルト部材を張架するテンションローラと、前記テンションローラに張架力を付与する付勢手段と、前記テンションローラを回転自在に軸支する保持手段と、前記保持手段に設けられ、前記ベルト部材を介して前記テンションローラに当接するベルト部材のクリーニング手段とを有する画像形成装置において、テンションローラとクリーニング部材とを一体化したものが記載されている。
【0007】
また、特許文献3には、テンションローラと転写ベルトの伸び量を検出するための位置検出センサを一体化したものが記載されている。更に、特許文献4には、トナー像が転写された記録紙を縦パス構成の搬送パスで2次転写ローラよりも上方に配置された定着装置により加熱加圧されて定着し、中間転写ベルトは、感光ドラムとの対向面側に形成された下部平面が、2次転写ローラ側を下方にして傾斜配置されたものが記載されている。
【0008】
【特許文献1】特開2004−326085号公報
【特許文献2】特開2002−351228号公報
【特許文献3】特開2005−010701号公報
【特許文献4】特開2004−29057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1のものは、画像読取センサを設置する位置が限定されることとなり、画像読取センサ用のローラや、場合によっては2次転写ローラの離接機構が必要になる等、中間転写ユニットのサイズが大きくなるといる課題があった。また、特許文献2ないし4のものも、画像形成装置の小型化を図るに際して画像読取センサに関しては配慮がされておらず画像読取センサを備えた装置においては、十分な小型化を達成することができない。
【0010】
そこで、本発明は、低コストで小型化が可能な画像読取センサを備えた転写装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、複数の像担持体と、無端の転写ベルトと、前記転写ベルトを張架するテンションローラと、前記転写ベルトを駆動する駆動ローラとを備えた転写装置において、前記保持手段に設けられ、前期転写ベルトを介して、前記テンションローラに対向して、画像読取センサを備えたことを特徴とする転写装置である。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の転写装置において、前記転写ベルトは、前記駆動ローラと前記テンションローラの2本のローラで張架されており、前記テンションローラ径と前記駆動ローラ径とを同一としたことを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1又は2の転写装置において、前記テンションローラ径は直径14mm以上であることを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの転写装置において、前記画像読取センサを前記テンションローラの鉛直上方に設置したことを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの転写装置において、前記無端の転写ベルト、テンションローラ、及び、駆動ローラは装置筐体内に配置され、前記保持手段は、前記装置筐体に組み付けられ、前記画像読取センサと前記転写ベルトとの相対位置を一定に確保したことを特徴とする。
【0016】
請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかの転写装置において、前記駆動ローラに対向して配置する2次転写ローラが、前記転写ベルトに常時当接することを特徴とする。
【0017】
請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかの転写装置を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る転写装置及び画像形成装置によれば、画像読取センサを備えた転写装置及び画像形成装置を低コストで小型化が可能とすることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下本発明を実施するための最良の形態としての実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0020】
図1は、本発明の実施例に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。この画像形成装置は、フルカラー複写機(以下、単に画像形成装置という)である。図1において、この画像形成装置100は、原稿搬送部110と、画像形成部120と、給紙部130と、原稿読み取り部140とから主として構成されている。画像形成部120には、転写装置200、露光装置150、転写装置200、定着装置等が配置されている。転写装置200には、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色のトナー像をそれぞれ形成する4つのユニットが並列されている。各ユニットの中央には、それぞれ感光体1K、1C、1M、1Yが備えられており、その周囲に、帯電装置、現像装置、クリーニング装置等が配置されている。
【0021】
このような装置において、露光装置150は、原稿読み取り部140で読み取ったデータ又は図示しないPC等の外部から送られた画像信号を変換し、例えばポリゴンモータでレーザー光をスキャンさせ、ミラーを通して読み取った画像信号に基づいて感光体1上に静電潜像を形成する。転写装置200は、各感光体1K、1C、1M、1Y上に形成されたトナー像を順次重ね合わせて保持する中間転写ベルトを含んで構成されており、中間転写ベルト上に形成されたカラートナー像を例えば記録紙に転写する。定着装置は、内部に、例えばハロゲンヒータを有するローラに張架されたベルトと加圧ローラとから主として構成されており、両者によって形成されるニップ部にて記録紙上のトナーに熱と圧力を加えてトナー像を定着させる。なお定着装置は、この他、一対のローラ又は一対のベルトを用いるものであってもよい。画像形成装置100には、この他に例えば両面反転ユニット160、排紙トレイ170等が設けられている。
【0022】
次に本発明に係る転写装置200について説明する。本例では、転写装置200には上述した4つの感光体1K、1C、1M、1Yに相当し、像担持体である感光体201,202,203,204と、これらの感光体201,202,203,204に対向して所定の電圧が印加される1次転写ローラ205,206,207,208と、無端の転写ベルトである中間転写ベルト230とを備える。中間転写ベルト230はテンションローラ211とベルト駆動ローラ212との間に張架されており、中間転写ベルト230に感光体201,202,203,204の各色のトナーが転写される。ここで、テンションローラ211は、図示していない付勢手段で所定の張架力が付与されている共に、保持手段215で保持されている。なお、感光体は、中間転写ベルト230の下流から感光体201、感光体202、感光体203、感光体204の順に配置されている。
【0023】
また、ベルト駆動ローラ212には、所定の電圧が印加された2次転写ローラ210が配置され、中間転写ベルト230に形成されたトナー像は、2次転写ローラ210で用紙214に転写され、定着される。また、2次転写ローラ210で転写できず中間転写ベルト230上に残留したトナーはクリーナユニット213で回収される。また、本例では、テンションローラ211とベルト駆動ローラ212とを同径とし、かつ直径14mm以上として構成した。
【0024】
本例では、転写装置200には、テンションローラ211には、このテンションローラ211を軸215aで保持する保持手段215が水平方向に設置され、この保持手段215には、テンションローラ211に向けて、画像読取センサ216を設置している。これにより、中間転写ベルト230上のトナー像を検出することができる。
【0025】
本例では、テンションローラ211に対向して画像読取センサ216を設置するようにしたため、画像読取センサ用のローラを必要としない。このため、中間転写ベルト230をベルト駆動ローラ212とテンションローラ211の2軸だけで張架する構成とすることができ、転写装置200を低コストで省サイズを達成することができる。また、テンションローラ211を、最下流の感光体201と2次転写部との間に配置していることから、画像読取センサ216による画像検出を2次転写前で行うことができるため、2次転写ローラの離接機構を除外することができ、更に低コストで省サイズを達成できる。
【0026】
更に、本例では、テンションローラ径を駆動ローラ径と同一としているので、テンションローラが何らかの影響で駆動の役割を果たした際にもテンションローラの周期ムラを感光体間ピッチで吸収することができるため、色ずれを防ぐことができる。また、テンションローラ径を14mm以上としているので、画像検出精度を確保することができる。
【0027】
次に本発明に係る転写装置の第2の実施例について説明する。図3は本発明に係る転写装置の他の例を示すものである。本例の転写装置300は、前記例と同様に4つの感光体301,302,303,304、1次転写ローラ305,306,307,308、テンションローラ311、ベルト駆動ローラ312、2次転写ローラ320、クリーナユニット313、中間転写ベルト330を備えている。
【0028】
本例では、テンションローラ311は、テンションローラ311の上方に延設される保持手段315で保持され、保持手段315は画像読取センサ316をテンションローラ311の上方に配置するようにしている。本例によれば、転写装置200の幅方向寸法及び縦方向寸法を大きくすることなく画像読取センサ316を配置することができる。即ち、画像読取センサ316を配置する位置としては、鉛直上方から鉛直下方まであるが、上述した第1の実施例では装置幅方向寸法が増加し、鉛直下方に設置した場合には装置の縦幅が増加することとなる。感光体301,302,303,304が配置されている、中間転写ベルト330配置することとし中間転写ベルトユニットの横幅、縦幅とも最小限で構成可能名構成とした。
【0029】
次に本発明に係る転写装置の第3の実施例について説明する。図4は本発明に係る転写装置の他の例を示すものである。本例では、転写装置400は前記例と同様に4つの感光体401,402,403,404、1次転写ローラ405,406,407,408、テンションローラ411、ベルト駆動ローラ412、2次転写ローラ420、クリーナユニット413、転写ベルト430を備えている。
本例では、画像読取センサ416を取付けた保持手段415を装置筐体417に組み付け、保持手段415を縦方向には固定すると共に、テンションローラ411の付勢方向即ち横方向に移動可能となるよう、装置筐体417には保持手段415の移動可能個所417aを形成している。本例によれば、画像読取センサ416は横方向(図中矢印で示した)にのみ移動することができる。また、画像読取センサ416と中間転写ベルト430の相対位置を一定に保つことができるため、位置ずれに弱い画像読取センサ416センサの欠点を克服し、検出精度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施例に係る画像形成装置の構成を示す断面図である。
【図2】図1に示した画像形成装置の転写装置の構成を示す正面図である。
【図3】第2の実施例に係る転写装置の構成を示す正面図である
【図4】第3の実施例に係る転写装置の構成を示す正面図である。
【図5】従来の転写装置の構造を示す正面図である。
【符号の説明】
【0031】
100・・・画像形成装置
110・・・原稿搬送部
120・・・画像形成部
130・・・給紙部
140・・・部
150・・・露光装置
160・・・両面反転ユニット
170・・・排紙トレイ
200・・・転写装置
201,202,203,204・・・感光体
205,206,207,208・・・1次転写ローラ
211・・・テンションローラ
212・・・ベルト駆動ローラ
213・・・クリーナユニット
214・・・用紙
215・・・保持手段
215a・・・軸
216・・・画像読取センサ
220・・・2次転写ローラ
230・・・中間転写ベルト
300・・・転写装置
301,302,303,304・・・感光体
305,306,307,308・・・1次転写ローラ
311・・・テンションローラ
312・・・ベルト駆動ローラ
313・・・クリーナユニット
315・・・保持手段
316・・・画像読取センサ
320・・・2次転写ローラ
330・・・中間転写ベルト
400・・・転写装置
401,402,403,404・・・感光体
405,406,407,408・・・1次転写ローラ
411・・・テンションローラ
412・・・ベルト駆動ローラ
413・・・クリーナユニット
415・・・保持手段
416・・・画像読取センサ
417・・・装置筐体
417a・・・移動可能個所
420・・・2次転写ローラ
430・・・転写ベルト


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の像担持体と、無端の転写ベルトと、前記転写ベルトを張架するテンションローラと、前記転写ベルトを駆動する駆動ローラと、前記テンションローラに張架力を付与する付勢手段と、前記テンションローラを保持する保持手段とを備えた転写装置において、
前記保持手段に設けられ、前期転写ベルトを介して、前記テンションローラに対向して、画像読取センサを備えたことを特徴とする転写装置。
【請求項2】
前記転写ベルトは、前記駆動ローラと前記テンションローラの2本のローラで張架されており、前記テンションローラ径と前記駆動ローラ径とを同一としたことを特徴とする請求項1の転写装置。
【請求項3】
前記テンションローラ径は直径14mm以上であることを特徴とする請求項1又は2の転写装置。
【請求項4】
前記画像読取センサを前記テンションローラの鉛直上方に設置したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかの転写装置。
【請求項5】
前記無端の転写ベルト、テンションローラ、駆動ローラ、付勢手段及び保持手段は装置筐体内に配置され、前記保持手段は、前記装置筐体に組み付けられ、前記画像読取センサと前記転写ベルトとの相対位置を一定に確保したことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかの転写装置。
【請求項6】
前記駆動ローラに対向して配置する2次転写ローラが、前記転写ベルトに常時当接することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかの転写装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかの転写装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−187700(P2007−187700A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−3225(P2006−3225)
【出願日】平成18年1月11日(2006.1.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【出願人】(302057199)リコープリンティングシステムズ株式会社 (1,130)
【Fターム(参考)】