転動体の計数方法及び計数装置
【課題】 切り出し数に応じたセット替えの必要がなく、転動体のキズの発生を防止・低減でき、さらに計数ミスを解消することができる転動体の計数方法及び計数装置を提供する。
【解決手段】 円筒部材13の周面に設けられ、入口側においてリードが徐々に増加する螺旋状の溝16によって転動体Wを支持しながら、円筒部材13を回転することで転動体Wを搬送する工程と、円筒部材13の回転状態を制御することで、円筒部材13から搬出される転動体Wを計数する工程とを備える。
【解決手段】 円筒部材13の周面に設けられ、入口側においてリードが徐々に増加する螺旋状の溝16によって転動体Wを支持しながら、円筒部材13を回転することで転動体Wを搬送する工程と、円筒部材13の回転状態を制御することで、円筒部材13から搬出される転動体Wを計数する工程とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転動体の計数方法及び計数装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、転動体の数を所定数切り出して、転がり軸受やボールねじ等に転動体を供給するボール搬送機構が知られている。このようなボール搬送機構において、転動体の数を計数する方法としては、所定の転動体の大きさと必要個数に合せた幅と長さの溝により、整列された転動体を所定数づつ切り出すことが知られている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【0003】
一方、ウォームギアやスクリューを用いて、缶等の容器を所定の間隔に位置決めして搬送するものが知られている(例えば、特許文献3〜5参照。)。また、スクリューを用いてパチンコ機の景品球を払い出す装置が知られており(例えば、特許文献6〜11参照。)、特許文献6〜10に記載の払い出し装置では、スクリューから落下した景品球をセンサで検出している。また、特許文献8〜10に記載の払い出し装置では、高速で大量に景品球を切り出すため、一本のウォームの回転で複数列の球が切り出され、その後合流させている。
【特許文献1】特開2000−188086号公報
【特許文献2】特開平9−299887号公報
【特許文献3】特開2000−118675号公報
【特許文献4】特開2000−229718号公報
【特許文献5】特開2000−109210号公報
【特許文献6】実開昭63−32581号公報
【特許文献7】特許第2696589号公報
【特許文献8】特許第2952082号公報
【特許文献9】特開2000−202116号公報
【特許文献10】特開2001−157760号公報
【特許文献11】特開平3−55086号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1及び2に記載のボール搬送機構では、搬送ワークである転動体毎に計数装置がセットされるため、転動体のサイズや切り出し数が変わると計数装置のセット替えや、それに応じた部品交換が必要であった。
【0005】
また、特許文献2〜11に記載の搬送装置では、ウォームやスクリューによる噛み込みや搬送ワーク同士の衝突によるワークのキズに対して十分な配慮がなされていなかった。特に、入口から出口まで等リードの螺旋溝による搬送方法では、ワークが円筒部材内へ入る際に停止と進行を繰り返すため、円筒部材やワークへ負担がかかると同時に、円筒部材前にストックされるワーク同士が衝突し、また、それによる跳ね返りでワーク間隔が拡大してワークが円筒部材内へ不連続で入ったり、ワークキズ発生や、円筒部材回転機構への連続、且つ過度な負担による回転機構破損の原因となったりする。さらに、特許文献6〜10に記載の払い出し装置では、スクリュー後のセンサにより球数を検出していたので、誤作動や停止遅れによる計数ミスを生じるという問題があった。
【0006】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、切り出し数に応じたセット替えの必要がなく、転動体のキズの発生を防止・低減でき、さらに計数ミスを解消することができる転動体の計数方法及び計数装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 円筒部材の周面に設けられ、入口側においてリードが徐々に増加する螺旋状の溝によって転動体を支持しながら、前記円筒部材を回転することで該転動体を搬送する工程と、
前記円筒部材の回転状態を制御することで、前記円筒部材から搬出される前記転動体を計数する工程と、
を備えたことを特徴とする転動体の計数方法。
(2) 前記搬送工程は、前記リードが入口側において徐々に増加し、出口側において徐々に減少する前記螺旋状の溝によって前記転動体を支持することを特徴とする(1)に記載の転動体の計数方法。
(3) 前記円筒部材の入口より上流に貯留される前記転動体を検知する貯留玉検知センサによって、貯留される前記転動体の量を制御する工程をさらに備えたことを特徴とする(1)又は(2)に記載の転動体の計数方法。
(4) 入口側においてリードが徐々に増加された螺旋状の溝が周面に形成される回転可能な円筒部材と、
該円筒部材を回転駆動する駆動部と、
前記円筒部材の回転によって搬出される転動体を計数するように前記駆動部の回転を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする転動体の計数装置。
(5) 前記螺旋状の溝は、前記リードが入口側において徐々に増加し、出口側において徐々に減少することを特徴とする(4)に記載の転動体の計数装置。
(6) 前記円筒部材の入口より上流に貯留される前記転動体を検知する貯留玉検知センサをさらに備えたことを特徴とする(4)又は(5)に記載の転動体の計数装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明の転動体の計数方法及び計数装置によれば、入口側においてリードが徐々に増加された螺旋状の溝が周面に形成される回転可能な円筒部材を設け、この螺旋状の溝によって転動体を支持しながら、円筒部材を回転することで転動体を搬送するので、円筒部材の回転によって任意の個数の転動体を搬送することができ、切り出し数に応じたセット替えの必要がなく、且つ、転動体を円筒部材内へスムーズに導くことができるため、噛み込み等による転動体のキズの発生を防止・低減できる。
【0009】
さらに、円筒部材を回転駆動する駆動部と、円筒部材の回転によって搬出される転動体を計数するように駆動部の回転を制御する制御部とを備え、円筒部材の回転状態を制御することで、円筒部材から搬出される転動体を計数するようにしたので、所定数の転動体が確実に切り出され計数ミスを解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の各実施形態に係る転動体の計数方法及び計数装置について図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
(第1実施形態)
まず、図1及び図2を参照して、本発明の第1実施形態に係る転動体の計数方法及び計数装置について説明する。
【0012】
本実施形態の転動体の計数装置10は、制御部11に接続された駆動部であるモータ12と、モータ12によって矢印Aの方向に回転駆動される円筒部材13と、円筒部材13の外周面に対向して円筒部材13の回転軸方向に沿って延びるように配置され、一列に整列された転動体である玉Wを支持する搬送路である搬送シュート14とを備える。
【0013】
円筒部材13には、その外周面から径方向に突出する螺旋状の突起15が設けられており、入口側からリードが徐々に増加する螺旋状の溝16を構成している。螺旋状の溝16は、円筒部材13の矢印A方向の回転によって玉Wが搬送シュート14に沿って搬送される方向に形成されている。
【0014】
搬送シュート14は、円筒部材13の外周面と対向し、一列のL字状の溝17aを有する搬送部17と、円筒部材13の入口より上流で玉Wを貯留する転動体ストック部18と、円筒部材13の出口より下流で搬送部17から搬出された玉Wを次工程へ搬送する搬出部19とを備える。転動体ストック部18は、断面略コの字状の溝に形成され、搬送部17へ転動体Wを円滑に供給するよう傾斜面18aを有する。搬出部19もまた、断面略コの字状の溝に形成され、切り出される玉Wのサイズに応じた溝幅を有する。なお、本実施形態では、搬送部17と搬出部19の傾斜角度は、転動体ストック部18の傾斜面18aの傾斜角度と同一としているが、それぞれ異ならせてもよい。また、傾斜角度は玉Wのサイズや周辺の機械等に応じて任意に設定される。
【0015】
また、円筒部材13の入口側端部13aの外周面と対向する位置には、円筒部材13の回転回数をカウントするためのカウンター用センサ20が設置されており、円筒部材13の入口側端部13aの外周面に設けられた非検出部21を検知する。
【0016】
また、円筒部材13の出口付近で、円筒部材13及び搬送シュート14と干渉しない位置には、円筒部材13の出口における玉Wを検知可能な転動体検知センサ22が設置されている。転動体検知センサ22は、セット・ロット替え等により、玉Wを円筒部材13と搬送部19との間に充填する作業が必要となった際、玉Wの充填を確認する。
【0017】
カウンター用センサ20及び転動体検知センサ22は制御部11に接続されており、制御部11は、これらのセンサ20,22から得られた情報に基いて、モータ12の回転駆動や転動体ストック部18への玉Wの供給等を制御する。
【0018】
ここで、本実施形態における転動体の計数方法について説明する。
まず、図示しないホッパーから玉Wが搬送シュート14の転動体ストック部18に供給される。転動体ストック部18に玉Wが供給されると、玉Wは、円筒部材13の回転軸方向に沿って円筒部材13内に流入されるべく、傾斜面18a上を円筒部材13の入口まで移動する。
【0019】
次に、制御部11がモータ12を駆動することで円筒部材13を所定の回転速度で回転する。円筒部材13が回転すると、円筒部材13の入口に位置する玉Wは、円筒部材13の螺旋状の溝16と搬送部17のL字状の溝17aとの間で支持されながら、L字状の溝17aを横切る螺旋状の溝16、具体的には、溝16を構成する螺旋状の突起15によって、L字状の溝17aに沿って徐々に出口側に向かって移動する。
【0020】
また、円筒部材13の螺旋状の溝16は、そのリードが徐々に増加するようにして形成されているので、円筒部材13の螺旋状の突起15が出口方向に向かって次第に大きくなる。この突起15により、密着した状態でストックされている玉Wは、間隔を広げながら、減速や停止することなくスムーズに出口へ進行し、螺旋状の溝16のうち、L字状の溝17aによって横切られる溝部分に1個づつ玉Wが収納される。また、これにより、1本の円筒部材13で何種類かのサイズの玉Wの搬送を許容できる。
【0021】
そして、カウンター用センサ20が円筒部材13の回転回数を検知すると、制御部11は円筒部材13の回転回数に応じて玉Wの計数を行なう。その後、制御部11が所定の回転回数をカウントすると、所定数の玉Wの切り出しが行なわれたと判断し、モータ12の回転を停止する。
【0022】
このようにして切り出された玉Wは、搬送シュート14の搬出部19により一列に整列されて次工程に送り出される。搬出部19では、途中で、玉Wが合流すること等がないため、搬送シュート14での玉同士による詰まりを防止することができる。
【0023】
なお、本実施形態では、径が2〜20mmの玉Wが使用され、玉Wのサイズに応じて溝底径(外周面の径)20〜45mm、外径(螺旋状の突起の径)35〜55mmの円筒部材13や搬送シュート14が選択される。なお、円筒部材13と玉Wとの最大の芯間距離、即ち、円筒部材13と搬送シュート14に接している時の玉Wとの芯間距離が一定に保たれる場合において、一本の円筒部材13は搬送シュート14を交換することで何種類かのサイズの玉Wの搬送を許容する。また、切り出す玉Wのサイズが変更される際、螺旋状の溝16の溝幅が玉Wのサイズに適応できない場合には、円筒部材13が交換される。
【0024】
従って、本実施形態の転動体の計数方法および計数装置によれば、入口側においてリードが徐々に増加された螺旋状の溝16が周面に形成された回転可能な円筒部材13を設け、螺旋状の溝16によって玉Wを支持しながら、円筒部材13を回転することで玉Wを搬送するので、円筒部材13の回転によって任意の個数の玉Wを搬送することができ、切り出し数に応じたセット替えの必要がなく、且つ、玉Wを円筒部材13内へスムーズに導くことができ、噛み込み等による玉Wのキズの発生を防止・低減できる。さらに、円筒部材13を回転駆動するモータ12と、モータ12の回転を制御する制御部11とを備え、円筒部材13の回転状態を制御することで、円筒部材13から搬出される玉Wを計数するようにしたので、所定数の玉Wが確実に切り出され、計数ミスを解消することができる。また、回転速度や間欠運転のタイミングの制御により、任意の個数を周辺状況に合せて任意の時間で搬出することができる。
【0025】
また、円筒部材13の出口に転動体検知センサ22を設置するようにしたので、セット・ロット替え等により、玉Wを円筒部材13と搬送部19との間に充填する作業が必要となった際、玉Wの充填を確認することができる。
【0026】
なお、本実施形態の円筒部材13の回転状態の制御では、カウンター用センサ20によって円筒部材13の回転回数を監視し、回転回数をカウントしてモータ12を停止しているが、制御部11がモータ12を所定の回転速度と所定の回転時間で運転し、カウンター用センサ20によって円筒部材13の回転回数を監視し、回転回数を確認するようにしてもよい。
【0027】
また、搬送シュート14は円筒部材13の斜め下方に配置されるようにしたので、搬送部17の溝をL字状の溝17aとしたが、搬送シュート14を円筒部材13の真下に配置する場合には、図1(b)に点線で示すように、搬送部17の溝をV溝17’としてもよい。この場合、玉Wのサイズが変更となった場合でも、円筒部材13と玉Wとの芯間距離が一定に保たれるように位置調整することで、搬送シュート14の交換が不要となる。
【0028】
(第2実施形態)
次に、図3及び図4を参照して本発明の第2実施形態に係る転動体の計数方法及び計数装置について説明する。なお、第1実施形態と同等部分については、同一の符号を付して説明を省略あるいは簡略化する。
【0029】
本実施形態の転動体の計数装置30では、搬送シュート31の搬送部32は、玉Wと上面33aで当接する固定部材33と、玉Wと側面34aで当接する可動部材34とを備える。可動部材34は、制御部11に接続されるアクチュエータ35によって固定部材33と離接するように水平方向に移動可能である。
【0030】
図3に示すような玉径を有する玉Wを搬送する場合には、制御部11がアクチュエータ35を駆動して、可動部材34を固定部材33と接触させる。これにより、玉Wは、円筒部材13の螺旋状の溝16と、固定部材33の上面33aと可動部材34の側面34aとで構成される溝とで支持される。
【0031】
従って、円筒部材13が回転すると、玉Wは、円筒部材13の螺旋状の溝16と、固定部材33の上面33aと可動部材34の側面34aとで構成される溝とで支持されながら、これら両面33a,34aを横切る螺旋状の溝16によって搬送部32に沿って徐々に出口側に向かって移動する。
【0032】
また、図4に示すような図3より大きな玉径を有する玉W’を切り出す際には、制御部11がアクチュエータ35を駆動して、可動部材34を固定部材33から離間させる。これにより、玉W’は、円筒部材13の螺旋状の溝16と、固定部材33の上面33aと可動部材34の側面34aとで構成される溝とで支持され、円筒部材13を回転することで、搬送部32に沿って徐々に出口側に向かって移動する。
【0033】
従って、切り出す玉Wのサイズを変更する際、ある特定の円筒部材に対して、円筒部材13と玉Wとの最大の芯間距離が一定に保たれるように、可動部材34をアクチュエータ35によって駆動することで、円筒部材13と玉Wとの芯間距離を最適に保つことができ、搬送シュート31を交換する必要がない。これにより、従来、転動体の数、サイズ毎に所有していた部品を削減でき、セット替えの時間や手間を削減できる。ただし、切り出す玉Wのサイズが変更される際、螺旋状の溝16の溝幅が玉Wのサイズに適応できない場合には、円筒部材13を交換する。
なお、その他の構成及び作用については、第1実施形態のものと同様である。
【0034】
(第3実施形態)
次に、図5及び図6を参照して本発明の第3実施形態に係る転動体の計数方法及び計数装置について説明する。なお、第1実施形態と同等部分については、同一の符号を付して説明を省略あるいは簡略化する。
【0035】
本実施形態の転動体の計数装置40では、円筒部材13と径方向に対向して配置された搬送シュート41の搬送部42が傾斜面42aを有している。搬送部42は、螺旋状の溝16の溝底である円筒部材13の外周面と搬送部42の傾斜面42aとの間で玉Wを支持するため、傾斜面42aの少なくとも一部が円筒部材13の中心より上方に位置するように配置されている。
【0036】
従って、円筒部材13が回転すると、玉Wは円筒部材13の螺旋状の溝16と搬送部42の傾斜面42aとの間で支持されながら、傾斜面42aを横切る螺旋状の溝16によって、搬送部42に沿って徐々に出口側に向かって移動する。
【0037】
また、図6に示すような図5より大きな玉径を有する玉W’を切り出す際にも、玉W’は、螺旋状の溝16の溝底である円筒部材13の外周面と、搬送部42の傾斜面42aとの間に支持され、円筒部材13や搬送シュート14をそのまま使用することができ、セット替えの必要がない。これにより、従来、転動体の数、サイズ毎に所有していた部品を削減でき、セット替えの時間や手間を削減できる。ただし、切り出す玉Wのサイズが変更される際、螺旋状の溝16の溝幅が玉Wのサイズに適応できない場合には、円筒部材13を交換する。
なお、その他の構成及び作用については、第1実施形態のものと同様である。
【0038】
(第4実施形態)
次に、図7を参照して本発明の第4実施形態に係る転動体の計数方法及び計数装置について説明する。なお、第1実施形態と同等部分については、同一の符号を付して説明を省略あるいは簡略化する。
【0039】
本実施形態の転動体の計数装置50では、転動体ストック部18の上方に、円筒部材13の入口より上流の転動体ストック部18に貯留される玉Wの量を制御するため、傾斜面18a上の玉を検知する第1及び第2の貯留玉検知センサ51,52が配置されている。第1の貯留玉検知センサ51は、第2の貯留玉検知センサ52よりも傾斜面18aの上流に配置されている。第1及び第2の貯留玉検知センサ51,52もまた、制御部11に接続されており、制御部11は、転動体ストック部18への玉Wの供給を制御する。
【0040】
本実施形態の転動体の計数方法においては、玉Wを転動体ストック部18へ供給する際、第1の貯留玉検知センサ51が所定量の玉Wが供給されたことを検知すると、制御部11はホッパーからの玉Wの供給を停止する。
【0041】
また、玉Wを計数している際には、第1の貯留玉検知センサ51がその下方の位置まで玉Wがストックされたことを検知すると、制御部11はホッパーからの供給を停止し、第2の貯留玉検知センサ52がその下方の位置に玉Wがないことを検知すると、制御部11はホッパーからの玉Wの供給を開始する。これにより、ストックされる玉Wの量を規制できることから、円筒部材13の入口に位置する玉Wに加わる荷重を制御でき、玉Wへの負担を軽減できる。同時に、ストックされた玉Wによる円筒部材13に加わる荷重も制御できるので、円筒部材13への負担も軽減できる。従って、玉Wのスムーズな搬送が与えられると共に、玉キズや円筒部材13の損傷を防止することができる。
なお、その他の構成及び作用については、第1実施形態のものと同様である。
【0042】
(第5実施形態)
次に、図8を参照して本発明の第5実施形態に係る転動体の計数方法及び計数装置について説明する。なお、第1実施形態と同等部分については、同一の符号を付して説明を省略あるいは簡略化する。
【0043】
本実施形態の計数装置60では、搬送シュート14の転動体ストック部18の傾斜面18a上にエアノズル61が配置されている。エアノズル61は、エア供給源62から供給されたエアを、供給される玉Wの移動方向と逆方向へ流出する。
【0044】
玉Wは、傾斜した転動体ストック部18を自重により移動するが、転動体ストック部18が長いと傾斜面18aが緩やかであっても、玉Wの速度が増大し、玉W同士の衝突や円筒部材13と玉Wの衝突により玉キズが発生する可能性がある。このため、上記のように玉Wの移動方向と逆方向からエアを流すことで、玉Wの移動速度を短距離、且つ短時間で減速させることができ、玉キズの発生を抑制できる。また、エアの流量や速度を変更することで、玉Wの移動速度を任意に減速することも可能である。
【0045】
なお、エアノズル61は、転動体ストック部18上であれば任意に配置可能であり、円筒部材13の入口付近に配置されてもよい。
その他の構成及び作用については、第1実施形態のものと同等である。
【0046】
(第6実施形態)
次に、図9を参照して本発明の第6実施形態に係る転動体の計数方法及び計数装置について説明する。なお、第1実施形態と同等部分については、同一の符号を付して説明を省略あるいは簡略化する。また、図9では、本実施形態の特徴である円筒部材以外の構造は省略あるいは簡略化される。
【0047】
本実施形態の転動体の計数装置70では、円筒部材71の外周面に形成される螺旋状の突起72は、螺旋状の溝73のリードが、入口側において徐々に増加し、出口側において徐々に減少するように形成されている。
【0048】
従って、円筒部材71の入口側において螺旋状の溝73のリードが徐々に増加することで、玉Wは円筒部材71内にスムーズに導かれ、また、出口側においてリードが徐々に減少することで、円筒部材71から切り出される玉Wの初期速度を小さくする。これにより、円筒部材71の出口において、円筒部材71から切り出された玉W同士やその周辺部分との衝突による衝撃を和らげ、玉キズの発生を抑えることができる。
なお、その他の構成及び作用については、第1実施形態のものと同様である。
【0049】
(第7実施形態)
次に、図10を参照して本発明の第7実施形態に係る転動体の計数方法及び計数装置について説明する。なお、第1実施形態と同等部分については、同一の符号を付して説明を省略あるいは簡略化する。また、図10では、本実施形態の特徴である円筒部材及び搬送シュート以外の構造は、省略あるいは簡略化される。
【0050】
本実施形態の転動体の計数装置80では、円筒部材81は、入口側から出口側に向かって拡径するような略円錐台形状を有すると共に、入口側から出口側に向かって溝幅とリードを徐々に増加する螺旋状の溝82が形成されている。また、円筒部材81と径方向で対向して配置される搬送シュート83は、円筒部材81の下方に配置され、搬送シュート83の搬送部84は、入口側から出口側に向かって下方に傾斜したV溝84aを有する。
【0051】
従って、モータ12の駆動により円筒部材81が回転すると、玉Wは円筒部材81の螺旋状の溝82と搬送部84のV溝84aとの間で支持されながら、V溝84aを横切る螺旋状の溝82によって、搬送部84に沿って徐々に出口側に向かって移動する。
【0052】
また、図10(b)に示すような図10(a)より大きな玉径の玉W’を切り出す際には、搬送シュート83の搬送部84の位置を下方かつ前方へシフトさせ、玉径と適合する溝幅を有する位置を流入位置とし、そこから円筒部材81内へ玉Wを搬送するようにして、玉W’の計数を行なう。
【0053】
従って、玉Wのサイズに応じて、流入位置を変えるだけで玉Wの計数が可能で、円筒部材81の交換が不要となる。なお、玉Wを変更した際の搬送シュート83のシフトは、別な搬送シュートに交換してもよく、あるいは、アクチュエータ等を用いて移動させてもよい。
なお、その他の構成及び作用については、第1実施形態のものと同様である。
【0054】
(第8実施形態)
次に、図11を参照して本発明の第8実施形態に係る転動体の計数方法及び計数装置について説明する。なお、第1実施形態と同等部分については、同一の符号を付して説明を省略あるいは簡略化する。また、図11では、本実施形態の特徴である円筒部材以外の構成は、省略あるいは簡略化される。
【0055】
本実施形態の転動体の計数装置90は、モータ91によって回転駆動される中空の円筒部材92を備えており、円筒部材92には内周面に螺旋状の溝93を構成するように内向きの螺旋状の突起94が形成されている。螺旋状の溝93は、入口側においてリードが徐々に増加するように構成されている。
【0056】
中空の円筒部材92内には、搬送シュート95が挿入されており、搬送シュート95の搬送部96は断面略L字状の溝96aを有する。これにより、搬送シュート95によって供給された玉Wは、螺旋状の溝93とL字状の溝96aとの間で支持される。この状態で、円筒部材92が回転すると、L字状の溝96aを横切る螺旋状の溝93によって、搬送部96に沿って出口側に向かって移動する。
その他の構成及び作用については、第1実施形態のものと同様である。
【0057】
(第9実施形態)
次に、図12及び図13を参照して本発明の第9実施形態に係る転動体の計数方法及び計数装置について説明する。なお、第1実施形態と同等部分については、同一の符号を付して説明を省略あるいは簡略化する。
【0058】
本実施形態の転動体の計数装置100は、一対の円筒部材101,102を備えると共に、一対の円筒部材101,102の中間位置の下方には、搬送シュート103のV溝104aを有する搬送部104が配置されている。一対の円筒部材101,102は、互いに逆方向に螺旋状の溝105,106を構成するように、外周面に螺旋状の突起107,108を有する。各螺旋状の溝105,106は、円筒部材101,102の入口側において、リードを徐々に増加する。
【0059】
一対の円筒部材101,102には、制御部109によって駆動される一対のモータ110,111が接続されており、一対の円筒部材101,102を互いに逆方向に回転する。また、一対の円筒部材101,102の入口側端部101a,102aの外周面と対向する位置には、円筒部材101,102の回転回数をカウントするためのカウンター用センサ112,113がそれぞれ配置されており、円筒部材101,102の入口側端部101a,102aの外周面に設けられた非検出部114,115を検知する。
【0060】
また、一対の円筒部材101,102間の出口付近で、円筒部材101,102及び搬送シュート103と干渉しない位置には、円筒部材101,102間の出口における玉Wを検知可能な転動体検知センサ116が配置されている。転動体検知センサ116は、セット・ロット替え等により、玉Wと円筒部材101,102及び搬送部104との間に充填する作業が必要となった際、玉Wの充填を確認する。
【0061】
カウンター用センサ112,113及び転動体検知センサ116は制御部109に接続されており、制御部109は、これらのセンサ112,113,116から得られた情報に基づいて、モータ110,111の回転駆動や転動体ストック部18への玉Wの供給等を制御する。
【0062】
本実施形態の転動体の計数方法では、制御部109がモータ110,111を駆動して、一対の円筒部材101,102を所定の回転速度で互いに逆方向に回転駆動させる。これにより、玉Wは、互いの螺旋状の溝105,106と搬送シュート103の搬送部104とで支持されながら、搬送部104のV溝104aを横切る螺旋状の溝105,106によってV溝104a上を移動する。
【0063】
そして、カウンター用センサ112,113が円筒部材101,102の回転回数を検知すると、制御部109は円筒部材101,102の回転回数に応じて玉Wの計数を行なう。その後、制御部109が所定の回転回数をカウントすると、所定数の玉Wの切り出しが行なわれたと判断し、モータ110,111の回転を停止する。
【0064】
また、図13に示すような図12より大径の玉W’を搬送する場合には、図13に示されるように、一対の円筒部材101,102の芯間距離および位置を変えることで、玉WW’の計数を行なうことができ、円筒部材101,102や搬送シュート103のセット替えを削減できる。
【0065】
なお、図12(b)及び図13(b)に点線で示すように、玉Wは一対の円筒部材101,102間の上方で搬送されるようにしてもよく、この場合には、搬送シュートは搬送部104において不要とすることができる。ただし、一対の円筒部材101,102間の上方に位置する玉W,W’が浮き上がることを防止するため、玉W,W’の上方に逆V溝状の玉押さえ部材117を配置するようにしてもよい。
その他の構成及び作用については、第1実施形態のものと同様である。
【0066】
(第10実施形態)
次に、図14を参照して本発明の第10実施形態に係る転動体の計数方法及び計数装置について説明する。なお、第1実施形態と同等部分については、同一の符号を付して説明を省略あるいは簡略化する。また、図14では、本実施形態の特徴であるモータと円筒部材間に配置される機構以外の構成は、省略あるいは簡略化される。
【0067】
上記の各実施形態では、各円筒部材はモータに直接接続されていたが、本実施形態の転動体の計数装置120では、駆動部であるモータ121を駆動プーリ122に接続するとともに、円筒部材123を従動プーリ124に接続し、駆動プーリ122と従動プーリ124とをベルト125で連結するようにする。さらに、駆動プーリ122と従動プーリ124間のベルト125には、ばね等の弾性部材126によって移動可能な中間プーリ127が当接されており、ベルト125に所定のテンションを付与している。
【0068】
これにより、図14(b)に示すように、円筒部材123と接続された従動プーリ124が何らかの理由で停止した場合には、中間プーリ127が弾性部材126の張力によって下方に移動することで、ベルト125が緩み、従動プーリ124と駆動プーリ122の回転が非同期となり、最終的にはベルト125が外れ、円筒部材123へのモータ121からの駆動力の伝達が防止される。
【0069】
これにより、円筒部材123が何らかの理由で玉Wを噛み込んだ場合でも、円筒部材123を強引に回転、搬送、計数することがなく、計数装置の円筒部材やその他の周辺部材の破損を抑制し、噛み込みキズによる不良な転動体の切り出しを防止することができる。また、円筒部材123とモータ121の回転は常に制御部128で監視されているので、回転が非同期になるとモータ121は瞬時に停止する。
なお、モータ121及び円筒部材123は、上記の各実施形態のいずれのモータ及び円筒部材であってもよい。
【0070】
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が可能である。また、前述した各実施形態は、実施可能な範囲において組み合わせて使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1実施形態に係る転動体の計数装置を模式的に示し、(a)は側面図で、(b)は(a)のI-I断面図である。
【図2】図1(a)のIIから見た上面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る転動体の計数装置を模式的に示し、(a)は部分的な側面図で、(b)は(a)のIII-III断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る転動体の計数装置を模式的に示し、(a)は部分的な側面図で、(b)は(a)のIV-IV断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る転動体の計数装置を模式的に示し、(a)は部分的な側面図で、(b)は(a)のV-V断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る転動体の計数装置を模式的に示し、(a)は部分的な側面図で、(b)は(a)のVI-VI断面図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係る転動体の計数装置の模式図である。
【図8】本発明の第5実施形態に係る転動体の計数装置の模式図である。
【図9】本発明の第6実施形態に係る転動体の計数装置の部分的な模式図である。
【図10】本発明の第7実施形態に係る転動体の計数装置の一部を模式的に示し、(a)は小径の玉が計数される状態を示す側面図であり、(b)は大径の玉が計数される状態を示す側面図である。
【図11】本発明の第8実施形態に係る転動体の計数装置の部分的な模式図である。
【図12】本発明の第9実施形態に係る転動体の計数装置を模式的に示し、(a)は部分的な上面図で、(b)は(a)のXII-XII断面図である。
【図13】本発明の第9実施形態に係る転動体の計数装置を模式的に示し、(a)は部分的な上面図で、(b)は(a)のXIII-XIII断面図である。
【図14】本発明の第10実施形態に係る転動体の計数装置の駆動部分を模式的に示し、(a)は駆動力伝達状態を示す図で、(b)は駆動力伝達不能状態を示す図である。
【符号の説明】
【0072】
10,30,40,50,60,70,80,90,100,120 計数装置
11,109,128 制御部
12,91,110,111,121 モータ
13,71,81,92,101,102,123 円筒部材
14,31,41,83,95,103 搬送シュート
15,72,94,107,108 螺旋状の突起
16,73,82,93,105,106 螺旋状の溝
17,32,42,84,96,104 搬送部
18 転動体ストック部
19 搬出部
20,112,113 カウンター用センサ
22,116 転動体検知センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、転動体の計数方法及び計数装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、転動体の数を所定数切り出して、転がり軸受やボールねじ等に転動体を供給するボール搬送機構が知られている。このようなボール搬送機構において、転動体の数を計数する方法としては、所定の転動体の大きさと必要個数に合せた幅と長さの溝により、整列された転動体を所定数づつ切り出すことが知られている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【0003】
一方、ウォームギアやスクリューを用いて、缶等の容器を所定の間隔に位置決めして搬送するものが知られている(例えば、特許文献3〜5参照。)。また、スクリューを用いてパチンコ機の景品球を払い出す装置が知られており(例えば、特許文献6〜11参照。)、特許文献6〜10に記載の払い出し装置では、スクリューから落下した景品球をセンサで検出している。また、特許文献8〜10に記載の払い出し装置では、高速で大量に景品球を切り出すため、一本のウォームの回転で複数列の球が切り出され、その後合流させている。
【特許文献1】特開2000−188086号公報
【特許文献2】特開平9−299887号公報
【特許文献3】特開2000−118675号公報
【特許文献4】特開2000−229718号公報
【特許文献5】特開2000−109210号公報
【特許文献6】実開昭63−32581号公報
【特許文献7】特許第2696589号公報
【特許文献8】特許第2952082号公報
【特許文献9】特開2000−202116号公報
【特許文献10】特開2001−157760号公報
【特許文献11】特開平3−55086号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1及び2に記載のボール搬送機構では、搬送ワークである転動体毎に計数装置がセットされるため、転動体のサイズや切り出し数が変わると計数装置のセット替えや、それに応じた部品交換が必要であった。
【0005】
また、特許文献2〜11に記載の搬送装置では、ウォームやスクリューによる噛み込みや搬送ワーク同士の衝突によるワークのキズに対して十分な配慮がなされていなかった。特に、入口から出口まで等リードの螺旋溝による搬送方法では、ワークが円筒部材内へ入る際に停止と進行を繰り返すため、円筒部材やワークへ負担がかかると同時に、円筒部材前にストックされるワーク同士が衝突し、また、それによる跳ね返りでワーク間隔が拡大してワークが円筒部材内へ不連続で入ったり、ワークキズ発生や、円筒部材回転機構への連続、且つ過度な負担による回転機構破損の原因となったりする。さらに、特許文献6〜10に記載の払い出し装置では、スクリュー後のセンサにより球数を検出していたので、誤作動や停止遅れによる計数ミスを生じるという問題があった。
【0006】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、切り出し数に応じたセット替えの必要がなく、転動体のキズの発生を防止・低減でき、さらに計数ミスを解消することができる転動体の計数方法及び計数装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 円筒部材の周面に設けられ、入口側においてリードが徐々に増加する螺旋状の溝によって転動体を支持しながら、前記円筒部材を回転することで該転動体を搬送する工程と、
前記円筒部材の回転状態を制御することで、前記円筒部材から搬出される前記転動体を計数する工程と、
を備えたことを特徴とする転動体の計数方法。
(2) 前記搬送工程は、前記リードが入口側において徐々に増加し、出口側において徐々に減少する前記螺旋状の溝によって前記転動体を支持することを特徴とする(1)に記載の転動体の計数方法。
(3) 前記円筒部材の入口より上流に貯留される前記転動体を検知する貯留玉検知センサによって、貯留される前記転動体の量を制御する工程をさらに備えたことを特徴とする(1)又は(2)に記載の転動体の計数方法。
(4) 入口側においてリードが徐々に増加された螺旋状の溝が周面に形成される回転可能な円筒部材と、
該円筒部材を回転駆動する駆動部と、
前記円筒部材の回転によって搬出される転動体を計数するように前記駆動部の回転を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする転動体の計数装置。
(5) 前記螺旋状の溝は、前記リードが入口側において徐々に増加し、出口側において徐々に減少することを特徴とする(4)に記載の転動体の計数装置。
(6) 前記円筒部材の入口より上流に貯留される前記転動体を検知する貯留玉検知センサをさらに備えたことを特徴とする(4)又は(5)に記載の転動体の計数装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明の転動体の計数方法及び計数装置によれば、入口側においてリードが徐々に増加された螺旋状の溝が周面に形成される回転可能な円筒部材を設け、この螺旋状の溝によって転動体を支持しながら、円筒部材を回転することで転動体を搬送するので、円筒部材の回転によって任意の個数の転動体を搬送することができ、切り出し数に応じたセット替えの必要がなく、且つ、転動体を円筒部材内へスムーズに導くことができるため、噛み込み等による転動体のキズの発生を防止・低減できる。
【0009】
さらに、円筒部材を回転駆動する駆動部と、円筒部材の回転によって搬出される転動体を計数するように駆動部の回転を制御する制御部とを備え、円筒部材の回転状態を制御することで、円筒部材から搬出される転動体を計数するようにしたので、所定数の転動体が確実に切り出され計数ミスを解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の各実施形態に係る転動体の計数方法及び計数装置について図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
(第1実施形態)
まず、図1及び図2を参照して、本発明の第1実施形態に係る転動体の計数方法及び計数装置について説明する。
【0012】
本実施形態の転動体の計数装置10は、制御部11に接続された駆動部であるモータ12と、モータ12によって矢印Aの方向に回転駆動される円筒部材13と、円筒部材13の外周面に対向して円筒部材13の回転軸方向に沿って延びるように配置され、一列に整列された転動体である玉Wを支持する搬送路である搬送シュート14とを備える。
【0013】
円筒部材13には、その外周面から径方向に突出する螺旋状の突起15が設けられており、入口側からリードが徐々に増加する螺旋状の溝16を構成している。螺旋状の溝16は、円筒部材13の矢印A方向の回転によって玉Wが搬送シュート14に沿って搬送される方向に形成されている。
【0014】
搬送シュート14は、円筒部材13の外周面と対向し、一列のL字状の溝17aを有する搬送部17と、円筒部材13の入口より上流で玉Wを貯留する転動体ストック部18と、円筒部材13の出口より下流で搬送部17から搬出された玉Wを次工程へ搬送する搬出部19とを備える。転動体ストック部18は、断面略コの字状の溝に形成され、搬送部17へ転動体Wを円滑に供給するよう傾斜面18aを有する。搬出部19もまた、断面略コの字状の溝に形成され、切り出される玉Wのサイズに応じた溝幅を有する。なお、本実施形態では、搬送部17と搬出部19の傾斜角度は、転動体ストック部18の傾斜面18aの傾斜角度と同一としているが、それぞれ異ならせてもよい。また、傾斜角度は玉Wのサイズや周辺の機械等に応じて任意に設定される。
【0015】
また、円筒部材13の入口側端部13aの外周面と対向する位置には、円筒部材13の回転回数をカウントするためのカウンター用センサ20が設置されており、円筒部材13の入口側端部13aの外周面に設けられた非検出部21を検知する。
【0016】
また、円筒部材13の出口付近で、円筒部材13及び搬送シュート14と干渉しない位置には、円筒部材13の出口における玉Wを検知可能な転動体検知センサ22が設置されている。転動体検知センサ22は、セット・ロット替え等により、玉Wを円筒部材13と搬送部19との間に充填する作業が必要となった際、玉Wの充填を確認する。
【0017】
カウンター用センサ20及び転動体検知センサ22は制御部11に接続されており、制御部11は、これらのセンサ20,22から得られた情報に基いて、モータ12の回転駆動や転動体ストック部18への玉Wの供給等を制御する。
【0018】
ここで、本実施形態における転動体の計数方法について説明する。
まず、図示しないホッパーから玉Wが搬送シュート14の転動体ストック部18に供給される。転動体ストック部18に玉Wが供給されると、玉Wは、円筒部材13の回転軸方向に沿って円筒部材13内に流入されるべく、傾斜面18a上を円筒部材13の入口まで移動する。
【0019】
次に、制御部11がモータ12を駆動することで円筒部材13を所定の回転速度で回転する。円筒部材13が回転すると、円筒部材13の入口に位置する玉Wは、円筒部材13の螺旋状の溝16と搬送部17のL字状の溝17aとの間で支持されながら、L字状の溝17aを横切る螺旋状の溝16、具体的には、溝16を構成する螺旋状の突起15によって、L字状の溝17aに沿って徐々に出口側に向かって移動する。
【0020】
また、円筒部材13の螺旋状の溝16は、そのリードが徐々に増加するようにして形成されているので、円筒部材13の螺旋状の突起15が出口方向に向かって次第に大きくなる。この突起15により、密着した状態でストックされている玉Wは、間隔を広げながら、減速や停止することなくスムーズに出口へ進行し、螺旋状の溝16のうち、L字状の溝17aによって横切られる溝部分に1個づつ玉Wが収納される。また、これにより、1本の円筒部材13で何種類かのサイズの玉Wの搬送を許容できる。
【0021】
そして、カウンター用センサ20が円筒部材13の回転回数を検知すると、制御部11は円筒部材13の回転回数に応じて玉Wの計数を行なう。その後、制御部11が所定の回転回数をカウントすると、所定数の玉Wの切り出しが行なわれたと判断し、モータ12の回転を停止する。
【0022】
このようにして切り出された玉Wは、搬送シュート14の搬出部19により一列に整列されて次工程に送り出される。搬出部19では、途中で、玉Wが合流すること等がないため、搬送シュート14での玉同士による詰まりを防止することができる。
【0023】
なお、本実施形態では、径が2〜20mmの玉Wが使用され、玉Wのサイズに応じて溝底径(外周面の径)20〜45mm、外径(螺旋状の突起の径)35〜55mmの円筒部材13や搬送シュート14が選択される。なお、円筒部材13と玉Wとの最大の芯間距離、即ち、円筒部材13と搬送シュート14に接している時の玉Wとの芯間距離が一定に保たれる場合において、一本の円筒部材13は搬送シュート14を交換することで何種類かのサイズの玉Wの搬送を許容する。また、切り出す玉Wのサイズが変更される際、螺旋状の溝16の溝幅が玉Wのサイズに適応できない場合には、円筒部材13が交換される。
【0024】
従って、本実施形態の転動体の計数方法および計数装置によれば、入口側においてリードが徐々に増加された螺旋状の溝16が周面に形成された回転可能な円筒部材13を設け、螺旋状の溝16によって玉Wを支持しながら、円筒部材13を回転することで玉Wを搬送するので、円筒部材13の回転によって任意の個数の玉Wを搬送することができ、切り出し数に応じたセット替えの必要がなく、且つ、玉Wを円筒部材13内へスムーズに導くことができ、噛み込み等による玉Wのキズの発生を防止・低減できる。さらに、円筒部材13を回転駆動するモータ12と、モータ12の回転を制御する制御部11とを備え、円筒部材13の回転状態を制御することで、円筒部材13から搬出される玉Wを計数するようにしたので、所定数の玉Wが確実に切り出され、計数ミスを解消することができる。また、回転速度や間欠運転のタイミングの制御により、任意の個数を周辺状況に合せて任意の時間で搬出することができる。
【0025】
また、円筒部材13の出口に転動体検知センサ22を設置するようにしたので、セット・ロット替え等により、玉Wを円筒部材13と搬送部19との間に充填する作業が必要となった際、玉Wの充填を確認することができる。
【0026】
なお、本実施形態の円筒部材13の回転状態の制御では、カウンター用センサ20によって円筒部材13の回転回数を監視し、回転回数をカウントしてモータ12を停止しているが、制御部11がモータ12を所定の回転速度と所定の回転時間で運転し、カウンター用センサ20によって円筒部材13の回転回数を監視し、回転回数を確認するようにしてもよい。
【0027】
また、搬送シュート14は円筒部材13の斜め下方に配置されるようにしたので、搬送部17の溝をL字状の溝17aとしたが、搬送シュート14を円筒部材13の真下に配置する場合には、図1(b)に点線で示すように、搬送部17の溝をV溝17’としてもよい。この場合、玉Wのサイズが変更となった場合でも、円筒部材13と玉Wとの芯間距離が一定に保たれるように位置調整することで、搬送シュート14の交換が不要となる。
【0028】
(第2実施形態)
次に、図3及び図4を参照して本発明の第2実施形態に係る転動体の計数方法及び計数装置について説明する。なお、第1実施形態と同等部分については、同一の符号を付して説明を省略あるいは簡略化する。
【0029】
本実施形態の転動体の計数装置30では、搬送シュート31の搬送部32は、玉Wと上面33aで当接する固定部材33と、玉Wと側面34aで当接する可動部材34とを備える。可動部材34は、制御部11に接続されるアクチュエータ35によって固定部材33と離接するように水平方向に移動可能である。
【0030】
図3に示すような玉径を有する玉Wを搬送する場合には、制御部11がアクチュエータ35を駆動して、可動部材34を固定部材33と接触させる。これにより、玉Wは、円筒部材13の螺旋状の溝16と、固定部材33の上面33aと可動部材34の側面34aとで構成される溝とで支持される。
【0031】
従って、円筒部材13が回転すると、玉Wは、円筒部材13の螺旋状の溝16と、固定部材33の上面33aと可動部材34の側面34aとで構成される溝とで支持されながら、これら両面33a,34aを横切る螺旋状の溝16によって搬送部32に沿って徐々に出口側に向かって移動する。
【0032】
また、図4に示すような図3より大きな玉径を有する玉W’を切り出す際には、制御部11がアクチュエータ35を駆動して、可動部材34を固定部材33から離間させる。これにより、玉W’は、円筒部材13の螺旋状の溝16と、固定部材33の上面33aと可動部材34の側面34aとで構成される溝とで支持され、円筒部材13を回転することで、搬送部32に沿って徐々に出口側に向かって移動する。
【0033】
従って、切り出す玉Wのサイズを変更する際、ある特定の円筒部材に対して、円筒部材13と玉Wとの最大の芯間距離が一定に保たれるように、可動部材34をアクチュエータ35によって駆動することで、円筒部材13と玉Wとの芯間距離を最適に保つことができ、搬送シュート31を交換する必要がない。これにより、従来、転動体の数、サイズ毎に所有していた部品を削減でき、セット替えの時間や手間を削減できる。ただし、切り出す玉Wのサイズが変更される際、螺旋状の溝16の溝幅が玉Wのサイズに適応できない場合には、円筒部材13を交換する。
なお、その他の構成及び作用については、第1実施形態のものと同様である。
【0034】
(第3実施形態)
次に、図5及び図6を参照して本発明の第3実施形態に係る転動体の計数方法及び計数装置について説明する。なお、第1実施形態と同等部分については、同一の符号を付して説明を省略あるいは簡略化する。
【0035】
本実施形態の転動体の計数装置40では、円筒部材13と径方向に対向して配置された搬送シュート41の搬送部42が傾斜面42aを有している。搬送部42は、螺旋状の溝16の溝底である円筒部材13の外周面と搬送部42の傾斜面42aとの間で玉Wを支持するため、傾斜面42aの少なくとも一部が円筒部材13の中心より上方に位置するように配置されている。
【0036】
従って、円筒部材13が回転すると、玉Wは円筒部材13の螺旋状の溝16と搬送部42の傾斜面42aとの間で支持されながら、傾斜面42aを横切る螺旋状の溝16によって、搬送部42に沿って徐々に出口側に向かって移動する。
【0037】
また、図6に示すような図5より大きな玉径を有する玉W’を切り出す際にも、玉W’は、螺旋状の溝16の溝底である円筒部材13の外周面と、搬送部42の傾斜面42aとの間に支持され、円筒部材13や搬送シュート14をそのまま使用することができ、セット替えの必要がない。これにより、従来、転動体の数、サイズ毎に所有していた部品を削減でき、セット替えの時間や手間を削減できる。ただし、切り出す玉Wのサイズが変更される際、螺旋状の溝16の溝幅が玉Wのサイズに適応できない場合には、円筒部材13を交換する。
なお、その他の構成及び作用については、第1実施形態のものと同様である。
【0038】
(第4実施形態)
次に、図7を参照して本発明の第4実施形態に係る転動体の計数方法及び計数装置について説明する。なお、第1実施形態と同等部分については、同一の符号を付して説明を省略あるいは簡略化する。
【0039】
本実施形態の転動体の計数装置50では、転動体ストック部18の上方に、円筒部材13の入口より上流の転動体ストック部18に貯留される玉Wの量を制御するため、傾斜面18a上の玉を検知する第1及び第2の貯留玉検知センサ51,52が配置されている。第1の貯留玉検知センサ51は、第2の貯留玉検知センサ52よりも傾斜面18aの上流に配置されている。第1及び第2の貯留玉検知センサ51,52もまた、制御部11に接続されており、制御部11は、転動体ストック部18への玉Wの供給を制御する。
【0040】
本実施形態の転動体の計数方法においては、玉Wを転動体ストック部18へ供給する際、第1の貯留玉検知センサ51が所定量の玉Wが供給されたことを検知すると、制御部11はホッパーからの玉Wの供給を停止する。
【0041】
また、玉Wを計数している際には、第1の貯留玉検知センサ51がその下方の位置まで玉Wがストックされたことを検知すると、制御部11はホッパーからの供給を停止し、第2の貯留玉検知センサ52がその下方の位置に玉Wがないことを検知すると、制御部11はホッパーからの玉Wの供給を開始する。これにより、ストックされる玉Wの量を規制できることから、円筒部材13の入口に位置する玉Wに加わる荷重を制御でき、玉Wへの負担を軽減できる。同時に、ストックされた玉Wによる円筒部材13に加わる荷重も制御できるので、円筒部材13への負担も軽減できる。従って、玉Wのスムーズな搬送が与えられると共に、玉キズや円筒部材13の損傷を防止することができる。
なお、その他の構成及び作用については、第1実施形態のものと同様である。
【0042】
(第5実施形態)
次に、図8を参照して本発明の第5実施形態に係る転動体の計数方法及び計数装置について説明する。なお、第1実施形態と同等部分については、同一の符号を付して説明を省略あるいは簡略化する。
【0043】
本実施形態の計数装置60では、搬送シュート14の転動体ストック部18の傾斜面18a上にエアノズル61が配置されている。エアノズル61は、エア供給源62から供給されたエアを、供給される玉Wの移動方向と逆方向へ流出する。
【0044】
玉Wは、傾斜した転動体ストック部18を自重により移動するが、転動体ストック部18が長いと傾斜面18aが緩やかであっても、玉Wの速度が増大し、玉W同士の衝突や円筒部材13と玉Wの衝突により玉キズが発生する可能性がある。このため、上記のように玉Wの移動方向と逆方向からエアを流すことで、玉Wの移動速度を短距離、且つ短時間で減速させることができ、玉キズの発生を抑制できる。また、エアの流量や速度を変更することで、玉Wの移動速度を任意に減速することも可能である。
【0045】
なお、エアノズル61は、転動体ストック部18上であれば任意に配置可能であり、円筒部材13の入口付近に配置されてもよい。
その他の構成及び作用については、第1実施形態のものと同等である。
【0046】
(第6実施形態)
次に、図9を参照して本発明の第6実施形態に係る転動体の計数方法及び計数装置について説明する。なお、第1実施形態と同等部分については、同一の符号を付して説明を省略あるいは簡略化する。また、図9では、本実施形態の特徴である円筒部材以外の構造は省略あるいは簡略化される。
【0047】
本実施形態の転動体の計数装置70では、円筒部材71の外周面に形成される螺旋状の突起72は、螺旋状の溝73のリードが、入口側において徐々に増加し、出口側において徐々に減少するように形成されている。
【0048】
従って、円筒部材71の入口側において螺旋状の溝73のリードが徐々に増加することで、玉Wは円筒部材71内にスムーズに導かれ、また、出口側においてリードが徐々に減少することで、円筒部材71から切り出される玉Wの初期速度を小さくする。これにより、円筒部材71の出口において、円筒部材71から切り出された玉W同士やその周辺部分との衝突による衝撃を和らげ、玉キズの発生を抑えることができる。
なお、その他の構成及び作用については、第1実施形態のものと同様である。
【0049】
(第7実施形態)
次に、図10を参照して本発明の第7実施形態に係る転動体の計数方法及び計数装置について説明する。なお、第1実施形態と同等部分については、同一の符号を付して説明を省略あるいは簡略化する。また、図10では、本実施形態の特徴である円筒部材及び搬送シュート以外の構造は、省略あるいは簡略化される。
【0050】
本実施形態の転動体の計数装置80では、円筒部材81は、入口側から出口側に向かって拡径するような略円錐台形状を有すると共に、入口側から出口側に向かって溝幅とリードを徐々に増加する螺旋状の溝82が形成されている。また、円筒部材81と径方向で対向して配置される搬送シュート83は、円筒部材81の下方に配置され、搬送シュート83の搬送部84は、入口側から出口側に向かって下方に傾斜したV溝84aを有する。
【0051】
従って、モータ12の駆動により円筒部材81が回転すると、玉Wは円筒部材81の螺旋状の溝82と搬送部84のV溝84aとの間で支持されながら、V溝84aを横切る螺旋状の溝82によって、搬送部84に沿って徐々に出口側に向かって移動する。
【0052】
また、図10(b)に示すような図10(a)より大きな玉径の玉W’を切り出す際には、搬送シュート83の搬送部84の位置を下方かつ前方へシフトさせ、玉径と適合する溝幅を有する位置を流入位置とし、そこから円筒部材81内へ玉Wを搬送するようにして、玉W’の計数を行なう。
【0053】
従って、玉Wのサイズに応じて、流入位置を変えるだけで玉Wの計数が可能で、円筒部材81の交換が不要となる。なお、玉Wを変更した際の搬送シュート83のシフトは、別な搬送シュートに交換してもよく、あるいは、アクチュエータ等を用いて移動させてもよい。
なお、その他の構成及び作用については、第1実施形態のものと同様である。
【0054】
(第8実施形態)
次に、図11を参照して本発明の第8実施形態に係る転動体の計数方法及び計数装置について説明する。なお、第1実施形態と同等部分については、同一の符号を付して説明を省略あるいは簡略化する。また、図11では、本実施形態の特徴である円筒部材以外の構成は、省略あるいは簡略化される。
【0055】
本実施形態の転動体の計数装置90は、モータ91によって回転駆動される中空の円筒部材92を備えており、円筒部材92には内周面に螺旋状の溝93を構成するように内向きの螺旋状の突起94が形成されている。螺旋状の溝93は、入口側においてリードが徐々に増加するように構成されている。
【0056】
中空の円筒部材92内には、搬送シュート95が挿入されており、搬送シュート95の搬送部96は断面略L字状の溝96aを有する。これにより、搬送シュート95によって供給された玉Wは、螺旋状の溝93とL字状の溝96aとの間で支持される。この状態で、円筒部材92が回転すると、L字状の溝96aを横切る螺旋状の溝93によって、搬送部96に沿って出口側に向かって移動する。
その他の構成及び作用については、第1実施形態のものと同様である。
【0057】
(第9実施形態)
次に、図12及び図13を参照して本発明の第9実施形態に係る転動体の計数方法及び計数装置について説明する。なお、第1実施形態と同等部分については、同一の符号を付して説明を省略あるいは簡略化する。
【0058】
本実施形態の転動体の計数装置100は、一対の円筒部材101,102を備えると共に、一対の円筒部材101,102の中間位置の下方には、搬送シュート103のV溝104aを有する搬送部104が配置されている。一対の円筒部材101,102は、互いに逆方向に螺旋状の溝105,106を構成するように、外周面に螺旋状の突起107,108を有する。各螺旋状の溝105,106は、円筒部材101,102の入口側において、リードを徐々に増加する。
【0059】
一対の円筒部材101,102には、制御部109によって駆動される一対のモータ110,111が接続されており、一対の円筒部材101,102を互いに逆方向に回転する。また、一対の円筒部材101,102の入口側端部101a,102aの外周面と対向する位置には、円筒部材101,102の回転回数をカウントするためのカウンター用センサ112,113がそれぞれ配置されており、円筒部材101,102の入口側端部101a,102aの外周面に設けられた非検出部114,115を検知する。
【0060】
また、一対の円筒部材101,102間の出口付近で、円筒部材101,102及び搬送シュート103と干渉しない位置には、円筒部材101,102間の出口における玉Wを検知可能な転動体検知センサ116が配置されている。転動体検知センサ116は、セット・ロット替え等により、玉Wと円筒部材101,102及び搬送部104との間に充填する作業が必要となった際、玉Wの充填を確認する。
【0061】
カウンター用センサ112,113及び転動体検知センサ116は制御部109に接続されており、制御部109は、これらのセンサ112,113,116から得られた情報に基づいて、モータ110,111の回転駆動や転動体ストック部18への玉Wの供給等を制御する。
【0062】
本実施形態の転動体の計数方法では、制御部109がモータ110,111を駆動して、一対の円筒部材101,102を所定の回転速度で互いに逆方向に回転駆動させる。これにより、玉Wは、互いの螺旋状の溝105,106と搬送シュート103の搬送部104とで支持されながら、搬送部104のV溝104aを横切る螺旋状の溝105,106によってV溝104a上を移動する。
【0063】
そして、カウンター用センサ112,113が円筒部材101,102の回転回数を検知すると、制御部109は円筒部材101,102の回転回数に応じて玉Wの計数を行なう。その後、制御部109が所定の回転回数をカウントすると、所定数の玉Wの切り出しが行なわれたと判断し、モータ110,111の回転を停止する。
【0064】
また、図13に示すような図12より大径の玉W’を搬送する場合には、図13に示されるように、一対の円筒部材101,102の芯間距離および位置を変えることで、玉WW’の計数を行なうことができ、円筒部材101,102や搬送シュート103のセット替えを削減できる。
【0065】
なお、図12(b)及び図13(b)に点線で示すように、玉Wは一対の円筒部材101,102間の上方で搬送されるようにしてもよく、この場合には、搬送シュートは搬送部104において不要とすることができる。ただし、一対の円筒部材101,102間の上方に位置する玉W,W’が浮き上がることを防止するため、玉W,W’の上方に逆V溝状の玉押さえ部材117を配置するようにしてもよい。
その他の構成及び作用については、第1実施形態のものと同様である。
【0066】
(第10実施形態)
次に、図14を参照して本発明の第10実施形態に係る転動体の計数方法及び計数装置について説明する。なお、第1実施形態と同等部分については、同一の符号を付して説明を省略あるいは簡略化する。また、図14では、本実施形態の特徴であるモータと円筒部材間に配置される機構以外の構成は、省略あるいは簡略化される。
【0067】
上記の各実施形態では、各円筒部材はモータに直接接続されていたが、本実施形態の転動体の計数装置120では、駆動部であるモータ121を駆動プーリ122に接続するとともに、円筒部材123を従動プーリ124に接続し、駆動プーリ122と従動プーリ124とをベルト125で連結するようにする。さらに、駆動プーリ122と従動プーリ124間のベルト125には、ばね等の弾性部材126によって移動可能な中間プーリ127が当接されており、ベルト125に所定のテンションを付与している。
【0068】
これにより、図14(b)に示すように、円筒部材123と接続された従動プーリ124が何らかの理由で停止した場合には、中間プーリ127が弾性部材126の張力によって下方に移動することで、ベルト125が緩み、従動プーリ124と駆動プーリ122の回転が非同期となり、最終的にはベルト125が外れ、円筒部材123へのモータ121からの駆動力の伝達が防止される。
【0069】
これにより、円筒部材123が何らかの理由で玉Wを噛み込んだ場合でも、円筒部材123を強引に回転、搬送、計数することがなく、計数装置の円筒部材やその他の周辺部材の破損を抑制し、噛み込みキズによる不良な転動体の切り出しを防止することができる。また、円筒部材123とモータ121の回転は常に制御部128で監視されているので、回転が非同期になるとモータ121は瞬時に停止する。
なお、モータ121及び円筒部材123は、上記の各実施形態のいずれのモータ及び円筒部材であってもよい。
【0070】
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が可能である。また、前述した各実施形態は、実施可能な範囲において組み合わせて使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1実施形態に係る転動体の計数装置を模式的に示し、(a)は側面図で、(b)は(a)のI-I断面図である。
【図2】図1(a)のIIから見た上面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る転動体の計数装置を模式的に示し、(a)は部分的な側面図で、(b)は(a)のIII-III断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る転動体の計数装置を模式的に示し、(a)は部分的な側面図で、(b)は(a)のIV-IV断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る転動体の計数装置を模式的に示し、(a)は部分的な側面図で、(b)は(a)のV-V断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る転動体の計数装置を模式的に示し、(a)は部分的な側面図で、(b)は(a)のVI-VI断面図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係る転動体の計数装置の模式図である。
【図8】本発明の第5実施形態に係る転動体の計数装置の模式図である。
【図9】本発明の第6実施形態に係る転動体の計数装置の部分的な模式図である。
【図10】本発明の第7実施形態に係る転動体の計数装置の一部を模式的に示し、(a)は小径の玉が計数される状態を示す側面図であり、(b)は大径の玉が計数される状態を示す側面図である。
【図11】本発明の第8実施形態に係る転動体の計数装置の部分的な模式図である。
【図12】本発明の第9実施形態に係る転動体の計数装置を模式的に示し、(a)は部分的な上面図で、(b)は(a)のXII-XII断面図である。
【図13】本発明の第9実施形態に係る転動体の計数装置を模式的に示し、(a)は部分的な上面図で、(b)は(a)のXIII-XIII断面図である。
【図14】本発明の第10実施形態に係る転動体の計数装置の駆動部分を模式的に示し、(a)は駆動力伝達状態を示す図で、(b)は駆動力伝達不能状態を示す図である。
【符号の説明】
【0072】
10,30,40,50,60,70,80,90,100,120 計数装置
11,109,128 制御部
12,91,110,111,121 モータ
13,71,81,92,101,102,123 円筒部材
14,31,41,83,95,103 搬送シュート
15,72,94,107,108 螺旋状の突起
16,73,82,93,105,106 螺旋状の溝
17,32,42,84,96,104 搬送部
18 転動体ストック部
19 搬出部
20,112,113 カウンター用センサ
22,116 転動体検知センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒部材の周面に設けられ、入口側においてリードが徐々に増加する螺旋状の溝によって転動体を支持しながら、前記円筒部材を回転することで該転動体を搬送する工程と、
前記円筒部材の回転状態を制御することで、前記円筒部材から搬出される前記転動体を計数する工程と、
を備えたことを特徴とする転動体の計数方法。
【請求項2】
前記搬送工程は、前記リードが入口側において徐々に増加し、出口側において徐々に減少する前記螺旋状の溝によって前記転動体を支持することを特徴とする請求項1に記載の転動体の計数方法。
【請求項3】
前記円筒部材の入口より上流に貯留される前記転動体を検知する貯留玉検知センサによって、貯留される前記転動体の量を制御する工程をさらに備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の転動体の計数方法。
【請求項4】
入口側においてリードが徐々に増加された螺旋状の溝が周面に形成される回転可能な円筒部材と、
該円筒部材を回転駆動する駆動部と、
前記円筒部材の回転によって搬出される転動体を計数するように前記駆動部の回転を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする転動体の計数装置。
【請求項5】
前記螺旋状の溝は、前記リードが入口側において徐々に増加し、出口側において徐々に減少することを特徴とする請求項4に記載の転動体の計数装置。
【請求項6】
前記円筒部材の入口より上流に貯留される前記転動体を検知する貯留玉検知センサをさらに備えたことを特徴とする請求項4又は5に記載の転動体の計数装置。
【請求項1】
円筒部材の周面に設けられ、入口側においてリードが徐々に増加する螺旋状の溝によって転動体を支持しながら、前記円筒部材を回転することで該転動体を搬送する工程と、
前記円筒部材の回転状態を制御することで、前記円筒部材から搬出される前記転動体を計数する工程と、
を備えたことを特徴とする転動体の計数方法。
【請求項2】
前記搬送工程は、前記リードが入口側において徐々に増加し、出口側において徐々に減少する前記螺旋状の溝によって前記転動体を支持することを特徴とする請求項1に記載の転動体の計数方法。
【請求項3】
前記円筒部材の入口より上流に貯留される前記転動体を検知する貯留玉検知センサによって、貯留される前記転動体の量を制御する工程をさらに備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の転動体の計数方法。
【請求項4】
入口側においてリードが徐々に増加された螺旋状の溝が周面に形成される回転可能な円筒部材と、
該円筒部材を回転駆動する駆動部と、
前記円筒部材の回転によって搬出される転動体を計数するように前記駆動部の回転を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする転動体の計数装置。
【請求項5】
前記螺旋状の溝は、前記リードが入口側において徐々に増加し、出口側において徐々に減少することを特徴とする請求項4に記載の転動体の計数装置。
【請求項6】
前記円筒部材の入口より上流に貯留される前記転動体を検知する貯留玉検知センサをさらに備えたことを特徴とする請求項4又は5に記載の転動体の計数装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−36377(P2006−36377A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−214348(P2004−214348)
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】
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