説明

転炉炉口に付着した地金のプロフィール測定方法

【課題】レーザー型距離計を用いて、高温の転炉炉口に付着した地金のプロフィールを測定する際に、粉塵等の影響を受けることなく、早期に高精度に測定可能な転炉炉口に付着した地金のプロフィール測定方法を提供する。
【解決手段】ガス吹込用羽口14が炉底に設けられた転炉10の炉口11に付着した地金12のプロフィールを、レーザー型距離計13を用いて測定する前に、転炉10から溶鋼を出鋼して排滓した後、転炉10を傾動させた状態で、ガス吹込用羽口14から転炉10内に、不活性ガスを1分当たり転炉の容積の10%以上の流量で吹き込み、転炉10の炉口11より流出する粉塵濃度を低下させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー型距離計を用いて転炉炉口に付着した地金のプロフィールを高精度に測定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
転炉工程では、内側に耐火物が張られた転炉に、スクラップ等の冷鉄源と溶銑を装入し、酸素を吹き込みながら炭素を燃焼させて、所定の成分と温度に調整された溶鋼にした後、転炉を傾動させて炉口から出鋼している。このため、転炉内の上側、即ち炉口周囲の傾斜部の耐火物に溶鋼が付着し、この付着した溶鋼が凝固し地金となって、その後転炉を正立状態とする際に、耐火物に付着したまま耐火物と共に落下していた。これにより、前記傾斜部の鉄皮が露出するため、耐火物が脱落した部分に再度耐火物を装着する等の補修を行う必要があった。
そこで、従来は、作業者が転炉炉口を目視し、付着した地金の位置と厚みを確認した後、地金の切断作業を行うことで、地金の落下に伴う耐火物の脱落を防止しようとしていた。
【0003】
しかし、地金の確認作業は作業者が行うため、付着した地金の位置と厚みを定量化できず、また作業者は地金を遠方(例えば、15m程度離れた位置)から目視するため、地金を二次元的なプロフィールでしか認識することができなかった。このため、地金の切断作業を適切に実施することができず、耐火物に付着した残存する地金量の増大に伴って、耐火物の脱落が広範囲に渡るようになるため、転炉の補修に長時間を要していた。
そこで、耐火物に付着した地金の切断作業を適切に実施するため、例えば、特許文献1に示すように、光波距離計を炉内に挿入することで、地金のプロフィールを測定することも考えられた。
【0004】
【特許文献1】特開昭60−138407号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示す光波距離計を使用した場合でも、転炉内の耐火物の温度がある程度下がってからでなければ、地金のプロフィールの測定はできず、しかも転炉のように高温で、出鋼後に転炉内部の粉塵等が炉口より流出する場合には、その粉塵等がノイズとなって測定不可能となってしまう課題があった。
また、光波距離計を単に転炉炉口に近づけ、地金のプロフィールを測定しようとしても、耐火物に付着した地金の形状によっては、死角となって正確な測定が難しい部分もあり、測定精度の低下を招く問題もあった。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、レーザー型距離計を用いて、高温の転炉炉口に付着した地金のプロフィールを測定する際に、粉塵等の影響を受けることなく、早期に高精度な測定をするための方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するためになされた本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)ガス吹込用羽口が炉底に設けられた転炉の炉口に付着した地金のプロフィールを、レーザー型距離計を用いて測定する前に、前記転炉から溶鋼を出鋼して排滓した後、該転炉を傾動させた状態で、前記ガス吹込用羽口から前記転炉内に、不活性ガスを1分当たり前記転炉の容積の10%以上の流量で吹き込み、前記転炉の炉口より流出する粉塵濃度を低下させることを特徴とする転炉炉口に付着した地金のプロフィール測定方法。
【0008】
(2)前記ガス吹込用羽口から前記転炉内に吹き込む前記不活性ガスの総吹込量を、該転炉の容積の1.2倍以上1.5倍以下の範囲内とすることを特徴とする(1)記載の転炉炉口に付着した地金のプロフィール測定方法。
(3)前記ガス吹込用羽口から前記転炉内に前記不活性ガスを吹き込む際の前記転炉の傾動角度を、該転炉の炉口が真上を向いた状態を0度として、125度以下の範囲内とすることを特徴とする(1)及び(2)記載の転炉炉口に付着した地金のプロフィール測定方法。
(4)前記レーザー型距離計で前記地金のプロフィールを測定する際の前記転炉の傾動角度が、該転炉の炉口が真上を向いた状態を0度として、70度以上125度以下で、しかもその範囲内で複数の角度位置で前記地金のプロフィールを測定することを特徴とする(1)〜(3)記載の転炉炉口に付着した地金のプロフィール測定方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る転炉炉口に付着した地金のプロフィール測定方法は、転炉より出鋼及び排滓した後、転炉炉底に設けたガス吹込用羽口から転炉内に、不活性ガスを吹き込むので、炉内の粉塵を外部へ排出すると共に、粉塵を浮遊させる輻射熱の影響も軽減できる。これにより、転炉炉口より流出する粉塵濃度を低減することができ、高温の転炉炉口に付着した地金のプロフィール測定を、早期に高精度で行うことが可能となり、これを基にして、地金の切断を確実に行うことができる。
従って、地金の落下に伴う耐火物の脱落を抑制、更には防止できるため、これに伴う転炉の補修時間を短縮でき、転炉の稼働率を向上できる。
【0010】
また、転炉内に不活性ガスを吹き込む際の転炉の傾動角度を125度以下の範囲内とすることにより、転炉炉内の粉塵を確実に排出することが可能となる。
更に、レーザー型距離計で地金のプロフィールを測定する際の転炉を、70度以上125度以下の範囲内で2回以上傾動角度を変えて、地金のプロフィールを測定することにより、転炉炉口の円周方向に付着した地金全体のプロフィールを精度良く測定できるので好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1は本発明の一実施の形態に係る転炉炉口に付着した地金のプロフィール測定方法を適用して測定した転炉炉口の鉛直方向及び水平方向の断面図、図2は炉底からのガス吹き込み流量と測定不良発生率との関係を示す説明図、図3は炉底からの総吹込ガス量と測定不良発生率との関係を示す説明図である。
【0012】
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る転炉炉口に付着した地金のプロフィール測定方法(以下、単にプロフィール測定方法ともいう)は、ガス吹込用羽口14が炉底に設けられた上底吹き転炉(以下、単に転炉ともいう)10の炉口11に付着した地金12のプロフィールを、レーザー型距離計13を用いて測定する前に、転炉10から溶鋼を出鋼して排滓した後、トラニオン軸15を支点にして、転炉10を傾動させた状態で、前記ガス吹込用羽口14から転炉10内に不活性ガス(例えば、窒素ガス、COガス、又はアルゴンガス)を吹き込んで、転炉10内の炉口11より流出する粉塵濃度を早期に低下させる方法である。以下、詳しく説明する。
【0013】
内側に耐火物が張られた上底吹きの転炉10に、スクラップ等の冷鉄源と溶銑を装入した後、上部より装入したランス(図示しない)を用いて酸素を吹き込みながら、炉底のガス吹込用羽口から撹拌用酸素を吹き込み炭素を燃焼させて、所定の成分と温度に調整された溶鋼にし、この溶鋼を転炉10を傾動して炉口11から出鋼しており、更に炉内に残ったスラグも排滓している。
従って、排滓直後の炉内には、粉塵が多量にあり、その粉塵が炉口11より流出するために、その流出粉塵によってレーザー型距離計13から発信したレーザーが散乱して、炉口11に付着した地金、又は炉壁に衝突後、反射したレーザーの強度が低下するために、測定誤差が大きくなったり、あるいは測定不能になったりしていた。
【0014】
このため、従来は、粉塵が収まるまで、しばらく静置して時間をおけばよかったが、転炉10の非稼働時間が長くなり、稼働率が低下してしまい、更に転炉10の耐火物の温度も低下していた。このために、次の転炉吹錬時の溶銑の受銑の際には、転炉耐火物の温度偏差が大きくなり、耐火物に悪影響を及ぼす恐れがあった。
そこで、本発明者らは、粉塵の排出方法について鋭意検討した。その結果、炉底から不活性ガスを吹き込むことにより、炉口11から粉塵を早急に排出させ、粉塵による誤差の影響を最小限に抑えて、地金12のプロフィールを精度よく測定できることを知見した。
【0015】
図2は、370トン転炉(炉容積320m)を用いて、炉底のガス吹込用羽口からの1分当たりの不活性ガスの吹き込み流量(以下、ガス流量ともいう)を変え、レーザー型距離計による地金プロフィールの測定不良発生率(スキャニング中における測定データの取込回数に対する測定不可能であった割合)を調査した結果を示している。なお、吹き込み時間は、次の精錬準備時間である10分間とした。
図2から明らかなように、1分間当たりの不活性ガスの吹き込み流量が増加するにつれ、不良発生率が減少することが判る。
これは、炉底から吹き込まれる不活性ガスにより、炉内粉塵を炉口から早期に排出させることで、粉塵によるレーザー型距離計に及ぼす影響を小さくできることに起因するものと考えられる。
【0016】
ガス流量が炉容積の10%未満の場合、不良発生率は急速に上昇した。しかし、ガス流量が炉容積の10%以上の場合、明らかに挙動が異なり、実機操業の際に大きなトラブルが発生せず、しかも支障をきたさない許容の不良発生率である5%以下になることが判明した。
【0017】
なお、ガス流量を炉容積の10%以上にした場合に、次の精錬準備時間内に不良発生率を5%以下にすることができる要因としては、炉内のレンガ及びスラグなどから発生する熱影響の抑制があるものと考えられる。
一般的に、転炉出鋼後の炉内レンガの温度は、溶鋼の温度やレンガの材質による差異はあるものの、1300〜1600℃の高温である。従って、高温となったレンガからは、主として輻射による影響で、レンガ温度に見合った熱流速が発生する。このため、炉内で発生する粉塵は浮遊上昇して、前述のような測定上の障害を引き起こしている。従って、不活性ガスを吹き込む際に前述の粉塵の炉外への排出のみでなく、粉塵を浮遊上昇させる元凶である輻射熱影響を軽減させることができれば、不良発生率を5%以下まで迅速に低減できることに繋がる。
【0018】
以上のことから、炉底からのガス流量を10%以上にした場合には、炉内より発生する熱流速に打ち勝つような冷却能力を有するため、炉内粉塵濃度を測定に差し支えのないところまで、安定かつ短時間で低下させることができたものと推察される。しかし、測定不良発生率は徐々にサチレートすると共に、炉内耐火物を過度に冷却することも考えられることから、ガス流量を炉容積の22%以下とすることが好ましい。
【0019】
また、不活性ガスの吹き込みトータルガス量(総吹込ガス量又は総吹込量)も、測定不良発生率の低下に効果があるものと推定できる。
そこで、吹き込みトータルガス量の影響を見極めるため、炉底からの単位時間当たりのガスの吹き込み流量(ガス流量)Vと経過時間Tの積を用いて、図3に整理した。なお、図3は、炉底からのガス流量を炉容積の10%と22%(それぞれ32Nm/分と70Nm/分に相当する)の2水準にして、トータルガス量と測定不良発生率との関係を調査した結果である。
【0020】
図3に示すように、ガス流量Vが変化しても、不活性ガスの吹き込みトータルガス量(ガス流量Vと経過時間Tの積)に対して不良発生率がほぼ同じ傾きで減少することを確認できた。そして、吹き込みトータルガス量が、転炉の炉内容積W(今回の公称能力370トン転炉の場合は320m)の1.2倍以上となる領域では、不良発生率が基準の5%以下で安定することが判った。
即ち、転炉の容積の1.2倍以上のガス吹き込みを行って置換すれば、レーザー型距離計の測定誤差となる粉塵の影響を大幅に抑制できる。
【0021】
但し、転炉の容積の1.2倍以上のトータルガス量を炉内に吹き込めば、不良発生率は基準である5%以下になるものの、吹き込むトータルガス量を炉容積の1.5倍以上に増やしても、不良発生率に大きな改善は見られない。更に、吹き込むトータルガス量の増加に伴い、炉内耐火物の温度も低下するため、次の吹錬での温度低下が大きくなり過ぎて、耐火物の受けるダメージが大きくなる可能性がある。
従って、炉内に吹き込むトータルガス量としては、転炉の容積の1.5倍以下にすることが望ましい。
【0022】
また、不活性ガスの吹き込みは、転炉を傾動させた状態で、ガス吹込用羽口から転炉内に吹き込む。なお、転炉の傾動角度は、転炉の炉口が真上を向いた状態(正立状態)を0度として、125度以下の範囲内(好ましくは、70度以上90度以下の範囲内)とする。
ここで、転炉の傾動角度が125度を超える場合、転炉が傾き過ぎ、転炉内に吹き込んだ不活性ガスによる粉塵の炉外への排出時間が長くかかる恐れがある。
【0023】
これにより、図1に示すように、従来、転炉10の炉口11に付着した地金12を、レーザー型距離計で測定するに際し、その水平断面で測定できなかった部分(非計測点)を無くすことができる。
しかし、転炉10の炉口12の鉛直断面については、地金12の形状により、死角となって測定できない地金もあり、これにより、測定精度の低下を招く問題もあった。
【0024】
そこで、このような場合には、図1に示すように、レーザー型距離計13で地金12のプロフィールを測定する際の転炉10の傾動角度θを変更し、地金12のプロフィールを異なる傾動角度で複数回測定する。なお、転炉10の傾動角度θは、転炉10の正立状態を0度として、70度以上125度以下の範囲内とすることが好ましい。
ここで、転炉の傾動角度θが70度未満の場合、転炉が正立状態に近くなるため、レーザー型距離計の設置位置に設備制約があり、死角が発生する可能性が高くなる。一方、転炉の傾動角度θが125度を超える場合、前記した場合と同様に、死角を充分に無くすことができない。
【0025】
このように、異なる傾動角度で複数回測定することにより、転炉10の炉口11に付着した地金12を、レーザー型距離計13で測定するに際し、水平断面の非計測点を無くすだけでなく、その鉛直断面で測定できなかった部分(非計測点)も無くすことができる。
なお、レーザー型距離計13により、地金12のプロフィールを測定するに際しても、不活性ガスを転炉10の炉内に常時流し続けることが好ましいが、この流量は、前記した量よりも低減(例えば、転炉の容積の0.5〜5%程度)できる。
【0026】
以上の方法により、レーザー型距離計13によって地金12のプロフィールを測定できるが、これは地金12の表面形状をスキャニングすることにより得られる結果である。従って、このデータから、耐火物の厚み分の差をとることで、耐火物に付着した地金12の厚みのみを求めることができる。なお、耐火物の厚みは、転炉10の過去の使用実績から分かっている。
これにより、耐火物に付着した地金12の位置と厚みを定量化できるため、作業者の個人差による影響をなくすことができ、地金12の除去作業を、適切に実施できる。
【実施例】
【0027】
次に、本発明の作用効果を確認するために行った実施例について説明する。
ここでは、吹錬後に出鋼と排滓を行った後に、上底吹き転炉を、炉口が直上を向いた状態を0度として、80度に傾動した状態で、ガス吹込用羽口より不活性ガスを吹き込んで、炉口より流出する粉塵を低減した。そして、転炉を、水平状態に対して40度に傾動させた際、転炉炉口の中心(転炉の軸心)の延長線X上で、この炉口から1m前方に設けたレーザー型距離計を用いて、転炉の傾動角度を上記した角度のままで1回目、次に110度の角度に傾動させて2回目の測定を行い、転炉炉口に付着した地金のプロフィールを測定した。なお、地金のプロフィールの各測定は、転炉炉口の円周方向に40区分、即ち9度ごとに、レーザー型距離計をスキャニングさせて測定した。また、吹き込みに使用した不活性ガスは、炉内に残存した溶鋼及び耐火物が酸化反応を起こさないように、窒素ガスを使用した。
この測定に際しては、炉底のガス吹込用羽口からの吹き込みガス流量Vと排滓後の測定開始タイミング(不活性ガスの吹込時間)を可変させた。この吹き込みガス流量Vと測定開始タイミングTの各条件と測定結果を、表1に示す。
【0028】
【表1】

【0029】
公称能力370トン転炉(容積320m)を用いた実施例のNo.1〜No.6は、炉底のガス吹込用羽口からの吹き込みガス流量が、本願発明の範囲内の条件であり、スキャニング中に40回のデータの取り込みを行った際における測定不可能データの発生回数は多くても2回であり、不良発生率はいずれも5%以下と低位であった。
特に、総吹込量(吹き込みガス流量×測定開始タイミング)を、転炉容積の1.2倍以上1.5倍以下の範囲にした実施例のNo.3、No.5、及びNo.6については、測定不良の発生がほとんどなかった。
また、公称能力180トン転炉(容積150m)を用いて、炉底のガス吹込用羽口からの吹き込みガス流量が、本願発明の範囲内の条件の実施例のNo.7とNo.8については、不良発生率がいずれも5%以下と低位であった。更に、370トン転炉のときと同様、総吹込量が転炉容積の1.2倍以上という実施例のNo.8は、測定不良の発生が全くなかった。
【0030】
一方、比較例のNo.1は、370トン転炉において、吹き込みガス流量が32Nm/分未満、即ち転炉容積の10%以下であるため、測定不良が多発し、その発生率が5%を超えてしまった。これは、180トン転炉を用いた比較例のNo.2も同様である。
また、比較例のNo.3は、370トン転炉にて、吹き込みガス流量が26Nm/分であり、不活性ガスの吹込時間を8分として、比較例のNo.1よりも不活性ガスの総吹込量を増やした結果である。このときの不良発生率は、比較例のNo.1より低下したものの、5%以下とはならず、逆に総吹込量が多くなったため、次の吹錬の溶銑温度降下が大きくなってしまった。
【0031】
以上のように、本願発明のガス吹き込み条件であれば、レーザー型距離計を用いて測定する際の測定不良発生率が、基準である5%以下にできることを確認できた。
なお、以上に示した結果は、不活性ガス吹込時における転炉の傾動角度を80度に設定した場合の結果であるが、本願発明の範囲を外れた場合(125度超)でも、測定不良発生率が若干高くはなったが、基準である5%以下を達成できることを確認できた。
また、レーザー型距離計で地金のプロフィールを測定する際に、転炉の傾動角度を70度以上125度以下の範囲で複数変更することにより、従来は死角となって測定できなかった鉛直断面の地金の位置及び厚みについても、精度よく測定できることを確認できた。
【0032】
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の転炉炉口に付着した地金のプロフィール測定方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施の形態に係る転炉炉口に付着した地金のプロフィール測定方法を適用して測定した転炉炉口の鉛直方向及び水平方向の断面図である。
【図2】炉底からのガス吹き込み流量と測定不良発生率との関係を示す説明図である。
【図3】炉底からの総吹込ガス量と測定不良発生率との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
【0034】
10:転炉、11:炉口、12:地金、13:レーザー型距離計、14:ガス吹込用羽口、15:トラニオン軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス吹込用羽口が炉底に設けられた転炉の炉口に付着した地金のプロフィールを、レーザー型距離計を用いて測定する前に、前記転炉から溶鋼を出鋼して排滓した後、該転炉を傾動させた状態で、前記ガス吹込用羽口から前記転炉内に、不活性ガスを1分当たり前記転炉の容積の10%以上の流量で吹き込み、前記転炉の炉口より流出する粉塵濃度を低下させることを特徴とする転炉炉口に付着した地金のプロフィール測定方法。
【請求項2】
請求項1記載の転炉炉口に付着した地金のプロフィール測定方法において、前記ガス吹込用羽口から前記転炉内に吹き込む前記不活性ガスの総吹込量を、該転炉の容積の1.2倍以上1.5倍以下の範囲内とすることを特徴とする転炉炉口に付着した地金のプロフィール測定方法。
【請求項3】
請求項1及び2のいずれか1項に記載の転炉炉口に付着した地金のプロフィール測定方法において、前記ガス吹込用羽口から前記転炉内に前記不活性ガスを吹き込む際の前記転炉の傾動角度を、該転炉の炉口が真上を向いた状態を0度として、125度以下の範囲内とすることを特徴とする転炉炉口に付着した地金のプロフィール測定方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の転炉炉口に付着した地金のプロフィール測定方法において、前記レーザー型距離計で前記地金のプロフィールを測定する際の前記転炉の傾動角度が、該転炉の炉口が真上を向いた状態を0度として、70度以上125度以下で、しかもその範囲内で複数の角度位置で前記地金のプロフィールを測定することを特徴とする転炉炉口に付着した地金のプロフィール測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−108388(P2009−108388A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−283707(P2007−283707)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】