説明

軸体

【課題】内部に可撓性材料、ゲル状物質や気体を封入した把持部は任意に変形してしまうため腰がなく柔らかすぎて筆記感が悪いという欠点があった。また、空間に微細な固体を配し腰がある把持部とした場合でも、変形によって内部の軸体の触感が指先に伝わってしまい、痛みや違和感につながっていた。そこで、握った指先の形状に変形すると共に、腰のある把持感が得られる軸体の把持部を提供する。
【解決手段】少なくとも内層3と外層4を設けることで内部に空間を設け、この空間に微細な固体5を配した把持部2を配置及び/または一体に設けた軸体1において、把持部の内層及び/または外層の厚さを変化させた軸体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、把持部を設けた軸体に関するものであり、その軸体の1例としては、ボールペンやシャープペンシルなどの筆記具や、口紅やアイライナーなど細長い容器、釣り竿、ドアノブ、ドライバーなどの工具類が挙げられる。
【背景技術】
【0002】
把持する部分には、滑り止めや把持のしやすさといった効果を持たせるために様々な発明がなされている。滑り止めとしては、シリコーンやエラストマーといった弾性樹脂を把持部に配置した構成(グリップ)が採られており、把持部の内部に可撓性材料、ゲル状物質や気体、微細な固体を封入することによって持ちやすい把持部を形成している。
【特許文献1】特許第3431317号公報
【特許文献2】特開2005−199594号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、内部に可撓性材料、ゲル状物質や気体を封入した把持部は任意に変形してしまうため腰がなく柔らかすぎて筆記感が悪いという欠点があった。また、空間に微細な固体を配し腰がある把持部とした場合でも、変形によって内部の軸体の触感が指先に伝わってしまい、痛みや違和感につながっていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そこで、本発明は、軸体の把持部に少なくとも弾性樹脂を配置及び/または一体に設けた軸体において、前記軸体と前記把持部との間に空間を設け、この空間に微細な固体を配したこと及び、前記把持部内部に空間を設け、この空間に微細な固体を配したことを特徴とする軸体を要旨とするものであって、特に、前記微細な固体が粒子状及び/または繊維状であることが好ましい。
【0005】
軸体1の材質は、金属や樹脂、木材、石材など形成できるものであればよく、把持部2を形成する材料が軸体1を形成できる強度を有していれば、その材料で把持部を軸体自体に形成することも可能であり、特に限定されない。また、これらの材質は1種または2種以上の混合物であってもよい。
【0006】
軸体1及び/または把持部2の材料として樹脂及び/または弾性樹脂があげられる。樹脂としてはポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリスチレン樹脂(PS)、アクリロニトリルスチレン樹脂(AS)、アクリロニトリルスチレンブタジエン樹脂(ABS)、メタクリル樹脂(PMMA)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリエチレンテレンテレフタレート樹脂(PET)、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、弾性樹脂としてはアクリル樹脂やシリコーン樹脂、フッ素樹脂、塩化ビニル、ウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、エラストマーゲル、ポリエチレンゲル、ジメチル系シリコーン、メチルビニル系シリコーン、メチルフェニルビニル系シリコーン、メチルフルオロアルキル系シリコーン(フロロシリコーン)、フロロ−ジメチル共重合シリコーン、ウレタンゴム、エチレンアクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ニトリルゴム、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、エステル系エラストマー、ウレタン系エラストマーなどが挙げられるが、形状が維持できるものであれば特に限定されない。これら樹脂及び/または弾性樹脂は1種または2種以上の混合物であってもよい。また樹脂で成形した把持部表面に弾性樹脂を成形、塗装するといった方法で滑り止め効果や把持感の向上を図ることもできる。
【0007】
把持部を構成する弾性樹脂の硬度は、ショアーAで0度から90度もしくは、アスカーCで0度から90度までの硬度範囲の中で適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。ただし、ショアーAで60度、アスカーCで80度以上の弾性樹脂は硬くなり、表面のベタツキや膨潤も少なくなることから、ショアーAで60度以下、アスカーCで80度以下の弾性樹脂であることが望ましい。また、内層と外層は同一材料で一体に成形しても硬度の異なる材料で別体で成形して組み立ててもよく、特に限定されない。
【0008】
これら樹脂及び/または弾性樹脂には、吸油および/または吸水性がある物質が添加されてもよい。吸油性および/または吸水性がある物質は、化粧品に使用される物質、オイルの除去に使用される物質、家庭内で防臭、清浄効果に使用される物質と多岐にわたり、その種類や形状は数多くある。例を挙げると木材や繊維、コルク、炭、皮革などの天然材料、シリカゲルや活性炭といった吸着素材、ゼオライトやけい藻土といった無機鉱物、架橋ポリアクリル酸エステル、架橋ポリメタクリル酸メチル、ポリアミド多孔質体などを始めとした高分子吸油・吸水剤、紡錘状中空多孔質シリカ、多孔質シリカ、多孔質シリコーン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムいった無機化合物、多孔質セラミック等が挙げられる。また、表面に多孔質シリカ等の吸油性および/または吸水性を有する被膜を形成することで、物質に吸油性および/または吸水性の機能を発揮、向上させてもよい。吸油および/または吸水した際に、これら吸油および/または吸水性がある物質の大きさが変化しないことが望ましいことから、無機鉱物、無機化合物が特に好ましい。これら吸油および/または吸水性がある物質は1種または2種以上の混合物であってもよい。
【0009】
吸油および/または吸水性がある物質はその機能を十分に発揮させるために、微粒子粉体として添加することが望ましい。これは粒径が細かい程、単位重量当たりの表面積が増大することから、油および/または水の吸収効率を高める効果が期待できる。しかし、その粒径は把持部の形状や大きさに応じて適宜選択すればよい。また、吸油および/または吸水性がある無機粉体を使用することにより、油および/または水を吸収した際にも容積の変化がなく、把持部の膨潤やゆるみを更に防止することができる。樹脂への添加量は把持部の形状や大きさに応じて適宜選択すればよいが、添加量が少なすぎると十分な効果が期待できず、多すぎると強度が損なわれることから、樹脂に対して重量比率で0.001%〜50%、特に0.01%〜10%の添加量であることが望ましい。弾性樹脂への添加量は把持部の形状や大きさに応じて適宜選択すればよいが、添加量が少なすぎると十分な効果が期待できず、多すぎると弾性樹脂の硬度が高くなり、弾性が損なわれることから、弾性樹脂に対して重量比率で0.001%〜50%、特に0.01%〜10%の添加量であることが望ましい。
【0010】
これら弾性樹脂には触り心地や指先へのフィット感の向上、着色や文様といった意匠性の向上、抗菌や汗の吸放出、光触媒反応による自己洗浄といった機能性の付与のために粉体、微粒子、発泡剤などが含まれてもよい。
その粉体の具体例としては、スチレン、ナイロン、ポリオレフィン、シリコーン、エポキシ、ポリメタクリル酸メチルなどの樹脂粉体や、シリカ、アルミナ、ジルコニア、ガラス片、金属片などの無機粉体、シルクパウダー、木粉、コルク粉などの天然素材を粉体化したものなどが挙げられる。また、それらの粉体に、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系などの粉体塗膜を被覆した複合粉体、さらには、自動乳鉢、ボールミル、ジェットミル、アトマイザー、ハイブリダイザーなどを用いて樹脂粉体にこの樹脂粉体より小さい無機粉体を吸着させたり、打ち込んだりしたものなども挙げられ、特に限定されない。また、粉体の形状は、無定型、球状、板状、針状などが用いられ、特に限定するものではない。これら粉体は1種または2種以上添加してもよい。
【0011】
また、前記微粒子の具体例としては、カーボンブラック、グラファイトや、酸化チタン、酸化錫、酸化インジウムなどの酸化物、窒化チタン、窒化クロム、窒化ジルコニウム、窒化タンタルなどの窒化物、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化タンタルなどの炭化物、ホウ化チタン、ホウ化ジルコニウム、ホウ化タンタルなどのホウ化物が挙げられ、特に限定されない。また、微粒子の形状は無定型、鱗片状、球状、繊維状などを用いることができる。これら微粒子は、1種または2種以上添加してもよい。
【0012】
前記発泡剤は、化学発泡剤、物理発泡剤、熱膨張性マイクロカプセルなどが用いられる。化学発泡剤の具体例は、アゾ化合物、ニトロソ化合物、ヒドラジン誘導体、セミカルバジド化合物、アジド化合物、トリアゾール化合物などの有機系熱分解型発泡剤、イソシアネート化合物などの有機系反応型発泡剤、重炭酸塩、炭酸塩、亜硫酸塩、水素化物などの無機系熱分解型発泡剤、重炭酸ナトリウム+酸、過酸化水素+イースト菌、亜鉛粉末+酸などの無機系反応型発泡剤などが挙げられる。
物理発泡剤の具体例は、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ジクロルエタン、ジクロルメタン、フロン、空気、炭酸ガス、窒素ガスなどが挙げられる。
熱膨張性マイクロカプセルの具体例は、イソブタン、ペンタン、石油エーテル、ヘキサンなどの低沸点炭化水素を芯物質とし、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなどの共重合体からなる熱可塑性樹脂を壁物質としたマイクロカプセルなどが挙げられ、特に限定されない。これら発泡剤は、1種または2種以上添加してもよい。
【0013】
又、把持部を構成する弾性樹脂の表面は滑らかな面や粗な面に成形できる。摩擦抵抗を高め、指先表面の引っかかりをよくするためには表面を鏡面の様に滑らかに、摩擦抵抗を低くしてさらさらした触感やゴミ、ほこりを付きにくくするためには表面を粗にすればよい。更に、把持部を構成する弾性樹脂の表面には適度な凹凸を形成してもよい。
【0014】
把持部は少なくとも内層と外層を設けることで内部に空間を設けた構造となっている。内層及び/または外層の厚さは変化させる、もしくは内層と外層の厚さを変化させているが、内層と外層の内部に空間が設けられていればよい。また、内層と外層は一体であっても、別体であってもよく、内層と外層の一部が連接している構造であってもよい。
【0015】
把持部2の製造方法としては、圧縮成形やトランスファー成形、射出成形、押出成形、真空注形といった方法で成形した弾性樹脂を軸体に装着する方法や、インサート成形で形成するといった方法が挙げられるが、製造方法は特に限定されない。
【0016】
微細な固体4は軸体と把持部との間及び/または把持部に設けられた空間に配されている。微細な固体4の具体的な例としては、ステンレス、洋白、ジルコニア、ルビーボール等の硬球、ダイヤモンド、ルビー、サファイヤ、めのう、水晶等の鉱石、御影石、大理石等の岩石、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタラート、塩化ビニル、ABS、AS、PMMA、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の樹脂やその発泡体、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂、ジメチル系シリコーン、メチルビニル系シリコーン、メチルフェニルビニル系シリコーン、メチルフルオロアルキル系シリコーン(フロロシリコーン)、フロロ−ジメチル共重合シリコーン、ウレタンゴム、エチレンアクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ニトリルゴム、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、エステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー等の弾性樹脂、ナイロン、絹、綿等の繊維、ガラスなどが挙げられるが、微細な固体が形成できればよく特に限定はされない。また、これらの微細な固体は1種または2種以上の混合物であってもよい。
【0017】
微細な固体4の形状は粒子状、繊維状、不定形状等様々な形状の固体が利用できる。硬球などの真球に近い形状の微細な固体を配した場合には、把持した際の変形が速く、また、放した時の形状復元も速い。岩石やガラスを粉砕した不定形の微細な固体を配した場合には、把持した際の変形は遅いが腰がある把持感があり、また、放した時にも形状をある程度記憶している。微細な固体の大きさは空間の大きさによって異なるが、空間の最小の幅より小さければよく、特に限定されない。また、これらの微細な固体の大きさは1種または2種以上の混合物であってもよい。
【0018】
軸体と把持部との間及び/または把持部内部に設けられた空間には微細な固体4の他に、微細な固体の流動性、形状保持性を補助するために弾性樹脂やゲル状物質や粘稠物などの補助材4を配してもよい。粘稠物としては、KF96(信越化学工業(株)製)といったシリコーンオイルやtsk5370(Ge東芝シリコーン(株)製)といったシリコーンオイルコンパウンド、レチナックス グリース CL(昭和シェル石油(株)製)といった石油系グリースがあげられる。ゲル状物質としてはKE−1052、sifel827(信越化学工業(株)製)、アルファゲル((株)ジェルテック製)といったシリコーンゲル、人肌のゲル((株)エクシールコーポレーション製)といったウレタンゲルなどがあげられる。また、これらの補助材は1種または2種以上の混合物であってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、内層と外層を設けることで内部に空間を設け、この空間に微細な固体を配した把持部を配置及び/または一体に設けることによって、従来の弾性樹脂のみの把持部より変形能力を向上させ、かつ、可撓性材料、ゲル状物質や気体のみを封入した把持部より腰がある把持部となっている。さらに、内層及び/または外層の厚さを変化させたり、把持部の内層と外層の厚さを異なる厚さとしたことで、変形によって内部の軸体の触感が指先に伝わって感じる痛みや違和感を解消している。また、把持した指先の形状に合わせて変形し、形状を保持するため、接触面積が増え、握る圧力が分散され、指先以外の把持部分、例えば筆記具の指間当節部に配することによって握りやすい形状の軸体となる。握りやすさの向上のほかに、弾性樹脂を透明にすることによって、内部の微細な固体の色や動きを楽しめるといった装飾的な効果もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、少なくとも内層と外層を設けることで内部に空間を設け、この空間に微細な固体を配した把持部を配置及び/または一体に設けた軸体において、把持部の内層及び/または外層の厚さを変化させたこと及び/または内層と外層の厚さを異なる厚さとしたことを最も主要な特徴とする。把持した指先の形状に合わせて変形し、形状を保持する目的を実現した。
【0021】
図1は、本発明を筆記具の把持部に使用した実施例1の図である。図2は図1のA−A‘線断面図である。内層と外層を設けることで内部に空間を設け、この空間に微細な固体を配した。参照符号1は軸体、参照符号2は把持部、参照符号3は内層、参照符号4は外層、参照符号2aは、内層3と外層4とによって形成される空間、参照符号5は微細な固体である。内層の厚い部分は外層の薄い部分に合う位置に設置されている。
軸筒1はポリエチレン、把持部2としてエラストマー(アクティマーAE−2040S、リケンテクノス(株)製、ショアーA硬度:40°)を用いて射出成形で成形した。微細な固体5としてガラスビーズ(ユニビーズUB−1618L、(株)ユニオン製)を内層と外層の間の空間に配した把持部2を軸体1に装着した。ガラスビーズは握った時の圧力で適度に位置を変える。このため把持部2は握った指の形状に変形し、持ちやすさ、滑りにくさといった効果を発揮する。内部のガラスビーズそのものは硬いため、しっかり握った際にも変形しすぎない、腰のある良好な感触が得られる。さらに、内層と外層の厚みを部分的に変化させ内層の厚い部分が外層の薄い部分にあたることで、空間の大きさが変わらないようになっており、握った時の過度の変形も抑えられ、内部の軸体の触感が指先に伝わって感じる痛みや違和感を解消している。
図3は、本発明を筆記具の把持部に使用した実施例2の図である。図4は図3のA−A‘線断面図である。内層と外層を設けることで内部に空間を設け、この空間に微細な固体と補助材を配した。参照符号1は軸体、参照符号2は把持部、参照符号3は内層、参照符号4は外層、参照符号2aは、内層3と外層4とによって形成される空間、参照符号5は微細な固体、参照符号6は補助材である。内層の厚い部分は外層の厚い部分に合う位置に設置されている。
軸筒1はアクリロニトリルスチレンブタジエン、把持部2としてエラストマー(サントプレーン111−35、エーイーエス・ジャパン(株)製、ショアーA硬度:35°)を用いて射出成形で成形した。微細な固体5としてガラスビーズ(ユニビーズUB−1921LN、(株)ユニオン製)を内層と外層の間の空間に配し、隙間にシリコーンゲル(KE−1052、信越化学工業(株)製)を充填した把持部2を軸体1に装着した。ガラスビーズは握った時の圧力で適度に位置を変え、その移動はシリコーンゲルによってより柔らかな変化となる。このため把持部2は握った指の形状に変形し、持ちやすさ、滑りにくさといった効果を発揮する。内部のガラスビーズそのものは硬くシリコーンゲルによる弾力があるため、しっかり握った際にも変形しすぎず、腰のある良好な感触が得られる。さらに、内層と外層の厚みを部分的に変化させ内層の厚い部分が外層の厚い部分にあたることで、空間の大きさが変わるようになっており、空間の広い部分では変形が強調されるが、空間の狭い部分では握った時の過度の変形が抑えられ、内部の軸体の触感が指先に伝わって感じる痛みや違和感を解消している。
即ち、実施例1は「内層の厚い部分が外層の薄い部分にあたること」で「空間の大きさが変わらないようになっている」ため握った時の過度の変形も抑えられ、内部の軸体の触感が指先に伝わって感じる痛みや違和感を解消している。一方、実施例2は「内層の厚い部分が外層の薄い部分にあたること」で「空間の大きさを変えている」ため空間の広い部分では変形が強調されるが、空間の狭い部分では握った時の過度の変形も抑えられ、内部の軸体の触感が指先に伝わって感じる痛みや違和感を解消している。
【0022】
図5は、本発明を筆記具の把持部に使用した実施例3の図である。図6は図5のA−A‘線断面図である。内層と外層を設けることで内部に空間を設け、この空間に微細な固体と補助材を配した。参照符号1は軸体、参照符号2は把持部、参照符号3は内層、参照符号4は外層、参照符号2aは、内層3と外層4とによって形成される空間、参照符号5は微細な固体、参照符号6は補助材である。内層の厚さは外層の厚さより薄くなっている。
【0023】
軸筒1はポリプロピレン、把持部2としてエラストマー(ラバロンMJ5302C、三菱化学(株)製、ショアーA硬度:50度)を用いて射出成形で透明なものを成形した。微細な固体5としてガラスビーズ(ユニビーズUB−1921LN、(株)ユニオン製)内層と外層の間の空間に配し、隙間にシリコーンゲル(KE−1052、信越化学工業(株)製)を充填した把持部2を軸体1に装着した。ガラスビーズは握った時の圧力で適度に位置を変え、その移動はシリコーンゲルによってより柔らかな変化となる。このため把持部2は握った指の形状に変形し、持ちやすさ、滑りにくさといった効果を発揮する。内部のガラスビーズそのものは硬くシリコーンゲルによる弾力があるため、しっかり握った際にも変形しすぎず、腰のある良好な感触が得られる。さらに、内層と外層の厚みを変化させ内層を薄くすることでガラスビーズの触感を感じやすくし、外層を厚くすることで握った時に内部の軸体の触感が指先に伝わって感じる痛みや違和感を解消している。また把持部2が透明なため、内部に配したガラスビーズの色やその移動を楽しむことが出来る。
【0024】
図7は、本発明を筆記具の把持部に使用した実施例4の図である。図8は図7のA−A‘線断面図である。内層と外層を設けることで内部に空間を設け、この空間に微細な固体と補助材を配した。参照符号1は軸体、参照符号2は把持部、参照符号3は内層、参照符号4は外層、参照符号2aは、内層3と外層4とによって形成される空間、参照符号5は微細な固体、参照符号6は補助材である。内層の厚さは外層の厚さより厚くなっている。
【0025】
軸筒1はアクリロニトリルスチレン、把持部2としてエラストマー(ラバロンMJ5302C、三菱化学(株)製、ショアーA硬度:50度)を用いて射出成形で透明なものを成形した。微細な固体5としてガラスビーズ(ユニビーズUB−1618L、(株)ユニオン製)内層と外層の間の空間に配し、ガラスビーズの隙間に補助材6として人肌のゲル(ウレタンゲル、(株)エクシールコーポレーション製、アスカーC硬度:5度)を充填した把持部2を軸体1に装着した。ガラスビーズは握った時の圧力で適度に位置を変え、その移動はウレタンゲルによってより柔らかな変化となる。このため把持部2は握った指の形状に変形し、持ちやすさ、滑りにくさといった効果を発揮する。内部のガラスビーズそのものは硬くウレタンゲルによる弾力があるため、しっかり握った際にも変形しすぎず、腰のある良好な感触が得られる。さらに、内層と外層の厚みを変化させ内層を厚くすることで過度の変形を抑制し、握った時に内部の軸体の触感が指先に伝わって感じる痛みや違和感を解消している。また外層を薄くすることで内部の空間を広く取り、ガラスビーズと人肌ゲルが十分に入る容積を確保している。
【0026】
図9は、本発明を筆記具の把持部に使用した実施例5の図である。内層と外層を設けることで内部に空間を設け、この空間に微細な固体と補助材を配した。参照符号1は軸体、参照符号2は把持部、参照符号3は内層、参照符号4は外層、参照符号2aは、内層3と外層4とによって形成される空間、参照符号5は微細な固体、参照符号6は補助材である。内層の厚さは先端から後方に向けて徐々に薄くなっている。
【0027】
軸筒1はアクリロニトリルスチレン、把持部2(内層3、外層4)はジメチル系シリコーンゴム(TSE2570−6U、GE東芝シリコーン(株)製、ショアーA硬度:30度)を用いてコンプレッション成形で透明なものを別体で成形し、接着により固定した。微細な固体5として御影石粉砕物を内層と外層の間の空間に配し、御影石粉砕物の隙間に補助材6としてシリコーングリース(G420、信越化学工業(株)製)を充填した把持部2を軸体1に装着した。御影石粉砕物は握った時の圧力で適度に位置を変える。このため把持部2は握った指の形状に変形し、持ちやすさ、滑りにくさといった効果を発揮する。この時グリースによって御影石粉砕物の流動性が滑らかになり、より良好な触感となる。また、内部の御影石粉砕物そのものは硬いため、しっかり握った際にも変形しすぎない、腰のある感触が得られる。さらに、内層の厚みを徐々に変化させており、強く握る先端部は空間を狭くすることで過度の変形を抑制し、握った時に内部の軸体の触感が指先に伝わって感じる痛みや違和感を解消し、後端に向けて徐々に空間が広がることで変形量が大きくなり良好な触感が増す。また把持部2が透明なため、内部に配した御影石粉砕物の色やその移動を楽しむことが出来る。
【0028】
図10は、本発明を筆記具の把持部に使用した実施例6の図である。図11は図10のA−A‘線断面図である。内層と外層を設けることで内部に空間を設け、この空間に微細な固体と補助材を配した。参照符号1は軸体、参照符号2は把持部、参照符号3は内層、参照符号4は外層、参照符号2aは、内層3と外層4とによって形成される空間、参照符号5は微細な固体、参照符号6は補助材である。内層の厚さは外層の厚さより厚くなっている。軸体と把持部を一体で成形した。
【0029】
軸筒1および把持部2はポリプロピレンを用いて射出成形で透明なものを成形した。微細な固体5としてガラスビーズ(ユニビーズUB−1618L、(株)ユニオン製)内層と外層の間の空間に配し、ガラスビーズの隙間に補助材6として人肌のゲル(ウレタンゲル、(株)エクシールコーポレーション製、アスカーC硬度:5度)を充填した把持部2を軸体1に装着した。ガラスビーズは握った時の圧力で適度に位置を変え、その移動はウレタンゲルによってより柔らかな変化となる。このため把持部2は握った指の形状に変形し、持ちやすさ、滑りにくさといった効果を発揮する。内部のガラスビーズそのものは硬くウレタンゲルによる弾力があるため、しっかり握った際にも変形しすぎず、腰のある良好な感触が得られる。さらに、内層と外層の厚みを変化させ内層を厚くすることで過度の変形を抑制し、握った時に内部の軸体の触感が指先に伝わって感じる痛みや違和感を解消している。また外層を薄くすることで内部の空間を広く取り、ガラスビーズと人肌ゲルが十分に入る容積を確保している。
【0030】
図12は、本発明を筆記具の把持部に使用した実施例7の図である。図13は図12のA−A‘線断面図である。内層と外層を設けることで内部に空間を設け、この空間に微細な固体と補助材を配した。参照符号1は軸体、参照符号2は把持部、参照符号3は内層、参照符号4は外層、参照符号2aは、内層3と外層4とによって形成される空間、参照符号5は微細な固体、参照符号6は補助材である。外層の厚さを円周方向に対して変化させてある。
【0031】
軸筒1はポリエチレン、把持部2としてエラストマー(ラバロンMJ5302C、三菱化学(株)製、ショアーA硬度:50度)を用いて射出成形で成形した。微細な固体5としてガラスビーズ(ユニビーズUB−1921Ln、(株)ユニオン製)を内層と外層の間の空間に配し、隙間にシリコーンゲル(KE−1052、信越化学工業(株)製)を充填した把持部2を軸体1に装着した。ガラスビーズは握った時の圧力で適度に位置を変え、その移動はシリコーンゲルによってより柔らかな変化となる。このため把持部2は握った指の形状に変形し、持ちやすさ、滑りにくさといった効果を発揮する。内部のガラスビーズそのものは硬くシリコーンゲルによる弾力があるため、しっかり握った際にも変形しすぎず、腰のある良好な感触が得られる。さらに、外層の厚みを部分的に変化させ内層の厚い部分が外層の厚い部分にあたることで、握った時の過度の変形も抑えられ、内部の軸体の触感が指先に伝わって感じる痛みや違和感を解消している。外層の厚さを円周方向に対して変化させてあるため、変形した後に指を放すと厚い部分の復元力によって把持部の形状が元に戻りやすくなっている。
【0032】
図14は、本発明を筆記具の把持部に使用した実施例8の図である。図15は図14のA−A‘線断面図である。内層と外層を設けることで内部に空間を設け、この空間に微細な固体を配した。また、軸体と把持部の間に空間を設け、この空間に補助材を配した。参照符号1は軸体、参照符号2は把持部、参照符号3は内層、参照符号4は外層、参照符号2aは、内層3と外層4とによって形成される空間、参照符号5は微細な固体、参照符号7は、軸体1と把時部2とによって形成される空間、参照符号6は補助材である。内層の厚さは外層の厚さより厚くなっている。
【0033】
軸筒1はポリエチレン、把持部2としてエラストマー(ラバロンMJ5302C、三菱化学(株)製、ショアーA硬度:50度)を用いて射出成形で成形した。微細な固体5としてガラスビーズ(ユニビーズUB−1921Ln、(株)ユニオン製)を内層と外層の間の空間に配した把持部2を軸体1に装着し、軸体と把持部の間にシリコーンゲル(KE−1052、信越化学工業(株)製)を充填した。ガラスビーズは握った時の圧力で適度に位置を変える。このため把持部2は握った指の形状に変形し、持ちやすさ、滑りにくさといった効果を発揮する。また、軸体と把持部の間にあるシリコーンゲルがクッションとなり、握った時の過度の変形も抑えられ、内部の軸体の触感が指先に伝わって感じる痛みや違和感を解消している。内部のガラスビーズそのものは硬く、シリコーンゲルによる弾力があるため、しっかり握った際にも変形しすぎず、腰のある良好な感触が得られる。
【0034】
図16は、本発明を筆記具の把持部に使用した実施例9の図である。図17は図16のA−A‘線断面図である。内層と外層を設けることで内部に空間を設け、この空間に微細な固体と補助材を配した。参照符号1は軸体、参照符号2は把持部、参照符号3は内層、参照符号4は外層、参照符号2aは、内層3と外層4とによって形成される空間、参照符号5は微細な固体、参照符号6は補助材である。内層の厚さは外層の厚さより厚くなっている。軸体と把持部を一体で成形した。
【0035】
軸筒1および把持部2はポリプロピレンを用いて射出成形で透明なものを成形した。微細な固体5としてガラスビーズ(ユニビーズUB−1618L、(株)ユニオン製)内層と外層の間の空間に配し、補助材6として人肌のゲル(ウレタンゲル、(株)エクシールコーポレーション製、アスカーC硬度:5度)を充填し、空気を吹き込んでから硬化させることで、部分的に空間2aを空けた把持部2を軸体1に装着した。ガラスビーズは握った時の圧力で適度に位置を変え、その移動はウレタンゲルによってより柔らかな変化となるが、空間があることから変形は大きくなる。このため把持部2は握った指の形状に変形し、持ちやすさ、滑りにくさといった効果を発揮する。内部のガラスビーズそのものは硬くウレタンゲルによる弾力があるため、しっかり握った際にも変形しすぎず、腰のある良好な感触が得られる。さらに、内層と外層の厚みを変化させ内層を厚くすることで過度の変形を抑制し、握った時に内部の軸体の触感が指先に伝わって感じる痛みや違和感を解消している。また外層を薄くすることで内部の空間を広く取り、ガラスビーズと人肌ゲルが十分に入る容積を確保している。
【0036】
図18は、比較例1の図である。図19は図18のA−A‘線断面図である。内層と外層を設けることで内部に空間を設け、この空間に微細な固体と補助材を配した。参照符号1は軸体、参照符号2は把持部、参照符号3は内層、参照符号4は外層、参照符号2aは、内層3と外層4とによって形成される空間、参照符号5は微細な固体、参照符号6は補助材である。内層と外層の厚さがほぼ同じとなっている。
【0037】
軸筒1はポリプロピレン、把持部2としてエラストマー(ラバロンMJ5302C、三菱化学(株)製、ショアーA硬度:50度)用いて射出成形で透明なものを成形した。微細な固体5としてガラスビーズ(ユニビーズUB−1921LN、(株)ユニオン製)内層と外層の間の空間に配し、隙間にシリコーンゲル(KE−1052、信越化学工業(株)製)を充填した把持部2を軸体1に装着した。ガラスビーズは握った時の圧力で適度に位置を変え、その移動はシリコーンゲルによってより柔らかな変化となる。このため把持部2は握った指の形状に変形し、持ちやすさ、滑りにくさといった効果を発揮する。内部のガラスビーズそのものは硬くシリコーンゲルによる弾力があるため、しっかり握った際にも変形しすぎず、腰のある良好な感触が得られる。しかし、内層と外層の厚みには変化がなくガラスビーズの触感を感じやすくした厚さでは、握った時に内部の軸体の触感が指先に伝わってしまい痛みや違和感を感じてしまう。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、軸体の少なくとも把持部する部分に弾性樹脂を設けた軸体に関するものである。その軸体の例としては、シャープペンシルやボールペン、修正ペンなどの筆記具、カッターや彫刻刀、ドライバーなどの工具類、PDA(パーソナル デジタル アシスタンス)や電子手帳に使用される入力ペン、自転車のハンドルなど多岐にわたる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明を筆記具の把持部に使用した実施例1の図である。
【図2】図1のA−A‘断面図である。
【図3】実施例2の図である。
【図4】図3のA−A‘断面図である。
【図5】実施例3の図である。
【図6】図5のA−A‘断面図である。
【図7】実施例4の図である。
【図8】図7のA−A‘断面図である。
【図9】実施例5の図である。
【図10】実施例6の図である。
【図11】図10のA−A‘断面図である。
【図12】実施例7の図である。
【図13】図13のA−A‘断面図である。
【図14】実施例8の図である。
【図15】図14のA−A‘断面図である。
【図16】実施例9の図である。
【図17】図16のA−A‘断面図である。
【図18】比較例1の図である。
【図19】図18のA−A‘断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 軸体
2 把持部
2a 空間
3 内層
4 外層
5 微細な固体
6 補助材
7 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも内層と外層を設けることで内部に空間を設け、この空間に微細な固体を配した把持部を配置及び/または一体に設けた軸体において、把持部の内層及び/または外層の厚さを変化させたことを特徴とする軸体。
【請求項2】
少なくとも内層と外層を設けることで内部に空間を設け、この空間に微細な固体を配した把持部を配置及び/または一体に設けた軸体において、把持部の内層と外層の厚さを異なる厚さとしたことを特徴とする軸体。
【請求項3】
少なくとも内層と外層を設けることで内部に空間を設け、この空間に微細な固体を配した把持部を配置及び/または一体に設けた軸体において、把持部の内層の厚さを外層の厚さより厚くしたことを特徴とする軸体。
【請求項4】
少なくとも内層と外層を設けることで内部に空間を設け、この空間に微細な固体を配した把持部を配置及び/または一体に設けた軸体において、把持部の外層の厚さを内層の厚さより厚くしたことを特徴とする軸体。
【請求項5】
少なくとも内層と外層を設けることで内部に空間を設け、この空間に微細な固体を配した把持部を配置及び/または一体に設けた軸体において、前記軸体と前記把持部との間に空間を設けたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の軸体。
【請求項6】
前記軸体と前記把持部との間に設けた空間及び/または前記把持部内部に設けた空間に微細な固体及び/または弾性樹脂及び/または粘稠物を配したことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の軸体。
【請求項7】
前記空間に配する微細な固体が粒子状及び/または繊維状であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の軸体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−265176(P2008−265176A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−112467(P2007−112467)
【出願日】平成19年4月23日(2007.4.23)
【出願人】(000005511)ぺんてる株式会社 (899)
【Fターム(参考)】