説明

軸回動装置または空気調和機

【課題】組立の簡単で安価な軸回動装置を提供する。
【解決手段】左右の側部36に一対の軸受け穴37を備えた枠体34と、断面略コの字型の端部に一対の回転軸40を備えた回転部材39とを設け、前記軸受け穴37に回転軸40を嵌着する事で前記軸受け穴37を支点として回転部材39を回動するものに於いて、前記側部36には軸受け穴37を中心とする所定半径の円弧状リブ38を設け、このリブ38に対向する前記回転部材39には前記リブ38と略同半径の段部41を設けたので、だれでも簡単に組立作業ができ、且つ特別な部品を必要としない安価な軸回動装置や空気調和機を提供することができるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸回動装置に係り、詳しくはユニットを居室内にて冷風機又は除湿機として使用する空気調和機の吹出口に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、左右側部に一対の軸受け穴を備えた側板に、断面コの字型の端部に一対の回転軸を備えた回転部材を前記軸受け穴に嵌着する事で前記軸受け穴を支点として回転部材を回動するものでは、組立作業において軸受け穴に、回転部材の断面コの字型の端部を弾性変形させながら軸を嵌着せねばならず、とても手間のかかる難しい作業であった。
また、特開2001−324161号公報の図4に示されるように長尺の回転部材(上下フラップ)を吹出口に容易に取り付けるためにバネ等の部品を使用しているものが有った。(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開2001−324161号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、この従来のものは、前者は組立作業に熟練した技術を要したり、組立作業に時間がかかるものであった。
また後者は組立作業は簡単であるが、バネ等の部品が別に必要であり、その分の製造コストが上昇するものであった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明はこの点に着目し上記欠点を解決する為に、左右の側部に一対の軸受け穴を備えた枠体と、断面略コの字型の端部に一対の回転軸を備えた回転部材とを設け、前記軸受け穴に回転軸を嵌着する事で前記軸受け穴を支点として回転部材を回動するものに於いて、前記側部には軸受け穴を中心とする所定半径の円弧状リブを設け、このリブに対向する前記回転部材には前記リブと略同半径の段部を設けたものである。
【0005】
また、筐体内に送風装置を備え、前記筐体の角部に送風の吹出口を設け、この吹出口に備えた回動部材にて、送風の吹出し方向を変更する空気調和機に於いて、前記吹出口に一対の軸受け穴を備えた側部を設けると共に、この側部には前記軸受け穴を中心とする所定半径の円弧状リブを設け、このリブに対向して前記回転部材には前記リブと略同半径の段部を設けたものである。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、左右の側部に一対の軸受け穴を備えた枠体と、断面略コの字型の端部に一対の回転軸を備えた回転部材とを設け、前記軸受け穴に回転軸を嵌着する事で前記軸受け穴を支点として回転部材を回動するものに於いて、前記側部には軸受け穴を中心とする所定半径の円弧状リブを設け、このリブに対向する前記回転部材には前記リブと略同半径の段部を設けたので、だれでも簡単に組立作業ができ、且つ特別な部品を必要としない安価な軸回動装置を提供することができるものである。
【0007】
また、筐体内に送風装置を備え、前記筐体の角部に送風の吹出口を設け、この吹出口に備えた回動部材にて、送風の吹出し方向を変更する空気調和機に於いて、前記吹出口に一対の軸受け穴を備えた側部を設けると共に、この側部には前記軸受け穴を中心とする所定半径の円弧状リブを設け、このリブに対向して前記回転部材には前記リブと略同半径の段部を設けたので、だれでも簡単に組立作業ができ、且つ特別な部品を必要としない安価な空気調和機を提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0009】
1は空気調和機の筐体で、底板2と前面、上面、背面の中央にて係合する右枠3と左枠4にて構成している。前記筐体1内には冷凍サイクルの蒸発器5と凝縮器6と圧縮機7等を備え、送風装置として前記蒸発器5の下流側には冷風用ファン8を、凝縮器6の下流側には温風用ファン9を設け、前記冷風用ファン8と温風用ファン9を同一の軸にて回転する送風モータ10を隔壁11の冷風用ファン8側に固定している。
【0010】
前記右枠3は右側面の中央から上部にかけて冷風用吸込口12を備え、この冷風用吸込口12を吸込空気内の埃を除去するフィルタ13で覆っている。前記冷風用吸込口12の下方にはドレンタンク14を着脱するタンク穴15を設けている。前記ドレンタンク14装着時には、ドレンタンク14の外表面は右枠3の外表面と同一面に形成されている。前記冷風用吸込口12の上方には運搬時の手掛用凹部16が一体に形成されている。
【0011】
前記左枠4は左側面の中央から上部にかけて温風用吸込口17を備え、この温風用吸込口17を冷風用吸込口12と同様にフィルタ13で覆っている。また前記右枠3の手掛用凹部16と対向する位置に同じ形状の凹部16が一体に形成されている。
【0012】
前面下部中央の右枠3・左枠4の合わせ面から上方には前パネル18を備え、この前パネル18の上部には冷風用吹出口19を設けている。この冷風用吹出口19には冷風の左右方向の風向を調整すると共に停止時や除湿運転時に冷風用吹出口19を閉じる縦ルーバ20が左右1対設けられ、この縦ルーバ20に冷風の上下方向の風向を調整する多数の横ルーバ21が取付けられている。
【0013】
前記隔壁11の右側には、冷風用吸込口12と蒸発器5、冷風用ファン8、冷風用吹出口19を連通して冷風用送風経路22を形成し、また、前記隔壁11の左側には温風用吸込口17と凝縮器6、温風用ファン9、温風用吹出口23を連通して温風用送風経路24を形成している。
前記冷風用吹出口19の左側の冷風用送風経路22は、凝縮器6と温風用吸込口17の間の温風用送風経路24と連通するバイパス部25が設けられ、除湿運転時に冷風を凝縮器6へ導いて加熱するものである。
【0014】
前記縦ルーバ20は内側と外側の2枚の羽根が略平行に一体に形成され、この2枚の羽根の間に横ルーバ21が回動自在に設けられ、多数の横ルーバ21どうしは連接板(図示せず)によって接続されることで、各の横ルーバ21の角度を一定にするものである。
【0015】
また、前記縦ルーバ20の左側内部には補助板26が設けられ、除湿運転や運転停止時には縦ルーバ20はルーバーモータ27によって自動的に閉じられ、前記補助板26は縦ルーバ20と連動して縦ルーバ20の内側羽根に連なって、冷風用吹出口19を2重に閉塞することで、縦ルーバ20の外表面が冷風によって結露する事を防止するものである。
前記ルーバーモータ27は2個の縦ルーバ20と補助板26の軸を同時に回転する機構を有し直流のステップモータを使用している。
【0016】
28は前記筐体1上面の前側に設けられた操作部で、運転停止を行う運転スイッチ29や冷風運転と除湿運転の切替を行うモード切替スイッチ30やタイマースイッチ31等を備えると共に、運転状態を表示する多数のランプ32を備えている。
【0017】
前記温風用吹出口23は、筐体1上面の後ろ側から背面の角部に位置し、格子状の排気ガード33で覆われている。この排気ガード33は枠体34と中央の格子部35から成り、枠体34の左右側部36には一対の軸受け穴37を設け、この軸受け穴37を中心として円弧状で所定半径Rのリブ38を設けている。
39は回転部材としての排気ルーバで、この排気ルーバ39は断面略コの字型の端部に一対の回転軸40を備え、前記リブ38に沿うように対向して段部41を備えている。この段部41は前記リブ38の半径Rよりも稍大きいが略同形の円弧を形成しているために、前記回転軸40を排気ガード33の軸受け穴37に取り付ける際に、前記リブ38に段部41が当接することによって、回転軸40が軸受け穴37にスムーズに案内されて、簡単に回転軸40を軸受け穴37に挿入することができるものである。
【0018】
前記排気ルーバ39は切替で温風の吹き出し方向を上方向と後ろ方向に切替るものであり、排気ルーバ39は上面と同一面で上面側の温風用吹出口23を覆い後方へ温風の排気を行う後方排気位置から、前記軸受け穴37を支点として約90度手動にて後方へ回動する事で、排気ルーバ39は背面よりもやや突出する状態で、背面側の温風用吹出口23を覆い上方へ温風の排気を行うものである。
【0019】
42は排気ダクトで、布やポリエチレン等の柔軟性薄膜材料で形成されたダクト本体43と、このダクト本体43の一端にマジックテープ等によって取り付けられた接続具44で構成されている。また前記ダクト本体43は薄膜がつぶれて送風抵抗が大きくなる事を防止するために、プラスッチック製で直径約15cmの補強リング45が複数薄膜に縫い込まれている。
【0020】
前記温風用吹出口23の背面側で、この吹出口23の左右と下側周囲にはコの字型の溝46を形成したダクト取付部47が右枠3や左枠4と一体に形成されている。
前記排気ダクト42を温風用吹出口23に取り付けるには、排気ルーバ39が上面側にあり、温風の吹き出し方向が後方側にセットされている状態であるかを確認し、前記接続具44をダクト取付部47の溝46に上方から挿入し、ダクト本体43を引き延ばして他端を窓等より部屋の外や廊下に出せば、補強リング45によって送風路が確保され、排気ダクト42のセットが完了する。
【0021】
48は筐体1の背面で温風用吹出口23の下方に位置する収納部蓋で、この収納部蓋48と前記ファン8・9のファンケース49の間の空間に排気ダクト42の収納部50を形成している。
【0022】
前記ファンケース49は樹脂成形により隔壁11と一体に設けられるか、又は別体に設けて爪等の係合で組み立てられて形成されている。
【0023】
前記蒸発器5と凝縮器6は熱伝導性良好な多数のアルミウムフィンに銅管が貫通したフィンチューブ式の熱交換器である。
前記底板2上には圧縮機7を備え、この圧縮機7と前記凝縮器6と、キャピラリーチューブ等の膨脹装置(図示せず)と、蒸発器5等を順次冷媒配管で連通し冷凍サイクルを形成している。
前記蒸発器5の下方にはドレンパン(図示せず)を設け、このドレンパンによって蒸発器5で発生した結露水を集め前記ドレンタンク14に蓄えるものである。
【0024】
冷風運転時の送風経路について説明すれば、冷風用吸込口12から吸い込まれた空気はフィルタ13によって埃が取り除かれ、低温の蒸発器5によって冷却され、冷風用ファン8を通って、冷風用吹出口19から縦ルーバ20及び横ルーバ21によって冷風が案内され吹き出される。
また、同時に温風用吸込口17から吸い込まれた空気はフィルタ13によって埃が取り除かれ、高温の凝縮器6によって加熱され、温風用ファン9を通って、温風用吹出口23から温風として排熱され、排気ダクト42が温風用吹出口23に接続されていれば、排気ダクト42によって室外に排気が行われる。
【0025】
除湿運転時の送風経路について説明すれば、冷風用吸込口12から吸い込まれた空気はフィルタ13によって埃が取り除かれ、低温の蒸発器5によって冷却される事で空気中の水分が取り除かれ、冷風用ファン8を通って、冷風用吹出口19へ向かうが、縦ルーバ20と補助板26によって冷風用吹出口19は閉塞されているので冷風はバイパス部25を通過して凝縮器6に送られ、凝縮器6で加熱され、温風用ファン9を通って、温風用吹出口23から乾燥した空気が吹き出される。この乾燥空気によって洗濯物の乾燥や室内の除湿を行うものであり、前記冷風運転と除湿運転の切替時には排気ルーバ39の回動が必要なものである。
【0026】
排気ガード33への排気ルーバ39の取付について説明すれば、排気ルーバ39の回転軸40を内側へ曲げて、排気ガード33の側部36の内面に沿って軸受け穴37側へ押し込めば、リブ38の外周に段部41の内周が当接することによって、軸受け穴37へスムーズに回転軸40が案内されて極めて簡単に挿入できるものである。
尚、この実施例では排気ガード33側の枠体34にリブ38を設け、排気ルーバ39側に段部41を設けたが、排気ガード33側に段部をもうけ、排気ルーバ39側にリブを設けても同じ効果が得られるものである。
【0027】
このように、だれでも簡単に組立作業ができ、且つ特別な部品を必要としない安価な軸回動装置を提供することができるものであり、空気調和機の吹出口に使用することにより空気調和機の組立作業を簡単にする事ができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明一実施例の冷風運転時の斜視図。
【図2】同除湿運転時の斜視図。
【図3】同冷風運転時の要部平面拡大断面図。
【図4】同除湿運転時の要部平面拡大断面図。。
【図5】同排気ダクトの取付を示す斜視図。
【図6】同枠体と回転部材の斜視図。
【図7】同枠体に回転部材を取り付けた状態の断面図。
【図8】同枠体に回転部材を取り付けた状態の断面図。
【符号の説明】
【0029】
33 排気ガード
34 枠体
36 側部
37 軸受け穴
38 リブ
39 排気ルーバ(回転部材)
40 回転軸
41 段部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の側部に一対の軸受け穴を備えた枠体と、断面略コの字型の端部に一対の回転軸を備えた回転部材とを設け、前記軸受け穴に回転軸を嵌着する事で前記軸受け穴を支点として回転部材を回動するものに於いて、前記側部には軸受け穴を中心とする所定半径の円弧状リブを設け、このリブに対向する前記回転部材には前記リブと略同半径の段部を設けた事を特徴とする軸回動装置。
【請求項2】
筐体内に送風装置を備え、前記筐体の角部に送風の吹出口を設け、この吹出口に備えた回動部材にて、送風の吹出し方向を変更する空気調和機に於いて、前記吹出口に一対の軸受け穴を備えた側部を設けると共に、この側部には前記軸受け穴を中心とする所定半径の円弧状リブを設け、このリブに対向して前記回転部材には前記リブと略同半径の段部を設けた事を特徴とする空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−250500(P2006−250500A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−71507(P2005−71507)
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)
【Fターム(参考)】