説明

軸方向移送ラインガス抜き

細長い流通型ガス抜き装置が、細長いガスおよび液体不透性外管(512)およびこの外管(512)内を、少なくとも部分的にこの外管(512)内に形成した室(518)を通って伸びる、一つ以上のガス透過性、液体不透性の細長い内管(514)を含む。この装置は、更にこの外管(512)と内管(514)の間の封止係合を可能にするため、および本発明のこのガス抜き装置をそれぞれの離間した部品に機能するように結合する結合装置とするために、この外管(512)および内管(514)のそれぞれの部分に機能するように結合した入口(594)および出口(596)結合構造体も含む。このガス抜き装置は、所望の形状に容易に手で操作できるように十分に柔軟である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、クロマトグラフィー流体、インク、半導体処理流体、飲料、および実験室級流体を含む、多種多様な用途に利用する流体をガス抜きするためのシステムに関し、更に具体的には、流通型移送ラインガス抜き装置で、移送ラインがシステムのそれぞれの部品間を伸び、そのような装置がそこを通過する流体を機能的にガス抜きするように同時に作用するように具体化した装置に関する。
【背景技術】
【0002】
中に溶存ガス、特に溶存空気があることが望ましくない、液体溶媒、反応剤等を使う多くの化学的用途、特に分析的用途がある。そのような用途の主な例は、液体クロマトグラフィーで利用する流体に関係し、そこでは溶存ガスが少量でも存在すれば得た結果の精度および感度に抵触する。例えば、移動相に溶解した空気は、泡の形で現れ、それは、この移動相がクロマト検出器を通過するときノイズおよびドリフトを生じることがある。この溶存ガスが化学的に活性である場合、このクロマトグラフィー流体に望ましくない変更または劣化を生じることがある。従って、そのような種をガス抜きプロセスで除去することが望ましい。
【0003】
液体材料のガス抜きは、多くのプロセスの成功に必要であり、それで種々のガス抜き法が相当長い間使われていた。手法には、ガス抜きすべき流体の加熱または煮沸、この材料の減圧環境または真空への曝露、並びにこの流体中の溶存ガスの量を減らすための熱および真空の組合せの使用がある。超音波エネルギーもそのようなガス抜き目的で使われた。しかし、従来の使い方では、これらの伝統的手法は、一般的に分離効率が所望の程度に達しなかった。
【0004】
膜装置による真空ガス抜きは、以前から知られ、一般的に減圧または真空に保った密閉室内に含まれる1本の比較的小直径の、薄肉、半透性合成ポリマー樹脂材料を利用し、その中でガス抜きすべき流体が管を貫流させられる。そのような装置の一つは、本発明と同じ譲受人に譲渡された米国特許第5,340,384号にシムスが示す。他のそのような装置は、米国特許第5,183,486号;第4,430,089号;および第3,668,837号に示してある。
【0005】
これらの装置は各々真空ガス抜き手法を使うが、特に液体クロマトグラフィー器具に関連する装置では、そのようなクロマトグラフィー器具のそれぞれの部品を機能するように結合する流体移送ラインに流体ガス抜き能力を持たせる必要が依然として残る。従来のガス抜きシステムでは、クロマトグラフィー流体を異なる真空室に送り、そこでガス抜き機能を果す。そのような方法では、別の異なる部品をこのクロマトグラフィー器具組立体に組込まねばならない。その上、流体移送ラインをそれぞれの流体溜からそのような流体がこれらのクロマトグラフィー器具を貫流する前に異なる真空室へ通さねばならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の基本目的は、流体移送ラインを軸方向に配置した個々のガス抜き室として提供することである。
【0007】
本発明のもう一つの目的は、流体が通過すると真空型ガス抜きができるように、真空源に機能するように結合したクロマトグラフィー流体移送ラインを提供することである。
【0008】
本発明のその上更なる目的は、不透性外管およびその中に配置した一つ以上の半透性内管を有し、この半透性内管で真空ガス抜き特性を実行するように、流体をこの外管と内管の間の比較的低圧環境のこの半透性内管にまたはその周りに流す、細長い流通型真空ガス抜き装置を提供することである。
【0009】
本発明の尚更なる目的は、外管およびその中に配置した一つ以上の内管を有し、この内管が非晶質ペルフルオロコポリマー材料だけで出来ている、細長い流通型移送ライン真空ガス抜き装置を提供することである。
【0010】
本発明のもう一つの目的は、所望の形状に容易に手で操作できるように十分に柔軟な、細長い移送ライン真空ガス抜き装置を提供することである。
【0011】
本発明の更なる目的は、不透性外管およびその中に配置した一つ以上の半透性内管を有し、この一つ以上の内管が非晶質ペルフルオロコポリマーだけで出来ている、移送ライン流体ガス抜き装置を提供することである。
【0012】
本発明のもう一つの目的は、不透性外管およびその中に配置した一つ以上の半透性内管を有する移送ライン装置で、通過する流体の再ガス発生を防ぐ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、流体を関連する流体流システムのそれぞれの部品間に伸びる別個の移送ラインでガス抜きできる。本発明の移送ラインは、液体およびガス不透性材料で作った細長い外管、並びにその中に配置した一つ以上の半透性内管を有する、軸方向に配置した個々のガス抜きユニットとして構成してあるのが好ましい。この外管および内管は、組合わせて、所望の形状に容易に手で操作できるように十分に柔軟であるのが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の特定の実施例で、この細長い流通型流体処理装置は、ガスおよび液体不透性であり、且つ入口端、出口端、およびその側壁に作ってある真空源結合開口を有する細長い外管を含む。このガス抜き装置は、更に、この外管内を伸びる細長い内管を含み、この内管は、ガス透過性、液体不透性のポリマー材料作ってあり、且つ外管の入口および出口端に対応する入口部および出口部を有する。その上、真空源アダプタがこの外管の側壁から、この真空源アダプタを貫通する中空チャンネルがこの外管と内管の間に形成するスペースからこの真空源アダプタの外部の位置へ流体結合するように、真空源開口と同じ範囲に伸びる。本発明の装置は、更に、この外管の入口端および内管の入口部に機能するように結合した入口結合装置、並びにこの外管の出口端および内管の出口部に機能するように結合した出口結合装置を含む。この装置は、所望の形状に容易に手で操作できるように十分に柔軟であるのが好ましい。この内管は、非晶質ペルフルオロコポリマー材料で作ってあり、一方外管は、Tefzel(登録商標)、FEP、PEEK 等から成るグループから選択してあるのが好ましい。
【0015】
この発明のもう一つの実施例は、流体を処理するための方法で、或る長さ、入口、および出口を含む第1室を形成して、実質的にガスおよび流体不透性である外管を有する移送ライン装置を含む方法を提供する。この装置は、更に、この外管内を、少なくとも部分的にこの第1室を通って伸び、各々一つ以上のガス透過性、液体不透性の材料だけで作ってある、一つ以上の内管を含む。この一つ以上の内管の各々は、解放端および実質的に対向する閉鎖端を有する。この方法は、更に、この一つ以上の内管の各々の開放端を、この一つ以上の内管内に形成するそれぞれの第2室を実質的に排気するように、真空源との流通を機能するように結合する工程を備える。この流体に真空ガス抜きまたは再ガス発生防止作用を行うように、この流体をこの入口からこの第1室を通しこの出口を通るように輸送する。
【0016】
本発明のその上更なる態様では、流体を処理する方法が、或る長さ、入口、および出口を含む第1室を形成して、実質的にガスおよび流体不透性である外管を有する移送ライン装置を用意する工程を含む。この装置は、更に、この外管内を、少なくとも部分的にこの第1室を通って伸び、各々一つ以上のガス透過性、液体不透性の材料だけで作ってある、一つ以上の内管を含む。この一つ以上の内管の各々は、第1および第2の実質的に対向する解放端を有する。この方法は、更に、この一つ以上の内管の各々の第1開放端を第1流体源に機能するように結合し、この第1流体を、この一つ以上の内管内に形成するそれぞれの室を通して運搬するようにする工程を含む。その上、第2流体をこの入口からこの第1室を通しこの出口を通って機能するように輸送する。この第2流体の目標ガス濃度が第1流体より低い場合、この目標ガスは、この第1流体から第2流体へこの一つ以上の内管のぞれぞれの壁を機能するように通過させられる。これとは対照的に、この第2流体の目標ガス濃度が第1流体より高い場合、この目標ガスは、この第2流体から第1流体へこの一つ以上の内管のぞれぞれの壁を機能するように通過させられる。
【実施例】
【0017】
上に列挙する目的および利点を、本発明が表す他の目的、特徴、および利点と共に、次に、この発明の種々の可能な構成の代表であることを意図する添付の図面を参照して説明する詳細な実施例によって呈示する。この発明の他の実施例および態様は、当業者の理解の範囲内にあると認識する。
【0018】
さて、図面、最初に図1を参照すると、本発明の移送ラインガス抜き装置10は、外管12および外管12内に配置した内管14を含む。外管12は、細長い密封した室を形成し、その中を内管14が貫通するのが好ましい。
【0019】
図1に示すように、外管12は、入口端22および出口端24を含み、内管14が対応する入口部32および出口部34を有する。入口および出口結合装置41、43は、外管12のそれぞれの入口および出口端22、24に、並びに内管14の入口部32、34に機能するように結合してあるのが好ましい。入口および出口結合装置41、43は、外管12のそれぞれの入口および出口端22、24で、外管12、それぞれの結合装置41、43およびそこの内管14の間同様、気密継手を機能するように提供するように構成してあるのが好ましい。それで、外管12の入口端22と出口端24の間の部分が密封した室18を形成し、それを内管14が貫通する。
【0020】
真空源結合孔48が外管12の側壁にそこを貫通して作ってあり、外管12と内管14の間のスペースが孔48を介して装置10の外部の環境に流体的に結合するようになっているのが好ましい。本発明の好適実施例では、真空源アダプタ52が外管12の側壁13から孔48と同じ範囲に伸びる。真空源アダプタ52は、真空源に機能するように結合するように構成してあるのが好ましく、それによって室18とのオープンスペースを使用中に実質的に排気することができる。そのようにして、室18内の位置で内管14を貫流する流体は、ヘンリーの分圧の法則に支配されるので、ガス抜きされる。それで、内管14を通過する流体内に混入されたガスは、内管14を形成するガス不透性、液体透過性材料を通って室18内の比較的低圧環境へ引かれる傾向がある。内管14内の流体からそのように引出されたガスは、結局、真空源に機能するように結合された孔48を介して室18から除去される。
【0021】
本発明は、ここに説明する一つ以上の流体をガス抜くするための装置を、そのような流体の再ガス発生を防ぐ際にも利用できることも意図する。例えば、予め実質的にガス抜きした流体を、装置10の全長に亘って、通過する流体がガス成分を吸収しないように、この装置10に導いてもよい。そのような態様は、事前ガス抜きした流体を送出源から送出先までその中にガス成分を吸収することなく移送しなければならない場合に重要である。従って、本発明の装置は、真空はガス成分が流体流に入るのを防ぐという事実によって、再ガス発生の危険なしに、事前ガス抜きした流体のそのような輸送を可能にする。そのようにして、本発明の装置を、流体をガス抜きしおよび/またはそのような流体の再ガス発生を防ぐために移送ライン装置で利用できる、流体処理装置と呼んでもよい。
【0022】
本発明のもう一つの実施例で、および図9に示すように、ガス抜きすべき流体を、そうではなく、内管514内に低圧環境を得ながら、内管514と外管512の間に形成される室518に向けてもよい。そのようにして、この流体内に混入した目標ガスを内管514から分圧によって、内管514が形成するそれぞれの室内の比較的低圧環境の中へ引出して、ガス抜き機能が逆方向に作用する。
【0023】
図9に示すように、外管512は、入口端523、実質的に対向する出口 and525を有するのが好ましい。図1を参照して説明した装置10同様、外管512は、実質的にガスおよび液体不透性であるのが好ましく、内管514の複合透過率より透過性が低いのが最も好ましい。外管512に有用な材料例には、Tefzel(登録商標)、PEEK、FEP、PFE、タイゴン(登録商標)等がある。比較的低透過率特性を有することに加えて、外管512は、この出願で説明する他の外管同様、本発明の移送ライン装置を比較的僅かな労力で容易に手で操作できるように、それが比較的柔軟であるように、不活性および物理的柔軟性を示すのが好ましい。それで、この発明の移送ライン装置は、ユーザが所望の用途に最良適合する多種多様な形状に手で操作できる。
【0024】
移送ライン装置510の内管514は、外管512内を、少なくとも部分的に室518を通って伸びる。図9に示す実施例では、内管514が各々開放端515および実質的に対向する閉鎖端517を有する。真空ラインカプラ592が流体入口カプラ594と係合するのが好ましく、その入口カプラは、それ自体外管512と係合する。真空カプラ592は、内管514のぞれぞれの開放端515に隣接する気密プレナム508を形成する。そのようなプレナム508は、真空カプラ592が流体入口カプラ594にしっかりと着座するとき、口金509が流体入口カプラ594の第2端595と封止するように係合するので、室518に関してだけ気密である。真空カプラ592は、真空カプラ592の通路505を介してプレナム508と流体結合している、第1端593で真空源(図示せず)に機能するように結合してあるのが好ましい。そのような構成によって、プレナム508は、内管514内に形成されるそれぞれの室513を実質的に排気するようにこの真空源との流通が機能するように結合してある。
【0025】
ガス抜きすべき流体は、外管512と封止係合した入口カプラ594を介して室518に導くのが好ましい。流体入口カプラ594から入口524で室518に入る流体は、内管514の周りの流体圧によって導かれ、結局出口522で室518から流体出口カプラ596を通って出る。上述のように実質的に排気された、半透性内管514の周りに流体を通すことによって、この流体に混入されたガスは、ヘンリーの分圧の法則によってそれぞれの内管壁を通って、内管514が形成するそれぞれの室513に引込まれる。この真空源は、内管514の側壁を通り抜けるガスを室513から除去する作用をする。
【0026】
装置510に更に示すように、流体流を入口524から出口522へ室518を通るように向けおよび/または向け直すために、バッフル503を室518に配置してもよい。本出願人は、室518を通る流体路にバッフル503のような構造体を置くことによって、室518を通る流体の層流が混乱するかも知れないと判断した。そのような層流の混乱は、この流体流容積全体に亘る混入ガスの混合を助け、それによって装置510のガス抜き効率を向上する。
【0027】
ガス抜きすべき流体を外管512と内管514の間の室518を通して導くとき、ある利点がこのガス抜きシステムに取入れられる。例えば、内管514の外径がその内径より大きいので、ガス抜きすべき流体を比較的大きい表面積のガス透過性分離媒体に曝す。従って、この流体を内管514の外面の周りに導くことによって、特定のシステムに対して比較的高いガス抜き効率を達成する。その上、外管512が完全にはガス不浸透性でない場合に、内管514に向うガス抜きを使って外管512を通るガスの流入を相殺してもよい。
【0028】
本発明の他の実施例では、掃除流体との相互作用によって流体をガス抜きすることができる。そのような掃除流体は、ガス状形または液状形をしていてもよく、およびガス抜きされるべき流体に隣接して流れるが、本発明の内管のガス透過性、液体不透性の壁によって分離するのが好ましい。或る実施例で、そのような掃除流体は、液体ガス抜き効率を高めるように、ガス抜きされる液体の流れ方向と逆に流れる。この液体を効果的にガス抜きするために、この掃除流体は、この液体から操作可能に除去する目標ガス種に関して比較的低い分圧(ガス)または濃度(液体)を有するのが好ましい。
【0029】
掃除流体を使って流体をガス抜きするように構成した装置の特定の例を図10に示す。そこの示すように、装置610は、実質的に不透性の外管612およびその中を且つ外管612内に形成される室618を少なくとも部分的に伸びるガス透過性、液体不透性管614を含む。外管612の第1および第2端部623、625は、各々それぞれの入口および出口カプラ694、696と封止係合するのが好ましく、カプラの各々は、軸方向に貫通して作った開チャンネル688、689を含む。それで、室618は、入口および出口カプラ694、696を通って開いている。
【0030】
入口および出口カプラ694、696は、各々入口および出口マニホルド、それぞれ、672、674と係合する。図10に示す実施例では、入口マニホルド672が第1流体入口孔673および第2流体入口孔675を含む。内管614は、流体入口アダプタ652内に封止係合し、流体入口アダプタ652に入る第1流体を漏らさずに内管614内に形成された室613の開放端617に輸送する。室613内の流体圧がこの第1流体を内管614を通し、出口マニホルド674の第1流体出口孔681を通って機能するように導く。
【0031】
第2流体は、外管612内の室618との流体結合を可能にする、第2流体入口孔675を介して装置610に持込まれる。入口マニホルド672内の解放プレナム677がこの第2流体を、室618に通じる、入口アダプタ652の開チャンネル688の中へ機能するように導く。プレナム677内の流体圧がこの第2流体を室618を通し、および結局出口マニホルド674の第2流体出口孔679を通るように導く。
【0032】
この第1および第2流体の指定した一つの使用可能に減少すべき目標ガス濃度は、この一つ以上の半透性管を通す目標ガスの移動を効率的に行うために、指定した除去流体で受入流体より高くあるべきである。例えば、内管614を通過する第1流体から目標ガスを除去すべき場合、室618で内管614の周りを通る第2流体は、目標ガス濃度が第1流体のそれより低くあるべきである。そのような条件が存在するとき、この第2流体は、第1流体内に混入したガスの少なくとも一部を除去する掃除流体として作用する。
【0033】
二つの流体間のガス移動は、第1流体の目標ガス濃度が第2流体のそれより低い場合、勿論、上に説明したのと反対であることができる。この場合、目標ガスは、内管614のそれぞれの壁を通って、内管614の周りを通る第2流体から内管614内の室613を通る第1流体へ移動させられるだろう。
【0034】
本発明は、更に、第1および第2流体の流れ方向を互いに関して反対にできることを意図する。実際、第1または第2流体が出口マニホルド674から装置610に入り、この第1または第2流体の他が入口マニホルド672から装置610に入る、そのような構成が好ましい。そのような“向流”構成は、内管614の壁を横切る第1および第2流体間のガス移動の割合を増すことが分っている。
【0035】
この発明の特に好適なモードでは、第1および第2流体の一つがガス抜きすべき液体であり、この第1および第2流体の他がこのガス抜きすべき液体の目標ガス濃度より実質的に低い目標ガス分圧または濃度を有するガスまたは液体である。ガスは、典型的にガス状物質を受入れる高い能力を有するので、この発明の特定の実施例は、自己の流れ方向と逆に流れる掃除ガスでガス抜きすべき液体を具体化する。
【0036】
図1に示すような、本発明の重要な側面は、本発明の移送ラインガス抜き装置に、所望の形状に容易に手で操作できるように十分な柔軟特性を与えることにある。クロマトグラフィー流体を機能するように、即ち、それぞれのクロマトグラフシステム内の一点から他点まで輸送するための移送ラインとして効果的に使うためには、この装置が柔軟で順応性があり、それによって入口結合装置41を流体溜のような上流部品に機能するように結合でき、および出口結合装置43を混合弁装置またはクロマトグラフカラムのような下流部品に機能するように結合できるのが好ましい。そのような部品間の結合は、製造業者により並びにクロマトグラフシステムの型式によって変るので、この発明の装置は、特定のユーザの構成要求に適合できるのが好ましい。従って、例えば、外管12は、その材料が実質的柔軟性、比較的低いガスおよび液体不透性を示し、上述の特性を得るような肉厚で作ってある限り、多種多様な材料で製作してもよい。従って、外管12は、例えば、Tefzel(登録商標)、FEP、PEEK、PFE、タイゴン(登録商標)等で製作することができる。
【0037】
本発明の好適実施例では、一つ以上の内管が比較的不活性で比較的柔軟な、ガス透過性、液体不透性材料で作ってある。これらの内管を作る際に使用するための特に好適な材料は、デュポンがテフロン(登録商標)AFの商品名で市販するような、非晶質ペルフルオロコポリマーである。そのような材料は、ガス透過率が従来使ったポリテトラフルオロエチレンより約2〜3オーダ高い。このテフロン(登録商標)AFのガス透過率が比較的高いために、大きい質量移動速度を壁厚の厚いテフロン(登録商標)AFの管で達成でき、それによって比較的高圧力差を要する用途の受入を可能にする。都合よく、内径が小さく、長さが短い管が内容積を減らし、それがシステムの起動に必要な時間を減らす。その上、そのような非晶質ペルフルオロコポリマーは、本発明が要求する柔軟性特性に従うように十分柔軟である。
【0038】
本発明の内管の更に重要な側面は、上述の非晶質ペルフルオロコポリマーのような、一つ以上のガス透過性、液体不透性材料だけで作ってあるのが好ましいという事実にある。テフロン(登録商標)AF材料の透過率および強度特性のために、これらの内管は、真空ガス抜きに係わるものを含む、広範囲の動作条件で生残るために全長に亘って支持構造体の要らない、一体式、自立形要素として押出し成形またはその他の方法で作ることができる。本発明の好適実施例で、本発明の内管の各々は、壁厚が約0.076と約0.381mmの間であり、それより小さいまたは大きい管厚も本出願人は或る用途で有用であるとして構想する。それに加えて、そのような内管の内径は、寸法が約0.254と約12.7mmの間であるのが好ましい。しかし、本出願人は、必要に応じて小さいまたは大きい内径を使うことを意図する。
【0039】
本発明は、入口および出口結合装置41、43用に種々の構成をもくろんでいる。図1に示す実施例では、入口および出口結合装置41、43が内管14のそれぞれ入口および出口部32、34に取巻く関係に配置した複式収縮管71、73を含む。そのような管部71、73は、内管14のそれぞれの部分周りに熱収縮するのが好ましく、一方、外管12の入口および出口端22、24は、外管12、それぞれの管部71、73、および内管14の間に封止係合を得るようにそれぞれの管部71、73の外面と封止係合するのが好ましい。入口および出口結合装置41、43は、更に、1対の口金49、50に関連してナット45、47を含み、それらは、装置10をそれぞれのクロマトグラフシステム部品の間に結合するために、組合わさって、管部71、73に取巻く関係に作ってある。
【0040】
図2ないし図4は、本発明の入口および出口結合手段の代替構成を示す。特に、図2の装置110は、入口および出口結合手段141、143を含む雌型取付け具を示す。図2に出口結合手段143の拡大図に示すように、ナット147は、座150と機能するように係合し、その座150は、両側口金152に力を伝えるための中間物体として作用する。ナット147をレセプタクル154内に漸進的にねじ係合すると、ナット147と座150の間が圧縮接触する結果となり、それは、次に、座150と両端口金152の第1端158との間が圧縮接触する結果となる。そのような圧縮接触は、口金152をレセプタクル154のテーパ付きベースに押付け、それで両端口金152の両側に内管114を囲む液密および気密シールが出来る。レセプタクル154は、更に、特にその中に流体移送ラインコネクタ部品(図示せず)をねじ係合して受けるように構成した、ねじ付き開口156を含む。
【0041】
図3および図4に示す装置210および310は、それぞれの入口および出口結合手段241、243および341、343用の種々の構成の雄取付け具を描く。図2ないし図4に示すそのような構成は、例示だけで、種々の既知の構成を有する結合手段の利用で本発明の範囲をどの様にも制限しない。しかし、本発明の特定のガス抜き装置に利用するそれぞれの結合手段は、関連するクロマトグラフィーシステムのそれぞれの部品と機能するように対応および係合するのが好ましい。
【0042】
本発明のもう一つの実施例を図5ないし図6に示し、そこでは装置410が外管412を貫通する複数の半透性内管414を含む。そのようにして、半透性管の比較的大表面積を外管412が形成する内部スペース内の低圧環境に曝す。図6でよりはっきり分るように、結合手段443は、第1逆目端449および第1端に関して拡散的の伸びる第2ねじ付き端451を含む。第1ナット447は、中心孔453を含み、それを半透性管414が貫通する。
【0043】
好適実施例では、外管412の出口端424をナット474の第1逆目端449の周りに機能するように圧入してそれらの間に気密シールを得るのが好ましい。ナット474の逆目端449は、環状逆目450がそれに関する外管412の運動を阻止するので、外管412をそれと固定係合に維持するのを助ける。第1ナット447の第2ねじ付き端451は、第2ナット463とねじ係合するのが好ましい。図6に示すように、第1ナット447のナット463の中へのねじ係合は、ナット447の端452と口金470の間の圧縮接触を生じる。そのような圧縮接触は、口金470を第2ナット463の第1内ボス482に機能するように押付けてそれらの間に液密シールを得る。それで、それぞれの内管414を出る流体は、第2ナット463の第2開放端485を貫流し、そのねじ付き開口465の中へおよびそれから漏れない。関連するクロマトグラフィーシステム全体に亘って流体閉込めを維持するように、流体移送ラインコネクタ(図示せず)を第2ナット463の第2開放端485に機能するように結合できるのが好ましい。第1および第2ナット447、463および口金470は、ステンレス鋼等のような比較的耐久性があって不活性な材料で作るのが好ましい。口金470もナット447のナット463の中への漸進的ねじ係合によって発生する接触圧力の下で適度に変形するように作ってあるのが好ましい。口金470のそのような変形は、第2ナット463の第1ボス部482への液密係合に対応する。
【0044】
本発明の更なる態様を図7および図8に示し、そこでは外管712を内管714に機能するように圧着してそれらの間に気密および/または液密シールを創るために封止装置710を利用してもよい。装置710は、口金718を含み、それを外管712の外径上を所望の封止位置まで摺動させることによって外管712の周りに機能するように設置できるのが好ましい。図7に示す実施例では、第1および第2クランプリング722、724を口金718のそれぞれ第1側および第2側719、720と係合させる。第1および第2クランプリングの各々は、口金718の第1側および第2側719、720の外径より小さい最小内径に先細りになっているので、第1および第2クランプリング722、724を口金718上に係合させる作業は、口金718の少なくとも第1側および第2側719、720を外管712に対して内方に圧縮させる。そのような圧縮は、外管712の一部を内管714に対して、それらの間に気密および/または液密シールを創るに十分な力で変位するように作用する。
【0045】
口金718のこの変位を実現するためには、第1および第2クランプリング722、724がステンレス鋼のように比較的強く、堅い材料であるのが好ましい。
【0046】
図8に示す装置810は、第1クランプリング822しか使う必要がないように口金818が第1側819しか含まないことを除いて、装置710を参照して説明したものに類似する。従って、装置810は、外管812と内管814の間に単一封止点だけを得るが、装置710は、外管712と内管714の間に機能するように二つの封止点を得る。本出願人は、装置710を、外管712と内管714の間の封止を達成したという比較的高レベルの保証が必要な用途に使用できることが好ましいと言うことを意図する。
【0047】
この発明を、特許法に従い、および当業者にこの新規な原理を応用しおよび必要に応じてこの発明の実施例を構成し且つ使用するために必要な情報を提供するために、ここにかなり詳細に説明した。しかし、この発明を明確に異なる装置によって実行できること、およびこの発明それ自体の範囲から逸脱することなく種々の変更を達成できることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の移送ラインガス抜き装置の断面図である。
【図2】入口および出口結合手段のための特定の構成を組込んだ、本発明のガス抜き装置の部分破断図である。
【図3】入口および出口結合手段のための特定の構成を組込んだ、本発明のガス抜き装置の部分破断図である。
【図4】入口および出口結合手段のための特定の構成を組込んだ、本発明のガス抜き装置の部分破断図である。
【図5】本発明の移送ラインガス抜き装置の断面図である。
【図6】図5に示すガス抜き装置の一部の拡大図である。
【図7】本発明の封止機構の断面図である。
【図8】本発明の封止機構の断面図である。
【図9】本発明の移送ラインガス抜き装置の断面図である。
【図10】本発明の移送ラインガス抜き装置の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通過する一つ以上の流体を処理するための、細長い流通型流体処理装置であって:
(a)中に第1室を形成し、比較的ガスおよび液体不透性である細長い外管;
(b)上記外管内を、少なくとも部分的に上記第1室を通って伸び、各々一つ以上のガス透過性、液体不透性の材料だけで作ってあり、並びに入口部および出口部を有する、一つ以上の細長い内管;
(c)上記外管の側壁から、その中の一つ以上の開口と同じ範囲に伸びる一つ以上のアダプタで、上記一つ以上のアダプタを貫通する中空チャンネルが上記第1室と上記一つ以上のアダプタの外部の位置との間を流体結合するアダプタ;
(d)上記一つ以上の内管の上記入口および出口部に隣接する上記外管の気密結合を機械的に創るための封止手段;
(e)上記外管および上記一つ以上の内管の上記入口部に機能するように結合した入口結合手段;並びに
(f)上記外管および上記一つ以上の内管の上記出口部に機能するように結合した出口結合手段を含み、
所望の形状に容易に手で操作できるように十分に柔軟である流体処理装置。
【請求項2】
請求項1の流体処理装置に於いて、上記内管が非晶質ペルフルオロコポリマーである装置。
【請求項3】
請求項1の流体処理装置に於いて、上記内管が、Tefzel(登録商標)、ステンレス鋼、FEP、および PEEK から成るグループから選択してある装置。
【請求項4】
流体を処理するための方法であって:
(a)或る長さ、入口、および出口を有する第1室を形成し、実質的にガスおよび流体不透性である外管、並びに上記外管内を、少なくとも部分的に上記第1室を通って伸び、各々一つ以上のガス透過性、液体不透性の材料だけで作ってあり、並びに解放端および実質的に対向する閉鎖端を有する、一つ以上の内管を有する移送ライン装置を用意する工程;
(b)上記一つ以上の内管の各々の上記開放端を、上記一つ以上の内管内に形成するそれぞれの第2室を実質的に排気するように、真空源との流通を機能するように結合する工程;並びに
(c)上記流体を上記入口から上記第1室を通し上記出口を通して輸送する工程を含む方法。
【請求項5】
請求項4の方法に於いて、上記入口が上記外管の第1端に配置してあり、および上記出口が上記第2外管の第2の実質的に対向する端に配置してある方法。
【請求項6】
請求項4の方法に於いて、上記一つ以上の内管が上記室の上記長さの端から端まで伸びる方法。
【請求項7】
請求項4の方法に於いて、上記一つ以上の内管が非晶質ペルフルオロコポリマーである方法。
【請求項8】
流体を処理するための方法であって:
(a)或る長さ、入口、および出口を有する第1室を形成し、実質的にガスおよび流体不透性である外管、並びに上記外管内を、少なくとも部分的に上記第1室を通って伸び、各々一つ以上のガス透過性、液体不透性の材料だけで作ってあり、各々第1および第2の実質的に対向する解放端を有する、一つ以上の内管を有する移送ライン装置を用意する工程;
(b)上記一つ以上の内管のそれぞれの第1開放端を第1流体源に機能するように結合し、上記第1流体を、上記一つ以上の内管内に形成するそれぞれの第2室を通して運搬するようにする工程;並びに
(c)第2流体を上記入口から上記第1室を通し上記出口を通して輸送し、上記第2流体は、目標ガスを上記第1流体から上記第2流体へ上記一つ以上の内管のそれぞれの壁を機能的に通過させるように、目標ガス濃度が上記第1流体より低い工程を含む方法。
【請求項9】
請求項8の方法に於いて、上記一つ以上の内管が非晶質ペルフルオロコポリマーである方法。
【請求項10】
流体を処理するための方法であって:
(a)或る長さ、入口、および出口を有する第1室を形成し、実質的にガスおよび流体不透性である外管、並びに上記外管内を、少なくとも部分的に上記第1室を通って伸び、各々一つ以上のガス透過性、液体不透性の材料だけで作ってあり、各々第1および第2の実質的に対向する解放端を有する、一つ以上の内管を有する移送ライン装置を用意する工程;
(b)上記一つ以上の内管のそれぞれの第1開放端を第1流体源に機能するように結合し、上記第1流体を、上記一つ以上の内管内に形成するそれぞれの第2室を通して運搬するようにする工程;並びに
(c)第2流体を上記入口から上記第1室を通し上記出口を通して輸送し、上記第2流体は、目標ガスを上記第1流体から上記第2流体へ上記一つ以上の内管のそれぞれの壁を機能的に通過させるように、目標ガス濃度が上記第1流体より高い工程を含む方法。
【請求項11】
請求項10の方法に於いて、上記一つ以上の内管が非晶質ペルフルオロコポリマーである方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−511340(P2007−511340A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538549(P2006−538549)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【国際出願番号】PCT/US2004/037306
【国際公開番号】WO2005/046835
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(500129834)システック インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】