説明

軸線方向に固定する、潰れ可能かつ再膨張可能な多種症状用人工心臓弁

人工心臓弁に用いるステント(10)は、自然心臓弁の弁尖および弁輪内に配置されるようにされた輪状部(12)を有している。輪状部は係止部材(50)を有し、係止部材(50)は、人工弁が自然弁内に埋め込まれた際に自然心臓弁の弁尖に係合するようにされている。係止部材は輪状部に係合する弁尖を保持していてもよく、係止部材によって、人工弁は所定位置に保持される。輪状部は、断面形状が円形でない部分を有していてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2008年7月15日出願の米国仮出願61/135076号優先権の利益を主張し、この内容全体を本明細書において援用する。
【0002】
本発明は、自然心臓弁置換用の人工心臓弁に関し、更にその人工心臓弁で使用されるステントに関し、また更にはその人工心臓弁で患者を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ある人工心臓弁には、膨張可能なステント体やステント体に取り付けられた人工弁尖などの弁要素が組み込まれている。ステント体とカフが比較的小さな直径にある潰れ状態で患者内に弁を進入させることによって、この種の弁を心臓内に埋め込むことができる。いったん弁が所望の埋め込み部位に位置決めされると、ステント体は、これを取り囲む自然組織に保持され、所定位置にて弁を保持する。弁は、病変した自然弁を機能的に置換する装置として作用する。そのため、ステント体内側の弁要素は、順行方向の血流については許容するものの、その順行方向と反対の逆行方向の血流を実質的に遮断する。たとえば、人工弁は、病変した自然大動脈弁内の部位まで動脈系を通して経皮的に進入させてもよいし、自然大動脈弁まで大動脈内を進入させてもよい。経尖的な留置では、人工弁は心尖切開部を通して進入させてもよいし、自然大動脈弁まで左心室を進入させてもよい。他のアクセス部位を介す他のアプローチを用いてもよい。いったん人工弁が所定位置に置かれると、人工弁は、心臓収縮期間に左心室が収縮している際には左心室から大動脈へ送り出される流れを許容するものの、心臓拡張期間には大動脈から左心室へと戻る逆行方向の流れを実質的に遮断する。
【0004】
膨張可能なステント体および弁の設計では重要な課題がある。たとえば、ステント体は体内への進入を容易にするために比較的小さな直径まで潰れ可能であるのが望ましい。しかし、ステント体が所定位置で弁を保持するようにステント体の周囲の自然組織にしっかり係合する作動、膨張状態まで、ステント体は膨張可能でなければならない。通常弁周囲逆流と呼ばれる、人工弁の外側部分周りの漏出を防ぐように、ステント体とステント体上に達したカフは、その周囲の自然組織とともに良好な封止部を形成しなければならない。ステント体は、その膨張、作動状態において、自然弁の弁輪に過度な力を印加しないのが望ましい。自然大動脈弁の弁輪に過度な力が印加されると、心臓の電気伝導系を乱し、僧帽弁の機能を損なわせる可能性もある。これらの問題は、膨張可能な人工弁が埋め込まれる際に自然弁尖が通常所定位置に取り残されるという事実によって複雑化している。病変した自然弁尖や他の病変組織により埋め込み部位が不規則になることもある。たとえば、石灰化または狭窄化した大動脈弁は、現在の潰れ可能な弁設計では十分に取り扱われない場合があって、(1)弁周囲逆流(PV漏出)、(2)弁移動、(3)僧帽弁衝突、(4)伝導系混乱などの問題に遭遇する場合もある。これらのすべてが不都合な臨床転帰に繋がりかねない。これらの不都合な事象を低減するために光学的弁が用いられ、この光学的弁は、隣接する組織や生理機能を阻害しうる過度な半径方向の力を必要とせずに十分な封止機能および固定機能を果たす。
【0005】
多数の人工弁やステント体の設計が提案されてきた。しかし、そのような設計に向けられた関心のすべてにも拘らず、更なる一層の改良が望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、十分な封止機能および固定機能を果たすことができる弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は自然心臓弁置換用の人工心臓弁で用いるステントを提供する。本発明の本態様によるステントは、潰れ形態および膨張形態を有する膨張可能な不織ステント体を含むのが望ましい。ステント体は、少なくとも1つの膨張可能なセル列を有する輪状部を含むのが好ましい。膨張形態の際には、輪状部がほぼ管状であるのが望ましく、輪状部の近位端部が自然弁の弁輪に隣接して配置されるとともに輪状部の遠位端部が自然弁尖の遠位端部に隣接して配置されるように、輪状部が自然心臓弁の弁尖および自然心臓弁の弁輪に係合するようにされているのが望ましい。ステント体は、輪状部と一体的に形成された少なくとも1つの係止部材を含むのが最も好ましい。各係止部材は、輪状部の遠位端部に隣接した接続位置にて輪状部に接続されているのが好ましい。各係止部材は、ステント体が膨張形態にある際に輪状部の遠位端部の外方に配置される係合部を有しているのが好ましい。自然心臓弁の少なくとも1つの弁尖が、少なくとも1つの係止部材の係合部および輪状部に係合してもよい。更に以下で説明するように、係止部材が自然弁尖に係合することによって、ステント体、ひいては弁全体の所定位置への固定を促進できるとともに、自然弁構造物を用いた人工弁の封止を効果的に促進できる。
【0008】
ある態様では、各係止部材は、輪状部上の周方向に離間した位置から突出している一対の接続ストラットを含み、接続ストラットは輪状部より遠位の遠位端部を有している。各係止部材は、一対の係合ストラットも含んでいてよく、一対の係合ストラットは、遠位端部が隣接した接続ストラットに接続されているとともに、接続ストラットとの接続部から近位方向に突出している。各係止部材の係合ストラットは、その近位端部が隣接するように互いに接続されていてもよい。輪状部を構成する膨張可能なセルは、相互に接続した複数のセルストラットを含み、複数のセルストラットは、頂部で互いに接合しているとともにセルを画定しており、頂部は、輪状部の遠位端部での遠位頂部列を含んでいてもよい。接続ストラットは、遠位頂部列の頂部に接続されていてもよい。以下でより詳しく述べるように、この構成によって、比較的小さな直径まで潰れることが可能なステント体に悪影響を与えることなく、潰れ可能な係止部材を膨張可能なステント体に組み込むことができる。
【0009】
本発明の更なる態様は、自然大動脈弁置換用の人工心臓弁で用いるステントも提供する。本発明の本態様によるステント体は、膨張形態を有する膨張可能なステント体を含むのが望ましい。膨張形態では、ステントが、近位遠位方向に延びるほぼ管状の輪状部と、輪状部より直径が大きく、輪状部から遠位方向に離間して配されたほぼ管状の大動脈部と、大動脈部と輪状部を相互接続させ、互いに周方向に離間して配された複数の支持ストラットと、を含むのが望ましい。本発明の本態様によるステント体は、輪状部に隣接してステント体に接続された少なくとも1つの係止部材を含み、少なくとも1つの係止部材は、ステントが膨張形態の際に輪状部の外方に配置される係合部を有しているのが望ましい。ステント体は、その輪状部が自然弁の弁輪に隣接して配され、かつ、自然心臓弁の弁尖内に少なくとも部分的に配されるようにされるのが望ましい。また、大動脈部は自然バルサルバ洞−上行大動脈移行部に隣接し、支持ストラットは少なくとも部分的に自然バルサルバ洞を横切って延び、そして、このような自然弁尖が係止部材と輪状部との間に係合するように、少なくとも1つの係止部材は少なくとも1つの自然弁尖に係合するのが望ましい。
【0010】
本発明の更なる態様によるステントは、膨張形態を有する膨張可能なステント体を含み、ステント体は複数のセルを有する輪状部を含み、複数のセルは近位遠位軸線周りを周方向に延びるほぼ管状の壁を協働して画定するのが望ましい。壁は、周方向に離間して配された複数のくぼみ部と、くぼみ部より遠位に延び、周方向に離間して配された複数の突起部と、を含む波状の遠位縁部を有し、突起部は、管状の壁の周囲周りのくぼみ部間に組み入れられていてもよい。以下で更に述べるように、本発明の本態様によるステントは、突起部が自然弁尖を所定位置に保持できるように突起部を自然弁尖に対向させながら埋め込んでもよい。本発明の本態様によるステントは、上述の係止部材を備えていてもよい。
【0011】
本発明のまた更なる態様は、上述のステントおよびステント内に取り付けられる可撓性人工弁尖を備えた弁を提供する。本発明の追加的態様は、弁を患者の体内に埋め込むステップを含む治療方法を提供する。
【0012】
本発明のまた別の態様は、自然弁置換用の人工心臓弁を提供する。本発明の本態様による弁は、近位遠位軸線周りを周方向に延びる構造物を有するステント体を含み、構造物は、近位遠位軸線に垂直な平面において非円形断面を有する領域、および3つの人工弁尖を有しているのが望ましい。人工弁尖は自由縁部を有しているとともに、自由縁部で互いに接合するようにされている。人工弁尖の自由縁部は、近位遠位軸線周りに周方向に離間して配された接合位置にて前記領域内の構造物に接続されていてもよい。たとえば、非円形断面は楕円形状または三角形状であってもよい。本発明の更なる態様による埋め込み方法では、ステント体の側部領域を自然弁尖に面するようにしながら、三角形状の断面部分を備えた弁を3つの弁尖を有する病変した自然弁内に埋め込んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】典型的な人間の心臓の大動脈起始部組織の模式断面図である。
【図2】本発明の一実施形態によるステントが潰れた形態を示す展開図である。
【図3】図2に示すステントが膨張した状態を示す斜視図である。
【図4】図3に示すステントの一部の部分拡大斜視図である。
【図5】大動脈起始部に関連した図1から図4のステントを組み込んだ弁の一部を示す模式断面図である。
【図6】図5の線6−6に沿う部分模式立面図であって、説明を明確化するためにある特徴部が省略された図である。
【図7】本発明の更なる実施形態によるステントの一部の立面図である。
【図8】本発明の別の実施形態によるステントの端面図である。
【図9】本発明の更なる実施形態によるステントの一部を示す部分図である。
【図10】本発明の更なる実施形態によるステントの一部を示す部分図である。
【図11】本発明の更なる実施形態によるステントの一部を示す部分図である。
【図12】本発明の更に別の実施形態によるステントの斜視図である。
【図13】図12に示すステントの立面図である。
【図14】本発明の更なる実施形態によるステントの斜視図である。
【図15】図14に示すステントの端面図である。
【図16】本発明の別の実施形態によるステントの一部の斜視図である。
【図17】本発明の更に別の実施形態によるステントの端面図である。
【図18】本発明の更なる実施形態によるステントの端面図である。
【図19】本発明の更に別の実施形態によるステントの斜視図である。
【図20】図19に示すステントの立面図である。
【図21】本発明のまた更なる実施形態によるステントの斜視図である。
【図22】図17に示すステントの立面図である。
【図23】カフの斜視図である。
【図24】人工弁尖の平面図である。
【図25】弁尖組み立て体の斜視図である。
【図26】図25に示す弁尖組み立て体の端面図である。
【図27】本発明の更なる実施形態による別の弁尖組み立て体の斜視図である。
【図28】別の人工弁尖の平面図である。
【図29】別の弁尖組み立て体の斜視図である。
【図30】図29に示す弁尖組み立て体の端面図である。
【図31】本発明の更に別の実施形態による弁の端面図である。
【図32】本発明の更なる実施形態による弁の端面図である。
【図33】図32の発明の弁が周囲組織と共に設置された状態にあることを示す端面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1に典型的な人間の心臓の大動脈起始部組織の幾何学的形状または解剖学的構造を簡略化した図を示す。左室流出路(LVOT)1は、自然大動脈弁の弁輪2やバルサルバ洞3を通じて上行大動脈5と連通している。バルサルバ洞3は、バルサルバ洞−上行大動脈移行部(STJ)4で大動脈と接合している。自然大動脈弁は3つの自然弁尖6を含むのが典型的であり、図1にはその弁尖6の2つだけが示されている。心臓収縮期間では左室が収縮しているため、血液が、左室流出路1から自然弁やバルサルバ洞を通じて大動脈5に強制的に送られ、矢印Dで示す下流方向すなわち順行流れ方向に送られるのが一般的である。健康体な個人では、各自然弁尖6が互いに離れるように開いて破線6’で模式的に示す位置へと動くことで、この移動方向に血液を流すことができる。心臓拡張期間では、左室が収縮していない際には自然弁尖6が図1の実線で示す位置まで戻り、その戻った位置にて各自然弁尖6が互いに当接または「接合」することで、矢印Dの反対方向である上流方向すなわち逆行方向の流れが実質的に遮断される。自然循環器系の特徴を参照して本明細書で用いる「遠位」の方向とは、矢印Dで示す順行流れの方向、すなわち、その自然循環器系の特徴によって支配的になる血流の方向を言う。自然循環器系の特徴を参照して本明細書で用いる「近位」の方向とは、「遠位」の方向と逆の方向を言う。
【0016】
図1で特定されたパラメータは、次のとおりである。DOはオリフィス直径(すなわち自然弁輪2の内径)を定め、DAは洞から一番遠位の大動脈の直径であり、DBは洞最大突出直径(この洞はバルサルバ洞と呼ばれることもある)を定め、LAは洞長(すなわち弁輪2から移行部4までの遠位方向寸法)を定め、そしてLBはDOとDB間の遠位方向距離を定める。
【0017】
弁尖6は弁輪2から遠くの遠位縁部9を有している。各自然弁尖6は本明細書で弁尖の「内面」と呼ぶ表面7を有し、各表面7は他の弁尖に面しているのが一般的である。各自然弁尖6は本明細書で弁尖の「外面」と呼ぶ表面8を有し、各表面8は、他の弁尖から離れるように外方を向き洞3の壁に面しているのが一般的である。このような自然弁の断面形状は、個々それぞれ多少変形しており、この変形例は、疾病の各種タイプによって増やすことができる。たとえば、症状に応じて、患者の弁の断面形状を円形、三角形、または楕円形に再形成できる。
【0018】
図2および図3に本発明の一実施形態による潰れ可能/膨張可能な人工心臓弁用の膨張可能ステント体を示す。ステント体10は、たとえば、呼称ニチノールで売られるタイプのニッケル−チタン合金などの超弾性金属合金の管をレーザー切断またはエッチング加工することによって一体構造物として形成されている。このような一体構造物は「不織の」構造物とも呼ばれており、この点において、ステント体10は1以上の繊維を織ったり、巻き付けたりしては形成されていない。図3に示す完全膨張、非拘束形態では、ステント10は、輪状部12、大動脈部20、および輪状部12と大動脈部20との間を延びる支持ストラット30を含んでいる。膨張形態での輪状部12が、中心軸14を有する円筒状の管状に形成されているのが一般的であるのに対して、大動脈部20は、輪状部12と同軸のフープ状に形成されているのが一般的である。
【0019】
図5に最もよく示されているように、ステント体は、輪状部12が弁輪2に隣接し、大動脈部20が移行部4および大動脈5に隣接するように患者の体内に取り付けられるようにされている。そのため、ステント体を組み込んだ弁が患者内に置かれると、患者の循環器系に準拠する枠組みにおいては大動脈部20が輪状部12より遠位に配されることになる。したがって、ステント体10および弁の特徴を参照して用いられるように、軸線14に沿う方向D(図3および図5参照)は、輪状部12から大動脈部20へと向かう方向であり、この方向を遠位方向と呼び、その逆の方向を近位方向とする。言い換えると、ステント体に沿う遠位方向とは、循環器系に準拠する枠組みにおける近位への配置が意図されるステント体の端部から、この枠組みにおける遠位への配置が意図されるステント体の別の端部へ向かう方向のことである。また、ステント体を参照して用いる外方とは、近位遠位軸線から離れる方向のことである。軸線14へ向かう方向および軸線14から離れる方向は、本明細書では「半径」方向とも呼ばれる。ステント体の特徴部を参照して用いられるように、「周」方向とは、軸線14周りの方向のことである。
【0020】
図2に膨張していない状態とも呼ばれる、圧縮された状態のステント体10の展開図を示す。この図では、ステント体の長さまたは近位遠位方向範囲に沿って(すなわち図2の頂部から底部に向かって)ステント体が切断されて平坦に配列されており、図2の左右方向に前記周方向が延びている。
【0021】
図2、図3、図5および図6に最もよく見られるように、輪状部12は多数のセルを含み、セルは、交点部で互いに接合するストラット16を互いに接続することによって画定されている。これらのセルは、近位列70および遠位列60内に配置されており、このような各セルは、互いに協働してほぼ円筒状の壁を形成するように近位遠位軸線14周りを周方向に延びている。膨張状態では、各セルのストラットは、ほぼダイヤモンド状の構造物を形成している。膨張していない形態または潰れた形態では、各セルのストラットが実質的に近位方向および遠位方向に延びているため、セルは周方向に潰れている。遠位列60の遠位側にある各ストラット16間の交点部18は、輪状部の遠位縁部を定めている。これらの交点は、本明細書では輪状部の遠位頂部18とも呼ばれる。
【0022】
輪状部は、本明細書では接合柱とも呼ばれる一組の固体要素40も含み、固体要素40は、ステント体の輪状部以外の残り部分と一体的に形成されている。接合柱は、輪状部の周囲周りの等間隔な3つの位置にて近位方向および遠位方向に延びている。各接合柱は穴120の列を有し、別の穴130が接合柱の遠位端部に隣接した状態で、穴120の列は接合柱に沿って近位方向および遠位方向に延びている。各接合柱は、その遠位端部に小さな軸線方向突起部すなわち「耳」140も有している。3つの人工弁尖300(図5参照)が接合柱に縫合されているため、弁尖はステント体の輪状部12内に配置されている。縫合糸(不図示)は、穴120、130を通って延びていてもよく、かつ、各耳140間に係合されていてもよい。内層すなわち「カフ」312が、輪状部の軸線方向範囲のすべてまたは一部に亘って、この輪状部の内面上、外面上、または内面上および外面上の両方に設けられていてもよい。弁尖およびカフは、従来の合成ポリマーなどの生体適合性材料や心膜組織などの動物組織から形成されていてもよい。
【0023】
接合柱は、セルを構成するストラット16に接続されている。図2に最もよく示すように、接合柱は、ストラットの中間点近傍の接続部110にてセルを構成するストラットに接続されている。また、接合柱は、ストラットの近位端部近傍の別の接続部にて、および輪状部の近位端部近傍にてセルを構成するストラットに接続されている。接合柱40に隣接した近位セル列70のストラット16間の交点部100の幾つかでは、この交点部より近位に配されたストラットが、その交点部より遠位に配されたストラットとは接続されていない。これにより、接合柱の近位端部に接続されたストラットの可撓性が増大する。ステント体が膨張状態にある弁の作動状態の際には、接合柱と輪状部のストラットとの間の接続によって、接合柱は半径方向に軸線14(図5参照)に向かうように、かつ軸線14から離れるように撓むか、あるいは傾く。また、交点部100での省略された接続によって、ステント体の基部90の半径方向の剛性が輪状部の近位端部では低減される。これにより、ステント体の基部が輪状部の近位端部箇所の周囲自然組織に印加する半径方向外方の力を抑えられる。また、図2に示すように、ステントの基部90は、実際の自然弁輪の形状に更によく似るように、あるいはその形状に従うように波状にできる。すなわち、基部がステントの周りを周方向に進むにつれて、その基部の形状を近位方向および遠位方向に波打つようにできる。
【0024】
図2に最もよく示すように、支持ストラット30は、遠位セル60の遠位縁部での遠位頂部18の幾つかから遠位方向に延びている。支持ストラット30は、輪状部の周囲周りに等間隔には分布していない。支持ストラットはグループで構成されており、その各グループは接合柱40の一つに付随しているとともに、その付随した接合柱に隣接する遠位頂部18に接続されている。図示の特定の実施形態では、各グループは4つの支持ストラットを含み、前記付随した接合柱の各側面には、その4つのストラットのうちの2つが設けられている。支持ストラットのこの構成によって、支持ストラットのグループ間に空隙150が生じる。言い換えれば、接合柱から遠くの遠位頂部18の少なくとも幾つかは、支持ストラットに接続されていない。
【0025】
大動脈部20は、セル列または半セルを定める一組のストラットによって形成されている。ストラットおよび大動脈部の形態は、図示の形態から変形してもよい。たとえば、大動脈部は、輪状部を構成するセルなどの1以上の完全セル列を含んでいてもよい。また、支持ストラットは分岐した形態を有していてもよいため、各支持ストラットの遠位端部は大動脈部上の複数の点に接続されている。それより多くの支持ストラットまたはそれより少ない支持ストラットが設けられていてもよい。
【0026】
ステント体は3つの係止部材50も含み、係止部材50は、それ以外のステント体の残り部分と一体的に形成されている。係止部材50は、周方向において互いに等間隔に配置されている。係止部材は、支持ストラットのグループ間の空隙150内の遠位頂部18に接続されている。図6に最もよく示すように、各係止部材は、2つの遠位頂部18から遠位方向に延びる一対の接続ストラット54を含んでいる。各係止部材は、接続ストラットの遠位端部からほぼ近位方向に延びる一対の係合ストラット56も含んでいる。図6に示す膨張形態では、接続ストラット54の遠位端部は、周方向において互いの方向に向かって傾斜している。また、係合ストラット56の近位端部は、互いの方向に向かって傾斜しているとともに、小さな弧状の近位端部材によって形成された近位接合部57にて互いに接合している。この膨張状態では、係止部材は全体としてほぼW字状であり、その係止部材のW字状の先端部が輪状部の遠位頂部18に接続されている。
【0027】
ステント体が膨張形態にある際には、接続ストラット54の遠位端部が、軸線14から離れるように半径方向外方に傾斜している(図5参照)。また、膨張状態では、係合ストラット56の近位端部が半径方向外方に傾斜しているため、近位接合部57は、輪状部12の遠位端部の半径方向外側に配置されている。近位接合部は輪状部の近位端部とあまり離れることなく位置している。図4も参照すると、1つの代表的な係止部材50が膨張している形態が拡大されて示されている。
【0028】
係止部材の構造によって、係止部材は周方向に潰れることができる。そのため、図2に示すステント体が潰れた形態では、接合ストラット54および係合ストラット56は、実質的に軸線方向に延びている。ステント体が潰れた状態にある間、係合要素50は、頂部18同士が互いの方向に向かう周方向での動きを制限しない。また、係合要素50が各支持ストラット30間の空隙150に配置されているため、潰れた状態の間、係合要素は支持ストラット30と干渉しない。潰れた状態のステント体の直径は、係合要素によって増大しない。
【0029】
ステント体は穴80も含んでいてよく、人工心臓弁が患者内に埋め込まれる間、穴80は搬送装置に係合できる。このような穴の特徴によって、穴80は、ステント体上の必要箇所ならどこにでも設置できる。
【0030】
作動状態にある際には、弁は、細長いプローブなどの搬送装置(不図示)上に取り付けられて潰れた状態で運ばれる。この搬送装置は、潰れた状態にあるステント体を保持するようにされたシースを有しているとともに、ステント体に対してシースを動かしてステント体をシースから放出する機器を有している。搬送装置は、弁が自然大動脈弁の位置に達するまで患者内を進入し、その位置にて輪状部12が大動脈の弁輪と隣接する。弁がシースから放出され、ステント体10がそれ自体の弾性によって膨張する。そのステント体10の弾性膨張は、ステント体10が機械的拘束から解放される結果として単独に生じてもよいし、あるいは、ステント体10の材料が温度変化の影響を受ける結果として生じる膨張を含んでいてもよい。ステント体10が潰れた状態から膨張、作動状態へと導かれる膨張は、全体としてステント体自体によってほぼ行われるのが好ましい。言い換えると、ステント体が完全に自己膨張し、如何なる部分の膨張をも引き起こすバルーンや機械的運動装置を必要としないのが望ましい。輪状部12は、自然弁尖の弁輪2に係合するとともに自然弁尖の内面7にも係合する。各係止部材50は、このような自然弁尖の遠位縁部9にて、または遠位縁部9の近傍にて自然弁尖の一つに係合する。各係止部材50の係合ストラット56および近位接合部57は、遠位縁部にて、または遠位縁部の近傍にて自然弁尖の外面8に保持される。弁尖は、説明を容易にするために図5では単純な幾何学的形状に示されているものの、当然のことながら弁尖は典型的には不規則的な形状を呈している。たとえば、弁尖はこぶ状または凹凸状であってもよい。大動脈部20は移行部4にて、または移行部4の近傍にて自然組織に係合する。
【0031】
ステントは膨張形態に至るものの、典型的には完全膨張、非拘束形態までには至らない。そのため、通常はステント体の弾性によって、大動脈部20が移行部4に保持されることになり、輪状部12が弁輪、および弁尖の内面に保持されることにもなる。人工弁尖300は、心臓収縮期間では血液の遠位流れまたは順行方向流れを許容するように開口し、心臓拡張期間では近位流れまたは逆行方向流れを遮断するように閉鎖する。係止部材50が自然弁尖に係合することによって、ステント体、ひいては弁が所定位置に維持される。特に、このような係合によって、弁の近位方向すなわち逆方向への移動が防止される。そのため、輪状部12および大動脈部20と自然組織との間の弾性的な係合によって、そのような弁の近位方向への移動に抗するために必要な力のすべてを与える必要がなくなる。更に、係止部材が自然弁尖と係合することによって、自然弁尖は、ステント体の輪状部12に向かって内方に付勢される傾向となる。これにより、自然弁尖とステント体およびカフ312(図5参照)との間の封止が改善されることになり、ステント体の外側部分周りの弁周囲逆流または逆方向流れの抑止が促進される。ステント体の輪状部12と自然弁組織との間に過度に大きな半径方向力を印加する必要なく、係止部材は、満足できる弁作用を容易にする。この作用は、自然組織に過度な半径方向力が印加されることで、心臓の電気伝導系が乱されるとともに、大動脈弁の弁輪近傍に配置された僧帽弁が変形する可能性もある点から有利である。
【0032】
係止部材の弾性によって、石灰化された弁尖および石灰化されていない弁尖の両方に係止部材を取り付けることができる。たとえば、弁尖が、厚みが大きく、形状がこぶ状であり、またはその両方の特徴を有している場合、係止部材の係合ストラット56は、弁尖によって外方に曲がることができる。この状態では、係止部材が、弁尖をステント体の輪状部に対して内方に押す傾向にある。心臓収縮期の血圧によって、自然弁尖はステント体の輪状部に強制的に係合する傾向となる。自然弁尖を所定位置に保持することによって、係止部材はこの作用を容易にする。
【0033】
人工弁が大動脈への順行方向流れを許容するとともにバルサルバ洞への流れも許容するため、人工弁は、バルサルバ洞と連通する冠状動脈Cへも流れも許容する。各接合柱30間の空隙または空間150が、バルサルバ洞への流れ用の大きな開口部を与える。更に、自然弁尖が係止部材50と係合することで、冠状動脈の開口部が自然弁尖によって塞がれない確実性を増すことができる。
【0034】
上述の特徴は変形可能である。たとえば、処置の前または処置の期間に手技を画像化するなどによって測定された患者の自然弁尖の状態に適合するように、係止部材50のサイズおよび形状がたとえば選択可能である。異なった係止部材を有するステント体を備えた異なる弁を含むキットが、このような選択が容易にできるように設けられていてもよい。
【0035】
ステント体は、輪状部により多くのまたはより少ないセル列を含んでいてもよい。また、輪状部12および大動脈部20が、円筒状の形態である必要はない。たとえば、図2から図6に示すステントの変形例では、完全膨張、非拘束形態にある輪状部12は、ほぼ円錐状、または近位遠位軸線14周りの他の回転面の形態にあってもよい。輪状部が先細り状の形態であって近位端部より小さい半径の遠位端部を有する箇所では、係止部材が、次のように構成されていてもよい。すなわち、係止部材の係合ストラット56や近位端部材57などの係合部分が、弁輪の遠位端部の外方であって、輪状部の近位端部の外方ではない箇所に配置されていてもよい。更に以下で述べるように、輪状部は回転面の形態でなくてもよく、その代わりに、円形ではない断面形状を呈していてもよい。また、大動脈部は、完全セルの1以上の列を含んでいてもよい。たとえば、図7には、完全膨張状態のステント体10の表面の半分が示されている(ステント体の裏面は、図面の過度な複雑化を避けるために省略されている)。図7のステント体は、三尖用の設計であって上述のステント体に類似するものである。また、このステント体は3つの係止部材50を有し、各係止部材50は120度ずつ離れている。しかし、図7のステント体の大動脈部20は、完全セルを含んでいる。図7には、ステント体10の大動脈部20を組織の形状に従うように波状にする(または大動脈部20がステントの周りを周方向に進むにつれて大動脈部20を波打たせる)方法も示されている。図7のステント体内に組み込まれた係止部材50は上述の係止部材に類似しているが、各係止部材50が、隣接していない2つの遠位頂部18に接続されている点が上述の係止部材とは相違している。言い換えれば、各係止部材50に接続された2つの遠位頂部18は、第3の遠位頂部18’の反対側にある。そのため、各係止部材50は、その周方向長さが上述の実施形態における係止部材よりも多少大きい。
【0036】
別のステント体が図8には示されており、膨張状態でのステント体を軸線14に沿って見た端面図である。このステント体も三尖用の設計であって、3つの係止部材50がそれぞれ120度ずつ離れている。3つの接合柱40もそれぞれ120度ずつ離間している。輪状部セル60、70、係止部材50、および大動脈部20は、患者の組織を収容するようにそれらの直径が徐々に大きくなっている。図8のステント体での各係止部材50は、係合ストラット56の近位端部間を延びる近位端部材59を有している。
【0037】
図9に詳細に示すように、更なる実施形態による係止部材は近位端部材58も有し、近位端部材58は、係合ストラット56の近位端部を互いに接続している。この実施形態では、近位端部材は、回旋状であって曲がり部または湾曲部59を含み、曲がり部または湾曲部59は、係合ストラットの近位端部から遠位方向Dに突出している。小湾曲部61が湾曲部59と係合ストラットとの間の接合部に設けられている。ここでも、係合ストラット56の遠位端部は接続ストラット(不図示)に接続されており、接続ストラットは、上述のようにステント体の輪状部に順に接続されている。回旋状の近位端部材は周方向に更に弾性を与え、係合ストラットの近位端部が自然弁尖に係合する際に、この近位端部材は半径方向に多少局所的に変形することもできる。
【0038】
更なる係止部材(図10参照)が、図6を参照して上述した近位接合部に類似する湾曲した近位接合部57を有している。しかし、接合部57を形成するこの湾曲部材は、その幅が係合ストラット56の幅よりも小さい。よって、この湾曲部材は係合ストラットよりも断面積が小さい。また、図10の近位接合部57は、ほぼ近位方向に突出する先鋭状の返し63を有している。このような返しは、ステント体に対して自然弁尖を所定位置に保持するように、たとえば、自然弁尖のような自然組織に係合できる。これにより、ステント体と自然弁尖間の係合がより更に確実化され、よって、弁がより更に確実に固定される。また、断面積が低減された接合部は、返し無しで用いることができる。
【0039】
図11に示すまた別の実施形態による係止部材は、近位端部材59および小湾曲部61を有している。近位端部材59は、実質的に直線状であって係合ストラット56の近位端部に接続している。小湾曲部61は、近位端部材と係合ストラット間の接合部にある。
【0040】
図12および図13に示す更なる実施形態によるステント体は、動脈部および接続ストラットが省略されている点を除いて上述のステント体に類似している。ここでも、ステント体が三尖の人工弁内に埋め込まれることで、ステント体は3つの接合柱40の形態にある付属部品を含んでいる。これら3つの接合柱40は、3つの人工弁尖用に周方向に120度ずつ離れた空隙に配されている。ステント体は、接合柱40と同様に周方向に120度ずつ離れた空隙に配された3つの係止部材50を組み込んでいる。ステント体10のこの設計は、セル列60、70を含む輪状部12を有し、輪状部12は、患者の自然心臓弁尖内部を固定しているとともに、自然弁輪に隣接して、または自然弁輪内を延びている。接合柱は、輪状部の軸線方向範囲内の所定位置に配置され、輪状部から遠位方向に突出している。そのため、人工弁尖(不図示)の一部が輪状部より遠位に延びながら、人工弁尖は輪状部内の所定位置に配されることになる。係止部材50は上述の係止部材の如何なる特徴をも含んでいてよい。
【0041】
図13に最もよく見られるように、輪状部の基縁部すなわち近位縁部92が波状または波打った形状であるため、近位縁部92は、各接合柱40に隣接した遠位方向に湾曲するとともに、周方向において隣接した接合柱40間を近位方向に湾曲する。図12および図13のステント体を組み込んだ弁は、たとえば、3つの弁尖を有する自然弁内に取り付けてもよく、この自然弁としては、たとえば大動脈弁や、右心房を右心室に接続させる三尖弁が挙げられる。
【0042】
図14および図15のステント体10は、図12および図13のステント体に概して類似し、輪状部およびそれに付随した特徴部のみを含んでいる。図14および図15のステント体は、二尖人工弁の2つの弁尖を支持する2つの接合柱40のみを組み込んでいる。また、図14および図15のステント体は、6つの等間隔に配置された係止部材50を組み込んでいる。このステント体は、たとえば僧帽弁のような2尖の自然弁内に用いてもよい。このステント体が埋め込まれる際には、係止部材50の3つが2つの自然弁尖の各々に係合する。当然のことながら如何なる数の係止部材および係止部材間の如何なる空隙をも使用できる。この設計は、係止部材50に対する更に鋭い、更に「返しらしい」近位端接合部57を有している。
【0043】
更なる実施形態によるステント体が図16に示されており、図16は近位遠位軸線14に沿う端面図である。ここでも、輪状部は、協働してほぼ管状を定めるセル列を含んでいる。しかし、図示の完全に膨張、非拘束状態では、管状壁は、その断面が円形ではなくほぼ楕円形である。接合柱40は、その楕円形断面の長軸線65上の周方向位置に配置されている。このステントは、二尖人工弁内に使用されることも意図している。このタイプのステント体を組み込んだ弁は、非円形の自然弁内に埋め込んでもよい。たとえば、三尖ではなく二尖の自然大動脈弁を有する患者がいる。狭窄した二尖大動脈弁が、ほぼ楕円形の断面形状の開口部を定めてもよい。楕円形断面の長軸線65が、自然弁開口部の長軸線と並んでいてもよい。また、楕円形のステント体を有する弁を自然僧帽弁の弁輪内に埋め込むことができる。
【0044】
図17は、二尖弁設計の軸線端面図であって、弁の周囲周りに等間隔に配された2つの係止部材50および2つの弁尖(接合)柱40を備えた弁設計の図である。この実施形態も、遠位部または大動脈部20、および輪状部12を大動脈部20に接続させる支持ストラット30を含んでいる。
【0045】
図18は、二尖弁設計の上面図であって、弁の周囲周りに等間隔に配された2つの係止部材50および2つの弁尖(接合)柱40を備えた弁設計の図である。この設計は、輪状部12が円形以外(この場合は楕円形)の形状を有することができるばかりでなく、遠位部すなわち大動脈部20が非円形(この場合でも楕円形)を有することもできることを例示している。別の可能性(不図示)の設計では、近位部すなわち輪状部と遠位部すなわち大動脈部と同心ではない、たとえば、上行大動脈に様々な曲率が許容できる。
【0046】
図19および図20は、二尖自然弁に用いられるようにされたステント体設計を模式的に示している。この設計では、上述のセルに類似していてもよい複数のセルによって形成された輪状壁が特徴である。輪状壁は波状の頂部すなわち遠位縁部67を有し、この波状の頂部すなわち遠位縁部67は、ステントの周囲周りを近位および遠位方向に波打っている。これにより、ステントには4つの別個の四分割領域(quadrants)10aから10dが生じる。高い2つの四分割領域10a、10cは、低い四分割領域すなわちくぼみ部10b、10dよりも遠位方向に延びる突起部を形成している。突起部10a、10cを自然弁尖に並んだ状態にさせながら、たとえば二尖自然弁内にこのステント体を埋め込むことができる。効果的に自然弁尖を移動させ、かつ、ステントを固定するために、突起部によって追加的な半径方向外方の力および表面積を与える。低い2つの四分割領域すなわちくぼみ部10b、10dがそれほどは半径方向外方の力を与えないことにより、くぼみ部10b、10dでは自然組織への悪影響の可能性が低減される。ステント体は、人工弁尖を支持する接合柱または他の付属部品を有していてもよい。たとえば、2つの接合柱40b、40dがくぼみ部10b、10dに配置される。
【0047】
本実施形態によるステント体は係止部材50a、50cを有し、係止部材50a、50cは、突起部10a、10cの遠位縁部にて、またはこの遠位縁部に隣接して突起部10a、10c上に取り付けられている。これらの係止部材は、上述の方法と同様な方法で自然弁尖に係合できる。しかし、突起部は、係止部材が用いられない箇所でさえも使用できる。
【0048】
図21および図22に示す三尖ステント設計は波状の管状壁を有し、この管状壁は、3つの突起部10a、10c、10eと3つのくぼみ部10b、10d、10fとを画定する波状の遠位縁部67を備えている。突起部およびくぼみ部は、ステント体の周囲周りに交互に連続して配置されている。ここでも、弁尖付属部品または接合柱40がくぼみ部10b、10d、10fに配置されている。本実施形態によるステント体は三尖自然弁の石灰化した弁尖と並んで配置されていてもよく、効果的に自然弁尖を移動させ、かつ、ステントを固定するために、ステント体は、追加的な半径方向外方の力および表面積を与える。低い3つの四分割領域すなわちくぼみ部10b、10d、10fがそれほどは半径方向外方の力を与えないことにより、くぼみ部10b、10d、10fでは自然組織への悪影響の可能性が低減される。このステント体は、突起部の遠位端部にて係止部材を組み込んでもいる。
【0049】
図23は可能なカフ設計200を示し、このカフ設計200は、たとえば、図21および図22のステント体のように三尖自然弁内に取り付けるように意図されたステント体で用いるものである。このカフの3つの隆起領域210aから210cが、ステント体の3つのくぼみ部10b、10d、10fとそれぞれ並んで配置されているため、追加的な軸線方向固定のみならず追加的な封止も提供される。代替形態(不図示)は2つの隆起領域を有するカフ設計であり、このカフ設計は、図19および図20に示すステントと同じように二尖自然弁に使用するものである。カフと自然弁組織との封止係合を促進する隆起領域および他の特徴部を有するカフが、同一出願人によって2008年7月15日に出願された米国仮出願61/134995号(’995出願)に開示されており、その開示を本明細書において援用する。また、本願と同日出願であって、ピーター・ニコラス・ブレード、ポール・エドワード・アシュワース、およびジュリア・アン・ノイマンを発明者とする’995出願の優先権を主張する同時係属中の同一出願人による国際出願の開示も本明細書において援用する。
【0050】
以下、上述のステントで使用可能な幾つかの人工弁尖設計および弁組み立て体特徴の説明に戻ることにする。
【0051】
図24は三尖人工弁尖300の平坦、前面図である。点線310は、より精密な組み立て体を可能にする、外科用インクを用いたスクリーン印刷や縫合などの手段によって弁尖上に印が付けられた仮のパターンであってもよい。領域320は、最も遠位の一組の鉛直方向穴120(たとえば図2参照)にステントの接合柱40を介して縫合できる。弁尖自由縁部340より遠位の追加的な弁尖材330は、ステントの接合柱140の水平方向穴130(たとえば図2参照)を介して縫合によって取り付けできる。これにより、高応力領域320に荷重を集中させることなく、弁尖からステント支柱40へ動的荷重を伝達できる。成形弁尖胴体350は、自然弁の形態により自然に似るようにステント波状部と適合する。単なる実施例として、弁尖は牛や豚の心膜などの動物組織から形成されていてもよい。
【0052】
図25および図26は、それぞれ簡略化された三尖弁尖組み立て体の斜視図および軸線方向図を示し、この三尖弁尖組み立て体は図20の弁尖300のような3つの例の弁尖から形成されている。この組み立て体は、弁尖の各自由縁領域間の接合部360の追加的領域を与えるのが好ましい。これにより、患者の組織に形成異常の事象があるときでさえも、人工弁の固有機能が確保される。この点を詳述すると、弁が閉じる際には、弁尖300の自由縁部340が一体化するのに加えて、自由縁部340の上流の弁尖のある追加材料360も一体化できるように弁尖300が形成され、組み立てられている。
【0053】
図27は、楕円形を有する三尖弁尖組み立て体の軸線方向図である。ここでの弁尖は、断面楕円形の輪状部を有するステント体内に組み立てられるように、特定の方向に意図的に細長くされたり、あるいは短くされたりしている。ステント体が輪状部の周囲周りに分布した3つの接合柱を有することができる点を除いて、このステント体は図16に示すステント体に類似していてよい。本発明のこの実施形態による弁は、たとえば病変した僧帽弁のような楕円形弁輪を有する弁内に埋め込むことも一例としてできる。
【0054】
図28は、概して図20に類似している。しかし、図28は二尖設計用の弁尖300を示している。図28の弁尖は、図24に関連して上述した特徴と同様の特徴の多くを有している。しかし、図28の設計は、取り付け用の2つの楕円形接合柱のみを収容するように(左右に)細長くなっている。
【0055】
図29および図30は、それぞれ簡略化された二尖弁尖組み立て体の斜視図および軸線方向図を示す。参照番号360は、人工弁が閉鎖された際の弁尖間の接合部の追加領域を指し示している。これにより、患者の組織に弁の形成異常がある場合でさえも、人工弁の固有機能が確保される。二尖弁尖の付属部品は、円形または楕円形のステント内に取り付け可能なことに留意されたい。
【0056】
図31は、弁周りに等間隔に配置された6つの係止部材50を有する楕円形の二尖人工弁設計の簡略化上面図である。図31に示す二尖弁または三尖弁のいずれかは自然二尖接合部内に弁尖(接合)柱40を嵌め込むように意図的に予成形できるため、十分な封止および固定が確保される。細長い二尖弁尖300が図31に示されており、弁尖300は、三尖弁の3つの弁尖の典型的なY字状接合部に対向している。この場合でも、当然のことながら二尖弁尖の付属部品は、円形ステントまたは楕円形ステントのいずれか内に取り付けできる。
【0057】
図32の輪状部12を有するステント体が、本発明の更に別の実施形態による弁に組み込まれている。輪状部12は、ステント体の近位遠位軸周りを延びる複数のセルによって形成されたほぼ管状の壁を備えている。自由または非拘束形態では、近位遠位軸線に垂直な図32の平面の断面で見るように、管状壁は、ほぼ三角形の形態を有している。そのため、その壁は、断面形状の側部を形成する側部領域68と、各側部領域を接続させる角部領域69とを有している。断面で見る角部領域は、ほぼ弧状である。弁は、接合自由縁部340を有する3つの人工弁尖300a、300b、300cを備えている。これらの自由縁部は、角部領域69内へ延びる接合部に沿って互いに当接している。たとえば、ステント体は、角部領域69に配置された接合柱40を有していてもよい。
【0058】
弁が三尖弁を有する大動脈弁などの自然弁内に埋め込まれる際には、ステント体10の3つの側部領域69(図33参照)の各々が、患者の3つの自然狭窄弁尖6aから6cの各々に隣接(その弁尖の内側)していてもよい。そして、3つの人工弁尖300aから300cの各々は、自然狭窄弁尖6aから6cの各々に隣接したステント体10の内側にあってもよい。ここでも、ステント体が埋め込まれる際には、ステント体は膨張形態にあるものの自然組織によって拘束されているため、ステント体が非拘束形態まで完全には膨張していない。そのため、弾性ステント体は自然組織に保持されている。本発明の本態様による弁を、たとえば、自然組織がほぼ三角形の開口部を定める箇所で用いてもよい。たとえば、狭窄した自然大動脈弁がこのような開口部を定める。ステント体は、側部領域68に沿った力が過度に印加されることなく角部領域69に十分な係合力を与えることができる。
【0059】
本実施形態によるステント体および弁は、上述の特徴を含んでいてもよい。たとえば、ステント体は、たとえば側部領域68に輪状部の遠位縁部に沿う係止部材(不図示)を含んでいてもよい。また、ステント体は、大動脈部と、大動脈部を輪状部に接続させる支持ストラットとを含んでいてもよい。
【0060】
上述の特徴の他の変形および組み合わせを多数採用できる。たとえば、様々な実施形態で述べた特徴を互いに組み合わせることができる。上述のステントのセル構造を変形できる。たとえば、上述の特徴は、織られたステント体や、たとえば、埋め込みの間にバルーンや機械的装置によって強制的に膨張するステント体のような完全には自己膨張しないステント体に採用できる。また、ステント体は、接合柱を含む必要がない。他の特徴部を人工弁尖用の付属物として用いることができる。単なる実施例として、弁尖は、たとえば、セルストラット間の交点部でセルストラットに直接縫合できる。あるいは、弁尖は、そのような交点部に設けられた小さな金属製の穴、またはステント体に沿う他の位置に設けられた小さな金属製の穴に直接縫合できる。
【0061】
先の議論では、人工大動脈弁についてもっとも頻繁に言及してきたが、当然のことながら本発明による人工弁は、他の循環器系弁、たとえば心臓内の他の弁に用いることができる。この単なる一つの実施例としては、本発明による楕円形の人工弁を人工僧帽弁として用いてもよい。また、本明細書では人工弁が患者の循環器系の人工的ではない自然弁内に埋め込まれるが、本明細書で述べる人工弁は、予め埋め込まれた人工弁内に埋め込むこともできる。このような処置の状況においては、予め埋め込まれた人工弁は、「自然」弁と呼んでもよい。そのような処置では、ステント体の係止部材が予め埋め込まれた人工弁の弁尖に係合できる。また別の変形例では、ステント体の係止部材が予め埋め込まれた人工弁の他の特徴部に係合してもよい。たとえば、係止部材は、予め埋め込まれた人工弁のステント体のセル内に係合してもよい。本明細書の発明を特定の実施形態を参照して述べてきたが、これらの実施形態は本発明の原則および適用の単なる例示であると解すべきである。したがって、その例示的実施形態は多種多様に修正できると解すべきあり、更には特許請求の範囲で定めるように本発明の精神および範囲を逸脱することなく他の構成を導くことができると解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潰れ形態および膨張形態を有する膨張可能な不織ステント体を有し、自然心臓弁置換用の人工心臓弁で用いるステントであって、
前記ステント体は、少なくとも1つの膨張可能なセル列を有する輪状部、および該輪状部と一体的に形成された少なくとも1つの係止部材を含み、
前記輪状部は、前記膨張形態の際にほぼ管状であるとともに、該輪状部の近位端部が前記自然心臓弁の弁輪に隣接し、かつ、該輪状部の遠位端部が該自然心臓弁の弁尖の遠位端部に隣接するように該自然心臓弁の該弁尖および該自然心臓弁の該弁輪に係合するようにされており、
前記係止部材の各々は、前記輪状部の前記遠位端部に隣接して該輪状部に接続されており、前記係止部材の各々は、前記自然心臓弁の前記弁尖の外面に係合するようにされた係合部を有している、
ステント。
【請求項2】
前記膨張形態の際に、各係合部は近位方向において外方に傾斜している、請求項1に記載のステント。
【請求項3】
各係止部材は、前記輪状部から遠位方向に延びる1以上の接続ストラットを含み、
各係止部材の前記係合部は、該係止部材の前記1以上の接続ストラットから近位方向に延びている、
請求項1に記載のステント。
【請求項4】
各係止部材は、前記輪状部上の周方向に離間した位置から遠位方向に突出する一対の接続ストラットと、遠位端部が隣接した該接続ストラットに接続され、該接続ストラットとの接続部から近位方向に突出する一対の係合ストラットと、を含み、
前記接続ストラットは、前記輪状部より遠位の遠位端部を有し、
前記係合ストラットは、その近位端部が隣接するように互いに接続されており、各係止部材の前記係合部は、前記係合ストラットを含んでいる、
請求項1に記載のステント。
【請求項5】
前記少なくとも1つの膨張可能なセル列は、相互に接続した複数のセルストラットを含み、該複数のセルストラットは、頂部で互いに接合しているとともにセルを画定しており、該頂部は、前記輪状部の前記遠位端部での遠位頂部列を含み、前記接続ストラットは、該遠位頂部列の頂部に接続されている、請求項4に記載のステント。
【請求項6】
各係止部材の前記接続ストラットは、相互に隣接していない前記遠位頂部列の頂部に接続されている、請求項5に記載のステント。
【請求項7】
各係止部材の前記係合ストラットは、周方向において互いの方向に向かって突出している、請求項4に記載のステント。
【請求項8】
各係止部材は、前記係合ストラットの前記近位端部間を延びる近位端部材を含んでいる、請求項4に記載のステント。
【請求項9】
前記近位端部材の各々はほぼ弧状である、請求項8に記載のステント。
【請求項10】
各近位端部材は、前記係合ストラットの前記近位端部から遠位方向に突出する湾曲部を含んでいる、請求項9に記載のステント。
【請求項11】
複数の前記膨張可能なセル列は前記輪状部を有している、請求項1に記載のステント。
【請求項12】
少なくとも1つの前記係止部材は、前記輪状部の周りに周方向に離間して配された複数の前記係止部材を含んでいる、請求項1に記載のステント。
【請求項13】
前記輪状部は、互いに周方向に離間して配された複数の接合柱を含んでいる、請求項1に記載のステント。
【請求項14】
膨張形態を有する膨張可能なステント体を有し、自然大動脈弁置換用の人工心臓弁で用いるステントであって、
前記ステント体は、近位遠位方向に延びるほぼ管状の輪状部と、該輪状部より直径が大きく、該輪状部から遠位方向に離間して配されたほぼ管状の大動脈部と、該大動脈部と前記輪状部を相互接続させ、互いに周方向に離間して配された複数の支持ストラットと、を含み、
前記ステント体は、前記輪状部に隣接して前記ステント体に接続された少なくとも1つの係止部材を更に含み、該少なくとも1つの係止部材は、前記膨張形態の際に前記輪状部の外方に配置される係合部を有し、
前記ステント体は、前記輪状部が前記自然弁の弁輪に隣接して配され、かつ、前記自然心臓弁の弁尖内に少なくとも部分的に配されるようにされており、
前記大動脈部は自然バルサルバ洞−上行大動脈移行部に隣接し、前記支持ストラットは少なくとも部分的に自然バルサルバ洞を横切って延び、
前記少なくとも1つの係止部材の前記係合部は、少なくとも1つの自然弁尖に係合する、
ステント。
【請求項15】
前記ステント体は金属製管から切り出される、請求項14に記載のステント。
【請求項16】
前記輪状部は、周方向に互いに離間して配された複数の接合柱を含んでいる、請求項14に記載のステント。
【請求項17】
前記複数の支持ストラットは、前記複数の接合柱の各々に付随した支持ストラットのグループを含み、各グループの前記支持ストラットは、該グループに付随した前記接合柱に周方向において隣接するように配置されている、請求項16に記載のステント。
【請求項18】
前記係止部材は、周方向において前記接合柱および前記支持ストラットからずれている、請求項17に記載のステント。
【請求項19】
前記ステント体は潰れ形態を有し、該潰れ形態の際には、各係止部材は、異なる接合柱に付随した支持ストラット間を前記輪状部から遠位方向に延びている、請求項18に記載のステント。
【請求項20】
前記輪状部は1以上の膨張可能なセル列を有し、前記大動脈部は1以上の膨張可能なセル列を有している、請求項19に記載のステント。
【請求項21】
3つの前記係止部材を含み、該3つの係止部材は、前記輪状部周りに周方向等間隔に配されている、請求項14に記載のステント。
【請求項22】
前記輪状部は3つの接合柱を含み、該3つの接合柱は、前記3つの係止部材と交互に前記輪状部周りに周方向等間隔に配されている、請求項21に記載のステント。
【請求項23】
請求項1から22のいずれか1項に記載のステントと、該ステントが前記膨張形態にある際に前記輪状部内に少なくとも部分的に配置される複数の可撓性人工弁尖と、を有する弁。
【請求項24】
前記自然弁の1以上の弁尖が前記ステント体の前記輪状部および該ステント体の1以上の係止部材に係合されるように、患者の自然弁内に請求項23に記載の弁を埋め込むステップを有する、患者の治療方法。
【請求項25】
膨張形態を有する膨張可能なステント体を有し、自然弁置換用の人工心臓弁で用いるステントであって、
前記ステント体は複数のセルを有する輪状部を含み、該複数のセルは近位遠位軸線周りを周方向に延びるほぼ管状の壁を協働して画定し、該壁は、周方向に離間して配された複数のくぼみ部と、該くぼみ部より遠位に延び、周方向に離間して配された複数の突起部と、を含む波状の遠位縁部を有し、該突起部は、前記管状の壁の周囲周りの前記くぼみ部間に組み入れられている、
ステント。
【請求項26】
請求項25に記載のステントと、自由縁部および基縁部を有する複数の可撓性人工弁尖と、を有する弁であって、
前記弁尖は、前記ステントが膨張形態にある際に前記輪状部内に少なくとも部分的に配置され、前記弁尖は、それらの前記自由縁部に沿って互いに接合するようにされており、該弁尖の該自由縁部は、前記壁の前記くぼみ部と周方向において並ぶ接合位置にて前記輪状部に接続されている、
弁。
【請求項27】
潰れ形態および完全膨張、非拘束形態を有する膨張可能なステント体を有する、自然弁置換用の人工心臓弁であって、
前記ステント体は近位遠位軸線周りを周方向に延びる構造物を含み、該構造物は、前記完全膨張形態の際に前記近位遠位軸線に垂直な平面において非円形断面を有する領域を有し、3つの人工弁尖が、自由縁部を有して該自由縁部で互いに接合するようにされており、該人工弁尖の該自由縁部は、前記近位遠位軸線周りに周方向に離間して配された接合位置にて前記領域内の前記構造物に接続されている、
人工心臓弁。
【請求項28】
前記非円形断面を有する領域は楕円形状である、請求項27に記載の人工心臓弁。
【請求項29】
自然心臓弁置換用の人工心臓弁で用いるステントであって、
該ステントは、完全膨張形態を有する膨張可能体を有し、該膨張可能体は複数のセルを有する輪状部を含み、該複数のセルは近位遠位軸線周りを周方向に延びるほぼ管状の壁を協働して画定し、該壁が3つの側部領域および該3つの側部領域に互いに隣接して接続した角部領域を含むように、該壁の少なくとも一部は、前記完全膨張形態の際に前記近位遠位軸線に垂直な平面においてほぼ三角形断面を有する、
ステント。
【請求項30】
請求項29に記載のステントと、前記輪状部内に少なくとも部分的に配置された複数の人工弁尖と、を有し、該複数の人工弁尖が互いに接合するようにされている、弁。
【請求項31】
3つの自然弁尖を備えた自然弁を有する患者の治療方法であって、
前記輪状部の壁の前記側部領域が前記天然弁尖と並ぶように請求項29に記載の弁を取り付けるステップを有する、
患者の治療方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公表番号】特表2011−528257(P2011−528257A)
【公表日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−518723(P2011−518723)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/004095
【国際公開番号】WO2010/008549
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(500232466)セント ジュード メディカル インコーポレイテッド (23)
【Fターム(参考)】