説明

軸部材の位置決め装置および軸部材への圧入物の圧入機

【課題】位置決め装置において、周方向での軸部材の位置決め作業の効率向上を図る。
【解決手段】位置決め装置2において、カム軸が載置される仮受け部材12は、移載用駆動部材により駆動されて下降移動を行う可動台16に設けられる。仮受け部材12は、可動台16と共に下降移動することで本受け部材25にカム軸を移載し、かつ、駆動部材19により駆動されて、可動台16と共に軸方向移動を行うことにより本受け部材25に載置されている状態のカム軸を軸方向位置決め部材30に当接させる。カム軸の周方向位置を設定するために、可動周方向位置決め部材42は、駆動部材43により駆動されて、カム軸が有する位置決め用ピンに当接すると共に該ピンを固定周方向位置決め部材41との協働により周方向で挟持するまで、本受け部材25に載置されていると共に軸方向位置決め部材30に当接している状態のカム軸に、前記ピンを通じて周方向移動を行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸部材を位置決めするための位置決め装置、および、該位置決め装置により位置決めされた状態の軸部材に圧入物を圧入するための圧入機に関する。そして、前記軸部材は、例えば内燃機関のカム軸であり、前記圧入物は、例えば前記カム軸に圧入されるパルサである。
【背景技術】
【0002】
位置決め装置によりカム軸を周方向での所望の位置に位置決めし、位置決めされた該カム軸に対して、圧入機により圧入物を軸方向に圧入するものは知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−170235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、カム軸の回転位置を検出するためのパルサは、その機能上、カム軸に対して、その周方向位置で高精度に組み付けられる必要がある。そこで、カム軸は、パルサの組付に先立って、位置決め装置により周方向において精度よく位置決めされる。
ところで、軸部材(例えば、カム軸)が周方向で位置決めされる場合、先ず軸部材が周方向で回動しないように拘束され、次いで周方向での位置決め部材が回転しながら軸部材の特定部分に係合され、その後、軸部材の拘束が解除されて、軸部材が前記位置決め部材と一体に所定の周方向位置まで回動させられるのでは、周方向での位置決めに手間がかかる。
また、位置決め装置により周方向で位置決めされた軸部材に対して、圧入物が圧入される場合、軸部材に対する圧入物の径方向位置の設定が容易であることが、圧入作業の効率向上の観点から望ましい。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、位置決め装置において、周方向での軸部材の位置決め作業の効率向上を図ることを目的とする。そして、本発明は、さらに、位置決め装置により位置決めされた軸部材に圧入物を圧入する圧入機において、圧入作業の効率向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、位置決め用部分(7)を有する軸部材(5)が載置される受け部(25)と、前記受け部(25)に載置された状態の前記軸部材(5)が軸方向で当接することにより前記軸部材(5)の軸方向位置を設定する軸方向位置決め部材(30)と、前記位置決め用部分(7)が周方向で当接することにより前記軸部材(5)の周方向位置を設定する固定周方向位置決め部材(41)と、前記軸部材(5)が前記受け部(25)に載置された状態で前記位置決め用部分(7)に周方向で当接可能な可動周方向位置決め部材(42)と、前記軸部材(5)に軸方向移動を行わせる軸方向位置決め用駆動部材(19)と、前記可動周方向位置決め部材(42)を移動させる周方向位置決め用駆動部材(43)と、を備え、前記軸方向位置決め用駆動部材(19)は、前記受け部(25)に軸方向に移動可能に載置された状態の前記軸部材(5)に軸方向移動を行わせて前記軸部材(5)を前記軸方向位置決め部材(30)に当接させ、前記可動周方向位置決め部材(42)は、前記周方向位置決め用駆動部材(43)により駆動されて、前記位置決め用部分(7)に当接すると共に、前記位置決め用部分(7)を前記固定周方向位置決め部材(41)との協働により周方向で挟持するまで、前記受け部(25)に周方向に移動可能に載置された状態で前記軸方向位置決め部材(30)に当接している前記軸部材(5)に、前記位置決め用部分(7)を通じて周方向移動を行わせる位置決め装置(2)である。
【0007】
これによれば、軸部材は、受け部上に軸方向および周方向に移動可能に載置された状態で、軸方向位置決め部材により軸方向で位置決めされ、可動周方向位置決め部材により、軸部材の位置決め用部分を通じて軸部材に周方向移動を行わせると共に固定周方向位置決め部材との間で位置決め用部分が挟持されることで、周方向で位置決めされる。この結果、軸方向および周方向での位置決めのために、受け部に載置された軸部材を拘束する必要がないので、位置決め装置による周方向および軸方向での位置決め作業の効率向上が可能になる。
また、軸部材の周方向での位置決めは、軸部材の位置決め用部分を可動周方向位置決め部材と固定周方向位置決め部材とで挟持することにより行われる。この結果、周方向での位置決めと同時に、軸方向および周方向で位置決めされた軸部材の移動を阻止できるので、簡単な構造で、位置決め後の軸部材の不用意な位置ズレを確実に防止できる。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の位置決め装置(2)であって、前記受け部(25)は、本受け部(25)であり、前記軸部材(5)を前記本受け部(25)に移載するために前記軸部材(5)が載置される仮受け部(12)を有する仮受け部材(11)と、前記仮受け部(12)および前記本受け部(25)に相対的な昇降移動を行わせる移載用駆動部材(18)とを備え、前記仮受け部(12)は、前記移載用駆動部材(18)が前記仮受け部(12)および前記本受け部(25)に相対的な昇降移動を行わせることにより、前記本受け部(25)に前記軸部材(5)を移載し、かつ、前記軸方向位置決め用駆動部材(19)により駆動されて軸方向移動を行うことにより、前記軸部材(5)を軸方向に移動させて前記軸方向位置決め部材(30)に当接させるものである。
これによれば、軸部材は、仮受け部に一旦載置され、その後、軸方向および周方向での軸部材の位置決めが行われる本受け部に仮受け部から直接載置される。この結果、作業者が軸部材を本受け部に直接載置する場合に比べて、本受け部への軸部材の載置状態のバラツキを抑制することができ、その後の位置決め作業を容易化できる。
軸方向での位置決めのための軸部材の軸方向移動に、仮受け部が利用されるので、仮受け部から本受け部への軸部材の移載作業から軸方向での位置決め作業への移行を迅速化でき、位置決め装置による位置決め作業の効率向上が可能になる。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の位置決め装置(2)であって、前記仮受け部(12)は、前記軸部材(5)が載置される受け面(12a)を有し、前記受け面(12a)は、前記軸部材(5)の形成材料よりも軟質の形成材料で形成されているものである。
これによれば、軸部材が仮受け部に載置される際に、受け面と軸部材との当接に起因する軸部材での打痕などの損傷の発生が防止される。この結果、軸部材の損傷を防ぐために載置作業に対する過度の注意が不要になるので、仮受け部への載置作業の効率向上、ひいては位置決め作業の効率向上が可能になる。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項2または3記載の位置決め装置(2)であって、前記可動周方向位置決め部材(42)は、周方向で、前記固定周方向位置決め部材(41)との間に、前記位置決め用部分(7)が配置される収容空間(S1)を形成し、前記収容空間(S1)の周方向幅(Wp)の最大値は、前記位置決め用部分(7)が前記固定周方向位置決め部材(41)と前記可動周方向位置決め部材(42)とにより挟持されたときの前記周方向幅(Wp)よりも大きく、前記仮受け部材(11)は、前記仮受け部(12)と、前記軸部材(5)を前記仮受け部(12)まで案内する案内部(13)とを有し、前記軸部材(5)は、外周面(5a1)の形状が周方向で変化する特定部分(5a)を有し、前記案内部(13)は、前記外周面(5a1)に接触することにより、前記外周面(5a1)の形状に応じて、前記周方向幅(Wp)が最大値となるときの前記収容空間(S1)の周方向範囲内での周方向位置を前記位置決め用部分(7)が占める状態で、前記軸部材(5)が前記仮受け部(12)に支持されるように、前記軸部材(5)を案内するものである。
これによれば、案内部により、軸部材の特定部分の形状を利用して、位置決め用部分が収容空間に配置されるように、仮受け部に容易に支持させることができるので、仮受け部に対する軸部材に載置作業の効率向上、ひいては位置決め作業の効率向上が可能になる。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項記載の位置決め装置(2)であって、前記軸方向位置決め部材(30)が前記固定周方向位置決め部材(41)を兼ねるものである。
これによれば、軸方向位置決め部材が、軸部材の周方向位置を設定する周方向位置決め部材を兼ねることにより、軸方向位置決め部材および周方向位置決め部材を位置決め装置においてコンパクトに配置することができ、位置決め装置を小型化できる。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項1から5のいずれか1項記載の位置決め装置(2)であって、前記位置決め用部分(7)が、前記固定周方向位置決め部材(41)と前記可動周方向位置決め部材(42)とにより挟持されている状態で、前記受け部(25)または前記本受け部(25)に載置された前記軸部材(5)を前記受け部(25)または前記本受け部(25)に対して押圧するクランプ装置(35)を備えるものである。
これによれば、固定周方向位置決め部材および可動周方向位置決め部材により位置決め用部分が挟持されているので、クランプ装置が軸部材を受け部または本受け部に押圧する際に、軸方向および周方向で位置決めされた軸部材の位置ズレが確実に防止される。この結果、軸部材を高精度の位置決め状態で、クランプ装置により固定することができる。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項1から6のいずれか1項記載の位置決め装置(2)を備える圧入機(1)であって、前記軸部材(5)に圧入される圧入物(8)を保持する保持部材(50)と、前記保持部材(50)を前記軸部材(5)の径方向に移動可能に支持する支持部材(60)と、前記支持部材(60)に軸方向移動を行わせる圧入用駆動部材(90)とを備える圧入装置(3)を備え、前記圧入用駆動部材(90)は、前記保持部材(50)に保持された前記圧入物(8)が前記軸部材(5)に圧入されるように、前記支持部材(60)に軸方向移動を行わせるものである。
これによれば、圧入物を保持する保持部材が軸部材に対して径方向に移動するので、圧入の際に軸部材に対する圧入物の心合わせが自動的に行われ、圧入物が軸部材と同心の状態で組み付けられる。この結果、圧入物を保持部材に高精度で保持させる必要がなく、圧入作業の効率向上が可能になる。
【0014】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の圧入機(1)であって、前記保持部材(50)に保持された前記圧入物(8)の圧入領域(8a1)に、異物を除去するための清掃用流体を吹き付ける噴射部材(81a)と、前記圧入物(8)が圧入される前記軸部材(5)の圧入領域(5c1)にオイルを付着させるオイル供給部材(83a)とを備えるものである。
これによれば、吹き付けられた清掃用流体により、圧入物の圧入領域での異物が除去されるので、異物が圧入物の圧入領域と軸部材の圧入領域との間に介在することによる圧入物の破損が防止され、またオイルにより圧入時の摩擦係数が減少する。この結果、圧入物の破損を防止しながら圧入作業の効率向上が可能になる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、位置決め装置において、周方向での軸部材の位置決め作業の効率向上が可能になる。また、本発明によれば、さらに、位置決め装置により位置決めされた軸部材に圧入物を圧入する圧入機において、圧入作業の効率向上が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る圧入機の要部正面図である。
【図2】図1の圧入機の要部平面図である
【図3】図1の圧入機の要部斜視図である
【図4】図1の圧入機の位置決め装置の要部正面図である
【図5】図1のV−V線矢視での要部の図である
【図6】図1の圧入機の位置決め装置の要部の図であり、(a)は、図2のカム軸のピン付近の拡大平面図であり、(b)は、(a)のb−b線断面図である。
【図7】図1のVII線矢視での圧入機の圧入装置の図である。
【図8】図1の圧入機の圧入前処理装置が前処置位置を占めるときの要部平面図である。
【図9】図1の圧入機の圧入前処理装置が前処置位置を占めて、圧入前処理が行われるときの要部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を、図1〜図9を参照して説明する。
図1を参照すると、本発明の実施形態において、圧入機1は、軸部材としてのカム軸5を予め設定された所定位置に位置決めするための位置決め装置2と、該位置決め装置2により位置決めされたカム軸5に圧入物としてのパルサ8を圧入するための圧入装置3とを備える。位置決め装置2および圧入装置3は基部4に設置される。
【0018】
カム軸5は、機械としての内燃機関の動弁装置に備えられる。該内燃機関は、燃焼ガスで駆動されて往復運動するピストンと、該ピストンにより回転駆動されるクランク軸とを備える。機械本体としての機関本体に回転可能に支持される回転軸であるカム軸5は、前記クランク軸に同期して該クランク軸により回転駆動され、前記内燃機関の吸気弁および排気弁を、前記クランク軸の回転位置にそれぞれ対応する所定時期に開閉する。
【0019】
図2を併せて参照すると、カム軸5は、気筒毎に前記吸気弁および前記排気弁を開閉する複数のカム駒5aと、機関本体に設けられた軸受部に回転可能に支持される複数のジャーナル部6とを有する。各カム駒5aは、外周面5a1(図5参照)の形状が周方向で変化する特定部分である。ジャーナル部6は、カム軸5においてカム駒5aよりも外径が大きい大径部である。
カム軸5は、さらに、カム軸5の位置決めに利用される位置決め用部分としての位置決めピン(以下、「ピン」という。)7(図6も参照)を有する。位置決め用凸部である円柱状のピン7は、カム軸5においてその一方の軸端部5bに軸方向で隣接する所定部分としての端部のジャーナル部6Bの軸方向壁に軸方向に突出して一体に設けられる。ピン7は、ジャーナル部6Aに、固着手段としての圧入により固着されている。
【0020】
なお、軸方向は、軸部材の軸線(この実施形態では、カム軸5の軸線Lc(図6(b)も参照))に平行な方向であるとし、該軸線Lcはカム軸5の回転中心線でもある。また、周方向および径方向は、特に断らない限り、軸線Lcを中心とする周方向および径方向であるとする。さらに、軸直交方向は、基準平面(この実施形態では、水平面である。)に平行で軸方向に直交する方向であるとし、上下方向は、前記基準平面に直交する方向であるとする。
【0021】
図7,図9を参照すると、パルサ8は、カム軸5での圧入部分としての他方の軸端部5cに軸方向で圧入されることにより、カム軸5と一体に回転するようにカム軸5に組み付けられて設けられる。金属、例えば焼結金属から形成されるパルサ8は、周壁8aと軸方向での底壁8bとを有するキャップ状部材であり、周壁8aにおいて軸端部5cの外周面5c1に圧入される。したがって、周壁8aの内周面8a1は、パルサ8における圧入領域であり、外周面5c1は、カム軸5における圧入領域である。
パルサ8は、前記機関本体に設けられた回転位置センサ(図示されず)に、特定の周方向位置に形成された段差部に基づいてカム軸5の回転位置に対応した信号(例えば、前記回転位置センサが磁気センサである場合に、パルサ8の回転により発生する磁気変化を利用した信号)を発生させる信号発生用の回転体である。
【0022】
図1〜図3を参照すると、位置決め装置2は、カム軸5を支持する仮受け部材11を有する仮受け装置10と、仮受け部材11によりカム軸5が軸方向および周方向で移動可能に載置される本受け部材である1以上の、ここでは1対の本受け部25と、本受け部25に載置された状態のカム軸5が軸方向で当接することによりカム軸5の軸方向位置を設定する軸方向位置決め部材30と、本受け部25に載置されたカム軸5のピン7を挟持することにより本受け部25に載置された状態のカム軸5の周方向位置を設定する周方向位置決め装置40と、本受け部25に載置されたカム軸5を本受け部25に押圧して固定するクランプ装置35と、軸方向位置決め部材30においてカム軸5が当接する当接面31(図3参照)を清掃する清掃装置27と、水平面に平行な上面28aを有すると共に基部4に固定される台座28と、仮受け装置10および周方向位置決め装置40およびクランプ装置35のそれぞれの作動を制御する制御装置9と、を備える。
【0023】
図1,図2を参照すると、圧入装置3は、パルサ8を保持する保持部材50と、保持部材50を径方向に移動可能に支持(以下、「浮動支持」ともいう。)する可動の支持部材60と、パルサ8を軸端部5cに軸方向で圧入すべく支持部材60を保持部材50と共に軸方向に移動させる圧入用駆動部材70と、圧入前処理装置80と、基部4に固定された台座90と、保持部材50および圧入用駆動部材70および圧入前処理装置80のそれぞれの作動を制御する制御装置9と、を備える。
【0024】
位置決め装置2と共有される制御装置9は、圧入機1の起動・停止スイッチおよび位置決め装置2および圧入装置3の各駆動部材(後に詳述する)等を作動させるための各種スイッチから構成される操作スイッチと、該操作スイッチからの信号が入力されると共に前記各駆動部材を予め設定された位置または位置センサにより検出された位置で停止するための電子制御ユニットと、を備えている。
【0025】
次に、位置決め装置2について、該位置決め装置2によるカム軸5の位置決め方法と併せて説明する。
図1〜図5を参照すると、仮受け装置10は、1以上の、ここでは軸方向に所定の間隔を置いて離隔して設けられる1対の仮受け部12を有する可動の仮受け部材11と、仮受け部材11を駆動して軸方向および上下方向に移動させる仮受け用駆動部材18,19と、仮受け部材11の軸方向移動(軸方向での移動である。)および昇降移動(上下方向での移動である。)を阻止および許容するロック機構20と、を有する。
【0026】
仮受け部材11は、カム軸5における被載置部としてのジャーナル部6Aが載置される各仮受け部12のほかに、カム軸5における被押圧部でもあるジャーナル部6Aに当接して軸方向に押圧する1対の押圧部13と、仮受け用駆動部材18,19により駆動されて軸方向移動および昇降移動を行う仮受け用可動部材としての可動台14とを有する。
【0027】
この実施形態において、1対の押圧部13のうち、1つの押圧部13Aは、カム軸5を軸方向で進出方向に移動させて、軸方向でのカム軸5の位置決めに使用され、別の押圧部13Bは、カム軸5を軸方向で後退方向に移動させるもので、後記する後処理工程において、カム軸5を後記する軸方向位置決め完了位置から移載完了位置まで移動させる際に使用されてもよい。
ここで、進出方向は、軸方向の一方向(図1での右方向)であり、後退方向は、軸方向の他方向(図1での左方向)であるとする。
【0028】
可動台14は、本受け部25にカム軸5を移載するために上下方向に移動可能な移載用可動部材としての移載用可動台15と、軸方向での位置決めのために軸方向に移動可能な位置決め用可動部材としての位置決め用可動台16とから構成される。
【0029】
位置決め用可動台16には、軸方向に平行に配列された1対の仮受け部12がボルト(図示されず)により固定される。移載用可動台15は、位置決め用可動台16を軸方向に移動可能に支持すると共に案内する案内レール15a(図4,図5参照)と、基部4に固定された1対の筒状の案内部材4aにより上下方向に案内される支持ロッド15bとを有する。
【0030】
各仮受け部12は、ジャーナル部6Aが径方向で当接すると共に軸方向から見て上方に向かって開放するほぼV字形の載置用溝12c(図3,図5参照)を形成する。押圧部13は、仮受け部12を超えて上方に突出していて上方に向かって開放するU字状の収容溝13cを形成する。
仮受け部12および押圧部13は、カム軸5の形成材料である金属よりも軟質または弾性係数が小さい形成材料、例えば合成樹脂(例えばナイロン)により一体成形された単一の部材である。したがって、仮受け部12においてジャーナル部6Aが接触する受け面12a、および押圧部13においてジャーナル部6Aに当接する押圧面13aは、いずれも合成樹脂により形成されている。
押圧部13は、カム軸5を軸方向に押圧して軸方向位置決め部材30に当接させることから、位置決め用可動台16に固定された金属製の補強板17により補強されている。
【0031】
軸直交方向での収容溝13aの幅Wc(図5参照)は、押圧部13によるジャーナル部6Aに対する軸方向での押圧を可能とするために、ジャーナル部6Aの外径よりも小さく設定され、さらに、カム軸5が仮受け部12に載置される際にピン7が上方に位置するための大凡の周方向位置の目安(すなわち、後記する収容空間S1の周方向幅Wp(図6(b)参照)が最大値となる該収容空間S1内にピン7が位置する目安)となるように、カム駒5aの最小外径(すなわち、カム駒5aのベース円で規定される外径。)の部分を収容可能に設定される一方で、カム駒5aの最大外径(すなわち、カム駒5aのカム山の頂部で規定される外径。)よりも小さく設定される。
【0032】
このため、押圧部13は、カム軸5が上方から仮受け部12に載置される際に、該カム軸5を仮受け部12まで案内する案内部でもあり、収容溝13cは案内溝でもある。より具体的には、押圧部13は、収容溝13cの側面がカム駒5aの外周面5a1に接触することにより、該外周面5a1の形状に応じて、周方向幅Wpが最大値となるときの収容空間S1の周方向範囲内での周方向位置をピン7が占める状態でカム軸5が仮受け部12に載置されるように、カム軸5を案内する。
【0033】
したがって、カム軸5が仮受け部材11に載置される仮受け載置工程において、カム軸5は、ロボットまたは作業者により仮受け部12に載置される際、周方向位置決め装置40によるピン7の挟持を可能とするために、該ピン7が軸線Lcに対して特定周方向位置としての上方に向く周方向位置で各仮受け部12に載置される。そのために、カム軸5を周方向で案内する案内部を兼ねる押圧部13が利用される。そして、押圧部13により案内されたカム軸5は、周方向幅Wpが最大値となっている収容空間S1の周方向範囲内での周方向位置をピン7が占めるように、仮受け部12に載置される。
【0034】
仮受け用駆動部材18,19は、移載用可動台15を駆動して該移載用可動台15および位置決め用可動台16に昇降移動を行わせる移載用駆動部材18と、位置決め用可動台16を移載用可動台15に対して相対的に駆動して位置決め用可動台16に軸方向移動を行わせる軸方向位置決め用駆動部材19とを有する。
基部4に固定された移載用駆動部材18は、その駆動ロッド18aが昇降することで、該駆動ロッド18aと連結された移載用可動台15に昇降移動を行わせ、同時に位置決め用可動台16および各仮受け部12に昇降移動を行わせる。このため、移載用駆動部材18は、位置決め用可動台16および各仮受け部12に昇降移動を行わせることで、仮受け部12および本受け部25に相対的な昇降移動を行わせる。
【0035】
移載用可動台15に固定された位置決め用駆動部材19は、その駆動ロッド19aが軸方向での進出方向および後退方向に進出・後退することで、駆動ロッド19aと連結部材19bとを介して連結された位置決め用可動台16および該位置決め用可動台16と一体の各仮受け部12に、軸方向移動を行わせると共に、押圧部13Aと当接するジャーナル部6Aを通じて、カム軸5に進出方向に軸方向移動を行わせる。
【0036】
図3,図5を参照すると、ロック機構20は、移載用可動台15が有するロック部15dと係合可能なロック部材であるロックピン21aを有するロック本体21と、ロック本体21に装着されると共にロック部15dに対する係合および係合解除のためにロックピン21aを駆動するロック用駆動部材22と、基部4に固定されてロック本体21を支持する支持台23とを備える。ロックピン21aがロック部15dに設けられた係合孔15eに挿入されることで、ロック機構20はロック状態になり、ロックピン21aが係合孔15eから外れることで、ロック機構20はロック解除状態になる。
【0037】
ロック機構20は、仮受け部材11が仮受け位置(図4,図5に一部が二点鎖線で示される。)を占めるときにロック状態になって、仮受け部材11の軸方向移動および昇降移動を阻止し、仮受け部材11が仮受け位置から移載完了位置(図1,図4,図5に実線で示される。)に移動する際にロック解除状態になる。
ここで、仮受け位置は、カム軸5が仮受け部材11に載置されるときの仮受け部12および各可動台15,16の位置である。図1には、仮受け位置での仮受け部12に載置されたカム軸5が二点鎖線で示されている。
また、移載完了位置は、移載用可動台15が移載用駆動部材18により駆動されて下降移動し、カム軸5が仮受け部12から離れて本受け部25に載置された後に移載用可動台15の下降移動が終了したときの仮受け部12および各可動台15,16の位置である。移載完了位置において、仮受け部12は、ジャーナル部6Aから下方に離隔した位置にある(図4参照)。
【0038】
軸方向位置決め用駆動部材19は、移載完了位置にある位置決め用可動台16(図4参照)を駆動して、各仮受け部12を、カム軸5と共に、軸方向位置決め完了位置(図1,図2に示される位置である。)まで軸方向位置決め部材30に向けて軸方向に移動させる。ここで、軸方向位置決め完了位置は、軸方向位置決め部材30とジャーナル部6Bとが軸方向で当接して、カム軸5が軸方向での所定位置に位置決めされたときの仮受け部12および位置決め用可動台16の位置である。
【0039】
図1〜図4を参照すると、1対の受け部である本受け部25は、軸方向に所定の間隔を置いて離隔して設けられる。軸方向に平行に配列された1対の本受け部25は、いずれも金属製であり、台座28の上面にボルトにより固定される。各本受け部25は、カム軸5における被載置部としての端部のジャーナル部6Bが径方向で当接すると共に軸方向から見て上方に向かって開放するほぼV字形の載置用溝25cを形成する。
【0040】
1対の本受け部25は、1対の仮受け部12よりも大きな軸方向間隔を置いて、軸方向で1対の仮受け部12の外側に配置される。また、各本受け部25の受け面25aは、仮受け位置および移載完了位置にある仮受け部12が上下方向に平行に下降移動することにより、ジャーナル部6Bが本受け部25に軸方向移動および周方向移動(周方向での移動であり、回動である。)が可能に載置されるように配置されていて、この実施形態では、仮受け位置および移載完了位置にある仮受け部12の受け面12aと軸直交方向でほぼ同じ位置にある。そして、仮受け部12に載置された状態のカム軸5の軸線Lcと、本受け部25に載置された状態のカム軸5の軸線Lcとは、互いにほぼ平行であり、また軸直交方向での位置がほぼ同じである。
なお、「ほぼ」との表現は、「ほぼ」との修飾語がない場合を含むものとする。
【0041】
仮受け部12に載置された状態のカム軸5は、本受け部25の真上に位置する。さらに、カム軸5は、仮受け部材11が一直線上で下降移動をすることにより、すなわち移載用駆動部材18により駆動される仮受け部材11および本受け部25が一直線上で相対的な昇降移動を行うことにより、仮受け部12から本受け部25に直接移載される。そして、カム軸5が各本受け部25に載置された状態で、カム軸5の軸線Lcが基準平面としての水平面に平行であるように、カム軸5の上下方向位置が設定される。それゆえ、1対の本受け部25は、上下方向でのカム軸5の位置を設定する上下方向位置決め部材である。
【0042】
図1〜図3を参照すると、清掃装置27は、軸方向位置決め部材30の当接面31に指向して、清掃用流体としての加圧空気を噴射する噴射部材としての噴射管27aを備える。噴射管27aには、供給源(図示されず)からの加圧空気が、導管27bと、制御装置9により開閉が制御される開閉弁(図示されず)とを介して供給される。そして、噴射管27aからの加圧空気が当接面31に吹き付けられることにより、当接面31に付着していた異物が除去されて、当接面31が清浄にされるので、軸方向でのカム軸5の位置決め精度が向上する。
【0043】
図4,図5を参照すると、カム軸5が仮受け部12から本受け部25へ移載される移載工程において、先ず、ロック用駆動部材22が、制御装置9(図1参照)により制御されて、移載用可動台15の昇降移動を許容するために、ロック解除状態にされる。次いで、移載用駆動部材18が、制御装置9により制御されて、仮受け位置にある移載用可動台15に、移載完了位置まで下降移動を行わせる。カム軸5は、該下降移動の間に本受け部25に移載され、各本受け部25に軸方向移動および周方向移動が可能な状態で載置される。
【0044】
図1〜図3,図6を参照すると、軸方向位置決め部材30は、カム軸5に対して軸方向で軸端部5b寄りに配置されて台座28に固定されたブロック状の部材であり、カム軸5における軸方向位置決め指標部であるジャーナル部6Bが進出方向で当接する当接面31を有する。軸方向位置決め部材30には、当接面31に開口すると共に軸端部5bが挿入される挿入空間32aを形成する凹部32が設けられる。軸方向位置決め部材30には、凹部32を含む部分に、上方および軸直交方向での一部が切り欠かれた切欠部33が形成される。そして、軸方向位置決め部材30において、この切欠部33により軸直交方向に指向した壁面33aが形成された部分は、周方向位置決め装置40の固定周方向位置決め部材41を構成する。
【0045】
周方向位置決め装置40は、台座28に固定された固定周方向位置決め部材41および台座28に対して可動な可動周方向位置決め部材42から構成される周方向位置決め部材41,42と、基部4に固定された支持台44に固定されて可動周方向位置決め部材42を駆動する周方向位置決め用駆動部材43と、を有する。
そして、固定周方向位置決め部材41は、軸方向位置決め部材30において、切欠部33により軸直交方向に指向した壁面33aが形成された部分により構成される。
【0046】
固定周方向位置決め部材41と可動周方向位置決め部材42とは、可動周方向位置決め部材42が周方向位置決め用駆動部材43により駆動されることにより、軸直交方向または周方向での間隔を変更可能である。ここで、周方向位置決め装置40において、軸直交方向および周方向は、軸方向に直交する平面(以下、単に「軸直交平面」という。)上で互いに対向する対向方向である。
【0047】
固定周方向位置決め部材41は、ピン7が軸直交方向(または、周方向)で当接することによりカム軸5の周方向位置を設定する。
一方、可動周方向位置決め部材42は、ピン7が配置される収容空間S1を周方向で固定周方向位置決め部材41との間に形成すると共に、カム軸5が本受け部25に載置された状態のときに、ピン7に当接可能である。より具体的には、仮受け部12は、軸方向位置決め用駆動部材19により駆動されて、進出方向に軸方向移動を行うことにより本受け部25に載置されている状態のカム軸5を進出方向に移動させて、カム軸5を軸方向位置決め部材30に当接させると共にピン7を、軸方向に開放している収容空間S1に位置させる。したがって、可動周方向位置決め部材42は、カム軸5が軸方向位置決め部材30により軸方向で位置決めされた状態のときに、ピン7に当接可能である。
なお、別の例として、仮受け部12が移載完了位置を占めるときに、ピン7がすでに収容空間S1に配置されていてもよい。
【0048】
周方向位置決め用駆動部材43の可動部43aに連結された可動周方向位置決め部材42は、周方向位置決め用駆動部材43により駆動されて、収容空間S1内に位置するピン7に当接すると共に該ピン7を固定周方向位置決め部材41との協働により周方向で挟持するまで、本受け部25に載置された状態で軸方向位置決め部材30に当接しているカム軸5に、ピン7を通じて周方向移動を行わせる。そして、ピン7が、軸直交方向または周方向で、固定周方向位置決め部材41と可動周方向位置決め部材42とに挟持された状態で、カム軸5が周方向での所定位置に位置決めされる。
【0049】
このように、周方向位置決め用駆動部材43は、収容空間S1の周方向での幅(この実施形態では、軸直交方向の幅ともいうことができる。)である周方向幅Wpを変更すべく、可動周方向位置決め部材42を、前記対向方向としての軸直交方向に移動させる。周方向幅Wpは、可動周方向位置決め部材42の位置に応じて、可動周方向位置決め部材42が初期位置を占めるときの最大値(図6(b)に二点鎖線で示される。また、図3も参照。)から、可動周方向位置決め部材42が挟持位置を占めることでピン7が両位置決め部材41,42により挟持されるときの最小値までの範囲で変更される。このため、周方向幅Wpの最大値は、ピン7が固定周方向位置決め部材41と可動周方向位置決め部材42とにより挟持されたときの周方向幅Wpよりも大きい。
【0050】
したがって、カム軸5を軸方向での所定位置に位置決めする軸方向位置決め工程において、周方向位置決め用駆動部材43は、制御装置9により制御されて、位置決め用可動台16を進出方向に移動させて、一方の押圧部13Aをジャーナル部6Aと軸方向で当接させた後、引き続いて、該押圧部13Aを通じて、本受け部25に軸方向移動可能に載置された状態のカム軸5が軸方向位置決め部材30の当接面31に当接するまで、位置決め用可動台16に、押圧部13およびカム軸5と共に、進出方向に軸方向移動を行わせる。
なお、清掃装置27は、制御装置9により制御されて、カム軸5が軸方向位置決め部材30により軸方向で位置決めされる以前に、噴射管27aから加圧空気を当接面31に吹き付ける。
【0051】
そして、軸方向位置決め工程の後の工程である、カム軸5を周方向での所定位置に位置決めする周方向位置決め工程において、周方向位置決め用駆動部材43は、制御装置9により制御されて、可動周方向位置決め部材42を固定周方向位置決め部材41に近づく方向で軸直交方向に移動させる。これにより、可動周方向位置決め部材42は、カム軸5が軸方向で位置決めされたことで収容空間S1内に配置されているピン7と周方向で当接した後、該ピン7を通じて、可動周方向位置決め部材42と固定周方向位置決め部材41とによりピン7が周方向で挟持されるまで、本受け部25に周方向移動可能に載置された状態のカム軸5を周方向に移動させる。
【0052】
図1〜図3を参照すると、クランプ装置35は、軸方向および周方向で位置決めされたカム軸5のジャーナル部6Bを上方から各本受け部25に押圧する1対のクランプ36と、各クランプ36に昇降移動を行わせると共に上下方向に平行な回動中心線を中心とした回動を行わせるクランプ用駆動部材37とを備える。ジャーナル部6と当接する合成樹脂製の押圧部36aを有するクランプ36は、カム軸5の移動を阻止すべく拘束する拘束位置(図1,図2に示される位置)と、仮受け部12へのカム軸5の載置作業および仮受け部12から本受け部25へのカム軸5の移載作業の妨げにならない退避位置(図3に示され、図1に二点鎖線で示される位置)との間で移動可能である。
【0053】
したがって、本受け部25上でのカム軸5の移動を阻止するカム軸移動阻止工程において、カム軸5が上下方向、軸方向および周方向での所定位置に位置決めされた後に、クランプ用駆動部材37は、制御装置9により制御されて、クランプ36を退避位置から拘束位置に移動させて、カム軸5のジャーナル部6を本受け部25に押圧し、該カム軸5を本受け部25に拘束する。
このため、カム軸5に対する処理作業(例えば、加工作業や部品の組付作業)の作業工程(この実施形態では、後記する圧入工程である。)において、カム軸5の軸方向移動は、軸方向位置決め部材30およびクランプ36により防止され、カム軸5の径方向移動および周方向移動は、クランプ36により防止される。
【0054】
次に、圧入装置3について、該圧入装置3によるパルサ8の圧入方法と併せて説明する。
図1,図2,図7,図9を参照すると、保持部材50は、支持部材60に支持される保持本体51と、軸方向および径方向でパルサ8を位置決めすると共に保持する保持部52と、周方向でのパルサ8の位置決めをするための圧入物用位置決め部材58を有する。
【0055】
保持部52は、保持本体51に一体に設けられて底壁8bが軸方向で当接する円筒状の軸方向保持部53と、周壁8aが径方向で当接する径方向保持部54とを有する。径方向保持部54は、パルサ8の周囲に配置されて保持本体51に取り付けられた複数の、ここでは3つの保持片55〜57から構成される。
軸方向保持部53は、パルサ8がカム軸5に圧入される際にパルサ8を押圧する押圧部でもある。
保持片55〜57のうち、下部保持片55は、パルサ8の周壁8aの外周面8a2に接触する面がV字形を形成する1対の受け面55aを有し、下部保持片55よりも上方に配置された1対の上部保持片56,57のそれぞれは、外周面8a2に径方向で接触する受け面56a,57aを有する。
【0056】
位置決め部材58は、保持本体51に設けられて、パルサ8に設けられた凹部である位置決め指標部8cに係合する係合部58cを有する可動部58bと、係合部58cを径方向で進出・後退させる駆動部材58aとを備える。それゆえ、パルサ8は、保持部52に位置決め指標部8cが係合部58cと係合可能な位置に配置された後、駆動部材58aにより駆動されて進出した係合部58cが位置決め指標部8cに係合することで、保持部52に対して、ひいてはカム軸5に対してパルサ8が周方向で位置決めされる。
そして、係合部58cと位置決め指標部8cとの設定係合位置での係合を確実にするために、各上部保持片56,57は、保持部52に挿入される際のパルサ8の周方向位置を所定の周方向範囲内に規制する規制部56b,57bを有する。
【0057】
したがって、パルサ8が保持部材50に保持される圧入物保持工程において、支持部材60に支持された保持部材50の保持部52にパルサ8は、規制部56b,57bにより規制される周方向範囲で3つの保持片55〜57に周壁8aが接する状態で挿入される。その後、駆動部材58aが、制御装置9(図1参照)により制御されて、位置決め部材58の係合部58cを、位置決め指標部8cと設定係合位置で係合するまで、該位置決め指標部8cに向かって移動させる。
【0058】
図1,図2を参照すると、圧入用駆動部材70は、支持部材60に連結されて該支持部材60を軸方向に駆動するための駆動用可動部71を有する。軸方向に移動可能な駆動用可動部71は、カム軸5に対するパルサ8の圧入方向である進出方向に進出し、該圧入方向とは反対方向の後退方向に後退する。
【0059】
図1,図2,図7,図9を参照すると、支持部材60は、駆動用可動部71に固定されると共に台座90に設けられた案内レール91に案内されて軸方向に移動可能に台座90に支持された支持本体61と、軸線Lcまたは保持部52に保持された状態のパルサ8の軸線Lpに対して浮動状態で保持部材50を支持する支持機構62と、を有する。
【0060】
支持機構62は、支持本体61に対して軸方向に直交する平面において互いに直交する方向に、この実施形態では上下方向および軸直交方向に移動可能に保持本体51を案内する案内部63と、支持本体61と保持本体51との間に設けられると共にカム軸5の軸線Lcまたはパルサ8の軸線Lpの周方向に間隔をおいて配置された複数の、ここでは3つの弾性支持体64,65と、上方への保持本体51の移動の上限を規定する規制部67とを有する。規制部67は上方への保持本体51の規制位置を調整可能である。
このため、保持本体51は、規制部67により上方への移動が規制される範囲で、カム軸5の軸線Lcを中心とする全ての径方向に移動可能である。
【0061】
支持本体61と保持本体51との間に設けられる案内部63は、支持本体61が有すると共に上下方向に延びている第1案内部としての1対の第1案内レール63aと、保持本体51が有すると共に軸直交方向に延びている第2案内部としての1対の第2案内レール63bと、第1案内レール63aに案内されると共に第2案内レール63bを介して保持本体51を案内する連結体63cと、を有する。
【0062】
各軸線Lc、Lpを中心にほぼ90度の間隔で配置された3つの弾性支持体64,65は、保持部52を上下方向に移動可能に下方から弾性支持する第1弾性支持体64と、保持部52を軸直交方向に移動可能に軸直交方向で互いに対向する方向から弾性支持する1対の第2弾性支持体65とから構成される。
各弾性支持体64,65は、弾性部材としての圧縮コイルバネからなるバネ64a,65aと、バネ64a,65aの座屈を防止するための案内ロッド64b,65bとを有する。バネ64a,65aは、その両端部において、支持本体61および保持本体51にそれぞれ保持される。
【0063】
保持本体51が3つの弾性支持体64,65により浮動状態で支持されることで、パルサ8の圧入時に、カム軸5の軸線Lcとパルサ8の軸線Lpとが一致しない場合にも、パルサ8とカム軸5の軸端部5cとが当接した後にパルサ8が圧入されるときに、保持本体51および該保持本体51に保持されたパルサ8は、両軸線Lc,Lpが一致するように、支持本体61に対して径方向、または上下方向および軸直交方向に移動するため、パルサ8とカム軸5の心合わせが可能になる。
【0064】
図1〜図3,図8,図9を参照すると、圧入前処理装置80は、保持部52に保持されたパルサ8の内周面8a1を含む内面に清掃用流体である加圧空気を噴射する噴射部材としての噴射管81aと、軸方向でパルサ8の内側から底壁8bに軸方向で当接可能な仮保持部材としての仮保持ロッド82と、軸端部5cの外周面5c1にオイルを付着させる1以上の、ここでは1対のオイル供給部材としてのオイル供給管83aと、基部4に固定された支持台86に支持される前処理用駆動部材84と、噴射管81aとオイル供給管83aと仮保持ロッド82が設けられる支持部としての可動支持台85とを備える。
可動支持台85は、前処理用駆動部材84に摺動可能に支持される1対の支持ロッド85aを有すると共に、前処理用駆動部材84の駆動ロッド84aに連結されていて、前処理用駆動部材84に駆動されて軸直交方向に進出・後退する。
【0065】
したがって、圧入前処理装置80により圧入前処理が行われる圧入前処理工程において、図8,図9に示されるように、圧入用駆動部材70は、制御装置9により制御されて、支持部材60および保持部材50と台座90との間に可動支持台85が配置可能な軸方向での処理用空間S2が形成されるように、支持部材60およびパルサ8を保持している保持部材50を後退方向に移動させる。次いで、前処理用駆動部材84は、制御装置9により制御されて、軸直交方向で噴射管81aがパルサ8の内面を指向すると共に、各オイル供給管83aが軸端部5cの外周面5c1にオイルを滴下可能な位置である前処理位置(図8,図9に示される位置)まで、可動支持台85を軸直交方向に進出させる。
【0066】
噴射管81aには、供給源(図示されず)からの加圧空気が、導管81bと、制御装置9により開閉が制御される開閉弁(図示されず)とを介して供給される。同様に、オイル供給管83aには、供給源(図示されず)からのオイルが、導管83bと、制御装置9により開閉が制御される開閉弁(図示されず)とを介して供給される。
【0067】
可動支持台85が前処理位置を占めるとき、圧入用駆動部材70は、支持部材60を介して保持部材50を、仮保持ロッド82がパルサ8に当接して該パルサ8を軸方向保持部53に押圧する位置まで、進出方向に移動させる。仮保持ロッド82がパルサ8を軸方向保持部53に押圧することで、噴射管81aからの加圧空気がパルサ8に吹き付けられることによる該パルサ8の位置ズレが防止される。
【0068】
噴射管81aから噴射された加圧空気によるパルサ8の内面の清掃および外周面5c1へのオイルの塗布を含む圧入前処理が終了した後、圧入用駆動部材70は、仮保持ロッド82がパルサ8から離隔し、かつ前処理用駆動部材84が可動支持台85を後退位置(図2に示される位置)まで後退させることができる位置まで、支持部材60および保持部材50を後退方向に移動させる。
【0069】
可動支持台85が後退位置まで後退して、圧入前処理工程が終了した後、圧入用駆動部材70によりパルサ8がカム軸5に圧入される圧入工程において、圧入用駆動部材70の駆動用可動部71により駆動された支持部材60を介して保持部材50が圧入方向に進出して、パルサ8が軸端部5cに圧入される。
【0070】
前記圧入工程の終了後の後処理工程において、圧入用駆動部材70により支持部材60および保持部材50が後退方向に移動し、クランプ装置35のクランプ36がカム軸5の拘束を解除し、周方向位置決め装置40がピン7の挟持を解除し、移載用駆動部材18が上昇移動して1対の仮受け部12がジャーナル部6Aに当接し、カム軸5を仮受け位置と同じ高さ位置まで移動させる。次いで、軸方向位置決め用駆動部材19によりカム軸5が後退方向に移動して、カム軸5が仮受け位置に戻り、ロボットまたは作業者が、パルサ8が圧入されたカム軸5を仮受け部12から取り外す。
このような後処理工程が終了した後、パルサ8を圧入するための新たなカム軸5が仮受け部12に載置され、前述の一連の工程が繰り返される。
【0071】
なお、圧入機1において、各駆動部材18,19,21,22,43,37,58a,84は、例えば空気圧式または油圧式シリンダ機構で構成され、圧入用駆動部材70は、例えば油圧式シリンダ機構で構成される。
【0072】
次に、前述のように構成された実施形態の作用および効果について説明する。
位置決め装置2において、軸方向位置決め用駆動部材19は、本受け部25に軸方向に移動可能に載置された状態のカム軸5に軸方向移動を行わせて該カム軸5のジャーナル部6Bを軸方向位置決め部材30に当接させ、可動周方向位置決め部材42は、周方向位置決め用駆動部材43により駆動されて、ピン7に当接すると共に、ピン7を固定周方向位置決め部材41との協働により周方向で挟持するまで、本受け部25に周方向に移動可能に載置された状態で軸方向位置決め部材30に当接しているカム軸5に、ピン7を通じて周方向移動を行わせる。
この構造により、カム軸5は、本受け部25上に軸方向および周方向に移動可能に載置された状態で、軸方向位置決め部材30により軸方向で位置決めされ、可動周方向位置決め部材42により、カム軸5のピン7を通じてカム軸5に周方向移動を行わせると共に固定周方向位置決め部材41との間でピン7が挟持されることで、周方向で位置決めされる。この結果、軸方向および周方向での位置決めのために、本受け部25に載置されたカム軸5を拘束する必要がないので、位置決め装置2による周方向および軸方向での位置決め作業の効率向上が可能になる。
また、カム軸5の周方向での位置決めは、カム軸5のピン7を可動周方向位置決め部材42と固定周方向位置決め部材41とで挟持することにより行われる。この結果、周方向での位置決めと同時に、軸方向および周方向で位置決めされたカム軸5の移動を阻止できるので、簡単な構造で、位置決め後のカム軸5の不用意な位置ズレを確実に防止できる。
【0073】
位置決め装置2は、カム軸5を本受け部25に移載するためにカム軸5が載置される仮受け部12を有する仮受け部材11と、仮受け部12に昇降移動を行わせる移載用駆動部材18とを備え、仮受け部12は、移載用駆動部材18が仮受け部12に下降移動を行わせることにより、本受け部25にカム軸5を移載し、かつ、軸方向位置決め用駆動部材19により駆動されて軸方向移動を行うことにより、カム軸5を軸方向に移動させて軸方向位置決め部材30に当接させる。
この構造により、カム軸5は、仮受け部材11に一旦載置され、その後、軸方向および周方向でのカム軸5の位置決めが行われる本受け部25に仮受け部12から直接載置される。この結果、作業者がカム軸5を本受け部25に直接載置する場合に比べて、本受け部25へのカム軸5の載置状態のバラツキを抑制することができ、その後の位置決め作業を容易化できる。
また、軸方向での位置決めのためのカム軸5の軸方向移動に、仮受け部12が利用されるので、仮受け部12から本受け部25へのカム軸5の移載作業から軸方向での位置決め作業への移行を迅速化できるので、位置決め装置2による位置決め作業の効率向上が可能になる。
【0074】
仮受け部12は、カム軸5が載置される受け面12aを有し、該受け面12aは、カム軸5の形成材料よりも軟質の形成材料である合成樹脂により形成されている。
この構造により、カム軸5が仮受け部12に載置される際に、受け面12aとカム軸5との当接に起因するカム軸5での打痕などの損傷の発生が防止される。この結果、カム軸5の損傷を防ぐために載置作業に対する過度の注意が不要になるので、仮受け部12への載置作業の効率向上、ひいては位置決め作業の効率向上が可能になる。
【0075】
可動周方向位置決め部材42は、周方向で、固定周方向位置決め部材41との間に、ピン7が配置される収容空間S1を形成し、収容空間S1の周方向幅Wpの最大値は、ピン7が固定周方向位置決め部材41と可動周方向位置決め部材42とにより挟持されたときの周方向幅Wpよりも大きく、仮受け部材11は、仮受け部12と、カム軸5を仮受け部12まで案内する案内部である押圧部13とを有し、カム軸5は、外周面5a1の形状が周方向で変化する特定部分であるカム駒5aを有し、押圧部13は、カム駒5aの外周面5a1に接触することにより、該外周面5a1の形状に応じて、周方向幅Wpが最大値となるときの収容空間S1の周方向範囲内での周方向位置をピン7が占める状態でカム軸5が仮受け部材11に支持されるように、カム軸5を案内する。
押圧部13により、カム軸5のカム駒5aの形状を利用して、ピン7が収容空間S1に配置されるように、仮受け部12に容易に支持させることができるので、仮受け部12に対するカム軸5に載置作業の効率向上、ひいては位置決め作業の効率向上が可能になる。
しかも、カム軸5を軸方向に移動させる押圧部13が、カム軸5を仮受け部12に案内する案内部を兼ねるので、仮受け部材11の構造が簡単化される。
【0076】
周方向位置決め装置40において、軸方向位置決め部材30が固定周方向位置決め部材41を兼ねることにより、軸方向位置決め部材30,41,42および周方向位置決め部材30,41,42を位置決め装置2においてコンパクトに配置することができ、位置決め装置2を小型化できる。
【0077】
位置決め装置2は、ピン7が、可動周方向位置決め部材42と固定周方向位置決め部材41とにより挟持されている状態で、本受け部25に載置されたカム軸5を本受け部25に対して押圧するクランプ装置35を備える。
この構造により、固定可動周方向位置決め部材41および可動周方向位置決め部材42によりピン7が挟持されているので、クランプ装置35がカム軸5を本受け部25に押圧する際に、軸方向および周方向で位置決めされたカム軸5の位置ズレが確実に防止される。この結果、カム軸5を高精度の位置決め状態で、クランプ装置35により固定することができる。
【0078】
圧入装置3は、カム軸5に圧入されるパルサ8を保持する保持部材50と、保持部材50を径方向に移動可能に支持する支持部材60と、支持部材60に軸方向移動を行わせる圧入用駆動部材70と、を備え、圧入用駆動部材70は、保持部材50に保持されたパルサ8がカム軸5に圧入されるように、支持部材60に軸方向移動を行わせる。
この構造により、パルサ8を保持する保持部材50がカム軸5に対して径方向に移動するので、圧入の際にカム軸5に対するパルサ8の心合わせが自動的に行われ、パルサ8がカム軸5と同心の状態で組み付けられる。この結果、パルサ8を保持部材50に高精度で保持させる必要がなく、圧入作業の効率向上が可能になる。
【0079】
圧入前処理装置80が、保持部材50に保持されたパルサ8の圧入領域である内周面81aに異物を除去するための清掃用の加圧空気を吹き付ける噴射管81aと、パルサ8が圧入されるカム軸5の軸端部5cにおける圧入領域である外周面5c1にオイルを付着させるオイル供給管83aとを備える。
この構造により、吹き付けられた加圧空気により、パルサ8の内周面8a1での異物が除去されるので、異物がパルサ8の内周面8a1と軸端部5cの外周面5c1との間に介在することによるパルサ8の破損が防止され、またオイルにより圧入時の摩擦係数が減少する。この結果、パルサ8の破損を防止しながら圧入作業の効率向上が可能になる。
【0080】
以下、前述した実施形態の一部の構成を変更した実施形態について、変更した構成に関して説明する。
ピン7は、カム軸5における所定部分としての軸端部5bの外周面から径方向に突出していてもよい。また、カム軸5の位置決め用部分は、ピン7以外の凸部または部分であってもよい。
位置決め装置2が、仮受け部材11および本受け部25の少なくとも一方に昇降移動を行わせる移載用駆動部材18を備え、移載工程において、該移載用駆動部材18により仮受け部材11および本受け部25の少なくとも一方が駆動されて(例えば、本受け部25が仮受け部材11に対して上昇移動を行うように駆動されて)、仮受け部材11および本受け部25が相対的な昇降移動を行うことにより、仮受け部材11がカム軸5を本受け部25に直接移載してもよい。
パルサは、軸端部5b,5cが挿入される貫通孔を有する環状部材であってもよい。圧入物は、パルサ以外の部品であってもよい。
軸部材は、内燃機関のカム軸5以外の回転軸、例えばクランク軸であってもよく、回転軸以外の軸、または、軸線Lc,Lpを有すると共に軸方向を長手方向とする長尺の部材であってもよい。そして、軸部材の特定部分およびその外周面の形状は、軸部材が、案内部材により、収容空間S1の周方向範囲内での周方向位置を位置決め用部分が占める状態で軸部材が仮受け部材11に支持されるように案内されることを条件として、任意である。
周方向位置決め用駆動部材43は、収容空間S1の周方向間隔を変更すべく、可動周方向位置決め部材42を、周方向に移動させてもよい。
仮受け部12および本受け部25は、軸部材の形状に応じて、1または3以上の複数であってもよい。仮受け部12において、受け面12aが合成樹脂で形成され、他の部分は合成樹脂以外の形成材料で形成されていてもよい。
軸部材を備える機械は、内燃機関以外の機械であってもよい。
【符号の説明】
【0081】
1 圧入機
2 位置決め装置
3 圧入装置
5 カム軸
7 ピン
8 パルサ
11 仮受け部材
12 仮受け部
19 軸方向位置決め用駆動部材
25 本受け部
30 軸方向位置決め部材
35 クランプ装置
41 固定周方向位置決め部材
42 可動周方向位置決め部材
43 周方向位置決め用駆動部材
50 保持部材
60 支持部材
70 圧入用駆動部材
Wp 周方向幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置決め用部分を有する軸部材が載置される受け部と、
前記受け部に載置された状態の前記軸部材が軸方向で当接することにより前記軸部材の軸方向位置を設定する軸方向位置決め部材と、
前記位置決め用部分が周方向で当接することにより前記軸部材の周方向位置を設定する固定周方向位置決め部材と、
前記軸部材が前記受け部に載置された状態で前記位置決め用部分に周方向で当接可能な可動周方向位置決め部材と、
前記軸部材に軸方向移動を行わせる軸方向位置決め用駆動部材と、
前記可動周方向位置決め部材を移動させる周方向位置決め用駆動部材と、
を備え、
前記軸方向位置決め用駆動部材は、前記受け部に軸方向に移動可能に載置された状態の前記軸部材に軸方向移動を行わせて前記軸部材を前記軸方向位置決め部材に当接させ、
前記可動周方向位置決め部材は、前記周方向位置決め用駆動部材により駆動されて、前記位置決め用部分に当接すると共に、前記位置決め用部分を前記固定周方向位置決め部材との協働により周方向で挟持するまで、前記受け部に周方向に移動可能に載置された状態で前記軸方向位置決め部材に当接している前記軸部材に、前記位置決め用部分を通じて周方向移動を行わせることを特徴とする位置決め装置。
【請求項2】
請求項1記載の位置決め装置であって、
前記受け部は、本受け部であり、
前記軸部材を前記本受け部に移載するために前記軸部材が載置される仮受け部を有する仮受け部材と、前記仮受け部および前記本受け部に相対的な昇降移動を行わせる移載用駆動部材とを備え、
前記仮受け部は、前記移載用駆動部材が前記仮受け部および前記本受け部に相対的な昇降移動を行わせることにより、前記本受け部に前記軸部材を移載し、かつ、前記軸方向位置決め用駆動部材により駆動されて軸方向移動を行うことにより、前記軸部材を軸方向に移動させて前記軸方向位置決め部材に当接させることを特徴とする位置決め装置。
【請求項3】
請求項2記載の位置決め装置であって、
前記仮受け部は、前記軸部材が載置される受け面を有し、
前記受け面は、前記軸部材の形成材料よりも軟質の形成材料で形成されていることを特徴とする位置決め装置。
【請求項4】
請求項2または3記載の位置決め装置であって、
前記可動周方向位置決め部材は、周方向で、前記固定周方向位置決め部材との間に、前記位置決め用部分が配置される収容空間を形成し、
前記収容空間の周方向幅の最大値は、前記位置決め用部分が前記固定周方向位置決め部材と前記可動周方向位置決め部材とにより挟持されたときの前記周方向幅よりも大きく、
前記仮受け部材は、前記仮受け部と、前記軸部材を前記仮受け部まで案内する案内部とを有し、
前記軸部材は、外周面の形状が周方向で変化する特定部分を有し、
前記案内部は、前記特定部分の外周面に接触することにより、前記外周面の形状に応じて、前記周方向幅が最大値となるときの前記収容空間の周方向範囲内での周方向位置を前記位置決め用部分が占める状態で、前記軸部材が前記仮受け部に支持されるように、前記軸部材を案内することを特徴とする位置決め装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項記載の位置決め装置であって、
前記軸方向位置決め部材が前記固定周方向位置決め部材を兼ねることを特徴とする位置決め装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項記載の位置決め装置であって、
前記位置決め用部分が、前記固定周方向位置決め部材と前記可動周方向位置決め部材とにより挟持されている状態で、前記受け部または前記本受け部に載置された前記軸部材を前記受け部または前記本受け部に対して押圧するクランプ装置を備えることを特徴とする位置決め装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項記載の位置決め装置を備える圧入機であって、
前記軸部材に圧入される圧入物を保持する保持部材と、前記保持部材を前記軸部材の径方向に移動可能に支持する支持部材と、前記支持部材に軸方向移動を行わせる圧入用駆動部材とを備える圧入装置を備え、
前記圧入用駆動部材は、前記保持部材に保持された前記圧入物が前記軸部材に圧入されるように、前記支持部材に軸方向移動を行わせることを特徴とする圧入機。
【請求項8】
請求項7記載の圧入機であって、
前記保持部材に保持された前記圧入物の圧入領域に、異物を除去するための清掃用流体を吹き付ける噴射部材と、前記圧入物が圧入される前記軸部材の圧入領域にオイルを付着させるオイル供給部材とを備える圧入機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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