説明

軽水炉内の燃料集合体をサービスするためのシステムおよび方法

【課題】核燃料集合体内のデブリを制御し、燃料集合体をサンプリングするためのシステムを提供する。
【解決手段】核燃料集合体をサービスする方法には、燃料集合体14を取り出して搬送する間に燃料集合体14内にデブリ102を保持するように燃料集合体14を通る流れを制御するためのシステムおよび方法、燃料集合体14からデブリ102を放出するためのシステムおよび方法、燃料集合体14を隔離してその水質をサンプリングするためのシステムおよび方法が含まれている。典型的なシステムは、閉鎖装置54であって、マスト16を燃料集合体14にシールして、燃料集合体14の上部開口部を囲み、マスト16内の空間49と下部タイ・プレート34内の下部開口部との間に流れ制御チャネルを与えるように構成された閉鎖装置54を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術分野は一般的に、軽水炉であり、より具体的には、軽水炉の核燃料集合体内のデブリを制御し、燃料集合体をサンプリングするためのシステムおよび方法である。
【背景技術】
【0002】
軽水炉内で見られる問題の1つは、燃料集合体内にデブリがあると、燃料棒に損傷を与えるか穴を開ける可能性があることである。軽水炉の通常動作の間、炉心の燃料集合体を通って水が流れ、流れからデブリが濾過されて、下部タイ・プレート内に捕捉される。しかし、燃料集合体がその設計寿命の間じゅう燃料取扱システムによって炉心内を何度か移動するときに、デブリは燃料集合体内に入り込む可能性がある。下部タイ・プレート内に集まったデブリは、逆の冷媒流れおよび/または振動による移動の間に押し出されて、炉心内において移動中の集合体の下に位置する燃料集合体の最上端に落ちる可能性がある。
【0003】
軽水炉内で見られる別の問題は、損傷した燃料集合体を効率的に識別することが難しいことである。燃料損傷の発生がプラント水質によって明らかな場合、燃料集合体をサンプリングして、穴が開いた燃料棒からのガス漏れの有無を調べることを、たとえばイン・マスト・シッピングによって行なう。複数の燃料集合体の中で損傷した燃料棒を探すために、2つの良く知られた方法が一般的に用いられている。第1の方法では、燃料移動中に各燃料集合体のマスト・シッピングを用いる。この方法は、隣接する燃料集合体の、ガス漏れを起こしているかも知れない損傷燃料を検知することによって生じる偽陽性の影響を受けやすい。第2の方法では、炉心から別個のチャンバに燃料集合体を移動させることを必要とする装置を使う。この移動は時間のかかるプロセスであり、原子炉ユニットの全体的な可用性に影響する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書で説明する種々の実施形態によって、軽水炉内の燃料集合体をサービスするためのシステムおよび方法であって、燃料集合体内のデブリを制御するための典型的なシステムおよび方法と、燃料集合体をサンプリングするための典型的なシステムおよび方法と、を含むシステムおよび方法が提供される。本明細書で説明する典型的なシステムおよび方法によって、燃料集合体を取り出して搬送する間に燃料集合体内にデブリを保持し、燃料集合体からデブリを放出するように、流れが制御される。
【0005】
典型的な実施形態によれば、軽水炉内の燃料集合体をサービスするためのシステムは、空間を有するマストと閉鎖装置とを備える。燃料集合体は、下部タイ・プレート内の下部開口部と、燃料集合体の燃料棒を含む容積にアクセスがなされる上部開口部とを備えている。閉鎖装置は、燃料集合体にマストをシールして、燃料集合体の少なくとも1つの上部開口部を囲み、マスト空間と燃料集合体の下部開口部との間に流れ制御チャネルを与えるように構成されている。燃料集合体がチャネル化燃料である場合、閉鎖装置は、燃料集合体チャネルにシールして流れ制御チャネルを与える。燃料集合体が非チャネル化燃料である場合、閉鎖装置は、下部タイ・プレートにシールして流れ制御チャネルを与える。
【0006】
典型的な実施形態によれば、炉心からデブリを除去する方法には、燃料集合体にマストをシールして、燃料集合体の各上部開口部を囲み、マスト内空間と燃料集合体の下部タイ・プレート内の下部開口部との間に流れ制御チャネルを与えることと、下部タイ・プレート内にデブリを保持するように下部開口部を通る流れを制御することと、が含まれる。
【0007】
別の典型的な実施形態によれば、原子炉内の燃料集合体をサンプリングする方法には、燃料集合体にマストをシールして、燃料集合体の各上部開口部を囲み、マスト内空間と燃料集合体の下部タイ・プレート内の下部開口部との間に流れ制御チャネルを与えることと、流れ制御チャネルの内部および外部の両方において水質をサンプリングすることと、が含まれる。
【0008】
前述では、種々の実施形態の態様および特徴のいくつかについて大まかに概要を説明したが、これらは、可能性がある種々の応用例を単に例示しているに過ぎないと解釈しなくてはならない。開示した情報を異なる方法で適用することによって、または開示した実施形態の種々の態様を組み合わせることによって、他の有益な結果を得ることができる。他の態様およびより包括的な理解が、典型的な実施形態の詳細な説明とともに添付図面、加えて請求項によって規定される範囲を参照することによって、得られる場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】典型的な実施形態による炉心からの燃料集合体の取り出しとマストを用いたデブリ収集ステーションへの燃料集合体の搬送とを例示する軽水炉の部分正面図である。
【図2】図1の燃料集合体の部分斜視図である。
【図3】図2の燃料集合体の下部タイ・プレートおよびデブリ・フィルタの斜視図である。
【図4】下部タイ・プレート内の捕捉されたデブリを示す図3の下部タイ・プレートの断面図である。
【図5】図1のマストの閉鎖装置の部分斜視図である。
【図6】図5の閉鎖装置の部分正面図である。
【図7】燃料集合体内のデブリを制御しながら、流れ制御チャネルの内部および外部の両方において燃料集合体をサンプリングする典型的な方法のフロー図である。
【図8】典型的な実施形態による代替的な閉鎖装置を有するマストの部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
必要に応じて、詳細な実施形態を本明細書で開示する。開示した実施形態は、種々のおよび代替的な形態の単に典型的であることを理解されたい。本明細書で用いる場合、用語「典型的」は、説明図、試料、モデル、またはパターンとして機能する実施形態を指すために拡張的に用いられる。図は必ずしも一定の比率ではなく、またいくつかの特徴は、特定の構成部品の詳細を示すために誇張されているかまたは最小化されている場合がある。他の場合では、当業者に知られている良く知られた構成部品、システム、材料、または方法について詳細に説明して、本開示が不明瞭になることを回避している。したがって、本明細書で開示した具体的、構造的、および機能的な詳細は、限定的であると解釈してはならず、単に請求項に対する基礎として、また当業者に教示するための代表的な基礎として解釈すべきである。軽水炉
図1に、軽水炉10とチャネル化燃料集合体用に構成された燃料サービス機器との関連する部分を例示する。軽水炉10は、燃料集合体14の炉心12を備える。燃料サービス機器は、炉心12から燃料集合体14を取り出して、炉心12から離して燃料集合体14を搬送するように構成されたマスト16と、炉心12から取り出された燃料集合体14用のデブリ除去ステーション18と、を備える。通常動作下では、燃料集合体14は炉心12内に最上部ガイド20および炉心プレート22によって配置されている。炉心12内の水は、ポンピングによって炉心プレート22の下方に入れられ、上向流方向F1に燃料集合体14を通って流れる。説明および図面において、矢印F1、F2、F3は、流れおよび流れ方向の両方を表わすために用いられる。燃料集合体
図1〜6、特に図2を参照して、各燃料集合体14は、中空金属チャネル30(切り欠きで示す)、スペーサ格子32、下部タイ・プレート34、および上部タイ・プレート36を備える。燃料棒38が、中空金属チャネル30内に、スペーサ格子32およびタイ・プレート34、36によって配置されている。燃料棒38の端部は、タイ・プレート34、36によって支持され、燃料棒38は、その長さに沿って、スペーサ格子32によって支持されている。また燃料集合体14は、タブなしの水ロッド、タブ付きの水ロッド、上部端栓、ネジ付きタイ・ロッド、水ロッド端栓、ネジなしポスト、部分長燃料棒、および図示されているが単純にするために標示されていない他の要素を備えている。
【0011】
通常動作の構成では、中空金属チャネル30は実質的に垂直方向であり、上部タイ・プレート36は中空金属チャネル30の最上部開口部に配置され、下部タイ・プレート34は中空金属チャネル30の最下部開口部に配置され、スペーサ格子32は中空金属チャネル30の内側長さに沿って配置されている。スペーサ格子32およびタイ・プレート34、36は、中空金属チャネル30を通って流れが生じることができるように構成されている。通常動作の間、水が、流れ方向F1に、下部タイ・プレート34を通って、燃料棒38上を、そして上部タイ・プレート36を通って流れて、外に出ている。
【0012】
教示を目的として、用語「下部開口部」は、本明細書において、下部タイ・プレートを通る流れを表わすために使用し、用語「上部開口部」は、本明細書において、燃料集合体の他の部品(たとえば、チャネル化燃料の場合の上部タイ・プレート、および非チャネル化燃料の場合の燃料集合体のボディ)を通る流れを表わすために使用する。
【0013】
上部タイ・プレート36は、以下で詳細に説明するように、マスト16に嵌合されるように構成された取っ手40を備えている。図1〜4、特に図4を参照して、下部タイ・プレート34は、チャンバ44への開口部42、デブリ・フィルタ46、および下部タイ・プレート格子48を備えている。通常動作の間、水が、方向F1に、開口部42を通って、チャンバ44内に入り、デブリ・フィルタ46を通って、下部タイ・プレート格子48を通って流れることが、中空金属チャネル30に入る前に行なわれる。デブリ・フィルタ46は、水流F1からデブリ102を分離して、デブリ102をチャンバ44内およびデブリ・フィルタ46内に捕捉することを、デブリ102が中空金属チャネル30および損傷燃料棒38に入ることができる前に行なう。マスト
図1、5、および6を参照して、マスト16は、プラットフォーム(図示せず)から下方に延びており、保守(たとえば、洗浄、修復、試験、燃料補給、シャフリングなど)を行なうために炉心12から燃料集合体14を取り出すように構成されている。マスト16は、空間49、グラップリング装置50、流れ制御システム52、およびサンプリング・システム53を備えている。グラップリング装置50は、各燃料集合体14の取っ手40と嵌合するように構成され、モータ59によってヒンジ58の周りに回転するフック57を備えている。流れ制御システム52は、燃料集合体14のうちの1つを通る流れを隔離して制御するように構成され、閉鎖装置54および逆転ポンプ56を備えている。
【0014】
閉鎖装置54は、燃料集合体14の上部開口部を囲んで燃料集合体14のチャネル30の中空部分とマスト16の空間49とを接続するように構成されている。接続されると、マスト16と燃料集合体14とは、空間49と開口部42との間の実質的に連続的な中空構造または流れ制御チャネルを与える。閉鎖装置54によってマスト16に接続された燃料集合体14内に存在し集合体14を通って流れる水は、隣接する燃料集合体14から隔離される。閉鎖装置54は、ピストン62によって動かされる延長フード60とシーリング・システム63とを備える。延長フード60は、内部セグメント61b上を入れ子方式でスライドする外部セグメント61aを備えている。スライド行為は、ピストン62の伸縮によって制御される。内部セグメント61bは、マスト16の主部分にシールされている(図示せず)。取っ手40がグラップリング装置50に嵌合されると、延長フード60は、燃料集合体14の最上部開口部上に延びて中空金属チャネル30にシールするように構成される。
【0015】
閉鎖装置54のシーリング・システム63は、上部および下部シール64、66を備えている。図6を参照して、上部シール64は、内部セグメント61bを外部セグメント61aにシールするように構成され、下部シール66は、外部セグメント61aを中空金属チャネル30にシールするように構成されている。延長フード60を広範囲の軽水炉燃料設計に適用することができるように、シール64、66は複数の輪郭に適合するように構成されている。例示した下部シール66は膨張させることができる。下部シール66の伸縮はシール・ポンプ68によって行なわれる。下部シール66は、収縮して延長フード60がチャネル30上を容易にスライドできるようにし、膨張して延長フード60をチャネル30にシールする。他の適合できるシールは、受動的に伸縮するかまたは機械的に伸縮する。
【0016】
逆転ポンプ56は、マスト16内で閉鎖装置54の上方に配置され、水をマスト16を通して流れ方向F2、F3のいずれかに移動させるように構成されている。燃料集合体14が炉心12内にあるときは、流れF1、F2は組み合わせて表示されるが、軽水炉10の通常動作によって生じる流れF1と流れ制御システム52が発生させる流れF2とを区別するように両者は識別されることに注意されたい。
【0017】
マスト16は、燃料集合体14の内部で生じた任意のデブリを保持するように構成されたデブリ隔離システムを備えている。隔離システム108は、逆転ポンプ56の外端に取り付けられたパイプ110、112の組を備える。各パイプ110、112を通る流れは、対応する制御バルブ120、122を用いて制御される。例示したパイプ110、112の組は制御バルブ120、122によって制御されて、逆転ポンプ56の外端から出る流れはパイプ110を通り、逆転ポンプ56の外端に入る流れはパイプ112を通るようになっている。パイプ110は、逆転ポンプ56の外端から出る流れからデブリを濾過するように構成されたフィルタ130を備えている。逆転ポンプ56から出る流れに対しては、バルブ120が開いてバルブ122が閉じる。逆転ポンプ56に入る流れに対しては、バルブ120が閉じてバルブ122が開く。
【0018】
サンプリング・システム53は、マスト16内に配置されて、流れF2の化学的組成をサンプリングするように構成されている。一般的に、サンプリング・システム53による流れF2のサンプリングは、閉鎖装置54がマスト16を燃料集合体14に接続したらすぐに行なわれて、燃料集合体14を通る流れF2が、隣接する燃料集合体14の流れから隔離されるようになっている。デブリ除去ステーション
例示したデブリ除去ステーション18は、炉心12からずれていて、燃料集合体14を格納するためのラック70と、下部タイ・プレート34からフラッシュされたデブリを受け取るように構成されたデブリ容器72とを備えている。デブリ容器72は以下のものを備えている。デブリ・フィルタ74および/または取り外し可能なバスケット・ストレーナ(図示せず)、下部タイ・プレート34からデブリ102を解放するための超音波振動プレート76、デブリ容器72を通る流れを促進するためのデブリ容器ポンプ78、ならびに溶解ガスを伴うガスおよび/または液体を下部タイ・プレート34内に噴射してデブリ102を解放するように構成された噴射口82である。また同様のシステムを、マスト16内の燃料集合体14の上部タイ・プレート36付近に備えていても良い。この場合は、デブリは、逆転ポンプ56を用いて、また噴射口82を用いて、解放される。噴射口82は、溶解ガスを伴うガスおよび/または液体を燃料集合体14内に噴射してデブリ102を解放するように構成されている。デブリ容器72は、デブリ102がデブリ容器72の最上部開口部を通って漏れることがないように、下部タイ・プレート34にシールするかまたはこれを受け取るように構成されている。制御システム
図1および6を参照して、制御システム100は、マスト16およびデブリ除去ステーション18内の種々の要素を制御するように構成されている。たとえば、グラップリング装置50のモータ、閉鎖装置54のピストン62の伸張、逆転ポンプ56の動作および方向、サンプリング・システム53の動作、下部シール66を伸縮させるシール・ポンプ68、振動プレート76を駆動するモータ80の動作、およびデブリ容器ポンプ78である。制御システム100は、本明細書で説明した方法を行なうために、要素を手動制御するための制御装置と要素を自動制御するためのコンピュータ実行可能命令との間のヒューマン・マシン・インターフェースを備える。
【0019】
制御システム100のコンピュータ構成部品には、プロセッサ、メモリ、およびプログラム・モジュール(本明細書で説明した方法を行なうためのコンピュータ実行可能命令を含む)が含まれる。本明細書で説明した方法は、時々、コンピュータ実行可能命令の一般的な文脈において説明する場合があるが、本開示の方法は、他のプログラム・モジュールと組み合わせておよび/またはハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせとして、実施することもできる。用語アプリケーション、またはその変形は、本明細書において、ルーチン、プログラム・モジュール、プログラム、コンポーネント、データ構造、アルゴリズムなどを含むように拡張的に用いられる。アプリケーションは、種々のシステム構成上で実施することができる。たとえば、サーバ、ネットワーク・システム、シングル・プロセッサまたはマルチプロセッサ・システム、ミニコンピュータ、メインフレーム・コンピュータ、パーソナル・コンピュータ、ハンド・ヘルド・コンピューティング・デバイス、モバイル・デバイス、マイクロプロセッサ・ベース、プログラマブル民生用エレクトロニクス、それらの組み合わせなどである。
【0020】
コンピュータ読取可能媒体としては、たとえば、揮発性媒体、不揮発性媒体、取り外し可能な媒体、および取り外し不可能な媒体が挙げられる。用語コンピュータ読取可能な媒体およびその変形は、明細書および請求項において用いる場合、記憶媒体を指す。いくつかの実施形態においては、記憶媒体としては、以下のものが挙げられる。揮発性および/または不揮発性、取り外し可能および/または取り外し不可能な媒体、たとえば、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、ソリッド・ステート・メモリまたは他のメモリ技術、CDROM、DVD、ブルー・レイ、または他の光ディスク記憶装置、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置もしくは他の磁気記憶装置である。
【0021】
通常動作の間、水が流れ方向F1に炉心12の下方から燃料集合体14を通って上方に流れる。水流F1中のデブリ102は、下部タイ・プレート34においてデブリ・フィルタ46によって捕捉され、下部タイ・プレート34のチャンバ44内に水流F1によって保持される。図7を参照して、次に、燃料集合体14うちの1つを隔離すること、炉心12から燃料集合体14を取り出すこと、燃料集合体14を炉心12から離して格納することの典型的な方法200について説明する。本方法は付加的または代替的なステップを含むことができ、ステップは省くことができ、またステップを代替的な順番で行なうことができる。
【0022】
嵌合ステップ202によれば、制御システム100は、マスト16を配置するとともに、モータ59を駆動して、グラップリング装置50が燃料集合体14のうちの1つの取っ手40と嵌合するようにする。隔離ステップ204によれば、制御システム100は、ピストン62を駆動して延長フード60を延ばすとともに、シール・ポンプ68を駆動して下部シール66を膨張させることを、下部シール66によって延長フード60が中空金属チャネル30にシールされるまで行なう。ここで、外部セグメント61aとチャネル30とが、空間49と開口部42との間の流れ制御チャネルとなっている。延長フード60によって、嵌合された燃料集合体14の最上部開口部から出た流れF1を他の燃料集合体14から隔離するとすぐに、フロー制御ステップ206により、制御システム100が逆転ポンプ56を駆動して、燃料集合体14を通る一定の水流F2が発生される。この時点で、水流F1、F2が両方とも発生する。サンプリング・ステップ208によれば、制御システム100がサンプリング・システム53を動作させたときに、隔離された流れを化学的にサンプリングする。
【0023】
取り出しおよび搬送ステップ210によれば、制御システム100はマスト16を制御して、炉心12から燃料集合体14を取り出し、燃料集合体14を炉心12上方のスペースを通してデブリ除去ステーション18まで移動させる。代替的な実施形態においては、燃料集合体14は、炉心12から離れた別の箇所へ格納用に移動させることができる。逆転ポンプ56は、燃料集合体14が炉心12の上方に移動するかまたは位置したときに、燃料集合体14を通る水流F2を上向き方向に保持する。こうして、通常動作中に下部タイ・プレート34およびチャンバ44内に捕捉されたデブリ102は、燃料集合体14を取り出して搬送する間に下部タイ・プレート34およびチャンバ44内に留まる。流れF2は、デブリ102を、デブリ・フィルタ46内に接触するように吸い込み、逆流を防いでデブリ102が炉心12の上方に放出されないようにしている。炉心12では、デブリ102が他の燃料集合体14の最上端に落ちて燃料棒38に損傷を与える可能性がある。
【0024】
デブリ除去ステップ212によれば、マスト16は制御システム100によって制御されて燃料集合体14をデブリ容器72上方のラック70内に配置する。さらに、制御システム100は逆転ポンプ56の方向を逆にして、水流F3を燃料集合体を通して下向き方向に発生させる。制御システム100は、逆転ポンプ56の流れ方向F2、F3を交互に行なって、燃料集合体14からデブリ102を追い出すパルシング、二相効果を形成する。水流F3は、デブリ102を、下部タイ・プレート34のデブリ・フィルタ46およびチャンバ44から外へフラッシュして、デブリ容器72内に入れる。デブリ容器72では、デブリ102が、デブリ・フィルタ74および/または取り外し可能なバスケット・ストレーナ(図示せず)によって収集される。デブリ除去ステップ212にはさらに、制御システム100が振動プレート76の可変速度モータ80とデブリ容器ポンプ78とを駆動して、燃料集合体14からデブリ102を放出し、流れF3の速度を増加させることが含まれている。デブリ除去ステップ212にはさらに、制御システム100が噴射口82を動作させて下部タイ・プレート34内のデブリを解放することが含まれている。デブリ102が燃料集合体14から除去されてデブリ容器72内に取り込まれるとすぐに、燃料集合体14は炉心12に戻されるか、または燃料集合体14はデブリ除去ステーション18に留まって格納に備えることができる。
【0025】
図8を参照して、非チャネル化燃料タイプ用に構成された燃料サービス機器について説明する。簡単にするために、要素が実質的に同じ場合には、前述の説明で用いたのと同じ要素数字を以下の説明で用いる。以下の説明では、前述したものと実質的に異なる要素に焦点を当てる。
【0026】
この実施形態においては、燃料集合体14´は、中空金属チャネル30を備えていないこと以外は、前述した燃料集合体14と同様である。代替的なグリッパ50は、燃料集合体14の上部タイ・プレート36の縁部に嵌合するように構成されている。こうして、通常動作中に、燃料集合体14´間の横断流が可能であるが、流れF1は実質的に同じである。
【0027】
燃料サービス機器は、閉鎖装置54´を伴うマスト16を備えている。閉鎖装置54´は、非チャネル化燃料集合体14´の長さに沿って延びて下部タイ・プレート34(最下部ノズルとも言われる)にシールするように、構成されている。上部タイ・プレート36は、最上部ノズルと言うこともできる。非チャネル化燃料集合体14´は、閉鎖装置54´が延びて燃料集合体14´の上部開口部を囲む前に、炉心12から取り出すことができる。
【0028】
閉鎖装置54´は、延長フード60´を備えている。延長フード60´は、柔軟なスリーブ61c´によって互いに接続された剛体部分61a´、61b´を含んでいる。剛体部分61a´は、剛体部分61b´に強固に接続され、一連のピストン62によって位置付けられる。剛体部分61a´は下部シール66を備え、下部タイ・プレート34にシールして、延長フード60´が開口部42とマスト空間49との間の流れ制御チャネルを与えるようになっている。柔軟なスリーブ61c´をベローズまたはアコーディオン・タイプ構造として例示しているが、他の入れ子で柔軟な構造も考えられる。ピストン62の代わりにまたはそれに加えて、ウォーム・ギア、シリンダ、および空気圧モータを用いて、剛体部分61a´を位置付けることができる。
【0029】
この書面の説明では、実施例を用いて、ベスト・モードを含む本発明を開示し、またどんな当業者も本発明を実行することができるように、たとえば、任意のデバイスまたはシステムを作って使用し、取り入れた任意の方法を行なうことができるようにしている。本発明の特許可能な範囲は、請求項によって規定され、当業者に想起される他の実施例を含んでいても良い。このような他の実施例は、請求項の文字通りの言葉使いと違わない構造要素を有するか、または請求項の文字通りの言葉使いとの差が非実質的である均等な構造要素を含む場合には、請求項の範囲内であることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽水炉(10)内の燃料集合体(14)をサービスするためのシステムであって、前記燃料集合体(14)は、下部タイ・プレート(34)内の下部開口部(42)と、前記燃料集合体(14)の燃料棒(38)を含む容積にアクセスがなされる少なくとも1つの上部開口部とを備え、前記システムは、
空間(49)を含むマスト(16)と、
前記マスト(16)を前記燃料集合体(14)にシールして、前記燃料集合体(14)の前記少なくとも1つの上部開口部(42)を囲み、前記マスト空間(49)と前記燃料集合体(14)の前記下部開口部(42)との間に流れ制御チャネル(30)を与えるように構成された閉鎖装置(54)と、を備える。
【請求項2】
前記燃料集合体(14)はチャネル化燃料集合体(14)であり、前記閉鎖装置(54)は、燃料集合体(14)のチャネル(30)にシールして前記流れ制御チャネルを与える請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記燃料集合体(14)は非チャネル化燃料であり、前記閉鎖装置(54)は、前記下部タイ・プレート(34)にシールして前記流れ制御チャネルを与える請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記マスト(16)は、前記下部開口部(42)を通る流れを発生させるように構成されたポンプ(56)をさらに備える請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記ポンプ(56)は、前記下部開口部(42)を通る反対方向のいずれかに流れを発生させるように構成される請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記ポンプ(56)は、前記燃料集合体(14)の前記下部タイ・プレート(34)内のデブリ(102)が前記燃料集合体(14)の搬送中に前記下部タイ・プレート(34)内に保持されるように、前記下部開口部(42)を通る流れを発生させるように構成される請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記ポンプ(56)は、前記燃料集合体(14)の前記下部タイ・プレート(34)内からデブリ(102)を取り除くように前記下部開口部(42)を通る流れを発生させるように構成される請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記流れ制御チャネル内部の水質をサンプリングするように構成された水質サンプリング・システム(53)をさらに備える請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記閉鎖装置(54)は、前記燃料集合体(14)を通る流れを周囲の燃料集合体(14)から隔離するように構成される請求項1に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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