説明

軽量アンバーガラス壜に充填する麦芽発酵飲料の設計方法及びその麦芽発酵飲料製品

【課題】本発明の目的は、軽量茶色壜を使用しても、麦芽発酵飲料の日光臭の発生を抑制して品質を安定させることである。
【解決手段】本発明に係る軽量アンバーガラス壜に充填する麦芽発酵飲料の設計方法は、平均肉厚が1.5〜2.5mmの軽量アンバーガラス壜に充填する麦芽発酵飲料を、数1を満たすEBC法に従って測定した色度Fとする。但し、TsはCIE表示(厚み4mm換算)による明度(Y)が19.5%、主波長(λd)が583.0nm、刺激純度(Pe)が96.0%を満たすアンバーガラスで作られた肉厚1.8mmの基準ガラス板の380〜480nmの波長範囲における透過光量であり、Tは軽量アンバーガラス壜の380〜480nmの波長範囲における透過光量である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばビール用ワンウェイガラス壜に代表される薄肉の軽量茶色壜(軽量アンバー壜)に密封された高い品質安定性を有する麦芽発酵飲料を提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
食品や飲料は、ある種の光線によってその品質が低下することが知られている。例えば、ビール等の麦芽発酵飲料は、日光にさらされると、400〜500nmの波長の光がイソフムロン等の苦味成分を分解して3‐メチル‐2‐ブテン‐1‐チオール(以下、「3MBT」と略称する。)という劣化物質が生成し、異臭を放ち、香味が著しく悪くなることが知られている。
【0003】
そこで、品質に悪影響を及ぼす波長の光線を遮断するため、容器として茶色ガラス壜を使用して3MBT等からなる劣化臭(「日光臭」とも呼ばれている)の発生を抑制している。さらに、遮光性をより高めるために、遮光性を有する容器用のコーティング剤を使用する技術(例えば、特許文献1〜3を参照。)、容器用シュリンクラベルを使用する技術(例えば、特許文献4を参照。)、ビール壜の表面を被覆する被覆膜の技術(例えば、特許文献5を参照。)及び日除けカバーの技術(例えば、特許文献6を参照。)が知られている。
【0004】
【特許文献1】特開2004‐307825号公報
【特許文献2】特開2004‐307826号公報
【特許文献3】特開2004‐307827号公報
【特許文献4】特開2001‐2122号公報
【特許文献5】特開2005‐220232号公報
【特許文献6】特開平8‐26329号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、壜の表面を何らかで覆う特許文献1〜5の技術は、400〜500nmの波長の光透過率が5%以下と極めて低く、かつ高強度であるリユース用リターナブル壜(ガラス肉厚が約4mm)に適用する際には有益であったが、さらに薄肉の軽量なワンウェイ壜に用いる際には、400〜500nmの波長における光透過率が高くなってしまうため、日光臭の発生を充分に抑制できないという問題があった。
【0006】
また、特許文献6の日除けカバーの技術は、壜がケースから出された場合や数段重ねにされた最上段では効果が薄い、また、ケースに装着する設備が必要で費用がかかる、使用後は廃棄ゴミとなるという問題がある。
【0007】
さらに、消費者の嗜好の多様化及びコンビニエンスストアの利用拡大などの影響により、麦芽発酵飲料の多様化が進み、利便性を向上させることを目的として、従来より使用されているリターナブル壜よりも肉厚が薄く、軽量なワンウェイ壜の比率が徐々に上がってきている。
【0008】
しかし、軽量化に伴うガラスの薄肉化によって、上記のとおり、壜の光透過率が上昇してしまうため、品質が早期に劣化し、日光臭が発生してしまうといった問題があった。したがって、これらの利便性と品質とを両立することが求められる。
【0009】
本発明の目的は、ビール用ワンウェイガラス壜に代表される軽量茶色壜を使用するに際して、麦芽発酵飲料の日光臭の発生を抑制して品質を安定させるために、麦芽発酵飲料の色度をどの程度にすれば良いかという麦芽発酵飲料の設計方法を提供することである。また、その設計方法に従って得られた、日光臭の発生が抑制されている麦芽発酵飲料の製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、壜の薄肉化に伴って光透過率が上昇するが、その代わりに麦芽発酵飲料自体の色度を増すことによって高い遮光性を有する壜による作用と同様の効果が発現し、壜の遮光性が多少不足しても、その壜の遮光性と麦芽発酵飲料の着色による遮光性の両方によって低い光透過率を維持でき、この結果、日光臭の発生が抑制されて品質が安定することを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明に係る軽量アンバーガラス壜に充填する麦芽発酵飲料の設計方法は、CIE表示(厚み4mm換算)による明度(Y)が17〜37%、主波長(λd)が580〜588nm、刺激純度(Pe)が90%以上を満たすアンバーガラスで作られ、かつ、平均肉厚が1.5〜2.5mmの軽量アンバーガラス壜に充填するための麦芽発酵飲料を設計する方法であって、CIE表示(厚み4mm換算)による明度(Y)が19.5%、主波長(λd)が583.0nm、刺激純度(Pe)が96.0%を満たすアンバーガラスで作られた肉厚1.8mmの基準ガラス板の380〜480nmの波長範囲における透過光量をTsとし、前記軽量アンバーガラス壜の380〜480nmの波長範囲における透過光量をTとしたとき、前記麦芽発酵飲料のEBC (European Brewery Convention)法に従って測定した色度Fが数1を満たす関係を有することを特徴とする。
(数1)F≧13.2×(T/Ts)+2.8
【0011】
本発明に係る軽量アンバーガラス壜に充填する麦芽発酵飲料の設計方法では、前記軽量アンバーガラス壜は、胴径が60〜65mm、容量が300〜350ml、質量が150〜200gの軽量小壜である場合が含まれる。
【0012】
本発明に係る軽量アンバーガラス壜に麦芽発酵飲料が充填された製品は、CIE表示(厚み4mm換算)による明度(Y)が17〜37%、主波長(λd)が580〜588nm、刺激純度(Pe)が90%以上を満たすアンバーガラスで作られ、かつ、平均肉厚が1.5〜2.5mmの軽量アンバーガラス壜に麦芽発酵飲料が充填された製品において、CIE表示(厚み4mm換算)による明度(Y)が19.5%、主波長(λd)が583.0nm、刺激純度(Pe)が96.0%を満たすアンバーガラスで作られた肉厚1.8mmの基準ガラス板の380〜480nmの波長範囲における透過光量をTsとし、前記軽量アンバーガラス壜の380〜480nmの波長範囲における透過光量をTとしたとき、前記麦芽発酵飲料は、EBC法に従って測定した色度Fが数1を満たすことを特徴とする。
(数1)F≧13.2×(T/Ts)+2.8
【発明の効果】
【0013】
本発明は、ビール用ワンウェイガラス壜に代表される軽量茶色壜を使用しても、麦芽発酵飲料のEBC法に従って測定した色度Fを、数1を満たすように設計することで、麦芽発酵飲料の日光臭の発生を抑制して品質を安定させることができる。また、その設計方法に従って得られた麦芽発酵飲料の製品は、日光臭の発生が抑制されている。このとき、シュリンクフィルムを使用する必要もなく、壜の濃色化をすることもなく、遮光性コーティング等をすることもないので、高額な設備コストをかける必要がなく、包装容器のコスト増しも生じない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明について詳細に説明するが、以下に説明する実施の形態は本発明の構成の例であり、本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではない。本発明の効果を奏する限り、種々の形態変更をしてもよい。
【0015】
表1に、質量及び入味容量が異なるアンバーガラスでできたビール壜の種類と、その平均肉厚をまとめた。これらの壜は、図1に示す光透過曲線を有する。なお、表1のいずれの壜についても使用されているガラスは、CIE表示(厚み4mm換算)による明度(Y)が19.5%、主波長(λd)が583.0nm、刺激純度(Pe)が96.0%であった。なお、図1には、同組成のアンバーガラスを厚さ1.5mm、2.0mm、2.5mmにそれぞれ調整したサンプルの光透過曲線を併せて掲載した。
【表1】

【0016】
図1に示すように、アンバーガラスでできたビール壜は薄肉化によって光の透過率が上昇する。特に肉厚1.5〜2.5mmの薄肉アンバーガラス壜を用いると、図1を参照すればわかるように、400〜500nmの光が、No.1、2、3のアンバーガラス壜と比較して多く透過するため、日光臭が付きやすくなる。そこで、肉厚1.5〜2.5mmの薄肉アンバーガラス壜を用いても日光臭の発生を抑制するために、麦芽発酵飲料自体の色度を増すこととした。麦芽発酵飲料自体の色度が高ければ、壜内壁付近にある麦芽発酵飲料自体が外から入射する光を吸収するため、それよりもさらに内部にある麦芽発酵飲料が保護され、日光臭が付きにくくなる。すなわち、壜の遮光性と麦芽発酵飲料の着色による遮光性の両方によって低い光透過率を維持する。この結果、日光臭の発生が抑制されて麦芽発酵飲料の品質が安定する。麦芽発酵飲料は液体であり、壜内部で流動するが、流動することを考慮しても麦芽発酵飲料自体の色度を高めることで、日光臭の発生が抑制される。
【0017】
本発明が対象とする壜は、CIE(国際照明委員会)表示(厚み4mm換算)による明度(Y)が17〜37%、主波長(λd)が580〜588nm、刺激純度(Pe)が90%以上を満たす、色調に関する日本ガラスびん協会規格がいうアンバーガラスで作られた壜である。そして、平均肉厚が1.5〜2.5mmの軽量アンバーガラス壜を対象としている。ここで、本発明では、軽量アンバーガラス壜として、例えば、胴径が60〜65mm、容量が300〜350ml、質量が150〜200gの軽量小壜を使用する。平均肉厚が1.5mm未満では、ワンウェイであっても壜強度が不足する。平均肉厚が2.5mmを超えると、壜自体に遮光性が備わってくるため、麦芽発酵飲料自体の色度を設計する意義が薄れる。
【0018】
なお、測定値のYの値を三属性による色の表示方法の明度に対応する値として用いる。物体色の測定方法は、JIS Z‐8722,1966年に規定されているが、例えば分光光度計で透過率を測定し、三刺激値X,Y,Zを求める。このとき、30分割選定座標によって、三刺激値X,Y,Zを測定することが好ましい。標準光としては、標準光C又はD65を用いることが好ましい。
【0019】
軽量アンバーガラス壜の平均肉厚は、壜質量(g)/ガラス密度(g/cm)/壜外側側面の面積(cm)の式に従って求めた。
【0020】
次に、日光臭を特に付きやすくさせる380〜480nmの波長範囲の光を評価の対象とし、本発明で使用する軽量アンバーガラス壜を透過する380〜480nmの波長範囲の透過光量を求める。具体的には、本発明では基準ガラスとの相対的透過光量を指標とする。まず、CIE表示(厚み4mm換算)による明度(Y)が19.5%、主波長(λd)が583.0nm、刺激純度(Pe)が96.0%を満たすアンバーガラスで作られた肉厚1.8mmのガラス板を基準ガラスとする。次に本発明で使用する軽量アンバーガラス壜の380〜480nmの波長範囲における透過光量Tを、この基準ガラスが透過する380〜480nmの波長範囲における透過光量Tsで規格化、すなわち、T/Tsを求める。透過光量T,Tsは、それぞれ、分光光度計で測定した380〜480nmの波長範囲の光透過率のプロファイルと、X軸とで囲まれた面積で代用されると考える。つまり、T/Tsは、(本発明で使用する軽量アンバーガラス壜の380〜480nmの波長範囲の上記面積/基準ガラスの380〜480nmの波長範囲の上記面積透過光量)を計算することによって求まる。例えば、表1のNo.1のT/Tsは0.09、No.2のT/Tsは0.04、No.3のT/Tsは0.06、No.4のT/Tsは1.00、No.5のT/Tsは0.29となる。壜の透過測定用のサンプルは、胴部を測定器に入る大きさにカットした小片を測定するが、壜底部を切り出し、平均肉厚となるように研磨して厚さを整えてから測定することが好ましい。
【0021】
本発明では麦芽発酵飲料の色度として、EBC (European Brewery Convention)法に従って測定した色度(以下、単位をEBCと表記する)を指標とする。麦芽発酵飲料は、コハク色を呈しているが、自然食品のため化学合成品による添加物は加えられていない。麦芽発酵飲料に濃色を着色するためには、カラメルを用いるか、麦芽を焙燥した「カラメル麦芽」を使用しても良い。或いは、麦芽の製造工程の中で、最終段階の乾燥温度を高くして麦芽の色を濃くして、麦芽発酵飲料の色の濃さを増しても良い。また、それ自体が濃い色を有しているミュンヘン麦芽を使用しても良い。その他、公知公用の濃色化技術によって麦芽発酵飲料の色度を増してもよい。濃色麦芽の比率は、目的とする飲料の味、濃色麦芽自体の色、原料配合によって適宜変更し、例えば、原麦汁濃度13°Pのオールモルトビールに200EBC程度のカラメル麦芽を使用する場合には、原料の10質量%程度使用する。
【0022】
本発明に係る軽量アンバーガラス壜に充填する麦芽発酵飲料の設計方法は、麦芽発酵飲料のEBC法に従って測定した色度F(以下、「色度F」ともいう)を、数1を満たす関係とすることで、平均肉厚が1.5〜2.5mmの軽量アンバーガラス壜を使用しても、麦芽発酵飲料の日光臭の発生を抑制して品質を安定させることができる。
(数1)F≧13.2×(T/Ts)+2.8
【実施例】
【0023】
(サンプルの調製)
EBCが異なる麦芽発酵飲料を数種類準備し、表1のビール壜に充填し、サンプルとした。なお、充填した麦芽発酵飲料は、EBCが異なっていても、苦味は20〜25BU(ビターユニット)の範囲とした。次に、光安定性試験機(EYELA LST‐300型)を用いて、スーパーマーケットの照明強度に相当する2000ルクスに設定し、上記サンプルに光を照射した。このとき、麦芽発酵飲料に酸化臭をつけさせないために温度は5〜10℃に設定した。また、サンプルによって光の照射状況が異ならないように、サンプルは自動回転テーブルの上に載せた。
【0024】
(3MBTの測定)
GC‐MS(Agilent Technologies GC6890A(G1530A)MS 5975 inertXL)を用いて測定した。閾値は個体差が大きいが4〜35pptといわれている。
【0025】
(官能評価)
パネル10名で、次の基準に従って評価した。
0:感じない
1:うっすら感じる
2:感じる
3:強く感じる
平均点を求め、平均点が1以上で品質劣化(日光臭が付いた)と判断した。なお、この平均点を以下「日光臭強度」とも呼ぶ。
【0026】
表1のビール用リターナブルスリム小壜を用いたときの結果を図2に示した。図2は、ビール用リターナブルスリム小壜を用いたときの保存日数と、3MBT・日光臭強度との関係を示すグラフである。麦芽発酵飲料の色度Fが8EBCのビールの場合、スーパーマーケットの一般的な蛍光灯下(2000ルクス)で日光臭による品質劣化(日光臭強度1以上)が約7日保存で確認された。24EBCビールの場合は、約1ヶ月保存後であった。
【0027】
表1のビール用ワンウェイ軽量小壜を用いたときの結果を図3に示した。図3は、ビール用ワンウェイ軽量小壜を用いたときの保存日数と、3MBT・日光臭強度との関係を示すグラフである。麦芽発酵飲料の色度Fが8EBCのビールの場合、スーパーマーケットの一般的な蛍光灯下(2000ルクス)で日光臭による品質劣化(日光臭強度1以上)が約1日保存で確認された。13EBCビールの場合は、約2日保存であった。17EBCビールの場合は、約6日保存であった。
【0028】
スーパーマーケットのショーケースの前面が蛍光灯の光を最も強く受けるが、通常の流通状況では数日で購入される場合が殆どであるため、約4日の光安定性があれば問題なく良質なビールを流通させることができる。そこで、図4に、ビール用ワンウェイ軽量小壜を用いたときの4日間保存時の麦芽発酵飲料の色度Fと、3MBT・日光臭強度との関係を示した。麦芽発酵飲料の色度Fを16EBC以上とすることで、4日間保存時において、日光臭強度を1以下とすることができ、良質なビールを流通させることができる。
【0029】
表1のビール用270ml壜を用いたときの結果を図5に示した。図5は、ビール用270ml壜を用いたときの保存日数と、3MBT・日光臭強度との関係を示すグラフである。麦芽発酵飲料の色度Fが8EBCのビールの場合、スーパーマーケットの一般的な蛍光灯下(2000ルクス)で日光臭による品質劣化(日光臭強度1以上)が約6日保存で確認された。19EBCビールの場合、17EBCビールの場合のいずれも、保存12日では全く品質の問題はなかった。
【0030】
次に、肉厚が異なるアンバーガラス壜に充填された麦芽発酵飲料について、それぞれ保存日数4日間を満足する色度Fを求め、この色度FとこのときのT/Tsとの関係を求めた。結果を図6に示した。図6は、保存日数4日間以上を満足する色度FとT/Tsとの関係を示すグラフである。図6の直線は、F=13.2×(T/Ts)+2.8と算出され、数1を満たす色度Fの領域(図6の直線及びそれより上側の領域(グレー部分))が日光臭の発生が抑制され、品質が安定している麦芽発酵飲料が得られる領域である。
【0031】
図6の結果から、数1を満たすように麦芽発酵飲料の色度Fを設計することで、少なくとも保存日数4日間において、日光臭の発生が問題ない範囲に納めることができる。
【0032】
次に、平均肉厚が1.5mmの同組成の軽量アンバーガラス壜を使用すると、T/Ts=1.68となり、色度F=25.0の麦芽発酵飲料で日光臭の官能評価を行なったところ、日光臭強度は1を下回ることが確認できた。同様に、平均肉厚が2.5mmの同組成の軽量アンバーガラス壜を使用すると、T/Ts=0.31となり、色度F=6.9の麦芽発酵飲料で日光臭の官能評価を行なったところ、日光臭強度は1を下回ることが確認できた。
【0033】
なお、本発明では、基準ガラスの厚さを1.8mmとしたが、この厚さに限定されない。例えば、他の厚さの基準ガラスを使用する場合には、図6の横軸を、他の厚さの基準ガラスのTs’を1として補正し、これに対応する式1’を用いればよい。このような場合も本発明の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】表1に示した壜の光透過曲線を示すグラフである。
【図2】ビール用リターナブルスリム小壜(平均肉厚3.6mm)を用いたときの保存日数と、3MBT・日光臭強度との関係を示すグラフである。
【図3】ビール用ワンウェイ軽量小壜(平均肉厚1.8mm)を用いたときの保存日数と、3MBT・日光臭強度との関係を示すグラフである。
【図4】ビール用ワンウェイ軽量小壜(平均肉厚1.8mm)を用いたときの4日間保存時の麦芽発酵飲料の色度Fと、3MBT・日光臭強度との関係を示した。
【図5】ビール用270ml壜(平均肉厚2.55mm)を用いたときの保存日数と、3MBT・日光臭強度との関係を示すグラフである。
【図6】保存日数4日間以上を満足する色度FとT/Tsとの関係を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CIE表示(厚み4mm換算)による明度(Y)が17〜37%、主波長(λd)が580〜588nm、刺激純度(Pe)が90%以上を満たすアンバーガラスで作られ、かつ、平均肉厚が1.5〜2.5mmの軽量アンバーガラス壜に充填するための麦芽発酵飲料を設計する方法であって、
CIE表示(厚み4mm換算)による明度(Y)が19.5%、主波長(λd)が583.0nm、刺激純度(Pe)が96.0%を満たすアンバーガラスで作られた肉厚1.8mmの基準ガラス板の380〜480nmの波長範囲における透過光量をTsとし、前記軽量アンバーガラス壜の380〜480nmの波長範囲における透過光量をTとしたとき、前記麦芽発酵飲料のEBC (European Brewery Convention)法に従って測定した色度Fが数1を満たす関係を有することを特徴とする軽量アンバーガラス壜に充填する麦芽発酵飲料の設計方法。
(数1)F≧13.2×(T/Ts)+2.8
【請求項2】
前記軽量アンバーガラス壜は、胴径が60〜65mm、容量が300〜350ml、質量が150〜200gの軽量小壜であることを特徴とする請求項1に記載の軽量アンバーガラス壜に充填する麦芽発酵飲料の設計方法。
【請求項3】
CIE表示(厚み4mm換算)による明度(Y)が17〜37%、主波長(λd)が580〜588nm、刺激純度(Pe)が90%以上を満たすアンバーガラスで作られ、かつ、平均肉厚が1.5〜2.5mmの軽量アンバーガラス壜に麦芽発酵飲料が充填された製品において、
CIE表示(厚み4mm換算)による明度(Y)が19.5%、主波長(λd)が583.0nm、刺激純度(Pe)が96.0%を満たすアンバーガラスで作られた肉厚1.8mmの基準ガラス板の380〜480nmの波長範囲における透過光量をTsとし、前記軽量アンバーガラス壜の380〜480nmの波長範囲における透過光量をTとしたとき、前記麦芽発酵飲料は、EBC法に従って測定した色度Fが数1を満たすことを特徴とする軽量アンバーガラス壜に麦芽発酵飲料が充填された製品。
(数1)F≧13.2×(T/Ts)+2.8


【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−47297(P2010−47297A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−214624(P2008−214624)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(307027577)麒麟麦酒株式会社 (350)
【Fターム(参考)】