説明

軽量グリップ及びその製造方法

【課題】力強い運動中に、ユーザーが用具をしっかりとつかんで保持できるように、用具に使用する充分にソフトな柔軟性のハンドグリップを提供し、さらに、必要な材料が最小限で比較的軽量なグリップを提供する。
【解決手段】複数の開口が形成された柔軟性を有するラバーの内側中空コア12と、該コア12を覆うように配置された外側中空カバー22とを有し、コア12とカバー22との間に軽量で環状の柔軟性を有する発泡スペーサ50を有する軽量の柔軟性ハンドグリップ10及びその製造方法である。スペーサ50は、開口38を通して注入する硬化性材料によって形成することができる。複数の開口38は、コア12内にマンドレルを挿入し、開口38を穴あけ加工して、マンドレルを取除くことによって形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の開示は、柔軟性ハンドグリップに関し、具体的には、シャベル又は例えばテニスラケット及びゴルフクラブ等のスポーツ用具に見られるようなハンドル又はシャフトに使用されるタイプのグリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
そのようなハンドグリップは、一般的に、ゴム又はエラストマー等の柔らかい、すなわち、柔軟性材料で成型されて、ハンドルすなわち手で把持される用具の部分に組み付けられる。そのような用具のハンドグリップは、用具のハンドル部分に摩擦を保持し、さらに、ユーザーの手に対してソフトで柔軟性のあるグリップ表面を提供することが要求され、特に、ゴルフクラブ、テニスラケット及びハンマー等の工具の場合のように、ユーザーによって行なわれる円弧運動すなわちスイング運動で動かされる用具に要求される。これは、適当なグリップ保持力を与えるためだけでなく、繰返し使用したときにマメの原因となる不快感を防止するためにも、ハンドグリップの厚さをユーザーの手に対してソフトな可撓性すなわち柔軟性の表面を提供するのに充分な厚さに形成することを必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、この材料の厚さは、ユーザーの手に対して充分に撓む可撓性のすなわちソフトな柔軟性表面を与えるが、これは、グリップに相当量の材料を必要とすることになり、製造されたグリップは、用具の重量を増大させ、また、材料の必要量の増大は、製造コストを増大させることになる。
【0004】
このため、力強い運動中に、ユーザーが用具をしっかりとつかんで保持できるように用具に使用する充分にソフトな柔軟性のハンドグリップを提供し、さらに、必要な材料が最小限で比較的軽量なグリップを提供することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の開示は、例えばハンマー、シャベル、ゴルフクラブ又はテニスラケット等の用具のハンドル上に組付けるための柔軟性のある可撓性ハンドグリップを説明し、また、これは、間に環状スペースをもって外側に配置される柔軟性のある可撓性材料で形成された外側中空部材と共に、用具ハンドルを受入れるための柔軟性のある材料で形成された内側中空コアを有し、このスペースは、コア及び外側部材に比して相当に低密度すなわち嵩密度が減少された柔軟性のある材料で形成されたスペーサで満たされている。内側コアには、間隔を有する複数の開口が設けられ、これらの開口を通して、内側コアと外側中空部材との間の環状スペース内にフィラーすなわちスペーサを形成するための硬化性材料が注入されて、外側中空部材を内側コアを覆うその位置に維持する。本発明の実施形態では、注入可能な硬化性発泡材料のスペーサ及び柔軟性のあるエラストマー材料のコア及び外側中空部材が望ましいことが分かっている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の一実施形態の外側中空部材の縦断面図である。
【図2】本発明の一実施形態の内側コア部材の縦断面図である。
【図3】コア部材に開口を穴あけ加工するための工具配置の分解斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態のハンドグリップの縦断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態の外側中空部材を示す要部の縦断面図である。
【図6】本発明の他の実施形態のコア部材を示す要部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1、図2及び図4を参照して、ハンドグリップは、全体として符号10で示され、ほぼ中空形状を有するコア部材12を含み、コア部材12の一端部には、付加的にテーパが付けられる外表面16を有する外側に延びるフランジ部14が形成されており、望むならば、フランジ14は、環状のアンダーカット18を含み、径方向に弾力性を与え、また、グリップ10の製造を容易にしてもよい。コア部材12は、フランジ部14から離れた端部の近くの内周面に配置された環状リブ20を含んでもよい。
【0008】
図1を参照して、外側中空部材22は、内側に延びる突起28を貫通して延びる通気孔26が設けられた閉じた端部24を有するように示され、突起28には、組立時にコア部12のリブ20が係合する環状溝すなわち外周溝30が形成されている。また、外側中空部材部材22には、閉じた端部24の反対側の端部に隣接して内側に延びる環状リブ32が設けられ、リブ32は、図4の組立状態に示されるように、コア部材12のフランジの外周面に形成された環状溝36に係合するように作用する。
【0009】
図2を参照して、コア部材12は、詳細については後述する方法で、その側壁を貫通して形成された間隔をもった複数の開口38を有している。
【0010】
図5及び図6を参照すると、コア部材12及び外側中空部材22の端部の他の例示的な実施形態が示され、この中空部材122は、内側に延びる突起128が設けられた端部表面124を有し、突起128には、環状のテーパ130が設けられている。これに対応する実施形態のコア部材112は、内周面にテーパ面120が設けられた端部を有し、このテーパ面が、図4に示されるように、外側中空部材122のテーパ表面130に係合する。
【0011】
図3を参照して、コア部材12は、リリーフ孔すなわち開口42が形成されたマンドレル40に位置決めされるように示され、これらの開口42は、マンドレル40が挿入されるコア部材12に設けられる開口30に対応する大きさ及び配置で、開口42がコア部材12の開口38にそれぞれ整合するようになっている。
【0012】
全体として符号44で示される複数のパンチがコア部材12に隣接して配置されて、ガイドブロック46によって案内されている。そして、パンチ44は、あらゆる便宜的な機械、油圧、電気又は空気圧装置を含むことができる駆動装置48によって付勢されて、コア部材12に開口38を形成し、分離された材料、すなわち、断片は、開口42を通ってマンドレル40の内部へ入る。そして、開口38の形成によって分離された材料は、例えば圧縮空気の吹付け等のあらゆる適当な手段によってマンドレル40から取除かれる。穴あけ加工動作が完了し、その後、マンドレル40は、コア部材12から分離される。
【0013】
図3に示される装置の穴あけ加工動作は、外側中空部材22に組付ける前にコア部材12に実行されることが分かるであろう。
【0014】
図4を参照して、外側中空部材22、122とコア部材12、122との間の環状スペースは、符号50で表されるように、適当な軽量材料、すなわち、外側中空部材22、122又はコア部材12、112よりも相当に嵩密度が小さい柔軟性材料で満たされる。本実施形態においては、硬化性材料をコア部材12、112の開口38を通して挿入することが望ましいことが分かっており、また、特に、硬化性発泡材料を開口38を通して注入して、コア部材12、112と外側中空部材22、122との間の環状スペース内にスペーサ50を形成することが望ましいことが分かっている。これにより、軽量の硬化性材料が硬化すると、外側中空部材22、122の比較的薄い側壁を弾性的に支持し、これにより、ユーザーの手によって把持されたとき、ハンドグリップに適度なクッション及び「感覚」を与える。
【0015】
本実施形態においては、スペーサ50としてエチレン−プロピレン−ジエン−モノマー(EPDM)材料、特に、EPDM発泡材料を使用することが望ましいことが分かっている。本実施形態においては、約0.1から0.9の範囲、好ましくは、約0.1から0.7の範囲の比重を有し、かつ、ショアAスケールで約20から50の範囲のデュロメータ硬度を有する硬化性材料のスペーサ50を形成することが望ましいことが分かっている。しかしながら、外側中空部材を支持して柔軟なクッションを与えるために適度な柔軟性を有する他の適当な注入可能な硬化性の軽量な材料(エラストマー等)を使用することもできることが理解されるであろう。
【0016】
本実施形態においては、コア部材12、112及び外側中空部材22、122を柔軟性のあるエラストマー又はゴム材料で形成することが望ましいことが分かっている。特に、コア部材12、112は、約0.8から1.5の範囲の比重を有し、ショアAスケールで約35から75の範囲のデュロメータ硬度を有する材料であることが望ましく、また、これらの両方の組合せを有する材料であることが望ましいことが分かっている。また、本実施形態においては、外側中空部材22、122は、約0.8から1.5の範囲の比重を有する柔軟性のある材料で、ショアAスケールで約35から75の範囲のデュロメータ硬度を有する材料で形成することが望ましく、また、これらの両方の特性を有する材料で形成することが望ましいことが分かっている。しかしながら、ユーザーによって望まれる適度なグリップが得られ、また、把持されたとき、グリップが取付けられた用具が迅速な又は力強い運動中に、そのコントロールを充分に維持するのに望まれる柔軟性及び「感覚」を有するような他の材料を使用することができることが分かるであろう。
【0017】
ここに図示されたハンドグリップは、ゴルフクラブハンドグリップ用の場合のように、外側中空部材の外径に比して、比較的小さいコア部材の内径を有するものが示されているが、その比率は、ハンマー、大ハンマー又はシャベル等の用具のハンドグリップの場合のように把持される用具がより大きなサイズであるものに適合するように変更することができることが分かるであろう。
【0018】
このように、本発明の開示は、コア部材と外側中空部材との間の弾力性のある発泡材をコア又は外側中空部分よりも相当に軽い材料で形成することにより、軽量の用具用の柔軟性のある比較的ソフトなハンドグリップについて説明している。
【0019】
以上に、好ましい実施形態を参照して、例示的な実施形態を説明したきた。以上の詳細な説明を読んで理解すれば、様々な修正及び変更が可能であることは明らかである。そのような修正及び変更は、特許請求の範囲内であり、あるいは、これと均等である限りにおいて、これらの例示的な実施形態に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0020】
10 ハンドグリップ、12 コア部材、22 外側中空部材、38 開口、50 スペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)間隔をもった複数の開口を有する柔軟性材料の中空のコア部材を形成し、
(b)柔軟性材料の外側中空部材を前記コア部材を覆うように配置して、これらの間に環状スペースを形成し、
(c)前記環状スペースの軸方向の両端部を閉じ、
(d)前記コア部材及び外側中空部材よりも嵩密度が相当に小さい柔軟性材料を前記開口を通して前記コア部材と前記外側中空部材との間の環状スペースに挿入することを特徴とする柔軟性ハンドグリップの製造方法。
【請求項2】
前記中空のコア部材を形成するステップは、前記コア部材に支持マンドレルを挿入し、前記開口を穴あけ加工し、前記支持マンドレルを取除くことを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記柔軟性材料を挿入するステップは、比較的低密度の発泡材料を挿入することを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記柔軟性材料を挿入するステップは、EPDM発泡材料を挿入することを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記コア部材を形成するステップは、エラストマー材料を形成することを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記コア部材を形成するステップは、ショアAスケールで約35から75の範囲のデュロメータ硬度を有する材料の部材を形成することを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記コア部材を形成するステップは、約0.8から1.5の範囲の比重を有する材料のコア部材を形成することを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記コア部材を成形するステップは、ショアAスケールで約35から75の範囲のデュロメータ硬度を有し、かつ、約0.8から1.5の比重を有する材料の部材を形成することを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記外側中空部材を配置するステップは、エラストマー材料の部材を配置することを含んでいることを特徴とする請求項lに記載の方法。
【請求項10】
柔軟性材料の前記外側中空部材を配置するステップは、ショアAスケールで約35から75の範囲のデュロメータ硬度を有する部材を配置することを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記外側中空部材を配置するステップは、約0.8から1.5の範囲の比重を有する材料で形成された部材を配置することを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
柔軟性材料の前記外側中空部材を配置するステップは、ショアAスケールで約35から75の範囲のデュロメータ硬度を有し、かつ、約0.8から1.5の範囲の比重を有する柔軟性材料で形成された部材を配置することを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記コア部材を形成するステップは、端部に外側に延びる一体形成されたフランジを有する中空の部材を形成することを含んでいることを特徴とする方法。
【請求項14】
前記外側中空部材を配置するステップは、ほぼ閉じられた端部を有する部材を配置することを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記環状スペースの軸方向の両端部を閉じるステップは、前記外側部材に閉じた一端部を一体に成形し、前記コア部材の一端部に、外側に延びるフランジを一体に形成することを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記柔軟性材料を挿入するステップは、エチレン−プロピレン−ジエン−モノマー材料を挿入することを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記柔軟性材料を挿入するステップは、約0.1から0.9の範囲の比重を有する材料を注入することを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
(a)柔軟性材料で形成され、間隔をもった複数の開口を有する中空コアと、
(b)前記中空コアを覆うように受入れられ、前記中空コアとの間に環状スペースを形成外側中空部材と、
(c)前記環状スペースに配置され、前記中空コア又は前記外側中空部材よりも相当に小さい嵩密度を有する材料で形成された柔軟性を有するスペーサとを備え、
前記スペーサは、前記開口を通して挿入される硬化性材料であることを特徴とする柔軟性ハンドグリップ。
【請求項19】
前記スペーサは、硬化性発泡材料で形成されていることを特徴とする請求項18に記載のハンドグリップ。
【請求項20】
前記スペーサは、エチレン−プロピレン−ジエン−モノマー(EPDM)発泡材料で形成されていることを特徴とする請求項18に記載のハンドグリップ。
【請求項21】
柔軟性を有する前記スペーサは、ショアAスケールで約20から50の範囲のデュロメータ硬度を有するエラストマー材料で形成されていることを特徴とする請求項18に記載のハンドグリップ。
【請求項22】
柔軟性を有する前記スペーサは、約0.1から0.7の範囲の比重を有する材料で形成されていることを特徴とする請求項18に記載のハンドグリップ。
【請求項23】
前記外側中空部材は、ショアAスケールで約35から75の範囲のデュロメータ硬度を有するエラストマー材料で形成されていることを特徴とする請求項18に記載のハンドグリップ。
【請求項24】
前記外側中空部材は、約0.8から1.5の範囲の比重を有する材料で形成されていることを特徴とする請求項18に記載のハンドグリップ。
【請求項25】
前記外側中空部材は、ショアAスケールで約35から75の範囲のデュロメータ硬度を有し、かつ、約0.8から1.5の範囲の比重を有する材料で形成されていることを特徴とする請求項18に記載のハンドグリップ。
【請求項26】
前記コア部材は、一端部に外側に延びるフランジを有し、前記外側中空部材は、前記フランジから軸方向に離れて配置されて一体に形成されたほぼ閉じた端部を有していることを特徴とする請求項18に記載のハンドグリップ。
【請求項27】
前記コア部材は、穴あけ加工によって形成された複数の開口を有していることを特徴とする請求項18に記載のハンドグリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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