説明

載荷試験装置及び載荷試験方法

【課題】反力桁の姿勢が把握できる載荷試験装置及び載荷試験方法を提供する。
【解決手段】試験杭12が地盤20に埋設され、試験杭12の上面12Uには鉛直方向の荷重を付加するジャッキ16が設けられている。ジャッキ16の上には反力桁18が載せられ、反力桁18の中央部にジャッキ16の反力が作用する。試験杭12の両側には、ジャッキ16の反力を受ける反力杭14が埋設されている。反力杭14の上部には笠材30が固定され、笠材30を介して反力桁18の両端部と鋼棒22で連結されている。反力桁18と反力杭14の間には、反力桁用変位計測器32が取付けられている。反力桁用変位計測器32の上部は反力桁18に固定され、下部に取付けた変位センサ34の変位検出部が反力杭14の上面14Uと接している。変位センサ34の計測結果はコントローラ三八に出力され、コントローラ38が反力桁18の傾きを判断して油圧ポンプ39を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、載荷試験装置及び載荷試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の基礎の正確な支持耐力を求める場合、原位置に基礎の試験体(載荷版、杭)を作製し、試験体の上に載荷試験装置を構築して実測試験を実施している。通常、建物の規模が大きくなれば、基礎に求められる支持耐力も大きくなり、載荷試験装置が基礎に付加する荷重も大きくなる。原位置において大きな荷重を付加する試験となることから、載荷試験装置が傾かないように、姿勢を把握しながら載荷試験を行う必要がある。
【0003】
原位置で載荷試験を行う試験方法として特許文献1が提案されている。
即ち、図10に示すように、特許文献1に記載の試験方法に用いる載荷試験装置80は、試験体92の上面に荷重付加装置(ジャッキ)88で荷重を付加し、地盤82における試験体92の支持耐力を求める構成である。
【0004】
試験体92は、地盤82中に埋設された試験杭84と地盤82上に敷かれた基礎コンクリート86を有し、基礎コンクリート86と試験杭84の杭頭部が一体化されている。基礎コンクリート86の上面にはジャッキ88が設けられ、ジャッキ88の上方には反力を受ける反力桁94が設けられている。試験体92を囲んで反力杭90が埋設され、反力杭90と反力桁94を連結し、反力桁94が受けた反力を反力杭90に伝達している。
【0005】
なお、特許文献1には明記されていないが、一般に、反力杭90と一体とされたH形鋼には図示しない歪ゲージが取付けられ、歪ゲージで反力杭90の歪を計測しながら載荷試験を行なっている。
【0006】
しかし、反力桁94の傾きや変位は計測されておらず、その姿勢は把握されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−57380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事実に鑑み、反力桁の姿勢が把握できる載荷試験装置及び載荷試験方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明に係る載荷試験装置は、基礎支持面に置かれた載荷版又は地盤に埋設された杭に荷重を付加する荷重付加手段と、前記荷重付加手段の反力を受ける反力桁と、前記載荷版又は前記杭を囲んで埋設され、前記反力桁が受けた前記反力が伝達される反力杭と、前記反力杭と前記反力桁の間の変位量を計測する反力桁用変位計測手段と、を有することを特徴としている。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、荷重付加手段が載荷版又は杭に荷重を付加したとき、荷重付加手段の反力を反力桁が受ける。反力桁が受けた反力は反力杭に伝達される。そして、荷重付加手段が載荷版又は杭に荷重を付加した状態で、反力杭と反力桁の間の変位量を反力桁用変位計測手段で計測する。
これにより、変位量の計測結果に基づき反力桁の姿勢が把握され、反力桁の姿勢を管理しながら載荷試験を行うことができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の載荷試験装置において、前記荷重付加手段と離れて設けられ、前記荷重が付加されても変位しない位置に架け渡された不動梁と、前記不動梁と前記載荷版又は前記杭の間の変位量を計測する載荷版用変位計測手段、及び前記不動梁と前記反力杭の間の変位量を計測する反力杭用変位計測手段と、を有することを特徴としている。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、不動梁が、荷重付加手段の影響を受けない位置に架け渡されている。そして、不動梁と載荷版又は杭の間の変位量が載荷版用変位計測手段で計測され、不動梁と反力杭の間の変位量が反力杭用変位計測手段で計測される。
これにより、不動梁と載荷版又は杭の間の変位量、及び不動梁と反力杭の間の変位量が把握でき、載荷版又は杭の位置、反力杭の位置を管理しながら載荷試験を行うことができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の載荷試験装置において、前記反力杭と前記反力桁の間の変位量に基づき、前記荷重付加手段が前記載荷版又は前記杭に付加する荷重を制御する荷重制御手段を有することを特徴としている。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、荷重制御手段が、反力杭と反力桁の間の変位量に基づいて、荷重付加手段が載荷版又は杭に付加する荷重を制御する。
これにより、反力桁と反力杭の間の変位量が測定位置により不均等に変化したとき、荷重制御手段で、荷重付加手段が載荷版又は杭に付加する荷重を制御して、反力桁の姿勢を保つことができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の載荷試験装置において、前記反力杭と前記反力桁の間の変位量、前記不動梁と前記載荷版又は前記杭の間の変位量、及び前記不動梁と前記反力杭の間の変位量に基づき、前記荷重付加手段が、前記載荷版又は前記杭に付加する荷重を制御する荷重制御手段を有することを特徴としている。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、荷重制御手段が、反力杭と反力桁の間の変位量、不動梁と載荷版又は杭の間の変位量、及び不動梁と反力杭の間の変位量に基づいて、荷重付加手段が載荷版又は杭に付加する荷重を制御する。
これにより、反力桁と反力杭の間の変位量が測定位置により不均等に変化したとき、荷重制御手段で、荷重付加手段が載荷版又は杭に付加する荷重を制御して、反力桁の姿勢を保つことができる。
【0017】
また、不動梁と反力杭の間の変位量が測定位置により不均等に変化したとき、荷重制御手段で、荷重付加手段が載荷版又は杭に付加する荷重を制御して、反力桁の姿勢を保つことができる。
更に、載荷版又は杭が傾斜して不均等に沈下したとき、荷重制御手段で、荷重付加手段が載荷版又は杭に付加する荷重を制御して、反力桁の姿勢を保つことができる。
【0018】
請求項5に記載の発明に係る鉛直載荷試験方法は、基礎支持面に置かれた載荷版又は地盤に埋設された杭に、荷重を付加する荷重付加手段を設置する工程と、前記荷重付加手段の上部に、前記荷重付加手段の反力を受ける反力桁を構築する工程と、前記載荷版又は前記杭を囲んで埋設された前記反力杭と、前記反力桁を連結する工程と、前記反力杭と前記反力桁の間の変位量を計測する反力桁用変位計測手段を設ける工程と、前記載荷版又は前記杭に、前記荷重付加手段で荷重を付加する工程と、前記反力杭と前記反力桁の間の前記変位量を、前記反力桁用変位計測手段で計測する工程と、前記変位量に基づき、前記荷重付加手段が付加する前記荷重を荷重制御手段で制御する工程と、を有することを特徴としている。
【0019】
これにより、反力桁と反力杭の間の変位量が測定位置により不均等に変化したとき、荷重制御手段で、荷重付加手段が載荷版又は杭に付加する荷重を制御して、反力桁の姿勢を保つことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、上記構成としてあるので、反力桁の姿勢が把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る載荷試験装置の基本構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る載荷試験装置で計測する試験体の構成を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る載荷試験装置の基本構成を示す図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係る載荷試験装置の基本構成を示す図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る載荷試験装置の基本構成を示す図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態に係る載荷試験装置の基本構成を示す図である。
【図7】本発明の第5の実施の形態に係る載荷試験装置の基本構成を示す図である。
【図8】本発明の第5の実施の形態に係る載荷試験装置の基本構成を示す図である。
【図9】本発明の第6の実施の形態に係る載荷試験方法の試験手順を示す図である。
【図10】従来例の載荷試験装置の基本構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1の実施の形態)
図1に示すように、第1の実施の形態に係る載荷試験装置10は、載荷試験の試験体となる試験杭12が原位置の地盤20に埋設され、試験杭12の上面12Uには、試験杭12に鉛直方向の荷重を付加するジャッキ16が設けられている。
試験杭12は、例えば、鉄筋コンクリート杭、鋼管杭など一般的に広く利用されている杭であればよい。試験杭12の頭部は地盤20の上に突き出る高さとされている。
【0023】
ジャッキ16は、広く市場に流通している油圧式のジャッキであり、矢印Vで示す鉛直方向に伸縮して試験杭12に荷重を付加する。ジャッキ16は、外部のポンプ39と油配管98で連結され、ポンプ39で伸縮量が制御される。
【0024】
ジャッキ16の上には反力桁(主桁)18が載せられ、反力桁18の中央部にジャッキ16の反力が作用する。
試験杭12の両側の側方には、ジャッキ16の反力を受ける反力杭14が地盤20に埋設されている。
【0025】
反力杭14の頭部は地盤20の上に突き出る高さとされ、反力杭14の上方には、鋼材で形成された笠材30が横に向けて取付けられている。笠材30は、反力杭14の上面14Uから作業用の空間を設けてアンカーボルト31で反力杭14に固定されている。そして、笠材30と反力桁18が鉛直方向に設けられた鋼棒22で連結されている。
【0026】
これにより、ジャッキ16が伸張して試験杭12に荷重を付加した時、ジャッキ16の反力を反力桁18が受け、反力桁18が受けた反力が鋼棒22を介して反力杭14に伝達される。
【0027】
また、反力桁18の一方の端部には、反力桁用変位計測器32が取付けられている。反力桁用変位計測器32は、逆L字状の支柱33を有し、支柱33の一端は反力桁18の上面に固定され、折り曲げ部から他端部に至る直線部は下方に延長されている。そして、支柱33の下端部は、反力杭14の頭部まで達する長さとされている。支柱33の下部には、マグネットを備え、支柱33に着脱可能とされた位置調節部36が取付けられている。位置調節部36には位置調整金具37が設けられ、位置調整金具37の先端には、変位量を検出する変位センサ34が取付けられている。
【0028】
変位センサ34の下端部には変位検出部が設けられ、変位検出部が反力杭14の上面14Uに接している。これにより、反力桁18の上面と反力杭14の上面14Uの間の変位量を検出することができる。
【0029】
変位センサ34の検出結果は、信号線108でコントローラ38に出力される。コントローラ38は、反力桁18と反力杭14の間の変位量の計測結果から、反力桁18の姿勢を把握する。反力桁18の姿勢が予め定められた許容値を外れ、異常と判断されたときは、コントローラ38は、油圧ポンプ39を制御してジャッキ16の伸縮量を抑制する。
これにより、反力桁18の姿勢を把握しながら載荷試験を行うことができる。
【0030】
なお、本実施の形態では、反力桁用変位計測器32は、反力桁18の片方の端部に設置したが、他方の反力桁18の端部にも反力桁用変位計測器32を取り付けることができる。これにより、より正確に反力桁18の傾きを検出できる。
【0031】
また、反力桁18と反力杭14の間の変位量の計測手段として、変位センサ34による方法を例にとり説明したが、例えば、トランシットを用いて、反力桁18と反力杭14におけるそれぞれの代表点を、光学的に計測し変位量を求めてもよい。
【0032】
また、本実施の形態では、試験体として試験杭12を例にとり説明したが、これに限定されることはなく、建物の基礎の支持耐力の測定に広く利用できる。具体的には、図2に示すように、試験体として、直接基礎(A)、本実施の形態で説明した杭基礎(B)、杭基礎と直接基礎を杭頭部で一体としたパイルド・ラフト基礎(C)、直接基礎下部の地盤中に地盤改良体を構築した地盤改良直接基礎(D)、パイルド・ラフト基礎に地盤改良体を追加した地盤改良併用パイルド・ラフト基礎(E)であってもよい。
【0033】
(第2の実施の形態)
図3に示すように、第2の実施の形態に係る載荷試験装置40は、反力桁18と反力杭14の間に、横方向に不動梁44が設けられている。
【0034】
不動梁44は、試験杭12及び反力杭14とは位置を異ならせ、離れた地盤20に埋設された不動杭42で支持されている。これにより、ジャッキ16が荷重を付加したときの影響で不動梁44が移動するのを避けることができる。
【0035】
不動梁44には、載荷版用変位計測器100と反力杭用変位計測器102が取付けられている。載荷版用変位計測器100と反力杭用変位計測器102は、いずれも同じ構成である。また、載荷版用変位計測器100と反力杭用変位計測器102は、支柱104の構造が反力桁用変位計測器32と相違するだけで、他の構成は反力桁用変位計測器32と同一である。
【0036】
即ち、載荷版用変位計測器100と反力杭用変位計測器102は、いずれも支柱104が鉛直方向に配置され、上端が不動梁44に取り付けられている。支柱104には、第1の実施の形態で説明した位置調節部36と、位置調整金具37、及び変位センサ34が取付けられている。
【0037】
載荷版用変位計測器100は、不動梁44と試験杭12の上面12Uの間に設けられ、不動梁44と試験杭12の上面12Uの間の変位量を計測する。検出結果は、信号線110でコントローラ58に出力される。
【0038】
反力杭用変位計測器102は、不動梁44と反力杭14の上面14Uの間に設けられ、不動梁44と反力杭14の上面14Uの間の変位量を計測する。検出結果は、信号線112でコントローラ58に出力される。
これにより、不動梁44と試験杭12の間の変位量、及び不動梁44と反力杭14の間の変位量を計測できる。
【0039】
この結果、計測した反力杭14と反力桁18の間の変位量、不動梁44と試験杭12の上面12U間の変位量、及び不動梁44と反力杭14の間の変位量に基づき、コントローラ58でジャッキ16が試験杭12に加える力を制御できる。
【0040】
これにより、反力桁24と反力杭14の間の変位量が測定位置により不均等に変化したとき、コントローラ58で、ジャッキ16が試験杭12に付加する荷重を制御して、反力桁18の姿勢を保つことができる。
【0041】
また、不動梁44と反力杭14の間の変位量が測定位置により不均等に変化したとき、コントローラ58で、ジャッキ16が試験杭12に付加する荷重を制御して、反力桁18の姿勢を保つことができる。
【0042】
更に、試験杭12が傾斜して不均等に沈下したとき、コントローラ58で、ジャッキ16が試験杭12に付加する荷重を制御して、反力桁18の姿勢を保つことができる。
他の部分の構成は、第1の実施の形態に係る載荷試験装置10と同一であり、説明は省略する。
【0043】
(第3の実施の形態)
図4、図5に示すように、第3の実施の形態に係る載荷試験装置50は、載荷試験を行う試験体48を囲んで4本の反力杭14が埋設されている。
【0044】
試験体48は、地盤20に埋設された試験杭12と地盤20の上に置かれた基礎コンクリート52を有し、試験杭12の頭部と基礎コンクリート52は一体化されている(図3(C)参照)。基礎コンクリート52は、直接基礎の一部であり試験用に定められた所定の大きさの平板とされ、試験体48を用いることで基礎コンクリート52と試験杭12を一体とした耐力を求めることができる。
【0045】
試験体48の周囲に4本の反力杭14を用いることにより、より大きな反力を受けることができる。また、反力桁56も大きな反力を受けることができる構成とされている。
【0046】
即ち、基礎コンクリート52の上には3台のジャッキ16が並べられ、3台のジャッキ16の上には上台座26が載せられている。上台座26の上には、上台座26と交差する方向に2本の主桁24が設けられている。また、2本の主桁24の上の両端部には、主桁24と交差する方向に2本の副桁54が架けられている。副桁54の4つの端部は、それぞれ4本の反力杭14と鋼棒22で連結されている。
【0047】
副桁54の4つの端部と4本の反力杭14の間には、反力桁用変位計測器32が取付けられている。即ち、反力桁用変位計測器32の上端部は、副桁54の上面に取付けられ、変位センサ34は、反力杭14の上面14Uに接して取り付けられている。変位センサ34の測定結果は、信号線108でコントローラ38に出力される。
【0048】
また、3台のジャッキ16は、油配管98で油圧ポンプ39と接続され、コントローラ38でいずれも同時に同じ高さに制御される。
【0049】
これにより、コントローラ38が、変位センサ34の検出結果に基づき、反力杭14と副桁54の間の変位量が測定位置により不均等に変化したと判断したとき、油圧ポンプ39を制御して、ジャッキ16の出力を抑制し反力桁56の姿勢を保つことができる。
【0050】
他の部分の構成は、第1の実施の形態に係る載荷試験装置10と同一であり、説明は省略する。
【0051】
(第4の実施の形態)
図6に示すように、第4の実施の形態に係る載荷試験装置60は、反力杭14の上に横方向に並んで架け渡された2本の不動梁44を有している。
【0052】
2本の不動梁44は試験体48を挟んで設けられ、両端部は不動杭42で支持されている。2本の不動梁44の上には、交差する方向に2本の第2不動梁46が設けられている。
【0053】
不動梁44には、不動梁44と基礎コンクリート52の間の変位量を計測する載荷版用変位計測器100が取り付けられている。第2不動梁46には、第2不動梁46と反力杭14の間の変位量を計測する反力杭用変位計測器102が設けられている。そして、載荷版用変位計測器100と反力杭用変位計測器102のそれぞれの先端に設けられた変位センサ34の測定結果は、信号線110、112でコントローラ58に入力される。同時に、反力桁用変位計測器32の先端に設けられた変位センサ34の測定結果も、信号線108でコントローラ58に入力される。
【0054】
これにより、副桁54と反力杭14の間の変位量が4つの測定位置で不均等に変化したとき、コントローラ58が油圧ポンプ39を制御し、ジャッキ16の出力を抑制し、反力桁54の姿勢を保つことができる。
【0055】
また、第2不動梁46と反力杭14の間の変位量が、4つの測定位置で不均等に変化したとき、コントローラ58が油圧ポンプ39を制御し、ジャッキ16の出力を抑制し、反力桁54の姿勢を保つことができる。
【0056】
更に、不動梁44と基礎コンクリート52の間の変位量から、基礎コンクリート52が傾斜して不均等に沈下するのが検出されたとき、コントローラ58が油圧ポンプ39を制御し、ジャッキ16の出力を抑え、反力桁54の姿勢を保つことができる。
【0057】
他の部分の構成は、第2の実施の形態に係る載荷試験装置40と同一であり、説明は省略する。
【0058】
(第5の実施の形態)
図7、図8に示すように、第5の実施の形態係る載荷試験装置62は、載荷試験を行う試験体48を囲む4本の反力杭64A、反力杭64B、反力杭64C、反力杭64Dを有している。なお、試験体48は、第3の実施の形態で説明した試験体48と同じである。
【0059】
反力杭64A、反力杭64B、反力杭64C、反力杭64Dは、それぞれ杭の径、構造が異なる。更に試験杭12からの距離が異なっている。この結果、反力杭64A、反力杭64B、反力杭64C、反力杭64Dの剛性および支持耐力がそれぞれ異なるため、一様の挙動を示さない。
【0060】
基礎コンクリート52の上には下台座28が設けられ、下台座28の上には9個のジャッキ16が載せられている。ジャッキ16の上には、5本の上台座70が並んで設けられ、5本の上台座70の上には、上台座70と交差させて2本の主桁24が、互いの距離をあけて並んで設けられている。
【0061】
主桁24の上の両側の端部には、主桁24と交差させて2本の副桁54が架けられ、副桁54の4つの端部は、それぞれ4本の反力杭64A〜反力杭64Dと鋼棒22で連結されている。
【0062】
4本の反力杭64A〜反力杭64Dが非対称であるため、反力桁66も非対称に構築せざるを得なく、反力桁66のバランスが壊れやすい。
その他の内容は第3の実施の形態と同じである。異なる点のみについて説明する。
【0063】
副桁54の4つの端部と4本の反力杭14の間には、反力桁用変位計測器32が設けられ、変位計測器32の下端の変位センサ34は、反力杭64A〜反力杭64Dの上面に接して取り付けられている。
【0064】
これにより、ジャッキ16が基礎コンクリート52と基礎コンクリート52に鉛直方向の力を加えたとき、反力桁66がジャッキ16の反力を反力杭64A〜反力杭64Dに伝え、反力杭64A〜反力杭64Dがジャッキ16の反力を受ける。そして、反力桁用変位計測器32に取付けられた変位センサ34で、反力杭64A〜反力杭64Dと反力桁18の間の変位量をそれぞれ計測し、計測結果を信号線108でコントローラ38に出力する。
【0065】
この結果、反力杭64A〜反力杭64Dと反力桁66の間の変位量が4つの測定位置で不均等に変化したとき、コントローラ38が油圧ポンプ39を制御し、ジャッキ16の出力を抑制し、反力桁66の姿勢を保つことができる。
【0066】
なお、本実施の形態に、第4の実施の形態で説明した不動梁を追加することもできる。これにより、基礎コンクリート52及び反力杭64A〜反力杭64Dの変位量をより詳細に把握でき、反力桁66の姿勢を保つことができる。
【0067】
(第6の実施の形態)
第6の実施の形態係る鉛直載荷試験方法は、図9に示す手順で行われる。なお、説明は、図1に基づいて行い、内容の詳細は第1の実施の形態で説明しているので省略する。
【0068】
先ず、ステップ71の荷重付加手段設置工程で、試験体(基礎支持面21に置かれた載荷版52又は地盤20に埋設された杭12)の上に、荷重を付加するジャッキ16を設置する。
次に、ステップ72の反力桁構築工程で、ジャッキ16の上部に、ジャッキ16の反力を受ける反力桁18を構築する。
【0069】
次に、ステップ73の反力桁連結工程で、試験体(載荷版52又は杭12)を囲んで埋設された反力杭14と、反力桁18の両側の端部を鋼棒22で連結する。これにより、ジャッキ16の反力を反力桁18で受け、反力杭14に伝達できる。
【0070】
次に、ステップ74の計測手段取付工程で、反力杭14と反力桁18の間に変位量を計測する反力桁用変位計測器32を取付ける。このとき、反力桁用変位計測器32の上端部は反力桁18の上面に取付け、下端に変位センサ34を取付け、変位センサ34の先端は反力杭14の上面14Uと接する位置に設定する。
【0071】
次に、ステップ75の荷重付加工程で、試験体(載荷版52又は杭12)に、ジャッキ16で鉛直方向の荷重を付加する。
次に、ステップ76の変位量計測工程で、反力杭14と反力桁18の間の変位量を、反力桁用変位計測器32で計測し、計測結果をコントローラ38に出力する。
【0072】
次に、ステップ77の荷重制御工程で、計測した変位量に基づき、コントローラ38で油圧ポンプ39を制御し、ジャッキ16が付加する荷重を調整する。
最後に、ステップ78で試験の終了を判断する。終了の場合はステップ79に進み試験を終了する。終了しない場合はステップ75に戻り、ステップ75以降の工程を継続して行う。
【0073】
これにより、反力桁18の傾斜を把握しながら載荷試験ができる。
なお、以上の説明は、第1の実施の形態で説明した載荷試験装置10を用いて説明したが、第2の実施の形態〜第5の実施の形態で説明した載荷試験装置40、載荷試験装置50、載荷試験装置60、載荷試験装置62を用いて行ってもよい。
【符号の説明】
【0074】
10 載荷試験装置
12 試験杭(載荷版又は杭)
14 反力杭
16 ジャッキ(荷重付加手段)
18 反力桁
32 反力桁用変位計測器(反力桁用変位計測手段)
33 支柱(反力桁用変位計測手段)
34 変位センサ(反力桁用変位計測手段)
36 位置調節部(反力桁用変位計測手段)
38 コントローラ(荷重制御手段)
44 不動梁
100 載荷版用変位計測器(載荷版用変位計測手段)
102 反力杭用変位計測器(反力杭用変位計測手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎支持面に置かれた載荷版又は地盤に埋設された杭に荷重を付加する荷重付加手段と、
前記荷重付加手段の反力を受ける反力桁と、
前記載荷版又は前記杭を囲んで埋設され、前記反力桁が受けた前記反力が伝達される反力杭と、
前記反力杭と前記反力桁の間の変位量を計測する反力桁用変位計測手段と、
を有する載荷試験装置。
【請求項2】
前記荷重付加手段と離れて設けられ、前記荷重が付加されても変位しない位置に架け渡された不動梁と、
前記不動梁と前記載荷版又は前記杭の間の変位量を計測する載荷版用変位計測手段、及び前記不動梁と前記反力杭の間の変位量を計測する反力杭用変位計測手段と、
を有する請求項1に記載の載荷試験装置。
【請求項3】
前記反力杭と前記反力桁の間の変位量に基づき、前記荷重付加手段が前記載荷版又は前記杭に付加する荷重を制御する荷重制御手段を有する請求項1に記載の載荷試験装置。
【請求項4】
前記反力杭と前記反力桁の間の変位量、前記不動梁と前記載荷版又は前記杭の間の変位量、及び前記不動梁と前記反力杭の間の変位量に基づき、前記荷重付加手段が、前記載荷版又は前記杭に付加する荷重を制御する荷重制御手段を有する請求項2に記載の載荷試験装置。
【請求項5】
基礎支持面に置かれた載荷版又は地盤に埋設された杭に、荷重を付加する荷重付加手段を設置する工程と、
前記荷重付加手段の上部に、前記荷重付加手段の反力を受ける反力桁を構築する工程と、
前記載荷版又は前記杭を囲んで埋設された前記反力杭と、前記反力桁を連結する工程と、
前記反力杭と前記反力桁の間の変位量を計測する反力桁用変位計測手段を設ける工程と、
前記載荷版又は前記杭に、前記荷重付加手段で荷重を付加する工程と、
前記反力杭と前記反力桁の間の前記変位量を、前記反力桁用変位計測手段で計測する工程と、
前記変位量に基づき、前記荷重付加手段が付加する前記荷重を荷重制御手段で制御する工程と、
を有する載荷試験方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−17227(P2011−17227A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−163861(P2009−163861)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【Fターム(参考)】