説明

輪転機の連続紙走行張力調整方法及び連続紙走行張力調整装置

【課題】輪転機を停止するときや、停止後に輪転機を再始動するときに、折部で紙詰まりを生ずることを防止する。
【解決手段】連続紙走行張力調整装置1が停止操作によって輪転機を停止する際に、停止操作により停止に向けて漸減する輪転機の作動速度で走行する連続紙の所望張力を、予め定めた印刷時所望張力から印刷時所望張力よりも小さく予め定めた停止時所望張力まで徐々に変更し、所望張力が停止時所望張力に達した後は所望張力を予め定めた停止時所望張力に維持し、印刷部PPに送り込む連続紙に停止時所望張力まで変更されて停止時所望張力に維持される所望張力に相応するよう変更した紙面に直角に作用する力を付与し、この力と印刷部PPに送り込む連続紙の実際張力により生じる上記紙面に直角に作用する力に対抗する力とが均衡するように印刷部PPに送り込む連続紙の送り込み量を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続紙を使用する輪転機における、前記連続紙の走行張力の調整方法及び調整装置に関し、特に、オフセット輪転機のように、印刷稼働中は印刷部において、駆動されて回転するブランケット胴と圧胴が連続紙を挟んで下流側に送り出し、停止するときに前記印刷部におけるブランケット胴と圧胴による連続紙を下流側に送り出す作用が無くなる輪転機において、輪転機を停止するときの連続紙の走行張力を適正に調整し、輪転機を停止するとき及び停止した後に再度始動するときに不都合が発生しないようにする、輪転機の連続紙の走行張力の調整方法及び調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
輪転機を始動するとき及び輪転機を停止するときの連続紙の走行張力を調整し、輪転機を始動するとき及び輪転機を停止するときに、連続紙に作用する走行張力の不調によってこの輪転機の作動に不都合が発生するのを防止する、オフセット輪転機の連続紙の走行張力の調整に関する技術として、例えば、特許文献1(特開平10−264361号公報「ウェブオフセット輪転印刷機におけるウェブ張力を調整する方法」)に開示されるものがある。
【0003】
この公報に開示される従来技術は、張力調整装置が、空気圧シリンダーと連結された旋回可能な支持脚に回転可能に支承され、空気圧シリンダー内の空気圧に対応する力でウェブ(以下、連続紙とする)に押付けられるダンサーローラー、つまり、連続紙の所望張力に対する連続紙の実際張力の大小を検出する検出手段と、前記空気圧シリンダーと圧縮空気源を繋ぐ供給導管に設けられ空気圧シリンダー内の空気圧を調整する、つまり、連続紙の実際張力と対抗する対抗力を所望張力に相応するよう変更する比例調節弁と、給紙部から連続紙を引き出して印刷部に送り込む連続紙送り込み機構である引張りローラー対と、連続紙の走行速度に対応した信号を受領し、この信号に基づいて比例調節弁を制御する電子制御装置とを有している。そして、この張力調整装置は、引張りローラー対が給紙部から連続紙を引き出すことにより、ダンサーローラーが連続紙に押し付けられる力、つまり、所望張力に相応する対抗力と連続紙に作用する張力とが均衡し、ダンサーローラーの支持脚を予め定められた姿勢状態でダンサーローラーが予め定めた初期位置に位置するように調整して、連続紙を所望の張力で緊張させるよう構成されている。そして、印刷機(以下、輪転機とする)を始動するときには、設定された速度範囲を通って輪転機を増速するときに、ダンサーローラーが連続紙を押付ける力、つまり所望張力に相応する対抗力を、連続紙の走行速度に関して実質的に線形的に増加させて連続紙の実際張力をこの対抗力と均衡するように調整し、また、輪転機を停止するときには、輪転機が停止するまで、ダンサーローラーが連続紙を押付ける力、つまり所望張力に相応する対抗力を、印刷時と同じに維持して連続紙の実際張力をこの対抗力と均衡するように調整する。
【0004】
より詳細には、前記張力調整装置は、印刷機の停止中又は極めて低速での作動状態において、空気圧シリンダー内の圧力は零に調整される。輪転機を始動するときには、空気圧シリンダー内の圧力は、調節弁によって予め定めた比較的低い値P1に上昇され、ダンサーローラーには弱いけれども一定の圧力が負荷され、ウェブが予め定めた第1の速度S1に至るまで実質的に一定に保たれる。次いで、印刷機が増速されて、ウェブの速度が前記第1の速度S1から予め定めた最高速度より小さな第2の速度S2に至るまでの間、速度が第2の速度S2のときに空気圧シリンダー内の圧力がP2となるように、この空気圧シリンダー内の圧力は、調節弁によってウェブ速度と共に、(P2−P1)/(S2−S1)によって定められる比例定数でもって、速度に対して線形的に上昇させられる。速度を第2の速度S2よりさらに上昇させる場合には、空気圧シリンダー内の圧力は変えられることなく実質的にP2に一定に保たれる。圧力P2は、例えば圧力P1の値の10倍に定められる。
【0005】
他方、輪転機を停止させるときには、輪転機の速度が第2の速度S2から第1の速度S1の範囲を通過して停止又は極めて低速での作動状態に達する直前までの間、空気圧シリンダー内の圧力は、前記P2に実質的に一定に保たれ、輪転機が停止又は極めて低速での作動状態に達すると、空気圧シリンダー内の圧力は、ウェブ張力に依存して変化させられる。つまり、ウェブが裂けた場合には空気圧シリンダー内の圧力を前記予め定めた比較的低い値P1もしくは零に降下させ、ウェブ張力が空気圧シリンダー内の圧力P2に対応する値である場合には、空気圧シリンダー内の圧力はP2に維持される。そして、その後で輪転機を再び立ち上げる際にも、空気圧シリンダー内の圧力は実質的に一定の値P2に保たれる。
【0006】
なお、この公知の従来技術は、S1、P1及びS2、P2の値を、印刷作業員が自由に変更できることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−264361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、連続紙は弾性体であり力の作用に応じて伸縮する。このような連続紙を走行方向へ引いて走行させる場合、上流側の紙引き機構の出口から下流側の紙引き機構までの間隔が長いと、連続紙は下流側の紙引き機構の引く力によって両者の間で伸び、張力が高まった状態で走行する。この伸びと張力の高まりを防止するため、輪転機では、走行方向へ向かう力を、走行経路を走行する連続紙に適宜の間隔で付与するようにしている。例えばオフセット輪転機においては、連続紙送り込み機構によって給紙部から引き出され印刷部に送り込まれる連続紙は、印刷稼働中は、印刷部において、駆動されて回転するブランケット胴と、同様に駆動されて回転する圧胴又は圧胴の作用をなす他のブランケット胴(以下、圧胴とする)との間に挟まれて、印刷を施されるとともに、下流側に送り出され続ける。そして、この下流側に送り出される連続紙は、印刷部の下流側において、適宜に配置された駆動されて回転するドラグローラーやニッピングローラー等の紙引き機構によって、上流側から送り出される速度よりも僅かに速い速度で引かれ、より下流側に送り出されることを繰り返されて走行させられる。そして、この連続紙は、折部において、互いに平行に設けられた折胴と鋸胴の間に送り込まれ、先行側が、鋸胴に設けられた切断刃によって鋸胴の中心線と平行に切断されるとともに、後続の先端部、つまり切断位置の直近上流側位置が、折胴の中心線と平行に配列された状態で折胴周面から突出する複数の針に刺し通されることによって折胴に保持され、折胴の回転にしたがって折胴の回転方向に引っ張られる。
【0009】
他方、印刷終了後、停止操作によって輪転機を停止する際には、印刷部においてブランケット胴と圧胴との間が隔たり、両者に挟まれていた連続紙が開放されるとともに、減速されて停止に至る。そして、前記ブランケット胴と圧胴の間から開放された連続紙は、印刷部で付与されていた走行方向に向かう力を一気に失い、印刷部の上流側の連続紙送り込み機構の出口から印刷部の下流側に設けられた紙引き機構までの長い間隔にわたって、前記印刷部の下流側に設けられた紙引き機構のみによって引かれることになる。
【0010】
このような輪転機においては、前記従来技術では、輪転機を停止する際と、停止後に印刷機を再び始動する際に不都合が生じることがあった。
【0011】
すなわち、ダンサーローラーが走行する連続紙に印刷稼働時と同じ大きな力で押付けられたままで輪転機が停止に至る場合、つまり、前記ダンサーローラーが押付けられる力と均衡する大きな張力が連続紙に作用したままで輪転機が停止に至る場合において、前記のように印刷部で付与されていた走行方向に向かう力が消滅すると、印刷部の下流側に設けられた紙引き機構による引きによって、この紙引き機構の上流側の連続紙に伸びが生じて張力が高まり、張力が高まった連続紙がこの紙引き機構の出口側に送り出されるようになり、この紙引きローラーの下流側を走行する連続紙の張力を徐々に高めていた。他方、印刷部の上流側では、印刷部の下流側に設けられた紙引き機構による引きが、連続紙の伸びのためそれまでの印刷部による引きのように即座に作用しないので、ダンサーローラーが、変位しないか変位しても僅かであるので、連続紙送り込み機構が巻取紙から引き出して印刷部に送り出す連続紙の量を増加することがない。従って、下流側において前記したように高まる連続紙の張力は即座に低減されず、場合によっては、連続紙の張力が高いまま輪転機が停止することがあった。その結果、折部に至って折胴の針に保持されて引かれる連続紙の先端側では、高まった連続紙の張力が針と連続紙の接触部に集中して作用し、連続紙が針の接触部で長手方向に裂け、連続紙の先端が針から開放されて折胴による引きがなされなくなり、輪転機の停止前又は停止後の始動時に、上流側から送り込まれる連続紙が折胴と鋸胴の間又はその下方に滞り、紙詰まりを生じた。
【0012】
本発明は、輪転機を停止するときに、連続紙送り込み機構の出口より下流側の連続紙に必要以上の張力が生じないようにして、針が連続紙を裂いて連続紙の先端側に外れることを防止し、輪転機を停止するときや、停止後に輪転機を再始動するときに、折部で紙詰まりを生ずることを防止し、その結果、この紙詰まりにより輪転機の稼動効率が低下することを防止する輪転機の連続紙走行張力調整方法の提供を目的とする。
【0013】
また、本発明は、輪転機を停止するときに、連続紙送り込み機構の出口より下流側の連続紙に必要以上の張力が生じないようにして、針が連続紙を裂いて連続紙の先端側に外れることを防止し、輪転機を停止するときや、停止後に輪転機を再始動するときに、折部で紙詰まりを生ずることを防止し、その結果、この紙詰まりにより輪転機の稼動効率が低下することを防止する連続紙走行張力調整装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の連続紙走行張力調整方法は、輪転機にて、制動されている巻取紙から連続紙を引き出して印刷部を経て折部に至らせ印刷して折り畳み処理するに際し、印刷部に送り込む連続紙に、所望張力に相応する紙面に直角に作用する力を負荷するとともに、この力の負荷位置を経て印刷部に至るよう走行する連続紙の送り込み量を調整して、走行する連続紙に作用する実際張力を所望張力に相応する紙面に直角に作用する力と均衡するように調整する連続紙走行張力調整方法である。前記連続紙走行張力調整方法は、印刷信号により漸増する輪転機の作動速度で走行する連続紙の所望張力を、予め定めた待機時所望張力からこの待機時所望張力よりも大きく予め定めた印刷時所望張力まで、時間の経過に関連させて予め定めた所定の関係で徐々に変更し、予め定めた前記印刷時所望張力に達した後は、所望張力を前記予め定めた印刷時所望張力に維持する印刷時所望張力変更ステップと、印刷部に送り込む連続紙の紙面に直角に作用する力を、前記徐々に変更され終には予め定めた印刷時所望張力に維持される所望張力に相応するよう変更するとともに、この変更した力と印刷部に送り込む連続紙の実際張力によって生じる前記連続紙の紙面に直角に作用する力に対抗する力とが均衡するように、前記所望張力の変更と並行して印刷部に送り込む連続紙の送り込み量を調整する印刷時張力調整ステップと、停止信号により停止に向けて漸減する輪転機の作動速度で走行する連続紙の所望張力を、予め定めた印刷時所望張力からこの印刷時所望張力よりも小さく予め定めた停止時所望張力まで、時間の経過に関連させて予め定めた所定の関係で徐々に変更し、予め定めた前記停止時所望張力に達した後は、所望張力を前記予め定めた停止時所望張力に維持する停止時所望張力変更ステップと、印刷部に送り込む連続紙の紙面に直角に作用する力を、前記徐々に変更され終には予め定めた停止時所望張力に維持される所望張力に相応するよう変更するとともに、この変更した力と印刷部に送り込む連続紙の実際張力によって生じる前記連続紙の紙面に直角に作用する力に対抗する力とが均衡するように、前記所望張力の変更と並行して印刷部に送り込む連続紙の送り込み量を調整する停止時張力調整ステップと、輪転機の作動が停止した後に所望張力を予め定めた停止時所望張力から予め定めた待機時所望張力に変更する待機時所望張力変更ステップとを有する。
【0015】
好ましくは、本発明の輪転機の連続紙走行張力調整方法において、所望張力のうち少なくとも停止時所望張力が変更設定可能であり、前記印刷時所望張力変更ステップに先んじて停止時所望張力を変更設定する停止時所望張力設定ステップを有する。
【0016】
好ましくは、本発明の輪転機の連続紙走行張力調整方法において、前記停止時所望張力の値が前記待機時所望張力の値よりも小さく設定されている。
【0017】
好ましくは、本発明の輪転機の連続紙走行張力調整方法において、停止時所望張力から待機時所望張力への所望張力の変更が、輪転機停止後予め定めた時間を経過した後に、時間の経過に関連させて予め定めた所定の関係で徐々に行われる。
【0018】
好ましくは、本発明の輪転機の連続紙走行張力調整方法において、前記停止時所望張力の値が待機時所望張力の値よりも小さく設定されており、停止時所望張力から待機時所望張力への所望張力の変更が、輪転機停止後予め定めた時間を経過した後に、時間の経過に関連させて予め定めた所定の関係で徐々に行われる。
【0019】
また、本発明の連続紙走行張力調整装置は、輪転機に設けられ、制動されている巻取紙から連続紙を引き出して印刷部を経て折部に至らせ印刷して折り畳み処理するに際し、印刷部に送り込む連続紙に所望張力に相応する紙面に直角に作用する力を負荷するとともに、この力の負荷位置を経て印刷部に至るよう走行する前記連続紙の送り込み量を調整して、走行する連続紙に作用する実際張力によって生じる、前記所望張力に相応する紙面に直角に作用する力に対抗する力を前記所望張力に相応する紙面に直角に作用する力と均衡するように調整する連続紙走行張力調整装置である。本発明の連続紙走行張力調整装置は、接触して走行する連続紙に予め定めた所望張力に相応する力を紙面に直角に作用するように付与可能であるとともに、この力と連続紙の実際張力によって生じる紙面に直角に作用するように付与される力に対抗する力との大小に応じて変位可能であるように、印刷部の上流側に設けられたダンサーローラーを含む検出機構と、前記検出機構の上流側に設けられ、ダンサーローラーが所定の位置にある状態で前記紙面に直角に作用するように付与される力に対して連続紙の実際張力によって生じる前記対抗する力が均衡するように、前記検出機構を経て印刷部に至るよう走行する連続紙の送り込み量を増減する連続紙送り込み機構と、連続紙送り込み機構の動作を制御する制御手段とを備える。前記制御手段が、待機時所望張力、印刷時所望張力、停止時所望張力を登録されるとともに、輪転機制御信号を受領し、受領した輪転機制御信号と登録された待機時所望張力、印刷時所望張力、停止時所望張力に基づいて、時間の経過に関連させて予め定めた所定の関係で、所望張力を徐々に変更し、変更した所望張力に相応する前記紙面に直角に作用するように付与される力を前記検出機構のダンサーローラーを介して連続紙に負荷し、更に、前記検出機構が出力する検出信号に基づいて、連続紙送り込み機構の動作を制御するように構成される。
【0020】
好ましくは、本発明の輪転機の連続紙走行張力調整装置において、前記制御手段が、前記登録される各所望張力値を設定又は変更するための入力操作手段を備える。
【0021】
好ましくは、本発明の輪転機の連続紙走行張力調整装置において、前記登録される各所望張力値を設定又は変更するための入力操作手段が、輪転機制御盤の入力手段である。
【0022】
好ましくは、本発明の輪転機の連続紙走行張力調整装置において、前記制御手段が、印刷信号により漸増する輪転機の作動速度で走行する連続紙の所望張力を、予め定めた待機時所望張力からこの待機時所望張力よりも大きく予め定めた印刷時所望張力まで、時間の経過に関連させて予め定めた所定の関係で徐々に変更し、予め定めた前記印刷時所望張力に達した後は、所望張力を前記予め定めた印刷時所望張力に維持し、印刷部に送り込む連続紙の紙面に直角に作用する力を、前記徐々に変更され終には予め定めた印刷時所望張力に維持される所望張力に相応するよう変更し、印刷部に送り込む連続紙の実際張力が前記連続紙の紙面に直角に作用する力に均衡するように、前記所望張力の変更と並行して印刷部に送り込む連続紙の送り込み量を調整し、停止信号により停止に向けて漸減する輪転機の作動速度で走行する連続紙の所望張力を、予め定めた印刷時所望張力からこの印刷時所望張力よりも小さく予め定めた停止時所望張力まで、時間の経過に関連させて予め定めた所定の関係で徐々に変更し、予め定めた前記停止時所望張力に達した後は、所望張力を前記予め定めた停止時所望張力に維持し、印刷部に送り込む連続紙の紙面に直角に作用する力を、前記徐々に変更され終には予め定めた停止時所望張力に維持される所望張力に相応するよう変更し、印刷部に送り込む連続紙の実際張力が前記連続紙の紙面に直角に作用する力に均衡するように、前記所望張力の変更と並行して印刷部に送り込む連続紙の送り込み量を調整し、輪転機の作動が停止した信号により、所望張力を、予め定めた停止時所望張力から予め定めた待機時所望張力に変更するように構成される。
【発明の効果】
【0023】
本発明の輪転機の連続紙走行張力調整方法及び連続紙走行張力調整装置は、輪転機にて、巻取紙から連続紙を引き出して印刷部を経て折部に至らせ印刷して折り畳み処理するに際し、連続紙を印刷部に送り込む送り込み量を調整して印刷部に送り込む連続紙に作用する張力を所望張力に調整する連続紙の走行張力調整において、特に停止操作によって輪転機を停止する際に、停止操作により停止に向けて漸減する輪転機の作動速度で走行する連続紙の所望張力を、予め定めた印刷時所望張力からこの印刷時所望張力よりも小さく予め定めた停止時所望張力まで、時間の経過に関連させて予め定めた所定の関係で徐々に変更し、予め定めた前記停止時所望張力に達した後は、所望張力を前記予め定めた停止時所望張力に維持するとともに、印刷部に送り込む連続紙に、前記徐々に変更され終には予め定めた停止時所望張力に維持される所望張力に相応するよう変更した紙面に直角に作用する力を負荷し、印刷部に送り込む連続紙の実際張力が前記連続紙の紙面に直角に作用する力に均衡するように、印刷部に送り込む連続紙の送り込み量の調整を行う。
【0024】
具体的には、本発明の輪転機の連続紙走行張力調整方法及び連続紙走行張力調整装置は、停止操作による停止信号により、走行する連続紙を紙面に直角に押す所望張力に相応する力を、所望張力が予め定めた印刷時所望張力からこの印刷時所望張力よりも小さく予め定めた停止時所望張力まで、時間の経過に関連させて予め定めた所定の関係で徐々に減少させ、この連続紙を紙面に直角に作用する押す力の減少に対応して連続紙の実際の走行張力が減少し、両方の力が均衡するように、つまり、所望張力に相応する紙面に直角に作用する力で押される位置側の連続紙に作用する張力が連続紙を押す力と同等まで減少するように、巻取紙から引き出して送り出す連続紙の量を増加する。従って、前記停止信号により、印刷部で付与されていた走行方向に向かう力が消滅しても、印刷部の下流側に設けられた紙引き機構の引きによる、この紙引き機構の上流側の連続紙の伸びが緩和乃至解消され、この紙引き機構の上流側の連続紙の張力の高まりが抑えられ、延いては、この紙引き機構の下流側を走行する連続紙の張力を高めることがない。その結果、折部に至って折胴の針に保持されて引かれる連続紙の先端側で、連続紙が針の接触部で長手方向に裂けることがなく、連続紙は折胴によって確実に引かれるので、輪転機の停止前又は停止後の始動時に、上流側から送り込まれる連続紙が折胴と鋸胴の間又はその下方に滞り、紙詰まりを生じることがなくなる。すなわち、紙詰まりによる輪転機の稼動効率が低下するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る輪転機の連続紙走行張力調整装置の1つの実施形態の構成を示す概略図である。
【図2】図1に示す連続紙走行張力調整装置による連続紙走行張力調整における、所望張力と輪転機の稼動状況の関係の一例を示す図である。
【図3】本発明に係る連続紙走行張力調整装置が設けられた輪転機の全体概略図である。
【図4】図3に示す折部のIV矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る輪転機の連続紙走行張力調整装置の1つの実施形態の構成を示す概略図である。図2は、図1に示す連続紙走行張力調整装置による連続紙走行張力調整における、所望張力と輪転機の稼動状況の関係の一例を示す図である。図3は、本発明に係る連続紙走行張力調整装置が設けられた輪転機の全体概略図である。図4は、図3に示す折部のIV矢視図である。
【0027】
輪転機RPは、図3及び図4に示すように、給紙部SP、印刷部PP、折部FLを備える。給紙部SPには、巻取紙WRを回転制動可能に支持する巻取紙支持機構(図示せず)が設けられる。そして、給紙部SPの巻取紙支持機構に支持された巻取紙WRから引き出された連続紙Wが、印刷部PPを経て折部FLに至らされ、更に、折部FLに互いに平行に設けられた鋸胴CCと折胴FCの間に案内され、鋸胴CCの鋸刃CBによって折胴FCの軸線と平行に切断されるとともに、切断位置の近傍上流側を、折胴FCの軸線と平行な配列状態で折胴FCの周面に突出する複数の針NDに貫通されるように構成されている。また、給紙部SPには、前記巻取紙支持機構と印刷部PPとの間に、本発明に係る連続紙走行張力調整装置1の、ダンサーローラー31(図1を参照)を含む検出機構3と、連続紙送り込み機構5とが設けられる。
【0028】
本発明に係る連続紙走行張力調整装置1は、輪転機RPに設けられ、制動されている巻取紙WRから連続紙Wを引き出して印刷部PPを経て折部FLに至らせ印刷して折り畳み処理するに際し、印刷部PPに送り込む連続紙Wに所望張力に相応する紙面に直角に作用する力を付与するとともに、この力の負荷位置を経て印刷部PPに至るよう走行する前記連続紙Wの送り込み量を調整して、走行する連続紙Wに作用する実際張力を前記所望張力に相応する紙面に直角に作用する力と均衡するように調整することによって、走行する連続紙Wに作用する実際張力を所望張力と一致させる装置である。
【0029】
連続紙走行張力調整装置1が備える検出機構3は、図1に示すように、一対の支持アーム32(一方のみ図示)に両端を回転可能に支持されたダンサーローラー31を備える。このダンサーローラー31は、後記する連続紙送り込み機構5によって巻取紙WRから引き出されて印刷部PPに向けて送り出される連続紙Wの走行経路を形成し、前記連続紙Wを周面に略180度周回させて案内する。一対の支持アーム32は、それぞれの自由端側にダンサーローラー31の端軸を回転可能に支持するとともに、支軸33を介して往復角変位可能に図示しないフレームに支持されている。また、検出機構3は、出力ロッド35が突出したときに支持アーム32を介して前記ダンサーローラー31の周面をその周面を周回する連続紙Wに押付けるよう移動させる一対のリニアアクチュエーター34(一方のみ図示)を備えている。一対のリニアアクチュエーター34は、それぞれ尾部が支軸36を介して角変位可能に図示しないフレームに支持され、前記出力ロッド35がそれぞれ別個の支持アーム32の中間部にピン37によって角変位可能に連結されている。
【0030】
検出機構3は、更に、前記支持アーム32の角変位量、つまりダンサーローラー31の変位量を、支軸33を介して検出する角変位量検出手段38を備えている。そして、図示の実施の形態では、リニアアクチュエータ−34は空気圧シリンダーよりなり、圧縮空気源ASから供給される空気圧により出力ロッド35を突出するよう作動する。空気圧シリンダーに供給される空気圧は、調節弁39によって調節可能である。また、角変位量検出手段38はポテンショメーターであり、支持アーム32とともに角変位する支軸33の角変位量を電気信号で出力する。すなわち、検出機構3は、ダンサーローラー31の周面を略180度周回して案内される連続紙Wに作用する張力によって生じる連続紙Wがダンサーローラー31の周面を押す力とダンサーローラー31がこの連続紙Wを押す力のいずれが大きいかを、ダンサーローラー31が支持アーム32を介して支軸33周りに移動することで検出する。
【0031】
すなわち、検出機構3が備える前記ダンサーローラー31は、接触して走行する連続紙Wに予め定めた所望張力に相応する紙面に直角に作用する力を前記連続紙Wの実際張力によって生じる連続紙Wがダンサーローラー31の周面を押す力に対抗する力として付与可能であり、連続紙Wの実際張力によって生じる連続紙Wがダンサーローラー31の周面を押す力と前記対抗する力の大小に応じて変位可能であるように、印刷部PPの上流側に設けられている。
【0032】
連続紙走行張力調整装置1が備える連続紙送り込み機構5は、図示しないフレームに回転可能に支持され、 電動機53によって駆動されるインフィードローラー51、インフィードローラー51に対し連続紙Wを介して接離可能に設けられた押えローラー52を備え、前記検出機構3の上流側に設けられる。連続紙送り込み機構5は、インフィードローラー51と押えローラー52との間に挟んだ連続紙Wを、電動機53によって駆動されるインフィードローラー51の回転によって下流側に送り、その送り量をインフィードローラー51の回転速度を変えることによって増減調整可能である。すなわち、連続紙送り込み機構5は、ダンサーローラー31が所定の位置にある状態で連続紙Wの実際張力に対抗する力に対して連続紙Wの実際張力によって生じる連続紙Wがダンサーローラー31の周面を押す力が均衡するように、検出機構3を経て印刷部PPに至るよう走行する連続紙Wの送り込み量を増減する。
【0033】
連続紙走行張力調整装置1は、また、前記検出機構3及び連続紙送り込み機構5の動作を制御する制御手段7を備えている。制御手段7は、基準となる所望張力である待機時所望張力T1 、印刷時所望張力T2 及び停止時所望張力T3 が登録される登録部71と、制御部72とを備える。制御部72は、予め定められた、登録部71に登録された所望張力(待機時所望張力T1 、印刷時所望張力T2 、停止時所望張力T3 )及び輪転機制御盤(図示せず)から出力される輪転機制御信号と、所定の単位時間毎の所望張力の増減値との関係に基づいて、所望張力を変更する。輪転機制御信号は、例えば、輪転機を起動する輪転機の起動信号、輪転機を印刷稼働させる印刷信号、又は、輪転機を減速させる停止信号である。制御部72は、所望張力が待機時所望張力T1 である状態で印刷信号が出力されると、例えば、所定の単位時間tごとに所望張力を所定の大きさaだけ増加させる。また、制御部72は、所望張力が印刷時所望張力T2 である状態で停止信号が出力されると、例えば、所定の単位時間tごとに所望張力を所定の大きさbだけ減少させる。そして、制御部72は、上記変更した所望張力に基づいて、前記検出機構3の調節弁39を操作する弁操作信号を出力し、更に、前記検出機構3の角変位量検出手段38が出力するダンサーローラー31の変位信号に基づいて、連続紙送り込み機構5の電動機53の作動速度を調整する速度調整信号を出力する。制御手段7は、更に、必要に応じて、前記待機時所望張力T1 、印刷時所望張力T2 及び停止時所望張力T3 を設定又は変更するための入力操作部73を備えている。なお、輪転機の作動を制御する前記輪転機制御盤の入力部が入力操作部73を兼ねるようにしても良い。
【0034】
ここで、所望張力とは、輪転機における連続紙Wに作用する望ましい大きさの張力であり、輪転機の稼動状態によって相違する。例えば、前記待機時所望張力T1 は、輪転機に電力が供給されて起動信号を待つ状態乃至寸動状態における所望張力である。印刷時所望張力T2 は、印刷信号によって輪転機が予め定めた速度以上で印刷稼働する状態における所望張力である。停止時所望張力T3 は、停止信号によって輪転機が予め定めた速度以下に減速された状態乃至停止時以後の所定時間内における所望張力である。
【0035】
すなわち、制御部72は、輪転機制御信号を受領し、受領した輪転機制御信号と登録された待機時所望張力T1 、印刷時所望張力T2 、停止時所望張力T3 に基づいて、時間の経過に関連させて予め定めた所定の関係で、所望張力を徐々に変更し、変更した所望張力に相応する前記連続紙Wの実際張力によって生じる連続紙Wがダンサーローラー31の周面を押す力に対抗する力を前記検出機構3のダンサーローラー31を介して連続紙Wに負荷し、更に、前記検出機構3が出力する検出信号(ダンサーローラー31の変位信号)に基づいて、連続紙送り込み機構5の動作を制御する。
【0036】
次に、上記構成の連続紙走行張力調整装置1の作動について説明する。輪転機稼動に向けて輪転機の主電源がONされると、給紙部SPの巻取紙支持機構を介して、巻取紙WRに適宜の回転制動力が付与され自由回転が規制される。また、連続紙走行張力調整装置1の制御手段7に電力が供給され、制御部73は、弁操作信号を出力して調節弁39を操作し、圧縮空気源ASからリニアアクチュエーター34に供給される空気圧を、ダンサーローラー31が連続紙Wを紙面に直角に押す力が待機時所望張力T1 に相応する力となるよう調整する。詳細には、ダンサーローラー31の周面が、その外周面に略180度巻き付けられ案内される連続紙Wを、予め登録された待機時所望張力T1 に相応する力で押すように、リニアアクチュエーター34に供給される空気圧を調整する。
【0037】
ここで、ダンサーローラー31が連続紙Wを押す際の、所望張力に相応する力Fは、連続紙Wに作用する実際張力Tが所望張力と等しいときに、実際張力Tによって生じる連続紙Wがダンサーローラー31の周面を押す力に均衡する力である。図示の実施の形態のように、連続紙Wがダンサーローラー31の外周面の略180度に巻き付けられる場合には、Fは、ダンサーローラー31の上流側を走行する連続紙Wの実際張力Tuとダンサーローラー31の下流側を走行する連続紙Wの実際張力Tdとの合力Tu+Tdに等しい力である。実際張力Tuと実際張力Tdはいずれも実際張力Tに略等しく、したがって、F=Tu+Td=T×2である。
【0038】
つまり、図示の実施の形態において、所望張力が待機時所望張力T1 であるときは、ダンサーローラー31の外周面が連続紙Wを待機時所望張力T1 の2倍の力F1 で押すように、圧縮空気源ASを調節弁39で調整する。
【0039】
なお、登録部71に待機時所望張力T1 、印刷時所望張力T2 及び停止時所望張力T3 が登録されてないときには、これらの値はいずれも零である。
【0040】
登録部71に新たに待機時所望張力T1 、印刷時所望張力T2 及び停止時所望張力T3 を登録するときや、連続紙Wの幅や連続紙Wの種類が変更になる等、登録部71に登録されている待機時所望張力T1 、印刷時所望張力T2 及び停止時所望張力T3 を変更登録する必要があるときは、入力操作部73を操作して待機時所望張力T1 、印刷時所望張力T2 及び停止時所望張力T3 を新規登録するか、又は変更登録する。この新規登録又は変更登録に従い、制御部73は、弁操作信号を変更出力して調節弁39を操作し、圧縮空気源ASからリニアアクチュエーター34に供給される空気圧を変更調整する。
【0041】
リニアアクチュエーター34に調節弁39で調整された空気圧が供給されると、ダンサーローラー31は待機時所望張力T1 に相応する力F1 (=T1 ×2)で連続紙Wを押す。連続紙Wの実際張力Trが、連続紙Wを押す力F1 の2分の1の力、つまり待機時所望張力T1 に満たないときは、ダンサーローラー31は、支軸33周りに角変位する支持アーム32を介して、連続紙Wが周回する周面側(例えば、図1中の右側)に、適宜に設けられたストッパー(図示せず)によって停止されるまで移動する。連続紙Wの実際張力Trが、連続紙Wを押す力F1 の2分の1の力、つまり待機時所望張力T1 より大きいときは、ダンサーローラー31は、支軸33周りに角変位する支持アーム32を介して、連続紙Wが周回しない周面側(例えば、図1中の左側)に、適宜に設けられたストッパー(図示せず)によって停止されるまで移動する。連続紙Wの実際張力Trが、連続紙Wを押す力F1 の2分の1の力、つまり待機時所望張力T1 と同じときは、ダンサーローラー31は移動しない。
【0042】
所望張力が待機時所望張力T1 である状態において、輪転機制御盤から輪転機の起動信号が出力されると、輪転機が起動する。次いで、図2に示すように、印刷信号が出力されると、印刷部PPにおいて少なくとも1対のブランケット胴BC、BCが連続紙Wを挟んで接触して回転し、連続紙Wに走行方向の力を付与し、輪転機が、時間の経過に関連させて予め定めた所定の関係、例えば、所定の単位時間tごとに所定の大きさcの関係で予め定められた定速印刷速度まで徐々に増速する。他方、前記制御部73は、印刷信号が出力されると、登録されている待機時所望張力T1 及びこの待機時所望張力T1 より大きな印刷時所望張力T2 並びに時間の経過に関連させて予め定めた所定の関係、例えば、所定の単位時間tごとに所定の大きさaだけ増加する関係に基づいて、所望張力T1-2 を待機時所望張力T1 から印刷時所望張力T2 まで徐々に増加変更する。更に、制御部73は、増加変更した所望張力T1-2 に基づいて弁操作信号を出力して調節弁39を操作し、ダンサーローラー31が前記待機時所望張力T1 から印刷時所望張力T2 まで変更されるまでの間の所望張力T1-2 に相応して変更される力F1-2 (=T1-2 ×2)で連続紙Wを押すように、圧縮空気源ASからリニアアクチュエータ−31に供給される空気圧を調整する。そして、前記制御部73は、所望張力T1-2 が印刷時所望張力T2 と等しくなると、所望張力T1-2 を印刷時所望張力T2 に維持するとともに、この印刷時所望張力T2 に相応する力F2 (T2 ×2)でダンサーローラー31が連続紙Wを押すように、弁操作信号を出力して調節弁39を一定状態に維持し、圧縮空気源ASからリニアアクチュエーター34に供給される空気圧を一定に維持する。
【0043】
すなわち、制御部73は、印刷信号により漸増する輪転機の作動速度で走行する連続紙Wの所望張力を、予め定めた待機時所望張力T1 からこの待機時所望張力T1 よりも大きく予め定めた印刷時所望張力T2 まで、時間の経過に関連させて予め定めた所定の関係で徐々に変更し、予め定めた前記印刷時所望張力T2 に達した後は、所望張力を前記予め定めた印刷時所望張力T2 に維持する。なお、輪転機制御盤を操作しての起動信号出力処理に先んじて入力操作部73を操作して、制御部73の停止時所望張力T3 を変更設定するようにしてもよい。
【0044】
また、前記制御部73は、起動信号乃至印刷信号が出力されると、連続紙送り込み機構5を作動させる。この際、検出手段3のダンサーローラー31が予め定めた基準位置、例えば、ダンサーローラー31の移動範囲の中間位置に位置しているか否かを、支軸33の角変位量によってダンサーローラー31の変位量を示す角変位量検出手段38が出力する電気信号から検知する。制御部73は、ダンサーローラー31が基準位置に位置していないときは、ダンサーローラー31が基準位置に復帰するように、電動機53の回転速度を制御する。具体的には、制御部73は、連続紙送り込み機構5が、その下流側、つまりダンサーローラー31側に送り込む連続紙Wの送り込み量を、印刷部PPが下流側に連続紙Wを送り出す送り出し量と相違させるために、連続紙送り込み機構5のインフィードローラー51の回転速度を制御するべく、電動機53の回転速度を制御する速度調整信号を出力する。すなわち、ダンサーローラー31が基準位置より予め定めた不感領域を超えて右側に位置しているとき、つまり、印刷部PPと連続紙送り込み機構5との間の連続紙Wの実際張力Trが所望張力T1-2 (又はT2 )より予め定めた閾値を超えて小さいときは、制御部73は、連続紙Wの実際張力Trが大きくなって閾値内に入るよう、印刷部PPが下流側に送り出す連続紙Wの送り出し量より、連続紙送り込み機構5が下流側のダンサーローラー31側に送り込む連続紙Wの送り込み量を減少させるために、インフィードローラー51の回転周面速度を印刷部PPのブランケット胴BCの回転周面速度より遅くするべく、電動機53の回転速度を制御する速度調整信号を出力する。ダンサーローラー31が基準位置より予め定めた不感領域を超えて左側に位置しているとき、つまり、印刷部PPと連続紙送り込み機構5との間の連続紙Wの実際張力Trが所望張力T1-2 (又はT2 )より予め定めた閾値を超えて大きいときは、制御部73は、連続紙Wの実際張力Trが小さくなるよう、印刷部PPが下流側に送り出す連続紙Wの送り出し量より、連続紙送り込み機構5が下流側のダンサーローラー31側に送り込む連続紙Wの送り込み量を増加させるために、インフィードローラー51の回転周面速度を印刷部PPのブランケット胴BCの回転周面速度より速くするべく、電動機53の回転速度を制御する速度調整信号を出力する。
【0045】
そして、所望張力T1-2 が前記待機時所望張力T1 から印刷時所望張力T2 まで増加変更される間、角変位量検出手段38がダンサーローラー31の位置に基づいて前記所望張力T1-2 と連続紙Wの実際張力Trの大小を検出し、この検出結果に従って、前記したようにダンサーローラー31を基準位置に戻し、更に、この状態で連続紙Wが印刷に適した張力状態で走行するように制御する。つまり、連続紙Wの実際張力Trが現在の所望張力T1-2 と一致した状態で走行して、実際張力Trによって生じる連続紙Wがダンサーローラー31の周面を押す力(Tr×2)とダンサーローラー31が連続紙Wを押す力F1-2 (=T1-2 ×2)とが均衡し、ダンサーローラー31が基準位置に留まるように制御する。
【0046】
すなわち、制御部73は、印刷部PPに送り込む連続紙Wの紙面に直角に作用する力を、前記徐々に変更され終には予め定めた印刷時所望張力T2 に維持される所望張力に相応するよう変更し、印刷部PPに送り込む連続紙Wの実際張力によって生じる連続紙Wがダンサーローラー31の周面を押す力が前記連続紙Wの紙面に直角に作用する力に均衡するように、前記所望張力の変更と並行して印刷部PPに送り込む連続紙Wの送り込み量を調整する。
【0047】
詳細には、所望張力T1-2 の増加変更にともない、調節弁39が操作されてダンサーローラー31が連続紙Wを押す力F1-2 が増加変更されることにより、ダンサーローラー31は、現在以前の所望張力BT1-2 に整合するように調整された連続紙Wの実際張力BTrによって生じる、連続紙Wがダンサーローラー31の周面を押す力(BT1-2 ×2)に勝って右側に変位するよう押し込んで、基準位置から予め定めた不感領域を越えて移動する。すると、これを角変位量検出手段38の出力する電気信号から検知した前記制御部73は、この検知に対応して、ダンサーローラー31を基準位置に戻すために、連続紙送り込み機構5がダンサーローラー31側に送り込む連続紙Wの送り込み量を減少させるように、インフィードローラー51の回転速度を遅くするべく、電動機53の回転速度を遅くする速度調整信号を出力する。紙送り込み機構5がダンサーローラー31側に送り込む連続紙Wの送り込み量を減少することにより、連続紙送り込み機構5と印刷部PP間では、印刷部PPが下流側に送り出す連続紙Wの送り出し量が、連続紙送り込み機構5がダンサーローラー31側に送り込む連続紙Wの送り込み量に勝り、連続紙Wの実際張力Trが現在の所望張力T1-2 に勝るよう増加する。その結果、ダンサーローラー31が基準位置に戻る。
【0048】
ダンサーローラー31が基準位置に戻ると、制御部73は、連続紙送り込み機構5がダンサーローラー31側に送り込む連続紙Wの送り込み量が、印刷部PPが下流側に送り出す連続紙Wの送り出し量と一致するよう、インフィードローラー51の回転周面速度がブランケット胴BCの回転周面速度と一致させるべく、電動機53の回転速度を速くする速度調整信号を出力する。
【0049】
なお、前記所望張力T1-2 を待機時所望張力T1 から印刷時所望張力T2 まで徐々に増加変更するべく時間の経過に関連させて予め定めた所定の関係は、輪転機が、時間の経過に関連させて予め定めた所定の関係で速度零又は寸動速度から徐々に増速され、予め定められた定速印刷速度に達するまでの時間より早く、所望張力T1-2 が印刷時所望張力T2 と等しくなるように設定している。
【0050】
また、印刷稼働中は、前記したように、印刷部PPにおいて少なくとも1対のブランケット胴BC、BCが、連続紙Wを拘束しつつこれに走行方向の力を付与するので、印刷部PPの上流側の連続紙送り込み機構5の出口から印刷部PPの下流側に設けられた、例えばアウトフィード機構である下流側紙引き機構9(図3参照)までの間に、大きな伸び代が存在しない。
【0051】
続いて、予め定めた所定数の印刷が終了して、図2に示すように輪転機制御盤から輪転機の停止信号が出力されると、輪転機において、時間の経過に関連させて予め定めた所定の関係、例えば、所定の単位時間tごとに所定の大きさdの関係で徐々に作動速度が減速する。また、印刷部PPにおいて、連続紙Wを挟んで接触して回転していたすべてのブランケット胴BC、BCの間が隔たり、両者に挟まれて下流側に送り出されていた連続紙Wが開放される。開放された連続紙Wは、印刷部PPの上流側の連続紙送り込み機構5の出口から印刷部PPの下流側に設けられた、例えばアウトフィード機構である下流側紙引き機構9(図3参照)までの長い間隔にわたり、この下流側紙引き機構9によって引かれる。そして、この連続紙Wは、前記連続紙送り込み機構5と下流側紙引き機構9の距離に比例する大きな伸び代によって伸び、この間の連続紙Wの張力が若干増加する。他方、前記制御部73は、停止信号が出力されると、登録されている印刷時所望張力T2 及びこの印刷時所望張力T2 より小さな停止時所望張力T3 並びに時間の経過に関連させて予め定めた所定の関係、例えば、所定の単位時間tごとに所定の大きさbだけ減少する関係に基づいて、所望張力T2-3 を印刷時所望張力T2 から停止時所望張力T3 まで徐々に減少変更する。更に、制御部73は、減少変更した所望張力T2-3 に基づいて弁操作信号を出力して調節弁39を操作し、ダンサーローラー31が前記印刷時所望張力T2 から停止時所望張力T3 まで変更される所望張力T2-3 に相応して変更される力F2-3 (=T2-3 ×2)で連続紙Wを押すように、圧縮空気源ASからリニアアクチュエーター34に供給される空気圧を調整する。そして、前記制御部73は、所望張力T2-3 が停止時所望張力T3 と等しくなると、少なくとも輪転機が停止するまでの間、所望張力T2-3 を停止時所望張力T3 に維持するとともに、この停止時所望張力T3 に相応する力F3 (=T3 ×2)でダンサーローラー31が連続紙Wを押すように、弁操作信号を出力して調節弁39を一定状態に維持し、圧縮空気源ASからリニアアクチュエーター34に供給される空気圧を一定に維持する。
【0052】
すなわち、制御部73は、停止信号により停止に向けて漸減する輪転機の作動速度で走行する連続紙Wの所望張力を、予め定めた印刷時所望張力T2 からこの印刷時所望張力T2 よりも小さく予め定めた停止時所望張力T3 まで、時間の経過に関連させて予め定めた所定の関係で徐々に変更し、予め定めた前記停止時所望張力T3 に達した後は、所望張力を前記予め定めた停止時所望張力T3 に維持する。
【0053】
そして、所望張力T2-3 が前記印刷時所望張力T2 から停止時所望張力T3 まで減少変更される間、角変位量検出手段38がダンサーローラー31の位置に基づいて前記所望張力T2-3 と連続紙Wの実際張力Trの大小を検出し、この検出結果に従って、前記したようにダンサーローラー31を基準位置に戻し、更に、この状態で連続紙Wが印刷に適した張力状態で走行するように制御する。つまり、連続紙Wの実際張力Trが現在の所望張力T2-3 と一致した状態で走行して、実際張力Trによって生じる連続紙Wがダンサーローラー31の周面を押す力(Tr×2)とダンサーローラー31が連続紙Wを押す力F2-3 (=T2-3 ×2)が均衡しダンサーローラー31が基準位置に留まるように制御する。
【0054】
詳細には、所望張力T2-3 の減少変更に伴い、調節弁39が操作されてダンサーローラー31が連続紙Wを押す力F2-3 が減少変更されることにより、ダンサーローラー31は、現在以前の所望張力BT2-3 に整合するように調整された連続紙Wの実際張力BTrによって生じる、連続紙Wがダンサーローラー31の周面を押す力(BT2-3 ×2)に負けて左側に変位するよう押され、基準位置から予め定めた不感領域を越えて移動する。すると、これを角変位量検出手段38の出力する電気信号から検知した前記制御部73は、この検知に対応して、ダンサーローラー31を基準位置に戻すために、連続紙送り込み機構5がダンサーローラー31側に送り込む連続紙Wの送り込み量を増加させるように、インフィードローラー51の回転速度を速くするべく、電動機53の回転速度を速くする速度調整信号を出力する。紙送り込み機構5がダンサーローラー31側に送り込む連続紙Wの送り込み量を増加することにより、連続紙送り込み機構5と下流側紙引き機構9間では、下流側紙引き機構9が下流側に送り出す連続紙Wの送り出し量が、連続紙送り込み機構5がダンサーローラー31側に送り込む連続紙Wの送り込み量に負け、連続紙Wの伸びが緩和され、連続紙Wの実際張力Trが現在の所望張力T2-3 と均衡するよう減少する。
【0055】
すなわち、制御部73は、ダンサーローラー31の周面が印刷部PPに送り込む連続紙Wの紙面を直角に押す力を、前記徐々に変更され終には予め定めた停止時所望張力T3 に維持される所望張力T2-3 に相応するよう変更するとともに、印刷部PPに送り込む連続紙Wの実際張力によって生じる連続紙Wがダンサーローラー31の周面を押す力が前記連続紙Wの紙面を直角に押す力に均衡するように、前記所望張力T2-3 の変更と並行して印刷部PPに送り込む連続紙Wの送り込み量を調整する。
【0056】
なお、前記所望張力T2-3 を印刷時所望張力T2 から停止時所望張力T3 まで徐々に減少変更するべく時間の経過に関連させて予め定めた所定の関係は、輪転機が、時間の経過に関連させて予め定めた所定の関係で、停止信号が出力された時点の印刷速度から徐々に減速され、速度零に達するまでの時間より早く、所望張力T2-3 が停止時所望張力T3 と等しくなるように設定している。また、図示の実施の形態では、停止時所望張力T3 を、印刷時所望張力T2 は勿論待機時所望張力T1 よりも小さく設定している。
【0057】
輪転機が速度零になった信号(輪転機の作動が停止した信号)を例えば輪転機制御盤から受領すると(図2を参照)、制御部73は、輪転機停止後予め定めた時間、例えば数秒の経過を待って、停止時所望張力T3 に等しい所望張力を、この停止時所望張力T3 の値より値が大きく設定されている待機時所望張力T1 まで、予め定めた所定の時間例えば数秒かけて変更し、次の印刷稼働を待機する状態にする。従って、次の印刷信号により印刷稼働が行われる際には、所望張力が待機時所望張力T1 の状態から開始し、前記の張力調整が繰り返される。上記停止時所望張力T3 から待機時所望張力T1 への所望張力の変更は、時間の経過に関連させて予め定めた所定の関係で徐々に行われる。なお、停止時所望張力T3 は、紙の種類等により待機時所望張力T1 より大きく設定されることがあることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、輪転機、特にオフセット輪転機における連続紙の走行張力調整に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 連続紙走行張力調整装置
3 検出機構
5 連続紙送り込み機構
7 制御手段
9 下流側紙引き機構
31 ダンサーローラー
32 支持アーム
33 支軸
34 リニアアクチュエーター
35 出力ロッド
36 支軸
37 ピン
38 角変位量検出手段
39 調節弁
51 インフィードローラー
52 押えローラー
53 電動機
71 登録部
72 制御部
73 入力操作部
RP 輪転機
SP 給紙部
WR 巻取紙
PP 印刷部
BC ブランケット胴
FL 折部
CC 鋸胴
FC 折胴
CB 鋸刃
ND 針
W 連続紙
AS 圧縮空気源
F 所望張力に相応する力
T 連続紙の実際張力
Tu ダンサーローラーの上流側を走行する連続紙の実際張力
Td ダンサーローラーの下流側を走行する連続紙の実際張力
1 待機時所望張力
2 印刷時所望張力
3 停止時所望張力
1-2 待機時所望張力から印刷時所望張力に変更される際の所望張力
2-3 印刷時所望張力から停止時所望張力に変更される際の所望張力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
輪転機にて、制動されている巻取紙から連続紙を引き出して印刷部を経て折部に至らせ印刷して折り畳み処理するに際し、印刷部に送り込む連続紙に、所望張力に相応する紙面に直角に作用する力を負荷するとともに、この力の負荷位置を経て印刷部に至るよう走行する連続紙の送り込み量を調整して、走行する連続紙に作用する実際張力を所望張力に相応する紙面に直角に作用する力と均衡するように調整する連続紙走行張力調整方法において、
印刷信号により漸増する輪転機の作動速度で走行する連続紙の所望張力を、予め定めた待機時所望張力からこの待機時所望張力よりも大きく予め定めた印刷時所望張力まで、時間の経過に関連させて予め定めた所定の関係で徐々に変更し、予め定めた前記印刷時所望張力に達した後は、所望張力を前記予め定めた印刷時所望張力に維持する印刷時所望張力変更ステップと、
印刷部に送り込む連続紙の紙面に直角に作用する力を、前記徐々に変更され終には予め定めた印刷時所望張力に維持される所望張力に相応するよう変更するとともに、この変更した力と印刷部に送り込む連続紙の実際張力によって生じる前記連続紙の紙面に直角に作用する力に対抗する力とが均衡するように、前記所望張力の変更と並行して印刷部に送り込む連続紙の送り込み量を調整する印刷時張力調整ステップと、
停止信号により停止に向けて漸減する輪転機の作動速度で走行する連続紙の所望張力を、予め定めた印刷時所望張力からこの印刷時所望張力よりも小さく予め定めた停止時所望張力まで、時間の経過に関連させて予め定めた所定の関係で徐々に変更し、予め定めた前記停止時所望張力に達した後は、所望張力を前記予め定めた停止時所望張力に維持する停止時所望張力変更ステップと、
印刷部に送り込む連続紙の紙面に直角に作用する力を、前記徐々に変更され終には予め定めた停止時所望張力に維持される所望張力に相応するよう変更するとともに、この変更した力と印刷部に送り込む連続紙の実際張力によって生じる前記連続紙の紙面に直角に作用する力に対抗する力とが均衡するように、前記所望張力の変更と並行して印刷部に送り込む連続紙の送り込み量を調整する停止時張力調整ステップと、
輪転機の作動が停止した後に所望張力を予め定めた停止時所望張力から予め定めた待機時所望張力に変更する待機時所望張力変更ステップと、
を有することを特徴とする、輪転機の連続紙走行張力調整方法。
【請求項2】
請求項1記載の輪転機の連続紙走行張力調整方法において、
所望張力のうち少なくとも停止時所望張力が変更設定可能であり、
前記印刷時所望張力変更ステップに先んじて停止時所望張力を変更設定する停止時所望張力設定ステップを有する、輪転機の連続紙走行張力調整方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の輪転機の連続紙走行張力調整方法において、
前記停止時所望張力の値が前記待機時所望張力の値よりも小さく設定されている、輪転機の連続紙走行張力調整方法。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の輪転機の連続紙走行張力調整方法において、
停止時所望張力から待機時所望張力への所望張力の変更が、輪転機停止後予め定めた時間を経過した後に、時間の経過に関連させて予め定めた所定の関係で徐々に行われる、輪転機の連続紙走行張力調整方法。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の輪転機の連続紙走行張力調整方法において、
前記停止時所望張力の値が待機時所望張力の値よりも小さく設定されており、停止時所望張力から待機時所望張力への所望張力の変更が、輪転機停止後予め定めた時間を経過した後に、時間の経過に関連させて予め定めた所定の関係で徐々に行われる、輪転機の連続紙走行張力調整方法。
【請求項6】
輪転機に設けられ、制動されている巻取紙から連続紙を引き出して印刷部を経て折部に至らせ印刷して折り畳み処理するに際し、印刷部に送り込む連続紙に所望張力に相応する紙面に直角に作用する力を負荷するとともに、この力の負荷位置を経て印刷部に至るよう走行する前記連続紙の送り込み量を調整して、走行する連続紙に作用する実際張力によって生じる、前記所望張力に相応する紙面に直角に作用する力に対抗する力を前記所望張力に相応する紙面に直角に作用する力と均衡するように調整する連続紙走行張力調整装置であって、
接触して走行する連続紙に予め定めた所望張力に相応する力を紙面に直角に作用するように付与可能であるとともに、この力と連続紙の実際張力によって生じる紙面に直角に作用するように付与される力に対抗する力との大小に応じて変位可能であるように、印刷部の上流側に設けられたダンサーローラーを含む検出機構と、前記検出機構の上流側に設けられ、ダンサーローラーが所定の位置にある状態で前記紙面に直角に作用するように付与される力に対して連続紙の実際張力によって生じる前記対抗する力が均衡するように、前記検出機構を経て印刷部に至るよう走行する連続紙の送り込み量を増減する連続紙送り込み機構と、連続紙送り込み機構の動作を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段が、
待機時所望張力、印刷時所望張力、停止時所望張力を登録されるとともに、輪転機制御信号を受領し、受領した輪転機制御信号と登録された待機時所望張力、印刷時所望張力、停止時所望張力に基づいて、時間の経過に関連させて予め定めた所定の関係で、所望張力を徐々に変更し、変更した所望張力に相応する前記紙面に直角に作用するように付与される力を前記検出機構のダンサーローラーを介して連続紙に負荷し、更に、前記検出機構が出力する検出信号に基づいて、連続紙送り込み機構の動作を制御するように構成される
ことを特徴とする輪転機の連続紙走行張力調整装置。
【請求項7】
請求項6に記載の輪転機の連続紙走行張力調整装置において、
前記制御手段が、前記登録される各所望張力値を設定又は変更するための入力操作手段を備えた、輪転機の連続紙走行張力調整装置。
【請求項8】
請求項7に記載の輪転機の連続紙走行張力調整装置において、
前記登録される各所望張力値を設定又は変更するための入力操作手段が、輪転機制御盤の入力手段である、輪転機の連続紙走行張力調整装置。
【請求項9】
請求項6、請求項7又は請求項8に記載の輪転機の連続紙走行張力調整装置において、 前記制御手段が、
印刷信号により漸増する輪転機の作動速度で走行する連続紙の所望張力を、予め定めた待機時所望張力からこの待機時所望張力よりも大きく予め定めた印刷時所望張力まで、時間の経過に関連させて予め定めた所定の関係で徐々に変更し、予め定めた前記印刷時所望張力に達した後は、所望張力を前記予め定めた印刷時所望張力に維持し、
印刷部に送り込む連続紙の紙面に直角に作用する力を、前記徐々に変更され終には予め定めた印刷時所望張力に維持される所望張力に相応するよう変更し、印刷部に送り込む連続紙の実際張力が前記連続紙の紙面に直角に作用する力に均衡するように、前記所望張力の変更と並行して印刷部に送り込む連続紙の送り込み量を調整し、
停止信号により停止に向けて漸減する輪転機の作動速度で走行する連続紙の所望張力を、予め定めた印刷時所望張力からこの印刷時所望張力よりも小さく予め定めた停止時所望張力まで、時間の経過に関連させて予め定めた所定の関係で徐々に変更し、予め定めた前記停止時所望張力に達した後は、所望張力を前記予め定めた停止時所望張力に維持し、
印刷部に送り込む連続紙の紙面に直角に作用する力を、前記徐々に変更され終には予め定めた停止時所望張力に維持される所望張力に相応するよう変更し、印刷部に送り込む連続紙の実際張力が前記連続紙の紙面に直角に作用する力に均衡するように、前記所望張力の変更と並行して印刷部に送り込む連続紙の送り込み量を調整し、
輪転機の作動が停止した信号により、所望張力を、予め定めた停止時所望張力から予め定めた待機時所望張力に変更するように構成される
ことを特徴とする輪転機の連続紙走行張力調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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