説明

輸送機を移動させるための二つの手段を持つ、輸送機内に乗り込んだ乗客を移送するための設備

【課題】二つの輸送機移動手段を持つ、輸送機内乗客を輸送する輸送設備を得る。
【解決手段】輸送設備は、第1端ターミナルと中間ターミナルS3との間で輸送機Cを移動させる第1手段と、輸送機Cをエレベーターシャフト10内に積み込み、輸送機Cを中間ターミナルS3と第2端ターミナルS2との間で移動させる第2手段を含む。第1移動手段は、かごを駆動するための閉ループをなした架空ロープ11を含み、ループには、かごの取り外し/取り付け区分が設けられる。人員輸送機は、取り外されたかごを案内し輸送するための移送軌道を含む。移送軌道は、エレベーターシャフト10内に収容されかご用の第1の駆動手段が設けられた移動自在のターミナル区分と、かご用の第2の駆動手段が設けられた、取り外し/取り付け区分とエレベーターシャフト10が中間ターミナルS3にある場合のターミナル区分とを連結する固定連結区分を含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本発明は、輸送機の機内に乗った乗客を輸送するための設備であって、
第1および第2の端ターミナルの間に配置された中間ターミナルと、
前記輸送機を牽引ロープに連結することにより、前記第1端ターミナルと前記中間ターミナルとの間で第1経路に沿って前記輸送機を移動させるための第1手段と、
エレベーターシャフト内に前記輸送機を積み込むことにより、前記中間ターミナルと前記第2端ターミナルとの間で、前記中間ターミナルの近傍において前記第1経路に対して実質的に直交する第2経路に沿って、前記輸送機を移動させるための第2手段と、
を備える設備に関する。
【技術の状況】
【0002】
この種の設備は、水平方向移動および垂直方向移動の組み合わせによって乗客の公共輸送を行わなければならない場合に有利である。ITMI20000726には、第1移動手段が水平方向に移動するケーブル輸送手段である、このような設備が記載されている。地上に設置したレールによって案内されるケーブルかご(ケーブルカー)は、動力ユニットによって作動した牽引用ロープによって移動させられる。かご(カー)を垂直方向に移動させるための第2手段により、かご(カー)はエレベーターシャフトに積み込まれる。これを行うため、エレベーターシャフトの床にはレール区分が設けられている。中間ターミナルにあるとき、牽引用ロープがかご(カー)をこのレール区分まで引き上げてエレベーターシャフトに積み込む。
【0003】
しかしながら、上記設備は、全体として満足のいくものではなかった。かごと関連した牽引用ロープは、実際には、エレベーターの往復移動期間(往復運転期間、前後移動期間)に亘って停止し、かごを待機させなければならない。この場合、このロープに連結された全てのかごが停止させられる。これは、この設備の処理容量(スループットキャパシティ)に悪影響を及ぼすのみならず、人員輸送機が含まれる場合に乗客から反応が生じ易い。
【0004】
処理容量の要求を満たすため、ガイドレールの数、牽引用ロープの数、およびエレベーターシャフトの数を増やすことが考えられる。しかしながら、このような解決策は実施困難であり、追加の動力ユニット、並びに、同期システムおよび安全システムを必要とし、これに伴って製造費および保守費用の増大がしばしば重荷となる。
【発明の目的】
【0005】
本発明の目的は、輸送機の機内に乗車した乗客を輸送するための、簡単で信頼性のある方法で高い処理容量を保証する設備を提供することである。
【0006】
本発明による設備は、移動のための第1手段(第1移動手段)が人員輸送機によって形成されており、この人員輸送機は、
前記輸送機を形成する少なくとも一つの取り外し可能なかごを駆動するための閉ループをなした架空ロープであって、前記ループの前記中間ターミナルの近傍の位置に、前記かごの取り外し/取り付け区分が設けられている、架空ロープと、
取り外された状態の前記かごを案内し輸送するための移送軌道であって、前記エレベーターシャフト内に収容され且つ前記かご用の第1の個々の駆動手段が設けられた移動可動なターミナル区分と、前記かごの第2の個々の駆動手段が設けられるとともに、前記取り外し/取り付け区分と前記エレベーターシャフトが前記中間ターミナルにある場合の前記ターミナル区分とを連結する固定された連結区分と、を含んだ移送軌道と、
有している。
【0007】
本発明による設備の人員輸送機の作動は、輸送機を移動させるための第1手段の作動を移動のための第2手段(第2移動手段)によって管理する従来技術とは異なり、全体として、第2移動手段の作動とは別個である。これは、取り外し/取り付けがエレベーターシャフトの上流で行われるためである。これにより、牽引用ロープの移動をエレベーターシャフトの移動とは別個にすることができる。かくして、人員輸送機とエレベーターシャフトとを互いに独立して作動することができる。人員輸送機の作動の規則性に悪影響が及ぼされることはない。牽引用ロープに連結された人員輸送機のかごを、エレベーターかごの往復移動期間(往復運転期間、前後移動期間)中に、移動させることができるためである。衝突の危険を完全になくすため、第2移動手段を離れるかごと、第2移動手段によって取り上げられようとするかごとの間で協働手段(調和手段)が必要とされるに過ぎない。このような協働(調和)は、牽引用ロープの走行速度の調節によって(必要な場合に)、あるいは、移送軌道と、例えば連結区分と平行であり且つ連結区分に切り換えシステムによって端部が連結された収容区分と、を特別に配置することによって、実現され得る。
【0008】
好ましい実施の形態によれば、第1の個々の駆動手段は、空気タイヤを備えたホイールの第1組を含み、これらのホイールのうちの一つのホイールが、エレベーターシャフトと一体の電動モータに連結されており、ホイールの第1組には第1伝動手段が設けられており、これによって、各ホイールが、隣のホイールのうちの一方のホイールによって等しい周速度で回転させられる。
【0009】
以下の他の技術的特徴が単独または組み合わせで使用され得る。
・第2の個々の駆動手段は、空気タイヤを備えたホイールの第2組を含み、これらのホイールのうちの一つのホイールが、第2電動モータまたはロープからパワーを取り出す装置に連結されており、ホイールの第2組には第2伝導手段が設けられており、これによって、各ホイールが隣のホイールのうちの一方のホイールによって回転させられる。
・ホイールの第2組は、ターミナル区分および取り外し/取り付け区分とそれぞれ隣り合う第1および第2の連続した部分に細分され、第2伝動手段により、第1部分のホイールが等しい周速度で回転させられ、第2部分のホイールが取り外し/取り付け区分の方向で増大する周速度で回転させられる。
・エレベーターシャフトは、かごを位置決めするための手段、および、予め決定された配置にしたがって、かごをエレベーターシャフトに関して所定位置に保持するための手段を含む。
・人員輸送機は、取り外し自在の単ケーブルゴンドラかごであり、ロープによって形成された閉ループは、二つの平行に走行する往復型軌道(前後型軌道)であって、各々が同期して移動する二つの平行な牽引支持ストランドを含んでいる軌道と、閉ループの、第2移動手段近くの端部に設けられた取り外し/取り付け区分と、を含んでいる。
・第2移動手段は、二つのエレベーターシャフトを含み、これらのエレベーターシャフトの各々は、それぞれの移送軌道によって、複数の取り外し/取り付け区分の一つと関連している。
【0010】
この他の利点および特徴は、単なる非限定的例の目的として与えられた、添付図面に示す本発明の特定の実施の形態の以下の説明から更に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至図7は、これらの図において人員輸送機用の取り外し自在のかご(輸送体、搬送機)Cによって形成された輸送機(輸送体、搬送機)内に搭乗した人を輸送するように設計された、本発明による輸送設備の一例を示している。乗客は、第1端ターミナルS1と第2端ターミナルS2との間を中間ターミナルS3を介して輸送される。したがって、中間ターミナルS3は、端ターミナルS1、S2間に配置されている。各かご(ゴンドラ、乗りかご、ゲージ、ボックス、箱)Cは、第1端ターミナルS1(ここで乗客が乗車することができる)から中間ターミナルS3(ここでは、乗車も降車も許されない)まで移動した後、中間ターミナルS3から第2端ターミナルS2(乗客はここで乗車および降車することができる)まで移動する。ターミナルS2での所定の停止時間の後、かごCは、ターミナルS1に戻るまで逆方向に移動する。ここで、ターミナルS1では、ターミナルS2で乗せた乗客を所定の停止時間中に降車させることができる。この所定の停止時間中、その代りに新たな乗客が乗り込むことができる。
【0012】
かごCを確実に移動させるため、輸送設備は、第1端ターミナルS1と中間ターミナルS3との間でかごCを第1経路に沿って移動させるための第1手段(第1移動手段)を含んでいる。以下の説明によれば、各かごCの移動は、架空タイプ(空中に掛け渡されるタイプ)の牽引用ロープ(牽引支持型)にかごCを取り外し自在に連結することによって、実現される。したがって、かごCは取り外し可能なタイプである。
【0013】
設備は、更に、中間ターミナルS3と第2端ターミナルS2との間でかごCを第2経路に沿って移動させるための第2手段(第2移動手段)を含でんいる。第2経路は、少なくとも一つの中間ターミナルS3の近くで、第1経路に対して実質的に直交している。以下の説明によれば、各かごCの移動は、このかごCをエレベーターシャフト(エレベーター乗りかご)10の機内に積み込むこと(搭載すること)によって、実現される。中間ターミナルS3は、ターミナルS2に対して垂直方向に(ターミナルS2に対して上方に)配置されている。しかしながら、中間ターミナルS3と第2端ターミナルS2との間の高さの差を補償しなければならない場合にはいつでも、かごCをエレベーターシャフト10に積み込むことによって移動させることが考えられる。ターミナルS2は、かくして、中間ターミナルS3の上方に、例えば中間ターミナルS3の垂直方向上方に配置することができ、第2経路は、必ずしも直線状でなくてもよく、斜め方向で直線状であってもよい。
【0014】
第2端ターミナルS2は、主に垂直に延びる建物Bの一階に配置されているのに対し、中間ターミナルS3は、建物Bの最上階に配置されている。第2端ターミナルS2と中間ターミナルS3との間の建物B部分の内部には、二つの垂直通路20が形成されており、これらの垂直通路20に沿って二つの独立したエレベーターシャフト(エレベーター乗りかご、エレベーターかご、エレベーター枠体)10が移動する。各エレベーターシャフトは、往復動(往復運転、前後移動)で移動する。中間ターミナルS3は、エレベーターシャフト10の各々と関連したリフト機構MLを収容している。したがって、第2移動手段は二つのエレベーターシャフト10を含んでいる。
【0015】
かごCを第1ターミナルS1と中間ターミナルS3との間で移動させるための第1手段は、人員輸送機によって形成されている。この人員輸送機は、図示された例において、一本の架空ロープ(空中に掛け渡されたロープ、空中ロープ)11を含む取り外し自在の単ケーブルゴンドラかごを有している。架空ロープ11は、第1端ターミナルS1と中間ターミナルS3とを各々連結する二つの連続したループを形成するように、閉ループをなして配置されている。牽引支持ロープ(hauling-carrying ropes)11を走行移動によって作動し、係合されている状態にある(係合位置にある)取り外し可能なかごCの駆動を少なくとも閉ループの一部に沿って行う。
【0016】
二つの連続したループを持つこのような構成を提供するため、ターミナルS1は二つの駆動プーリPM1、PM2、および、遊動取り付けされた(空転可能に取り付けられた)第1変向プーリPD1を含んでいる。これらの三つのプーリPM1、PM2、PD1は、実質的に垂直な軸線を有している。変向プーリPD1が中央位置にあり且つ駆動プーリPM1、PM2がプーリPD1の各側で横方向にオフセットされ、三つのプーリPM1、PM2、PM3は三角形の頂点をなすように配置されている。駆動プーリPM1、PM2は、架空ロープ11を同じ速度で駆動する。中間ターミナルS3には、第1、第2、および第3の戻しプーリが含まれている。これらの戻しプーリには、それぞれ、参照符号PR1、PR2、PR3が付されている。これらの三つのプーリPR1、PR2、PR3は、戻しプーリPR3が中央位置にあり且つ戻しプーリPR1、PR2がプーリPR3の各側で横方向にオフセットされ、三角形の頂点をなすように配置されている。
【0017】
架空ロープ11は、この六つのプーリ組間を閉ループ回路をなして延びており、そのため、
・第1牽引支持ストランド13が、第1戻しプーリPR1と第1駆動プーリPM1との間を延びており、
・第1接続ストランド14が、第1駆動プーリPM1と第1変向プーリPD1との間を延びており、
・第2牽引支持ストランド15が、第1変向プーリPD1と第3戻しプーリPR3との間を延びており、
・第3牽引支持ストランド16が、第3戻しプーリPR3と第1変向プーリPD1との間を延びており、
・第2接続ストランド17が、第1変向プーリPD1と第2駆動プーリPM2との間を延びており、
・第4牽引支持ストランド18が、第2駆動プーリPM2と第2戻しプーリPR2との間を延びており、
・第3接続ストランド19が、第2戻しプーリPR2と第1戻しプーリPR1との間を延びている。
【0018】
第1変向プーリPD1は、二溝モノブロックプーリであってもよいし、同軸に取り付けられた二つの別個の単溝プーリであってもよい。第3戻しプーリPR3によって行われる角度変向は、第2および第3の牽引支持ストランド15、16間で180°に等しい。第1および第3の牽引支持ストランド13、16は平行であり、ラインの同じ高さにあり、隣接しており、互いに同期して駆動される。このことは、第2および第4の牽引支持ストランド15、18についても同じであるが、方向が逆である。
【0019】
ロープ11によって形成された閉ループは、かくして、往復型(前後型)の二つの平行な走行軌道V1、V2を含んでいる。各軌道V1、V2は、同期して移動する二つの平行な牽引支持ストランド13、15、16、18を含んでいる。設備にはかごCは二つしか設けられておらず、これらのかごの各々が軌道V1、V2と一つずつ関連している。所与のかごCが、常に同じ軌道V1、V2上で移動する。これは、駆動プーリPM1、PM2の回転方向を逆転することによって実現される前後移動(往復移動、双方向移動)を行っている二つの牽引支持ストランド13、15、16、18に同時に連結することによって行われる。一つの同じ軌道V1、V2の逆方向移動は、ターミナルS1で、乗客を乗降するためのかごCの停止時間によって中断され、中間ターミナルS3で、かごCをターミナルS2へ進める又はターミナルS2から戻すのに必要な時間だけ中断される。
【0020】
各軌道V1、V2は、それぞれのエレベーターシャフト(エレベーター乗りかご)10と関連している。所与の軌道V1、V2が、それぞれの移送軌道によって、常に、そのかごCを同じエレベーターシャフト10に搬送する。軌道V1、V2上を移動するかごCが対応する移送軌道と係合することができるようにするため、(または移送軌道が輸送機と係合することができるようにするため)、軌道V1、V2の各々は、第2移動手段と近接した、すなわち対応するエレベーターシャフト10と近接したその端部に、取り外し/取り付け区分T1を含んでいる。各エレベーターシャフト10は、したがって、それぞれの移送軌道によって、一つの取り外し/取り付け区分T1と関連している。ターミナルS1からターミナルS2への移動が行われるとき、所与の軌道V1、V2と関連したエレベーターシャフト10との間に配置された移送軌道は、取り外し/取り付け区分T1上を走行した後の取り外された状態にある(取り外し位置にある)かごCを、かごCが完全にエレベーターシャフト10内に積み込まれるまで移送する。逆に、ターミナルS2からターミナルS1まで走行するとき、所与の軌道V1、V2と関連したエレベーターシャフト10との間に配置された移送軌道は、取り外された状態にある(取り外し位置にある)かごCを、エレベーターシャフト10の内部から、取り外し/取り付け区分T1まで移送し、ここでかごCを架空ロープ11に再び連結する。
【0021】
建物Bは、中間ターミナルS3の高さに水平プラットホーム12を含んでいる。このプラットホームには、二つの移送軌道が部分的に収容されている。プラットホーム12は、中間ターミナルS3に属している。
【0022】
各牽引支持ストランド13、15、16、18は、更に、水平方向軸線が架空ロープ11の走行方向に対して横方向に配置されたそれぞれの変向プーリと係合する。これらの変向プーリは、それぞれに参照符号PD2、PD3、PD4、PD5を付してあり、水平プラットホーム12の内部に遊動取り付けされている(空転可能に取り付けられている)。第2変向プーリPD2は、第1牽引支持ストランド13の角度変向を行う。第3変向プーリPD3は、第3牽引支持ストランド16の角度変向を行う。第4変向プーリPD4は、第2牽引支持ストランド15の角度変向を行う。第5変向プーリPD5は、第4牽引支持ストランド18の角度変向を行う。
【0023】
変向プーリPD2、PD3、PD4、PD5による下方への変向は、所与の軌道V1、V2の対をなした牽引支持ストランド13、15、16、18を、かごCを通過させるのに必要な隙間と対応する大きさだけ離間するということを意味する。この離間距離がライン上で小さい場合には、ストランド13、15、16、18は、取り外し/取り付け区分T1とプーリPD2、PD3、PD4、PD5との間で横方向に変向しさえすればよい。ストランド13、15、16、18は、プーリPD2、PD3、PD4、PD5まで実質的に水平方向平面内を延びており、垂直方向平面または傾斜面に切り換わり、戻しプーリPR1、PR2、PR3は、この垂直方向平面または傾斜面に配置されている。これらの戻しプーリPR1、PR2、PR3は、建物Bに、建物Bの外に、プラットホーム12の下に遊動状態(空転可能な状態)で取り付けられている。ストランド13、15、16、18は、戻しプーリPR1、PR2、PR3に作用する液圧ジャッキまたは釣り合い重りまたは他の同様のシステムによって、ぴんと張った状態に保持される。
【0024】
人員輸送機の正しい作動は、部分的には、牽引支持ストランド13、15、16、18を同期して駆動することに頼っている。駆動プーリPM1、PM2の駆動は、電気差動システムによって一つの同じ電源によって電流が供給された同様の電動モータによって、あるいは、単一の電動モータによって駆動される機械的差動システムによって、行われる。
【0025】
各移送軌道は、取り外された状態のかごCを、取り外し/取り付け区分T1からエレベーターシャフト10まで、および、エレベーターシャフト10から取り付け区分T1までの方向で案内し、輸送する。この目的のため、各移送軌道は、シャフト10が中間ターミナルS3に配置されている場合に取り外し/取り付け区分T1とエレベーターシャフト10への入口との間を接続(連結)する固定連結区分(静止連結区分)T2を含んでいる。
【0026】
各移送軌道は、更に、可動ターミナル区分T3を含んでいる。このターミナル区分T3は、シャフト10に収容されており、連結区分T2と整合しており(一直線上に並べられており、整列されており)、且つ、連続していない。ターミナル区分T3は、かごCがシャフト10の内部に完全に積み込まれるまで、かごCを入口からシャフト10まで案内し輸送する、或いは、その逆を行う。
【0027】
このようにして、各移送軌道は、対応するエレベーターシャフト10に収容された可動ターミナル区分T3と、エレベーターシャフト10が中間ターミナルS3にある場合、対応する取り外し/取り付け区分T1と前記ターミナル区分T3とを連結する固定連結区分(静止した連結区分)T2と、を含んでいる。
【0028】
エレベーターシャフト10への入口からシャフト10の内部への間において、かごCを制御下で移動させるため、または、その逆を行うため、ターミナル区分T3には、かごC用の第1の個々の駆動手段(第1の一群の駆動手段)が設けられている。同様に、エレベーターシャフト10への入口から取り外し/取り付け区分T1への間において、かごCを制御下で移動させるため、または、その逆を行うため、連結区分T2には、かごC用の第2の個々の駆動手段(第2の一群の駆動手段)が設けられている。
【0029】
ライン上で、取り外し可能なかごCの各々は、取り外し可能なグリップ(把持具)を有したキャリッジ(搬送台、運搬具)によって、対応する対をなした牽引支持ストランド13、15、16、18へ連結されている。中間ターミナルS3への入口のところで、グリップを取り外し/取り付け区分T1に沿って開放することによってかごCを二つのストランドから取り外す。次いで、かごCを減速させた後、減速させた速度で移送軌道に沿ってエレベーターシャフト10の内部に移動させる。この目的のため、取り外し/取り付け区分T1には取り外し機構(図示せず)が設けられている。この取り外し機構は、例えば、取り外し可能なグリップを開放することによってかごCをストランド13、15、16、18から取り外す取り外し自在のグリップの制御傾斜部分(制御ランプ)を含んでいる。
【0030】
取り外された状態にあるかごCを所定の経路に沿って移動させることができるようにするため、かご用のキャリッジには、横方向にオフセットされた少なくとも一対の滑車が設けられている。各滑車は、グリップに固定的に取り付けられている。各軌道V1、V2の連結区分T2には、一対の平行なガイドレールによって形成されたキャリッジガイド手段が設けられている。各ガイドは、一対の滑車のうちの一方の滑車の転動中に案内を行う。減速およびこれに続く低速移動を行うため、各取り外し自在のグリップは、更に、摩擦軌道を含む。各軌道V1、V2の連結区分T2には、摩擦軌道と関連して作動する個々の駆動手段(一群の駆動手段)が設けられている。この目的のため、個々の駆動手段(一群の駆動手段)は、空気タイヤを備えた二組の平行なホイール21を含んでいる。ホイール21の各組について、一方のホイール21は、電動モータ22に、またはロープ11から得られたパワー(電力、エネルギ、力)を取り出す取り出し装置(図示せず)に連結されている。
【0031】
ホイール21の各組には、伝動手段も設けられており、これによって、各ホイール21が、隣り合うホイール21のうちの一つのホイールによって回転させられるようになる。
【0032】
同じことを目的として、各軌道V1、V2のターミナル区分T3は、一対のガイドレールおよび空気タイヤを備えた二組の平行なホイール23を含んでいる。二組の平行なホイール23は、ターミナル区分T3に設けられた個々の駆動手段(一群の駆動手段)を構成する。各組について、一方のホイール23は、エレベーターシャフト10に固定的に取り付けられた電動モータ24に連結されている。ホイールの各組には、更に、伝動手段が設けられている。これによって、各ホイール23が、隣り合うホイール23のうちの一つのホイールによって等しい周速度で回転させられるようになる。機内エレベーターシャフト10でのかごCの積み込み、および、これとは逆に連結区分T2への方向での取り出しは、電動モータ24の回転速度を適当に制御することによって、実現される。
【0033】
連結区分T2のガイドレールは、ターミナル区分T3のガイドレールと整合しており(一直線上に配置されており、整列されており)、これらのガイドレールと不連続である。同様に、連結区分T2のホイールの各組21は、ターミナル区分T3のホイール23の組のうちの1つと整合しており(一直線上に配置されており、整列されており)、且つ、不連続である。
【0034】
連結区分T2に設けられた伝動手段は、一組内の各ホイール21と同軸に取り付けられベルトと関連して作動する一対の副プーリによって形成される、或いは、前記一組内の各ホイール21に同軸に取り付けられ二つのホイールピニオン間に装着されたアイドルピニオンと関連して作動するピニオンによって、形成される。これと同じことが、ターミナル区分T3に設けられる伝動手段についてもいえる。
【0035】
連結区分T2のホイール21の組は、第1および第2の連続した部分T21、T22に細分される。これらの部分は、それぞれ、ターミナル区分T3および取り外し/取り付け区分T1と隣り合っている。第1部分T21では、伝動手段によって、ホイール21が等しい周速度で回転させられる。他方、第2部分T22では、伝動手段によって、ホイール21が取り外し/取り付け区分T1の方向に増大する周速度で回転させられる。これにより、かごCは、ロープ11からの取り外し後に減速し、または、ロープ11への取り付け前に加速する。連結を行うため、各取り外し/取り付け区分T1は、更に、独立した、すなわち取り外し機構ではない取り付け機構(図示せず)を含んでいる。この取り付け機構は、グリップを近付けてかごCを牽引支持ストランド13、15、16、18と係合させることができる。
【0036】
以上から、輸送設備には、平行であり且つ独立して作動する二つの移動システムが設けられているということが明らかである。各移動システムは、走行軌道V1、V2と、かごCと、取り外し/取り付け区分T1と、移送軌道と、エレベーターシャフト10と、を含んでいる。各移動システムを形成するため、人員輸送機は、
少なくとも一つの取り外し自在のかごCを駆動するための閉ループをなした架空ロープ11であって、前記ループには、中間ターミナルS3の近くに位置するかごCの取り外し/取り付け区分T1が設けられている、架空ロープ11と、
取り外された状態にあるかごCを案内し輸送するための移送ラックであって、かごC用の第1の個々の駆動手段(第1の一群の駆動手段)が設けられ、エレベーターシャフト10内に収容された移動可能なターミナル区分T3と、かごC用の第2の個々の駆動手段(第2の一群の駆動手段)が設けられ、エレベーターシャフト10が中間ターミナルS3にある場合に取り外し/取り付け区分T1とターミナル区分T3とを連結する固定された連結区分T2と、を含む、移送ラックと、
を備えている。人員輸送機は、一本の架空ロープ11を含み、このロープが二つの移動システムを構成する。横風に対する安定性を向上するため、各軌道V1、V2は、二つの牽引支持ストランドを含んでいる。このことは、中間ターミナルS3と第1端ターミナルS1とを各々連結する二つの連続したループを形成しなければならないということを意味する。
【0037】
更に、各エレベーターシャフト10は、予め設定された配置にしたがって、かごCを位置決めし、前記エレベーターシャフト10に関する所定の位置にかごCを保持するための手段を含んでいる。この目的のため、エレベーターシャフト10は、横方向に移動するジャッキまたは長さ方向に移動するジャッキを備えていてもよく、ジャッキの移動終了時の位置は、かごCに求められている位置と対応するようになる。別の変形例では、エレベーターシャフト10は、かごCの下に形成された孔と関連して作動するように設計された引き込み式のセンタリングデバイスを含んでいる。位置決めし、位置を保持するためのこのような手段は、エレベーターシステムに適用される行政上の規則によって定められた水平方向での閾値許容差および垂直方向での閾値許容差が満たされることを保証するように設計されている。
【0038】
独立して作動するエレベーターシャフト10の数は、必要とされる処理容量にしたがって変化させることができるということは明らかである。例えば、設備は、エレベーターシャフト10を一つしか備えていなくてもよい。このような変形例では、連結区分T2は、その長さの所定の箇所で二つの枝部(分岐部)に分けられる。これらの枝部は、制御手段によって制御された切り換え機構によってそれらの一端が互いに連結されている。一方の枝部の反対端は、軌道V1、V2のうちの一方の取り外し/取り付け区分T1に連結されており、他方の枝部の反対端は、軌道V1、V2のうちの他方の取り外し/取り付け区分T1に連結されている。
【0039】
上文中に説明した人員輸送機は、本発明の範囲から逸脱することなく、以下のものによって置き換えられてもよい。
・取り外し自在の単ケーブルゴンドラかご。一本の牽引支持ロープが単ループの閉ループをなして配置されており、一方向で連続した二つの逆方向(逆向き)の走行軌道の各々が、単一の牽引支持ストランドを含んでいる。
・取り外し自在の閉ループ単ケーブルゴンドラかご。架空牽引支持ロープによって形成された二つの連続したループを含み、これらのループは、二つの平行な連続した逆方向の走行軌道を有している。各軌道は、同期して移動する二つの平行な牽引支持ストランド有している。
・二つの牽引支持ロープを含んだ取り外し自在のゴンドラかご。各牽引支持ロープは、単ループを形成する閉ループをなして配置されている。二つのループは横方向にオフセットされており、二つの平行な一方向で連続した逆方向(逆向き)の走行軌道を形成する。各走行軌道は、同期して移動する二つの平行な牽引支持ストランドを含んでいる。
・二つの牽引支持ロープを含んだ取り外し自在のゴンドラかご。各牽引支持ロープは、単ループを形成する閉ループをなして配置されている。二つのループは横方向にオフセットされており、二つの平行な往復型(前後型)走行軌道を形成する。各走行軌道は、同期して移動する二つの平行な牽引支持ストランドを含んでいる。
・閉ループをなして配置された少なくとも一つの支持ロープおよび少なくとも一つの牽引ロープ(搬送ロープ、輸送ロープ、運搬ロープ)を有する取り外し自在のゴンドラかご。前記支持ロープおよび前記牽引ロープは、二つの平行な往復型(前後型)走行軌道を形成している。各走行軌道は、少なくとも一つの支持ストランドおよび少なくとも一つの牽引ストランドを含んでいる。
・閉ループをなして配置された少なくとも一つの支持ロープおよび少なくとも一つの牽引ロープを有する取り外し自在のゴンドラかご。前記支持ロープおよび前記牽引ロープは、二つの平行な一方向で連続した逆方向(逆向き)の走行軌道を形成している。各走行軌道は、少なくとも一つの支持ストランドおよび少なくとも一つの牽引ストランドを含んでいる。
【0040】
最後に、人員輸送機のいずれの実施の形態を使用しようとも、架空ロープを走行することによって駆動されるかごCの数は、必要な処理容量に応じて二つ以上であってもよい。同じ目的に関し、独立して作動するエレベーターシャフト10の数を変化させることができる。連結区分T2は、その場合、取り外し/取り付け区分T1から来入したかごCの様々なシャフト10への取り出しを行うために制御手段によって制御される切り換え機構を備えた少なくとも一つの区分を含んでいる。更に、所与の取り外し/取り付け区分T1と対応する取り外し機構および取り付け機構は、ロープが形成する閉ループに沿って、走行方向で食い違っていてもよい。この場合、連結区分T2は、追加の切り換え機構を備えていなければならない。連結区分T2は、次いで、その長さの所定の点で二つの枝部(分岐部)に分かれる。これらの枝部は、それらの端部の一方が、前記追加の切り換え機構によって互いに連結されている。一方の枝部の反対端は、取り外し機構に連結されており、他方の枝部の反対端は、取り外し機構に連結されている。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、本発明による輸送設備の一例における、中間ターミナル、第2端ターミナル、第2移動手段および移動させるための第1手段の一部分の正面図である。
【図2】図2は、図1のエレメントの右側からの図である。
【図3】図3は、図1および図2のエレメントの左側からの図である。
【図4】図4は、中間ターミナルの平面図である。
【図5】図5は、図1乃至図4に示す輸送設備の第1端ターミナルの正面図である。
【図6】図6は、図5のターミナルの正面図である。
【図7】図7は、中間ターミナルの詳細な正面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送機(C)の機内に乗った乗客を輸送するための設備であって、
第1および第2の端ターミナル(S1、S2)の間に配置された中間ターミナル(S3)と、
前記輸送機(C)を牽引ロープ(11)に連結することにより、前記第1端ターミナル(S1)と前記中間ターミナル(S3)との間で第1経路に沿って前記輸送機(C)を移動させるための第1手段と、
エレベーターシャフト(10)内に前記輸送機(C)を積み込むことにより、前記中間ターミナル(S3)と前記第2端ターミナル(S2)との間で、前記中間ターミナル(S3)の近傍において前記第1経路に対して実質的に直交する第2経路に沿って、前記輸送機(C)を移動させるための第2手段と、を備え、
移動のための前記第1手段は、人員輸送機によって形成されており、
前記人員輸送機は、
前記輸送機(C)を形成する少なくとも一つの取り外し可能なかご(C)を駆動するための閉ループをなした架空ロープ(11)であって、前記ループの前記中間ターミナル(S3)の近傍の位置に、前記かご(C)の取り外し/取り付け区分(T1)が設けられている、架空ロープ(11)と、
取り外された状態の前記かご(C)を案内し輸送するための移送軌道であって、前記エレベーターシャフト(10)内に収容され且つ前記かご(C)用の第1の個々の駆動手段が設けられた移動可動なターミナル区分(T3)と、前記かご(C)の第2の個々の駆動手段が設けられるとともに、前記取り外し/取り付け区分(T1)と前記エレベーターシャフト(10)が前記中間ターミナル(S3)にある場合の前記ターミナル区分(T3)とを連結する固定された連結区分(T2)と、を含んだ移送軌道と、
有する
ことを特徴とする設備。
【請求項2】
前記第1の個々の駆動手段は、空気タイヤを有するホイール(23)の第1の組を含み、
前記ホイール(23)のうちの一つが、前記エレベーターシャフト(10)に固定的に取り付けられた電動モータ(24)に連結され、
前記ホイール(23)の第1の組には、各ホイール(23)を、隣のホイール(23)のうちの一方によって等しい周速度で回転させるための第1伝動手段が、設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の設備。
【請求項3】
前記第2の個々の駆動手段は、空気タイヤを有するホイール(21)の第2の組を含み、
前記ホイール(21)のうちの一つが、第2電動モータ(22)または前記ロープ(11)からパワーを取り出す装置に連結され、
前記ホイール(21)の第2の組には第2伝動手段が設けられ、これにより、各ホイール(21)が隣のホイール(21)のうちの一方によって回転させられる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の設備。
【請求項4】
前記ホイール(21)の第2の組は、前記ターミナル区分(T3)および前記取り外し/取り付け区分(T1)にそれぞれ隣り合う第1および第2の連続した部分(T21、T22)に分けられ、
前記第2伝動手段によって、前記第1部分(T21)の前記ホイール(21)は等しい周速度で回転させられ、前記第2部分(T22)の前記ホイール(21)は前記取り外し/取り付け区分(T1)の方向に増大する周速度で回転させられる
ことを特徴とする請求項3に記載の設備。
【請求項5】
前記エレベーターシャフト(10)は、前記かご(C)を配置するための手段と、予め決定された配置にしたがって、前記エレベーターシャフト(10)に関して前記かご(C)を所定位置に保持するための手段と、を含む
ことを特徴とする請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載の設備。
【請求項6】
前記人員輸送機は、取り外し可能な単ケーブルゴンドラであり、
前記ロープ(11)によって形成された前記閉ループは、
二つの平行に延びる往復軌道(V1、V2)であって、各々が同期して動く二つの平行な牽引支持ストランド(13、15、16、18)を含んでいる二つの軌道と、
前記閉ループの前記移動させるための第2手段の近傍の端部に設けられた取り外し/取り付け区分(T1)と、
を含む
ことを特徴とする請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載の設備。
【請求項7】
前記移動させるための第2手段は、二つのエレベーターシャフト(10)を含み、
これらのエレベーターシャフトの各々は、それぞれの移送軌道によって、前記取り外し/取り付け区分(T1)の一つと関連している
ことを特徴とする請求項6に記載の設備。
【請求項8】
前記第2端ターミナル(S2)は、前記中間ターミナル(S3)の垂直方向下方に配置されている
ことを特徴とする請求項1乃至7のうちのいずれか一項に記載の設備。
【請求項9】
前記第2端ターミナル(S2)は、前記中間ターミナル(S3)の垂直方向上方に配置されている
ことを特徴とする請求項1乃至7のうちのいずれか一項に記載の設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−67599(P2009−67599A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−233410(P2008−233410)
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願人】(591108444)ポマガルスキー (16)
【氏名又は名称原語表記】POMAGALSKI
【Fターム(参考)】