説明

輸送用箱

【課題】二重壁を有する耐久性の高い輸送用箱で、ピンの打ち込み作業を行う必要がなく、二重壁の外側板と内側板とのズレを生じず、組立若しくは折畳が容易な輸送用箱の提供。
【解決手段】底板と側板を有するプラスチックダンボール製の筐体と、上側角部材と、縁部材とを備え、前記縁部材は、側板の上端縁を挟む外片及び内片を有し、内片には係合部を備え、側板の上縁を折り返して前記内片の係合部に係止し、対向する一組の側面が夫々内側板と外側板を重合した二重壁で、二重壁を構成する内側板の上端縁に内側舌片を備え、内側舌片の隣接位置に切欠部を備え、内側舌片は基端から内側へ折曲可能とし、二重壁を構成する外側板の上端縁に外側舌片を備え、二重壁の重合状態で、折曲された外側舌片が内側板の切欠部と重なる位置として、折曲された外側舌片が縁部材の係合部と係合し、折曲された内側舌片が縁部材の係合部と係合した輸送用箱。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の物品の輸送や収納等に適する組立若しくは折畳が可能な輸送用箱に関する。尚、本発明における「輸送用箱」とは、例えば工場内で小部品の収納搬送を可能とする小型の収納箱や、物品の輸送用の大型のコンテナを含む。
【背景技術】
【0002】
プラスチックダンボールを用いた輸送用箱は、紙製のダンボールを用いた輸送用箱と比べ、強度、耐久性、耐水性、防塵性に優れるため、現在種々の物品の収納、輸送に用いられている。
【0003】
一方、このようなプラスチックダンボールを用いた輸送用箱は、紙製のダンボールよりも強度、耐久性は高いものの、多様な物品の輸送に使用されるため、更なる強度、耐久性の向上が求められている。
【0004】
輸送用箱の強度、耐久性を向上させるための手段として、一の側壁を外側板及び内側板からなる二枚の板材を重ねてなる二重壁とすることが、従来なされている。ところで、二重壁とすると、二重壁の内側板と外側板のズレを生じやすく、二重壁の取着構造によっては内側板若しくは外側板が外れることもあり、このような場合には、十分な箱の耐久性を保てないため、防止手段として、外側板と内側板に対して合成樹脂製のピンを打ち込んで、固定することが一般的に行われている。
【0005】
このような合成樹脂製のピンを打ち込む構成のものとしては、例えば、表裏一体のプラスチック製平板をリブによって互いに連結したプラスチック製ダンボールを、他のプラスチック部材と溶着することによって、プラスチック製ダンボール製品を製造するプラスチック製ダンボール製品の製造方法において、前記プラスチック製ダンボール又は他のプラスチック部材の表面に、加熱用接触子を押圧して加熱することにより、当該プラスチック製ダンボール又は他のプラスチック部材を溶融させる加熱溶融工程と、前記加熱溶融工程によって前記プラスチック製ダンボール又は他のプラスチック部材が貫通可能な状態となった時点で、前記加熱用接触子を所定量だけ降下させる加熱用接触子の下降工程と、前記加熱用接触子の下降工程の後に、前記プラスチック製ダンボール又はプラスチック部材を加熱用接触子によって加熱することにより溶融させる再加熱溶融工程とを備え、前記プラスチック製ダンボールを他のプラスチック部材と溶着するプアラスチック製ダンボール製品の製造方法(例えば、特許文献1)において製造され、他のプラスチック部材として合成樹脂製ピンを使用してなる、プラスチック製ダンボールが公知である。
【0006】
【特許文献1】特開2007−106123号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、合成樹脂製のピンを打ち込む作業は内側板と外側板のズレを防止できる点では有効であるものの、当該作業を行うことが面倒であるだけでなく、加熱を伴うものであるため、作業に危険を伴う欠点がある。
また輸送用箱の外観においても良好とはいえず、更に、ピンを打ち込む作業の際には、プラスチック材の削り屑が生じ、この削り屑が輸送用箱の使用中において収納される物品に付着することがあり、これが原因で収納物である商品の価値を損なうこともあった。
【0008】
また、輸送用箱を組立前の段階で販売し、購入者が現地で組立てるといった市場の要求があるが、前記した合成樹脂製のピンの打ち込み作業は、これから組立を行おうとする購入者にとって非常に大きな負担となる実情もある。
【0009】
本発明は以上の事情に鑑みてなされたものであり、二重壁を有する耐久性の高い輸送用箱でありながら、ピンの打ち込み作業を行う必要がなく、プラスチック材の削り屑を生じることもなく、また二重壁の外側板と内側板とのズレを生じることもなく、組立若しくは折畳が非常に容易な輸送用箱を提供することを、発明が解決しようとする課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決すべく、請求項1に係る発明は、底板と該底板の各辺から起立する側板を有するプラスチックダンボール製の筐体と、隣接する側板相互で形成される各角部の上端縁を固定する角部材と、前記角部材間となる側板の上端縁を被覆する縁部材とを備え、前記縁部材は、側板の上端縁を挟む外片及び内片を有し、該内片には側板に対する係合部を備え、少なくとも対向する一組の側面が、夫々内側板と外側板を重合した二重壁である輸送用箱において、二重壁を構成する内側板の上端縁に、所定幅で上方に延設される内側舌片を備え、且つ、該内側舌片の隣接位置に所定幅を有する切欠部を備え、前記内側舌片は基端から内側へ折曲可能とし、二重壁を構成する外側板の上端縁に、所定幅で上方に延設される外側舌片を備え、該外側舌片は基端から内側へ折曲可能とし、二重壁の重合状態で、折曲された外側舌片が内側板の切欠部と重なる位置として、折曲された外側舌片が縁部材の係合部と係合し、且つ、折曲された内側舌片が縁部材の係合部と係合したことを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の構成を備えた上で、二重壁の内側舌片と外側舌片が連続して交互に配列され、前記内側舌片及び外側舌片が連続して交互に、縁部材の係合部と係合したことを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項3に係る発明は、上記請求項1又は請求項2に係る発明の構成を備えた上で、筐体の展開状態において、少なくとも一の側板の側縁には、隣接する側板と重合するための接合代を備え、該接合代が、二重壁を構成する内側板となることを特徴とするものである。
【0013】
また、請求項4に係る発明は、上記請求項1又は請求項2に係る発明の構成を備えた上で、筐体の展開状態において、少なくとも対向する一対の側板に、別個独立の重合板を夫々重ね、二重壁を形成したことを特徴とするものである。
【0014】
また、請求項5に係る発明は、上記請求項1、2又は4に係る発明の構成を備えた上で、側壁の左右縁に縦フレームを設け、組立状態で、隣接する側壁間に縦フレームを配置し、折畳可能とすることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によれば、二重壁を構成する内側板の上端縁に、所定幅で上方に延設される内側舌片を備え、且つ、該内側舌片の隣接位置に所定幅を有する切欠部を備え、前記内側舌片は基端から内側へ折曲可能とし、二重壁を構成する外側板の上端縁に、所定幅で上方に延設される外側舌片を備え、該外側舌片は基端から内側へ折曲可能とし、二重壁の重合状態で、折曲された外側舌片が内側板の切欠部と重なる位置として、折曲された外側舌片が縁部材の係合部と係合し、且つ、折曲された内側舌片が縁部材の係合部と係合したことで、折曲した外側舌片が内側舌片に隣接する切欠部にやや嵌り込んだ干渉した状態となって、外側板の外側舌片が、外部からの負荷に対しても側板の縁部の撓りがなくなり、側板自体の強度が向上するとともに、係合部の強度を高めることができ、外側板、内側板のいずれもが縁部材と強固に連結でき、合成樹脂製のピンを用いることもなく、外側板と内側板のズレを生じない構造とすることができる。このため、従来、合成樹脂製のピンの打ち込みで生じた削り屑が生じることもない。また、輸送用箱を組立前の段階で販売し、購入者が現地で容易に組立てることができる。
【0016】
また請求項2に係る発明によれば、上記請求項1に係る発明の作用効果を奏するものである上に、二重壁の内側舌片と外側舌片が連続して交互に配列され、前記内側舌片及び外側舌片が連続して交互に、縁部材の係合部と係合したことによって、外側板の外側舌片、内側板の内側舌片が相互に干渉して、外側板と内側板の双方が、外部からの負荷に対しても側板の縁部の撓りがなくなり、側板の縁部自体の強度が向上するとともに、内側板と外側板の連結を更に強固とすることができる。
【0017】
請求項3に係る発明によれば、上記請求項1又は請求項2に係る発明の作用効果を奏するものである上に、筐体の展開状態において、少なくとも一の側板の側縁には、隣接する側板と重合するための接合代を備え、該接合代が、二重壁を構成する内側板となることで、二重壁の形成を容易に形成することができ、二重壁に隣接する側板と二重壁を構成する側板が予め一体化されているので、輸送用箱の強度を極めて高いものとすることができる。
【0018】
請求項4に係る発明によれば、筐体の展開状態において、少なくとも対向する一対の側板に、別個独立の重合板を夫々重ね、二重壁を形成したことから、二重壁を他の側壁から独立して動かすことが可能となるため、上記請求項1及び請求項2に係る発明について、折畳機能を付与することを容易とすることができる。
【0019】
また、以上に示した請求項1乃至請求項4に係る発明は、隣接する側壁間に柱を形成しなくても、十分な強度を確保することができるため、柱を形成しない構成とすると、材料コスト、製造工程の低減を図ることができ、より安価で軽量な輸送用箱を提供することができる。
【0020】
一方、請求項5に係る発明のように、対向する側壁の左右縁に縦フレームを固着したことで、組立時(復元時)の際の輸送用箱の強度を更に高めることができ、繰り返しの折畳操作に対する耐久性能を確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
底板1と該底板1の各辺から起立する側板2を有するプラスチックダンボール製の筐体と、隣接する側板2相互で形成される各角部の上端縁を固定する角部材3と、前記角部材3間となる側板2の上端縁を被覆する縁部材4とを備え、前記縁部材4は、側板2の上端縁を挟む外片42及び内片41を有し、該内片41には側板2に対する係合部となる係合鍔部44を備え、少なくとも対向する一組の側面2が、夫々内側板と外側板(側板2b又は第一側板2c)を重合した二重壁である輸送用箱において、二重壁を構成する内側板の上端縁に、所定幅で上方に延設される内側舌片(70又は50)を備え、且つ、該内側舌片の隣接位置に所定幅を有する切欠部(71又は51)を備え、前記内側舌片は基端から内側へ折曲可能とし、二重壁を構成する外側板の上端縁に、所定幅で上方に延設される外側舌片20を備え、該外側舌片20は基端から内側へ折曲可能とし、二重壁の重合状態で、折曲された外側舌片20が内側板の切欠部と重なる位置として、二重壁の内側舌片と外側舌片が連続して交互に配列され、前記内側舌片及び外側舌片が連続して交互に、縁部材4の係合鍔部44と係合し筐体の展開状態において、少なくとも一の側板2の側縁には、隣接する側板2と重合するための接合代7を備え、該接合代7が、二重壁を構成する内側板となる輸送用箱としたことで、折曲した外側舌片が内側舌片に隣接する切欠部にやや嵌り込んだ干渉した状態となり、更に、前記内側舌片及び外側舌片が連続して交互に、縁部材4の係合鍔部44と係合したことによって、外側板の外側舌片、内側板の内側舌片が相互に干渉して、外側板と内側板の双方が、外部からの負荷に対しても左右方向へぐらついたり、変形したりするということがなくなり、側板2の縁部自体の強度が向上するとともに、内側板と外側板の連結を更に強固とすることができ、二重壁の形成を容易に形成することができ、二重壁に隣接する側板と二重壁を構成する側板が予め一体化されているので、輸送用箱の強度を極めて高いものとすることができ、これによって、二重壁を有する耐久性の高い構造を確保した上で、ピンの打ち込み作業を行う必要がなく、プラスチックの削り屑を生じることもなく、また二重壁の外側板と内側板とのズレを生じることもなく、組立若しくは折畳が非常に容易な輸送用箱の提供を実現した。
【実施例】
【0022】
以下、本発明の実施例1乃至実施例3につき、順次説明する。尚、本発明は、下記に示す実施例に限定されるものではない。図1乃至図13は本発明の実施例1、図14乃至図22は本発明の実施例2、図23乃至図25は本発明の実施例3に関するものである。
【0023】
(実施例1)
図1は本発明の実施例1に係る輸送用箱を示す斜視図、図2は同実施例1に係る輸送用箱の展開状態を示す平面図及びその一部拡大図、図3は同実施例1に係る輸送用箱を構成するプラスチックダンボール材を示す斜視図、図4は同実施例1に係る輸送用箱の角部の上端縁を被覆する角部材を示す斜視図、図5は同実施例1における角部材の底面図、図6は同実施例1に係る輸送用箱の側壁の上端縁を被覆する縁部材を示す斜視図、図7は同実施例1に係る輸送用箱の二重壁の外側板と内側板との関係を示す斜視図、図8は同実施例1に係る輸送用箱の外側板と内側板を重合して角部材を取着した状態を示す斜視図、図9は同実施例1に係る輸送用箱の側板上端縁に縁部材を取着する状態を示す斜視図、図10は同実施例1に係る輸送用箱の二重壁の内側舌片を含むA−A断面図、図11は同実施例1に係る輸送用箱の二重壁の外側舌片を含むB−B断面図、図12は同実施例1に係る輸送用箱の二重壁の内側板と縁部材との係合状態を示すC−C断面図、図13は同実施例1に係る輸送用箱の二重壁の外側板と縁部材との係合状態を示すD−D断面図である。
【0024】
本発明の実施例1に係る輸送用箱は、図1に示すように、底板1と該底板1の各辺から起立する側板2(2a、2b)を有し、上部が開口した箱型に組立てられるプラスチックダンボール製の筐体と、前記筐体における隣接する側板相互で形成される各角部の上端縁を固定する角部材3(3a)と、前記角部材3(3a)間となる側板2(2a、2b)の上端縁を被覆する縁部材4とから構成される。
【0025】
前記筐体は、ポリプロピレンを主成分とし、図3に示す、対向する二枚の薄板90間に相互に平行する複数のリブ91を所定間隔で列設して一体に形成したプラスチックダンボール材からなる。当該プラスチックダンボール材9の構成は押出し成型によって形成し、リブ91と二枚の薄板90を一体に形成することで平行な複数の貫通穴92を列設した構成である。従って、筐体は図2に示すように展開状態において、一定方向に平行するリブ91が形成される。
【0026】
そして、図1及び図2に示すように、筐体の構成は、底板1と、底板1の各辺から連続する側板2と、前記側板2のうち長辺側となる側板2(2a)の両側端縁から夫々延設される接合代7を備えている。尚、本実施例1では筐体の短辺側の側板2(2b)には接合代7を有しない。
【0027】
前記接合代7の幅寸法は、短辺側となる側板2の幅の半分の寸法としてある。このようにすることで、筐体の組立状態では、図1に示すように、対向する接合代7の側端面73同士が当接して、二重壁における外側壁と同幅を有する内側壁を形成する。
【0028】
(筐体の構成4:外側舌片)
夫々の短辺側の側板2(2b)における上端縁には、幅寸法44mm、長さ寸法30mmで、44mmの間隔をおいて、三箇所に外側舌片20を形成してある。図12に示すように、これらの外側舌片20の基端には外面側から切込み28が形成してあり、該切込み28によって、当該箇所のプラスチックダンボールの外側の薄板90とリブ91は切断してあり、内側の薄板90のみが折線部分29として機能すべく、短辺側の側板2(2b)における上端縁と外側舌片20が繋がった状態で保たれており、短辺側の側板2(2b)の切込み28によって形成される折線部分29から外側舌片20が内側へ折曲可能で、且つ、折曲状態において開き方向へ樹脂弾性による反発力を生ずる構成としてある。
【0029】
図2に示すように、各接合代7には、幅寸法44mm、長さ寸法25mmで、内側舌片70を形成してある。また図10に示すように、内側舌片70の基端部には外面から切込み74が形成してあり、該切込み74によって、当該箇所のプラスチックダンボールの外面側の薄板90とリブ91は切断してあり、内側の薄板90のみが折線部分75を形成して、接合代7と内側舌片70が繋がった状態で保たれており、接合代(即ち、筐体の二重壁の内側板)の切込み74によって形成される折線部分75から内側舌片70が内側へ折曲可能で、且つ、折曲状態において開き方向へ樹脂弾性による反発力を生ずる構成としてある。
【0030】
また、各接合代7には、内側舌片70から角側に隣接して、幅寸法44mm、接合代7の基端からの深さ寸法が25mmとなる切欠部71を形成してある。更に、内側舌片70から側縁側にも隣接して切欠部71の一部を形成してあり、対向する接合代7の側端面同士が当接した状態で、一つの切欠部71が完成するものとしてある。当該構成によって、内側舌片70と前記外側舌片20が交互に連続して配置される。
【0031】
また、長辺側の側板2(2a)及び二重壁には、上側角部材3aを取着するための複数のスリット27、72を夫々形成してある。二重壁のスリット27、72は、外側板及び内側板の双方の共通する位置に設けてある。
【0032】
また、図2に示すように、短辺側の側板2(2b)の中央部のやや上端側寄りとなる位置には、外側把手形成穴210を設けてある。そして、接合代7の対応する位置に、把手形成穴の一部を形成してあり、対向する接合代7の側端面73同士が当接した状態で、内側把手形成穴211が完成する。従って、外側板と内側板で二重壁を形成すると、外側把手形成穴210と内側把手形成穴211とが重なり、二重壁を貫通する把手部21が形成される。
【0033】
上記構成によって、図7に示すように、外側舌片20が内側板の切欠部71と重なる位置とし、図8に示すように、外側舌片20を折線から内側へ折曲し、内側舌片70を折線から内側へ折曲する。この状態によって、外側板の外側舌と内側板の内側舌片とが相互に干渉して、外側板と内側板の双方が、外部からの負荷に対しても左右方向へぐらついたり、変形したりするということがなくなる。
【0034】
また、長辺側の側板2bの上端縁のうち左右のスリット27(27a)の間に、一枚の延設片26を形成してある。延設片26の基端には、外側から水平な切込み260を形成してある。該切込み260によって、当該箇所のプラスチックダンボールの外側の薄板90とリブ91は切断してあり、内側の薄板90のみが折線部分として機能すべく、第二側板2dにおける上端縁と延設片26が繋がった状態で保たれており、内側へ折曲可能であり、且つ、折曲状態において開き方向へ樹脂弾性による反発力を生ずる構成としてある。
【0035】
上側角部材3aは、ポリプロピレンからなり、図4及び図5に示すように、平面視略L字状の角部材本体30aと該角部材本体30aの両端部から突出する略直方体状の突状部31aからなる。角部材本体30aは、平面視略L字状の上端面32aと、前記上端面の外側端部から上方へ延設してなる保持片33aを有する。角部材本体30aは下縁枠36aを除いて下方に開口する角部本体凹部34aを有し、突状部31aは、下縁枠37aを除いて下方に開口する突状部凹部35aを備えている。
角部本体凹部34a及び突状部凹部35aにおける深さ寸法は夫々、前記側板及び二重壁のスリット27、72の深さ寸法以上としてある。
【0036】
縁部材4は、図6に示すように、短手縦断面が略h字形状となる合成樹脂製部材であり、長尺平板状の中央片40の下面の一端から長手方向へ連続する内片41と、下面の他端側から長手方向へ連続する外片42と、前記中央片40の上面に形成される保持片43とを備えている。
【0037】
そして、四隅のスリット27、72に上側角部材3aの下縁枠を合わせて嵌め込み、図9に示すように、上側角部材3a間となる側板2の上端縁に、縁部材4を被覆して取着することで、図1に示す輸送用箱の構成となる。
【0038】
図8及び図9に示すように、二重壁の重合状態で、折曲された外側舌片20が、内側板の切欠部と重なる位置として、縁部材4の係合鍔部44と係合した構成となる。ここで、外側舌片20が縁部材4に対して係合している箇所と、内側舌片70が縁部材4に対する係合している箇所とでは、構成が相違する。
【0039】
即ち、内側舌片70が縁部材4に対して係合する箇所においては、図11に示すように、外側板(側板2b)、内側板(接合代7)、折曲された内側舌片70の合計三枚の板が縁部材4の内部空間へ嵌合し、且つ、内側舌片70の端部が縁部材4の係合鍔部44と係合する構成である。当該係合箇所においては、縁部材4の内部空間に生じる隙間は非常に少なく、縁部材4内に前記三枚の板が充填された状態に近い。即ち、縁部材4の内部空間に密度の高い状態で収納され、且つ、縁部材4の係合鍔部44と内側舌片70の端部とが係合した状態となるため、非常に強固に縁部材4を取着した構成となっている。更に、内側舌片70は折曲状態から復元しようとする反発力を発揮するため、内側舌片70の端部と縁部材4の係合鍔部44との係合が不用意に解除されない。
【0040】
また、外側舌片20が縁部材4に対して係合する箇所においては、図13に示すように、内側板(接合代7)は切欠部71を有するため、外側板(側板2b)及び折曲された外側舌片20の合計二枚の板が縁部材4内に収まる構成である。従って、前記内側舌片が縁部材4に対して係合する箇所と比較して内部空間に隙間が多い状態であるが、内側舌片70と同様に、外側舌片20が折曲状態から復元しようとする反発力を発揮するため、外側舌片20の端部と縁部材4の係合鍔部44との係合が不用意に解除されない。また、外側舌片20は内側舌片70と比べて縁部材4の係合鍔部44までの距離が長いことから、縁部材4の係合鍔部44との係合を確実とするために、内側舌片70よりも若干長い(本実施例1では上記したように、内側舌片70が25mmであるのに対して外側舌片20が30mmとなる)構成とし、係合鍔部44との係合をより確実なものとしている。
【0041】
更に、外側舌片20の幅寸法と内側板の切欠部71の幅寸法を同一とすることによって、内側板の切欠部71に嵌り込んだ外側舌片20の一部が切欠部71の縁で干渉するため、外側舌片20の端部と縁部材4の係合鍔部44との係合が不用意に解除されない構成となっている。
【0042】
上記本実施例1は、以上に示したように、二重壁を構成する内側板(接合代7)の上端縁に、所定幅で上方に延設される内側舌片70を備え、且つ、該内側舌片70の隣接位置に所定幅を有する切欠部71を備え、前記内側舌片20は基端から内側へ折曲可能とし、二重壁を構成する外側板(側板2b)の上端縁に、所定幅で上方に延設される外側舌片20を備え、該外側舌片20は基端から内側へ折曲可能とし、二重壁の重合状態で、折曲された外側舌片20が内側板(接合代7)の切欠部71と重なる位置として、折曲された外側舌片20が縁部材4の係合鍔部44と係合したことで、二重壁を有する耐久性の高い構造を確保した上で、更に側板2bの上縁部の強度を高めることができる。
【0043】
また、二重壁は確実に固定されることから、二重壁の外側板(側板2b)と内側板(接合代7)のズレも生じないため、従来二重壁の外側板(側板2b)と内側板(接合代7)との間に取着していた合成樹脂製のピンを設ける必要がなく、外観体裁を良好なものとすることができる。また、合成樹脂製のピンを設けないから、プラスチックの削り屑を生じることもなく、収納物品の品質低下を招来することもない。
【0044】
更に、本実施例1は、上記構成によって、二重壁は確実に固定されることから、従来、輸送用箱Zの強度を保つために、輸送用箱Zの四隅の上部から底部にかけて設けていた縦フレームを設ける必要もない。
【0045】
(実施例2)
次に、本発明の実施例2に係る輸送用箱を示す。図14は本発明の実施例2に係る輸送用箱の分解状態を示す斜視図、図15は同実施例2に係る輸送用箱の分解状態において、外側舌片及び内側舌片を折曲した状態を示す斜視図、図16同実施例2に係る輸送用箱の(a)底板及び第一側板を展開した状態を示す平面図、(b)第二側板を示す正面図、図17同実施例2にかかる輸送用箱の(a)補強板を示す正面図、(b)補強底板を展開した状態を示す平面図、図18同実施例2に係る輸送用箱を示す斜視図、図19同実施例2に係る輸送用箱の折畳過程において、第二側板を折畳んだ状態を示す斜視図、図20は同実施例2に係る輸送用箱の折畳過程において、第一側板を折り曲げた状態を示す斜視図及びその一部拡大図、図21同実施例2に係る輸送用箱の折畳状態を示す斜視図、図22は同実施例2に係る輸送用箱の下側角部材を底板及び補強底板に取着する状態を示す斜視図である。
【0046】
(実施例1と共通する基本構成)
本発明の実施例2に係る輸送用箱Zは、主として、対向する二枚の薄板90間に相互に平行する複数のリブ91を所定間隔で列設して一体に形成したプラスチックダンボール材(図3参照。)で筐体を形成し、二重壁を備え、該二重壁において外側舌片20と内側舌片が交互に内側へ折曲された構成を有する点で、実施例1と共通する。
【0047】
一方、本実施例2に係る輸送用箱は、折畳みが可能な輸送用箱Zであり、筐体に実施例1のような接合代7を有さず、折畳を可能とするために強度が不足する側板(外側板)に、内側板(補強板5)を重合して二重壁を形成した構成を備えたものである。また、実施例1が筐体の短辺側で二枚の接合代7を突き合わせて内側板を形成するのに対して、本実施例2では筐体の長辺側で一枚物の前記内側板(補強板5)を用いる。以下、本実施例2の各構成について、具体的に示す。
【0048】
本実施例2に係る輸送用箱Zは、図14乃至図21に示すように、底板1と、該底板1の左右を延設屈曲して夫々対向して形成され上下に二つ折り可能となる第一側板2cと、底板1の前後方向に夫々対向して設置され、上部の水平な切込ライン29dを基準に内側へ折曲可能な第二側板2dと、前記第一側板2cの内側に重合して配置される補強板5と、底板1の下側に重合して底板を補強する補強底板6と、前記底板1と補強底板6を固着し且つ第二側板2dの下端と係脱自在となる下側角部材3bと、第一側板2c、補強板5及び第二側板2dの上端面に設置される縁部材4及び上側角部材3aとを備える。
【0049】
尚、本実施例2において、第一側板2c、第二側板2d、補強板5はいずれも、組立状態において、リブ91を垂直方向に配置する。また、本実施例2では、長辺側となる側板2を第一側板2cとし、短辺側となる側板2を第二側板2dとしている。
【0050】
底板1、各第一側板2c、各第二側板2d及び補強板5は、図16及び図17にその展開状態の平面図を示すように、ポリプロピレンを原材料として一体に成型されたプラスチックダンボールからなる。また、補強底板6は合成樹脂板からなる。
【0051】
各第一側板2cは、中央位置及び上端近傍位置の二箇所に、相互に平行する、水平な切込ラインを設けてある。
ここで、中央内側位置における切込ラインを中央側切込ライン291cとし、上端近傍外側位置の切込ラインを上端側切込ライン290cとする。上端側切込ライン290cは、プラスチックダンボールの外側の薄板90とリブ91は切断してあり、内側の薄板のみが折線部分290dとして機能する。また、中央側切込ライン291cは、プラスチックダンボールの内側の薄板90とリブ91は切断してあり、外側の薄板90のみが折線部分291dとして機能する。当該構成によって、第一側板2cは上端近傍位置の上端側切込ライン290cを山折し、中央位置の中央側切込ライン291cを谷折することで、当該第一側板2cを折畳むことを可能とするものである。
【0052】
そして、第一側板2cは、その上端縁に、幅寸法44mm、長さ寸法30mm(注意)で、44mmの間隔をおいて、四箇所に外側舌片20を形成してある。外側舌片20の基端には外面側から切込み28が形成してあり、該切込み28によって、当該箇所のプラスチックダンボールの外側の薄板90とリブ91は切断してあり、内側の薄板90のみが折線部分として機能すべく、第一側板2cにおける上端縁と外側舌片20が繋がった状態で保たれており、内側へ折曲可能であり、且つ、折曲状態において開き方向へ樹脂弾性による反発力を生ずる構成としてある。
【0053】
補強板5は、第一側板2cと重合されて二重壁を形成するものであり、当該補強板5の上端縁には、幅寸法44mm、長さ寸法25mmで、44mmの間隔をおいて、三箇所に内側舌片50を形成してある。また、各内側舌片50の間及び両端の内側舌片50の側方に、幅寸法44mm、該内側舌片50の基端からの深さ寸法が25mmとなる切欠部51を形成してある。更に、補強板5は、上端側に外側から水平な切込ライン52を設けてある。この補強板5の切込ライン52は、前記した第一側板2cの上端近傍位置の切込ライン290cよりも更に上方に形成してあり、第一側板2cが折畳まれる際に、補強板5が第一側板2cに干渉せずに内側へ折曲可能とするものである。
【0054】
第二側板2dは、上端縁の左右に上側角部材3aを取付けるためのスリット27dを形成し、上端縁近傍において当該スリット27dに干渉しない高さで、外側から水平な切込ライン290eを形成してある。
【0055】
また、第二側板2dの上端縁のうち左右のスリット27dの間に、一枚の延設片26を形成してある。延設片26の基端には、外側から水平な切込み260を形成してある。該切込み260によって、当該箇所のプラスチックダンボールの外側の薄板90とリブ91は切断してあり、内側の薄板90のみが折線部分として機能すべく、第二側板2dにおける上端縁と延設片26が繋がった状態で保たれており、内側へ折曲可能であり、且つ、折曲状態において開き方向へ樹脂弾性による反発力を生ずる構成としてある。
【0056】
また、第二側板2dの前記スリット27dに干渉しない高さで設けた切込ライン260の長手中央よりやや下方となる位置に、把手21を設けてある。第二側板2dの下側両角部分には、略長方形状の端部貫通孔21を設け、該端部貫通孔21の下方には略正方形状の端部係合孔22を設け、更に、当該端部係合孔22の下方には略長方形状の端部切欠部23を設けてある。これらの端部貫通孔21、端部係合孔22及び端部切欠部23を利用して、第二側板2dの下側両角部分に端部係合部25を取着してある。
【0057】
前記したように、底板1の下方には、補強側板6を設けてある。補強側板6は、プラスチックダンボールではなく合成樹脂板で構成している。底板1とほぼ同一輪郭形状を有する底部60と、該底部60の側縁から両側方へ延設される第一折曲板61と、底部60の側縁から前後方向に延設される第二折曲板62とを備える。第一折曲板61及び第二折曲板62は、底板6に対して垂直に起立屈曲した状態を保持している。
第一折曲板61は第一側板2cの下方に配置し、第二折曲板62は第二側板2dの下方に配置する。
【0058】
上側角部材3aは、実施例1と同様のものを使用している。即ち、上側角部材3aは、ポリプロピレンからなり、平面視略L字状の角部材本体30aと該角部材本体30aの両端部から突出する略直方体状の突状部31aからなる。上側角部材本体30aは、平面視略L字状の上端面32aと、前記上端面32aの外側端部から上方へ延設してなる保持片33aを有する。上側角部本体30aは下縁枠を除いて下方に開口する角部本体凹部34aを有し、突状部31aは、下縁枠を除いて下方に開口する突状部凹部35aを備えている。角部本体凹部30、突状部凹部31は夫々、第一側板2c及び第二側板2dのスリット深さ以上の深さを有している。
【0059】
下側角部材3bは、図14及び図15に示すように、底板1と補強底板6とを重合連結し、且つ、第二側板2dと底板1とを垂直に保持するためのものである。第二側板2dの下端側に設けた端部係合部材25と係脱可能な係合手段を有する。当該下側角部材3bは、図22に示すように、主として、底部30b、短壁部31b、長壁部32b及び挟持板33bからなる。短壁部31bと長壁部32bは相互に直交し、且つ、底部30bに対して垂直に一体として形成している。
挟持板33bは底部30bの上方に平行に配置し、長壁板32bと一体に形成してある。底部30bと挟持板33bとの間隙は、底板1及び補強底板6の板厚より僅かに小さくして樹脂弾性により挟持する構成としてある。
【0060】
また、短壁部31bにおける底部30bとの境界には段部34bを設けてあり、第一折曲板との板厚を調節する。更に長壁部側32bにおける挟持板33bの略中央部には係合爪35bを設け、長壁部32bにおける上方の略中央部には係合穴36bを設け、第二側板における端部係合部材25と係脱可能としてある。
【0061】
縁部材4は、短手縦断面が略h字形状となる合成樹脂製部材であり、長尺平板状の中央片40の下面の一端から長手方向へ連続する内片と、下面の他端側から長手方向へ連続する外片42と、前記中央片40の上面に形成される保持片43とを備えている。
【0062】
そして、四隅のスリットに合わせて上側角部材を嵌め込み、図14及び図15に示すように、上側角部材間となる側板の上端縁を被覆する縁部材4を取着することで、輸送用箱の構成となる。
【0063】
二重壁の重合状態で、折曲された外側舌片が内側板の切欠部と重なる位置として、折曲された外側舌片が縁部材4の係合部である係合鍔部44と係合し、且つ、折曲された内側舌片が縁部材4の係合鍔部44と係合した構成となる。外側舌片が縁部材4に対して係合している箇所と、内側舌片が縁部材4に対する係合している箇所とでは、構成が相違する。
【0064】
内側舌片が縁部材4に対して係合する箇所においては、外側板、内側板、折曲された内側舌片の合計三枚の板が縁部材4の内部空間へ嵌合し、且つ、内側舌片の端部が縁部材4の係合鍔部44と係合する構成である。当該係合箇所においては、縁部材4の内部空間に生じる隙間は非常に少なく、縁部材4内に前記三枚の板が充填された状態に近い。即ち、縁部材4の内部空間に密度の高い状態で収納され、且つ、縁部材4の係合鍔部44と内側舌片の端部とが係合した状態となるため、非常に強固に縁部材4を取着した構成となっている。更に、内側舌片は折曲状態から復元しようとする反発力を発揮するため、内側舌片の端部と縁部材4の係合鍔部44との係合が不用意に解除されない。
【0065】
以上に示した輸送用箱の折畳みについて、組立方法及び折畳み方法を、以下に示す。
図21に示す折畳み状態から輸送用箱の上縁を持ち上げると、内部に折り畳まれていた第一側板が切込ラインを基準として上下に開き、同時に、上縁部が強固に縁部材4と連結された補強板の下端縁を、前記第一側板の内側から外方へ移動させ、第一側板及び補強板を起立状態とする(図20、図19)。第一側板は、補強板と補強底板の第一折曲板との間に配置される。
【0066】
この際において、本発明の特徴とする構成、即ち、折曲された外側舌片が内側板の切欠部と重なる位置として、折曲された外側舌片が縁部材4の係合鍔部44と係合し、且つ、折曲された内側舌片が縁部材4の係合鍔部44と係合した構成によって、繰り返しの操作によっても、常に第一側板が縁部材4から脱落することがなく、確実な操作性を実現する。
【0067】
次いで、第一側板及び補強板を起立させた図19に示す状態から、折り畳まれていた第二側板を開く。第二側板は上端縁が縁部材4と連結されており、第二側板の下端側を下方へ押し下げることにより、第二側板の上端近傍に形成した切込ラインを基準として、第二側板が底板に対して垂直に配置する。第二側板の下端の係合鍔部44と下側角部材とが係合することで、第二側板を固定できる。第二側板の下端の係合鍔部44と下側角部材との係合は、下部角部材における係合孔に端部係合部材における係合突起を挿通して、下部角部材における係合爪に端部係合部材における係合爪を係合することで行う。以上によって、二重壁に合成樹脂製のピンによる固定を行うこともなく、また縦フレームも用いることもなく、図18に示す、十分な強度を有する輸送用箱を組み立てることができる。
【0068】
折畳み方法は、先ず、第二側板の下方端部を内側へ押圧し、当該第二側板の端部係合部材と下側角部材の係合孔との係合を解除して、第二側板の上端側の切込ラインから折り曲げて第二側板の内側上方へ折り畳む。
【0069】
次に、補強板の下端を内側へ移動させ、補強板の上端側の切込ラインから折曲し、第補強板を内側上方へ折り畳む。以上の操作によって、輸送用箱は折畳み状態となる。
補強板の折畳みによって、補強されなくなった第一側板をその中央の折曲ラインから内側へ折畳む。折畳み時において、第一側板と縁部材4との連結部、補強板と縁部材4との連結部に負荷がかかることとなるが、本発明における二重壁の内側舌片と外側舌片が連続して交互に配列され、前記内側舌片及び外側舌片が連続して交互に、縁部材4の係合鍔部44と係合した特別の構成によって、第一側板、補強板5のいずれにおいても、縁部材4から不用意に離脱することがなく、十分な耐久性を発揮することができる。
【0070】
上記本実施例2は、以上に示したように、二重壁を構成する内側板(補強板5)の上端縁に、所定幅で上方に延設される内側舌片50を備え、且つ、該内側舌片50の隣接位置に所定幅を有する切欠部51を備え、前記内側舌片50は基端から内側へ折曲可能とし、二重壁を構成する外側板(第一側板2c)の上端縁に、所定幅で上方に延設される外側舌片20を備え、該外側舌片20は基端から内側へ折曲可能とし、二重壁の重合状態で、折曲された外側舌片20が内側板(補強板5)の切欠部51と重なる位置として、折曲された外側舌片20が縁部材4の係合鍔部44と係合したことで、二重壁を有する耐久性の高い構造を確保した上で、更に側板2bの上縁部の強度を高めることができる。また、二重壁は確実に固定されることから、二重壁の外側板(第一側板2c)と内側板(補強板5)のズレも生じないため、従来二重壁の外側板(第一側板2c)と内側板(補強板5)との間に取着していた合成樹脂製のピンを設ける必要がなく、外観体裁を良好なものとすることができる。また、合成樹脂製のピンを設けないから、プラスチックの削り屑を生じることもなく、収納物品の品質低下を招来することもない。
更に、本実施例2は、上記構成によって、実施例1と同様に、二重壁は確実に固定されることから、従来、輸送用箱Zの強度を保つために、輸送用箱Zの四隅の上部から底部にかけて設けていた縦フレームを設ける必要もない。
【0071】
以上のように、本実施例2に係る発明は、二重壁の内側舌片と外側舌片が連続して交互に配列され、前記内側舌片及び外側舌片が連続して交互に、縁部材4の係合鍔部44と係合させることによって、ピンの打ち込み作業を行う必要がなく、プラスチックの削り屑を生じることもなく、また二重壁の外側板と内側板とのズレを生じることもなく、組立若しくは折畳が非常に容易とするものであり、実施例1及び実施例2のように、二重壁の強度が保てることで、結果的に縦フレームを設けなくとも必要十分な強度を確保できる。
しかしながら、折畳み状態での側板の強度の確保、重量物の収納時の強度の確保、及び、嵩高の輸送用箱の強度の確保の観点等から、例えば、次に示す実施例3のように、側板の左右側縁に縦フレームを取付けた構成とすることもできる。
【0072】
(実施例3)
図23は本発明の実施例3に係る輸送用箱を示す斜視図、図24の同実施例3に係る輸送用箱の分解状態を示す斜視図、図25は同実施例3に係る輸送用箱における補強板5と縦フレーム8の(a)取着前の状態を示す斜視図、(b)取着後の状態を示す斜視図、図26は同実施例に係る輸送用箱の折畳過程において、第一側板を折り曲げた状態を示す斜視図及びその一部拡大図である。
【0073】
実施例3に係る輸送用箱は、図23乃至図26に示すように、上記実施例2と略同一の構成を備えており、一対の補強板5の両側端に夫々縦フレーム8を設けた点においてのみ実施例2と相違するものである。このため、実施例2との共通箇所については、前記実施例2の説明によるものとする。
【0074】
縦フレーム8は、合成樹脂製であり、図24及び図25に示すように、相互に対向する二枚の挟持板80と、該挟持板と垂直に配置される連結板81とを一体とした、平面視略コの字状となる構成である。二枚の挟持板間には、間隙82を備え、挟持片80の外側方向で且つ連結片9bの両端部となる位置に、連結片9bから延設される当接片83を備える。
【0075】
補強板5の左右両端部を、それぞれ前記各縦フレーム8の挟持板間の間隙82に挿嵌し、ホットメルト接着剤等で固着する。切込ライン52を基準として補強板が折曲できる状態を確保するために、縦フレーム8の上端位置は、切込ラインの高さまでとしてある。縦フレーム8の下端は補強板の下端位置までとしてある。
尚、縦フレーム8の形状は本実施例3に示すものに限らず、例えば、当該実施例3の縦フレーム8における当接片を有しない平面視コの字形状等とすることもできる。
【0076】
尚、上記実施例1乃至実施例3においては、いずれも、上側角部材3aの上端面32aと縁部材4の中央片40の上面を同一平面上に配置する構成としている。当該構成によって、複数の輸送用箱Zを積み重ねる際に、安定性を向上することができるだけでなく、積み重ねによって輸送用箱Zの上部を密閉することができるので、防塵性能を高めることができる。
【0077】
尚、本発明は、上記実施例1、実施例2及び実施例3に限定されるものではなく、例えば、角部材の形状、各スリットの有無、補強底板の有無、プラスチックダンボール材のリブの向き、内側舌片、外側舌片及び切欠部の数、形状等、縦フレームの平面視形状等について、自由に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施例1に係る輸送用箱を示す斜視図。
【図2】本発明の実施例1に係る輸送用箱の展開状態を示す平面図及びその一部拡大図。
【図3】本発明の実施例1に係る輸送用箱を構成するプラスチックダンボール材を示す斜視図。
【図4】本発明の実施例1に係る輸送用箱の角部の上端縁を被覆する角部材を示す斜視図。
【図5】本発明の実施例1における角部材の底面図。
【図6】本発明の実施例1に係る輸送用箱の側壁の上端縁を被覆する縁部材を示す斜視図。
【図7】本発明の実施例1に係る輸送用箱の二重壁の外側板と内側板との関係を示す斜視図。
【図8】本発明の実施例1に係る輸送用箱の外側板と内側板を重合して角部材を取着した状態を示す斜視図。
【図9】本発明の実施例1に係る輸送用箱の側板上端縁に縁部材を取着する状態を示す斜視図。
【図10】本発明の実施例1に係る輸送用箱の二重壁の内側舌片を含むA−A断面図。
【図11】本発明の実施例1に係る輸送用箱の二重壁の外側舌片を含むB−B断面図。
【図12】本発明の実施例1に係る輸送用箱の二重壁の内側板と縁部材との係合状態を示すC−C断面図。
【図13】本発明の実施例1に係る輸送用箱の二重壁の外側板と縁部材との係合状態を示すD−D断面図。
【図14】本発明の実施例2に係る輸送用箱の分解状態を示す斜視図。
【図15】本発明の実施例2に係る輸送用箱の分解状態において、外側舌片及び内側舌片を折曲した状態を示す斜視図。
【図16】本発明の実施例2に係る輸送用箱の(a)底板及び第一側板を展開した状態を示す平面図、(b)第二側板を示す正面図。
【図17】本発明の実施例2にかかる輸送用箱の(a)補強板を示す正面図、(b)補強底板を展開した状態を示す平面図。
【図18】本発明の実施例2に係る輸送用箱を示す斜視図。
【図19】本発明の実施例2に係る輸送用箱の折畳過程において、第二側板を折畳んだ状態を示す斜視図。
【図20】本発明の実施例2に係る輸送用箱の折畳過程において、第一側板を折り曲げた状態を示す斜視図及びその一部拡大図。
【図21】本発明の実施例2に係る輸送用箱の折畳状態を示す斜視図。
【図22】本発明の実施例2に係る輸送用箱の下側角部材を底板及び補強底板に取着する状態を示す斜視図。
【図23】本発明の実施例3に係る輸送用箱を示す斜視図。
【図24】本発明の実施例3に係る輸送用箱の分解状態を示す斜視図。
【図25】本発明の実施例3に係る輸送用箱における補強板5と縦フレーム8の(a)取着前の状態を示す斜視図、(b)取着後の状態を示す斜視図。
【図26】本発明の実施例に係る輸送用箱の折畳過程において、第一側板を折り曲げた状態を示す斜視図及びその一部拡大図。
【符号の説明】
【0079】
Z 輸送用箱
1 底板
10 底面
2 側板
2a (長辺側の)側板(実施例1)
2b (短辺側の)側板(実施例1)
2c 第一側板(実施例2)
2d 第二側板(実施例2)
20 外側舌片
200 折線
21 把手
210 外側把手形成穴
211 内側把手形成穴
22 端部貫通孔(実施例2)
23 端部係合孔(実施例2)
24 端部切欠部(実施例2)
25 端部係合部材(実施例2)
26 延設片
260 切込ライン
27 スリット
27a (長辺側の)スリット
27b (短辺側の)スリット
27c (第一側板の)スリット
27d (第二側板の)スリット
28 切込み
290c 上側切込ライン
290d 折線部分
291c 中央側切込ライン
291d 折線部分
29d 切込ライン
3 角部材
3a 上側角部材
30a 角部材本体
31a 突状部
32a 上端面
33a 保持片
34a 角部本体凹部
35a 突状部凹部
3b 下側角部材(実施例2)
30b 底部
31b 短壁部
32b 長壁部
33b 挟持板
34b 段部
35b 係合爪
36b 係合穴
4 縁部材
40 中央片
41 内片
42 外片
43 保持片
44 係合鍔部
5 補強板
50 内側舌片
51 切欠部
6 補強底板
60 補強底部
61 第一折曲板(実施例2)
62 第二折曲板(実施例2)
7 接合代
70 内側舌片
700 折線
71 切欠部
72 スリット
73 側端面
74 切込み
75 折線部分
8 縦フレーム
80 挟持板
81 連結板
82 間隙
83 当接片
9 プラスチックダンボール材
90 薄板
91 リブ
92 貫通穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板と該底板の各辺から起立する側板を有するプラスチックダンボール製の筐体と、
隣接する側板相互で形成される各角部の上端縁を固定する上側角部材と、
前記上側角部材間となる側板の上端縁を被覆する縁部材とを備え、
前記縁部材は、側板の上端縁を挟む外片及び内片を有し、
該内片には係合部を備え、側板の上縁を折り返して前記内片の係合部に係止する構成を備え、
少なくとも対向する一組の側面が、夫々内側板と外側板を重合した二重壁である輸送用箱において、
二重壁を構成する内側板の上端縁に、所定幅で上方に延設される内側舌片を備え、且つ、該内側舌片の隣接位置に所定幅を有する切欠部を備え、前記内側舌片は基端から内側へ折曲可能とし、
二重壁を構成する外側板の上端縁に、所定幅で上方に延設される外側舌片を備え、該外側舌片は基端から内側へ折曲可能とし、
二重壁の重合状態で、折曲された外側舌片が内側板の切欠部と重なる位置として、折曲された外側舌片が縁部材の係合部と係合し、且つ、折曲された内側舌片が縁部材の係合部と係合したことを特徴とする輸送用箱。
【請求項2】
二重壁の内側舌片と外側舌片が連続して交互に配列され、前記内側舌片及び外側舌片が連続して交互に、縁部材の係合部と係合したことを特徴とする請求項1記載の輸送用箱。
【請求項3】
筐体の展開状態において、少なくとも一の側板の側縁には、隣接する側板と重合するための接合代を備え、該接合代が、二重壁を構成する内側板となることを特徴とする請求項1又は2記載の輸送用箱。
【請求項4】
筐体の展開状態において、少なくとも対向する一対の側板に、別個独立の重合板を夫々重ね、二重壁を形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の輸送用箱。
【請求項5】
対向する側壁の左右縁に縦フレームを固着してなる折畳可能な請求項1、2又は4記載の輸送用箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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