説明

輻射暖房機

【課題】窓部に取り付けた耐熱ガラスや雲母板等の被覆体が破損したことを容易かつ確実に検出できる温風暖房機を提供する。
【解決手段】本発明は、バーナと、該バーナの燃焼が行われる燃焼室8と、燃焼室8と連通する熱交換器9と、熱交換器9を介して、吸引した室内の空気を送風する送風ファンFBとを具備する輻射暖房機において、燃焼室8の一部を開口させた開口部16と、開口部16を覆う透明な材料からなる第1の被覆体18と、第1の被覆体18を覆う透明な材料からなる第2の被覆体20と、第1の被覆体18と第2の被覆体20の周縁部に配設され、第1の被覆体18と第2の被覆体20との間に空間29を形成する空間形成枠体19と、空間29と外部とを連通する導出口と、該導出口に設けられて、空間29内の気体に燃焼室8内の燃焼ガスが含まれているか否かを検出する燃焼ガス検出手段35とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FF式暖房機等の輻射暖房機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の輻射暖房機としては、バーナと、バーナで燃焼した燃焼ガスが通る金属性の燃焼筒と、該燃焼筒の前面開口部に耐熱ガラスや雲母板等の被覆体を取り付けた窓部とを備える輻射暖房機が知られている(例えば特許文献1参照)。かかる輻射暖房機によれば、窓部を介して、キャビネットの前面へ燃焼熱が輻射されるとともに、キャビネットの前方から燃焼炎を確認することができる。
【特許文献1】特開2000−193321号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、燃焼炎の確認を容易とし、より多くの輻射熱を得るためには、窓部を大きく設けることが望まれる。
【0004】
しかしながら、かかる輻射暖房機において窓部を大きくすると、窓部に取り付けた被覆体と金属性の燃焼筒との間の熱歪みの差が顕著になり、被覆体を構成する耐熱ガラスや雲母板等に応力が働いて破損してしまう虞がある。特に、被覆体の前に手指等の接触を防止するためのガード部材やルーバー、あるいは拡散ガラス等が設けられている場合には、使用者が被覆体の破損に気づかずに輻射暖房機の使用を継続してしまい、バーナの燃焼状態が悪化するとともに、該燃焼による燃焼ガスが暖房機内に排出されてしまうという不都合が生じる。
【0005】
本発明は、以上の不都合の点に鑑み、窓部に取り付けた耐熱ガラスや雲母板等の被覆体が破損したことを容易かつ確実に検出できる輻射暖房機を提供することをその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、バーナと、該バーナの燃焼が行われる燃焼室と、該燃焼室に燃焼用空気を供給する燃焼ファンと、該燃焼室と連通する熱交換器と、該熱交換器を介して、吸引した室内の空気を送風する送風ファンとを具備する輻射暖房機において、前記燃焼室の一部を開口させ、燃焼室からの輻射熱を放射可能な開口部と、前記開口部を覆う、透明な材料からなる第1の被覆体と、前記第1の被覆体を覆う、透明な材料からなる第2の被覆体と、前記第1の被覆体と前記第2の被覆体の周縁部に配設され、該第1の被覆体と該第2の被覆体との間に空間を形成する空間形成枠体と、前記空間と外部とを連通する導出口と、前記導出口に設けられて、前記空間内の気体に前記燃焼室内の燃焼ガスが含まれているか否かを検出する燃焼ガス検出手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の輻射暖房機によれば、前記開口部は、第1の被覆体および第2の被覆体によって覆われている。そのため、熱歪みの影響を大きく受ける第1の被覆体が破損した場合に、燃焼室内の燃焼ガスは、第1の被覆体と第2の被覆体とによって形成される空間に流れ込む。そして、該空間に流れ込んだ燃焼ガスは前記導出口を通って外部に漏れ出す。このとき、該導出口に設けられた燃焼ガス検出手段によって燃焼ガスが検出される。このように本発明の輻射暖房機によれば、導出口に設けられた燃焼ガス検出手段によって、燃焼室から流れ込んだ燃焼ガスの有無を検出することで、第1の被覆体のどの位置で破損してもその破損を容易かつ確実に検出できる。
【0008】
本発明の輻射暖房機において、前記空間形成枠体の一部を切り欠いた切欠部が、前記導出口となることが好ましい。これにより、前記空間と外部とを繋ぐ前記導出口を簡易に形成することができ、切欠部に燃焼ガス検出手段を設けることで燃焼ガスの有無を確実に検出できる。
【0009】
また、本発明の輻射暖房機において、前記第2の被覆体に設けられた貫通孔が、前記導出口となってもよい。この場合にも、前記空間と外部とを繋ぐ導出口を簡易形成することができ、貫通孔に燃焼ガス検出手段を設けることで燃焼ガスの有無を確実に検出できる。
【0010】
さらに、本発明の輻射暖房機において、入口側が前記導出口を介して前記空間に連通し、出口側が前記燃焼室から離間した位置まで延設された通路を設け、前記燃焼ガス検出手段は、前記通路の出口側に設けられていることが好ましい。前記通路を設けることで、検出手段の雰囲気温度は、燃焼室近傍よりも低くなる。また、前記空間内に燃焼ガスが漏れ出したときは、高温のガスが通路を介して出口側に導かれる。従って、燃焼ガスが漏れているときと漏れていないときの温度差が大きいため、検出手段による検出が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
【0012】
本実施形態の輻射暖房機は、FF式の石油輻射暖房機であって、図1(a)に示すように、箱状に組み立てられた外装ケース1を備え、外装ケース1の前面パネルに拡散ガラス2と温風吹き出し口3を備えている。拡散ガラス2と温風吹き出し口3には網状のガード部材4が取り付けられており、ガード部材4の間隙から、拡散ガラス2および後述する窓部5(図2参照)を介して内部の赤熱板6(図2参照)が透けて見えるようになっている。
【0013】
一方、外装ケース1の背面には、図1(b)に示すように、後述する送風ファンFAと、燃焼ファンFBとが設けられている。
【0014】
外装ケース1の内部には、図2に示すように、バーナユニット7と、バーナユニット7の上部に設けられて、バーナユニット7による燃焼が行われる燃焼室8と、燃焼室8の上部に設けられて、燃焼室8と連通する熱交換器9とが収容されている。そして、送風ファンFAによって吸引された室内の空気が、外装ケース1内に設けられている熱交換器9を通って加熱され前面パネルの吹き出し口3に送風される。
【0015】
バーナユニット7には、その底部に点火芯10と、その上部に燃焼リング11とを備え、定油面器12から電磁ポンプ13、給油管14及びノズル15を介して供給される灯油が点火芯10上で加熱・気化され、その気化ガスが燃焼ファンFBから供給される燃焼用空気と混合し、燃焼リング11で燃焼する。
【0016】
燃焼室8には、内部中央に取り付けられた赤熱体6を備える。赤熱体6は、バーナユニット7から立ち上がる燃焼炎およびその燃焼ガスによって、赤色に発光する金属板によって形成され、複数の貫通穴を備える。
【0017】
また、燃焼室8には、赤熱体6および燃焼炎を確認するための窓部5がその前面に大きく設けられている。
【0018】
窓部5は、図3に分解図を示すように、燃焼室8の一部を矩形に開口させた開口部16と、金属製の枠体であって内周形状が開口部16と同形のパッキン17と、雲母板からなり外周形状がパッキン17の外周形状と同形の第1の被覆体18と、内周側に対して外周側が一段高くなっている金属製の枠体であって内周形状がパッキン17とほぼ同形の空間形成枠体19と、雲母板からなり外周形状が空間形成枠体19の外周形状と同形の第2被覆体20と、金属製の枠体であって外周形状が第2の被覆体とほぼ同形の窓枠21とを、順に重ね合わせた構造となっている。
【0019】
開口部16には、その周縁にネジ穴22が所定の間隔を隔てて形成されており、ネジ穴22に合わせて、パッキン17、第1の被覆体18の周縁部および空間形成枠体19の内周縁部にそれぞれネジ穴23,24,25が形成されている。一方、空間形成枠体19の外周縁部には、所定間隔を隔てってネジ穴26が形成されており、ネジ穴26に合わせて第2の被覆体の周縁部および窓枠21にそれぞれネジ穴27,28が形成されている。
【0020】
また、空間形成枠体19には、外周縁部と内周縁部との間の一部分を切り欠いた切欠部32が設けられている。切欠部32には、鋼管によって形成された通路33が接続される。通路33は、略L字型の形状であって、入口側が切欠部32に挿通されるとともに、出口側が、燃焼室8の熱等の影響を受けない位置まで延設されている。
【0021】
そして、窓部5は、図4に切欠部32を含む位置で切断した断面図で示すように、パッキン17と第1の被覆体18と空間形成枠体19とが、開口部16に重ね合わされた状態で、ネジ30およびネジ穴22〜25によりねじ止めされる。一方、第2の被覆体20と窓枠21とが、空間形成枠体19に重ね合わされた状態で、ネジ31およびネジ穴26〜28によりねじ止めされる。このようにして、第1の被覆体18と第2の被覆体20との間には、空間形成枠体19によって所定の厚さの空間29が形成される。
【0022】
通路33は、図5に示すように、空間形成枠体19に設けられた切欠部32を介して、入口側が空間29に連通するように、燃焼室の外装部分に固定部材34でネジ留めされている。通路33の出口側には、燃焼ガスを検出するための温度センサ35が取り付けられている。
【0023】
次に、本実施形態の輻射暖房機の作動を説明する。
【0024】
輻射暖房機の運転は、燃焼室8内での燃焼を行いながら、送風ファンFAを作動させることにより行われる。尚、燃焼室8内の燃焼は、電磁ポンプ13により灯油からなる液体燃焼を点火芯10に供給して気化ガスを生成し、燃焼ファンFBから供給される燃焼用空気と混合し、燃焼リングで燃焼させることにより行われる。
【0025】
燃焼室8内で燃焼を行っているとき、燃焼により発生する燃焼ガスは、燃焼室8内を流動して熱交換器9側に流れる。このとき、燃焼室8内は、燃焼ファンから供給される燃焼用空気の圧力により、外部に対して正圧となっている。
【0026】
そのため、燃焼室8内に臨む窓部5の第1の被覆体18が破損した場合には、図4に矢印で示すように、燃焼室8内を流動する燃焼ガスの一部が、燃焼室8から第1の被覆体18の破損部分を通って、第1の被覆体18と第2の被覆体20とによって形成される空間29に流れ込む。そして、空間29に流れ込んだ燃焼ガスは、空間形成枠体19に設けられた切欠部32を介して空間29と外部とを連通する通路33を通って、外部に漏れ出す。
【0027】
ここで、通路33の出口には、燃焼ガス検出手段であるところの温度センサ35が設けられている。そして、通路33の出口は、燃焼室から放射される熱の影響を受けることがない位置まで延設されている。そのため、通路33を通って高温の燃焼ガスが漏れ出すと、温度センサ35により、高温の燃焼ガスによる温度の上昇を検出することができ、第1の被覆体の破損を容易かつ確実に検知することができる。
【0028】
次に、本実施形態の他の態様について説明する。上述の実施形態では、切欠部32を介して空間29と連通する通路33を設け、その出口を導出口として、温度センサ35を設けているが、これに代えて、図6に示すように、切欠部32を導出口として、この部分に温度センサ35を設けるようにしてもよい。この場合、温度センサ35及びその導線等を保護するため、支持部材36により温度センサ35を支持することが好ましい。
【0029】
また、切欠部32を設ける代わりに、図3および図4に破線で示すように、第2の被覆体20に貫通孔37を設け、貫通孔37を導出口としてもよい。
【0030】
切欠部32又は貫通孔37を導出口として、この部分に温度センサ35を設けた場合にも、燃焼室8から流れ出た高温の燃焼ガスによる温度の上昇を検出して、第1の被覆体の破損を検知することができ、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0031】
尚、本実施形態において、燃焼ガス検出手段は、温度センサ35を用いたが、これに限定されるものではなく、例えば、燃焼ガスやその漏れを検出できるCOセンサや風圧センサ等を用いてもよい。
【0032】
また、本実施形態において、第1および第2に被覆体は雲母板を用いているが、これに限らず、例えば、耐熱ガラス等の耐熱性を有する透明な材料を選択して用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態の輻射暖房機の外観を示す斜視図。
【図2】図1の輻射暖房機の内部構成を模式的に示す説明的斜視図。
【図3】窓部の部材構成を示す分解図。
【図4】切欠部を含む部分で窓部を切断した説明的断面図。
【図5】通路部分の構成を示す説明図。
【図6】他の実施形態における温度センサの設置状態を示す説明図。
【符号の説明】
【0034】
5…窓部、 7…バーナユニット(バーナ)、 8…燃焼室、 9…熱交換器、 16…開口部、 18…第1の被覆体、 19…空間形成枠体、 20…第2の被覆体、 32…切欠部、29…空間、 33…通路、 35…温度センサ(燃焼ガス検出手段)、 37…貫通孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナと、該バーナの燃焼が行われる燃焼室と、該燃焼室に燃焼用空気を供給する燃焼ファンと、該燃焼室と連通する熱交換器と、該熱交換器を介して、吸引した室内の空気を送風する送風ファンとを具備する輻射暖房機において、
前記燃焼室の一部を開口させ、燃焼室からの輻射熱を放射可能な開口部と、
前記開口部を覆う、透明な材料からなる第1の被覆体と、
前記第1の被覆体を覆う、透明な材料からなる第2の被覆体と、
前記第1の被覆体と前記第2の被覆体の周縁部に配設され、該第1の被覆体と該第2の被覆体との間に空間を形成する空間形成枠体と、
前記空間と外部とを連通する導出口と、
前記導出口に設けられて、前記空間内の気体に前記燃焼室内の燃焼ガスが含まれているか否かを検出する燃焼ガス検出手段と
を備えることを特徴とする輻射暖房機。
【請求項2】
請求項1記載の輻射暖房機において、
前記空間形成枠体の一部を切り欠いた切欠部が、前記導出口となることを特徴とする輻射暖房機。
【請求項3】
請求項1記載の輻射暖房機において、
前記第2の被覆体に設けられた貫通孔が、前記導出口となることを特徴とする輻射暖房機。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項記載の輻射暖房機において、
入口側が前記導出口を介して前記空間に連通し、出口側が前記燃焼室から離間した位置まで延設された通路を設け、
前記燃焼ガス検出手段は、前記通路の出口側に設けられていることを特徴とする輻射暖房機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−45761(P2008−45761A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−218611(P2006−218611)
【出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(000106483)サンポット株式会社 (17)
【Fターム(参考)】