説明

農作業機の延長整地板回動装置

【課題】延長整地板が展開された農作業機の移動時に、連動アームが障害物等に接触しても損傷する虞のない農作業機の延長整地板回動装置を提供する。
【解決手段】延長整地板回動装置40は、代かき作業機1の耕耘ロータの上方に配設された正逆回転用モータ43と、このモータの回転軸に接続されてモータの回動力を伝達する動力伝達機構部47と、この出力軸に接続されて出力軸とともに回動する連動アーム53と、連動アーム53及び延長整地板左30L間に接続されて連動アーム53の回動に伴って延長整地板左30Lを回動させる連結体60とを備え、連動アーム53は、アーム本体部56と、この基部に固定されるとともに動力伝達機構部47の出力軸に接続されて出力軸とともに回動するアーム支持部55とを有し、アーム本体部56は、その基部側がアーム支持部55に回動自在に接続されるとともに、シャーピン57を介してアーム支持部55に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耕耘ロータの耕耘幅より広い幅に亘って圃場の表面を平らに整地可能な延長整地板を格納位置と展開位置との間で回動させる農作業機の延長整地板回動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような延長整地板回動装置は、例えば、特許文献1に記載されているように、代かき用の耕耘作業機に設けられている。この耕耘作業機は、走行機体の後部に装着されて走行機体の走行とともに進行して代かき作業を行うものであり、耕耘ロータの後方に位置して上下方向に回動自在に接続されて耕耘ロータにより耕耘された耕土を整地する整地板(文献では第2延長整地板)と、この整地板の幅方向端部に前後方向に延設された支軸を中心として回動自在に支持された延長整地板(文献では延長補助整地板)とを有して構成されている。
【0003】
延長整地板回動装置は、耕耘ロータの上部を覆うカバー体(文献ではシールドカバー)上に設置されている。延長整地板回動装置は、カバー体に取り付けられた台座上に設けられた正逆回転可能なモータと、モータの回転軸に接続された歯車伝動機構と、歯車伝動機構の出力軸に連結されて出力軸とともに回動する回動アームと、台座に臨むシールドカバー上に突設された軸部に回動自在に接続されて回動アームに連結された連動アームと、連動アームと延長整地板との間に接続されたワイヤとを有してなる。
【0004】
この延長整地板回動装置は、モータの回転軸が一方向に回動すると、モータの動力が歯車伝動機構を介して回動アームに伝達されて、回動アームの回動にともなって連動アームを回動させる。その結果、延長整地板はワイヤを介して格納位置から展開位置又は展開位置から格納位置に移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−124795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この従来の延長整地板回動装置では、延長整地板を展開状態にすると、連動アームが耕耘作業機の幅方向外側に延出した位置に移動する。このため、延長整地板が展開位置に移動した状態のままで、走行機体に対して耕耘作業機が持ち上げ支持されて走行機体が旋回走行又は前進走行したり、耕耘作業中に耕耘作業機の幅方向端部から延出している連動アームが直接障害物等に引っ掛かり、また延長整地板が障害物等に引っ掛かったりすると、連動アームやこれに接続された歯車伝動機構に大きな負荷が作用して、これらが損傷する虞が生じる。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、延長整地板が展開された状態で農作業機の移動時や耕耘作業中に、連動アームや延長整地板が障害物等に引っ掛かっても連動アームや歯車伝動機構等が損傷する虞のない農作業機の延長整地板回動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決するため、本発明の農作業機(実施の形態における代かき作業機1)の延長整地板回動装置は、耕耘ロータの上部を覆うカバー部(実施の形態におけるシールドカバー左27L、シールドカバー右27R)と、該カバー部の後方に上下方向に回動自在に配設されて耕耘ロータにより耕耘された耕土を整地する整地板(実施の形態における第2整地板左29L、第2整地板右29R)と、該整地板の進行方向に対して左右方向の端部に前後方向に延設された支軸(実施の形態における軸部31)を中心として回動自在に支持された延長整地板(実施の形態における延長整地板左30L、延長整地板右30R)とを備える農作業機の延長整地板回動装置であって、農作業機のカバー部の上方に配設されたモータ(実施の形態における正逆回転用モータ43)と、モータの回転軸に接続されて該モータの回動力を伝達する動力伝達機構部と、動力伝達機構部の出力軸に接続されて該出力軸とともに回動する連動アームと、連動アームと延長整地板との間に接続されて連動アームの回動に伴って延長整地板を回動させる連結体とを備え、連動アームは、整地板の左右方向外側に延出した状態で進行方向後方側に押されると、動力伝達機構部との接続を解除するとともに該連動アームを回動自在に支持する接続解除支持手段を備えていることを特徴とする(請求項1)。
【0009】
また、本発明の連動アームは、アーム本体部と、該アーム本体部の基部に固定されるとともに動力伝達機構部の出力軸に接続されて該出力軸とともに回動するアーム支持部とを有し、接続解除支持手段は、アーム本体部の基部側をアーム支持部に回動自在に支持する軸部と、アーム本体部の基部側をアーム支持部に固定するシャーピンとを有してなることを特徴とする(請求項2)。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係わる農作業機の延長整地板回動装置によれば、連動アームは、整地板の左右方向外側に延出した状態で進行方向後方側に押されると、動力伝達機構部との連結を解除するとともに該連動アームを回動自在に支持する接続解除支持手段を備えることで、延長整地板が展開された状態で農作業機の移動時や作業中に、連動アームが直接障害物等に引っ掛かったり、延長整地板が障害物等に引っ掛かっても連動アームや歯車伝動機構等が損傷する虞のない農作業機の延長整地板回動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係わる延長整地板回動装置の作動内容を説明するための代かき作業機の部分平面図を示す。
【図2】この延長整地板回動装置が搭載された代かき作業機の背面図である。
【図3】本発明の延長整地板回動装置を搭載した代かき作業機を示し、同図(a)は代かき作業機の側面図であり、同図(b)は代かき作業機の部分平面図であり、同図(c)は代かき作業機の部分背面図である。
【図4】延長整地板回動装置の内部構造を説明するための代かき作業機の部分平面図を示す。
【図5】延長整地板回動装置の内部構造を説明するための代かき作業機の部分平面図を示す。
【図6】延長整地板回動装置の作動を説明するための図であり、同図(a)は延長整地板が回動時にあるときの代かき作業機の部分平面図であり、同図(b)は延長整地板が回動時にあるときの代かき作業機の部分背面図である。
【図7】延長整地板回動装置の作動を説明するための図であり、同図(a)は延長整地板が展開位置にあるときの代かき作業機の部分平面図であり、同図(b)は延長整地板が展開位置にあるときの代かき作業機の部分背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図1〜図7に基づいて説明する。先ず、本発明に係る延長整地板回動装置を説明する前に、延長整地板回動装置を搭載する農作業機の一例である代かき作業機について概説する。なお、本実施例では、代かき作業機として、作業機本体の両側に左右の作業体が折り畳み且つ展開可能に設けられたものを例にして説明する。
【0013】
代かき作業機1は、図2(背面図)及び図3(a)(側面図)に示すように、走行機体90の後部に装着されて走行機体90の前進走行とともに進行して代かき作業を行うものであり、機体前進方向に対して左右方向の中央部に配置された作業機本体2と、この左右両端部に上下方向に回動可能に取り付けられた左作業体20L及び右作業体20Rとを備え、作業機本体2、左作業体20L、右作業体20Rによって3分割構造になっている。
【0014】
作業機本体2は、左右方向に延びる主フレーム3を有した機体5の前部に、走行機体90の後部に設けられた図示しない3点リンク連結機構が連結されて、走行機体90の後部に対して昇降可能に装着される。主フレーム3の左右方向の中央部には前方へ突出する入力軸6aを備えたギアボックス6が設けられ、走行機体90のPTO軸からユニバーサルジョイント等の動力伝達手段を介して動力が入力軸6aに伝達されるようになっている。
【0015】
主フレーム3の左右両端部には伝動フレーム(チェーンケース)8と側部フレーム9が垂設され、伝動フレーム(チェーンケース)8と側部フレーム9の下部間には多数の耕耘爪を取り付けた耕耘ロータが回転自在に支持されている。主フレーム3内には伝動機構が設けられ、この伝動機構が後述する左作業体20L、右作業体20Rの上部に設けられた主フレーム左21L、主フレーム右21R内の伝動機構と連結されて、入力軸6aに伝達された動力がこれらの伝動機構を介して作業機本体2の耕耘ロータと左作業体20L、右作業体20Rに設けられた耕耘ロータ23に伝達されて、作業機本体2の耕耘ロータと左作業体20L、右作業体20Rに設けられた耕耘ロータ23を所定方向に回転させるように構成されている。
【0016】
伝動フレーム(チェーンケース)8と側部フレーム9の上部間には耕耘ロータの上部を覆うシールドカバー10が設けられている。このシールドカバー10の後端部には、前端部が上下方向に回動自在に取り付けられて後側が斜め下方へ延びる第1整地板11が取り付けられ、第1整地板11の後端部によって耕土表面が平らに整地される。第1整地板11の後端部には、第2整地板12が上下方向に回動自在に取り付けられ、この第2整地板12によって圃場の耕土表面が平らに整地される。
【0017】
作業機本体2の左右両端部には、シールドカバー10の上方位置に前後方向に延びる軸部14が設けられ、この軸部14を中心として左作業体20L、右作業体20Rが上下方向に回動自在に設けられている。作業機本体2と左作業体20L、右作業体20Rの上部間には油圧シリンダ15が設けられ、この油圧シリンダ15の伸縮によって、左作業体20L、右作業体20Rが作業機本体2の上方に折り畳まれる格納位置と左作業体20L、右作業体20Rが作業機本体2の側方に展開される展開位置Ptとの間を移動する。
【0018】
左作業体20L、右作業体20Rは、左右対称の構造であり、左作業体20Lで説明すると、左右方向に延びる主フレーム左21Lの外側端部にチェーンケース左25Lが垂設され、主フレーム左21Lの内側端部に側部フレーム左26Lが垂設されている。チェーンケース左25Lと側部フレーム左26Lの下部間に耕耘ロータ23が回転自在に支持され、チェーンケース左25Lと側部フレーム左26Lの上部間に耕耘ロータ23の上部を覆うシールドカバー左27Lが設けられている。シールドカバー27の後端部には、第1整地板左28Lが取り付けられ、第1整地板左28Lの後端部に第2整地板左29Lが上下方向に回動自在に取り付けられている。
【0019】
第1整地板左28L及び第2整地板左29Lは、左作業体20Lの展開姿勢時に、作業機本体2の第1整地板11及び第2整地板12に接合して連結され、左作業体20Lの折り畳み姿勢時には、第1整地板左28L及び第2整地板左29Lが作業機本体2の外端部から離反して第1整地板11及び第2整地板12との接合が解除されるようになっている。
【0020】
第2整地板左29Lの外側端部には、延長整地板左30Lが上下方向に回動自在に設けられている。この延長整地板左30Lは、第2整地板左29Lの左右方向外側端部に前後方向に延設された軸部31を中心として回動して、展開状態時には第2整地板左29Lの外側に延びて第2整地板左29Lの整地作業を補助し、折り畳んだ状態(不使用状態)時には第2整地板左29Lの表面側に折り畳まれて第2整地板左29L上に格納される。
【0021】
この延長整地板左30Lは、左作業体20Lのシールドカバー左27L上方に設けられた延長整地板回動装置40によって展開状態又は格納状態にされる。延長整地板回動装置40は、図3(a)(側面図)、図3(b)(平面図)、図3(c)(背面図)、図4(内部構造図)に示すように、左作業体20Lのシールドカバー左27Lの左右方向の外側上に取り付けられた台座41と、台座41上に設けられた正逆回転用モータ43と、正逆回転用モータ43の回転軸に取り付けられた動力伝達機構部47と、台座41に臨むシールドカバー左27L上に回動自在に支持された連動アーム53と、連動アーム53と延長整地板左30Lとの間に接続された連結体60とを有してなる。
【0022】
台座41は、板金等を折り曲げて形成され、モータ等を取り付ける平面部41aと、平面部41aの左右方向両側から下方へ屈曲して延びる脚部41bとを有してなる。脚部41bの下部はボルト42を介してシールドカバー左27Lに着脱可能に取り付けられている。
【0023】
正逆回転用モータ43は、流れる電流の向きによってモータの回転軸が正逆回転するモータ本体部43aを有し、モータ本体部43aには回転軸の回転を減速してトルクを増大させる動力伝達機構部47の一部である減速機構48が一体的に取り付けられている。
【0024】
正逆回転用モータ43は、図示しないブラケットを介して台座41の平面部41a上に取り付けられている。正逆回転用モータ43には遠隔操作用のスイッチが電気的に接続され、このスイッチは走行機体90の運転席の近くに配置されている。このスイッチの操作によって正逆回転用モータ43を駆動及び停止させることができる。
【0025】
減速機構48の出力軸には、ウォームギアが設けられ、このウォームギアに小歯車(ピニオン)が歯合し、この小歯車にこれよりも大径の大歯車50が歯合している。減速機構48と、これらウォームギア、小歯車、大歯車50によって、前述した動力伝達機構部47が構成されている。小歯車及び大歯車50は平面部41aに回転自在に支持されている。小歯車と大歯車50のギア比は、正逆回転用モータ43の回転数と連動アーム53の回動速度から決定される。
【0026】
大歯車50の下面には、図3(a)及び図5に示すように、大歯車50の回転軸に同軸上に挿着された連結部材51が取り付けられている。この連結部材51はフランジ部51aを有し、このフランジ部51aに連動アーム53の一部を構成するアーム支持部55がボルト等を介して着脱可能に固定されている。
【0027】
アーム支持部55は、一端側に大歯車50の回転軸と同軸上に配置される円筒部55aと、円筒部55aの上部から他方向外側に延びる板状の支持本体部55bとを有してなる。
【0028】
支持本体部55bの一端側には、連結部材51のフランジ部51aに接続される支持側フランジ部55cが形成され、フランジ部51aおよび支持側フランジ部55c間に挿通されたボルト等によって、連結部材51にアーム支持部55が着脱可能に固定されている。このため、大歯車50が回動すると、連結部材51及びアーム支持部55を介して、アーム支持部55に接続されたアーム本体部56が大歯車50と同一方向に回動する。なお、アーム本体部56は、モータの駆動制御によって、アーム本体部56の先端側が左作業体20Lの左右方向内側へ延びる方向(図1参照)と、左右方向外側へ延びる方向(図7(a)参照)との間を移動する。
【0029】
アーム支持部55の円筒部55aの内側には、シールドカバー左27Lに突設されて大歯車50の回転軸と略同軸上に配設された軸部が挿入されて、アーム支持部55は安定に回動支持されている。なお、軸部は、台座41の脚部41b間に架設されてシールドカバー左27Lに面する板部材(図示せず)上に設けられてもよい。
【0030】
支持本体部55bは平面視において矩形状に形成され(図5参照)、その右側後端部には上方へ屈曲してアーム本体部56を位置決めする突出片55dが形成されている。
【0031】
連動アーム53は、前述したアーム支持部55とこれに接続されるアーム本体部56を有してなる。アーム本体部56は棒状に延び、その基部側が直線状に延び先端側が延長整地板左30L側に屈曲している。アーム本体部56の基部には連結支持板55eが溶接等により取り付けられている。この連結支持板55eはアーム本体部56の基端部から突出するように延び、その後端部には上方へ屈曲する係合板55fが設けられている。この係合板55fはアーム支持部55の突出片55dと接するように配置されて、アーム支持部55に対するアーム本体部56の延びる方向の位置決めをする。
【0032】
連結支持板55eの中央部には、連結支持板55eを支持本体部55bに回動可能に固定する支点ボルト58が挿着されている。また、連結支持板55eの先端部にはシャーピン57を挿通する貫通孔(図示せず)が設けられている。この貫通孔に挿通されたシャーピン57は支持本体部55bに設けられた孔部に挿入されて固定される。これにより、アーム支持部55に対してアーム本体部56が固定される。
【0033】
このシャーピン57は、延長整地板左30Lが展開されて連動アーム53が左作業体20Lの左右方向端部から外側に延びた状態にあるときに、連動アーム53に障害物等が接触すると剪断されるように構成されている。このため、シャーピン57の剪断強度は、連動アーム53や動力伝達機構部47の強度に応じて設定され、連動アーム53や動力伝達機構部47に作用する負荷によってこれらが損傷する虞がない許容強度のうちの最大強度、又はこれよりも小さい強度に設定される。なお、シャーピン57と支点ボルト58を合わせて、以下、接続解除支持手段59と記す。
【0034】
連結体60は、伸び縮みがなく屈曲自在なワイヤが用いられる。なお、連結体60はワイヤに限るものではなく、金属製のチェーンや合成樹脂材料製の紐等でもよい。
【0035】
このように構成された延長整地板回動装置40は、図5、図6(a)、図6(b)図7(a)、図7(b)に示すように、延長整地板左30Lが第2整地板左29L上に折り畳まれた状態で、正逆回転用モータ43が駆動すると、連動アーム53は時計方向(矢印A方向)に回動して、連動アーム53の向きが延長作業体20の左右方向内側へ延びる方向から左右方向外側へ延びる方向へ変わり、延長整地板左30Lが展開状態にされる(図7(a)、図7(b)参照)。
【0036】
従って、連動アーム53は、図7(a)、図7(b)に示すように、左作業体20Lの左右方向端部から外側へ延出した状態になる。この状態で代かき作業機1を別の位置に移動させるため、走行機体90が代かき作業機1を持ち上げ支持しながら前進旋回又は前進走行したり、代かき作業中においても、前述したように障害物等が連動アーム53に接触したり、延長整地板が障害物に接触して延長整地板が上方へ回動し、連結体60を介して連動アーム53が無理に引っ張られたりすると、延長整地板回動装置40が損傷する虞が生じる。
【0037】
しかしながら、連動アーム53に障害物等が接触したり、延長整地板が障害物に接触して延長整地板が上方へ回動し、連結体60を介して連動アーム53が無理に引っ張られたりすると、図1に示すように、接続解除支持手段59のシャーピン57が破断して、アーム支持部55に対してアーム本体部56がフリーな状態となり、二点鎖線で示すアーム本体部56が接続解除支持手段59の支点ボルト58を中心として進行方向後側に回動する。このため、アーム本体部56や延長整地板回動装置40の動力伝達機構部47に大きな負荷が作用する事態を防止することができ、これらが損傷する事態を未然に防止することができる。
【0038】
なお、前述した実施の形態では、左作業体20L、右作業体20Rが作業機本体2に対して折り畳み可能な構造の代かき作業機1を例にしたが、左作業体20L、右作業体20Rを無くし作業機本体2の幅方向端部に延長整地板左30L、延長整地板右30Rを回動自在に取り付けて構成される代かき作業機でもよい。
【0039】
また接続解除支持手段として、シャーピン57の代わりに弾性体を介して保持したピンの先端あるいは球が支持本体部55bに設けた凹部に突出してアーム本体部56の位置が固定され、過負荷になると弾性体に抗してピンあるいは玉が凹部から退避し、アーム支持部55に対してアーム本体部56がフリーな状態となる接続解除支持手段でもよい。
【0040】
また、前述した実施形態では、延長整地板回動装置40がシールドカバー27上方に設けられた場合を示したが、主フレーム21に設けられてもよい。このようにすると、延長整地板回動装置40の設置位置がより上方になり、高さの比較的に低い障害物等に接触する虞をより少なくすることができる。
【符号の説明】
【0041】
1 代かき作業機(農作業機)
23 耕耘ロータ
27L シールドカバー左(カバー部)
27R シールドカバー右(カバー部)
29L 第2整地板左(整地板)
29R 第2整地板右(整地板)
30L 延長整地板左(延長整地板)
30R 延長整地板右(延長整地板)
31 軸部(支軸)
40 延長整地板回動装置
43 正逆回転用モータ(モータ)
47 動力伝達機構部
53 連動アーム
55 アーム支持部
56 アーム本体部
57 シャーピン
58 支点ボルト(軸部)
59 接続解除支持手段
60 連結体
90 走行機体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耕耘ロータの上部を覆うカバー部と、該カバー部の後方に上下方向に回動自在に配設されて前記耕耘ロータにより耕耘された耕土を整地する整地板と、該整地板の進行方向に対して左右方向の端部に前後方向に延設された支軸を中心として回動自在に支持された延長整地板とを備える農作業機の延長整地板回動装置であって、
前記農作業機の前記カバー部の上方に配設されたモータと、
前記モータの回転軸に接続されて該モータの回動力を伝達する動力伝達機構部と、
前記動力伝達機構部の出力軸に接続されて該出力軸とともに回動する連動アームと、
前記連動アームと前記延長整地板との間に接続されて前記連動アームの回動に伴って前記延長整地板を回動させる連結体とを備え、
前記連動アームは、前記整地板の左右方向外側に延出した状態で進行方向後方側に押されると、前記動力伝達機構部との接続を解除するとともに該連動アームを回動自在に支持する接続解除支持手段を備えていることを特徴とする農作業機の延長整地板回動装置。
【請求項2】
前記連動アームは、アーム本体部と、該アーム本体部の基部に固定されるとともに前記動力伝達機構部の出力軸に接続されて該出力軸とともに回動するアーム支持部とを有し、
前記接続解除支持手段は、前記アーム本体部の基部側を前記アーム支持部に回動自在に支持する軸部と、前記アーム本体部の基部側を前記アーム支持部に固定するシャーピンとを有してなることを特徴とする請求項1に記載の農作業機の延長整地板回動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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