説明

農作業機保守システム

【課題】サービスマンが保守点検及び修理に赴く場合であっても、サービスマン全員が最新且つ最適な保守点検手順や修理方法を実施できないおそれがあった。
【解決手段】農作業機100に、入力装置25と、作業機記憶装置21と、作業機送受信装置26と、表示装置23と、を具備し、センタサーバ30に、サーバ記憶装置31と、点検手順記憶装置34と、判定基準記憶装置35と、サーバ演算装置32と、操作部33と、サーバ送受信装置36と、を具備することによって、作業者やサービスマンの熟練度に係らず、最新の点検手順や対処方法によって点検や修理や交換すべき部材の交換を行なうことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サービスマンの熟練度に左右されることなく、農作業機に最新且つ最適な保守点検作業を施すための、農作業機保守システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインやトラクタ等の農作業機では、該農作業機の所有者が作業開始時にモニターによる各機器の作動確認を行い、走行時や作業時にトラブルが発生した際には、サービスマンが、自動診断システムによる保守点検手順や修理方法を参考にしながら、修理を行なっていた。また、農閑期には販売店に農作業機を持ち込んでサービスマンが保守点検や修理等を行なっていた。
【特許文献1】特開2004−199500号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前記従来の保守・修理システムにおいては、保守・修理マニアルに沿って作業を行うことが通常であり、最新のトラブル情報に対する対策が即座に反映されることは難しい。また、自動診断システムを有する農作業機においては、最新の診断プログラムに更新するには、販売店等に依頼したり、故障が生じた際にしか更新できないので、古い保守点検手順や修理方法によって農作業機の保守を行なうことになる。また、サービスマンが保守点検及び修理に赴く場合であっても、サービスマン全員が最新且つ最適な保守点検手順や修理方法を実施できるとは限らない。
更に、電気系統の故障の場合や特定の作業状態の時のみトラブルが発生する場合などでは、サービスマンがトラブルが生じた場所に赴いて、再度作業を行っても同じ症状が出ない場合が多々あった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0005】
即ち、請求項1においては、農作業機をネットワーク等のデータ授受手段を介してセンタサーバに接続可能とした農作業機保守システムにおいて、
農作業機に、
点検種類や点検結果を入力する入力装置と、
点検種類と点検結果に応じた点検手順と対処方法等と、点検作業中に入力した点検結果が記憶される作業機記憶装置と、
ネットワーク等のデータ授受手段を介して、農作業機の機種・型式や点検種類や点検結果を送信したり、点検手順や対処方法等を受信する作業機送受信装置と、
該点検手順や対処方法等を表示する表示装置と、を具備し、
センタサーバに、
農作業機の機種・型式と点検結果が記憶されるサーバ記憶装置と、
農作業機の機種・型式ごとに点検手順が記憶される点検手順記憶装置と、
点検結果をもとに農作業機に異常がないかを否かを判定するための判定基準と異常が発見された場合の対処方法等が記憶される判定基準記憶装置と、
該判定基準記憶装置から農作業機の機種に応じた最適な判定基準を選択し、該点検結果と判定基準より判定を行い、判定基準記憶装置から最適な対処方法を選択するサーバ演算装置と、
前記農作業機の機種・型式と前記点検結果と前記点検手順と前記判定基準と前記対処方法を閲覧及び更新することができる操作部と、
点検手順や対処方法を送信したり、点検種類や点検結果を受信するサーバ送受信装置と、を具備したものである。
【0006】
請求項2においては、前記作業機記憶装置に、エラーコードに応じたトラブルシュート手順や、トラブルシュート作業時に入力したトラブルシュート結果が記憶され、
前記サーバ記憶装置に、トラブルシュート結果が記憶され、
前記点検手順記憶装置に、エラーコードに応じたトラブルシュート手順が記憶され、
前記判定基準記憶装置に、トラブル対処方法が記憶され、
前記操作部によって、前記トラブルシュート結果とトラブルシュート手順とトラブル対処方法が閲覧及び更新できるものである。
【0007】
請求項3においては、農作業機をネットワーク等のデータ授受手段を介してセンタサーバに接続可能とした農作業機保守システムにおいて、
入力装置に入力されセンタサーバに送信された点検種類に応じて、センタサーバから点検手順を取得して農作業機の表示装置に表示し、入力装置に入力されセンタサーバに送信された点検結果に応じて、センタサーバから対処方法等を取得して該対処方法等を該表示装置に表示し、
農作業機から送信されサーバ記憶装置に記憶された農作業機の機種・型式と点検結果や、点検手順記憶装置に記憶されている点検手順や、判定基準記憶装置に記憶されている判定基準及び対処方法等を、操作部を介して閲覧及び更新可能としたものである。
【0008】
請求項4においては、前記農作業機保守システムにおいて、トラブル時にセンタサーバに送信されたエラーコードに応じて、センタサーバからトラブルシュート手順を取得して農作業機の表示装置に表示し、入力装置に入力されたトラブルシュート結果に応じて、センタサーバからトラブル対処方法等を取得して表示装置に表示し、
農作業機から送信されサーバ記憶装置に記憶された農作業機の機種・型式とトラブルシュート結果や、点検手順記憶装置に記憶されているトラブルシュート手順や、判定基準記憶装置に記憶されているトラブル対処方法等を、操作部を介して閲覧及び更新可能としたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0010】
請求項1においては、自動診断システム等が農作業機にダウンロードされた後に見出された点検手順や対処方法も農作業機に伝達することが可能となり、常に最新の点検手順や対処方法によって点検や修理や交換すべき部材の交換を行なうことができる。また、サービスマンが点検や修理や交換に赴く場合であっても、サービスマン全員が最新且つ最適な点検手順や対処方法を実施できるようになる。加えて、開発担当者やサービスマンがセンタサーバに蓄積された点検結果を閲覧できるため、点検結果を今後の開発やアフターサービスにも利用できる。
【0011】
請求項2においては、農作業機にトラブルが発生した場合において、サービスマンがトラブルが生じた場所に赴いた際に、作業者が被ったトラブルを再現できない場合においても、トラブルシューティング結果に基づいて修理や交換すべき部材の交換等の対処を行なうことができる。
【0012】
請求項3においては、自動診断システムが農作業機にダウンロードされた後に見出された点検手順や対処方法を農作業機に伝達することが可能となり、常に最新の点検手順や対処方法によって点検や修理や交換すべき部材の交換を行なうことができる。また、サービスマンが保守点検及び修理に赴く場合であっても、サービスマン全員が最新且つ最適な点検手順や対処方法を実施できるようになる。加えて、開発担当者やサービスマンが蓄積された点検結果を閲覧できるため、点検結果を今後の開発やアフターサービスにも利用できる。
【0013】
請求項4においては、農作業機にトラブルが発生した場合において、サービスマンがトラブルが生じた場所に赴いた際に、作業者が被ったトラブルを再現できない場合においても、トラブルシューティング結果に基づいて修理や交換すべき部材の交換等の対処を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の農作業機保守システムを示す概略図、図2は通常点検時の農作業機100側のフローチャート、図3は通常点検時のセンタサーバ30側のフローチャート、図4はトラブルシュート時の農作業機100側のフローチャート、図5はトラブルシュート時のセンタサーバ30側のフローチャート、図6は本発明の農作業機保守システムに係る農作業機の一実施例としてのコンバイン100の側面図、図7は同じく平面図である。
【0015】
まず、本発明の農作業機保守システムに係る農作業機の一実施例として、コンバイン100に適用した場合について説明する。まず、コンバイン100の全体構成について説明する。
図6、図7に示すように、本発明の一実施例に係るコンバイン100においては、トラックフレーム1の左右にクローラ式走行装置2が設けられ、トラックフレーム1の上に機台3が配設されている。機台3の上には脱穀部4が設けられ、該脱穀部4に扱胴5や当該扱胴5の側方に配設されたフィードチェン6などが備えられている。そして、脱穀部4の前方に6条刈りの刈取部7が設けられ、後方に排藁処理部8が設けられている。該排藁処理部8には排藁チェン9が備えられ、該排藁チェン9の始端がフィードチェン6の終端に臨むように配置されている。
【0016】
また、脱穀部4の側方に当該脱穀部4から選別した後の穀粒を揚穀筒11を介して搬入する穀物タンク10が設けられ、該穀物タンク10の後方及び上方に穀物タンク10内の穀粒を機外に排出する排出オーガ12が設けられている。穀物タンク10の前方には運転キャビン13が設けられており、該運転キャビン13内には操向ハンドルなど運転操作部14や、運転席15や、後述する表示装置23や、スピーカ24や、入力装置25等が備えられている。該運転キャビン13の下方には、エンジン16が設けられている。こうして、コンバイン100はエンジン16の駆動によって圃場を走行移動しながら穀稈を刈取部7で連続的に刈取り、脱穀部4で脱穀するように構成されている。
【0017】
次に、本発明の農作業機保守システムについて図1を参照しながら説明する。
農作業機保守システムは、コンバイン100等の農作業機と、電話回線等のネットワーク99と、農作業機100のアフターサービスを行なう販売店またはサービスセンター等が保有するセンタサーバ30とから構成される。以下ではコンバイン100等の農作業機をまとめて、農作業機100として説明する。但し、本発明のネットワーク99は、電話回線等を利用するインターネットに限定するものではない。即ち、CD−R等のデータの読み書きが可能な外部記憶媒体等を利用することにより、郵送やサービスマンの出向によってデータの授受を行なう構成等も、請求項に記載のデータ授受手段に含まれるものとする。
【0018】
農作業機100側には、作業機演算装置22と、該作業機演算装置22に接続される作業機記憶装置21と、表示装置23と、スピーカ24と、入力装置25と、作業機送受信装置26と、図示しない農作業機100(コンバインのエンジンや刈取部7や脱穀部4や選別部や排藁処理部8等)の作動状態を検出する回転数センサーや位置センサーや温度センサーや圧力センサー等を備えており、センタサーバ30側には、サーバ演算装置32と、該サーバ演算装置32に接続されるサーバ記憶装置31と、操作部33と、点検手順記憶装置34と、判定基準記憶装置35と、サーバ送受信装置36とが配設されている。前記作業機送受信装置26と前記サーバ送受信装置36とは、前記ネットワーク99、または直接無線等を介してデータの授受が可能となっている。
【0019】
まず、農作業機100側に配設されている装置から説明する。
作業機記憶装置21は、農作業機100の機種・型式・製造番号・ユーザー名(ユーザーコード)や、点検種類に応じた点検手順や対処方法等や、トラブルごとに設定されたエラーコードに対応したトラブルシュート手順やトラブル対処方法等のデータが読み書き可能に記憶されており、通常点検作業やトラブルシュート作業を行なった際に入力装置25から入力した点検結果やトラブル発生前の状態等を含むエラーコードやトラブルシュート結果が記憶される。
【0020】
作業機演算装置22は、入力装置25から入力された点検種類や点検結果やトラブルシュート結果を作業機記憶装置21に記憶したり、更新したり、該農作業機100の機種・型式等や点検種類や点検結果やトラブルシュート結果を作業機送受信装置26から送信したり、作業機送受信装置26で受信した最新且つ最適な点検手順や対処方法やトラブルシュート手順やトラブル対処方法等を作業機記憶装置21に記録したり更新したり、該最新且つ最適な点検手順や対処方法やトラブルシュート手順やトラブル対処方法等を表示装置23に表示し、スピーカ24によって音声案内するものである。
また、作業機演算装置22は、作業機送受信装置26がネットワーク99と通信できない場合等に、入力装置25から入力された点検種類や点検結果やトラブルシュート結果に応じて、前記作業機記憶装置21に記憶されているデータの中から点検手順や対処方法やトラブルシュート手順やトラブル対処方法等を選択し、該選択された点検手順や対処方法やトラブルシュート手順やトラブル対処方法等を表示装置23に表示し、スピーカ24から音声案内することもできる。
【0021】
ここで言う点検種類は、シーズン前のメンテナンス時や作業前に点検を行う場合等の、故障が発生していない場合に選択する「通常点検」の種類や、故障が発生して故障箇所や故障原因や修理及び交換方法等を特定したい場合に表示装置23表示されるエラーコード等の「トラブルシュート」の種類を指す。エラーコードとは、作業機演算装置22が、農作業機100の図示しない各装置に配設されたセンサ等の検知手段から得られたデータを、トラブル推定用に置き換えたコードであり、トラブル発生前の状態等も含まれるものとする。そして、点検種類には、農作業機100が保有している該点検種類に応じた点検手順やトラブルシュート手順のバージョン情報が含まれている。
点検手順は「通常点検」用の手順を指し、トラブルシュート手順はエラーコードに対する「トラブルシュート」用の手順を指す。
【0022】
対処方法等は、点検結果をもとに、後述するセンタサーバ30のサーバ演算装置32にて判定を行った結果、農作業機100に異常が発見された場合にセンタサーバ30から送信されてくる「異常有り」の判定結果や、故障部位や修理方法や交換すべき部材の交換方法や、農作業機100に異常が発見されなかった場合にセンタサーバ30から送信されてくる「異常無し」の判定結果等を指し、トラブル対処方法はトラブルシューティング結果をもとに、後述するセンタサーバ30のサーバ演算装置32にて判定を行った結果、センタサーバ30から送信されてくる故障部位や修理方法や交換すべき部材の交換方法等を指すものである。
【0023】
表示装置23は、センタサーバ30から送られてくる最新且つ最適な点検手順や対処方法やトラブルシュート手順やトラブル対処方法等を、若しくは作業機演算装置22によって選択された点検手順や対処方法やトラブルシュート手順やトラブル対処方法等を表示するものである。
スピーカ24は、センタサーバ30から送られてくる最新且つ最適な点検手順や対処方法やトラブルシュート手順やトラブル対処方法等を、若しくは作業機演算装置22によって選択された点検手順や対処方法やトラブルシュート手順やトラブル対処方法等を音声によって案内するものである。
【0024】
入力装置25は、点検種類や点検結果やトラブルシュート結果を作業機演算装置22へ入力するものである。
ここで、表示装置23をタッチパネル形式にして、表示装置23と入力装置25を兼ねる構成としても良い。
作業機送受信装置26は、農作業機100の機種・型式等や入力装置25で入力された点検種類や点検結果やトラブルシュート結果をネットワーク99を介してセンタサーバ30へと送信したり、センタサーバ30からネットワーク99を介して送られてくる最新且つ最適な点検手順や対処方法やトラブルシュート手順やトラブル対処方法等を受信するものである。
【0025】
次に、農作業機100のアフターサービスを行う販売店やサービスセンター等が保有するセンタサーバ30側に配設されている装置について説明する。
サーバ記憶装置31は、農作業機100から送られてくる農作業機100の機種・型式や点検結果やエラーコードに含まれているトラブル発生前の状態やトラブルシュート結果に関するデータが読み書き可能に記憶されているものである。
点検手順記憶装置34は農作業機100の機種・型式等に応じた最新且つ最適な点検手順やトラブルシュート手順に関するデータやそのバージョン情報が読み書き可能に記憶されているものである。
判定基準記憶装置35は農作業機100にて行なった点検結果やトラブルシュート結果をもとに農作業機100に異常がないかを否かを判定するための判定基準及び農作業機100に異常が発見された場合の故障部位や故障部位や修理方法や交換すべき部材の交換方法等の対処方法やトラブル対処方法等が読み書き可能に記憶されている。
【0026】
後述するように、前記サーバ記憶装置31に記憶されている農作業機100の機種・型式等や点検結果やエラーコードに含まれているトラブル発生前の状態やトラブルシュート結果、前記点検手順記憶装置34に記憶されている最新且つ最適な点検手順やトラブルシュート手順、前記判定基準記憶装置35に記憶されている判定基準や対処方法やトラブル対処方法等は、開発担当者やサービスマン等が操作部33を介して閲覧及び更新可能となっている。つまり、開発担当者が操作部33から、トラブル発生直前の点検データや、トラブル発生時のトラブルシュート結果を閲覧して、該閲覧内容を農作業機100の開発に利用したり、後述するように、開発担当者が新しい点検手順やトラブルシュート手順や判定基準や対処方法やトラブル対処方法を開発した際に、それらの古いデータを最新且つ最適なデータに更新したり、サービスマンが提案した新しい点検手順やトラブルシュート手順や判定基準や対処方法やトラブル対処方法によって、センタサーバ30の管理者がそれらのデータを更新したりできる。
本実施例では、サーバ記憶装置31と、点検手順記憶装置34と、判定基準記憶装置35とを別々の記憶媒体として図示し説明を行なっているが、限定するものではなく、請求項に記載の発明には1つの記憶媒体に2種類以上の記憶装置31・34・35の役割を兼ねさせる構成も含まれるものとする。
【0027】
サーバ演算装置32は、サーバ送受信装置36で受信した農作業機100の機種・型式等や点検種類に応じて点検手順記憶装置34から最新且つ最適な点検手順やトラブルシュート手順を選択し、該選択された最新且つ最適な点検手順やトラブルシュート手順を、サーバ送受信装置36からネットワーク99を介して農作業機100へと送信するものである。
サーバ演算装置32は、サーバ送受信装置36で受信した農作業機100の機種・型式等や点検結果やトラブルシュート結果をサーバ記憶装置31に記憶し、該記憶した農作業機100の機種・型式等や点検結果やトラブルシュート結果をもとに、判定基準記憶装置35に記憶されている判定基準によって点検結果やトラブルシュート結果の判定を行う。そして、判定の結果農作業機100に異常が見つかった場合は、判定基準記憶装置35から該異常に対する故障部位や故障部位や修理方法や交換すべき部材の交換方法等の対処方法やトラブル対処方法等を選択し、サーバ送受信装置36からネットワーク99を介して農作業機100へと送信するものである。なお、今までにないトラブルが発生した場合には、そのトラブル内容を記憶し、開発者やクレーム担当者に送信または報知し、別途トラブルシュート手順、トラブル対処方法、または、修理不可能などの情報を農作業機100に送信する。
【0028】
操作部33は、アフターサービスを行う販売店またはサービスマン等が保有するパーソナルコンピュータ等を指すものであり、センタサーバ30に接続されている。そして、前記サーバ記憶装置31に記憶されている農作業機100の機種・型式等や点検結果やトラブルシュート結果、前記点検手順記憶装置34に記憶されている最新且つ最適な点検手順やトラブルシュート手順、前記判定基準記憶装置35に記憶されている判定基準や対処方法やトラブル対処方法を、開発担当者やサービスマンが該操作部33を介して閲覧及び更新することができる構成となっている。
【0029】
これによって、農作業機100の開発担当者がサーバ送受信装置36にて受信し、サーバ記憶装置31に記憶されている農作業機100の機種・型式等や点検結果やトラブルシュート結果のデータを取得することが可能となり、該データを農作業機100の開発に利用することができる。また、そのような農作業機100の開発等において、新たに最適な点検手順や対処方法やトラブルシュート手順やトラブル対処方法や判定基準等が発見された際に、操作部33から点検手順記憶装置34の最新且つ最適な点検手順やトラブルシュート手順や、判定基準記憶装置35の最新且つ最適な対処方法やトラブル対処方法や判定基準等を更新することが可能となっている。
【0030】
サーバ送受信装置36は、作業機送受信装置26からネットワーク99を介して送られてきた農作業機100の機種・型式等や点検種類を受信したり、サーバ演算装置32が選択した農作業機100の機種・型式等に応じた最新且つ最適な点検手順やトラブルシュート手順をネットワーク99を介して作業機送受信装置26に送信したり、作業機送受信装置26からネットワーク99を介して送られてきた農作業機100の機種・型式等や点検結果やトラブルシュート結果を受信したり、サーバ演算装置32が選択した農作業機100の機種・型式等及び判定結果に応じた最新且つ最適な対処方法やトラブル対処方法等をネットワーク99を介して作業機送受信装置26に送信するものである。
【0031】
以上に述べたように、本発明の農作業機保守システムは、入力装置25に入力された点検種類に応じて、センタサーバ30から該当する最新且つ最適な点検手順やトラブルシュート手順を取得して、該最新且つ最適な点検手順やトラブルシュート手順を表示装置23に表示し、該表示に従って作業者が点検を行うものである。そして、入力装置25に入力された点検結果やトラブルシュート結果に応じて、センタサーバ30から最新且つ最適な対処方法やトラブル対処方法等を取得して、該最新且つ最適な対処方法やトラブル対処方法等に従って修理や交換を行なうものである。さらに、センタサーバ30、詳しくはサーバ記憶装置31に記憶されている該当する農作業機100の機種・型式等や点検結果やトラブルシュート結果や、点検手順記憶装置34に記憶されている点検手順やトラブル発生前の状態やトラブルシュート手順や、判定基準記憶装置35に記憶されている判定基準や対処方法やトラブル対処方法等は、開発担当者やサービスマンが操作部33を介して閲覧及び更新可能なものとする。
【0032】
次に、本発明の農作業機保守システムの利用方法について説明する。
まず、「通常点検」時の利用方法について、図1乃至図3を参照しながら説明する。なお、この「通常点検」は収穫期において毎日の作業前の点検ではなく、定期点検、または、収穫期に入り収穫作業を行う前に故障があるかないかを認識するための点検を指す。
作業者は点検を開始するに当たって、まず入力装置25にてコンバイン等の農作業機100を通常点検モードに移行させる(101)。つまり、作業者が入力装置25のスイッチまたはタッチ操作等において通常点検モードを選択すると、農作業機100が選択された点検モードへと移行するのである。作業機演算装置22は、作業機送受信装置26からネットワーク99を経由してセンタサーバ30のサーバ送受信装置36へと、農作業機の機種・型式等と点検手順のバージョン情報を含んだ点検種類(通常点検)とを送信する(102)。
【0033】
センタサーバ30では、前記サーバ送受信装置36において農作業機100の機種・型式等及びバージョン情報を含んだ点検種類(通常点検)を受信すると(201)、サーバ演算装置32が農作業機100の機種・型式等及び点検種類に含まれているバージョン情報に基いて、農作業機が保有している点検手順が最新且つ最適であるかを判断する(202)。詳しくは、該バージョン情報は、点検種類と点検手順に共に含まれているものであり、サーバ演算装置32は受信した点検種類のバージョン情報と、農作業機100の機種・型式や該点検手順に応じて点検手順記憶装置34に記憶されている最新且つ最適な点検手順のバージョン情報とを照らし合わせて、農作業機100が保有している点検手順が点検手順記憶装置34に記憶されている最新且つ最適な点検手順と同じバージョンのものかを判断するものである。
【0034】
そして、バージョン情報によって、農作業機100が保有している点検手順が最新且つ最適であると判断した場合は点検開始命令のみを送信する(203)。一方、バージョン情報によって、農作業機100が保有している点検手順が最新且つ最適ではないと判断した場合は、点検手順記憶装置34に記憶されている該農作業機100の機種・型式等に対応した最新且つ最適な点検手順を選択し(204)、サーバ演算装置32は、サーバ送受信装置36からネットワーク99を経由して農作業機100の作業機送受信装置26へと、選択された最新且つ最適な点検手順を送信する(205)。
【0035】
農作業機100では、センタサーバ30から最新且つ最適な点検手順若しくは点検開始命令を受信すると(103)、作業機演算装置22が受信したデータに最新且つ最適な点検手順が含まれているか判断し(104)、該点検手順が含まれている場合は該最新且つ最適な点検手順を作業機記憶装置21に更新して記憶させる(105)。前記記憶作業終了後、若しくは前記受信したデータに最新且つ最適な点検手順が含まれていない場合(点検開始命令のみを受信した場合)は、作業機演算装置22が最新且つ最適な点検手順を時系列順に表示装置23にて表示し、同時にスピーカ24によって音声案内も行う(106)。作業者は、表示装置23で表示された最新且つ最適な点検手順をもとに、エンジン16を始動したり、ペダルやレバーの操作を行なう等の、農作業機100に通常点検作業を行なうことができる(107)。
【0036】
作業者は通常点検中に様々な点検結果を最新且つ最適な点検手順に従って入力装置25より入力し、該入力された点検結果が作業機記憶装置21に記憶される(108)。そして、通常点検が終了すると、すなわち作業者が最後の点検結果を入力すると、農作業機100の機種・型式等と作業機記憶装置21に記憶された全ての点検結果が、作業機送受信装置26からネットワーク99を介してセンタサーバ30のサーバ送受信装置36に送信される(109)。
【0037】
但し、前記通常点検作業は、作業者自身が点検作業を行なわなくても、農作業機100が自動で各種アクチュエータ等を作動させたり、該作動状況を各種センサで検知したり、各種インジケータの表示する数値を取得したりして、自動で点検結果を記憶していく構成にしても良い。この場合は、農作業機100が自動で通常点検作業を行なう際に、予め警報ランプや警報ブザーによって、作業者に注意を促す構成にすると好適である。
また、各種アクチュエータ等の作動や各種センサによる検知等を自動で行い、点検結果の入力のみを作業者が行なったり、各種アクチュエータ等の作動を作業者が行い、各種センサによる検知や点検結果の入力を農作業機が100自動で行なう構成としても良い。
【0038】
前記農作業機100の機種・型式等及び全ての点検結果がセンタサーバ30のサーバ送受信装置36で受信されると(206)、サーバ演算装置32が農作業機100の機種・型式等及び該全ての点検結果を点検結果記憶装置34へ記憶させる(207)。そして、サーバ演算装置32は、判定基準記憶装置35から農作業機100の機種・型式等及び点検種類に対応した最新の判定基準選択して(208)、該最新の判定基準をもとに点検結果に異常がないか判定を行なう(209)。該判定を行なって点検結果に異常があれば、該異常に対する最新且つ最適な対処方法等をサーバ送受信装置36からネットワークを介して作業機送受信装置26へと送信する(210)。ここで、前記判定を行なった結果、点検結果に異常が無い場合は、異常が無い旨をサーバ送受信装置36からネットワークを介して作業機送受信装置26へと送信するものとし、前述したように該異常が無い旨の判定結果も最新且つ最適な対処方法等に含まれるものとする。
【0039】
作業機送受信装置26にて、最新且つ最適な対処方法等を受信すると(110)、作業機演算装置22は最新且つ最適な対処方法等を作業機記憶装置21に記憶し(111)、該最新且つ最適な対処方法等を時系列順に表示装置23に表示し、同時にスピーカ24によって音声案内も行う(112)。サービスマンは、該表示装置23に表示された最新且つ最適な対処方法等に従って、修理や交換すべき部材の交換等を行なう(113)。
【0040】
次に、「トラブルシュート」時の利用方法について、図3、図6及び図7を参照しながら説明する。
農作業機100にトラブルが発生すると、作業者は点検を開始するに当たって、まず表示装置23の指示に従い、入力装置25にてコンバイン等の農作業機100をトラブルシュートモードに移行させる(121)。つまり、トラブルが生じた際に、入力装置25において点検種類(トラブルシュートモード)を選択すると、農作業機100が選択された点検モードへと移行するのである。このとき、作業機演算装置22は、農作業機100の図示しない各装置に配設されたセンサ等の検知手段から得られたデータをトラブル推定用のエラーコードに置き換えているため、作業者はトラブルシュートモードの細かい種類まで選択する必要はない。そして、作業機送受信装置26からネットワーク99を経由してセンタサーバ30のサーバ送受信装置36へと、農作業機の機種・型式等と該エラーコードやトラブルシュート手順のバージョン情報含んだ点検種類を送信する(122)。
【0041】
センタサーバ30では、前記サーバ送受信装置36において農作業機100の機種・型式等とエラーコードやバージョン情報を含んだ点検種類を受信すると(221)、サーバ演算装置32が農作業機100の機種・型式等とエラーコードを含んだ点検種類(トラブルシュート)に含まれているバージョン情報に基いて、農作業機が保有しているトラブルシュート手順が最新且つ最適であるかを判断する(222)。詳しくは、該バージョン情報は、点検種類とトラブルシュート手順に含まれているものであり、サーバ演算装置32は受信した点検種類のバージョン情報と、農作業機100の機種・型式や該トラブルシュート手順に応じて点検手順記憶装置34に記憶されている最新且つ最適なトラブルシュート手順のバージョン情報とを照らし合わせて、農作業機100が保有しているトラブルシュート手順が点検手順記憶装置34に記憶されている最新且つ最適なトラブルシュート手順と同じバージョンのものかを判断するものである。
【0042】
そして、バージョン情報によって、農作業機100が保有しているトラブルシュート手順が最新且つ最適であると判断した場合はトラブルシュート開始命令のみを送信する(223)。一方、バージョン情報によって、農作業機100が保有しているトラブルシュート手順が最新且つ最適ではないと判断した場合は、点検基準記憶装置34に記憶されている該農作業機100の機種・型式等とエラーコードに対応した最新且つ最適なトラブルシュート手順を選択し(224)、サーバ演算装置32は、サーバ送受信装置36からネットワーク99を経由して農作業機100のサーバ送受信装置36へと、選択された最新且つ最適なトラブルシュート手順を送信する(225)。ここで、センタサーバ30において、農作業機100の機種・型式等とエラーコードを含んだ点検種類を受信した際に、サーバ演算装置32が該エラーコードや、トラブル発生直前の点検データや、トラブル発生前の状態をサーバ記憶装置31に記憶させておく構成にすると好適である。
【0043】
農作業機100では、センタサーバ30から最新且つ最適なトラブルシュート手順若しくはトラブルシュート開始命令を受信すると(123)、作業機演算装置22が受信したデータに最新且つ最適なトラブルシュート手順が含まれているか判断し(124)、該トラブルシュート手順が含まれている場合は該最新且つ最適なトラブルシュート手順を作業機記憶装置21に更新して記憶させる(125)。前記記憶作業終了後、若しくは前記受信したデータに最新且つ最適なトラブルシュート手順が含まれていない場合(トラブルシュート開始命令のみを受信した場合)は、作業機演算装置22が最新且つ最適なトラブルシュート手順を時系列順に表示装置23にて表示し、同時にスピーカ24によって音声案内も行う(126)。作業者は、表示装置23で表示された最新且つ最適なトラブルシュート手順をもとに、エンジン16を始動したり、ペダルやレバーの操作を行なう等の、農作業機100にトラブルシュート作業を行なうことができる(127)。
【0044】
作業者はトラブルシュート手順に従ってトラブルシュート結果を入力装置25より入力し、該入力されたトラブルシュート結果が作業機記憶装置21に記憶される(127)。そして、トラブルシュート作業が終了すると、すなわち作業者が最後のトラブルシュート結果を入力すると、農作業機100の機種・型式等と作業機記憶装置21に記憶された全てのトラブルシュート結果が、作業機送受信装置26からネットワーク99を介してセンタサーバ30のサーバ送受信装置36に送信される(129)。
前記、通常点検時と同様に、トラブルシュート作業も農作業機100に自動で行なわせて良いものとする。
【0045】
前記農作業機100の機種・型式等と全てのトラブルシュート結果がセンタサーバ30のサーバ送受信装置36で受信されると(226)、サーバ演算装置32は該トラブルシュート結果をサーバ記憶装置31に記憶し(227)、サーバ演算装置32が判定基準記憶装置35から農作業機100の機種・型式等とトラブルシュート結果に対応した最新のトラブル対処方法等を選択して(228)、該最新のトラブル対処方法等をサーバ送受信装置36からネットワークを介して作業機送受信装置26へと送信する(229)。
【0046】
作業機送受信装置26にて、最新且つ最適なトラブル対処方法等を受信すると(130)、作業機演算装置22は最新且つ最適なトラブル対処方法等を作業機記憶装置21に記憶し(131)、該最新且つ最適なトラブル対処方法等を時系列順に表示装置23に表示し、同時にスピーカ24によって音声案内も行う(132)。サービスマンは、該表示装置23に表示された最新且つ最適な対処方法等に従って、故障箇所を把握したり修理したりや交換すべき部材の交換等を行なったりする(133)。
【0047】
本実施例では、入力装置25に入力された点検種類に応じてセンタサーバ30から送られる最新の点検手順に従って通常点検を行い、点検結果に応じてセンタサーバ30から送られる最新の対処方法等に従って修理や交換を行なうものとしているが、限定するものではない。つまり、作業機送受信装置26が該ネットワーク99に接続できないような状態にある場合には、入力装置25に点検種類を入力した時点において、作業機記憶装置21に記憶されている点検手順や対処方法等をもとに、点検や修理や交換を行なうことが可能である。
この場合は、作業機記憶装置21に可搬性を持たせて、予め他の手段(例えば、グループ内ネットワークや、インターネット、CD−R等の外部記憶媒体の郵送等。)によって取得した比較的最新且つ最適な点検手順や対処方法を作業機記憶装置21に記憶させておくことにより、通信時間及び通信コストを削減することが出来る。そして、この場合は、請求項に記載の作業機送受信装置26やサーバ送受信装置36は、CD−R等の外部記憶媒体を読み書きする装置を指すものとする。
【0048】
トラブルシュート時においても同様に、本実施例では、エラーコードを含む点検種類に応じてセンタサーバ30から送られる最新のトラブルシュート手順に従ってトラブルシュート作業を行い、トラブルシュート結果に応じてセンタサーバ30から送られる最新のトラブル対処方法等に従って修理や交換を行なうものとしているが、限定するものではない。つまり、作業機送受信装置26が該ネットワーク99に接続できないような状態にある場合には、トラブルが生じた時点において、作業機記憶装置21に記憶されているエラーコードに対応したトラブルシュート手順やトラブル対処方法等をもとに、修理や交換を行なうことが可能である。
この場合は、作業機記憶装置21に可搬性を持たせて、予め他の手段(例えば、グループ内ネットワークや、インターネット、CD−R等の外部記憶媒体郵送等。)によって取得した比較的最新且つ最適なトラブルシュート手順やトラブル対処方法を作業機記憶装置21に記憶させておくことにより、通信時間及び通信コストを削減することが出来る。そして、この場合は、請求項に記載の作業機送受信装置26やサーバ送受信装置36は、CD−R等の外部記憶媒体を読み書きする装置を指すものとする。
【0049】
このように、農作業機100をネットワーク99等のデータ授受手段を介してセンタサーバ30に接続可能とした農作業機保守システムにおいて、
農作業機100に、
点検種類や点検結果を入力する入力装置25と、
点検種類と点検結果に応じた点検手順と対処方法等と、点検作業中に入力した点検結果が記憶される作業機記憶装置21と、
ネットワーク99等のデータ授受手段を介して、農作業機100の機種・型式や点検種類や点検結果を送信したり、点検手順や対処方法等を受信する作業機送受信装置26と、
該点検手順や対処方法等を表示する表示装置23と、を具備し、
センタサーバ30に、
農作業機100の機種・型式と点検結果が記憶されるサーバ記憶装置31と、
農作業機100の機種・型式ごとに点検手順が記憶される点検手順記憶装置34と、
点検結果をもとに農作業機100に異常がないかを否かを判定するための判定基準と異常が発見された場合の対処方法等が記憶される判定基準記憶装置35と、
該判定基準記憶装置35から農作業機100の機種に応じた最適な判定基準を選択し、該点検結果と判定基準より判定を行い、判定基準記憶装置35から最適な対処方法を選択するサーバ演算装置32と、
前記農作業機100の機種・型式と前記点検結果と前記点検手順と前記判定基準と前記対処方法を閲覧及び更新することができる操作部33と、
点検手順や対処方法を送信したり、点検種類や点検結果を受信するサーバ送受信装置36と、を具備したので、
自動診断システム等が農作業機100にダウンロードされた後に見出された点検手順や対処方法も農作業機100に伝達することが可能となり、常に最新の点検手順や対処方法によって点検や修理や交換すべき部材の交換を行なうことができる。また、サービスマンが点検や修理や交換に赴く場合であっても、サービスマン全員が最新且つ最適な点検手順や対処方法を実施できるようになる。加えて、開発担当者やサービスマンがセンタサーバに蓄積された点検結果を閲覧できるため、点検結果を今後の開発やアフターサービスにも利用できる。
【0050】
また、前記作業機記憶装置21に、エラーコードに応じたトラブルシュート手順や、トラブルシュート作業時に入力したトラブルシュート結果が記憶され、
前記サーバ記憶装置31に、トラブルシュート結果が記憶され、
前記点検手順記憶装置34に、エラーコードに応じたトラブルシュート手順が記憶され、
前記判定基準記憶装置35に、トラブル対処方法が記憶され、
前記操作部33によって、前記トラブルシュート結果とトラブルシュート手順とトラブル対処方法が閲覧及び更新できるので、
農作業機100にトラブルが発生した場合において、サービスマンがトラブルが生じた場所に赴いた際に、作業者が被ったトラブルを再現できない場合においても、トラブルシューティング結果に基づいて修理や交換すべき部材の交換等の対処を行なうことができる。
【0051】
また、農作業機100をネットワーク99等のデータ授受手段を介してセンタサーバ30に接続可能とした農作業機保守システムにおいて、
入力装置25に入力されセンタサーバ30に送信された点検種類に応じて、センタサーバ30から点検手順を取得して農作業機100の表示装置23に表示し、入力装置25に入力されセンタサーバ30に送信された点検結果に応じて、センタサーバ30から対処方法等を取得して該対処方法等を該表示装置23に表示し、
農作業機100から送信されサーバ記憶装置31に記憶された農作業機100の機種・型式と点検結果や、点検手順記憶装置34に記憶されている点検手順や、判定基準記憶装置35に記憶されている判定基準及び対処方法等を、操作部33を介して閲覧及び更新可能としたので、
自動診断システムが農作業機100にダウンロードされた後に見出された点検手順や対処方法を農作業機100に伝達することが可能となり、常に最新の点検手順や対処方法によって点検や修理や交換すべき部材の交換を行なうことができる。また、サービスマンが保守点検及び修理に赴く場合であっても、サービスマン全員が最新且つ最適な点検手順や対処方法を実施できるようになる。加えて、開発担当者やサービスマンが蓄積された点検結果を閲覧できるため、点検結果を今後の開発やアフターサービスにも利用できる。
【0052】
また、前記農作業機保守システムにおいて、トラブル時にセンタサーバ30に送信されたエラーコードに応じて、センタサーバ30からトラブルシュート手順を取得して農作業機100の表示装置23に表示し、入力装置25に入力されたトラブルシュート結果に応じて、センタサーバ30からトラブル対処方法等を取得して表示装置に表示し、
農作業機100から送信されサーバ記憶装置31に記憶された農作業機100の機種・型式とトラブルシュート結果や、点検手順記憶装置34に記憶されているトラブルシュート手順や、判定基準記憶装置35に記憶されているトラブル対処方法等を、操作部33を介して閲覧及び更新可能としたので、
農作業機100にトラブルが発生した場合において、サービスマンがトラブルが生じた場所に赴いた際に、作業者が被ったトラブルを再現できない場合においても、トラブルシューティング結果に基づいて修理や交換すべき部材の交換等の対処を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の農作業機保守システムを示す概略図。
【図2】通常点検時の農作業機100側のフローチャート。
【図3】通常点検時のセンタサーバ30側のフローチャート。
【図4】トラブルシュート時の農作業機100側のフローチャート。
【図5】トラブルシュート時のセンタサーバ30側のフローチャート。
【図6】本発明の農作業機保守システムに係る農作業機の一実施例としてのコンバイン100の側面図。
【図7】同じく平面図。
【符号の説明】
【0054】
21 作業機記憶装置
22 作業機演算装置
23 表示装置
24 スピーカ
25 入力装置
26 作業機送受信装置
30 センタサーバ
31 サーバ記憶装置
32 サーバ演算装置
33 操作部
34 点検手順記憶装置
35 判断基準記憶装置
36 サーバ送受信装置
99 ネットワーク
100 農作業機(コンバイン)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
農作業機をネットワーク等のデータ授受手段を介してセンタサーバに接続可能とした農作業機保守システムにおいて、
農作業機に、
点検種類や点検結果を入力する入力装置と、
点検種類と点検結果に応じた点検手順と対処方法等と、点検作業中に入力した点検結果が記憶される作業機記憶装置と、
ネットワーク等のデータ授受手段を介して、農作業機の機種・型式や点検種類や点検結果を送信したり、点検手順や対処方法等を受信する作業機送受信装置と、
該点検手順や対処方法等を表示する表示装置と、を具備し、
センタサーバに、
農作業機の機種・型式と点検結果が記憶されるサーバ記憶装置と、
農作業機の機種・型式ごとに点検手順が記憶される点検手順記憶装置と、
点検結果をもとに農作業機に異常がないかを否かを判定するための判定基準と異常が発見された場合の対処方法等が記憶される判定基準記憶装置と、
該判定基準記憶装置から農作業機の機種に応じた最適な判定基準を選択し、該点検結果と判定基準より判定を行い、判定基準記憶装置から最適な対処方法を選択するサーバ演算装置と、
前記農作業機の機種・型式と前記点検結果と前記点検手順と前記判定基準と前記対処方法を閲覧及び更新することができる操作部と、
点検手順や対処方法を送信したり、点検種類や点検結果を受信するサーバ送受信装置と、を具備したことを特徴とする農作業機保守システム。
【請求項2】
前記作業機記憶装置に、エラーコードに応じたトラブルシュート手順や、トラブルシュート作業時に入力したトラブルシュート結果が記憶され、
前記サーバ記憶装置に、トラブルシュート結果が記憶され、
前記点検手順記憶装置に、トラブルシュート手順が記憶され、
前記判定基準記憶装置に、トラブル対処方法が記憶され、
前記操作部によって、前記トラブルシュート結果とトラブルシュート手順とトラブル対処方法が閲覧及び更新できることを特徴とする請求項1に記載の農作業機保守システム。
【請求項3】
農作業機をネットワーク等のデータ授受手段を介してセンタサーバに接続可能とした農作業機保守システムにおいて、
入力装置に入力されセンタサーバに送信された点検種類に応じて、センタサーバから点検手順を取得して農作業機の表示装置に表示し、入力装置に入力されセンタサーバに送信された点検結果に応じて、センタサーバから対処方法等を取得して該対処方法等を該表示装置に表示し、
農作業機から送信されサーバ記憶装置に記憶された農作業機の機種・型式と点検結果や、点検手順記憶装置に記憶されている点検手順や、判定基準記憶装置に記憶されている判定基準及び対処方法等を、操作部を介して閲覧及び更新可能としたことを特徴とする農作業機保守システム。
【請求項4】
前記農作業機保守システムにおいて、トラブル時にセンタサーバに送信されたエラーコードに応じて、センタサーバからトラブルシュート手順を取得して農作業機の表示装置に表示し、入力装置に入力されたトラブルシュート結果に応じて、センタサーバからトラブル対処方法等を取得して表示装置に表示し、
農作業機から送信されサーバ記憶装置に記憶された農作業機の機種・型式とトラブルシュート結果や、点検手順記憶装置に記憶されているトラブルシュート手順や、判定基準記憶装置に記憶されているトラブル対処方法等を、操作部を介して閲覧及び更新可能としたことを特徴とする請求項3に記載の農作業機保守システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−260207(P2006−260207A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−77112(P2005−77112)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】