説明

農作業機

【課題】適切な整地作業ができる農作業機を提供する。
【解決手段】農作業機10は、トラクタの後部に連結する機体11と、耕耘作業をする耕耘体と、この耕耘体の後方で整地作業をする整地体21とを備える。整地体21の左右方向端部には、整地作業をする延長整地体31を設ける。延長整地体31は、前側上方板41と、この前側上方板41よりも下方に位置する後側下方板42とを有する。また、延長整地体31は、前側上方板41と後側下方板42とを連結して泥土を中央の整地体21側に向けて案内する案内連結板43を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、適切な整地作業ができる農作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載された農作業機が知られている。
【0003】
この従来の農作業機は、走行車であるトラクタの後部に連結される機体と、機体に回転可能に設けられ耕耘作業をする耕耘体と、機体に上下方向に回動可能に設けられ整地作業をする整地体と、整地体の左右方向端部に設けられ整地作業をする延長整地体(延長レーキ)とを備えている。また、延長整地体は、図27に示すように、水平状の本体板部1と、この本体板部1の前端部から上方に向って突出した突出板部2とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−335303号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の農作業機では、例えば圃場の土、すなわち例えば泥土が延長整地体上を乗り越えてしまうおそれがあるとともに、泥土が延長整地体から外側方に逃げてしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、土が延長整地体上を乗り越えることおよび土が延長整地体から外側方に逃げることを防止でき、よって、適切な整地作業ができる農作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の農作業機は、機体と、この機体に設けられ、整地作業をする整地体と、この整地体の左右方向端部に設けられ、整地作業をする延長整地体とを備え、前記延長整地体は、前側上方板と、この前側上方板よりも下方に位置する後側下方板と、前記前側上方板と前記後側下方板とを連結し、土を前記整地体側に向けて案内する案内連結板とを有するものである。
【0008】
請求項2記載の農作業機は、請求項1記載の農作業機において、延長整地体の案内連結板は、平面視で内端部ほど後方に位置するように傾斜しているものである。
【0009】
請求項3記載の農作業機は、請求項1または2記載の農作業機において、延長整地体は、前側上方板の前端部から立ち上がった立上板を有するものである。
【0010】
請求項4記載の農作業機は、請求項3記載の農作業機において、延長整地体の立上板は、平面視で内端部ほど後方に位置するように傾斜しているものである。
【0011】
請求項5記載の農作業機は、請求項1ないし4のいずれか一記載の農作業機において、延長整地体の前側上方板は、前端側から後端側に向って徐々に下方に傾斜する後下り傾斜状に位置するものである。
【0012】
請求項6記載の農作業機は、請求項1ないし5のいずれか一記載の農作業機において、延長整地体の後側下方板は、左右方向に並んだ下方に向って凹状の複数の凹状部を有するものである。
【0013】
請求項7記載の農作業機は、機体と、この機体に設けられ、整地作業をする整地体と、この整地体の左右方向端部に設けられ、整地作業をする延長整地体とを備え、前記延長整地体は、前端側から後端側に向って徐々に下方に傾斜する後下り傾斜状に位置する前側上方板と、この前側上方板よりも下方に水平状に位置する後側下方板と、前記前側上方板と前記後側下方板とを連結し、土を前記整地体側に向けて案内する案内連結板と、前側上方板の前端部から立ち上がり、土を前記整地体側に向けて案内する立上板とを有するものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、延長整地体は、前側上方板とこの前側上方板よりも下方に位置する後側下方板と前側上方板と後側下方板とを連結し土を整地体側に向けて案内する案内連結板とを有するため、土が延長整地体上を乗り越えることおよび土が延長整地体から外側方に逃げることを防止でき、よって、適切な整地作業ができる。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、延長整地体の案内連結板は平面視で内端部ほど後方に位置するように傾斜しているため、案内連結板にて土を整地体側に向けてスムーズに案内でき、より適切な整地作業ができる。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、延長整地体は前側上方板の前端部から立ち上がった立上板を有するため、土が延長整地体上を乗り越えることを効果的に防止でき、より適切な整地作業ができる。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、延長整地体の立上板は平面視で内端部ほど後方に位置するように傾斜しているため、立上板にて土を整地体側に向けてスムーズに案内でき、より適切な整地作業ができる。
【0018】
請求項5に係る発明によれば、延長整地体の前側上方板は前端側から後端側に向って徐々に下方に傾斜する後下り傾斜状に位置するため、土が延長整地体上を乗り越えることを効果的に防止でき、より適切な整地作業ができる。
【0019】
請求項6に係る発明によれば、延長整地体の後側下方板は左右方向に並んだ下方に向って凹状の複数の凹状部を有するため、土が延長整地体から外側方に逃げることを効果的に防止でき、より適切な整地作業ができる。
【0020】
請求項7に係る発明によれば、土が延長整地体上を乗り越えることおよび土が延長整地体から外側方に逃げることを効果的に防止でき、よって、適切な整地作業ができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る農作業機の平面図である。
【図2】同上農作業機の側面図である。
【図3】同上農作業機の延長整地体の平面図である。
【図4】同上延長整地体の背面図である。
【図5】図3のA−A断面図である。
【図6】同上延長整地体の作用説明図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る農作業機の延長整地体の平面図である。
【図8】同上延長整地体の背面図である。
【図9】図7のA−A断面図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係る農作業機の延長整地体の平面図である。
【図11】同上延長整地体の背面図である。
【図12】本発明の第4の実施の形態に係る農作業機の延長整地体の平面図である。
【図13】同上延長整地体の背面図である。
【図14】図12のA−A断面図である。
【図15】図12のB−B断面図である。
【図16】本発明の第5の実施の形態に係る農作業機の延長整地体の平面図である。
【図17】同上延長整地体の背面図である。
【図18】図16のA−A断面図である。
【図19】図16のB−B断面図である。
【図20】本発明の第6の実施の形態に係る農作業機の延長整地体の平面図である。
【図21】本発明の第7の実施の形態に係る農作業機の延長整地体を示す図であり、(a)が平面図、(b)が背面図である。
【図22】図20および図21に示す延長整地体による土排出イメージ図である。
【図23】本発明の第8の実施の形態に係る農作業機の延長整地体の平面図である。
【図24】本発明の第9の実施の形態に係る農作業機の延長整地体を示す図であり、(a)が平面図、(b)が背面図である。
【図25】図23および図24に示す延長整地体による土排出イメージ図である。
【図26】本発明の第10の実施の形態に係る農作業機の延長整地体の断面図である。
【図27】従来の農作業機の延長整地体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の第1の実施の形態を図1ないし図6を参照して説明する。
【0023】
図1および図2において、10は農作業機で、この農作業機10は、例えば走行車であるトラクタ(図示せず)の後部に連結して使用する代掻き機である。農作業機10は、トラクタの後部に連結された状態で、トラクタの前進走行により進行方向である前方に向って移動しながら代掻き作業および土引き作業を選択的に行うものである。
【0024】
なお、図2には、農作業機10がキャスタ付のスタンド9にて支持された状態が示されており、代掻き作業等の作業時には、スタンド9は、取り外されるか或いは作業の邪魔にならないよう上下反転した状態に取り付けられる。
【0025】
農作業機10は、図1および図2に示されるように、トラクタの後部の3点リンク部(作業機昇降装置)に連結される機体11を備えている。
【0026】
機体11は、左端部にチェーンケース部12を有し、右端部にブラケット部13を有し、これら左右のチェーンケース部12およびブラケット部13間には、入力軸14側からの動力で所定方向に回転しながら耕耘作業をするロータリ式の耕耘体16が回転可能に設けられている。
【0027】
耕耘体16は、左端部がチェーンケース部12にて回転可能に支持されかつ右端部がブラケット部13にて回転可能に支持された左右方向長手状の回転軸17と、この回転軸17に放射状に突設された複数の耕耘爪18とを有している。回転軸17は、チェーンケース部12内のチェーンおよびフレームパイプ部15内の伝動シャフト等からなる動力伝達手段を介して入力軸14に接続されている。入力軸14は、トラクタのPTO軸にジョイント等からなる動力伝達手段を介して接続される。
【0028】
また、耕耘体16は、機体11のカバー部(耕耘部カバー)19にて覆われている。そして、機体11のカバー部19の後端部には、耕耘体16の後方で圃場面に追従するように機体11に対して上下方向に回動しながら整地作業をする整地体21が弾性板であるゴム板22を介して上下方向に回動可能に設けられている。
【0029】
整地体21は、左右方向長手状で略板状の第1整地板(均平板)23と、この第1整地板23の後端部に左右方向の支軸25を中心として上下方向に回動可能に設けられた左右方向長手状で略板状の第2整地板(レーキ)24とを有している。
【0030】
なお、支軸25は、第1整地板23の側板部(均平板側板)26の後端部に形成された孔部27および第2整地板24の側板部(レーキ側板)28の前端部に形成された孔部29に挿入されている。
【0031】
そして、第2整地板24の左右方向両端部には、第2整地板24の左右方向端部から外側方に向って突出してこの第2整地板24の左右方向長さを延長した状態で、この第2整地板24とともに整地作業をする左右1対の略板状の延長整地体(延長レーキ)31が上下方向に回動可能に設けられている。
【0032】
延長整地体31は、第2整地板24の左右方向端部に前後方向の連結軸32を中心として回動可能に連結されている。また、延長整地体31の状態を保持するための状態保持用の付勢手段として引張ばねであるコイルばね33の一端部が第2整地板24のばね取付部34に取り付けられ、コイルばね33の他端部が延長整地体31のばね取付部35に取り付けられている。
【0033】
そして、延長整地体31は、代掻き作業等の作業時には、連結軸32を中心とする展開方向への略180度回動により第2整地板24の左右方向端部から外側方に向って突出する作業状態となり、コイルばね33の付勢力でその所望の作業状態に保持される。また、延長整地体31は、非作業時には、連結軸32を中心とする折畳方向への略180度回動により第2整地板24上に位置する非作業状態となり、コイルばね33の付勢力でその所望の非作業状態に保持される。
【0034】
なお、延長整地体31の状態の切換えは、作業者の手作業による人力で行われるものでもよく、モータ等の駆動手段からの動力で行われるものでもよい。
【0035】
ここで、延長整地体31の具体的構成について説明する。なお、作業状態の延長整地体31を示す図3ないし図5を参照しつつ、左側の延長整地体31について説明するが、左側の延長整地体31と右側の延長整地体31とは左右対称である点のみにおいて異なる。
【0036】
延長整地体31は、図3ないし図5に示されるように、平面視で左右方向にやや細長い略矩形状をなす整地本体板部36と、この平面視略矩形状の整地本体板部36の内端側(第2整地板側)に立設され第2整地板24の略コ字状の連結部40に連結軸32を介して連結される連結部37と、整地本体板部36の左右方向略中央部に立設され一端部を第2整地板24のばね取付部34に取り付けるコイルばね33の他端部が取り付けられるばね取付部35とにて構成されている。
【0037】
整地本体板部36は、延長整地体31の作業状態時において、水平状に位置する前側上方板41と、この前側上方板41よりも後方でかつ下方に水平状に位置する後側下方板42と、前側上方板41の後端部と後側下方板42の前端部とを連結し代掻き作業時に圃場の土である泥土を中央の整地体21側、つまり第2整地板24側(内側方)である中央部側に向けて案内する前高後低の後下り傾斜状の案内連結板43とを有している。
【0038】
前側上方板41は、平面視で外端側に頂点を有しかつ内端側に底辺を有する略3角形状をなすものであり、この前側上方板41の上面に連結部37が立設されている。
【0039】
後側下方板42は、平面視で内端側に頂点を有しかつ外端側に底辺を有する略3角形状をなすものであり、この後側下方板42の上面にばね取付部35が立設されている。なお、第2整地板24の側板部28の下端部は、後側下方板42の水平状の下面よりも下方に位置する(図4参照)。
【0040】
案内連結板43は、平面視で内端部ほど後方に位置するように傾斜している。つまり、案内連結板43は、平面視で全長にわたって略同じ幅寸法の長手状をなすものでかつ外端側から内端側に向って徐々に後方に傾斜する傾斜状をなすものである。換言すれば、案内連結板43は、整地本体板部36の外端部前側の角部と整地本体板部36の内端部後側の角部とを結ぶ対角線に略沿った状態として整地本体板部36に形成されている。
【0041】
案内連結板43の長手方向一端部である外端側の端部は、整地本体板部36の外端部前側の角部に位置する。案内連結板43の長手方向他端部である内端側の端部は、整地本体板部36の内端部後側の角部から少しずれて、整地本体板部36の後端部に位置する。つまり、整地本体板部36の左右方向に沿った後端部は、後側下方板42の水平状の後端部42aと、案内連結板43の右上り傾斜状(内端側に向って徐々に上方に傾斜する傾斜状)の内端側の端部43aと、前側上方板41の水平状の後端部41aとにて構成されている。
【0042】
そして、整地本体板部36は、図4に示されるように、代掻き作業時に圃場の泥土を後方に排出する後方に向って開口状の開口部45を内端側の後端面に有している。この開口部45は、案内連結板43の端部43aと、前側上方板41の後端部41aと、第2整地板24の側板部28との間に位置する。
【0043】
また、整地本体板部36の左右方向に沿った前端部は、前側上方板41の水平状の前端部41bのみにて構成されている。
【0044】
なお、整地本体板部36は、前側上方板41と案内連結板43との連結部分に位置する上面折線46と、後側下方板42と案内連結板43との連結部分に位置する下面折線47とを有している。そして、整地本体板部36は、これら2本の折線46,47に沿って折り曲げられた1枚板状のものであり、泥土を第2整地板24側に寄せる方向の対角線に沿った段差部50を有している。
【0045】
次に、農作業機10の作用等を説明する。
【0046】
農作業機10を使用して代掻き作業を行う場合、延長整地体31を連結軸32を中心として回動させて作業状態に切り換える。
【0047】
この状態で、トラクタの前進走行により農作業機10を前方に移動させると、耕耘体16にて耕耘作業が行われ、第1整地板23、第2整地板24および左右の延長整地体31にて整地作業が行われる。
【0048】
この際、図6に示されるように、泥土が延長整地体31上を乗り越えてしまうことがない。そして、盛り上った泥土は、延長整地体31の前側上方板41の下面に当った後、案内連結板43の前面にて第2整地板24側に向けて案内され、その泥土の大部分が開口部45から後方にスムーズに排出される。
【0049】
そして、この農作業機10によれば、泥土が延長整地体31上を乗り越えることおよび泥土が延長整地体31の外端部から外側方に流れ出て逃げることを防止でき、よって、適切な代掻き作業、つまり整地作業ができる。
【0050】
また、延長整地体31の案内連結板43は平面視で内端部ほど後方に位置するように傾斜しているため、案内連結板43にて泥土を第2整地板24側に向けてスムーズに案内でき、より適切な整地作業ができる。
【0051】
本発明の第2の実施の形態を図7ないし図9を参照して説明する。
【0052】
第2の実施の形態に係る農作業機10は、第1の実施の形態において、図3に示す延長整地体31の代わりに、図7ないし図9に示す延長整地体31を備えたものである。
【0053】
この図7ないし図9に示す延長整地体31の整地本体板部36は、前側上方板41の前端部から立上折線48に沿った折り曲げにより鉛直上方に向って立ち上がった立上板51を有している。立上板51は、平面視で左右方向に沿って位置する。立上板51は、前斜め上方に向って立ち上がったものでもよい。なお、図7ないし図9に示す延長整地体31のその他の構成は、図3に示す延長整地体31と同一である。
【0054】
そして、この農作業機10によれば、第1の実施の形態の作用効果に加え、延長整地体31は前側上方板41の前端部から立ち上がった立上板51を有するため、泥土が延長整地体31上を乗り越えることを効果的に防止でき、より適切な整地作業ができる。
【0055】
本発明の第3の実施の形態を図10および図11を参照して説明する。
【0056】
第3の実施の形態に係る農作業機10は、第1の実施の形態において、図3に示す延長整地体31の代わりに、図10および図11に示す延長整地体31を備えたものである。
【0057】
この図10および図11に示す延長整地体31の整地本体板部36は、前側上方板41の前端部から立上折線48に沿った折り曲げにより前斜め上方に向って立ち上がった立上板51を有している。立上板51は、平面視で内端部ほど後方に位置するように傾斜している。立上板51の左右方向に対する傾斜角度は、案内連結板43の左右方向に対する傾斜角度よりも小さい。立上板51は、鉛直上方に向って立ち上がったものでもよい。なお、図10および図11に示す延長整地体31のその他の構成は、図3に示す延長整地体31と同一である。
【0058】
そして、この農作業機10によれば、第1の実施の形態の作用効果に加え、延長整地体31は前側上方板41の前端部から立ち上がった立上板51を有するため、泥土が延長整地体31上を乗り越えることを効果的に防止でき、より適切な整地作業ができる。
【0059】
また、延長整地体31の立上板51は平面視で内端部ほど後方に位置するように傾斜しているため、立上板51にて泥土を第2整地板24側に向けてスムーズに案内でき、より適切な整地作業ができる。
【0060】
本発明の第4の実施の形態を図12ないし図15を参照して説明する。
【0061】
第4の実施の形態に係る農作業機10は、第1の実施の形態において、図3に示す延長整地体31の代わりに、図12ないし図15に示す延長整地体31を備えたものである。
【0062】
この図12ないし図15に示す延長整地体31の整地本体板部36は、前側上方板41の前端部から立上折線48に沿った折り曲げにより鉛直上方に向って立ち上がった立上板51を有している。立上板51は、平面視で左右方向に沿って位置する。立上板51は、前斜め上方に向って立ち上がったものでもよい。
【0063】
また、この整地本体板部36の前側上方板41は、前端側から後端側に向って徐々に下方に傾斜する前高後低の後下り傾斜状に位置する。このため、前側上方板41の前端部(立上折線48)は水平状に位置するが、前側上方板41の後端部(上面折線46)は外端側から内端側に向って徐々に下方に傾斜する傾斜状に位置する。つまり案内連結板43の高さ寸法が、外端側から内端側に向って徐々に低くなっている。前側上方板41の水平方向に対する後下りの傾斜角度は、案内連結板43の水平方向に対する後下りの傾斜角度よりも小さい。
【0064】
さらに、この整地本体板部36の案内連結板43は、平面視で外端側から内端側に向って徐々に幅寸法が減少する長手状をなすものである。なお、図12ないし図15に示す延長整地体31のその他の構成は、図3に示す延長整地体31と同一である。
【0065】
そして、この農作業機10によれば、第1の実施の形態の作用効果に加え、延長整地体31は前側上方板41の前端部から立ち上がった立上板51を有するため、泥土が延長整地体31上を乗り越えることを効果的に防止でき、より適切な整地作業ができる。
【0066】
また、延長整地体31の前側上方板41は前端側から後端側に向って徐々に下方に傾斜する後下り傾斜状に位置するため、泥土が延長整地体31上を乗り越えることをより一層効果的に防止でき、より適切な整地作業ができる。
【0067】
本発明の第5の実施の形態を図16ないし図19を参照して説明する。
【0068】
第5の実施の形態に係る農作業機10は、第1の実施の形態において、図3に示す延長整地体31の代わりに、図16ないし図19に示す延長整地体31を備えたものである。
【0069】
この図16ないし図19に示す延長整地体31の整地本体板部36は、前側上方板41の前端部から立上折線48に沿った折り曲げにより前斜め上方に向って立ち上がった立上板51を有している。立上板51は、平面視で内端部ほど後方に位置するように傾斜している。立上板51の左右方向に対する傾斜角度は、案内連結板43の左右方向に対する傾斜角度よりも小さい。立上板51は、鉛直上方に向って立ち上がったものでもよい。
【0070】
また、この整地本体板部36の前側上方板41は、前端側から後端側に向って徐々に下方に傾斜する前高後低の後下り傾斜状に位置する。このため、前側上方板41の前端部(立上折線48)は水平状に位置するが、前側上方板41の後端部(上面折線46)は外端側から内端側に向って徐々に下方に傾斜する傾斜状に位置する。つまり案内連結板43の高さ寸法が、外端側から内端側に向って徐々に低くなっている。前側上方板41の水平方向に対する後下りの傾斜角度は、案内連結板43の水平方向に対する後下りの傾斜角度よりも小さい。
【0071】
さらに、この整地本体板部36の案内連結板43は、平面視で外端側から内端側に向って徐々に幅寸法が減少する長手状をなすものである。
【0072】
また、この整地本体板部36の後側下方板42は、互いに隣接して左右方向に並んで位置し下方に向って凹状で前後方向に水平状に延びる複数(例えば4つ)の凹状部53にて構成されている。各凹状部53は、頂上54および左右1対の傾斜面55を有して山形状をなすもので、圃場面側に向って開口した凹状に形成されている。このため、後側下方板42の前端部(下面折線47)は、平面視でジグザグ状に位置する。さらに、後側下方板42の後端部には複数の切欠部56が形成されている。なお、図16ないし図19に示す延長整地体31のその他の構成は、図3に示す延長整地体31と同一である。
【0073】
そして、この農作業機10によれば、第1の実施の形態の作用効果に加え、延長整地体31は前側上方板41の前端部から立ち上がった立上板51を有するため、泥土が延長整地体31上を乗り越えることを効果的に防止でき、より適切な整地作業ができる。
【0074】
また、延長整地体31の前側上方板41は前端側から後端側に向って徐々に下方に傾斜する後下り傾斜状に位置するため、泥土が延長整地体31上を乗り越えることをより一層効果的に防止でき、より適切な整地作業ができる。
【0075】
さらに、延長整地体31の後側下方板42は左右方向に並んだ下方に向って凹状の複数の凹状部53を有するため、これら凹状部53から泥水が後方に排出され、泥土が延長整地体31から外側方に逃げることを効果的に防止でき、より適切な整地作業ができる。
【0076】
なお、農作業機10は、前記各実施の形態の構成を適宜組み合わせるようにしたものでもよい。
【0077】
また、図20に示すように、上面折線46の外端側の端部が整地本体板部36の外端部前側の角部に位置しかつ上面折線46の内端側の端部が整地本体板部36の内端部後側の角部に位置する構成でもよく、また図21(a)および(b)に示すように、下面折線47の外端側の端部が整地本体板部36の外端部前側の角部に位置しかつ上面折線46の内端側の端部が整地本体板部36の内端部後側の角部に位置する構成でもよい。
【0078】
そして、図22は、図20および図21に示す延長整地体31による後方への泥土の排出イメージ図である。
【0079】
また、図23に示すように、下面折線47の外端側の端部が整地本体板部36の外端部前側の角部に位置しかつ下面折線47の内端側の端部が整地本体板部36の内端部後側の角部に位置する構成でもよく、また図24(a)および(b)に示すように、上面折線46の外端側の端部が整地本体板部36の外端部前側の角部に位置しかつ下面折線47の内端側の端部が整地本体板部36の内端部後側の角部に位置する構成でもよい。なお、これらの場合、整地本体板部36は開口部45を有していない。
【0080】
そして、図25は、図23および図24に示す延長整地体31による後方への泥土の排出イメージ図である。この図25のZは図22のXよりも大きい、つまりX<Zであるが泥土の全体の排出量は略同じとなる。
【0081】
また、上記いずれの実施の形態においても、延長整地体31の作業状態時には、前側上方板41および後側下方板42が水平状に位置し、後側下方板42の下面が圃場面(地面)に面状に接する構成について説明したが、例えば図26に示すように、延長整地体31全体を後下り傾斜状の傾斜姿勢にすることにより、前側上方板41および後側下方板42が前高後低の後下り傾斜状に位置し、後側下方板42の後端部42aが圃場面(地面)に線状に接する構成でもよい。
【0082】
さらに、例えば稈等の雑物を圃場面下の土中に埋め込むスプリングレーキを整地本体板部36に設けた構成でもよい。
【0083】
また、例えば3分割式の折り畳み可能な構成とし、左右両側の第2整地板の左右方向外端部に延長整地体31を設けた構成でもよい。
【符号の説明】
【0084】
10 農作業機
11 機体
21 整地体
31 延長整地体
41 前側上方板
42 後側下方板
43 案内連結板
51 立上板
53 凹状部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体と、
この機体に設けられ、整地作業をする整地体と、
この整地体の左右方向端部に設けられ、整地作業をする延長整地体とを備え、
前記延長整地体は、
前側上方板と、
この前側上方板よりも下方に位置する後側下方板と、
前記前側上方板と前記後側下方板とを連結し、土を前記整地体側に向けて案内する案内連結板とを有する
ことを特徴とする農作業機。
【請求項2】
延長整地体の案内連結板は、平面視で内端部ほど後方に位置するように傾斜している
ことを特徴とする請求項1記載の農作業機。
【請求項3】
延長整地体は、前側上方板の前端部から立ち上がった立上板を有する
ことを特徴とする請求項1または2記載の農作業機。
【請求項4】
延長整地体の立上板は、平面視で内端部ほど後方に位置するように傾斜している
ことを特徴とする請求項3記載の農作業機。
【請求項5】
延長整地体の前側上方板は、前端側から後端側に向って徐々に下方に傾斜する後下り傾斜状に位置する
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載の農作業機。
【請求項6】
延長整地体の後側下方板は、左右方向に並んだ下方に向って凹状の複数の凹状部を有する
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一記載の農作業機。
【請求項7】
機体と、
この機体に設けられ、整地作業をする整地体と、
この整地体の左右方向端部に設けられ、整地作業をする延長整地体とを備え、
前記延長整地体は、
前端側から後端側に向って徐々に下方に傾斜する後下り傾斜状に位置する前側上方板と、
この前側上方板よりも下方に水平状に位置する後側下方板と、
前記前側上方板と前記後側下方板とを連結し、土を前記整地体側に向けて案内する案内連結板と、
前側上方板の前端部から立ち上がり、土を前記整地体側に向けて案内する立上板とを有する
ことを特徴とする農作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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