説明

農園芸用支柱

【課題】つる性植物を誘引する他、不安定な植物を支えるために使用される農園芸用支柱であって、強度的に優れたものを実現する。
【解決手段】農園芸用支柱の基本構造は、金属管1の表面に熱可塑性合成樹脂材からなる被覆層2を形成し、上下両端に水密性を有するキャップ3、4を装着する。このような農園芸用支柱において、上下双方もしくはいずれか一方のキャップ3、4を、硬質ポリエチレンのような硬質の合成樹脂材で形成する。このとき、キャップを太径部3a,4aと細径部3b,4bの段付きに形成して細径部に金属管1を嵌挿し、係止手段によって前記嵌挿状態に係止させた上で金属管1の表面に被覆層2を形成する。細径部3b,4bにおける係止手段として、挿入した金属管1の外表面からポンチによる打撃痕のように金属管の一部がキャップ3、4の細径部の表面に圧入される突出部5を形成し、その外表面に被覆層2を形成するとよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、つる性植物を誘引する他、不安定な植物を支えるために使用される農園芸用支柱に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
農園や花壇において、不安定な植物を支えるために、金属管の表面に熱可塑性合成樹脂材からなる被覆層を形成し、上下両端に水密製を有するキャップを備えた支柱が広く利用されている。この種支柱の強度は金属管の強度に依存し、表面の被覆層やキャップは水密性を保ち、金属管の防錆にのみ配慮されていた。したがって、キャップは一般に軟質の合成樹脂材によって形成されていた。したがって、支柱を立てる場合、地面に孔を掘って支柱の先端部分を埋める場合や、柔らかい地面に軽い力で突き刺して使用されていた。
【0003】
特許文献1には、先端を尖らせたキャップを備えた一般的な支柱の先端構造が開示されている。特許文献2には、軟弱な地盤においても支柱が安定するように、支柱の先端に安定体を装着する思想が、特許文献3には、地中に打ち込んだ下部支柱に上部支柱を取り付ける支柱構造が開示されている。
【特許文献1】特開2000―333541
【特許文献2】特開平10−4799
【特許文献3】特開平11−318226
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される如き従来の農園芸用支柱は、比較的柔らかい地面に軽い力で差し込んで使用することができるが、この場合支柱そのものが不安定となり易い。より安定させるために、ハンマーやカケヤなどの道具を用いて叩き込むと、キャップが破損する可能性がある。特許文献2に開示される安定体を装着する場合は、安定体を埋設する大きな穴を掘って、支柱を設置する必要がある。また、特許文献3に開示される農業用支柱パイプは、複数部品で構成されるもので、本願発明が対象とする一体構造の支柱に応用することはできない。
【0005】
上記、従来技術の欠点に鑑み、本発明はできるだけ破損しにくいキャップを備え、例えば比較的硬い地面に打ち込んで安定させることができる農園芸用支柱を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、金属管1の表面に熱可塑性合成樹脂材からなる被覆層2を形成し、上下両端に水密性を有するキャップ3、4を備える農園芸用支柱において、上下双方もしくはいずれか一方のキャップを硬質の合成樹脂材で形成する。このとき、キャップ3、4を太径部3a,4aと細径部3b,4bの段付きに形成して細径部3b,4bに金属管1を嵌挿し、係止手段によって前記嵌挿状態に係止させた上で金属管1の表面に被覆層2を形成する。
【0007】
請求項2記載の発明は、キャップ3、4の太径部3a,4aの先端を錐形に尖らせるとともに、細径部3b,4bにおける係止手段として挿入した金属管1の外表面からポンチによる打撃痕のように金属管の一部がキャップ3、4の細径部3b,4b表面に圧入される突出部5を形成し、その状態で金属管1の外表面に被覆層2を形成することである。
請求項3記載の発明は、硬質の合成樹脂材で形成するキャップ3又は/及び4の細径部3b,4bに、端面から太径部3a,4aに向けて一定深さの孔6を穿設することである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の本発明農園芸用支柱によれば、キャップ3、4を硬質の合成樹脂材で形成することによって、強い力で地面に叩き込んでも、キャップそのものが破損することを防止することができる。このとき、キャップは、係止手段によって金属管1に係止されているため、金属管から分離することがなく、嵌挿状態に係止させた上で金属管1の表面に被覆層2を形成することによって、完全な水密状態が維持され、金属管の腐蝕が防止され、耐久性に優れたものとすることができる。
【0009】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明を実施する上において、金属管1とキャップ3、4係止を簡単かつ確実に実施することができる。請求項3記載の発明によれば、硬質の合成樹脂材で形成するキャップの細径部の端面から太径部に向けて一定深さの孔6を穿設することによって、キャップを安価に形成するとともに、硬質で変形しにくいキャップの変形を許容し、係止手段として細径部3b,4b表面に圧入される突出部5を形成する際に、キャップの破損を防止し強度的に優れたものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係る農園芸用支柱の好ましい実施形態を添付の図面に基づいて説明する。
図1は支柱の上下両端部の拡大断面図を付加した支柱全体の正面図、図2は図1におけるII―II線断面図、図3はキャップのみの斜視図である。
【0011】
図1に示す農園芸用支柱は、金属管1の下端にキャップ3を、上端にキャップ4を装着し、その表面に合成樹脂材によって被覆層2を形成したものである。被覆層2の表面に滑り止めのための突起7を形成している。被覆層2の材質は、熱可塑性の合成樹脂を用いて突起7を含めて、例えば射出成型によって形成することができる。
【0012】
上下両端部に装着するキャップのうち、下端に装着するキャップ3は、その先端を錐形に尖らせて地中に挿入し易い形状とし、上端に装着するキャップ4は上端を平坦面として道具を用いて叩き易い形状としている。図示例の農園芸用支柱では、上下でキャップを異なるものとしているが、例えば上下両方に先端が尖ったキャップを装着し、反転して利用することができるものであってもよい。
【0013】
金属管1の先端に装着するキャップ3は、図3に示すように金属管1の外形と等しい外径である太径部3aと、金属管1の内径に無理嵌めすることができる程度の外径である細径部3bの段付きとし、太径部3aの先端を錐形に尖らせている。細径部3bの上端外周縁は面取り8を施すとともに、細径部の上端から太径部に向けて一定深さの孔6を穿設している。すなわち、少なくとも細径部3bは管状に形成している。これにより、金属管1の先端に細径部3bを無理嵌めする場合に微小な変形を許容し、支障無く装着することができる。
【0014】
金属管1の先端にキャップ3の細径部3bを挿入した状態で、金属管1の外表面をポンチによって打撃して打撃痕を形成すると、図2に示すように、突出部5が形成される。突出部5は、キャップ3の表面に圧厚されるため、金属管1とキャップ3は確実に係止される。その状態で、キャップ3の太径部を含めて金属管1の外表面に合成樹脂材の被覆層2を形成することによって、金属管1の外表面及び先端の接続部分が完全に水密状態に覆われ、金属管1の腐蝕が防止さる。
【0015】
金属管1の上端に装着するキャップ4は、その上端面を平坦に形成するとともに、孔の無い中実状態で、かつ金属管1への挿入寸法が短いものとしている。この実施形態では、農園芸用支柱の上端をハンマーなどで強制的に叩き込む場合に、衝撃が分散して破損しにくいとともに、従来のキャップに比較して硬質の合成樹脂材を採用することによって、打撃の衝撃が支柱に伝わり易く、効果的に叩き込むことができるとともに、キャップそのものが硬くて上部なものとすることができる。
キャップ4は盲蓋状、すなわち帽状に形成するものであってもよい。
【0016】
硬質の合成樹脂材で成型するキャップ3や4の材質は、特に限定されるものではなく、例えば硬質ポリエチレンなどを採用することができる。また、金属管とキャップの係止手段は、金属管の内部に逆止構造を形成するなどの係合構造を採用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は支柱の上下両端部の拡大断面図を付加した支柱全体の正面図、
【図2】図2は図1におけるII―II線断面図、
【図3】図3はキャップのみの斜視図である。
【符号の説明】
【0018】
1…金属管、 2…被覆層、 3,4…キャップ、 3a,4a…太径部、 3b,4b…細径部、 5…突出部、 6…孔、 7…突起、 8…面取り。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属管の表面に熱可塑性合成樹脂材からなる被覆層を形成し、上下両端に水密性を有するキャップを備える農園芸用支柱において、上下双方もしくはいずれか一方のキャップを硬質の合成樹脂材で形成するとともに、該キャップを太径部と細径部の段付きに形成して細径部に金属管を嵌挿し、係止手段によって前記嵌挿状態に係止させた状態で金属管の表面に被覆層を形成したことを特徴とする農園芸用支柱。
【請求項2】
キャップは、太径部の先端を錐形に尖らせるとともに、細径部における係止手段として挿入した金属管の外表面からポンチによる打撃痕のように金属管の一部がキャップの細径部表面に圧入される突出部を形成し、金属管の外表面に被覆層を形成したことを特徴とする請求項1記載の農園芸用支柱。
【請求項3】
硬質の合成樹脂材で形成するキャップの細径部に、端面から太径部に向けて一定深さの孔を穿設したことを特徴とする請求項1又は2記載の農園芸用支柱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−143460(P2007−143460A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−341451(P2005−341451)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【出願人】(505439255)
【Fターム(参考)】