説明

農園芸用殺菌性混合組成物

【課題】異なる病害に効果を有する殺菌性化合物を混合することにより、複数の病害を同時に防除し得る薬剤を提供する。
【解決手段】次の式(1)で表される化合物またはその酸付加塩と少なくとももう1種の殺菌性化合物を含有する農園芸用殺菌性混合組成物を提供する:
【化1】


[式中、Rは、水素原子、−COR1、−COOR1(ここでR1は炭素数1〜4のアルキル基を表す)、−COCHOCHまたは−COCHOCOCHを表す。] 。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は優れた殺菌活性を示す殺菌性混合組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人による国際公開WO01/92231号公報には優れた殺菌活性を有する下記一般式(1)で表される化合物またはその酸付加塩が開示されている:
【化1】

[式中、Rは、水素原子、−COR1、−COOR1(ここでR1は炭素数1〜4のアルキル基を表す)、−COCHOCHまたは−COCHOCOCHを表す。]。
また、式(1)の化合物を含有する殺菌剤については、特開2003−55114号公報、国際公開WO2004/039156号公報に記載されている。
【0003】
一方、銅殺菌剤、有機硫黄殺菌剤、有機リン系殺菌剤、 ベンゾイミダゾール系殺菌剤、カルボキシイミド系殺菌剤、カルボキシアニリド系殺菌剤、トリアゾール系殺菌剤、イミダゾール系殺菌剤、メトキシアクリレート系殺菌剤、アニリノピリミジン系殺菌剤、グアニジン系殺菌剤、抗生物質殺菌剤、その他(例えばアシベンゾラルSメチル、イソプロチオラン、フェリムゾン、ジクロメジン、ペンシクロン、フルオルイミド、キャプタン、TPN、ジチアノン、キノメチオネート、フルジオキソニル、シモキサニル、プロパモカルブ塩酸塩、ジメトモルフ、シアゾファミド、フェンヘキサミド)などの農園芸用殺菌性化合物が種々の病害に対し防除効果を示すことは、例えば農薬ハンドブック2004年版(2004年.社団法人日本植物防疫協会発行)、新農薬実用化試験成績書(社団法人日本植物防疫協会発行)などに記載されている。しかしこれらの化合物をそれぞれ単独で病害防除に使用した場合、化合物によっては、対象病害が限られている、残効が短い、効果が不足しているなどの理由により、複数の病害に対して同時に防除することは実用的に困難である。
【特許文献1】WO01/92231
【特許文献2】特開2003−55114
【特許文献3】WO2004/039156
【非特許文献1】農薬ハンドブック2004年版(2004年.社団法人日本植物防疫協会発行)
【非特許文献2】新農薬実用化試験成績書(社団法人日本植物防疫協会発行)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、農業従事者の高齢化がいっそう進んでいるため、あらゆる農作業の場面で省力化が強く望まれており、病害防除に関しても散布回数、労力を軽減する技術が必要である。そのためそれぞれの活性化合物の特徴を失うことなく、異なる病害に効果を有する化合物を数種類混合することにより、複数の病害を同時に防除し得る薬剤の開発が強く望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究した結果、一般式(1)で表される化合物と農園芸用殺菌性化合物の少なくとももう1種とを含有する混合組成物が、それぞれの活性化合物の特徴を失うことなく相乗的な効果を発揮し、優れた防除効果を有することを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、上記一般式(1)で表される化合物またはその酸付加塩と少なくとももう1種の殺菌性化合物を含有することを特徴とする農園芸用殺菌性混合組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の殺菌性混合組成物は、優れた殺菌効果を有し、複数病害の同時防除を可能とし、防除回数を減少させることができる。また、相乗的な効果の認められる組成物であるため面積当りの施用薬量を減少させることもできる。従って、本発明の殺菌性混合組成物は農業の省力化、環境の保護及び食料生産の安定に大きな貢献をし得るものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の殺菌性混合組成物は、前記したように、式(1)で表される化合物またはその酸付加塩と少なくとももう1種の殺菌性化合物を含有するものである。
【0009】
本発明の殺菌性混合組成物が防除効果を発揮する病害としては、特に制限されるものではないが、例えばコムギ赤さび病(Puccinia recondite)、コムギうどんこ病(Erysiphe graminis)、ジャガイモ疫病(Phytophthora infestans)、キュウリべと病(Pseudoperonospora cubensis)、キュウリうどんこ病(Sphaerotheca fliginea)、トマト輪紋病(Alternaria solani)、野菜類灰色かび病(Botrytis cinerea)、野菜類菌核病(Sclerotiniasclerotiorum)、リンゴ黒星病(Venturiainaequalis)、モモ灰星病(Moniliniafructicola)、イチゴ炭疸病(Colletorichumgloeosporioides)、ダイズ紫斑病(Cercosporakikuchii)、リゾクトニア苗立枯病(Rhizoctoniasolani)などが代表として挙げられ、この中でも特にキュウリうどんこ病に対して有効である。
また、本発明は特に制限されるものではないが、工芸作物、油脂作物、繊維作物等の特用作物、芝、牧草を含む農園芸用作物の栽培に際し発生する種々の細菌性植物病害の防除に使用することができる。
【0010】
本発明の殺菌性混合組成物は、前記式(1)の化合物またはその酸付加塩を含んでなるものである。
【0011】
式(1)において、Rは、水素原子、−COR、−COOR、−COCHOCH、または−COCHOCOCHを示す。ここでRは炭素数1〜4のアルキル基である。本発明において、アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、または環状のいずれの形式であってもよい。Rの具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、またはn−ブチル基が挙げられる。
【0012】
本発明において、「酸付加塩」とは、例えば塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩等の一般的に農園芸分野において使用可能な塩を意味する。
【0013】
本発明における式(1)の化合物と混合される殺菌性化合物は、農園芸用殺菌性化合物であり、銅殺菌剤、有機硫黄殺菌剤、有機リン系殺菌剤、ベンゾイミダゾール系殺菌剤、カルボキシイミド系殺菌剤、カルボキシアニリド系殺菌剤、トリアゾール系殺菌剤、イミダゾール系殺菌剤、メトキシアクリレート系殺菌剤、アニリノピリミジン系殺菌剤、グアニジン系殺菌剤、抗生物質殺菌剤、その他(例えばアシベンゾラルSメチル、イソプロチオラン、フェリムゾン、ジクロメジン、ペンシクロン、フルオルイミド、キャプタン、TPN、ジチアノン、キノメチオネート、フルジオキソニル、シモキサニル、プロパモカルブ塩酸塩、ジメトモルフ、シアゾファミド、フェンヘキサミド)から選択される化合物が挙げられ、好ましくは、TPN、アゾキシストロビン、イプロジオン、イミノクタジンアルベシル酸塩、塩基性水酸化銅、カスガマイシン、キノメチオネート、シフルフェナミド、チオファネートメチル、テブコナゾール、トリフルミゾール、フェンヘキサミド、フルオルイミド、フルジオキソニル、フルトラニル、プロピネブ、ホセチル、メパニピリムが挙げられる。
【0014】
本発明の別の態様としては式(1)の化合物と混合される殺菌性化合物が次のa)〜m)の群から選択される化合物である農園芸用殺菌性混合組成物が提供される:
a)塩基性塩化銅、塩基性水酸化銅、ヒドロキシキノリン銅、ノニルフェノールスルホン酸銅、DBEDC銅から選択される銅殺菌剤、
b) ジネブ、マンネブ、マンゼブ、アンバム、ポリカーバメード、プロピネブおよび、ジラム、チウラムから選択される有機硫黄殺菌剤、
c) IBP、EDDP、トリクロホスメチルおよび、ホセチルから選択される有機リン系殺菌剤、
d) チオファネートメチル、ベノミルおよび、ジエトフェンカルブから選択されるベンゾイミダゾール系殺菌剤、
e)イプロジオンまたは、プロシミドンであるカルボキシイミド系殺菌剤、
f) カルボキシン、メプロニル、フルトラニル、フラメトピル、チフルザミド、メタラキシルおよび、オキサジキシルから選択されるカルボキシアニリド系殺菌剤、
g) ビテルタノール、フェンブコナゾール、ミクロブタニル、ヘキサコナゾール、テブコナゾール、プロピコナゾール、エポキシコナゾール、ジフェノコナゾール、イプコナゾール、イミベンコナゾール、シプロコナゾールおよび、シメコナゾールから選択されるトリアゾール系殺菌剤、
h) トリフルミゾール、プロクロラズ、ペフラゾエートおよび、オキスポコナゾールフマル酸塩から選択されるイミダゾール系殺菌剤、
i)アゾキシストロビン、クレソキシムメチル、メトミノストロビン、トリフロキシストロビン、ピラクロストロビンおよび、オリサストロビンから選択されるメトキシアクリレート系殺菌剤、
j) ピリメタニル、メパニピリムおよび、シプロジニルから選択されるアニリノピリミジン系殺菌剤、
k) イミノクタジンアルベシル酸塩または、イミノクタジン酢酸塩であるグアニジン系殺菌剤、
l) カスガマイシン、ポリオキシンおよび、バリダマイシンから選択される抗生物質殺菌剤、
m) アシベンゾラルSメチル、イソプロチオラン、フェリムゾン、ジクロメジン、ペンシクロン、フルオルイミド、キャプタン、TPN、ジチアノン、キノメチオネート、フルジオキソニル、シモキサニル、プロパモカルブ塩酸塩、ジメトモルフ、シアゾファミド、フェンヘキサミドおよび、シフルフェナミド。
【0015】
本発明の殺菌性混合組成物を実際に施用する場合には、一般式(1)で表される化合物と殺菌性化合物の混合物をあらかじめ調製、製剤化して用いるか、それぞれ単独の通常の製剤形態とし、その場で混合して用いることができる。本発明の殺菌性混合組成物の製剤化にあたっては、何ら特別の条件を必要とはせず一般農薬に準じて当業技術の熟知する方法を用いて粉剤、粒剤、パック剤、水和剤、顆粒水和剤、フロアブル剤、液剤、マイクロカプセル剤、乳剤などの任意の剤型に調製でき、これらを目的に応じた各種用途に使用することができる。
【0016】
これらの製剤化は、必要に応じて有効成分を固体担体、溶剤、界面活性剤、その他の補助剤(製剤物性の改良、有効成分の安定化、効力増強などを主な目的とするもの)などと混合することにより行うことができ、固体担体としてはクレー、タルク、炭酸カルシウム、珪藻土、ゼオライト、ベントナイト、酸性白土、活性白土、アタパルガスクレー、バーミキュライト、パーライト、軽石、ホワイトカーボン、二酸化チタン、水溶性塩類、木粉、トウモロコシ穂軸、クルミ殻、粉末セルロース、でんぷん、デキストリン、糖類などが代表的なものとして挙げられる。
【0017】
溶剤としてはキシレン、C9アルキルベンゼン、C10アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、高沸点の芳香族炭化水素などの芳香族溶剤、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、ナフテンなどの脂肪族溶剤、ケロシンや灯油より製造される溶剤などの混合溶剤、高沸点の脂肪族炭化水素などのマシン油、エタノール、イソプロパノール、シクロヘキサノールなどのアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの多価アルコール類、プロピレン系グリコールエーテルなどの多価アルコール誘導体、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトンなどのケトン類、脂肪酸メチルエステル(ヤシ油脂肪酸メチルエステル)、二塩基酸メチルエステル(コハク酸ジメチルエステル、グルタミン酸ジメチルエステル、アジビン酸ジメチルエステル)などのエステル類、N−アルキルピロリドンなどの窒素含有溶剤、ヤシ油、大豆油、菜種油などの油脂、水などが代表的なものとして挙げられる。
【0018】
界面活性剤としてはソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸ジエステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル・ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー、アルキルポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマーエーテル、アルキルフェニルポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマーエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンビスフェニルエーテル、ポリオキシエチレンベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンエーテル型シリコン、エステル型シリコン、フッ素系界面活性剤などのノニオン性界面活性剤、アルキルサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート、ポリオキシエチレンベンジルフェニルエーテルサルフェート、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマーサルフェート、パラフィンスルホネート類、AOS類、ジアルキルスルホサクシネート類、アルキルベンゼンスルホネート類、ナフタレンスルホネート類、ナフタレンスルホネート・ホルマリン縮合物類、アルキルジフェニルエーテルジスルホネート類、リグニンスルホネート類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルスルホネート類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸ハーフエステル類、脂肪酸塩類、N−メチル−脂肪酸サルコシネート類、樹脂酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルホスフェート類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルホスフェート類、ポリオキシエチレンベンジル化フェニルエーテルホスフェート類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマーホスフェート類、レシチン類、アルキルホスフェート類、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド類、メチル・ポリオキシエチレンアルキルアンモニウムクロライド類、アルキルN−メチル−ピリジニウムブロマイド類、アルキルメチル化アンモニウムクロライド類、アルキルペンタメチルプロピレンジアミンジクロライド類、アルキルジメチルベンザルコニウムクロライド類、ベンゼトニウムクロライド類、ジアルキルジアミノエチルベタイン類、アルキルジメチルベンジルベタイン類などが代表的なものとして挙げられる。
【0019】
補助剤としてはイソプロピルホスフェイト、カルボキシメチルセルロース、PVA、トリポリリン酸ソーダ、ヘキサメタリン酸ソーダ、キサンタンガム、グアーガム、カルボキシメチルセルロース、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラヒドロキシ安息香酸エステル、1,2−ベンツチアゾリン−3−オン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリビニールプロピドン、尿素、ヘキサメチレンテトラミン、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ゼオライト、生石灰、酸化マグネシウム、疎水性高沸点溶剤、ポリアクリル酸ソーダ、アルギン酸、クラフトリグニン、メタクリル酸とビニールプロピドンとの共重合物、グリセリン、ソルビトール、水膨潤性高分子化合物などが代表的なものとして挙げられる。
【0020】
上記の担体、溶剤、界面活性剤、および補助剤は、その各群内および各群間から2種以上選択してそれらを組み合わせて使用してもよい。
【0021】
本発明の殺菌性混合組成物において、式(1)の化合物またはその酸付加塩と、少なくとももう一種の殺菌性化合物とは、その合計量(有効成分量)が、該殺菌性混合組成物100重量部中に、0.1〜90重量部、好ましくは1〜70重量部、の割合となるように配合されていればよい。
該有効成分量は、該殺菌性組成物の製剤形態、適用方法、使用環境、およびその他の条件を考慮して適宜選択することができる。例えば、該殺菌性組成物が水和剤形態である場合には5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%であり、該該殺菌性組成物が粉剤形態である場合には0.5〜5.0重量%、好ましくは1.0〜2.0重量%である。
【0022】
本発明の殺菌性混合組成物において、式(1)の化合物またはその酸付加塩と、少なくとももう一種の殺菌性化合物との配合比は、殺菌性化合物の種類によって異なるが重量比で1:100〜1000:1の範囲であり、好ましくは1:10〜1000:1の範囲である。
【0023】
本発明の殺菌性組成物を使用する場合には、そのまま直接使用してもよいが、必要に応じて水などの希釈液で希釈して、処理すべき領域に散布、混和、水面施用、浸漬などの処理に付すことができる。そのような処理は、具体的には、例えば、植物体自体への適用(茎葉散布)、育苗箱への適用(育苗箱施用)、土壌への適用(土壌混和もしくは側条施用)、田面水への適用(水面施用もしくは本田適用)、または種子への適用(種子処理)が挙げられる。
【0024】
従って本発明の別の態様によれば、一般式(1)で表される化合物またはその酸付加塩と少なくとももう1種の殺菌性化合物を含有する農園芸用殺菌性混合組成物を植物または土壌に適用することを含んでなる病害の防除方法が提供される。
【0025】
本発明の殺菌性混合組成物は、他の殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、除草剤、植物成長調節剤、肥料等と混合して用いてもよい。
【0026】
本発明の殺菌性混合組成物は、前記したように予め調製して製剤化しておいて用いるのが通常であるが、該組成物中の有効成分である、式(1)の化合物またはその酸付加塩と、少なくとももう1種の殺菌性化合物とを、それぞれ単独で含んでなる製剤形態を調製しておき、使用する際に、これらをその場で混合して用いてもよい。
【0027】
次に式(1)の化合物の具体例としては、下記表1における化合物A〜Kが挙げられ、好ましい化合物はAである。
【表1】

*空欄は該当する置換基がないことを表す
【0028】
式(1)の化合物は国際公開WO01/92231号公報記載の方法に従って製造することができる。
【実施例】
【0029】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0030】
次に本発明の殺菌性混合組成物を製剤例、試験例を挙げて具体的に説明する。以下に代表的なものを示す。
参考製剤例1.水和剤
化合物A10%、クレー50%、珪藻土32%、ホワイトカーボン2%、ラウリル硫酸ナトリウム1%、リグニンスルホン酸カルシウム5%を均一に混合粉砕して水和剤とした。
製剤例1.水和剤
化合物A5%、殺菌性化合物(イプロジオン)5%、クレー50%、珪藻土32%、ホワイトカーボン2%、ラウリル硫酸ナトリウム1%、リグニンスルホン酸カルシウム5%を均一に混合粉砕して水和剤とした。
参考製剤例2.フロアブル剤
化合物A20%、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物4%、プロピレングリコール5%、キサンタンガム0.05%、シリコーン消泡剤0.05%、水70.9%を加え均一に混合粉砕してフロアブル剤とした。
製剤例2.フロアブル剤
化合物A10%、殺菌性化合物(フルジオキソニル)10%、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物4%、プロピレングリコール5%、キサンタンガム0.05%、シリコーン消泡剤0.05%、水70.9%を加え均一に混合粉砕してフロアブル剤とした。
参考製剤例3.粉剤
化合物A2%、クレー97%、ホワイトカーボン0.5%、アルキルリン酸誘導体0.5%を均一に混合粉砕し、粉剤とした。
製剤例3.粉剤
化合物A1%、殺菌性化合物(イプロジオン)1%、クレー97%、ホワイトカーボン0.5%、アルキルリン酸誘導体0.5%を均一に混合粉砕し、粉剤とした。
【0031】
試験例1 キュウリうどんこ病防除試験
培養土を入れたプラスチック製ポットに播種した後、10日程度育苗し子葉が完全に展開したキュウリ(品種:四葉)を供試植物とした。混合する殺菌性化合物と混合比を換えて製剤例1に準じて製造した水和剤を、水で希釈して所定濃度に調製し(展着剤加用)、5ポットあたり20ml散布処理した。風乾後、キュウリうどんこ病菌の分生胞子を接種し、18〜21℃の人工気象室に置いた。接種10日後に子葉の発病面積を下記の基準に従って指数評価し、得られた指数値をもとに下記式1により発病度を求めた。さらに下記式2により防除価を求めた。結果を表2に示した。
発病指数0:発病なし
1:10%未満の発病面積
2:10%以上25%未満の発病面積
3:25%以上50%未満の発病面積
4:50%以上75%未満の発病面積
5:75%以上の発病面積
式1
発病度=Σ(指数×該当葉数)/(調査葉数×5)
式2
防除価={(無処理の発病度)−(処理区の発病度)}/(無処理区の発病度)×100
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の一般式(1)で表される化合物またはその酸付加塩と少なくとももう1種の殺菌性化合物を含有することを特徴とする農園芸用殺菌性混合組成物:
【化1】

[式中、Rは、水素原子、−COR1、−COOR1(ここでR1は炭素数1〜4のアルキル基を表す)、−COCHOCHまたは−COCHOCOCHを表す。] 。
【請求項2】
殺菌性化合物が次のa)〜m)の群から選択される化合物である請求項1に記載の農園芸用殺菌性混合組成物:
a)塩基性塩化銅、塩基性水酸化銅、ヒドロキシキノリン銅、ノニルフェノールスルホン酸銅、DBEDC銅から選択される銅殺菌剤、
b) ジネブ、マンネブ、マンゼブ、アンバム、ポリカーバメード、プロピネブおよび、ジラム、チウラムから選択される有機硫黄殺菌剤、
c) IBP、EDDP、トリクロホスメチルおよび、ホセチルから選択される有機リン系殺菌剤、
d) チオファネートメチル、ベノミルおよび、ジエトフェンカルブから選択されるベンゾイミダゾール系殺菌剤、
e)イプロジオンまたは、プロシミドンであるカルボキシイミド系殺菌剤、
f) カルボキシン、メプロニル、フルトラニル、フラメトピル、チフルザミド、メタラキシルおよび、オキサジキシルから選択されるカルボキシアニリド系殺菌剤、
g) ビテルタノール、フェンブコナゾール、ミクロブタニル、ヘキサコナゾール、テブコナゾール、プロピコナゾール、エポキシコナゾール、ジフェノコナゾール、イプコナゾール、イミベンコナゾール、シプロコナゾールおよび、シメコナゾールから選択されるトリアゾール系殺菌剤、
h) トリフルミゾール、プロクロラズ、ペフラゾエートおよび、オキスポコナゾールフマル酸塩から選択されるイミダゾール系殺菌剤、
i)アゾキシストロビン、クレソキシムメチル、メトミノストロビン、トリフロキシストロビン、ピラクロストロビンおよび、オリサストロビンから選択されるメトキシアクリレート系殺菌剤、
j) ピリメタニル、メパニピリムおよび、シプロジニルから選択されるアニリノピリミジン系殺菌剤、
k) イミノクタジンアルベシル酸塩または、イミノクタジン酢酸塩であるグアニジン系殺菌剤、
l) カスガマイシン、ポリオキシンおよび、バリダマイシンから選択される抗生物質殺菌剤、
m) アシベンゾラルSメチル、イソプロチオラン、フェリムゾン、ジクロメジン、ペンシクロン、フルオルイミド、キャプタン、TPN、ジチアノン、キノメチオネート、フルジオキソニル、シモキサニル、プロパモカルブ塩酸塩、ジメトモルフ、シアゾファミド、フェンヘキサミドおよび、シフルフェナミド。
【請求項3】
請求項1に記載の農園芸用殺菌性混合組成物を植物または土壌に適用することを含んでなる病害の防除方法。

【公開番号】特開2007−112760(P2007−112760A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−307361(P2005−307361)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【出願人】(000006091)明治製菓株式会社 (180)
【Fターム(参考)】