説明

農薬組成物

(i) タゲテス油又はサイム油のような油を含んでいるチモール、若しくはそれらの混
合物から選択される1またはそれ以上の精油、又は害虫忌避若しくは害虫抑止の特性を有するそれらの成分であって、存在する精油の総量は10%w/wを超えないもの;(ii)農業的に許容される担体油、及び(iii) 乳化剤、を含んでいる農薬組成物。特に、該組
成物は、更にウインターグリーン油(冬緑油、ヒメコウジ油)のようなウイルス感染の病徴を改善する化合物を含んでいる。この種の組成物を農業に使用すると、必要とする精油の量を少なくしても有害生物を防除することができる。更に、害虫防除、再発生防止及びウイルス病徴改善の組み合せ効果を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農薬組成物(pesticidal composition)、特に昆虫、又は吸汁害虫のようなクモ形類(クモ綱)害虫を防除する組成物、及びそれらの使用、特に農業における使用に関するものである。また本発明に係るある種の組成物は、これら有害生物によって媒介されるウイルスをも防除することができる。
【背景技術】
【0002】
タゲテス油(tagetes oil)又はサイム油(thyme oil:タチシャコウソウ油)のようないくつかの天然油は、数種類の昆虫に対して忌避特性を有していることが証明されてきた。しかしながら、これらの農業主流における使用の潜在性は、二つの要因:経済性と残留汚染によって制限されている。一般的に言えば、これらの油を単独で作物に施用する場合、十分な有害生物の防除効果を得るためには、ヘクタール当たり2から5リットルの量を施用しなければならない。これらの使用には多くの量が必要とされるため、これらの油の使用は経済的でなければならない。更に、これらを多量に使用した場合は、作物の収穫後に重大な残留汚染をもたらすこととなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
精油はこれまでにも貯蔵穀物の処理に使用されてきたが、しかし前記と同様に、害虫に対する有効な忌避効果を得るための量は、大量である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
しかしながら、本出願人は特定の方法で製剤した場合は、該有効効果を得るための精油の量をかなりの程度減少させることができることを見出した。
【0005】
本発明によれば、(i)タゲテス油若しくは精油を含んでいるチモール、若しくはそれらの混合物から選択された1又はそれ以上の精油、又は害虫忌避若しくは害虫抑止の特性を有するそれらの成分であって、ここにおいて、存在するこのような精油又は成分の含有総量が10%w/wを超えないもの;(ii)農業的に許容される担体油、及び(iii)乳
化剤、を含む農薬組成物を提供することができる。
【0006】
サイム油は、精油を含んでいる特に好適なチモールであるが、その他としてはアナバシス油(Anabasis oil)、ヒメウイキョウ油(carum oil)、ラベンダー油(lavendula oil)、オシマム油(Ocimum oil)、及びハナハッカ油(オレガノ油)(origanum oil)が含まれる。
【0007】
特に、当該組成物は、タゲテス油若しくはサイム油又はそれらの混合物から選択される1又はそれ以上の精油を上記(i)の成分として含んでいる。
【0008】
しかしながら、害虫忌避若しくは害虫抑止の特性を有する限り、これらの精油から単離した1又はそれ以上の成分も使用することができる。
【0009】
例えば、タケジャコウソウ(Thymus vulgaris)精油は、チモール、カラクロール、シモール、リナロール、モノテルペノイドであるテルピン−4−オールの混合物を含んでいる。いかんなるこれらの成分又はその混合物をも当該組成物に使用することができる。
【0010】
センジュギク(Tagetes erecta)精油及シオザキソウ(Tagetes minuta)精油のようなタゲテス油は、ジヒドロタゲトン(dihydrotagetone)、チオフェン類及びオシメンを含
んでいるが、ジヒドロタゲトンが最も重要な成分である。
【0011】
農業的に許容される担体油は、より少量の精油を作物表面に均等に分布させることができ、それ故、効果を高めそして残留汚染を減少することができる精油の担体として作用する。
【0012】
当該組成物は、好適には、精油を5%w/wより多くは含まず、更に好適には、3%w/wより多くなく、そして好ましくは、1.5%w/wより多くは含まないことである。例えば、当該組成物は、精油を1%w/wより多くない精油を含むことができる。
【0013】
この種の製剤を用いれば、例えば、作物に対しヘクタール当たり1から5リットルの当該組成物の施用で、そして好ましくは、ヘクタール当たり2リットルの当該組成物の施用で、有効な有害生物防除を達成することができる。これは極めて有意な減少を意味し、例えば、これら有効成分を用いた従来の方法と比較した場合、施用する精油の量を1から2オーダーの間の規模における減少である。
【0014】
該組成物はまた他の環境、例えば、有害生物による損傷を減少又は除去するために貯蔵穀物に対しても施用することができる。この場合、施用する該組成物の量は穀物の特質及び損傷の程度のような要因にも依存するが、しかしながら一般的に、施用する該組成物の量は、精油の量を100gの穀物当たり0.01mlより少なく、特に、0.001mlより少なく、最適には、0.0001mlより少ない量で使用することができる。
【0015】
これを達成するためには、一般的に、組成物を100gの穀物当たり10mlより少なく、更に好適には、1mlより少なく、そして好ましくは、0.1mlより少ない量で使用する。
【0016】
本発明に係る該組成物に用いる活性化合物の低い濃度は、環境に対する貢献を提供するものである。特に、ミツバチやテントウムシ類のナナホシテントウ(Coccinella septempuncata)のような有益昆虫及びミミズ類のシマミミズ(Eisenia foetida)に対する悪影響を最小限に抑えることができる。
【0017】
本発明に係る該組成物に用いるタゲテス油の具体的な例としては、センジュギク(Tagetes erecta)から得ることができる精油が含まれる。本発明に係る該組成物に用いるサイム油の具体的な例としては、シソ科サイムス ブルガリス(Thymus vulgaris)から得ることができる精油が含まれる。これら精油の総量が上記に記載した量を超えるものでない限り、これらの精油は単独で又は他の異なる精油との混合物として存在していてもよい。これら精油の有効成分は、害虫忌避又は害虫抑止の特性を有している成分である。
【0018】
それ故、具体的な実施態様においては、該組成物はタゲテス油及びサイム油の混合物を3:1から1:3そして好ましくは約1:1の比率で含んでいる。このような組成物は、特にコナジラミに対して格別な相乗効果を示している。
【0019】
他の実施態様においては、該組成物は成分(i)としてタゲテス油を含んでいる。
【0020】
農業的に許容される担体油は、好適には、カノーラ油(OSR)、ヒマワリ油、綿実油、ヤシ油及び大豆油を含む植物油である。
【0021】
本発明に係る組成物は乳化剤を含んでいるが、それは農業的に許容される乳化剤であれば如何なる既知の乳化剤でもよい。特に、乳化剤には界面活性剤、典型的には、当該分野において既知のアルキルアリールスルホン酸塩、エトキシル化されたアルコール、ポリアルコキシル化されたブチルエーテル、アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム、ポリアルキレングリコールエーテル、及びブチルポリアルキレンオキシド ブロックコポリマーが含まれる。
【0022】
トリトンN57TM(Triton N57TM)のようなノニルフェノール乳化剤は、本発明に係る組成物においても使用することができるが、ポリオキシエチレンソルビタンラウリンモノラウレート(「ツイーン」(Tween TM)の商標でICIから市販されている。)のようなポリオキシエチレンソルビタンエステルと同様に、乳化剤の格別な例である。場合によっては、天然の有機乳化剤が好ましく、特に有機農法への適用にとっては好ましいものである。ココナツジエタノールアミドのようなココナツ油は、そのような化合物の好ましい例である。ラウリルステアリン酸塩のようなヤシ油製品もまた使用することができる。
【0023】
乳化剤は、好ましくは、該組成物が所望の水との混和性を得るのに十分な量で存在する。例えば、乳化剤は、1から20%w/w 、好ましくは、10%w/wまで、特に好ましくは、約6%w/wで存在することができる。
【0024】
特別な実施態様においては、本発明に係る組成物は更にウイルス感染の病徴を改善する化合物を含んでいる。そのような化合物の特別な例としては、エチレン生成を抑制する又は抗ウイルス活性を有する化合物を挙げることができる。
【0025】
エチレン生成は多くの場合ウイルスの感染に伴って増大し、そして、これを抑制することができる化合物の適用は、当該病徴を改善するために使用することができる。
【0026】
エチレン生成を抑制するものとして知られている化合物の特別な例としては、サリチル酸又はそのエステル、特にアルキルエステルのようなサリチル酸化合物がある。当該アルキルエステルの例としては、サリチル酸メチルのようなC1-10アルキルエステルがある。
【0027】
好適には、当該組成物におい使用されるサリチル酸化合物は、精油の成分として含まれている。サリチル酸又はサリチレートを含んでいる精油の例としては、ウインターグリーン油(冬緑油、ヒメコウジ油)の他、アカザ科ケノポジウム(Chenopodium)、コカノキ科エリスロキシラム(Erythroxylum)、フトモモ科ユーゲニア(Eugenia)、ツツジ科ガウルテリア(Gaultheria)、ニクズク科ミリスチカ(Myristica)、フトモモ科シジギウム(Syzygium)、キサントフィラム(Xanthophyllum)、クスノキ科シナモニウム(ニッケイ)(Cinnamonium)、グアルテリア(Gualtheria)、アオイ科ゴシピウム(Gossypium)及びシソ科メンタ(ハッカ)(mentha)から得られる精油を挙げることができる。
【0028】
例えば、ウインターグリーン油(冬緑油、ヒメコウジ油)は、サリチル酸メチルを高い含量で含んでいて、そしてそれ故、該組成物と容易に混和する即使用可能な有効成分の原料となる。
【0029】
植物は化合物が蒸発するときに反応するから、圃場条件下で活性にしようとするためには、徹底的で一様な被覆が該化合物の効能にとっては肝要である。本発明に係る油−ベースの製剤に包含させることによって、当該状態にすることを確実にできる。
【0030】
変法として又は追加的に、抗ウイルス活性を有する化合物やジャスモン酸又はその誘導体のような化合物を使用することができる。特に好ましい誘導体は、ジャスモン酸メチルのような C110アルキルエステルのようなアルキルエステルである。
【0031】
本発明に係る組成物は、そのような化合物を比較的少量含んでいることが必要であり、例えば、0.1%w/wまで、そして好ましくは、0.005%w/wまでの微量、例えば0.001%w/wである。精油の成分として含まれているものを施用するときは、加え
る精油の量は、その活性化合物を所望の濃度で供給するのを確実にすることができる程度に十分な量でなければならない。この状況の場合は、該化合物の比較的高濃度の精油、例えばウインターグリーン油が好ましいものである。
【0032】
そのような成分を含んでいるもの、特にウインターグリーン油をタゲテス油と一緒に使用した場合は、ダニ類に対して相乗的殺虫効果を生じることが分かった。
【0033】
それ故、特に好ましい組成物は、タゲテス油とウインターグリーン油との組合せであり、ここにおいてタゲテス油は、上記に記載したように、該組成物成分(i)の少なくとも一部を形成し、そしてウインターグリーン油は成分(iv)である。
【0034】
コナジラミに対して使用した場合、個々の成分間の相乗効果(即ち、上記のようにタゲテス油と精油を含んでいるチモール間、更には、精油を含んでいるチモールとウインターグリーン油間、並びにタゲテス油とウインターグリーン油間)が観察されている。
【0035】
従って、特別な実施態様においては、当該組成物はタゲテス油及びサイム油のような精油を含んでいるチモールを3:1から1:1の比率で含んでいる。
【0036】
もう一方の実施態様においては、当該組成物はサイム油のような精油を含んでいるチモール及びウインターグリーン油の混合物を含んでいて、ここにおいてサイム油のような精油を含んでいるチモールは、上記に記載したように、該組成物成分(i)の少なくとも一部を形成し、そしてウインターグリーン油は成分(iv)である。
【0037】
成分(i)としてタゲテス油、及びサイム油のような精油を含んでいるチモールを、そして成分(iv)としてウインターグリーン油を含んでいる混合物は、コナジラミ及びダニ類の双方に対して有効な防除を提供する由に、特に好ましいものである。
【0038】
この特別な実施態様においては、当該組成物は数種の異なるしかし関連した課題に対して「一製品戦略」(one product strategy)として使用することができる。特にそれは、
a) 既に発生している害虫を死滅させること、
b) 再発生を抑止すること、及び
c) 植物がウイルスから回復するのを補助すること、
によってダニ及び他の吸汁害虫並びにそれらが媒介するウイルスに対して、対処することができる。
【0039】
本発明に係る組成物を処理した作物に既に発生している害虫は、植物油のような農業的に許容される担体油によって死滅させることができる。この作用は害虫の窒息及び殺卵性特性によるものであり、そしてこの結果再発生の原因を低減することができる。
【0040】
害虫を忌避又は抑止することによって、再発生を防止することができる。更に、サリチル酸メチルのような化合物を加えることにより、該組成物は害虫によって媒介されたウイルスに対しても作用することになる。
【0041】
このような組合せによるアプローチによって、個々の成分を単独で使用することに比べてより良い結果を得ることができる。
【0042】
それ故、他の一面においては、本発明は、(i) タゲテス油若しくは精油を含んでいるチモール、若しくはそれらの混合物から選択される1またはそれ以上の精油、又は害虫忌避若しくは害虫抑止の特性を有するそれらの成分;(ii)農業的に許容される担体油;(iii) 乳化剤;及び(iv)ウイルス感染の病徴を治癒する化合物、を含んでいる農薬組成物を提供するものである。
【0043】
特に好適な成分(i)〜(iv) 及び使用される好ましい相対量は上記に記載の通りである。
【0044】
該組成物は従来の方法を用いて成分を一緒に混合することにより調製することができる。好ましくは、精油、ウイルス病徴を治癒する化合物及び乳化剤を農業的に許容される担体油に加えて、そして該成分が組成物中に均等に希釈されるまで撹拌しつつ混合した。
【0045】
本発明に係る組成物は、好適には施用前に水で希釈する。それ故、上記に記載の組成物は一般には濃縮剤である。
【0046】
従って、他の一面において本発明は、害虫に又は害虫の生息環境に施用するための製剤、上記に記載の組成物及び水を含む製剤を提供するものである。
【0047】
使用される水の量は、当該農薬の具体的な施用の仕方、及び、例えば作物に又は作物の貯蔵庫になど適用しようとする場所に依存する。これは一般的には、静電噴霧器な又は他の従来の噴霧器のような噴霧器を用いて行なうことができる。一般的に最終製剤は本発明に係る組成物を10〜20%含んでいて、そして残部は水である。
【0048】
更に他の一面においては、本発明は、害虫を殺虫する又は防除する方法を提供するものであり、その方法は上記に記載した組成物を害虫に又はそれらの生息場所に施用することを含んでいる。
【0049】
好適には、該組成物はウイルス感染を改善する成分を含んでいて、それ故、当該処理は、有害生物防除及びウイルス病徴の改善の組合せ効果を提供するものである。
【0050】
本発明に係る組成物及び方法は、アブラムシ類、アザミウマ類、ヨコバイ類、緑色のアブラムシ類、コナジラミ類及びダニ類を含む多くの昆虫類及びクモ形類によって影響を受ける種々の作物の処理に使用することができる。防除することができるコナジラミ類の種には、オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum)(英名:Glass House Whitefly)、トリアロロデス アブチロネア(Trialeurodes abutilonea)、アロロチラスフロコッサス(Aleurothirus floccosus)、アロロジカス ジスペルセス(Aleurodicus disperses)、シルバーリーフコナジラミ(Bemisia argentifolia)(英名:Silverleaf whitefly)、タバココナジラミ(Bemisia tabaci)、ベメシア グラミヌス(Bemesia graminus)、クワシロカイガラムシ(Pseudaulacaspis pentagona)(英名:white peach scale)、そして特にオンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum)(英名:Glass House Whitefly)、及びシルバーリーフコナジラミ(Bemisia argentifolia)(英名:Silverleaf whitefly)、及びクワシロカイガラムシ(Pseudaulacaspis pentagona)(英名:white peach scale)、が含まれる。
【0051】
防除することができるアザミウマ類の種には、ネギアザミウマ(Thrips tabaci)、シルトスリップス アウランチイ(Scirtothrips aurantii)、シルトスリップス シトリ(Scirtothrips citri)、リムノスリップス セレアリウム(Limnothrips cerealium)、ハプロスリップス トリチシ(Haplothrips tritici)、カノスリップス ロブスツス(Kanothrips robustus)、ジアルソロスリップス コフィアエ(Diarthrothrips coffeae)、タエニオスリップス インコンセクエウス(Taeniothrips inconsequeus)、タエニオスリップス シンプレックス(Taeniothrips simplex)、ヘテロスリップス アザレアエ(Heterothrips azaleae)、リオスリップス オレアエ(Liothrips oleae)、カリオスリップス種(Caliothrips sp.)、フランキニエラ種(Frankiniella sp)、クロトンアザミウマ(Heliothrips haemorhoidalis)及びミナミキイロアザミウマ(Thrips palmi)、そして特にフランキニエラ種(Frankiniella sp)が含まれる。
【0052】
防除することができる重要なアブラムシ類の害虫には、マメクロアブラムシ(Aphis fabae)(英名:Black Bean aphid)、エンドウヒゲナガアブラムシ(Acyrthosiphum pisum)(英名:pea aphid)、ダイコンアブラムシ(Brevicoryne brassicae)(英名:cabbage aphid)、シトビオン アベナエ(Sitobion avenae)(英名:grain aphid)、ニンジンフタオアブラムシ(Cavariella aegopodii)(英名:carrot aphid)、マメアブラムシ(Aphis craccivora)(英名:groundnut aphid)、ワタアブラムシ(Aphis gossypii)、アフィス ナスツリイ(Aphis nasturii)ユキヤナギアブラムシ(Aphis citricol)、 マメアブラムシ(Aphis craccivora)、コミカンアブラムシ(Toxoptera aurantii) (英名:black citrus aphid)、カバリエラ種(Cavariella spp.)、カイトフェルス種(Chaitopherus spp.)、シナラ種(Cinara spp.)、ドレパノイファム プラタノイデス(Drepanoiphum platanoides)、エラトビウム種(Elatobium spp.)、ミズス アスカロニカス(Myzus ascalonicas)、 モモアカアブラムシ(Myzus persicae)、ミズス オーナツス(Myzus ornatus)、ムギクビレアブラムシ(Rhopalosiphum padi)、シトビオンアベナエ(Sitobion avenae)及びメトポロフィウム ジルホダム(Metopolophium dirhodum)が含まれる。格別な例はワタアブラムシ(Aphis gossypii)及びモモアカアブラムシ(Myzus persicae)である。
【0053】
防除することができるダニ類の種には、ミカンハダニ(Panonychus citri )(英名:citrus red mite) 及びリンゴハダニ(Panonychus ulmi)(英名:red spider mite) のようなパノニクス種(Panonychus sp.)、カンザワハダニ(Tetranychus kanzawi)(英名:Kanzawa spider mite) のようなテトラニクス種(Tetranychus sp.)、ナミハダニ(Tetranychus urticae)(英名:2 spotted spider mite)、テトラニクス パシフィクス(Tetranychus pacificus)(英名:Pacific spider mite)、テトラニクス ツルケスタニイ(Tetranychus turkestanii)(英名:Strawberry mite)及びニセナミハダニ(Tetranychus cinnabarinus)(英名:Carmine spider mite)、オリゴニクス パニカエ(Oligonychus panicae) (英名:avacado brown mite)、オリゴニクス ペルセアエ(Oligonychus perseae)(英名:persea mite)、オリゴニクス プラテンシス(Oligonychus pratensis)(英名:Banks grass mite)及びオリゴニクス コフェアエ(Oligonychus coffeae)のようなオリゴニクス種、アクルス コルナツス(Aculus cornatus)(英名:Peach silver mite)、モモサビダニ(Aculus fockeni)(英名:plumrust mite) 及びアクルス リコペリシシ(Aculus lycopersici)(英名:tomato russet mite) のようなアクルス種(Aculus sp.)、エオテトラニクス ウイラメッチ(Eotetranychus wilametti)、エオテトラニクス ユメンシス(Eotetranychus yumensis)(英名:yuma spider mite)及びコウノシロハダニ(Eotetranychus sexmaculatis)(英名:6-spotted mite)のようなエオテトラニクス種、ニセクローバーハダニ(Bryobia rubrioculus)(英名:brown mite)、エピトリメルス ピリ(Epitrimerus pyri)(英名:pear rust mite)、フィトプツス ピリ(Phytoptus pyri)(英名:Pear leaf blister mite)、アカリチス エッシギ(Acalitis essigi)(英名:red berry mite)、チャノホコリダニ(Polyphagotarsonemus latus)(英名:Broad mite)、エリオフィエス シェルドニ(Eriophyes sheldoni)(英名:citrus bud mite)、ブレヴィパルプス レウィシ(Brevipalpus lewisi)(英名:citrus flat mite)、フィロコプツルタ オレイヴォラ(Phylocoptruta oleivora)(英名:citrus rust mite)、ホモノハダニ(Petrobia lateens)(英名:Brown wheat mite)、オキシエヌス マクスウエリ(Oxyenus maxwelli)(英名:olive mite)、リゾグリフス種(Rhizoglyphus spp.)、チロファグス種(Tyrophagus spp.)、ジプタクス ギガントルフィンクス(Diptacus gigantorhyncus)(英名:bigheaded plum mite) 及びムギダニ(Penthaleaa major)(英名:winter grain mite)が含まれる。
【0054】
本発明を用いてよく防除することができる具体的なダニ類の種には、ミカンハダニ(Panonychus citri)(英名:citrus red mite)及びリンゴハダニ(Panonychus ulmi)(英名:red spider mite) のようなパノニクス種(Panonychus sp.)、カンザワハダニ(Tetranychus kanzawi)(英名:Kanzawa spider mite) 及びナミハダニ(Tetranychus urticae)(英名:2 spotted spider mite)のようなテトラニクス種(Tetranychus sp.)及びフィロコプツルタ オレイヴォラ(Phylocoptruta oleivora)(英名:citrus rust mite) が含まれる。
【0055】
特に本発明に係る組成物は、コナジラミ、及びナミハダニ(Tetranychus urticae)、リンゴハダニ(Panonychus ulmi)(英名:fruit tree spider mite)又はミカンハダニ(Panonychus citri)(英名:citrus red mite)のようなダニ類を特に効果的に防除することができる。これらは成虫に対して極めて良好な忌避効果を示したが、しかし同時に幼虫をも防除し、そして特にダニ類の卵に対して良好な殺卵効果をも提供するものであった。
【0056】
現在知られている方法で特にダニ類の卵に対して良好な殺卵効果をも示すものがないことを考えれば、これは極めて有用なことである。
【0057】
当該製品はほとんどの作物に対して使用するのに好適であるが、しかし特に温室作物、野菜、及び果樹に対して使用することができる。
【0058】
当該組成物は有効濃度における薬害は小さい。これらは接触殺虫剤のように作用するようであり、そして植物組織を通してよく移動するというものではない。しかしながら、植物組織に施用した場合、これらはよく残存し、そしてそれ故長時間に亘って良好に防除することができる。
【0059】
更に、本発明は、農薬/ウイルス病徴の改善を併せ持った組成物として、ウイルス病徴を改善する化合物を含んでいる上記に記載した組成物の使用を提供することができる。
【0060】
一方、本発明は、殺虫剤又は殺ダニ剤に対するアジュバントとして、上記に記載した組成物又は製剤の使用を提供することができる。
【0061】
特別な実施態様において、本発明は、殺虫剤又は殺ダニ剤として上記に記載した組成物の、ヘクタール当たり5リットルよりも少ない量、そして好ましくは、ヘクタール当たり2リットルを超えない量で作物に施用するための使用を提供するものである。
【0062】
特別な状況において施用した当該組成物の施用量は、作物の特性、有害生物の発生程度等の種々の要因に依存して変化する。しかしながら、典型的には、作物に施用する場合、本発明に係る該組成物は水で希釈する前の換算で、ヘクタール当たり2〜5リットルで施用することができる。それ故、添加した精油の量は一般的にヘクタール当たり0.02から0.5リットルである。これは従来の方法に比べて、有意に低いものである。
【0063】
当該組成物は単独で(この場合は、有機農法者に好ましい場合がある)又は他の殺虫剤又は殺ダニ剤と組合せて使用することができる。後者の場合は、本発明に係る組成物は他の殺虫剤又は殺ダニ剤の作用を改善する方向に導くことができ、そしてそれはアジュバント効果を生じることとなる。更に、施用率及び施用回数を少なくすることができ、またウイルス病徴を改善し、そして抑止効果を残存することができる。
【0064】
本発明について、ここからは実施例によって具体的に説明する。
【0065】
実施例1
組成
以下の成分を表示した量で一緒に混合した:
成分 総量に対する%w/w
大豆油 93.50
タゲテス油 00.50
サイム油 00.50
ウインターグリーン油 00.001
トリトン N57TM 6.00
得られた組成物(組成物A)を作物に施用し、そこにおいて有害生物を致死させることができる。作物に残留する抑止又は忌避により再発生率を減少させることができる。更に、害虫に媒介されて起こるウイルス感染による病徴を改善することができる。
【0066】
実施例2
コナジラミの防除
この実験の目的は、オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum)(英名:Glass House Whitefly)の種々の異なる生活周期に対する本発明に係る組成物の効果を検定することである。
三種の実験を行なったが、その第一のものは、本発明に係る組成物の予防及び治癒処理の双方における殺卵剤としての効果を検定するものである。次の組成物(組成物B)を調製した。
成分 総量に対する%w/w
タゲテス油 00.60
サイム油 00.60
ウインターグリーン油 00.001
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート 4.90
カノーラ油 残量
【0067】
第二の実験は組成物Bのコナジラミの幼虫に対する治癒処理における効果を、そして第三の実験は該組成物のコナジラミの成虫に対する(忌避)予防噴霧における効果を検定するものである。
【0068】
全ての処理は、手持ち式の噴霧器(CEME-984)を用いて、タバコ(品種:トバコ ニコチ
アナ)(var. Tobacco nicotiana)の葉の両面に発生初期の段階において噴霧した。当該組成物は5000、1000、200、100及び50ミリリットルの製品/hLの施用量で処理し、イミダクロプリド(比較対照)は15グラムの有効成分量/hLの施用量で処理し、そして無処理対照は脱イオン水のみを噴霧した。
【0069】
それぞれの処理ごとに、三連の植物を噴霧した。処理した植物は環境調節室中に22.
9〜34.4℃で静置し、16時間照明/8時間暗室の照明周期で行った。照明強度は870〜1464ルックスの間で行って記録した。相対湿度は25.1〜85.2%の間で記録された。
【0070】
殺卵効果試験では、植物(卵が発生しているもの及び発生していないもの)の両方に処理した。治癒試験では、葉のデイスク切片(leaf disc)を取り出して、そして卵数を計測した。予防試験では、処理後に葉のデイスク切片を卵数計測済みの卵と一緒に取り出して、処理した植物に発生させた。卵の孵化の検定は、治癒試験及び予防試験共に、処理後3日目、6日目及び7日目(DAA)に行なった。
【0071】
幼虫の治癒試験では、7〜12日の幼虫が発生している葉を処理し、そして処理後4、7及び10日目の致死率を検定した。
【0072】
成虫の予防試験では、コナジラミ成虫の発生室中で浸水させた後に、処理後15日目及び18日目に、処理した葉に生存している成虫の数を測定した。
【0073】
組成物Bによるタバコ葉に対する薬害は、5000mL製品/hLの比率の施用量を含めて、その施用量に至るまで観察されなかった。
【0074】
これら検定の結果は、以下の表1〜4に示した表中に要約している。
【0075】
【表1】

【0076】
これらの結果は、5000及び1000mL製品/hLの比率の組成物Bの投与により、処理した葉上でわずかな卵の孵化があったものの、孵化した卵の数は減少したことを示している。
【0077】
【表2】

【0078】
他の全ての試験においては100%の孵化であったのに対し、実施例1の組成物の5000mL/hLの比率の施用量及びイミダクロプリドのそれぞれにおいては、極めてわずかな卵の孵化数の減少が観察された(99.2及び91.4%)。
【0079】
【表3】

【0080】
組成物Bは、100から5000mL/hLの施用量で、コナジラミ幼虫に対して極めて良好な防除効果を示した。
【0081】
【表4】

【0082】
5000及び1000mL/hLの比率の施用量で組成物Bを処理した葉上の成虫の数の低下。
【0083】
結論
これらの結果から、組成物Bは、1000及び5000mL/hLの比率の施用量で予防的噴霧として処理した場合、極めて良好な卵の予防的防除効果(イミダクロプリド @ 15 gai/hLと同程度)を示すことが分かった。
更に、この組成物は、100から5000mL/hLの投与量で極めて良好な幼虫の防除効果を、そして1000及び5000mL/hLの投与量で極めて良好な成虫の忌避効果を示すことが分かった。
【0084】
実施例3
ダニ防除
この実験の目的は、本発明に係る組成物のハダニ類(red spider mite)のナミハダニ(Tetranychus urticae)に対する効果を検定することである。実施例2の組成物を、5
000、1000、200、100及び50mL組成物/hLの施用量、脱イオン水のみの無処理対照、及び比較対照(アバメクチン18g/L (1.88%w/w)を含んでいるジナメック(Dynamec))と一緒に、50mL 製剤/hLの投与量で噴霧した。
【0085】
全ての処理は、393.8 L/haの噴霧量で噴霧するポッタータワー(Potter Tower)噴霧器を用いて、矮性フランスインゲン豆(品種名:プリンス(The Prince))の葉のデイスク切片の上面(背面)に処理した。それぞれの処理ごとに、3連の葉のデイスク切片を噴霧した。
【0086】
それぞれの検定時間ごとに、葉のデイスク切片を切断し、そして水を飽和状態に湿らせた脱脂綿を敷いたペトリ皿中に静置し、最上面を処理した。当該葉のデイスク切片に、ダニの成虫、幼虫又は卵を発生させた。葉のデイスク切片は治癒試験のためには発生培養させてから取り出し、又は卵、幼虫若しくは成虫を繊細な刷毛を用いて移動させて、発生させた。
【0087】
発生させた葉のデイスク切片は環境調節室中に22.4〜26.9℃で、そして相対湿度は38.4〜87.1%で静置した。照明周期は、16時間照明/8時間暗室の周期で、照明強度は250〜383ルックスで行なった。
【0088】
致死率の検定は、処理後1、3及び7日目に行なった。幼虫及び成虫の致死率の検定は、自然死の理由により、処理後1及び3日目(DAA)で行なった。
【0089】
検定が妥当なものとして評価されるためには、各検定の測定時間における無処理対照の致死率は20%を超えてはならない(実際の総致死率は、0から13.3%の範囲であっ
た)。実施例1と共に、薬害はフランスインゲン豆に対して5000mL製剤/hLの比率の投与量を含めて、その投与量に至るまで観察されなかった。
【0090】
致死率の検定結果は、以下の表5〜10に要約している。
【0091】
【表5】

【0092】
組成物Bは、200mL 製品/hLの比率からの施用量で、処理後7日目において、卵の孵化を減少させた。主要なダニ処理剤であるジナメックは、50mL 製品/hLの施用量の処理後7日目において、卵の致死を生じさせなかった。
【0093】
【表6】

【0094】
この実験では、ジナメックは、50mL 製品/hLの施用量の処理後3日目において、100%の防除が見られた。しかしながら、実施例2の製剤では、5000mL/hLの施用量でジナメックと同様の防除が見られた。
【0095】
【表7】

【0096】
この実験では、実施例2の製剤は、5000及び1000mL/hLの施用量で、ジナメックの50mL/hL施用量の処理後3日目におけるのと同程度の防除が見られた。
【0097】
【表8】

【0098】
実施例2の組成物は、1000及び5000mL/hLの比率の施用量において、ジナメックよりも明らかに良好な殺卵効果を示した。
【0099】
【表9】

【0100】
実施例2の組成物は、5000mL/hLの施用量においてジナメックと同程度に防除し、50mL/hLにおいては55%の致死率を示した。
【0101】
【表10】

【0102】
実施例2の組成物は、5000mL/hLの施用量においてジナメックと同程度に防除し、50mL/hL(3DAA)においては18%の致死率を示した。
【0103】
これらの結果から、実施例2の組成物は、1000及び5000mL/hLの比率の施用量において、治癒的噴霧として施用した場合、ジナメックよりも極めて良好なダニ卵の防除を示すことがわかった。保護試験においては、施用及び発生後7日目において、実施例1の組成物のみが、200、1000、及び5000mL製品/hLの比率の施用量において、卵の孵化を減少させた(それぞれ、94.7、45.2及び32.3%の卵孵化率)。ジナメ
ックは、50mL製品/hLの施用量において、卵孵化には効果を示さなかった。
【0104】
実施例2の組成物は、1000及び5000mL/hLの比率の施用量において、治癒的及び予防的噴霧の両方において、幼虫及び成虫の双方に対して極めて良好な防除効果を示した。
【0105】
実施例4
ダニに対する相乗効果
この実験の目的は、本発明に係る組成物の3種の活性成分間において相乗効果があるか無いかを調べること、及びそれら活性成分の最適化を見出すことである。
実施例2における組成物Bの活性成分、即ちタゲテス油、サイム油及びウインターグリーン油をそれぞれ単独で含んでいる3種の異なる製剤を調製した。
【表11】

【0106】
これらを単独で又は組合せて(1:1、1:3及び3:1の比率)、ナミハダニ(Tetranychus urticae)の運動期間に対する効果を検定した。組成物Bも同時に試験した。
【0107】
二つの試験を行なった。第一試験においては、標品は単独で、以下の2000、1000、500、250及び125mL製品/hLの比率の施用量で、及び無処理対照として水のみのものと一緒に、当該標品の相対的活性を検定し、そして第二試験においては、最適量を検定することとした。
【0108】
第二試験においては、当該標品を前記と同様に単独で、以下の3000、1000、333、111及び37mL製品/hLの比率の施用量で検定した。1:1、3:1及び1:3の比率における混合組み合せ製剤もまた、3000、1000、333、111及び37mL製品/hLの比率の施用量で検定し、相対的EC50値を決定した。
【0109】
全ての処理は、フランスインゲン豆の葉のデイスク切片(前もって、ナミハダニ(T.urticae)を発生させておいた)に、ポッタータワー(Potter Tower)噴霧器を用いて処理
した。葉のデイスク切片は、十分に噴霧されるように400 L/haの施用率で噴霧した。それぞれの処理ごとに三連のデイスク切片葉を噴霧した。各検定時間ごとに(処理前、処理後(DAA)1及び3日目)、デイスク切片葉を単対物双眼顕微鏡の下で観察して生存運動性ダニを調べた。
【0110】
ダニの平均致死率及び致死率パーセントを計算した。EC50値は、データ最適フィット(the best fit to the data) の統計モデルを用いたToxCalc V5.0 を用いて計算した。
【0111】
ダニの平均致死率及びEC50の検定結果は、以下の表11〜12に要約している。
【0112】
【表12】

【0113】
【表13】

【0114】
これらの結果より、本発明に係る組成物の効能を立証することができたものと言える。加えて、相乗効果が特に組成物C(タゲテス油)及びE(ウインターグリーン油)間において観察されている。タゲテス油/ウインターグリーン油の1:1比率の混合物は、ウインターグリーン油単独の製剤よりも2.8倍もの活性があり、そしてタゲテス油単独の製
剤よりも3倍もの活性があった。
【0115】
豆の葉に対する薬害は、3000mL製剤/hLの比率の施用量を含めて、その比率の施用量に至るまで観察されなかった。
【0116】
実施例5
コナジラミに対する相乗効果
組成物B及び、上記に記載した組成物C、D及びEのそれぞれの成分の、コナジラミ、カイガラムシ類に対する効果を、それぞれ異なる施用量において検定した。処理後7日目に、上記のダニEC50値に記載した方法と類似の方法を用いて、LD50値を決定した。ここにおいて使用した分析方法(最適フィット値として選択する方法)は、最尤プロビット(Maximum Likelihood-Probit)である。
【0117】
三連試験におけるLC50値は、表13に示した。
【表14】

【0118】
これらの結果より、コナジラミに対して使用した場合、タゲテス油とサイム油、サイム油とウインターグリーン油、及びサイム油とウインターグリーン油との組合せにおける相乗作用を、相対的濃度に依存して生じることを説明することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)タゲテス油若しくは精油を含んでいるチモール、若しくはそれらの混合物から選択される1つ又はそれ以上の精油、又は害虫忌避若しくは害虫抑止の特性を有するそれらの成分であって、ここにおいて、存在するこのような油又は成分の総量が10%w/wを越えないもの;
(ii)農業的に許容される担体油;及び
(iii)乳化剤、
を含む農薬組成物。
【請求項2】
更に、ウイルス感染の病徴を改善する化合物を含む請求項1記載の農薬組成物。
【請求項3】
(i)タゲテス油若しくは精油を含んでいるチモール、若しくはそれらの混合物から選択される精油、又は害虫忌避若しくは害虫抑止の特性を有するそれらの成分;
(ii)農業的に許容される担体油;
(iii)乳化剤;及び
(iv)ウイルス感染の病徴を改善する化合物
を含む農薬組成物。
【請求項4】
成分(i)を10%w/wより多くは含んでいない請求項3に記載の農薬組成物。
【請求項5】
成分(i)を5%w/wより多くは含んでいない請求項1〜4のいずれか1項に記載の農薬組成物。
【請求項6】
成分(i)を1.5%w/wより多くは含んでいない請求項5に記載の農薬組成物。
【請求項7】
成分(i)が、タゲテス油若しくはサイム油、又はそれらの混合物から選択される請求項1〜6のいずれか1項に記載の農薬組成物。
【請求項8】
成分(i)が、タゲテス油若及びサイム油の混合物を3:1から1:3の比率で含む請求項1又は請求項7に記載の農薬組成物。
【請求項9】
成分(ii)が、カノーラ油(OSR)、ヒマワリ油、綿実油、ヤシ油及び大豆油から選択される請求項1〜8のいずれか1項に記載の農薬組成物。
【請求項10】
乳化剤が、天然の有機乳化剤である請求項1〜9のいずれか1項に記載の農薬組成物。
【請求項11】
成分(iii)が、1〜20%w/wの量で存在する請求項1〜6のいずれか1項に記載の農薬組成物。
【請求項12】
ウイルス感染の病徴を改善し、かつエチレン生成を低減する化合物を含む請求項1〜11のいずれか1項に記載の農薬組成物。
【請求項13】
化合物が、サリチル酸又はそのエステルである請求項12に記載の農薬組成物。
【請求項14】
化合物が、サリチル酸メチルである請求項13に記載の農薬組成物。
【請求項15】
化合物が、精油中に含まれるものである請求項12〜14のいずれか1項に記載の農薬組成物。
【請求項16】
精油が、ウィンターグリーン油である請求項15に記載の農薬組成物。
【請求項17】
植物に施用するための、請求項1〜16のいずれか1項に記載の組成物、及び水を含む製剤。
【請求項18】
請求項1〜16のいずれか1項に記載の組成物、又は請求項17に記載の製剤を、害虫に、又はその生息場所に施用することを含む害虫を殺虫又は防除する方法。
【請求項19】
組成物がウイルス感染の病徴を改善する化合物を含み、その結果その処置が、殺虫及びウイルス病徴改善を併せ持った効果を提供する請求項18に記載の方法。
【請求項20】
組成物又は製剤を、他の殺虫剤又は殺ダニ剤と一緒に施用する請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
組成物を、ヘクタール当り5リットルより少ない量で作物に施用する請求項18〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
組成物を、ヘクタール当り約2リットルの量で作物に施用する請求項21に記載の方法。
【請求項23】
有害生物防除及びウイルス病徴改善を併せ持った組成物としての請求項2〜16のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項24】
殺虫剤又は殺ダニ剤のアジュバントとしての、請求項1〜16のいずれか1項に記載の組成物又は請求項17に記載の製剤の使用。
【請求項25】
ヘクタール当り5リットルより少ない割合で作物に施用する殺虫剤又は殺ダニ剤としての、請求項1〜16のいずれか1項に記載の組成物の使用。

【公表番号】特表2007−513130(P2007−513130A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−542006(P2006−542006)
【出願日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【国際出願番号】PCT/GB2004/005063
【国際公開番号】WO2005/053395
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(505471679)プラント・インパクト・ピーエルシー (6)
【Fターム(参考)】