説明

迂遠な帯を用いる針交換装置

【課題】針を格納するための装置を提供する。
【解決手段】薬物容器を有する薬物送達デバイス用の針を格納および交換するための装置であって、この装置を薬物送達デバイスと接続するための固定マウントと、迂回経路に沿って変位可能でその上に変位可能に配置された複数の針を接続する針ホルダと、この針ホルダの変位を案内するための案内部材であって、固定マウントのまわりに配置された案内部材とを含む装置が開示される。この装置は、固定マウントのまわりに回転可能に配置され、かつ迂回経路に沿って針ホルダを変位するための少なくとも1つの内部係合構造を有するユーザインタフェースも含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、米国特許法第119条e項に基づき、2010年8月16日に出願した米国特許仮出願第61/344,526号明細書の優先権を主張するものであり、その開示の全体を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
本発明は、ペン型注入デバイスまたは注射器などの薬物送達デバイス用の針に関し、より詳細には、薬物送達デバイス用の複数の針の交換装置に関する。
【背景技術】
【0003】
薬物送達デバイスは、正確に計量された用量の薬物を自己注射するために使用される。ペン型注入デバイスは、たとえばインスリンを自己注射するために糖尿病患者によって広く使用されている。典型的な薬物送達ペンは、数回の用量に十分な量の液剤を含むカートリッジを含む。その用量は、ペン型注入デバイスに取り付けられたペン型針を使用して、筋肉内組織層、皮下組織層、または皮内組織層などの組織領域に注射される。
【0004】
典型的なペン型注入デバイスの組み立ておよび操作は、本願の譲受人に譲渡された2006年10月12日公開の特許文献1に記載されており、その全体を参照により本明細書に組み込む。
【0005】
図1および図2に示される例示的なペン型注入器50などのペン型注入デバイスは、典型的には、投与ノブ/ボタン24と、外側スリーブ13と、キャップ21とを備える。投与ノブ/ボタン24によって、使用者は、注射するべき薬剤の用量を設定することができる。外側スリーブ13は、薬剤を注射するときに使用者によって把持される。キャップ21は、シャツのポケット、財布、または他の適切な場所にペン型注入器50をしっかり保持するために使用者によって用いられる。
【0006】
図2は、図1に示される例示的な薬剤送達ペン50の分解組立図である。投与ノブ/ボタン24は2つの目的を有し、注射するべき薬物の用量を設定するためと、親ねじ7およびストッパ15を介して薬物カートリッジ12から投与された薬物を注射するための両方に使用される。薬物カートリッジ12は、下部ハウジング17を介して薬剤送達ペンに取り付けられる。薬物カートリッジ12は、典型的には、一方の端において隔壁16で封止され、他方の端においてストッパ15で封止されたガラス管である。標準的な薬剤送達ペンでは、投薬および送達機構はすべて、外側スリーブ13の内部にある。これらの機構については、当技術分野の知識を有する者には理解されているので、本明細書ではより詳細に説明しない。
【0007】
ペン型針アセンブリ10は、ハブ20と、ペン型針アセンブリの患者端から延びる患者用の針(patient needle)11と、ペン型針アセンブリの非患者端でハブ20の内部に配置された、隔壁を貫通する針のカニューレ(septum−penetrating needle cannula)18とを含む。隔壁を貫通する針のカニューレ18は、患者用の針11と流体連通する。ハブ20は、好ましくは、下部ハウジング17にねじ込まれるが、薬物カートリッジ12に直接取り付けるなどの他の取り付け手段を使用することができる。ハブ20を下部ハウジング17または薬物カートリッジ12に取り付けるに際して、隔壁を貫通するカニューレ18は隔壁16を穿通するが、隔壁16は薬物カートリッジ12に対して動かない。しかし、ストッパ15は、液密シールを維持しながら薬物カートリッジ12内で軸方向に変位可能である。プランジャまたはストッパ15が(親ねじ7の前進により)薬物カートリッジ12内で遠位方向に移動すると、薬剤
がハブ20の患者用の針11に押し込まれる。
【0008】
使用者すなわちペン型注入器50を扱う人を保護するために、外側シールド29がハブ20に取り付けられ、ハブ20を被覆する。外側シールド29は、ハブ20をペン型注入器50に回してはめ込んだり外したりするためにハンドルまたは取手として使用することもできる。内側シールド28は、外側シールド29内で患者用の針11を被覆する。内側シールド28は、ハブ20に固着され、締まりばめまたはスナップばめなどの適切な手段によって患者用の針11を被覆することができる。図2に示すように、ハブ20は、外側シールド29と係合するためのリブ64も含む。外側シールド29および内側シールド28は、使用の前に取り外される。キャップ21は、外側スリーブ13に対してぴったり嵌まり、使用者がペン型注入デバイス50をしっかりと担持できるようにする。
【0009】
ペン型針アセンブリ10を使用するために、使用者は、外側シールド29上の無菌カバー(図示せず)を取り外し、ペン型針アセンブリ10をペン型注入器50にねじり込み、外側シールド29を取り外し、最後に内側シールド28を取り外す。ペン型注入器50上にペン型針アセンブリ10を置くのに役立つ針格納デバイスがいくつかあるが、使用者は依然として、内側シールド28および外側シールド29を含めて針ハブの包装を除去し、針ハブをペン型注入器上に置いて、デバイスを注射のために準備しなければならない。このプロセスは、継続的な注射ごとに繰り返さなければならない。
【0010】
ペン型針アセンブリは、通常、無菌バリア(sterility barrier)を形成するためにカバーの開口を被覆するラベルの付いたプラスチックカバー(外側シールド29など)の内側に個別に包装されて販売される。使用前および使用後の複数の針を格納する、針を1本ずつ出して(dispensing)格納する装置が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0229562号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
針を交換するための装置を提供することは、本発明の一態様である。使用前ならびに使用後の針を格納するための装置を提供することも本発明の一態様である。加えて、薬物送達デバイスで使用するための針を交換するための装置を提供することは本発明の一態様である。
【0013】
本発明の前述および/または他の態様は、薬物容器を有する薬物送達デバイス用の針を格納および交換するための装置であって、この装置を薬物送達デバイスと接続するための固定マウント(fixed mount)と、迂回経路(circuitous path)に沿って変位可能でその上に変位可能に配置された複数の針を接続する針ホルダと、この針ホルダの変位を案内するための案内部材であって、固定マウントのまわりに配置された案内部材とを含む装置を提供することによって達成される。この装置は、固定マウントのまわりに回転可能に配置され、かつ迂回経路に沿って針ホルダを変位させるための少なくとも1つの内部係合構造を有するユーザインタフェースも含む。
【0014】
本発明の前述および/または他の態様は、薬物容器を有する薬物送達デバイス用の針を選択する方法を提供することによっても達成され、この方法は、薬物送達デバイスを、針を格納および交換するための装置と接続する操作と、ユーザインタフェースを回転させて、迂回経路に沿って針ホルダ内に装着された複数の針のうちの1つを作動位置(activated position)に変位させ、第2のユーザインタフェースも変位させる操作と、ユーザインタフェースを近位方向に摺動させ、針の患者端を装置の外側に露出させ、針の非患者端を薬物容器と流体的に接続する操作とを含む。この方法は、第2のユーザインタフェースを変位させて針カウンタを前進させる操作と、ユーザインタフェースを遠位方向に摺動させ、患者端を再び覆って、非患者端を薬物容器から分離する操作も含む。
【0015】
本発明の前述および/または他の態様は、薬物容器を有する薬物送達デバイス用の針を格納および交換するための装置であって、この装置を薬物送達デバイスと接続するための固定マウントと、この固定マウントのまわりに軸方向に摺動可能に配置された案内部材であって、固定マウントと共に少なくとも迂回経路の一部分を形成する案内部材とを含む装置を提供することによっても達成される。この装置は、迂回経路に沿って変位可能でその上に変位可能に配置された複数の針を接続する針ホルダと、固定マウントおよび案内部材のまわりに回転可能に配置され、かつ案内部材と共に摺動するために固定マウントに対して軸方向に摺動可能なユーザインタフェースも含む。
【0016】
本発明のさらなるおよび/または他の態様および利点については、その一部は以下の説明に記載され、その一部は説明から明らかになるか、または本発明の実施により分かるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の実施形態の上記および/または他の態様および利点は、以下の詳細な説明を添付の図面と併せ読めば、明らかになり、より簡単に理解されよう。
【図1】例示的な薬剤送達ペンの斜視図である。
【図2】図1の例示的な薬剤送達ペンの分解組立図である。
【図3】本発明の一実施形態による針交換デバイスの斜視図である。
【図4】図3の針交換デバイスのユーザダイヤル(user dial)の斜視図である。
【図5】図3の針交換デバイスのキャップの斜視図である。
【図6】図3の針交換デバイスの針カウンタの斜視図である。
【図7】図3の針交換デバイスのユーザボタン(user button)の斜視図である。
【図8】図3の針交換デバイスのラチェットトップ(ratchet top)の斜視図である。
【図9】図3の針交換デバイスの固定マウント部材の斜視図である。
【図10】図3の針交換デバイスの迷路(maze)部材の斜視図である。
【図11】図10の迷路部材の端面斜視図である。
【図12】図3の針交換デバイスの内側トラックの斜視図である。
【図13】図3の針交換デバイスの針ホルダの斜視図である。
【図14】図3の針交換デバイスの針の斜視図である。
【図15】図3の針交換デバイスのロックリングの斜視図である。
【図16】図3の針交換デバイスの無菌バリアの斜視図である。
【図17】図3の針交換デバイスの分解斜視図である。
【図18】図3の針交換デバイスを組み立てる方法の斜視図である。
【図19】図3の針交換デバイスを組み立てる方法の斜視図である。
【図20】図3の針交換デバイスを組み立てる方法の斜視図である。
【図21】図3の針交換デバイスを組み立てる方法の斜視図である。
【図22】図3の針交換デバイスを組み立てる方法の斜視図である。
【図23】図3の針交換デバイスを組み立てる方法の斜視図である。
【図24】図3の針交換デバイスを組み立てる方法の斜視図である。
【図25】図3の針交換デバイスを組み立てる方法の斜視図である。
【図26】図3の針交換デバイスを組み立てる方法の斜視図である。
【図27】図3の針交換デバイスを組み立てる方法の斜視図である。
【図28】図1の薬剤送達ペンと図3の針交換デバイスの組み立てを示す斜視図である。
【図29】図3の針交換デバイスの操作を示す斜視図である。
【図30】図3の針交換デバイスの操作を示す斜視図である。
【図31】図3の針交換デバイスの操作を示す斜視図である。
【図32】図3の針交換デバイスの操作を示す斜視図である。
【図33】図3の針交換デバイスの操作を示す斜視図である。
【図34】図3の針交換デバイスの操作を示す斜視図である。
【図35】図3の針交換デバイスの断面における部分斜視図である。
【図36】図3の針交換デバイスの切欠斜視図である。
【図37】図3の針交換デバイスの部分斜視図である。
【図38】ユーザボタンと摺動案内体(sliding guide)の相互作用を示す、図3の針交換デバイスの部分斜視図である。
【図39】ユーザボタンと摺動案内体の相互作用を示す、図3の針交換デバイスの部分斜視図である。
【図40】ユーザボタンと摺動案内体の相互作用を示す、図3の針交換デバイスの部分斜視図である。
【図41】ユーザボタンと摺動案内体の相互作用を示す、図3の針交換デバイスの部分斜視図である。
【図42】図3の針交換デバイスの切欠斜視図である。
【図43】図3の針交換デバイスの切欠斜視図である。
【図44】図3の針交換デバイスの切欠斜視図である。
【図45】ユーザボタンの凹部を示す、図3の針交換デバイスの部分斜視図である。
【図46】図3の針交換デバイスの部分斜視図である。
【図47】本発明の別の実施形態による針交換デバイスの斜視図である。
【図48】本発明のさらに別の実施形態による針交換デバイスの斜視図である。
【図49】本発明のさらに別の実施形態による針交換デバイスの部分斜視図である。
【図50】針ホルダの代替的実施形態を示す部分平面図である。
【図51】針ホルダの代替的実施形態を示す部分平面図である。
【図52】針ホルダの代替的実施形態を示す部分平面図である。
【図53】針の患者端のための代替の無菌バリアの斜視図である。
【図54】図53の無菌バリアの製造工程の斜視図である。
【図55】図53の無菌バリアの製造工程の斜視図である。
【図56】図53の無菌バリアの製造工程の斜視図である。
【図57】図53の無菌バリアの製造工程の斜視図である。
【図58】図53の無菌バリアの製造工程の斜視図である。
【図59】図53の無菌バリアの製造工程の斜視図である。
【図60】図53の無菌バリアの取り外しを示す図である。
【図61】他の代替の無菌バリアを示す図である。
【図62】他の代替の無菌バリアを示す図である。
【図63】他の代替の無菌バリアを示す図である。
【図64】他の代替の無菌バリアを示す図である。
【図65】他の代替の無菌バリアを示す図である。
【図66】他の代替の無菌バリアを示す図である。
【図67】他の代替の無菌バリアを示す図である。
【図68】他の代替の無菌バリアを示す図である。
【図69】他の代替の無菌バリアを示す図である。
【図70】他の代替の無菌バリアを示す図である。
【図71】他の代替の無菌バリアを示す図である。
【図72】他の代替の無菌バリアを示す図である。
【図73】他の代替の無菌バリアを示す図である。
【図74】他の代替の無菌バリアを示す図である。
【図75】他の代替の無菌バリアを示す図である。
【図76】他の代替の無菌バリアを示す図である。
【図77】他の代替の無菌バリアを示す図である。
【図78】他の代替の無菌バリアを示す図である。
【図79】他の代替の無菌バリアを示す図である。
【図80】他の代替の無菌バリアを示す図である。
【図81】他の代替の無菌バリアを示す図である。
【図82】他の代替の無菌バリアを示す図である。
【図83】他の代替の無菌バリアを示す図である。
【図84】他の代替の無菌バリアを示す図である。
【図85】他の代替の無菌バリアを示す図である。
【図86】他の代替の無菌バリアを示す図である。
【図87】他の代替の無菌バリアを示す図である。
【図88】他の代替の無菌バリアを示す図である。
【図89】他の代替の無菌バリアを示す図である。
【図90】本発明の別の実施形態による針交換デバイスの斜視図である。
【図91】図90の針交換デバイスの固定マウントの斜視側面図である。
【図92】図90の針交換デバイスの固定マウントの斜視上面図である。
【図93】図90の針交換デバイスの迷路の斜視側面図である。
【図94】図90の針交換デバイスの迷路の斜視上面図である。
【図95】図90の針交換デバイスの固定ポスト(fixed post)の斜視正面図である。
【図96】図90の針交換デバイスの固定ポストの斜視背面図である。
【図97】図90の針交換デバイスの針ホルダ560の斜視図である。
【図98】図90の針交換デバイスのユーザダイヤルの斜視図である。
【図99】図90の針交換デバイスの組み立ての方法を示す図である。
【図100】図90の針交換デバイスの組み立ての方法を示す図である。
【図101】図90の針交換デバイスの組み立ての方法を示す図である。
【図102】図90の針交換デバイスの組み立ての方法を示す図である。
【図103】図90の針交換デバイスの組み立ての方法を示す図である。
【図104】図90の針交換デバイスの組み立ての方法を示す図である。
【図105】図90の針交換デバイスの組み立ての方法を示す図である。
【図106】図90の針交換デバイスの組み立ての方法を示す図である。
【図107】図90の針交換デバイスの組み立ての方法を示す図である。
【図108】図90の針交換デバイスの組み立ての方法を示す図である。
【図109】ユーザボタンのない本発明の一実施形態を示す部分斜視図である。
【図110】ユーザボタンのない本発明の一実施形態を示す部分斜視図である。
【図111】アンカーに巻き付くロープの力を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下において、本発明の実施形態を詳細に説明し、その例を添付の図面に示す。同様の参照番号は、図面を通して同じ要素を示す。本明細書で説明する実施形態は、図面を参照することによって本発明を例示するが、本発明を限定するものではない。当業者には理解されるように、上、下、底部、および頂部などの用語は相対的であり、説明を助けるために用いられているが、限定的ではない。
【0019】
図3は、本発明の一実施形態による針交換デバイス100の斜視図である。図28に示すように、使用者は、たとえばペン型注入器50を交換デバイス100にねじ込むことによって、注入器ペン50と交換デバイス100を結合する。簡略化するため、以下では、「針交換デバイス100」の代わりに「交換デバイス100」という用語を使用する。図3に示すように、交換デバイス100は、ユーザダイヤルまたはユーザインタフェース104と、キャップ窓112を含むキャップ108と、針カウンタ116と、ユーザボタンまたは第2のユーザインタフェース120と、内側トラックまたは内側ハウジングまたは底部ハウジング124とを含む。
【0020】
図4は、ユーザダイヤル104の斜視図である。ユーザダイヤル104は、使用者が握るユーザインタフェース部分126を含む。ユーザダイヤル104は、その頂面から伸長する複数のボス128と、ユーザダイヤル104の頂部から内側に伸長する複数の片持ち(cantilevered)係合アーム132も含む。加えて、ユーザダイヤル104は、ユーザダイヤル104の内表面のまわりに径方向に配列された複数の内部係合構造または丸い軸方向溝136を含む。
【0021】
図5は、キャップ108の斜視図である。キャップ108は、次の未使用針の番号を表す針カウンタ116の番号を示すためのキャップ窓112を含む。本発明のこの実施形態では、針の番号に関して数が増えるように示されているが、この番号が、本発明の範囲から逸脱することなく、残っている未使用針の番号を逆に数えてもよいことは、当業者には理解されよう。
【0022】
図6は、交換デバイス100内に回転可能に配置された針カウンタ116の斜視図である。針カウンタ116は、次の未使用針の番号を識別するための複数の識別番号140と、針カウンタ116のまわりに径方向に配列され、そこから外側に伸長する複数の指または歯144とを含む。
【0023】
図7は、ユーザボタン120の斜視図である。図7に示すように、ユーザボタン120は、使用者とインタフェースするための使用者押圧部分(user pressing portion)148を含む。ユーザボタン120は、使用者がユーザボタン120を押下したときに針カウンタ116を回転させるように歯144と係合するための歯との係合部分(tooth engaging portion)152も含む。以下により詳細に説明するように、ユーザボタン120は、その遠位端に配置された足160を有する片持ち摺動部材156をさらに含む。
【0024】
図8は、交換デバイス100のラチェットトップ164の斜視図である。ラチェットトップ164は、交換デバイス100内に配置され、ユーザダイヤル104の係合アーム132と選択的に係合するための複数のギア歯168を含む。使用者がユーザダイヤル104を回転させると、片持ち係合アーム132はギア歯168から離れ、隣接するギア歯168と係合する。一実施形態によれば、ギア歯168および係合アーム132は、ユーザダイヤル104が一方向にのみ回転できるように成形される。
【0025】
図9は、交換デバイス100の固定マウント部材または固定マウント172の斜視図である。以下により詳細に説明するように、固定マウント部材172は、ユーザボタン120の摺動部材156と相互作用するための摺動案内体176を含む。
【0026】
図10は迷路または迷路部材または案内部材178の斜視図であり、図11は、迷路部材178の端面斜視図である。迷路部材178は、ガイド壁180と、片持ち針スナップアーム184とを含む。図11に示すように、針スナップアーム184は入れ子部分(nesting portion)188を含む。一実施形態によれば、入れ子部分188は丸い軸方向溝を備える。
【0027】
図12は、内側トラック124の斜視図である。組み立てる際、以下により詳細に説明するように、迷路部材178および固定マウント172は、内側トラック124内に配置される。
【0028】
図13は、交換デバイス100の針ホルダまたは帯または弾薬帯(bandolier)192の斜視図である。以下により詳細に説明するように、針ホルダ192は可撓性の帯であり、患者用の針200を保持するための複数の上部針ガイド196および下部針ガイド198を有する。
【0029】
図14は、交換デバイス100の患者用の針または針200の斜視図である。図14に示すように、針200は、ペン型注入器たとえばペン型注入器50のカートリッジ隔壁16を穿通するための非患者端または隔壁端204を有する。他のペン型注入器を使用できることは当業者には理解されようが、簡略化するため、以下では、ペン型注入器50を例示的なペン型注入器として使用する。針200は患者端208も有する。隔壁端204は、患者端208と流体連通する。以下により詳細に説明するように、針200は、ハブ212と、リフティングハブ216も含む。
【0030】
図15は、交換デバイス100のロックリングまたは針ドーナツ(needle donut)220の斜視図である。図15に示すように、ロックリング220は、針200を収めるための、それを通る軸方向穴を有する。
【0031】
図16は、交換デバイス100の無菌バリア224の斜視図である。一実施形態によれば、以下により詳細に説明するように、無菌バリア224は、針200の隔壁端204上に配置される。別の実施形態によれば、無菌バリア224は、針200の隔壁端204と患者端208の両方の上に配置される。
【0032】
図17は、交換デバイス100の分解斜視図である。ここで、図17〜図27を参照して、交換デバイス100の組み立ての方法について説明する。最初に、複数のハブ212のそれぞれの基部がそれぞれの下部針ガイド198と接触するまで、針200を針ホルダ192の針ガイド196および198に挿入する(図18)。その後で、ロックリング220を針200の隔壁端204の上に挿入して、それぞれの上部針ガイド196と接触させ、無菌バリア224を針200の隔壁端204と患者端208の両方の上に挿入する(図19)。
【0033】
次に、組み立て者(assembler)が、たとえば内側トラック124と迷路部材178を合わせて嵌めることによって、内側トラック124と迷路部材178を結合する(図20)。次いで、組み立て者は、(迂遠なループ状に形成された)針ホルダ192を内側トラック124および迷路部材178のアセンブリ上に摺動させる(図21)。
【0034】
その後、組み立て者は、固定マウント172を迷路部材178に挿入し(図22)、たとえば嵌めることによって、ラチェットトップ164をアセンブリ上に取り付ける(図23)。次いで、組み立て者は、ユーザダイヤル104をアセンブリ上に置く(図24)。次に、組み立て者は、針カウンタ116をキャップ108内に置き(図25)、ユーザボタン120をキャップアセンブリ内に摺動させる(図26)。最後に、組み立て者は、キャップアセンブリを取り付け、交換デバイス100を完成させる(図27)。
【0035】
次に、交換デバイス100の操作の概要について、図28〜図34を参照して説明する。図28に示すように、使用者は、たとえばペン型注入器50を交換デバイス100にねじ込むことによって、ペン型注入器50と交換デバイス100を結合する。次に、使用者は、次の未使用針200を選択するためにユーザダイヤル104を回転させる(図29)。ユーザダイヤル104を回転させると、ユーザボタン120が交換デバイス100から径方向に伸長する(図30)。次いで、使用者は、ユーザダイヤル104をペン型注入器50の方へ軸方向に摺動させ、患者用の針200の隔壁端204にペン型注入器50のカートリッジ隔壁16を穿通させ、患者用の針200の患者端208およびその上に配置された無菌バリア224を露出させる(図31)。
【0036】
その後で、例示的実施形態によれば、使用者は、たとえば無菌バリア224を患者用の針200から摺動させることによって、患者用の針200から無菌バリア224を取り外す(図32)。これで、デバイスは使用者が薬物を注射する準備が整ったことになる。注射の後で、以下により詳細に説明するように、使用者は、ユーザボタン120を押下し(図33)、それによって、針カウンタ116を進める。一実施形態によれば、使用者は次に、ユーザダイヤル104を軸方向に摺動させてペン型注入器から遠ざけ、針200を再び覆う。別の例示的実施形態(図示せず)によれば、ユーザボタン120を押下すると、ユーザダイヤル104を軸方向に移動させてペン型注入器50から遠ざける、ばね付勢された復帰機構が作動され、針200が再び覆われる。ユーザダイヤル104がその下り行程を完了し、軸方向に移動してペン型注入器50から遠ざかると、交換デバイス100は、使用者がユーザダイヤル104を再び回転させて次の未使用針200を選択する準備が整う(図34)。
【0037】
より詳細には、図35に示すように、ユーザダイヤル104の一体的な係合構造または軸方向溝136は、内側トラック124の壁228の径方向に最も外側の部分に配置された針ホルダ192内の針200に対応する、上部針ガイド196、下部針ガイド198、およびロックリング220の径方向に最も外側の表面と係合する。使用者がユーザダイヤル104を回転させると(図29)、上部針ガイド196、下部針ガイド198、およびロックリング220が軸方向溝136と係合するので、針ホルダ192は、内側トラック124、迷路178、および固定マウント172の間の迂回経路に沿って前進する。図示のこの実施形態では、使用者は、ユーザダイヤル104を、したがって針ホルダ192の最も外側の部分を、矢印Aが示す方向に回転させる。しかし、使用者が本発明の範囲から逸脱することなくユーザダイヤル104を反対方向に回転できることは、当業者には理解されよう。ユーザボタン120を、ラチェットトップ164に対するラチェット−インタフェースと組み合わせることにより、使用者が使用済みの針を再使用することが防止される。
【0038】
図35に示された状態では、ユーザダイヤル104の次の回転時に、針200Aは、壁228の開口を通過して、内側トラック124の壁228と迷路178の間に入る。同様に、図35で迷路178と壁228の間に配置されている針200Bは、壁228の開口を通過して、壁228の径方向外側の位置に至る。加えて、ユーザダイヤル104の次の回転時に、軸方向溝136Aは、針208が壁228の開口を通過すると針200Aから離れ、針208が壁228の開口を通過して図35の136Bとして図示される位置で停止すると針200Bと係合する。
【0039】
ユーザダイヤル104を回転させる(さらに、それに対応して針ホルダ192がその迂回経路に沿って前進する)と、次の未使用針200が、交換デバイス100のほぼ中央の「選択」位置に移動する。図35に示すように、針200が選択位置に移動すると、上部針ガイド196および下部針ガイド198は、針スナップアーム184と係合する。より具体的には、上部針ガイド196および下部針ガイド198は、針スナップアーム184の入れ子部分188と係合する。加えて、針220が選択位置または作動位置に移動すると、ロックリング220が固定マウント172のロック機能(lock feature)232と係合する。一実施形態によれば、ロック機能232は、単一ユニットとして固定マウント172と一体的に形成される。別の実施形態によれば、ロック機能232は、固定マウント172に挿入された要素の一部である。上部針ガイド196および下部針ガイド198の入れ子部分188との係合ならびにロックリング220のロック機能232との係合によって、「選択された」針200が、(以下により詳細に説明する)内側トラック124の開口と、さらにカートリッジ隔壁16と軸方向に位置合わせすることができる。
【0040】
次の未使用針200を選択することに加えて、前述のように、ユーザダイヤル104が回転することによっても、ユーザボタン120が交換デバイス100から径方向に伸長する。図36は交換デバイス100の斜視図であるが、例示を目的としていくつかの要素が省かれている。たとえば、ユーザボタン120に関しては底部部分のみが図36に示されている。図示のように、ユーザボタン120の底部部分は、傾斜部分236を含む。図36に示すように、使用者がユーザダイヤル104を回転させると、その頂面にあるボス128のうちの1つが傾斜部分236と係合し、ユーザボタン128を径方向外側に強制的に押し出す。図36は、加えて、どのようにしてユーザダイヤル104の係合アーム132がラチェットトップ164のギア歯168と順次係合してユーザダイヤル104の後方回転を防止するかを示す。
【0041】
図37は交換デバイス100の部分斜視図であり、図38〜図41は、交換デバイス100の操作中のユーザボタン120と摺動案内体176の相互作用を示す部分斜視図である。図38は、「走行(transport)」状態または「消費済み(expended)」状態の交換デバイス100を示す。図38〜図41では、ユーザボタン120の大半が省かれている。摺動部材156に関しては足160のみが示されている。走行状態では、足160は、摺動案内体176の下部停止部分240(図41に最も良く示されている)の下に配置される。使用者がユーザダイヤル104を回転させてユーザボタン120が径方向外側に動くと、図39に示すように、足160は、下部停止部分240の下から、下部傾斜部分244に隣接する位置に移動する(図40および図41に最も良く示されている)。
【0042】
使用者がユーザダイヤル104を近位方向に、またはペン型注入器50の方へ軸方向に、摺動させると、足160は、図40に示すように、下部傾斜部分244から上へ進み、摺動案内体176の端から端まで移動して、上部停止部分248の上の位置に至る。次に、使用者がユーザボタン120を押下すると、足160は、図41に示す上部停止部分248の上から、上部傾斜部分252に隣接する位置まで移動する。その後で、使用者(および/またはばね)が、行程を完了するためにユーザダイヤル104を軸方向に摺動させてペン型注入器50から遠ざかると、足160は、上部傾斜部分252から上へ摺動し、摺動案内体176の端から端まで移動して、図38に示される下部停止部分240の下にある走行位置に戻る。
【0043】
図42〜図44は、ペン型注入器50の方へのユーザダイヤル104の軸方向移動中の針スナップアーム184、針200、およびカートリッジ隔壁16の相互作用を示す交換デバイス100の切欠斜視図である。図42に示すように、使用者がユーザダイヤル104をペン型注入器50の方へ軸方向に移動させると、患者端208が内側トラック124の動きにより内側トラック124の開口256を通して露出されるので、針200はほぼ静止した状態を保つ。加えて、針スナップアーム184は、針ホルダ192およびロックリング220をペン型注入器50の方へ軸方向に持ち上げ、針ホルダ192およびロックリング220をハブ212に対して上方に摺動させる。
【0044】
その後で、図43に示すように、開口256の傾斜した部分がリフティングハブ216と接触し、針200をペン型注入器50の方へ軸方向に持ち上げ始め、その結果、針200の隔壁端204上の無菌バリア224が隔壁カートリッジ16と接触する。次いで、図44に示すように、開口256の傾斜した部分は、ユーザダイヤル104がその行程の最も上の点に達するまでリフティングハブ216を介して針200を持ち上げ続け、その時点で、選択された針200の隔壁端204は、無菌バリア224およびカートリッジ隔壁16の頂部を穿通し、カートリッジ12の薬物を連通させる。この時点で、以前に説明したように、使用者は、針200の患者端208上の無菌バリアを取り外し、ペン型注入器50を使用して、選択された針200を通して薬物を注射する。
【0045】
その後で、図45に示すように、使用者がユーザボタン120を押下すると、ユーザボタン120の歯との係合部分152は、針カウンタ116の複数の歯144のうちの1つと係合し、針カウンタ116を進め、その結果、次の識別番号がキャップ108の窓112から視認できる。加えて、前述のように、使用者がユーザボタン120を押下すると、足160が、上部停止部分248の上から、上部傾斜部分252に隣接する位置まで移動し、それによって、使用者は次に、ユーザダイヤル104を遠位方向に摺動させるか、または軸方向に摺動させてペン型注入器50から遠ざかることができる。
【0046】
図46に示すように、使用者(および/またはばね)がユーザダイヤル104を完全に移動させてペン型注入器50から遠ざけた後、ロックリング220は、ロック機能232と係合しなくなり、したがって使用者はユーザダイヤル104を回転させて次の未使用針200を選択することができる。
【0047】
図47は、本発明の別の実施形態による交換デバイス280の斜視図である。交換デバイス100では、針200は、その迂回経路を通じて交換デバイス100の長手方向の一次軸(primary longitudinal axis)と略平行な状態を維持する。しかし、対照的に、交換デバイス280の底部には、内向きの角度が付けられている。したがって、針ホルダ192の迂回経路全体における交換デバイス280の長手方向の一次軸と略平行な残りの部分とは異なり、針200が壁228を径方向外側に通過するとき、針200は、交換デバイス280の内向きにテーパが付いている外面と略平行である。しかし、針200が壁228の内部に達すると、次に、交換デバイス100と同様に、針は交換デバイス280の長手方向の一次軸と略平行である。
【0048】
図48は、本発明の別の実施形態による交換デバイス284の斜視図である。図48に示すように、交換デバイス284は、ばね付勢された針シールド288を含む。針シールド288は、使用者がユーザダイヤル104をペン型注入器50の方へ軸方向に移動させるときに展開し、患者が針に触れないように保護し、針シールド288が押下されて交換デバイス284内に戻るまで薬物が針200から流れるのを防止する。針シールド288を押下してデバイス内に戻らせることによって、交換デバイス100が自動的にその開始状態にリセットされる。この例示的実施形態では、使用者が実施するステップの数が減少し、患者の好ましい使用経験(experience)を実現する。
【0049】
図49は、本発明の別の実施形態による交換デバイス292の部分斜視図である。図49に示すように、軸方向溝136とは異なり、交換デバイス292は、ピニオンギア296および円周方向のラック298を用いて針ホルダ192を前進させる。
【0050】
図50〜図52は、針ホルダの代替的実施形態を示す部分平面図である。図50に示される実施形態では、針ホルダ300は、針が中央部分を去るまで、針が、選択位置を中心とする中央部分に入ろうとすると緊張状態に保持される。中央部分の外側では、針ホルダ300は張力がかけられず、自由に浮遊することができる。この実施形態は、所与の空間に多数の針を収容するように設計される。
【0051】
図51では、2つの完全な別個の針ホルダ304および308はほぼ同じ経路をたどり、ほぼ同じピッチ(針ホルダに沿った針の間の距離)を有する。ただし、別個の針ホルダ304および308は、交互に針を選択位置に次に前進させる。
【0052】
図52に示すように、針ホルダ312は、ダミーハブ316によって中央部分を通して緊張状態に保持される。図52では、針200はすべて未使用である。
【0053】
図53は、針200の患者端208のための代替の無菌バリア(または下部無菌バリア)320の斜視図である。図54〜図59は、下部無菌バリア320の製造工程の斜視図である。しかし、下部無菌バリア320は連続したパーツとして製造される。言い換えれば、針200のための無菌バリア328は、連続的に接続される。しかし、分かりやすくするため、単一の下部無菌バリア320のみを示す。図54に示すように、紙324は、針ホルダ192に接続された針200の両側に置かれる。図55に示される操作では、針200に対する上部バリア328はハブ212で封止され、下部バリア332は針200の下で封止される。図56は、図55で示される操作の側面図を示す。その後で、図57および図58に示すように、紙324の下部部分は上向きに折り畳まれ、針ホルダ192に付着される。図58は、図57で示される操作の側面図を示す。最後に、図59に示すように、開口縁部が付着されて閉じられる。
【0054】
図60は、下部無菌バリア320の取り外しを示す。使用者がユーザダイヤル104をペン型注入器50の方へ軸方向に移動させると、針キャリア192がペン型注入器50の方へ軸方向に移動されて針200が静止状態を維持するので、紙324は上向きに剥離され、下部バリアまたは付着部(bond)332を破って針200の患者端208を露出させる。
【0055】
図61〜図87は、さらなる代替の無菌バリアを示す図である。図61および図62は、爪楊枝の包装紙と同様に、針200がそれぞれ個別に紙バリアに格納される無菌バリア336を示す。
【0056】
図63〜図67は、針200がそれぞれ紙片の間に含まれる無菌バリア340を示す。これらの実施形態では、針200が回転して選択位置に入って紙片を分けるために急な曲線を利用する(図63)。一実施形態(図65)によれば、巻き取り歯車(take−up wheel)344は、紙片の2つの部分のうち1つのみを巻き取る。別の実施形態によれば、巻き取り歯車348および352は、紙片の両方の部分を巻き取る(図66)。さらに別の実施形態によれば、細片のどちらも巻き取られず、その代わりに、急な曲線で分けられるに過ぎない(図64)。さらに別の実施形態(図67)によれば、針ホルダ192が急な曲線を回ると、2つの別個のトラックが2つの細片のために作成される。これによって、針200が、選択位置で細片から解放される。次に、針200が選択位置から出ると、トラックは、紙片に針200を再び被覆させる。この実施形態では、細片は、接着剤によって一体に保持され得て、したがって針200が選択位置から出ると紙片が針200を再び被覆する場合、接着剤は紙片を再び結合する。
【0057】
図68〜図70は、3つの折り畳み可能な無菌バリアを示す。図68に示すように、剛性の嵌合するカップ(inter−fitting cup)356および360は、針200の隔壁端204および患者端208を被覆する。使用者がユーザダイヤル104をペン型注入器50の方へ軸方向に移動させると、嵌合するカップ356および360は互いに押圧され、針200の隔壁端および患者端によってそれぞれ穿通される。一実施形態によれば、嵌合するカップ356および360はプラスチックで作製される。同様に、図69および図70はそれぞれ、使用者がユーザダイヤル104をペン型注入器50の方へ軸方向に移動させると圧壊する無菌バリア364および368を示す。
【0058】
図71および図72は、針の係合中に分解する剛性の無菌バリア370を示す。分解は、剛性のより高い物体による無菌バリア370の頂部または底部の軸方向の貫通によって達成することができる。あるいは、無菌バリア370は、無菌バリアのハブを側方に(両面から)圧縮することによって分解することができ、その結果、剛性のバリアを分解させる。無菌バリア370は、針200の隔壁端304および患者端308を両方とも被覆する。対照的に、図73および図74に示される剛性の無菌バリア374は、針200の患者端308のみを被覆する。一実施形態によれば、無菌バリア370および374はプラスチックで作製される。一実施形態によれば、無菌バリア370および374は、たとえば、一体ヒンジを介して針ハブを有する単一ユニットとして一体的に形成され、針がデバイス100から伸長すると分解される。
【0059】
図75および図76は、ハブ384に接続され、それぞれ針200の隔壁端304および患者端308を被覆する可撓性の(エラストマーの)ドーム376および380を示す。一実施形態によれば、ドーム376および380は、たとえば一体ヒンジによってハブ384に接続される。図76に示すように、ドーム376および380は、係合中に針ハブ384に圧壊する。一実施形態によれば、ドーム376および380は折り畳み可能であるが、着脱可能ではない。一実施形態によれば、ドーム376および380は、自身の上で内側に上下反転し、上下反転したままでいる。上下反転中に、針200はバリアを突き破る。
【0060】
図77および図78は、中空コアのキャップ388および392を示す。図78に示すように、中空コアのキャップは、係合中に針ハブ396に圧壊する。一実施形態によれば、ハブの形状は、それぞれのキャップ388および392の穿通された端を過ぎた、針200の延長された長さを制限するために、キャップ388および392に対応する。
【0061】
図79〜図81は、無菌バリア400が、内側トラック124の底床部に配置された剛性ブレード404によって剥がされた実施形態を示す。図80に示すように、側面バリア408および412は蛇行経路バリアである。さらに、これらの蛇行経路バリア408および412は、組み立て中の無菌バリア400の収納場所の位置合わせを維持するのに役立つ。図81に示すように、ユーザダイヤル104がペン型注入器50の方へ軸方向に移動されるとき、剛性ブレード404は無菌バリア400を剥がす。
【0062】
図82は、ハブ212の下部部分に接続する剛性の下部無菌バリア416を示す。無菌バリア416は、針200の患者端208と接触しない。操作では、使用者は、薬物の送達の前に内側トラック124の床部の開口から無菌バリア416を引き出すだけである。
【0063】
図83および図84は、接着剤428を介してハブ424に接続された剛性の上部無菌バリア420を示す。針200がペン型注入器50の方へ軸方向に進められると、無菌バリア420がハブ424を滑り落ちるので、隔壁端204は、無菌バリア420およびカートリッジ隔壁16を穿通する。
【0064】
図67の実施形態と同様に、図85は、針ホルダ192の針200が、選択位置に移動する前に無菌バリア432から解放される、無菌バリア432を示す。選択位置から移動した後に、針200は無菌バリア432を再結合する。
【0065】
図86および図87に示すように、無菌バリア436(その遠位端が開いている)は内側トラック124の床部に沿って載る。しかし、図87に示すように、選択位置に、内側トラック124の床部の開口440があり、それによって、患者端208を露出させることを可能にする。
【0066】
図88は、交換デバイス100のための別の代替の無菌バリア436の断面における部分斜視図である。分かりやすくするため、単一の針200のみの患者端が示されている。無菌バリア436は、患者の一部分ならびに針200、イントロデューサ440、およびブーツ(boot)444のまわりに配置された下部針ハブ438を含む。下部針ハブ438は、イントロデューサ440上の対応する円周方向の突起452と選択的に係合する少なくとも1つの円周方向の凹部448を含む。イントロデューサ440は、肩456と、斜めの遠位切断先端またはたがね460も有する。
【0067】
図88に示すように、内側トラック124の床部は、それを通る開口256を有する。一実施形態によれば、開口256は、内側トラック124の中心軸に実質的に配置される。
【0068】
図88の操作の途中に示されるように、針200が内側トラック124に対して遠位方向に変位されると、円周方向の突起452と円周方向の凹部448の間の摩擦係合ならびにイントロデューサ440とブーツ444の間の摩擦係合が生じるために、ブーツ444が内側トラック124の床部と接触するまで、無菌バリア436は針200と共に進む。
【0069】
針200が内側トラック124に対して継続的に遠位方向に変位することにより、ブーツ444とイントロデューサ440の間の摩擦がなくなり、遠位切断先端460がブーツ444の床部を切断し、肩456がブーツ444の近位端と接触するまで針200と共に遠位方向に進む。針200が内側トラック124に対して遠位方向にさらに変位することにより、円周方向の凹部448と円周方向の突起452の間の摩擦がなくなり、針200の遠位端は、遠位切断先端460によって切断されたブーツ444の開口を通して、および内側トラック124の床部の開口256を通して、交換デバイス100の外側に露出される。針200が内側トラック124に再び覆われると、針ハブ438、イントロデューサ440、およびブーツ444は、針の行程の遠位端で持っていた相対的な位置を維持する。
【0070】
一実施形態によれば、イントロデューサ440の遠位切断先端460は、イントロデューサ440の遠位端の周囲全体のまわりに配置される。別の実施形態によれば、遠位切断先端460は、イントロデューサ440の遠位端の周囲の一部分(たとえば、180°または270°)のまわりのみに配置される。このような実施形態では、イントロデューサ440は、針200が交換デバイス100の外側に露出されるときに邪魔にならない所に折り重なる(folds out of the way)するフラップを切断する。このような実施形態では、微粒子(たとえばブーツ444から完全に切断されたもの)が交換デバイス100から落ちるのも防止される。
【0071】
図89は、交換デバイス100のための別の無菌バリア464の断面における部分斜視図である。分かりやすくするため、単一の針200のみの患者端が示されている。無菌バリア464はブーツ468を含む。図52に示すように、内側トラック124の床部は、それを通る開口256を有する。一実施形態によれば、開口256は、内側トラック124の中心軸に実質的に配置される。
【0072】
図89の操作の途中に示されるように、針200が遠位方向に変位されると、ブーツ468が内側トラック124の床部と接触するまで、ブーツ468は針200と共に進む。遠位方向にさらに変位することにより、針200がブーツ468を穿通し、開口256を通して交換デバイス100の外側に露出される。一実施形態によれば、内側トラック124の床部は、ブーツ468を案内するための斜めの近位縁部を有するカラー472も含む。針200が内側トラック124で再び覆われるとき、ブーツ468は、針の行程の遠位端で持っていた相対的な位置を維持する。
【0073】
図90は、本発明の別の実施形態による針交換デバイス500(簡略化するため、以下では交換デバイス500)の斜視図である。図90に示すように、交換デバイス500は、底部ハウジングまたは内側ハウジング504と、ユーザダイヤルまたはユーザインタフェース508と、キャップ512と、ユーザボタンまたは第2のユーザインタフェース516と、針カウンタ520と、頂部カバー524とを含む。内部では、以下により詳細に説明するように、交換デバイス500は、固定マウント528と、迷路または案内部材532と、固定ポスト536も含む。
【0074】
図91および図92はそれぞれ、固定マウント528の斜視側面図および斜視上面図である。図91および図92に示すように、固定マウント528は、摺動案内体540と、固定ポスト536を受けるための開口544とを含む。摺動案内体540は、交換デバイス100の摺動案内体176とほぼ同様に機能する。したがって、簡略化するため、摺動案内体540の詳細な説明は省略する。固定マウント528は、固定マウントをペン型注入器50と接続するための手段を含む。一実施形態によれば、ペン型注入器50を接続するための手段は雌ねじを含む。別の実施形態によれば、ペン型注入器50を接続するための手段は、相対的に摺動して次に接続を回転させるためにペン型注入器50上の半径方向の突起と嵌合するL−形状のスロットを含む。加えて、一実施形態(図示せず)によれば、交換デバイス500は、固定マウント528にしっかりと固着された固定床部を含む。
【0075】
図93および図94はそれぞれ、迷路532の斜視側面図および斜視上面図である。交換デバイス100の迷路178と同様に、迷路532は、入れ子部分552をその上に有する片持ち針スナップアーム548を含む。迷路532は、針スナップアームが固定マウント540の中心部分内に配置されるように、固定マウント540のまわりに摺動可能に嵌まる。
【0076】
図95および図96はそれぞれ、固定ポスト536の斜視正面図および斜視背面図である。固定ポスト536はロック機能556を含み、ロック機能556は、交換デバイス100のロック機能232と同様に機能する。交換デバイス100では、ロック機構232は固定マウント172の一部分の上に配置され、固定マウント172は一体構造として一体的に形成される。しかし、交換デバイス500では、潜在的に製造および組み立てを単純化するために、固定ポスト536は、固定マウント528とは別のユニットである。以下により詳細に説明するように、可撓性の帯または針ホルダ560の設置(図97)の後で、固定ポスト536は、固定マウント528の開口544に挿入され、固定マウント528にしっかりと固着される。固定ポスト536は、たとえば1つまたは複数のねじによって、またはスナップばめ機構によって、固定マウント528に固着される。
【0077】
迷路532および固定ポスト536は一緒に、針ホルダ560のための迂回経路を形成する。図97に示されるように、針ホルダ560は迂回経路に成形され、識別された針200は作動位置に配置される。
【0078】
図98に示されるユーザダイヤル508は、複数の内部係合構造または径方向内向きの突起572を含む。ユーザダイヤル508の回転時に、内向きの突起572は、迂回経路に沿って針ホルダを前進させるために、上部針ガイド564および下部針ガイド568と係合する(図97を参照)。
【0079】
図99〜図108は、針交換デバイス500の組み立ての方法を示す図である。最初に、組み立て者は、固定マウント528と迷路532を共に軸方向に摺動させる。その後で、図99に示すように、組み立て者は、針ホルダ560を固定マウント−迷路アセンブリの上に置く。次に、組み立て者は、固定ポスト536を開口544に挿入して、迂回経路を形成する(図100)。次いで、図101に示すように、組み立て者は、たとえばねじまたはボルトを使用して底部ハウジング504を迷路532に固着する。また、図101に示されるように、底部ハウジング504の近位表面576は、下部針ガイド568と相互作用し、迂回経路に沿って迷路532の外表面上を進むときに針ホルダ560のための案内表面として機能する。加えて、底部ハウジング504は、たとえばユーザダイヤル508、底部ハウジング504、および迷路532の軸方向の摺動時に固定ポスト536の支持を提供する径方向内向きの突起580を含む。
【0080】
次に、図102に示すように、組み立て者は、ユーザダイヤル508が迷路532に対して単一の方向のみに回転できるようにするためのダイヤルラチェット(dial ratchet)584を固着する。その後で、組み立て者は、ユーザダイヤル508およびそれに固着されたダイヤルトップ(dial top)588をデバイス上に置く(図103)。次いで、図104および図105に示すように、組み立て者は、ユーザボタン516を設置し、たとえばねじまたはボルトを使用してキャップ512をダイヤルラチェット584に固着する。
【0081】
図106に示すように、組み立て者はその後で、ガイドピン592をユーザダイヤル516およびキャップ512に挿入する。ガイドピン592は、たとえば接着剤を使用してユーザボタン516に固定される。最後に、図107および図108に示すように、組み立て者は、針カウンタ520を挿入して、頂部カバー524をデバイスに固定する。
【0082】
操作の際、交換デバイス100と同様に、交換デバイス500は最初にペン型注入器50に接続される。その後で、使用者は、複数の針200のうちの選択された1つが作動位置に配置されるように、ユーザダイヤル508を迂回経路に沿って針ホルダ560に対して回転させる。また、ユーザダイヤル508がこのように回転することによって、ユーザボタン516が径方向に伸長する。次に、使用者は、ユーザダイヤル508を近位方向に摺動させる。この行動によって、患者および針200が交換デバイス500の外側に露出し、針200の非患者端をペン型注入器50の薬物容器12と流体的に接続する。
【0083】
次いで、薬物の投与量を送達した後で、使用者はユーザボタン516を径方向内側に押し、それによって、針カウンタ520を進め、以降でユーザダイヤル508を遠位方向に摺動することを可能にする。ユーザダイヤル508をこのように遠位方向に摺動することによって、針200の患者端が底部ハウジング504で再び覆われ、針200の非患者端が薬物容器12から分離される。ユーザダイヤル508を遠位方向に摺動させると、複数の針200のうちの別の1つを選択するためにユーザダイヤル508の以降の回転も可能にする。
【0084】
図109および図110に示される一実施形態によれば、交換デバイス100または500は、ユーザボタン120ではなく、薬物を送達する準備が整っている状態にデバイスを保つ単純な受けスナップ(passive snap)を含む。
【0085】
以前に説明した実施形態ではペン型注入デバイスに言及しているが、本発明の実施形態は注射器などの他の薬物注入デバイスと共に使用できることが当業者には理解されよう。
【0086】
典型的なインスリン送達ペンでは、注射のたびにその後で使用者が針を交換することが必要である。これらの針は、ペンを設置してこれから取り外すのに最大6つの使用者ステップを要する。さらに、使用者は、針を操作するときに誤って針を突き刺しやすい。本発明の実施形態は、被覆され(contained)効率良く使いやすい方法で針を交換するための新規な手段を提供する。針の配列が、デバイス内に含まれるか、典型的なペン型注入器50の端に取り付けられるか、または同様に、特別に設計された送達デバイスに組み込まれる。デバイス自体は、使用者が新しい針を送達位置に前進させるための外部のねじれた(twisting)ダイヤルを有する。このダイヤルは、次に、ペン本体の近位方向に引っ張ることができる。使用者がダイヤルを元に戻すとき、新しい針の近位端がペンカートリッジ隔壁を穿通し、遠位端が送達部位に挿入するためにそれ自体を露出させる。一実施形態によれば、送達が完了すると、デバイスは急激に初期の引っ張られていない状態に戻り、ペンの隔壁から針を外し、針の露出された遠位端を覆う。別の実施形態によれば、使用者は、デバイスを摺動させて引っ張られていない状態に戻す。使用者は、ここで、次の針を送達位置または選択位置に前進させ、処理を再び開始してもよい。
【0087】
デバイス内において、迷路様の経路では、針がペン型注入器の遠位端のまわりに位置付けされる。1本の針が隔壁の直下で送達位置にクランプされるが、他の針はペンに対して同じ鉛直高さにある。デバイスがペンの方へ引き上げられると、送達針はその針ハブを通って摺動し、隔壁を穿通する。他の針は、ペン本体の上のより高いレベルに移動し、送達針の遠位端を露出させることを可能にする。一実施形態によれば、送達後、送達針は次に、針を隔壁内に持ち上げた同じクランプ機構に力を伝達するばねを介して隔壁から外される。隔壁から外された送達針は、残りの針と同じ高さに(ペンに沿って)戻る。使用済み針はこれで、迂回経路に移動され、送達位置から離れる準備が整い、新しい針が前進し、所定の位置に着く。次に、プロセスを繰り返すことができる。
【0088】
現在、全自動の針交換デバイスは市場にはない。針の格納、針の取り付け、針の取り外し、および針の処分を含む針交換プロセスの個々のステップを支援するデバイスがある。しかし、これらのデバイスのいずれも針交換プロセスを単一のデバイスに統合しない。
【0089】
本発明のデバイス内に収容される針の迂遠な帯(circuitous band)は、優れた格納機構として作用する。新しい針の上に無菌バリアがあると、汚染の可能性が大きく減少する。さらに、針の収容された帯は、格納部をペンと統合し、使用者が大型で扱いにくいキットを持ち運ぶ必要性を低減する。
【0090】
扱いにくく潜在的に危険な針の取り付けは、使用者にとってより簡単になるようになされた。デバイスのインタフェースは、典型的なペン型針ハブより使いやすい。本発明の実施形態では、使用者は、使い慣れたツイストグリップとインタフェースし、針を挿入して捻ってから引っ張る動作を行うことができる。現在、使用者は、針容器の頂部を取り外し、針をペンにねじり込み、針容器を除去して、次いで最後に針キャップを取り外す。針ハブをペン上に置くのに役立つ針格納デバイスはいくつかあるが、使用者は依然として、内側の針シースを含めて針ハブの包装を取り外して針ハブを典型的なインスリンペン上に置く必要がある。本発明の実施形態では、細心の注意を要する(meticulous)、小型で鋭利な針ハブを用いる典型的な4つのステップが、人間工学的なユーザインタフェースを用いる2つの直感的なステップに減少されている。
【0091】
針の取り外しおよび処分は、本発明の実施形態によって単純化されている。ペン本体から針を引っ張る針クリップデバイスおよび鋭利器具(sharps)容器を含む、使用後に針をペンから取り外すのに役立つデバイスがある。しかし、これらのデバイスは、本発明の実施形態より扱いにくい。本発明の一実施形態は、自動化された取り外しステップを含む。加えて、針シールドまたは覆いを含むことによって、本発明の実施形態は、送達後に隔壁から針を取り外し、使用者がさらに入力しなくても針を使用済み針格納部に置くことができる。
【0092】
いくつかの要因により、本発明の実施形態の信頼性は高い。たとえば、針ホルダは針の位置を固定することができる。加えて、ギア歯または軸方向溝を可撓性の針ホルダおよび中心スナップアームと組み合わせると、単純な前進機構を形成することができる。さらに、デバイスの底部に針を隔壁内に挿入させ、針ホルダを通して針を摺動させることによって、単純な係合機構を形成する。
【0093】
ユーザギア(user gear)/軸方向溝と針ホルダの間の係合は弾力的であり、それによって、システムの公差が緩くなる、すなわち製作公差はあまり小さくない。さらに、針の直線性および位置合わせは、適切な隔壁の係合には重要でない。
【0094】
ユーザダイヤルの回転度は、患者の器用さの問題に対応するために、本発明の実施形態では大きくすることができる。さらに、針ホルダは、デバイスが衝撃を受けた後でも針が所定の位置に留まることを確実にし、それによって本発明の実施形態を堅牢なものとすることができる。
【0095】
本発明の実施形態は、針交換プロセスを単一のデバイスに統合することができる。これで、針の格納、針の取り付け、針の取り外し、および針の処分は、単一のシステムにより達成することができる。
【0096】
新しい針は隔壁の下にあり、針の連続する帯を介してペン型注入器の流体系に取り付けられることができる。この帯は、針が摺動可能に装着されるハブを含むことができる。使用者は、この帯をダイヤルを用いて回転させ、新しい針を所定の位置に置いて、使用済みの針を格納部に移動させることができる。このダイヤルをペンに沿って上方に引っ張ることによって、送達針は次に帯ハブを通して摺動し、無菌バリアは針を滑り落ち、針が隔壁を穿通して、送達のためにそれ自体を露出させることを可能にする。
【0097】
本発明の一実施形態によれば、針は隔壁から取り外され、針シールドに取り付けられたロック解除機構を介して、デバイスに覆われる。このシールドは、針の挿入時に圧縮され、送達が行われていることを示す。本発明の一実施形態によれば、シールドがデバイス内に入ると、シールドは、針の取り付け時に圧縮されたばねのロックを解除する。次に、このばねがデバイスを解放して、ペンの遠位端の方へ戻す。デバイスは、ペンの隔壁から針を引っ張るアームを有する。
【0098】
本発明の一実施形態によれば、針ホルダは、外部ユーザダイヤル上のアームを介して迂回経路を通して引っ張られる。本発明の別の実施形態によれば、針ホルダは、ユーザダイヤルの軸方向スロットとの係合を介して迂回経路を通して引っ張られる。本発明のさらに別の実施形態によれば、針ホルダは、オピニオンシステムとラックの係合を介して迂回経路を通して引っ張られる。針ホルダがデバイスの中を蛇行するとき、単一のアームが曲がり部の全体にわたって係合される場合は、摩擦力が大きくなる。この原理は、アンカーに巻き付くロープと同様である。図111に示すように、各巻き付き度(degree of wrap)において、アンカー上のロープを引っ張るのに必要な力は増加する。
【0099】
【数1】

【0100】
上式で、FS1はロープによって引っ張られるのに必要な力、FS2はロープでFS1を引っ張るのに必要な力、μ0は摩擦係数、およびαは巻き付き角度である。
【0101】
本発明の一実施形態によれば、可撓性ハブインタフェースアームは、ユーザダイヤルの力が過剰でないことを確実にするために用いられる。
【0102】
針ホルダを介して針をリンクすることによって、各針に既知の位置が与えられ、処理を支援することができる。この針ホルダは、デバイスに突然のショック/衝撃が加えられた場合に針を安全に保つこともできる。
【0103】
本発明の例示的実施形態では、針交換デバイスに格納された新しい針、すなわち注射に使用される前の針は、それぞれ個別に滅菌され、それによって使用済みの針による新しい針の汚染を防止する。たとえば、無菌バリアは、新しい針それぞれに対して設けられる。
【0104】
本発明の別の例示的実施形態では、使用済みの針はそれぞれ、緊急時に使用者が使用済みの針を利用できるように、利用可能な状態を維持する。あるいは、前回使用した針のみが常に利用可能であり、それによって緊急時に利用可能な針を提供する。
【0105】
本発明の数個の実施形態を図示し説明してきたが、本発明は、説明した実施形態に限定されるものではない。代わりに、その範囲が特許請求の範囲およびその等価物によって定義される本発明の原理および趣旨から逸脱することなく、これらの実施形態に変更を加えることができることが当業者には理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物容器を有する薬物送達デバイス用の針を格納および交換するための装置であって、
前記装置を前記薬物送達デバイスと接続するための固定マウントと、
迂回経路に沿って変位可能で、その上に変位可能に配置された複数の針を接続する針ホルダと、
前記針ホルダの変位を案内するための案内部材であって、前記固定マウントのまわりに配置された案内部材と、
前記固定マウントのまわりに回転可能に配置され、前記迂回経路に沿って前記針ホルダを変位するための少なくとも1つの内部係合構造を有するユーザインタフェースと
を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記ユーザインタフェースは、前記ユーザインタフェースを回転させて前記迂回経路に沿って前記針ホルダを変位し、かつ選択された針を作動位置に位置付けるためのユーザインタフェースを提供することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記作動位置は前記装置の中心軸上にあることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ユーザインタフェースは、前記選択された針の患者端を前記装置の外側に露出させ、前記選択された針の非患者端を前記薬物容器と流体的に接続して、前記選択された針を再び覆うために前記固定マウントに対して軸方向に摺動可能であり、前記選択された針の前記患者端と前記非患者端は流体的に接続されることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記案内部材は、前記選択された針を前記作動位置に位置付けるための補強部材を備えることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記針ホルダを前記作動位置の方へ案内するための、前記固定マウントと接続された固定ポストをさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記固定マウントおよび前記固定ポストは一体構造として一体的に形成されることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記針ホルダを前記作動位置の方へ案内するための、前記固定マウントと接続された固定ポストをさらに備え、
前記固定ポストは、前記針が前記作動位置に位置付けられた後の前記ユーザインタフェースの回転および前記針ホルダの変位を選択的に防止するために、前記選択された針の上に変位可能に配置されたロックリングと選択的に係合するためのロック機能を備えることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項9】
径方向に変位可能な第2のユーザインタフェースであって、足を有する第2のユーザインタフェースをさらに備え、
前記固定マウントは、前記足の動きを案内するための摺動案内体を備え、前記摺動案内体は、下部停止部と、下部傾斜部と、上部停止部と、上部傾斜部とを有し、
前記ユーザインタフェースの前記回転および前記選択された針の前記作動位置への前記変位によって、前記第2のユーザインタフェースは径方向外側に変位し、それによって前記足を、前記下部停止部に隣接する位置から前記下部傾斜部に隣接する位置に変位させ、前記ユーザインタフェースの前記薬物送達デバイスの方への近位軸方向変位を可能にすることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記ユーザインタフェースの前記薬物送達デバイスの方への近位軸方向変位によって、前記選択された針の患者端が前記装置の外側に露出し、前記選択された針の非患者端が前記薬物容器と流体的に接続し、前記ロックリングが前記選択された針に対して変位し、前記下部傾斜の上にある前記足が、前記上部停止部に隣接する位置に変位し、それによって前記ユーザインタフェースの遠位軸方向変位が防止され、
その後で前記第2のユーザインタフェースの半径方向内向きの変位によって、前記足が、前記上部停止部に隣接する前記位置から前記上部傾斜部に隣接する位置に変位し、それによって前記ユーザインタフェースの遠位軸方向変位が可能になり、それにより前記選択された針が前記装置で再び覆われることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記選択された針に対する前記ロックリングの前記変位によって、前記選択された針を再び覆った後の前記ロックリングと前記固定ポストの前記ロック機能との係合が防止され、それによって、別の針を選択するための前記ユーザインタフェースの回転を可能にすることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
径方向に変位可能な第2のユーザインタフェースと、
前記固定マウントおよび前記ユーザインタフェースに対して回転可能な針カウンタと
をさらに備え、
前記ユーザインタフェースの前記回転および前記選択された針が前記作動位置に変位することによって、前記第2のユーザインタフェースが径方向外側に変位し、その後の前記第2のユーザインタフェースの半径方向内向きの変位によって前記針カウンタが前進することを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項13】
各針は、患者端と非患者端とを備え、その上に配置された中心ハブを有し、前記装置は、
前記固定マウントに対して摺動可能な底部ハウジングと、
前記装置の前記外側に露出する前の各針の少なくとも前記患者端の無菌性を確保するための無菌バリアとをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項14】
各針のための前記無菌バリアが、
前記針の前記患者端の一部分のまわりに配置された下部針ハブと、
前記下部針ハブに対して選択的に摺動可能なイントロデューサと、
前記イントロデューサに対して選択的に摺動可能なブーツであって、その遠位端に無菌床部を有するブーツと
を備え、
前記イントロデューサは、前記無菌床部の一部分を切断するための遠位切断先端と、前記ブーツと係合するための近位肩とを有し、
前記底部ハウジングに対する前記選択された針の遠位方向変位時に、前記ブーツと前記底部ハウジングの床部の接触の後で、前記イントロデューサが、前記ブーツに対して遠位方向に変位して前記無菌床部を切断し、
前記近位肩と前記ブーツの間の係合の後に、前記底部ハウジングに対する前記選択された針のさらなる遠位方向の変位によって、前記針ハブは前記イントロデューサに対して遠位方向に変位され、前記患者端の遠位端は前記装置の前記外側に露出されることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
各針のための前記無菌バリアは、前記針の前記患者端の遠位端に配置されたブーツを備え、
前記底部ハウジングに対する前記針の遠位方向変位時に、前記ブーツと前記底部ハウジングの床部の接触の後に、前記選択された針は前記ブーツの遠位端を穿通し、前記底部ハウジングの前記床部の開口を通過し、前記患者部分の端を前記装置の前記外側に露出させることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項16】
各針のための前記無菌バリアは、前記針の前記非患者端の近位端に配置されたブーツを備え、
前記固定マウントに対する前記選択された針の近位方向の変位中に、前記ブーツと前記薬物容器の隔壁の接触の後で、前記選択された針は前記ブーツの近位端を穿通し、前記隔壁を通過して、前記薬物容器の内部と流体連通することを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項17】
各針のための前記無菌バリアは、
前記針の両側に配置され、前記中心ハブのまわりに、および前記患者端の遠位端から遠位方向に離隔された位置で付着されてそれぞれのシールを形成し、その1対の下部部分は前記遠位付着部で近位方向に折られ、前記針ホルダに付着される1対の紙シートを備え、
前記紙の側縁は付着され、前記針を前記無菌バリア内で封止することを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項18】
前記無菌バリアは連続的に接続されることを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記ユーザインタフェースの前記内部係合構造は少なくとも1つの軸方向溝を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記ユーザインタフェースの前記内部係合構造は少なくとも1つの径方向内向きの突起を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項21】
薬物容器を有する薬物送達デバイス用の針を選択する方法であって、
前記薬物送達デバイスを、針を格納および交換するための装置と接続するステップと、
ユーザインタフェースを回転させて、迂回経路に沿って針ホルダ内に装着された複数の針のうちの1つを作動位置に変位させ、第2のユーザインタフェースも変位させるステップと、
前記ユーザインタフェースを近位方向に摺動させ、針の患者端を前記装置の外側に露出させ、前記針の非患者端を前記薬物容器と流体的に接続するステップと、
前記第2のユーザインタフェースを変位させて針カウンタを前進させるステップと、
前記ユーザインタフェースを遠位方向に摺動させ、前記患者端を再び覆って、前記非患者端を前記薬物容器から分離するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
前記ユーザインタフェースを回転させて、前記第2のユーザインタフェースを変位させる前記ステップによって、その後の前記ユーザインタフェースの近位方向の摺動が可能になることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第2のユーザインタフェースを変位させて針カウンタを前進させる前記ステップによって、その後の前記ユーザインタフェースの遠位方向の摺動が可能になることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記ユーザインタフェースを遠位方向に摺動させる前記ステップによって、その後の前記ユーザインタフェースの回転が可能になり、前記複数の針のうちの別の針を選択することができることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項25】
薬物容器を有する薬物送達デバイス用の針を格納および交換するための装置であって、
前記装置を前記薬物送達デバイスと接続するための固定マウントと、
前記固定マウントのまわりに軸方向に摺動可能に配置された案内部材であって、前記固定マウントと共に迂回経路の少なくとも一部分を形成する案内部材と、
前記迂回経路に沿って変位可能で、その上に変位可能に配置された複数の針を接続する針ホルダと、
前記固定マウントおよび前記案内部材のまわりに回転可能に配置され、前記案内部材と共に摺動するために前記固定マウントに対して軸方向に摺動可能なユーザインタフェースと
を備えることを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図72】
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【図73】
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【図74】
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【図75】
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【図76】
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【図77】
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【図78】
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【図79】
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【図80】
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【図81】
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【図82】
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【図83】
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【図84】
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【図85】
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【図86】
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【図87】
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【図88】
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【図89】
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【図90】
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【図91】
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【図92】
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【図93】
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【図94】
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【図95】
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【図96】
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【図97】
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【図98】
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【図99】
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【図100】
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【図101】
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【図102】
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【図103】
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【図104】
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【図105】
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【図106】
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【図107】
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【図108】
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【図109】
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【図110】
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【図111】
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【公開番号】特開2012−45384(P2012−45384A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−177937(P2011−177937)
【出願日】平成23年8月16日(2011.8.16)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】