説明

迅速加熱式電気ヒーター

【課題】熱転換効率の向上を達成する迅速加熱式電気ヒーターを提供する。
【解決手段】コントロールユニット2、液体管路11を備え、液体管路11を複数の加熱セクションAに区分し、各加熱セクションAの内部にはそれぞれ電熱棒12を収容して設置し、電熱棒12は熱エネルギーを加熱セクションAを流れる液体に供給し、液体は熱エネルギーを吸収して温度が上昇し、コントロールユニット2は複数のコントロール部品22を備え、各コントロール部品22は各電熱棒12にそれぞれ対応して電気的に連接し、電熱棒12をそれぞれコントロールし、各コントロール部品22は散熱管路23に密着して設置し、散熱管路23をコントロール部品22の散熱装置とし、液体管路11を多段階の加熱セクションAに区分し、対応する電熱棒12を設置するため、液体管路11内の液体は大面積の加熱源に接触することができ、こうして熱エネルギーを迅速に吸収し、迅速温度上昇の目的を達成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は迅速加熱式電気ヒーターに関し、特に多数の加熱セクションに多数の電熱棒を対応させ、液体に対して加熱プロセスを行い、熱転換効率の向上を達成する迅速加熱式電気ヒーターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電気ヒーターには、特許文献1の「スポイラー構造を備える電気温水器」がある。その加熱用本体内部には、加熱部品、コイル、熱導管を設置する。加熱部品と熱導管を通して、本体内部の液体を加熱する。しかし、本体内部に大量の液体を収容するため、加熱過程により多くの時間がかかり、しかもより大きなエネルギーを消費しなければ液体を設定温度まで加熱することができない。これでは、熱転換効率が悪い他、加熱時間が長すぎ、エネルギー消費が大きいという大問題が存在する。
【0003】
特許文献2が開示する「液体加熱器」は加熱管、導電コンポーネント、導電コンポーネントに電気的に連接するコントローラーを備える。加熱管は、導熱性の連続湾曲状管体上を合金電熱層で覆い、導電コンポーネントは、正、負極導電部品により、合金電熱層にそれぞれ接触する。これにより、合金電熱層に通電し発生する熱は、管体上に迅速に分布し、迅速加熱の効果を達成することができる。この他、さらに管体の入水端に、導流ブレードを増設し、或いは管体内管壁に、螺旋導流部を形成する。これにより、水流のスムーズ性を拡大し、水の加熱速度を加速することができる。
【0004】
上記した特許文献2は、特許文献1の熱転換効率が悪く、エネルギー消費が大きいという問題を解決することができるが、やはり以下の問題が存在する。
(1)合金電熱層は、連続湾曲状管体上を覆うため、合金電熱層が故障或いは損壊すると、連続湾曲状管体全体を交換しなければならず、非常に不便である。
(2)合金電熱層は、全体が起動するか、全体が起動しないかの作動方式しかないため、エネルギー出力のコントロールにおいて、容易でなく、これによりエネルギーを浪費する恐れがある。
(3)合金電熱層を使用し液体に対して加熱するため、コントローラーが電力出力をコントロールする上で容易でなく、出力される液体温度の安定性に影響を及ぼし、恒温効果が不良である。
(4)合金電熱層が発生する熱エネルギーは、先に、連続湾曲状管体に伝えられ、次に管体内部の液体に伝えられるため、熱転換効率が悪く、熱エネルギーの散逸が速い。
本発明は、従来の電気ヒーターの上記した欠点に鑑みてなされたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】台湾実用新案公告第M371863号公報
【特許文献2】台湾実用新案公告第M404951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、液体加熱装置の熱交換効率とエネルギーの有効利用を高めることができ、従来の液体加熱装置に存在する問題を解決することができる迅速加熱式電気ヒーターを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の迅速加熱式電気ヒーターは、液体に対して加熱プロセスを行い、加熱ユニット、コントロールユニットを備え、該加熱ユニットは、液体管路を備え、該液体管路には、入口及び出口を設置し、該液体管路の入口と出口の間は、複数の加熱セクションに区分し、該各加熱セクションの内部には、それぞれ電熱棒を収容して設置し、該液体管路は、入口に近い位置に、第一液体温度感知部品を設置し、該コントロールユニットは、コントロール回路板を備え、該コントロール回路板は、複数のコントロール部品に電気的に連接し、該各コントロール部品は、該各電熱棒にそれぞれ対応して電気的に連接し、該電熱棒をそれぞれコントロールし、該各コントロール部品は、散熱管路に密着して設置し、該散熱管路には、両端を設置し、その内の一端は、該液体管路の入口に連接して通じ、もう一端は、流体スイッチに連接し、該流体スイッチは、該コントロール回路板に電気的に連接し、該液体管路の加熱セクションは、並列設置を呈し、該電熱棒も、並列設置を呈し、すべての電熱棒出力の総電力を固定するという条件下で、該各電熱棒が発生する電力値は、該液体管路の入口に近い電熱棒から、該液体管路の出口に近い電熱棒へと減少していき、該液体管路出口に近い位置には、第二液体温度感知部品を設置し、該第二液体温度感知部品は、該コントロールユニットに電気的に連接し、該コントロール部品は、トライアックで、該コントロール部品は、散熱管路に螺合して設置し、該コントロールユニットは、電子式コントロールユニットである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の迅速加熱式電気ヒーターには、以下の効果が存在する。
1.多数の加熱セクションに対応する電熱棒を配置するため、液体管路内の液体は迅速に大量の熱エネルギーを吸収でき、迅速加熱の目的を達成し、熱転換効率が良い。
2.電子式のコントロールユニットを利用するため、より正確、かつ迅速に温度をコントロールでき、恒温の機能にも優れている。
3.コントロール部品が発生する熱エネルギーは、散熱管路内の液体により発散され、コントロール部品が作動過程で高温になりすぎるという問題を回避することができる。
4.散熱管路がコントロール部品が発生する熱エネルギーを吸収することで、液体予熱の効果を達成し、廃熱再利用の効果を実現する。
5.各電熱棒を調整して違った電力を出力させることで、総電力不変の条件下で、より高い熱転換効率を達成し、同時に、エネルギー消費を削減して、液体が設定温度に達するまでの時間を短縮することができる。
6.各電熱棒は対応する加熱セクションにそれぞれ収容して設置するため、電熱棒を単独で交換することができ、メンテナンスコストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る実施例各部構成部品の対応関係を説明する模式図(その1)である。
【図2】本発明に係る実施例各部構成部品の対応関係を説明する模式図その2)である。
【図3】本発明に係る実施例の実施作動を説明する模式図である。
【図4】本発明に係る実施例の電熱棒の電力分布を説明する模式図である。
【図5】本発明に係る実施例のコントロール部品と散熱管路の対応関係を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照しながら本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【実施例】
【0011】
先ず、図1、2に示すように、本発明の実施例である迅速加熱式電気ヒーターは、加熱ユニット1、コントロールユニット2を備える。
【0012】
加熱ユニット1は、液体管路11を備え、液体の加熱流道とする。液体管路11には、入口111及び出口112を設置し、これにより液体は、入口111から液体管路11に進入し、加熱プロセスを経て、出口112から流出する。液体管路11の入口111と出口112の間には、複数の加熱セクションAを区分する。
【0013】
各加熱セクションAの内部には、それぞれ電熱棒12を収容して設置する。電熱棒12は、熱エネルギーを、加熱セクションAを流れる液体に供給し、これにより液体は熱エネルギーを吸収し温度が上昇する。すなわち、電熱棒12の表面が発熱すると、加熱セクションAを通過する液体は、熱伝導を通じて電熱棒12表面の熱エネルギーを吸収し、液体温度が上昇する。
【0014】
液体管路11は、入口111に近い位置に、第一液体温度感知部品13を設置し、液体管路11に流入する液体温度を感知する。出口112に近い位置には、第二液体温度感知部品14を設置し、液体管路11から流出する液体温度を感知する。本実施例の加熱セクションAと電熱棒12は、並列設置を呈し、これにより加熱ユニット1の体積を縮小することができる。
【0015】
コントロールユニット2は、コントロール回路板21を備える。コントロール回路板21は、電子式のコントロール回路板21で、内蔵式の温度コントロールソフトウェアを設置し、電機式のコントロール回路板に比べ、より多段階の温度コントロールを行うことができ、コントロール反応速度もより速い。
【0016】
コントロール回路板21は、複数のコントロール部品22に電気的に連接する。コントロール部品22は、トライアック(triac)である。各コントロール部品22は、各電熱棒12にそれぞれ対応して電気的に連接し、各電熱棒12の作動、或いは不作動をそれぞれコントロールする。各コントロール部品22は、散熱管路23に密着して設置する。
【0017】
散熱管路23は、コントロール部品22の散熱装置とし、本実施例中では、コントロール部品22は、散熱管路23に螺合して設置する。散熱管路23には、両端を設置し、その内の一端は、液体管路11の入口111に連接し、通じ、もう一端は、流体スイッチ24に連接する。
【0018】
流体スイッチ24は、コントロール回路板21に電気的に連接し、流体が、流体スイッチ24を経過したか否かの信号を伝送する。液体は、流体スイッチ24から進入し、散熱管路23を経て、液体管路11に流入し、コントロールユニット2により、加熱プロセスのコントロールを行う。
【0019】
図3に示すように、本実施例中では、加熱セクションAと電熱棒12は、各6個設置する。先ず、コントロールユニット2に対して、温度設定を行う(液体を40℃まで加熱する等)。作動時に、流体スイッチ24が液体の通過を探知すると、信号を、コントロールユニット2のコントロール回路板21まで伝送し、コントロール部品22を執行し、電熱棒12を駆動する。
【0020】
同時に、第一液体温度感知部品13を通して、加熱前の液体温度(例えば、20℃)を感知し、コントロールユニット2は、内蔵式ソフトウェアを通して、20℃からの上昇に必要な総電力を計算する。並びに、各コントロール部品22により、電熱棒12をそれぞれコントロールし、それぞれ電力を出力する。これにより、それぞれに加えた電力の総和が、必要な総電力となり、こうして液体管路11内の液体を加温する。同時に、設定温度に達するまで、第二液体温度感知部品14を通して、加熱後の液体温度を感知し、信号を、コントロールユニット2のコントロール回路板21に伝送してフィードバックを行う。
【0021】
液体管路11に、多段階の加熱セクションAを設置し、対応する電熱棒12を設置するため、液体管路11内の液体は、大面積の加熱源に接触することができる。こうして、熱エネルギーを迅速に吸収し、迅速に温度を上げる効果を達成する。これを、電気温水器に適用すれば、温度出力が安定し、加熱は迅速になり、温度調整も迅速である等の長所を達成することができる。
【0022】
図4に示すように、液体の加熱効率を高めるため、出力総電力を固定した条件で、各電熱棒12の出力電力を調整する。すなわち、液体管路11の入口111に近い液体温度は比較的低く、温度を上げるにはより多くの電力が必要であるが、液体管路11の出口112に近い液体温度は比較的高く、温度上昇に必要な電力は比較的少ない。出力総電力を変えないという条件下で、各電熱棒12が発生する電力値は、液体管路11の入口111に近い電熱棒12から、液体管路11の出口112に近い電熱棒12に向かい減少する。こうして、液体の加熱効率はより向上し、同時に、別に電力を増やす必要もないため、省エネの目的を達成することができる。
【0023】
図5に示すように、コントロール部品22は、電熱棒12をコントロールして作動させ高温を発生させるため、もし、コントロール部品22が受ける温度が高すぎれば、コントロール部品22が損壊し、故障が発生する。この問題を解決するため、本実施例中では、コントロール部品22を、散熱管路23に密着させて固定し、コントロール部品22の散熱装置とする。すなわち、散熱管路23内を流動する液体により、コントロール部品22が発生する熱エネルギーを吸収し、コントロール部品22の作動温度を比較的低温に維持する。
【0024】
この他、液体が、液体管路11に進入する前に、コントロール部品22が発生する熱エネルギーをいくらか吸収することで、液体の温度を高め、これにより後続の加温プロセスを助ける。こうして、上記した手段を通して、コントロール部品22の作動温度を安定させ、廃熱を再利用し、液体を予熱する等の目的を達成することができる。さらに、液体を予熱すると同時に、節電と加熱時間短縮の効果をも達成することができる。
【0025】
上記の本発明名称と内容は、本発明技術内容の説明に用いたのみで、本発明を限定するものではない。本発明の精神に基づく等価応用或いは部品(構造)の転換、置換、数量の増減はすべて、本発明の保護範囲に含むものとする。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は特許の要件である新規性を備え、従来の同類製品に比べ十分な進歩を有し、実用性が高く、社会のニーズに合致しており、産業上の利用価値は非常に大きい。
【符号の説明】
【0027】
1:加熱ユニット
11:液体管路
111:入口
112:出口
12:電熱棒
13:第一液体温度感知部品
14:第二液体温度感知部品
2:コントロールユニット
21:コントロール回路板
22:コントロール部品
23:散熱管路
24:流体スイッチ
A:加熱セクション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱ユニット、コントロールユニットを備える、迅速加熱式電気ヒーターであって、
前記加熱ユニットは、液体管路を備え、前記液体管路には、入口及び出口を設置し、前記液体管路の入口と出口の間は、複数の加熱セクションに区分し、各加熱セクションの内部には、それぞれ電熱棒を収容して設置し、前記液体管路は、入口に近い位置に、第一液体温度感知部品を設置し、
前記コントロールユニットは、コントロール回路板を備え、前記コントロール回路板は、複数のコントロール部品に電気的に連接し、前記各コントロール部品は、前記各電熱棒にそれぞれ対応して電気的に連接し、前記電熱棒をそれぞれコントロールし、前記各コントロール部品は、散熱管路に密着して設置し、前記散熱管路には、両端を設置し、その内の一端は、前記液体管路の入口に連接して通じ、もう一端は、流体スイッチに連接し、前記流体スイッチは、前記コントロール回路板に電気的に連接することを特徴とする迅速加熱式電気ヒーター。
【請求項2】
前記液体管路の加熱セクションは、並列設置を呈し、前記電熱棒も、並列設置を呈し、すべての電熱棒が出力する総電力が固定であるという条件下では、前記各電熱棒が発生する電力値は、前記液体管路の入口に近い電熱棒から、前記液体管路の出口に近い電熱棒へと減少していくことを特徴とする請求項1に記載の迅速加熱式電気ヒーター。
【請求項3】
前記液体管路出口に近い位置には、第二液体温度感知部品を設置し、前記第二液体温度感知部品は、前記コントロールユニットに電気的に連接することを特徴とする請求項1に記載の迅速加熱式電気ヒーター。
【請求項4】
前記コントロール部品は、トライアックであることを特徴とする請求項1に記載の迅速加熱式電気ヒーター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−186164(P2012−186164A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−40873(P2012−40873)
【出願日】平成24年2月28日(2012.2.28)
【出願人】(512050405)
【出願人】(512050416)
【出願人】(512050427)
【Fターム(参考)】