説明

迅速診断アッセイ

ポイントオブケアの医師が、上気道感染(URI)咽頭炎など疾病の原因を特異的に識別するために使用することができる、迅速かつ使用が容易な診断ツールを開示する。そのような疾病は、複数の潜在的な原因病原を有し、いくつかの複合的な臨床発現を有する。診断ツールは、忙しいポイントオブケアの医師に、患者の流れに影響を与えない時間内でアッセイ結果を提供するために、迅速である。通常そのような医師に可能な時間は、最高で10分未満であり、そのため、複数の病原を迅速に検出するアッセイは、10分未満で検出を行うものとみなされる。診断ツールは、最小限の訓練で、かつ前記医師の環境の範囲内で、動作させることができる。診断ツールは、従来技術の装置を上回る、特異度および感度を有する。ツールは、自己完結型であり、それによって、感染症の蔓延を制御することを助け、使用済みの機器の処分の負担を緩和する。ツールは、ポイントオブケアにて複数の病原の有無を迅速に検出するための複数の核酸診断アッセイを可能にするように構成された、診断カードを備える。ツールは、カードと相互作用しアッセイ分析手段を有する、装置を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2004年11月4日出願の米国特許出願第10/981,369号、およびそれに部分的に基づくその継続出願である2005年11月4日出願の米国特許出願第・・・号(整理番号第3013773US02)の出願日の利益を主張する。
【0002】
本発明は、医学診断法に関し、より具体的には、迅速な核酸診断法に関する。
【背景技術】
【0003】
医学的状態を迅速かつ正確に診断する能力は、患者、医師、および支払者に重大な利益をもたらす。迅速な応答時間の要望により、結果的な検査がこのシステムを用いない比較可能な検査よりも効率的に実施されるように、リアルタイムまたはほぼリアルタイムの診断検査を行うことができる場所であるポイントオブケアに送達することができる検査を、容易にすることが必要となる。ポイントオブケア検査は、どこであってもその治療が必要とされている、患者の治療場所またはその付近での検査である。検査結果まで10分未満の迅速な応答時間によって、リアルタイムの証拠に基づく判断、患者の即時の処置、不必要な検査が最低限に抑えられること、経験的な薬物投与が最低限に抑えられること、および継続管理が行われない患者がより少なくなることを含めて、多くの利益がもたらされる。これらの利益を、診断の精度と組み合わせると、この医療システム全体に大幅なコスト効率性がもたらされる。
【0004】
ポイントオブケアにて医学的状態を迅速に診断することによる利益は、他の発明者によって認識されている。たとえば、米国特許第6,394,952号では、イムノアッセイ、心電図、X線およびその他の検査を含めた、多数のポイントオブケア診断検査またはアッセイからの患者データを処理し、医学的状態または危険性の徴候、あるいはそれがないことを示すように設計された、ポイントオブケア診断システムが開示されている。多数組の患者データの処理は、ポイントオブケアの医師が、様々なタイプの医学的状態を診断することを助けることを目的としている。
【0005】
ポイントオブケアの医師の状況には、1つの疾病群により生じるいくつかの複合的な臨床的発現が存在する。そのような疾患群は、上気道感染症、下気道感染症、性交渉感染症などを含む。本出願は、徴候群の一例として上気道感染症(URI)に焦点を当てるが、本発明がその他広範な徴候群に応用可能であることを、当業者は理解されたい。
【0006】
核酸を使用する迅速な感染症検査のための分子生物学分野には、心血管応用例も存在する。たとえば、感染症は、弁膜症の原因(リウマチ性心疾患におけるGABHS)、および(ウィルス性の外膜炎または心筋炎におけるような)心臓組織自体の炎症の原因であるとして示されてきた。迅速かつ正確な処置計画につながる、原因物質の迅速な予測のために、心臓を取り囲む組織または体液の試料を使用することができる。さらに、心筋梗塞の危険を予測するために、遺伝子の特異的な対立遺伝子の検査を使用することができる。たとえば最近、遺伝子の特異的な対立遺伝子が、キャリヤにおける約2倍の心筋梗塞の平均危険度を与えることが確認されてきた。
【0007】
ガンの検出および治療は、特異的な染色体異常を迅速に検出するための核酸検査を使用することによって、向上させることができる。たとえば、CMLは、染色体9と22の単一の転座を伴い、フィラデルフィア染色体を作り出す。突然変異特定プライマー(インベーダアッセイによって使用されるものなど)の応用によって、この異常を検出することができ、診断および治療を即座に行うことができる。核酸検査はまた、第5因子ライデン異常症の点突然変異など突然変異を含めた、体質性の遺伝子疾患の診断にも応用することができる。第5因子ライデンによって、血液が過凝固となり、血栓形成の素因が個人にもたらされる。この疾患のための迅速な応答時間は、術後治療に影響を与えかつそれを改善することができ、エストラゲンまたは経口避妊薬などいくつかの医薬品を処方する前に、使用することができる。
【0008】
腺の肥大、発熱、咽頭痛など臨床症状の組合せの原因となる、多くの病原、ウィルス、および細菌がある。これらの臨床的発現は、上気道感染症の1つである咽頭炎に関連する。咽頭炎を引き起こす多くのウィルスは、利用可能な治療による作用を受けない。長期合併症の原因となる可能性がある咽頭炎のその他の原因は、治療可能であり、それらの病原の診断は、非常に重要である。これらは、化膿連鎖球菌、およびインフルエンザA型ウィルス、インフルエンザB型ウィルス、およびエプスタイン−バーウィルス(EBV)を含む。咽頭炎のその他の原因のために開発された治療が将来的に存在する可能性が非常に強いが、その場合、これらの病原を、本明細書に記載される発明に加えることができる。
【0009】
米国では毎年、上気道感染症による7200万件の外来診療がある。発熱、咽頭痛、および腺の肥大の症状を示す患者は、化膿連鎖球菌、インフルエンザA型、インフルエンザB型、エプスタイン−バーウィルス(EBV)、または様々なより軽い病原に感染していることがある。診断は、臨床的徴候および症状が不明確であること、また現在の検査戦略が不正確であることにより、複雑となる。議論したように、咽頭炎の原因となる感染物質の大多数はウィルスである。成人例のわずか5から15%が、細菌によって引き起こされ、グループAβ型溶血連鎖球菌(GABHS)が最も一般的な病因である。未成年では、GABHSがはるかに一般的であり、咽頭炎の例の約30%を占める。インフルエンザにより生じる呼吸器疾患は、症状のみに基づいて、その他の呼吸器病原により生じる疾患と区別することが困難である。
【0010】
ウィルス性原因物質が圧倒的多数であるにもかかわらず、1992年に咽頭炎と診断された成人の76%および未成年の71%が、抗生物質を用いて治療された。抗生物質の使用率が高いことは、薬物耐性の問題がありまた抗生物質のコストが高いので、憂慮すべきである。近年、抗生物質の過剰使用に対する認識が、医学界および一般市民の両方で全体的に高まっている。ウィルス性、細菌性、真菌性、および寄生性感染症を識別することを助けるために、ポイントオブケアの医師が利用可能な、正確かつ迅速な診断ツールによって、抗生物質の高い使用率が大幅に低減されるであろう。というのも、ポイントオブケアの医師が、正確な診断を有し、患者が診療所を離れる前に後続の治療計画が完成するからである。
【0011】
咽頭炎およびその他の上気道感染症に利用可能な現在の診断検査、すなわちいくつか挙げると、培養アッセイ、血清アッセイ、免疫蛍光アッセイ、迅速な抗原検査、および実験室ベースのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)アッセイ検査などがある。これらはそれぞれ、異なる方法路の予備装置を用いて行われる。
【0012】
患者が咽頭炎の症状を示すときに医師が用いる、多くの診療パターンがある。たとえば、迅速な連鎖球菌抗原検査を行う医師がいる。しかし、検査の正確さが可変であるため、多くの医師は、培養を用いて陰性検査結果を引き続き行い、陰性検査結果の後であっても、抗生物質を処方し、または迅速な検査を使用しない。 培養が使用される場合、個人は抗生物質の処方前に1日以上結果を待つか、抗生物質治療の過程を直ちに開始しなければならない。
【0013】
迅速な連鎖球菌抗原検査の後に、医師は、引き続き迅速なインフルエンザ検査を行うことがある。インフルエンザは、初めの24〜48時間以内に診断されない場合、抗ウィルス剤を用いた治療が有効とならない。また現在の咽頭炎診断診療が順次的な性質であることによって、診断から除外されることが多い単核細胞症の場合に特に、検査および引き続きの外来診療によりコストがさらに追加される。この逐次的な検査技法は、労力を要し、非効率的である。
【0014】
本発明は、咽頭炎の治療可能な原因と治療不可能な原因とを区別するために、核酸検査を利用する。当然、核酸に基づくアッセイは、当業界でしばらくの間知られてきた。PCRの発明は、生命科学における新しい時代の先駆けとなり、米国特許第4,683,195号および同第4,683,202号に記載されている。核酸検査は、イムノアッセイなどその他の検査方法に優る、いくつかの重大な利点を提供する。核酸検査は、一般に、抗体/抗原検査よりも正確である。従来、核酸検査は、制御された環境において熟練の技術者を用いる、臨床検査室の状況に限定されていた。核酸検査は、化学療法中の、またはHIVを有する個体など、免疫無防備状態の個体に対して極めて有益である。そのような個体は、現在の迅速なイムノアッセイ検査で陽性結果を生み出すのに十分な免疫応答を開始させることができない。核酸検査の別の利点は、核酸検査の感度によって、イムノアッセイを行うために必要とされるよりも小さい体積を有する単一試料が可能になり、または、鼻孔などその他の試料部位よりも低い濃度で特定の病原を含むことがある喉など1つの部位から、鼻孔などその他の試料部位よりも低い濃度で特定の病原を含むことがある単一試料を、収集することができることである。本発明における核酸検査のさらなる利点は、この手法によって、インフルエンザなど、病原の特殊株の検出が可能になり、それにより、汎流行性の事態が生じた場合に、ワクチン開発にさらなる時間が提供されることによって、医学界がよりよく準備し、生命の損失が制限されることである。
【0015】
核酸PCRに基づくアッセイは、通常、大規模なベースで、臨床検査室状況において実施されるが、流体カード上で企図されてきたものもある。たとえば、米国特許第5,994,056号は、核酸増幅および検出のための均質的方法に取り組んでいる。しかし、そこで開示される発明は、通常48ウェルまたは96ウェルの機器を備える大型の自動設備を用いる、検査室環境にのみ応用可能である。米国特許第6,440,725号は、複製濃度が低い、核酸などの検体を検出する感度を増大することを可能にする、一体化された流体操作カードを記載する。しかし、該特許で開示された装置は、1つのカードにつき1つの病原のみを検査し、ポイントオブケアの医師が許容可能な時間枠内の、迅速な診断用に設計されていない。
【0016】
さらに、診断のための上記装置および方法の多くは、複雑であり使用が困難である。これらの装置は、訓練された技術者によって使用されなければならず、厳密なガイドラインの下で実施されない場合、エラーを生じやすい。訓練されていない技術者にとっても使用が容易な、診断装置を提供することが好ましい。たとえば、米国では、1988年の臨床実験改善修正法(CLIA)で、検査がどこで実施されるかに関わらず、患者の検査結果の精度、信頼性、およびタイムラインを保証するために、すべての研究室検査のための品質規格が規定された。CLIAの下で、問題の検査が、非常に単純であるためエラーの危険性がほとんどないことが、疾病管理センターまたは食品薬品局によって決定される場合、CLIA法の多くの連邦要件が適用されない。たとえば、グルコースおよびコレステロールのためのいくつかの検査方法は、いくつかの妊娠検査、糞便潜血検査、またはいくつかの尿検査などと同様に、非適用となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
したがって、共通の臨床的発現(症状)を有し、複数の潜在的な原因病原を有するURI咽頭炎など疾病の原因を特異的に識別するために、ポイントオブケアの医師が使用することができる、迅速かつ使用が容易であり、CLIAを非適用とすることができる診断ツールが必要とされ続けている。診断ツールは、多忙な医師に、患者の流れに悪影響を与えない時間内でアッセイ結果を提供するために、迅速でなければならない。一般にポイントオブケアの医師に可能な時間は、最高でも10分未満であり、そのため、複数の病原を迅速に検出するアッセイは、10分未満で検出を行うものとみなされる。診断ツールは、医師が、最低限の訓練で、医師の環境の限界内でそのツールを動作させることができるように、使用が容易でなければならない。好ましくは、診断ツールの特異度および感度は、従来技術を上回らなければならない。ツールは、好ましくは、自己完結型であり、それによって、感染の蔓延を制御することを助け、使用された機器の処理の負担を緩和する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
したがって本発明の目的は、ポイントオブケアの医師が、複数の潜在的な原因病原を有する臨床症状の原因を特異的に識別するために使用することができる、迅速かつ使用が容易な診断ツールを提供することである。
【0019】
本発明の別の目的は、患者の流れに影響しない時間内でアッセイ結果をポイントオブケアの医師にもたらす、診断ツールを提供することである。
【0020】
本発明のさらに別の目的は、10分未満でアッセイ結果をポイントオブケアの医師にもたらす、診断ツールを提供することである。
【0021】
本発明の別の目的は、ポイントオブケアの医師が、最小限の訓練で、通常忙しいポイントオブケアの医師の環境の範囲内で動作させることができる、診断ツールを提供することである。
【0022】
本発明の一目的は、ポイントオブケアの医師が、複数の潜在的な原因病原を有する臨床症状の原因を特異的に識別するために使用することができる、特異度および感度が従来技術の装置より改善された、迅速かつ使用が容易な診断ツールを提供することである。
【0023】
本発明の一目的は、ポイントオブケアの医師が、複数の潜在的な原因病原を有する臨床症状の原因を特異的に識別するために使用することができ、自己完結型であり、それによって感染の蔓延を制御することを助け、使用済みの機器の処理を容易にすることを助ける、迅速かつ使用が容易な単回使用診断ツールを提供することである。
【0024】
本発明のさらに別の目的は、ポイントオブケアの医師が、複数の潜在的な原因病原を有する臨床症状の原因を特異的に識別するために使用することができるが、ポイントオブケアの医師が患者から単一試料を獲得することのみが要求される、迅速かつ使用が容易な診断ツールを提供することである。
【0025】
本発明のさらに別の目的は、ポイントオブケアの医師が、複数の潜在的な原因病原を有する臨床症状の原因を特異的に識別するために使用することができるが、ポイントオブケアの医師が患者の単一部位から単一試料を獲得することのみが要求される、迅速かつ使用が容易な診断ツールを提供することである。
【0026】
これらおよびその他の目的は、核酸検査を利用し、ポイントオブケアの医師が単一の検体試料および単一のカードを用いた1つの手順を用いて複数のタイプまたは分類の病原を検査することを可能にする、診断ツールを提供することによって達成される。単一カード上の核酸手法によって、根本的な原因が、細菌、ウィルス、真菌、寄生体、またはそれらの組合せなど何の病原であるかに関わらず、ポイントオブケアの医師が、わずか1つのカードを用いて共通の臨床発現または症状の原因を診断することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本明細書に記載する本発明は、迅速に、かつ診療所、ベッドサイド、屋外、または救急室などポイントオブケアにて実施することができる、診断検査を提供する。本明細書で使用するポイントオブケア検査とは、迅速な時間枠内で行うことができ、そのため結果的な検査がこのシステムを用いない比較可能な検査よりも速く実施される、リアルタイムまたはほぼリアルタイムの診断を指す。ポイントオブケア検査は、治療がどこで必要とされているとしても、患者の治療現場またはその付近にて行われる検査である。
【0028】
本明細書で使用する診断とは、疾病、疾患、またはその他の医学的状態の、有無、重傷度、または治療過程を判断する、予測プロセスを指す。本明細書で使用する患者または被験者とは、診断がそのために企図されるいかなるほ乳類も含む。好ましい被験者は、ヒトである。
【0029】
本発明は、選択された核酸を試料から検出することを対象とする。試料中の核酸は、ゲノムDNA、および/あるいは、ミトコンドリアDNA、メッセンジャーRNA、リボゾームRNAまたはウィルスのRNAなどその他の核酸の配列となる。適当な核酸試料は、一本鎖または二本鎖のDNAまたはRNAを含む。選択される核酸はそれぞれ、検出される病原のうちの1つに対して特異的である。メッセンジャーRNAの検出は、生きている病原か死んだ病原かを区別する能力をもたらす。メッセンジャーRNAは、複製が活性であることを反映するものであり、通常約30分以内に分解するので、メッセンジャーRNAは活性病原の良好な指標である。
【0030】
ここで図1を参照すると、本明細書に記載する診断ツール10は、内蔵型カード14と相互作用する試料収集装置12を使用し、この装置は、上気道感染の特異的な診断においてポイントオブケアの医師が使用するために設計されており、本発明の一実施形態を表す。カード14は、試料に曝露され、携帯式および/またはデスクトップ装置16と機械的に相互作用するように配置され、好ましくは、以下でより詳細に議論されるように、装置16と流体連通する。装置16は、当業界で知られるように、電源17によって電力を供給される。上述のように、上気道感染症、性交渉感染症、および泌尿生殖器の状態を含むがそれらに限定されない多数の広範な臨床群の特異的な診断に、本発明を利用することができる。その他の広範な臨床的発現と一致させるために、あるいは、熱帯または戦場環境など特異的な環境における共通の臨床的発現を診断するよう適合されるように、別の群の異なる病原を選択することができる。本発明者らは、本明細書において、単一カード上で複数の病原を迅速かつ効率的に検査する診断ツールを記載し、病原は、その共通の臨床的発現のために選択される。
【0031】
この診断ツールの使用は、最初に試料を患者から収集することを含む。様々な試料収集方法が、当業界で知られている。たとえば、咽頭炎の特異的原因の診断では、試料は通常、軸の遠位端に配置された綿棒を用いて、患者の喉、口、または鼻から収集される。様々な試料収集方法が存在し、方法は、所望される特定の試料にいくらか依存して選択されることが、当業者には理解されるであろう。
【0032】
好ましい実施形態では、試料収集装置は、目標量の試料を収集する。当然、いくつかのアッセイは、正確な結果をもたらすために、必要量の試料流体を要求するので、収集される試料の厳密な量を知ることは有利である。いくつかの状況では、産出される廃棄材料の量を最低限に抑えるために、カード14に導入される試料の量を制限することが好ましい。試料サイズは、試料収集装置の構成によって、あるいは、以下でより詳細に示す受入れポートまたは固体支持部のサイズの構成を用いることができるカードによって、制限することができる。さらに、カードに導入される試料の量を知ることによって、試料内に存在する病原の量を定量化する方法を、当業者は理解するであろう。図2aを参照すると、試料収集装置12または綿棒の一例が示されている。綿棒12は、軸101を備え、軸101は、医師が軸101の近位端を把持し、患者の喉の奥から試料を収集することを可能にするのに適当な長さである。軸101の遠位端に、単一または複数の剛毛103が配置される。剛毛は、親水性プラスチックなど、目標の試料体液と共に表面張力を生み出すいかなる材料で製作することもできる。剛毛103は、剛毛103と目標の試料体液との間に表面張力を生み出す、所定の大きさの表面積を有し、その結果、具体的に選択された量の試料流体が、綿棒12上に保持される。
【0033】
図2bに示す一代替実施形態では、綿棒12は、上記の剛毛ではなく、軸101の遠位端に配置された毛細管104を有する。毛細管104は、たとえば喉の奥の体液と接触し、選択された量の試料を毛管作用によって管104内へと引き込むことによって、液体試料を獲得する。毛細管104は、診断手順の後続ステップ中に試料を保持するために、限定ではなく、ガラスメッシュフィルタなど固相材料を備える。さらに、また一代替実施形態として、試料を収集するために使用されるものと同一の固相材料を、溶解、洗浄、および以下でさらに説明するその他のアッセイステップのための、カード14内の固体支持部として使用することができる。
【0034】
試料を獲得すると、それをカード14内に入れなければならない。図3を参照すると、カード14の好ましい一実施形態が示されている。カード14は、まず試料流体を受容し、次いで流体試料から、検体、具体的には核酸を単離する。望ましい検体は、ウィルス、細菌、寄生体、および/または真菌を含めた複数の群の病原からの、核酸を含む。本明細書で使用する「核酸」という用語は、何らかの可能な構成、すなわち、二重鎖核酸、一重鎖核酸、またはそれらの何らかの組合せの形の、DNAまたはRNAなど何らかの合成核酸または自然に存在する核酸を示す。
【0035】
カード14は、試料をカード14内に導入するための受入れポート201が、その中に形成されている。試料は、受入れポート201内に配置される、固体支持構造(図示せず)上に載せられる。固体支持部に適した様々な材料は、フィルタ、ビーズ、繊維、膜、ガラスウール、フィルタ紙、ポリマー、ゲル、およびミクロ/ナノ構造を含むがそれらに限定されないことを、当業者は理解するであろう。好ましい実施形態は、ガラス繊維基材を備える。試料を含有する綿棒12の遠位端が、受入れポート201を通してカード14内へと導入され、綿棒12は、試料が支持構造へと移送されるように、固体支持構造に接触しまたはそれに非常に近接する。綿棒12は、受入れポート201から引き抜かれ、受入れポート201は封止される。微小流体カードを封止する様々な方法があることが知られている。たとえば、受入れポートを覆い封止するために使用することができる流体不透過フラップに、感圧性接着剤を塗布することができる。
【0036】
一代替構成では、試料を収集するための手段として支持構造を使用することができ、支持構造が綿棒12の遠位端と一体である。図4aを参照すると、綿棒12の遠位端が、目標試料を得るために綿棒が使用された後に、カード14の(図4aでは管状として示すが、図3では平坦に示した)受入れポート201内に挿入されている。綿棒12は、綿棒12の試料収容部103が先端停止部105に実質的に当接するまで挿入される。受入れポート201は、受入れポート201内に収容された短管106を備える。端部109にて作動される機械的切断装置108を有する、支持ブロック107、107aが存在する。端部109の運動は、綿棒12をきれいに破壊または切断するために、短管106の直径を横断して支持ブロック107a内に形成された開口111を通して、切断装置108を平行移動させる。綿棒12が切断された後、綿棒12の近位端は、受入れポート201から除去される。切断装置108は、その元の位置へと戻される。最後に、残りの短管106内の受入れポート201部分は、支持ブロック107aによって支持ブロック107に対して締め付けられ、それによってカートリッジを効果的に封止する。
【0037】
図4bを参照すると、一代替形態として、短管106の外側にある受入れポート201の一部を曲げることができ、それによっても綿棒が破壊されカートリッジが封止される。この実施形態では、綿棒は、穴160を垂直に下へと通り、管106を通り、受入れポート201内へと挿入される。ハンドル109が、いずれかの方向に約180°回転され、それによって、受入れポート201の、短管106の外側にある部分が曲げられる。この運動によって、綿棒が破壊され、受入れポート201が、装置108と支持ブロック107との間で締め付けられ、それによってカードが効果的に封止される。
【0038】
図1、図3、および図5を参照すると、試料が固体支持構造上に載せられた後、カード14が、携帯またはデスクトップ装置16内に挿入される。装置16は、カード14を位置合せする溝付き入口ポート301を備え、そのためカードは、以下でより詳細に説明するようにデスクトップ装置16の様々な構成要素と相互作用するために、定位置に着く。
【0039】
試料内の目標核酸配列を増幅させるために、配列は、増幅システムの構成要素とアクセス可能でなければならない。一般に、このアクセス可能性は、未精製の生体試料から核酸を単離することによって保証される。その第1のステップは、核酸へのアクセスを提供するために細胞を溶解させることである。生体サンプルから核酸を抽出する様々な技術が、当業界で知られている。たとえば、Maniatisらの「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」(ニューヨーク州、Cold Spring Harbor Laboratory、1982年)、Arrandの「Preparation of Nucleic Acid Probes」、p.18〜30、「Nucleic Acid Hybridization:A Practical Approach」(Hames and Higgins、IRL Press出版、1985)、または「PCR Protocols」、18〜20章(Innisら、Academic Press出版、1990)の説明を参照されたい。本発明の好ましい実施形態は、試料内に含有される病原を化学的に溶解させることである。当業者であれば、多くの市販の酵素、およびTWEEN80またはTritonX−100のような界面活性剤を含めて、使用することができる溶解流体が数多くあることを知っている。
【0040】
溶解流体は、カード14上に収容されたリザーバ203内に保存されている。溶解流体は、カード14内に形成された流体通路204を通して、受入れポート201内に収容された固体支持部へと送られる。溶解流体は、以下でより詳細に説明するように、デスクトップ装置16から陽空気圧が供給される空気供給ポート212によるなど、様々な方法で供給することができるポンプ作用によって、受入れポート201へと送られる。カード14内に蓄積される過剰な空気は、カード14上に選択的に配置される排気口205を通して排気される。排気口205は、好ましくは、当業界で知られるような、気体を通過させるが液体をカード14内に収容する、フィルタ排気口である。
【0041】
図5および図6に示す一代替実施形態では、ポンプ作用は、ぜん動ポンプ416に動力を供給するために微小流体カード414に機械的エネルギーを供給する、装置16によって供給される。カード内に配置されたぜん動ポンプ416は、デスクトップ装置16上に配置された機械的駆動部415によって駆動される。実際、当業者は、微小流体カードに機械的ポンプ作用を提供する様々な方法を知っている。Weiglらの米国特許第6,743,399号には、微小流体装置を通して流体を推進する数多くの方法が開示されている。該特許で開示された方法は、装置を通して流体を推進するための構造の内部に動力源を収容する、微小流体カードを含む。
【0042】
溶解流体は、受入れポート201内に配置された固体支持部上を流れ、試料中に含まれる細胞を溶解する。次いで溶解流体は、通路232を通り、核酸捕捉フィルタ206上に続き、廃棄区画210内へと流れる。溶解された細胞からの目標核酸は、核酸捕捉フィルタ206に結合する。核酸捕捉フィルタ206を形成するために、複数の適当な材料を使用することができることを、当業者は理解するであろう。
【0043】
次に、洗浄溶液、好ましくはエタノールを、カード上の洗浄液保存区画内(図示せず)に保存することができ、またはそれを、以下でより詳細に説明するように、装置上のリザーバ内に保存することができる。エタノールは、フィルタ上に蓄積している可能性がある細胞の残渣を除去するために、通路207を通して捕捉フィルタ206上へと送られる。使用されたエタノールおよび細胞残渣は、廃棄区画210へと流れる。次に、フィルタ206を乾燥させるために、空気が空気ポート212aを通して捕捉フィルタ206上へと押し進められる。その多くが市販されている、溶出溶液が、溶出流体チャンバ214内に保存されている。溶出流体は、チャンバ214から捕捉フィルタ206上へと給送され、目標核酸は、捕捉フィルタ206から解放され、混合チャンバ216へと流入する。好ましい実施形態では、溶出溶液は、すべての核酸がフィルタ206から解放されることを保証するために、空気ポート212aにて空気圧と真空を交互に加えることによって、捕捉フィルタ206越しに前後に流れる。
【0044】
ここで目標核酸を含有する溶出溶液が、増幅検査ウェル220へと送られる。好ましい実施形態では、4つの目標病原のための検査を表す12の別々の増幅ウェル220がある。4つの病原それぞれにつき1つの増幅ウェルがあり、それら各ウェルは、溶出溶液の4分の1を受け取る。さらに、各病原のための陽性対照ウェルおよび陰性対照ウェルがあり、これらウェルには、適当な材料が予め装填されている。対照ウェルは、カード14上の緩衝用水区画230内、または装置16内のいずれかに保存された緩衝用水溶液で再水和される。説明を容易にするために、本明細書に含まれる図は、わずか2つの目標病原用の検査を表す、わずか6つの増幅ウェルを示す。増幅ウェル220の数は、目標病原の数によって決定され、本明細書における説明は、カード14の構成を制限するものではないことを、当業者は理解されたい。
【0045】
この時点でカードは、各増幅ウェル220内で、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行う。PCRプロセスは、各病原のために特異的に選択された1組の試薬を用いる自動プロセスとして行うことができることを、当業者は理解するであろう。このプロセスで、それぞれの非対照増殖ウェル220内の溶出溶液は、適当な反応混合物と組み合わされ、それらの混合物は次いで、変成温度範囲、プライマーアニーリング温度範囲、および伸張温度範囲全体を通して循環される。Wittwerらの米国特許第6,787,338号で開示されるような、生体試料を迅速に熱サイクルさせるいくつかの方法が、当業者に知られている。迅速な熱サイクルのさらなる方法が、参照によりその全体を本明細書に組み込む、Landerらの米国特許第6,210,882号で開示されている。熱サイクル反応の速さおよび厳密な振幅を注意深く制御することによって、許容可能な量の核酸が、PCRによって生成される。反応混合物は、約7分間で約35回の熱サイクルにかけられる。好ましい実施形態では、熱サイクル、すなわち加熱および冷却の両相が、デスクトップ装置16内の選択された位置に配置されたペルチェ素子310によって生み出され、それによりペルチェ素子310が、増幅ウェル220と相互作用する。ペルチェ素子310は、熱サイクルの加熱および冷却相両方の、持続時間および強度を厳密に制御するために、マイクロプロセッサ340によって制御される。
【0046】
この時点で、反応混合物は、容易に検出可能なやり方で目標核酸と相互作用する試薬を含む、検出ウェル222へと移送される。好ましい実施形態では、検出ウェル222は、SYBRGreen(登録商標)を含み、これは、目標核酸に接触しそれが適切に照射される場合に、蛍光信号を提供する。分子ビーコンを含むがそれに限定されないその他の適当な検出方法があることを、当業者は理解されたい。
【0047】
図1、図3、および図5を参照すると、カード検出ウェル222内で生成されたいかなる信号も、デスクトップ装置16内に収容された蛍光計312によって検出される。カード14が装置16内に正しい構成で着座すると、蛍光計312は、検出ウェル222内で発生されるいかなる信号をも読み取るように位置決めされる。蛍光信号は、マイクロプロセッサ340を用いて、陽性対照および陰性対照によって発生された信号と比較することによって分析される。分析結果は、表示ウィンド320内に示され、または、装置16と一体化することができる印刷装置325を用いて印刷することができる。結果に関する情報もまた、モデムまたは無線通信プロトコルを用いる二方向データ送信システムである通信ポート330を用いて、医療記録/ビリングへと送信される。さらなる情報または指示を、当業界で知られるように、キーパッド345またはワイヤレス通信装置によって装置へと入力することができる。
【0048】
カード14は、好ましくは、バーコードなど、情報を保持する手段を備える。当業者であれば、情報をカード上に含むための、別の方法を知っている。バーコードは、装置内へと挿入されるカードのタイプ、患者情報、使用期限などを含めるがそれらに限定されない情報を含む。装置16は、カード14から情報を読み取る手段を備える。装置16とカード14の間の相互作用によって、情報の迅速かつ容易な送信が促進される。例として、使用中のカード14は、実際は上気道カードであるが、装置16は、1つのタイプのカード(尿検査)用に構成することができる。この場合、装置16は、装置と相互作用するカード14の性質を決定し、次いで、挿入された特定のカードのための装置の正しい構成(試料の選択、熱サイクル時間など)を適用する。情報のその他の用途は、たとえば、エラー検出機能である。たとえば、装置16は、装置16の構成変更の必要のための、またはカードが使用期限を過ぎたという、指示信号を医師へと発生することができる。
【0049】
次に図5を参照すると、装置16は、カード14ではなく装置16が、診断システムにおいて使用される構成要素/試薬をいくつか収容することができる。図3を参照しながら、図のように、空気ポート212および212aを通して空気圧をカード14へと供給することができることを、上記で説明してきた。空気ポート212および212aは、カード14がデスクトップ装置内に正しく着座する場合、デスクトップ装置と流体連通して置かれる。デスクトップ装置は、空気および/またはその他の試薬をカードへと供給する、1つまたは複数の流体連通手段を備えることができ、機械式ポンプ510を備える。たとえば、図6を参照すると、いかなる試薬も、デスクトップ装置16上で、単一保存区間内、または複数の保存区間/リザーバ502、504、506内に保存することができる。次いで試薬は、専用針450によってカード414へと供給される。針450は、カード414上に収容されたエラストマーシール452を貫通し、適切な試薬リザーバが、カード414上の適切な微小流体通路と流体連通して配置される。
【0050】
多数のリザーバが用いられる場合、リザーバは、装置16内に移動することができる試薬モジュール500内にまとめて収容することができる。別々のモジュール500は、分析されるカードのタイプに合う、特異的な試薬を使用することができる。上記のように、1つのタイプのカードは、咽頭炎のための上気道パネルを収容することがあり、別のタイプのカードは、泌尿器条件で使用され、各カードは、別々の異なる病原を検出するように設計されることがあるので、2つのカードは、別々の異なる試薬を使用することがある。カードは、好ましくは、バーコードなど、正しい試薬モジュール500がデスクトップ装置内に配置されていることを確認するために、装置によって読み込むことができるバーコード(図示せず)など、情報保存手段を備える。もちろん、情報保存手段は、プロセス変量、使用期限、ロット番号、および患者情報を含むがそれらに限定されない、装置によって読み取ることができるさらに多くのタイプの情報を含むことができる。
【0051】
モジュール500は、適切なリザーバ502、504、506と流体連通する、いくつかの針450を備えることができる。カード414は、適切な針450を受入れるように構成された、エラストマーシール452を備えることができる。カード414がデスクトップ装置16内に正しく挿入される場合、針450は、エラストマーシール452を貫通して延び、適切なリザーバとカード上の適切な流体通路との間を流体連通させる。
【0052】
使用に際しては、患者が、上気道感染症など広範な診断群の疾病に共通な臨床的発現を、ポイントオブケアの医師に示す。そのような疾病の1つは、咽頭炎である。たとえば、患者は、咽頭痛、肥大化したリンパ腺、および発熱を示す。外来診療の早い段階で、医師は、綿棒12を用いて、1つの部位、この例では患者の喉、口、または鼻のいずれかから試料を獲得する。医師は、綿棒12を受入れポート201と接触させ、それによって試料を受入れポート201へと移送する。次いでカード14は、封止され、カード14を装置16内へと確実に正しく着座させるように考案された溝付き入口301またはその他の手段を用いて、装置内に挿入される。装置16は、バーコード読取装置またはその他のよく知られた手段を用いることによって、バーコードまたは同様の情報保存手段から、何らかの患者情報を獲得する。必要に応じて、装置16は、リザーバ502、504、506内に特異的な試薬を担持する特定のモジュール500が核酸アッセイを実行することが要求されていることを指示する、表示部320内に示される情報を発生する。正しいモジュール500が、装置16内に配置され、装置16が、キーパッド345を用いて作動される。装置16は、アッセイを特定の順序で自動的に実行する目的で、適切な試料、試薬、および物理的な変化(加熱および冷却)をカード14上の適切な位置へともたらすためにカード14上の弁を開閉することによって、カード14への電気的および物理的接続を提供する。当業者は、カード14上の弁およびポンプ作用を制御するための様々な方法があることを理解されたい。たとえば、米国特許第6,767,194号は、微小流体システムのための弁およびポンプシステムを記載する。
【0053】
装置16は、ポンプ510によって、または装置上のぜん動ポンプ416によって空気ポートに加えられる正空気圧を用いて、流体をカード上の望ましい位置へと進めるための機械エネルギーを提供する。装置16が、溶解、単離、洗浄、増幅、および検出ステップを実行した後、マイクロプロセッサ340は、アッセイ結果を分析し、表示装置320、および/またはプリンタ325、および/または通信ポート330を通して、結果を報告する。
【0054】
図7を参照すると、迅速な診察カードによって可能になるネットワークおよびプロセスを、概略図が示す。病原の迅速な検出サービスが提供されることによって、医師と面会せずに一般的な疾患の診断を終えることができる。たとえば、患者は、いかなる形の通信によって医師に症状を示すこともでき701、医師が何らかの症状を認めることができる703。医師は、試料が収集されたこと、およびその結果が1つまたは複数の特定の病原706を指示したことを証明する、正しいモジュール診断キットの使用を指示することができる704。その時点で、特定の病原への正しい治療が指示され707、その治療勧告は、電子医療記録708を受け取る手段へと報告することができる。
【0055】
この方法は、いかなる通信手段によって実行することもできることが予想可能である。したがって、温度、血圧、およびその他の症状の入力を記録する証明可能な手段を、デジタル記録手段によって収集し、インターネット上で医療専門家へと送信することができる記録内に集めることができ、その識別性が示された診断カードを使用することができ、その結果もまたネットワークを通して医療専門家に提供することができ、それと組み合わせて医師が診断を下すことができる、ということが可能である。
【0056】
たとえば、電子的に管理される質問表に、インターネット上の安全な書式上など、インターネット上で答え、送信することができる。上記で説明したように、医師は、使用される正しい診断カードを識別することができ、試料および試料の収集および検査を遠隔地で実施することができ、患者の診断のための基礎を改善するために、結果を送信する。これは、医学的治療および監視の領域を、通常の治療環境を超えて、屋外、家庭、遠隔地、および緊急状態へと拡張することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明を実施するシステムを示す図である。
【図2】図2aは本発明を実施するシステムの一部である試料収集装置を示す図である。
【0058】
図2bは本発明を実施するシステムの一部である試料収集装置の一代替実施形態を示す平面図である。
【図3】本発明を実施する微小流体カードを示す概略図である。
【図4】図4aは本発明を実施する微量流体カードの試料挿入チャンバを示す断面図である。
【0059】
図4bは本発明の微小流体カードの試料挿入チャンバ内で使用される、支持機構および作動ロッドの一代替実施形態を示す平面分解図である。
【図5】本発明のシステムの一部である、デスクトップ装置の上面図である。
【図6】本発明のデスクトップ装置および微小流体カードの一代替実施形態を示す概略図である。
【図7】本発明の迅速な診断カードによって可能になるネットワークおよびプロセスを示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポイントオブケアにて複数の病原の有無を迅速に検出するための少なくとも1つの核酸診断アッセイを可能にするように構成された診断カードを備える、装置。
【請求項2】
前記複数の病原が、共通の臨床発現を共有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複数の病原が、ウィルス、細菌、真菌、および寄生体からなる前記群から選択される少なくとも第1の病原と、ウィルス、細菌、真菌、および寄生体からなる前記群から選択される少なくとも第2の病原とを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記アッセイがDNAアッセイを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記アッセイがRNAアッセイを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記核酸アッセイが、増幅段階を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記増幅段階が、ポリメラーゼ連鎖反応を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記核酸アッセイが、前記複数の病原それぞれのための、陽性対照および陰性対照を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記共通の臨床発現が、咽頭痛、腺の肥大、および発熱のうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項10】
前記アッセイは、化膿連鎖球菌、インフルエンザA型、インフルエンザB型、およびエプスタイン−バーウィルスからなる前記群から選択される、少なくとも2つの病原の前記存在を検出するように設計される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
試料が前記診断カートリッジに導入された後に封止される試料ポートをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記カードが、前記何らかの病原の有無を検出するために少なくとも1つの試料を利用する、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの試料が、試料収集装置によって前記カード内へと導入される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記アッセイのための少なくとも1つの試薬が、装置上で前記カードに収容される、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つの試薬が、溶解試薬、溶出試薬、再水和流体、ポンピング流体、乾燥試薬、およびポリメラーゼ連鎖反応試薬からなる群から選択される、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
ポリメラーゼ連鎖反応を行うためのチャンバをさらに備え、前記チャンバが、迅速な熱サイクルを可能にするように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
装置上のポンプをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記ポンプがぜん動ポンプである、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記カードが、情報を保存する手段を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記情報が、試料の収集およびシステムの動作に付随するデータを含む、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
ポイントオブケアにて複数の病原の有無を迅速に検出するための少なくとも1つの核酸診断アッセイを可能にするように構成された、診断カードと、前記カードと相互作用する装置とを備え、前記装置が、アッセイ分析手段を備える、医療診断システム。
【請求項22】
前記複数の病原が、共通の臨床発現を共有する、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記複数の病原が、ウィルス、細菌、真菌、および寄生体からなる前記群から選択される少なくとも第1の病原と、ウィルス、細菌、真菌、および寄生体からなる前記群から選択される少なくとも第2の病原とを含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
前記アッセイがDNAアッセイを含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項25】
前記アッセイがRNAアッセイを含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項26】
前記核酸アッセイが、増幅段階を含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項27】
前記増幅段階が、ポリメラーゼ連鎖反応を含む、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記核酸アッセイが、前記複数の病原それぞれのための、陽性対照および陰性対照を含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項29】
前記共通の臨床発現が、咽頭痛、腺の肥大、および発熱のうちの少なくとも1つを含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項30】
前記アッセイが、化膿連鎖球菌、インフルエンザA型、インフルエンザB型、またはエプスタイン−バーウィルスからなる群のうち、少なくとも2つの存在を検出するように設計される、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
試料が前記診断カートリッジに導入された後に、封止される試料ポートをさらに備える、請求項21に記載のシステム。
【請求項32】
前記カードが、前記何らかの病原の有無を検出するために少なくとも1つの試料を利用する、請求項21に記載のシステム。
【請求項33】
前記少なくとも1つの試料が、試料収集装置によって前記カード内へと導入される、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記アッセイのための少なくとも1つの試薬が、装置上で前記カードに収容される、請求項21に記載のシステム。
【請求項35】
少なくとも1つの試薬が、溶解試薬、溶出試薬、再水和流体、ポンピング流体、乾燥試薬、およびポリメラーゼ連鎖反応試薬からなる前記群から選択される、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
ポリメラーゼ連鎖反応を行うための迅速な熱サイクルを可能にするように構成されたチャンバをさらに備える、請求項21に記載のシステム。
【請求項37】
前記チャンバが、迅速な熱サイクルを可能にするように構成される、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
ポンプを前記装置上にさらに備える、請求項21に記載のシステム。
【請求項39】
前記ポンプがぜん動ポンプである、請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
前記装置が蛍光計を備える、請求項21に記載のシステム。
【請求項41】
前記装置が、前記カードに熱サイクルを提供する手段を備える、請求項21に記載のシステム。
【請求項42】
前記装置が、前記カードについての情報を判断する手段を備える、請求項21に記載のシステム。
【請求項43】
情報を判断する前記手段が、バーコード読取装置を含む、請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
前記カードがバーコードを備える、請求項43に記載のシステム。
【請求項45】
前記情報が、試料の収集およびシステムの動作に付随するデータを含む、請求項43に記載のシステム。
【請求項46】
前記装置が通信手段を備える、請求項21に記載のシステム。
【請求項47】
前記通信手段がモデムを含む、請求項46に記載のシステム。
【請求項48】
前記装置を、前記カードと相互作用した後に作動させることによって、前記迅速な検出が自動的に実行される、請求項21に記載のシステム。
【請求項49】
前記ポイントオブケアにて複数の病原を迅速に検出するための少なくとも1つの核酸診断アッセイを可能にするように構成された、診断カードを提供するステップと、前記カード内に少なくとも1つの試料を導入するステップとを含む、共通の臨床発現の前記根本的な原因を診断する方法。
【請求項50】
前記複数の病原が、共通の臨床発現を共有する、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記複数の病原が、ウィルス、細菌、真菌、および寄生体からなる前記群から選択される少なくとも第1の病原と、ウィルス、細菌、真菌、および寄生体からなる前記群から選択される少なくとも第2の病原とを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記アッセイがDNAアッセイを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
前記アッセイがRNAアッセイを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項54】
前記核酸アッセイが増幅段階を含む、請求項49に記載の方法。
【請求項55】
前記増幅段階が、ポリメラーゼ連鎖反応を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記核酸アッセイが、前記複数の病原それぞれのための陽性対照および陰性対照を含む、請求項49に記載の方法。
【請求項57】
前記共通の臨床発現が、咽頭痛、リンパ節の肥大、および発熱のうちの少なくとも1つを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項58】
前記アッセイが、化膿連鎖球菌、インフルエンザA型、インフルエンザB型、およびエプスタイン−バーウィルスからなる前記群のうち少なくとも2つの前記存在を検出するように設計される、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記診断カードに試料が導入された後に封止される試料ポートをさらに備える、請求項49に記載の方法。
【請求項60】
前記カードが、前記何らかの病原の有無を検出するために少なくとも1つの試料を利用する、請求項49に記載の方法。
【請求項61】
前記少なくとも1つの試料が、試料収集装置によって前記カード内へと導入される、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記アッセイのための少なくとも1つの試薬が、装置上で前記カードに収容される、請求項49に記載の方法。
【請求項63】
溶解試薬、溶出試薬、再水和流体、空気、およびポリメラーゼ連鎖反応試薬からなる前記群から選択される、前記核酸アッセイのための前記少なくとも1つの試薬が、装置上で前記カードに収容される、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
ポリメラーゼ連鎖反応を行うための迅速な熱サイクルを可能にするように構成されたチャンバをさらに備える、請求項49に記載の方法。
【請求項65】
前記カードを、分析手段を有する装置と相互作用させるステップをさらに含み、前記装置が、前記診断アッセイの前記結果を判断する、請求項49に記載の方法。
【請求項66】
前記複数の病原が、共通の臨床発現を共有する、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記複数の病原が、ウィルス、細菌、真菌、および寄生体からなる前記群から選択される少なくとも第1の病原と、ウィルス、細菌、真菌、および寄生体からなる群から選択される少なくとも第2の病原とを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
前記アッセイがDNAアッセイを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項69】
前記アッセイがRNAアッセイを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項70】
前記核酸アッセイが、増幅段階を含む、請求項65に記載の方法。
【請求項71】
前記増幅段階が、ポリメラーゼ連鎖反応を含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記核酸アッセイが、前記複数の病原それぞれのための、陽性対照および陰性対照を含む、請求項65に記載の方法。
【請求項73】
前記共通の臨床発現が、咽頭痛、リンパ節の肥大、および発熱のうちの少なくとも1つを含む、請求項66に記載の方法。
【請求項74】
前記アッセイが、化膿連鎖球菌、インフルエンザA型、インフルエンザB型、およびエプスタイン−バーウィルスからなる前記群のうち、少なくとも2つの前記存在を検出するように設計される、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記診断カードに試料が導入された後に封止される、試料ポートをさらに備える、請求項65に記載の方法。
【請求項76】
前記カードが、前記何らかの病原の有無を検出するために少なくとも1つの試料を利用する、請求項65に記載の方法。
【請求項77】
前記少なくとも1つの試料が、試料収集装置によって前記カード内へと導入される、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記アッセイのための少なくとも1つの試薬が、装置上で前記カードに収容される、請求項65に記載の方法。
【請求項79】
溶解試薬、溶出試薬、再水和流体、空気、およびポリメラーゼ連鎖反応試薬からなる前記群から選択される、前記核酸アッセイのための前記少なくとも1つの試薬が、装置上で前記カードに収容される、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
ポリメラーゼ連鎖反応を行うための迅速な熱サイクルを可能にするように構成されたチャンバをさらに備える、請求項65に記載の方法。
【請求項81】
ポンプを前記装置上にさらに備える、請求項65に記載の方法。
【請求項82】
前記ポンプがぜん動ポンプである、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記装置が、前記ぜん動ポンプのための駆動装置を備える、請求項81に記載の方法。
【請求項84】
前記装置が蛍光計を備える、請求項65に記載の方法。
【請求項85】
前記装置が、前記カードに熱サイクルを提供する手段を備える、請求項65に記載の方法。
【請求項86】
前記装置が、前記カードについての情報を判断する手段を備える、請求項65に記載の方法。
【請求項87】
情報を判断する前記手段が、バーコード読取装置を含む、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記カードがバーコードを備える、請求項86に記載の方法。
【請求項89】
前記情報が、試料の収集およびシステムの動作に付随するデータを含む、請求項87に記載の方法。
【請求項90】
前記装置が通信手段を備える、請求項65に記載の方法。
【請求項91】
前記通信手段がモデムを含む、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記装置を、前記カードと相互作用した後に作動させることによって、前記迅速な検出が自動的に実行される、請求項65に記載の方法。
【請求項93】
状態が生体試料の提供に合う場合に肯定的な信号を提供する、患者の観察可能な症状に対する問診を案内する手段と、ポイントオブケアにて複数の病原の有無を迅速に検出するための少なくとも1つの核酸診断アッセイを可能にするように構成された、診断カードと、 前記診断カードに、前記試料中に存在する前記特定の病原を識別するために前記試料を検査することを指示する手段とを含む、医学的状態を評価するためのネットワーク。
【請求項94】
前記ネットワークが、患者の生体徴候を追加する手段をさらに有する、請求項93に記載のネットワーク。
【請求項95】
前記観察可能な症状が、発熱、腺の肥大、および咽頭痛を含む、請求項93に記載のネットワーク。
【請求項96】
前記複数の病原が、共通の臨床発現を共有する、請求項93に記載のネットワーク。
【請求項97】
前記複数の病原が、ウィルス、細菌、真菌、および寄生体からなる前記群から選択される少なくとも第1の病原と、ウィルス、細菌、真菌、および寄生体からなる前記群から選択される少なくとも第2の病原とを含む、請求項93に記載のネットワーク。
【請求項98】
前記ネットワークが、前記検出された病原の識別を医師に提供するさらなる手段を有する、請求項97に記載のネットワーク。
【請求項99】
ポイントオブケアにて複数の病原の有無を迅速に検出するための少なくとも1つの核酸診断アッセイを可能にするように構成された、診断カードを備える、診断システム。
【請求項100】
前記複数の病原が、共通の臨床発現を共有する、請求項99に記載のシステム。
【請求項101】
前記複数の病原が、ウィルス、細菌、真菌、および寄生体からなる前記群から選択される少なくとも第1の病原と、ウィルス、細菌、真菌、および寄生体からなる前記群から選択される少なくとも第2の病原とを含む、請求項99に記載のシステム。
【請求項102】
前記診断カードと通信する装置をさらに備える、請求項99に記載のシステム。
【請求項103】
前記診断カードからのデータを分析するための分析手段をさらに備える、請求項102に記載のシステム。
【請求項104】
治療計画が含まれる、請求項103に記載のシステム。
【請求項105】
検査結果を、医師が診断を下すことができるように前記医師に提供するために、ネットワークへの通信手段をさらに備える、請求項103に記載のシステム。
【請求項106】
医師が治療計画を提供することができるように、検査結果を前記医師に提供するために、ネットワークへの通信手段をさらに備える、請求項103に記載のシステム。
【請求項107】
共通の臨床発現の前記根本的な原因を診断する方法であって、前記ポイントオブケアにて複数の病原を迅速に検出するための少なくとも1つの核酸診断アッセイを可能にするように構成された、診断カードを提供するステップと、前記カード内に少なくとも1つの試料を導入するステップと、前記カードを装置と相互作用させるステップと、前記診断カードに接続された手段とを含み、前記手段は、前記診断カードに、前記試料中に存在する特定の病原を識別するために前記試料を試験することを指示することができる、方法。
【請求項108】
前記装置が、前記診断アッセイの前記結果を判断するための分析手段を有する、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記複数の病原が、共通の臨床発現を共有する、請求項107に記載の方法。
【請求項110】
前記複数の病原が、ウィルス、細菌、真菌、および寄生体からなる前記群から選択される少なくとも第1の病原と、ウィルス、細菌、真菌、および寄生体からなる前記群から選択される少なくとも第2の病原とを含む、請求項107に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−518617(P2008−518617A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540023(P2007−540023)
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【国際出願番号】PCT/US2005/039786
【国際公開番号】WO2006/052652
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(302013139)ウェルチ・アライン・インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】