説明

近接検知装置

医療デバイスを制御する際に用いる制御ユニット用の近接検知装置であって、検知部分及び放射部分を含み、それらの一方の部分が前記医療デバイスに設置され、他方の部分が前記制御ユニットに設置され、そのため、前記制御ユニットが前記医療デバイスに取り付けられると、前記検知部分が前記放射部分を検知し、前記制御ユニットに第一の作動モードを選択するように指示し、前記制御ユニットが前記医療デバイスから脱着されると、前記検知部分が前記放射部分を検知せず、前記制御ユニットに第二の作動モードを選択するように指示する装置が開示される。前記第一の作動モードの例は、制御ユニットが前記デバイスを作動させることができ、制御、ユニットが患者モードにて作動することである。前記第二の作動モードの例は、制御ユニットが非作動状態にされ、制御ユニットが医療従事者モードにて作動し、制御ユニットが前記医療デバイスの使用データ及び/又は患者のコンプライアンスデータを表示することである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、近接検知装置に関する。詳細には、本発明は、医療デバイスで用いる脱着可能な制御ユニット用の近接検知手段に関する。このような医療デバイスには、ベッドのマットレス及び膨張式クッションのような圧力負荷軽減デバイス並びに移動型圧迫デバイスのような加圧デバイスが含まれる。
【背景技術】
【0002】
患者の体肢に圧縮圧を加えるための様々な圧迫デバイスが公知となっている。これらのタイプのデバイスは、深部静脈血栓(DVT)、血管障害の予防及び浮腫の軽減に役立つように用いられる。大部分の既知のデバイスは、病院環境での使用に適しており、主に、前記症状を発症する危険性の大きい患者におけるDVTの予防に用いられる。
【0003】
圧迫療法は静脈性下肢潰瘍を有する患者の治療に用いられ、体肢の圧迫は、空圧式又は液圧式の圧縮デバイスにより行われる。当技術分野で公知のデバイスは、移動型圧迫デバイスであって、足、脚又は腕に装着するために膨張式スリーブ内に配置された1つ又はそれ以上の隔室を有する、1つ又はそれ以上の空気又は流体膨張式カフを含んでいる。前記隔室に設置された圧力センサーにより、患者の治療経過中に、より多い或いはより少ない加圧が必要とされる体肢の位置に基づき、前記デバイスは前記カフの前記隔室内の圧力の調節を可能とする。
【0004】
前記膨張式スリーブの前記隔室内の加圧は、概して自動制御ユニットに設置されるとともに自動制御ユニットにより作動する空気又は流体ポンプによって実施される。従って、通常、前記ポンプは空気又は流体導管系、弁並びに空気又は流体吸入口と関連する。通常、前記自動制御ユニットは前記スリーブに対して別個の構成要素であり、主電源により駆動される。特定の隔室に設置された圧力センサーにより、過剰或いは不十分な圧力が検知された場合、前記制御ユニットはポンプを作動させて所期の局所圧を回復させる。通常、前記制御ユニットは、前記圧迫デバイスの前記隔室内の空気又は流体圧を調節する機能を実行するのに役立つように、電子回路、空気導管及び弁も有する。
【0005】
上述の特徴に加え、一般に、前記制御ユニットは前記デバイスに関する情報を使用者又は医療従事者に提供するディスプレイ(LCDのような)を有する。
【0006】
前記制御ユニットは、患者の正確な圧迫療法の必要事項を入力するためのプログラム可能なソフトウェアを含むコンピュータハードウェアも有する。即ち、指定の時間に、また、指定の継続時間、前記圧迫デバイスの全体にわたり規定の空気圧又は流体圧レベルになるということである。従って、患者が手動で前記ユニットを操作する必要性を回避するため、特定の患者に対する具体的な治療法が前記制御ユニットにプログラムされうる。
【0007】
前記ソフトウェアは前記デバイスにおける圧力記録を経時的に保持するようになっており、したがって、患者の治療経過のコンプライアンス記録へのアクセスを医療従事者に提供する。
【0008】
単一ユニットから得られる異なる使用モードを有する不利点は、所望の機能を得るためにモードを切り替える必要があることである。例えば、患者が機能するデバイスを有するためには、前記制御ユニットは選択圧力プロファイルを体肢に付与するように前記デバイスを作動させることが必要である。医療従事者が前記デバイスからコンプライアンスデータを得るためには、前記制御ユニットはコンプライアンスデータを表示し、前記デバイスを作動させないことが必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
現在、我々は、前記制御ユニットが作動させる前記デバイス内に、制御ユニットが存在するか否かにより、前記制御ユニットが前記各モードを選択することが好都合であるということを見いだしている。このようにして、前記デバイスは、前記制御ユニットがデバイスに存在すると、患者モードにて作動して前記デバイスを作動させることができ、前記デバイスから取り外されると、医療従事者モードにてコンプライアンスデータを表示することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明により、医療デバイスを制御する際に用いる制御ユニット用の近接検知装置が提供されるものであり、前記近接検知装置は、
(i)検知部分及び
(ii)放射部分
を含み、一方の部分は前記医療デバイスに設置され、他方の部分は前記制御ユニットに設置されており、
前記制御ユニットが前記医療デバイスに取り付けられると、前記検知部分は前記放射部分を検知し、前記制御ユニットに第一の作動モードを選択するように指示し、前記制御ユニットが前記医療デバイスから脱着されると、前記検知部分は前記放射部分を検知せず、前記制御ユニットに第二の作動モードを選択するように指示する。
【0011】
本発明により、更に、医療デバイスを制御する際に用いる脱着式制御ユニット用の近接検知装置が提供されるものであり、前記近接検知装置は、
(i)検知部分及び
(ii)放射部分
を含み、前記検知部分が前記放射部分を検知するのに適するように、それらの一方の部分が前記医療デバイスに設置され、他方の部分が前記制御ユニットに設置されており、
前記制御ユニットが前記医療デバイスから取り外された時には、前記検知部分が前記放射部分を検知せず、前記制御ユニットに医療デバイスの使用に関するデータを表示するための手段を含む作動モードを選択するように指示する。
【0012】
本発明の装置は、制御ユニットが特定のタイプの医療デバイスで用いるのに特に適することを可能とする。これは、前記検知部分が前記放射部分を検知する時に前記制御ユニットが前記医療デバイスを作動させるように、前記放射部分に対する特定の検知部分を有することにより成されうる。前記検知部分がもはや前記放射部分を検知しないと(即ち、それらが引き離されると)、前記制御ユニットは前記医療デバイスを作動させない。
【0013】
これは、前記制御ユニットが非作動状態にされる前記第二のモードにおいて、前記制御ユニットの特定の機能(例えば、圧力制御システム)がもはや作動しないという利点を有する。これにより、電力が節約される。前記制御ユニットに電力を供給して、その電力により前記医療デバイスを作動させるために、携帯バッテリー電源が用いられる場合は、バッテリーの寿命が長持ちすることになる。
【0014】
更なる利点は、前記医療デバイスが前記制御ユニットにおけるポンプによって駆動される膨張式構成要素を含む場合に、発揮される。通常、前記ポンプは外部動力源(例えば、大気又は水圧流体貯蔵器)から空気又は液体を引き込み、膨張式構成要素を膨張させる。前記医療デバイスから取り外されると、即座に、前記制御ユニットを非作動状態にすることにより、前記ポンプは非作動状態にされうる。したがって、前記ポンプが空気又は流体を送り込まないために、前記外部動力源による前記制御ユニット(及び前記制御ユニットが作動させる前記医療デバイス)の汚染のリスクが低減する。
【0015】
前記第一モードと前記第二モードの選択を可能とすることにより、前記装置は、前記制御ユニットが前記医療デバイスに取り付けられるか、或いは前記医療デバイスから取り外されるかによって、前記制御ユニットの異なる使用モードを可能とする手段を提供する。これにより、医療デバイス用の制御ユニットにおいて、患者モードと医療従事者モードを切り替えるための便宜且つ実用的な手段が提供される。
【0016】
更に本発明により、近接検知装置を含む医療デバイスが提供される。前記デバイスは、膨張式ベッド・マットレス、膨張式クッション又は移動型圧迫デバイスであることが好ましい。
【0017】
更に本発明により、体肢に配置するための膨張式スリーブ、前記膨張式スリーブ内の空気又は流体圧力を制御するための制御ユニット及び本発明による近接検知装置を含む体肢用移動型圧迫デバイスが提供される。
【0018】
好ましくは、前記制御ユニットが前記デバイスに取り付けられた時には、前記制御ユニットは「患者」モードにて前記デバイスを作動させる。この「患者」モードは、前記制御ユニットが、好ましくは、患者の治療に適合するように前記医療デバイスを作動させている場合である。
【0019】
好ましくは、前記制御ユニットが前記デバイスから取り外された時には、前記制御ユニットは「医療従事者」モードにて前記デバイスを作動させる。「医療従事者」モードは、前記制御ユニットが、もはや前記医療デバイスを作動させるように動作せず、むしろ、前記医療デバイスの使用に関するデータ(コンプライアンス)が、医療従事者がレビューするように表示可能なモードに戻った場合である。前記第二のモードでは、前記制御ユニットは、前記医療デバイスから取り外され、医療従事者がデバイスの使用及び、それに基づく患者のコンプライアンスに関するデータを遠隔分析する便宜な手段を提供する。
【0020】
表示可能なデータは、前記デバイスの使用時間、前記デバイスの作動モード、及び前記デバイスが移動型圧迫デバイスである場合には、スリーブによって体肢に加えられる圧力の任意の1つ又はそれ以上に関連しうる。本発明に関連するデータ及びデータ収集に関する詳細については、英国特許出願第0515040.4号に述べられている。
【0021】
本発明の装置は、患者モードと医療従事者モードを切り替えるための便宜な手段を提供するため、医療従事者は、患者の診療中に使用データを取り出すために前記制御ユニットを患者モードから手動で切り替える必要がない。むしろ、医療従事者は、単に前記制御ユニットを前記医療デバイスから取り外し、これにより、医療従事者モードに切り替えうる。これは、前記制御ユニットが前記デバイスに取り付けられ、患者に着用される場合、特に好都合である。取り外されない場合、医療従事者が前記制御ユニットに問い合わせてコンプライアンスデータを得るため、前記デバイス全体が患者から取り外される必要があろう。患者モードに戻るには、医療従事者は前記制御ユニットを前記医療デバイスに再度取り付け、初期のモードに切り替える。
【0022】
好ましくは、前記放射部分は、前記医療デバイス内に、或いは前記医療デバイスに接触して設置された磁石である。更に一層好ましくは、前記磁石は前記医療デバイスの外面内又は外面上に装着されうる。移動型圧迫デバイスの膨張式スリーブのような医療デバイスの外面内又は外面上に前記磁石を装着することにより、前記装置の電子構成要素は前記制御ユニットと共に収容され、一方、磁石及び膨張式スリーブのような非電子構成要素は別個に一体化されうる。
【0023】
特に好ましくは、前記磁石は永久磁石である。圧迫デバイスの膨張式スリーブのような医療デバイスの外面下へ、永久磁石を配置することは、前記磁石が前記デバイスの製造中にその一部として容易に一体化されうるという利点を有している。その結果、前記磁石は、前記デバイス内の所望位置に固定することができ、容易には前記デバイス内でずれたり、或いは前記デバイスから外れたりはしない。
【0024】
前記デバイス上での前記放射部分(例えば、磁石)の固定配置は、前記制御ユニット上での前記検知部分(例えば、磁気センサー)の固定配置に対し、通常の作動において、前記制御ユニットが固定される所定の予め決められた態様にて医療デバイスに配置された時に、前記放射部分と前記検知部分が互いに好適に一直線上に整合されうる、という利点を有する。
【0025】
これは、制御ユニットと医療デバイスとの装置が、制御ユニットが特定の医療デバイスに対して特定的な場合に、組合せられうるという更なる利点を有する。即ち、放射部分と検知部分が一直線上に整合しない場合に、1つのデバイスを作動させる特定の制御ユニットが別のデバイスを作動させないように、放射及び/又は検知部分のそれぞれの配置が構成されうる。故に、作動モードは起動されず、前記医療デバイスを作動させる患者モードは阻止される。これは、異なるタイプの医療デバイス、又は更には特定の患者のニーズに合うように構成された同じ医療デバイスを作動させるため、標準的な制御ユニットタイプが用いられる場合に特別の利点を有しうる。検知は、単に前記放射部分と前記検知部分の相対的な物理的配置を変更することにより成される。
【0026】
好ましくは、磁気センサーは、前記放射部分としての磁石と組み合わせて前記検知部分として用いられる。磁気センサーは磁界の有無によりモードの切り替えを容易にすることが可能である。前記磁気センサーはHallセンサーSNS2であることが好ましい。これは全方位磁極センサーであり、故に、磁界の極性は重要でない。HallセンサーSNS2の検知距離は約20mmであり、出力はオープンドレインである。前記センサーは、前記制御ユニットに直接結合され、前記制御ユニットの入力に存在するプルアップ抵抗器を利用する。
【0027】
他の実施形態では、前記磁石と磁気センサーは互いに一意的であり、即ち、特定の磁石は相補性或いは適合性タイプのセンサーによってのみ認識される。これは、間違った制御ユニットが医療デバイスに適用される可能性が有意に低下するということである。この理由は、使用者が非適合性の磁石及び磁気センサーを結び付けた場合、前記制御ユニットが前記デバイスを作動させないためである。これにより、特定の設定によりプログラムされた制御ユニットが、特定の患者用の前記デバイスに誤って適用されるリスクが避けられる。
【0028】
磁石及び磁気センサーの使用は、放射及び検知部分として好ましいが、他の検知手段も本発明に効果的に適用されうる。これらには、誘導センサー、光センサー、無線周波数識別標識センサー、機械的センサー及びバーコード検知装置が含まれる。
【0029】
前記近接検知装置の前記検知部分は、リードスイッチを含むことが好ましい。リードスイッチは、気密密閉されたガラスエンベロープにおける一対の鉄金属接点を含む電気スイッチである。前記リードスイッチに近接する永久磁石又は電磁石から放射される磁界は、前記金属接点を互いに引き寄せ、それにより、電気回路を完成させる。電気回路の完成により、前記制御ユニットが起動して、前記医療デバイスを作動させる前記第一の位置に前記装置を切り替えるように動作する。前記磁石を前記リードスイッチから引き離すことにより、前記金属接点は分離し、前記電気回路は開く。これにより、前記装置は、前記制御ユニットがもはや前記医療デバイスを作動させないが、「医療従事者」モードを起動させる前記第二のモードに切り替わる。
【0030】
好ましくは、前記装置は、医療従事者モードでは患者の使用データを表示するための手段を含む制御ユニットを含む。更に一層好ましくは、患者モードでは、前記制御ユニットは、患者に着用されている医療デバイスの作動に関する機能的現場データを表示するための手段を含む。一例として、これは、膨張式スリーブを有する移動型圧迫デバイスにおける温度、圧力などに関するデータとなりうる。
【0031】
本発明の装置に関連する医療デバイスは単一の医療デバイスであることが好ましい。
【0032】
好ましくは、前記圧迫デバイスの前記膨張式スリーブは、2つ以上の個々に膨張可能な隔室を含む。更に好ましくは、各隔室からの圧力により体肢が受ける圧力を監視するため、前記スリーブの前記隔室にセンサーが関与する。これにより、前記デバイスは、各隔室における圧力を正確に調節し、従って、医療従事者により指定される所定の圧迫療法プロファイルに適合することが可能となる。この構成により、前記デバイスは、圧迫療法の好ましい手段でありうる蠕動性或いは静的圧迫ルーチンを作動させることが可能となる。
【0033】
前記スリーブにおける個々の隔室及び前記スリーブにより加えられる圧力を常に監視するセンサーの設置は、前記デバイスが動的であることを可能とする。前記デバイスのこの動的特徴の利点は、患者が何をしようとしても静脈還流の効果が維持されることである。
【0034】
好ましくは、前記医療デバイスは、前記デバイスが作動される際に前記制御ユニットを所定位置に堅く保持するための、その外面に設置されたパウチを含む。これは、低プロファイル及び前記制御ユニットを前記医療デバイスに結合する固定手段を提供する利点を有する。また、これにより、前記制御ユニットは前記デバイスから容易に着脱されることも可能となる。
【0035】
更に好ましくは、前記制御ユニットは、前記医療デバイスに取り付けられた、好ましくは、前記パウチの内面上における受け板に結合するように適合される。この実施形態では、前記受け板は本発明の装置の前記放射又は検知部分を有する。
【0036】
更に一層好ましくは、前記医療デバイスは受け板を有し、前記放射部分が前記受け板の表面に設置されうる。前記受け板は前記スリーブに取り付けられ、前記制御ユニットは、摺動機構により前記受け板に配置されうる別個の物品である。前記受け板は、前記受け板に取り付けられると、前記受け板上の前記放射部分が前記制御ユニットにおける検知部分に隣接して配置され、これにより、モードスイッチを有効にするように適合されうる摺動機構を含みうる。
【0037】
他の実施形態では、前記制御ユニットは、空気又は流体を前記医療デバイスに供給する導管結合を有するドッキングステーションにおける場合のように、前記医療デバイスとは独立して配置されうる。
【0038】
好ましくは、前記制御ユニットは、プログラム可能なマイクロプロセッサ制御システムを含む。特に好ましくは、前記制御ユニットは、現時点の、また、ある時間にわたる、前記スリーブにおけるセンサーから収集されたデータを表示するように構成されたLCDのような表示デバイスを含む。収集されたデータは通常モード及びIPCモードでの使用時間数も含みうる。このような情報は患者モードではディスプレイから非表示にされうる。或いは、前記デバイスが原位置にあり、前記制御ユニットを前記デバイスから取り外す必要なしに、患者及び医療従事者が表示データを観察できるように、前記スリーブは前記表示デバイスに整合した透明窓を有しうる。
【0039】
好ましくは、前記表示デバイスは、前記制御ユニットが作動モードにあると、前記スリーブの前記隔室における現時点の圧力(又は他の関連データ)を示す。更に好ましくは、前記表示デバイスは圧迫療法の経過中にわたる前記圧迫デバイスの圧力履歴を示す。更に一層好ましくは、無効モードでの前記制御ユニットは、コンピュータに接続されて前記圧迫デバイスの圧力履歴のプリントアウト(例えば、紙)が成されることを可能とする機構を有する。
【0040】
好ましくは、前記制御ユニットは軽量で携帯可能且つ着用可能であり、そのため、患者にとって快適であり、面倒ではない。特に好ましくは、前記制御ユニットは膨張式スリーブに取り付けられて着用される。前記制御ユニットに更に含まれうるものは、充電式バッテリーのような電源、各々が前記スリーブにおける隔室に関係する、前記スリーブにおける更なる一連の導管に結合可能なアウトレットに通じる一連の導管である。前記導管は、前記制御ユニットにおける空気又は流体吸入口から前記スリーブにおける前記隔室への空気又は流体移送用である。
【0041】
好ましくは、前記圧迫デバイスの前記膨張式スリーブから前記制御ユニットを取り外すことにより、前記制御ユニットの前記第二のモードが実行されると、前記制御ユニットは、圧迫療法時間にわたる前記膨張式スリーブにおける圧力変更を表示するための手段を自動的に提供する。これにより、臨床環境における医療従事者は、指定の治療時間にわたる、前記スリーブの前記隔室全体にわたる圧力レベルのデータ読出しを迅速且つ容易に得ることが可能となる。前記制御ユニットにおける一連の入力ボタンを用いて、使用者は前記圧迫デバイスの最近の使用の様々な態様の詳細を求めることができる。前記制御ユニットに手を加えるのを避けるため、データへのアクセスは独自の個人識別番号(PIN)の入力によってのみ得られうる。
【0042】
この圧迫デバイスの使用の直接監視により、医療従事者は処方された治療の患者のコンプライアンスの迅速な表示を得ることが可能となる。これは、患者が在宅で、即ち、病院環境においてではなく、治療された場合に特に有用となりうる。
【0043】
好ましくは、前記制御ユニットは前記膨張式スリーブの外面において収容される。パウチの設置により、前記制御ユニットは前記膨張式スリーブから容易に着脱可能となる。その結果、前記磁石と前記磁気センサーの整合及び磁気的結合と、前記制御ユニットを前記パウチから抜き出すことによる前記制御ユニットの容易なモード切り替えが、可能となる。
【0044】
好ましくは、前記デバイスは、2つ以上の膨張式隔室を含む膨張式スリーブを含む。特に好ましくは、前記デバイスは4つの隔室を含む。前記膨張式スリーブにおける前記隔室の数及び形状は、前記スリーブが適用される患者及び体肢の必要条件に依存する。好ましくは、本発明のデバイスの膨張式スリーブは、脚、足又は腕における使用に適する。
【0045】
更に本発明により、医療デバイスの制御ユニットの近接を検知する方法が提供され、前記方法は、
(i)前記制御ユニットを前記医療デバイスに取り付ける段階;
(ii)放射部分からの信号を提供する段階;
(iii)前記放射部分からの前記信号を検知する段階;
(iv)前記検知信号を制御ユニットに提供する段階;及び
(v)前記デバイスを作動させるように前記制御ユニットを設定する段階
を含む。
【0046】
更に一層本発明に従って、医療デバイスの制御ユニットの近接を検知する方法が提供され、前記方法は、
(i)前記制御ユニットが前記医療デバイスを作動させるように、前記制御ユニットを前記デバイスに取り付ける段階;
(ii)前記制御ユニットを前記医療デバイスから取り外し、これにより、前記医療デバイスからの前記制御ユニットの非存在を検知する段階;
(iii)前記医療デバイスが存在しないという信号を提供する段階;及び
(iv)前記デバイスの作動を停止し、前記デバイスの使用に関するデータを表示するように前記制御ユニットを設定する段階
を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
次に、添付図面を参照し、本発明の好ましい実施形態について述べる。
【0048】
図1において、膨張式移動型圧迫デバイス2は、外面8及び内面12を有するパウチ(ポーチ)を含んでいる。内面12に設置されているのは剛性受け板14である。該受け板14は、制御ユニット10(図2参照)を圧迫デバイス2に結合するための一連の剛性コネクター16(図3参照)を有する。通常、制御ユニット10は、患者に着用される時、電源及び圧迫デバイス2を膨張させるための空気式又は流体式のポンピング手段を含む。受け板14に設置されているのは磁石15であり、これは、本発明の実施形態の近接検知装置の放射部分として機能する。
【0049】
図2において、制御ユニット10はディスプレイ13を有する正面11を含んでいる。ディスプレイ13は、制御ユニット10と移動型圧迫デバイス2との組合せの機能に関するデータを表示するようになっている。制御ユニット10は、受け板14の相補的な剛性コネクターとの結合のための剛性コネクター16も有している(図1及び3参照)。
【0050】
図3は制御ユニット10(部分図)と圧迫デバイス2の受け板14(部分図)との結合状態を示している。制御ユニット10は背面17及び側面21(図2では両方とも不明瞭)を含んでいる。制御ユニット10を受け板14に結合し、それによって圧迫デバイス2に結合するために、制御ユニット10は、剛性コネクター16が剛性コネクター18に差し込まれるまで、受け板14に沿って(矢印方向に沿って)摺動させられる。それにより、制御ユニット10は、外面8及び内面12により画定されるパウチ内に挿入される。一旦、前記制御ユニットが所定位置に配置されると、検知部分としての磁気センサー(図示せず−背面17の下方に伏在)は、受け板14に設置された磁石15に接近し、一直線上に整合する。そして、磁石15及び前記磁気センサーの前記整合により磁気スイッチが作動し、これにより、前記制御ユニット10が作動し、患者モードを採択して移動型圧迫デバイス2が作動する。制御ユニット10を前記パウチから手動で引き抜くことにより(矢印の逆方向)、磁石15及び前記磁気センサーの整合は阻害され、制御ユニット10は医療従事者モードを採択し、移動型圧迫デバイス2はもはや作動しなくなる。次に、制御ユニット10のディスプレイ13から医療従事者により、患者の使用に関するデータが記録されうる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】制御ユニットを収容するためのパウチであって、患者の体肢に着用される移動型圧迫デバイスに組み込まれるとともに、本発明の近接検知装置の放射部分を含むパウチを示す斜視図である。
【図2】本発明による使用に好適な移動型圧迫デバイス用の制御ユニットを示す斜視図である。
【図3】図1のパウチ内に存在し、ここでは例示のためにパウチから取り外された受け板と、図2の制御ユニットであって本発明の近接検知装置の検知部分を含む制御ユニットとを示す部分斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療デバイスを制御する際に用いる制御ユニット用の近接検知装置であって、
(i)検知部分と、
(ii)放射部分と
を含み、それらの一方の部分が前記医療デバイスに設置され、他方の部分が前記制御ユニットに設置され、前記制御ユニットが前記医療デバイスに取り付けられた時には、前記検知部分が前記放射部分を検知して、前記制御ユニットに第一の作動モードを選択するように指示し、前記制御ユニットが前記医療デバイスから取り外された時には、前記検知部分が前記放射部分を検知せず、前記制御ユニットに第二の作動モードを選択するように指示する、装置。
【請求項2】
医療デバイスを制御する際に用いる脱着式制御ユニット用の近接検知装置であって、
(i)検知部分と、
(ii)放射部分と
を含み、前記検知部分が前記放射部分を検知するのに適するように、それらの一方の部分が前記医療デバイスに設置され、他方の部分が前記制御ユニットに設置されており、
前記制御ユニットが前記医療デバイスから取り外された時には、前記検知部分が前記放射部分を検知せず、前記制御ユニットに医療デバイスの使用に関するデータを表示するための手段を含む作動モードを選択するように指示する装置。
【請求項3】
前記制御ユニットが前記第一の作動モードにある時には、前記医療デバイスを作動させることができる、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記制御ユニットが前記第二の作動モードにある時には、前記デバイスを作動させることができないように、非作動状態になる、請求項1又は3に記載の装置。
【請求項5】
前記制御ユニットが前記第一の作動モードにある時には、患者モードにて前記デバイスを作動させる、請求項1,3又は4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記制御ユニットが前記第二の作動モードにある時には、医療従事者モードにて前記制御ユニットを作動させる、請求項1又は3から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記放射部分が、前記医療デバイスの外面内又は外面上に装着可能な磁石である、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記磁石が永久磁石である、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記医療デバイスが単一の医療デバイスである、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の近接検知装置を含む医療デバイス。
【請求項11】
前記デバイスが、膨張式ベッド・マットレス、膨張式クッション又は移動型圧迫デバイスである、請求項10に記載の医療デバイス。
【請求項12】
体肢に配置するための膨張式スリーブ、前記膨張式スリーブ内の空気又は流体圧力を制御するための制御ユニット及び請求項1から9のいずれか一項に記載の近接検知装置を含む体肢用移動型圧迫デバイス。
【請求項13】
前記医療従事者モードにおいて前記制御ユニットが患者のコンプライアンスデータを表示するための手段を含む、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記検知部分がHallセンサーを含む、請求項12又は13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記制御ユニットが、空気若しくは流体ポンプ、弁、空気若しくは流体を前記膨張式スリーブに供給するための空気若しくは流体導管、マイクロプロセッサ及びメモリーを含む、請求項12から14のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項16】
前記膨張式スリーブの外面が、前記制御ユニットを収容するためのパウチを含む、請求項12から15のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記膨張式スリーブが2つ以上の膨張式隔室を含む、請求項12から16のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項18】
前記体肢が、脚、足又は腕である、請求項12から17のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項19】
添付図面の図1から3を参照して本明細書で詳細に述べた医療デバイスを制御する際に用いる制御ユニット用の近接検知装置。
【請求項20】
添付図面の図1から3を参照して本明細書で詳細に述べた移動型圧迫デバイス。
【請求項21】
医療デバイスの制御ユニットの近接を検知する方法であって、
(i)前記制御ユニットを前記医療デバイスに取り付ける段階と、
(ii)放射部分からの信号を提供する段階と、
(iii)前記放射部分からの前記信号を検知する段階と、
(iv)前記検知信号を制御ユニットに提供する段階と、
(v)前記デバイスを作動させるように前記制御ユニットを設定する段階と
を含む方法。
【請求項22】
医療デバイスの制御ユニットの近接を検知する方法であって、
(i)前記制御ユニットが前記医療デバイスを作動させるように、前記制御ユニットを前記デバイスに取り付ける段階と、
(ii)前記制御ユニットを前記医療デバイスから脱着し、これにより、前記医療デバイスからの前記制御ユニットの非存在を検知する段階と、
(iii)前記医療デバイスが存在しないという信号を提供する段階と、
(iv)前記デバイスの作動を停止し、前記デバイスの使用に関するデータを表示するように前記制御ユニットを設定する段階と
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−523588(P2009−523588A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551865(P2008−551865)
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【国際出願番号】PCT/GB2007/000229
【国際公開番号】WO2007/085816
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(391015708)ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー (494)
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
【Fターム(参考)】