説明

近接露光に適用される位置検出方法及びウエハと露光マスク

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アライメント時の位置検出方法に関し、特に、近接露光のスループット向上に適した位置検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】レンズ系と画像処理系とを組み合わせたアライメント装置において、アライメント時のウエハとマスクの位置合わせ方法として、垂直検出法と斜方検出法が知られている。垂直検出法は、アライメントマークをマスク面に垂直な方向から観測する方法であり、斜方検出法は、斜めから観測する方法である。
【0003】垂直検出法で用いられる合焦方法として、色収差二重焦点法が知られている。色収差二重焦点法は、マスクに形成されたマスクマークとウエハに形成されたアライメントマークとを異なる波長の光で観測し、色収差を利用して同一平面に結像させる方法である。色収差二重焦点法は、原理的にレンズの光学的な分解能を高く設定できるため、絶対的な位置検出精度を高めることができる。
【0004】一方、アライメントマークを垂直方向から観測するために、観測のための光学系が露光領域に入り込む。このままで露光すると、光学系が露光光を遮ることになるため、露光時には光学系を露光領域から退避させる必要がある。退避させるための移動時間が必要になるため、スループットが低下する。また、露光時にアライメントマークを観測できないため位置検出ができなくなる。これは、露光中のアライメント精度低下の原因になる。
【0005】斜方検出法は、光軸がマスク面に対して斜めになるように光学系を配置するため、露光光を遮らないように配置することができる。このため、露光中に光学系を退避させる必要がなく、露光中でもアライメントマークを観測することができる。従って、スループットを低下させることなく、かつ露光中の位置ずれを防止することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】斜方検出法は、アライメントマークとマスクマークを斜方から観測して結像させるため、像歪により位置検出の絶対精度が低下する。また、照明光の光軸と観測光の光軸が一致していないため、照明光の光軸を観測光の光軸と同軸に配置することができない。従って、照明光軸が理想的な光軸からずれ易くなる。照明光軸が理想的な光軸からずれると、像が変化し正確な位置検出を行うことが困難になる。
【0007】本発明の目的は、スループットを落とすことなく高精度なアライメントを行うことができる位置検出方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の一観点によると、入射光を散乱させるエッジを有する位置合わせ用ウエハマークが形成された露光面を有するウエハと、入射光を散乱させるエッジを有する位置合わせ用のマスクマークが形成された露光マスクとを、前記露光面が前記露光マスクに対向するように間隙を挟んで配置する工程と、前記ウエハマーク及びマスクマークに照明光を斜入射し、ウエハマーク及びマスクマークのエッジからの散乱光を観測して、前記ウエハと前記露光マスクとの相対位置を検出する工程とを含み、前記ウエハマークのエッジ及びマスクマークのエッジが、前記照明光の入射面に対して垂直な方向に沿って複数個配置されており、前記相対位置を検出する工程が、前記照明光の入射面に対して垂直な方向に沿って複数個配置されたウエハマーク及びマスクマークのエッジからの散乱光を観測する工程を含む位置検出方法が提供される。
【0009】本発明の他の観点によると、前記ウエハマークのエッジと前記マスクマークのエッジとが、位置合わせが完了した状態では一方を平行移動して他方に重ねることができるように配置されている位置検出方法が提供される。
【0010】本発明の他の観点によると、前記ウエハマークのエッジ及びマスクマークのエッジが、前記ウエハマーク及びマスクマークごとに前記照明光の入射面に対して垂直な方向に沿って少なくとも3個配置され、その間隔が均一でない位置検出方法が提供される。
【0011】本発明の他の観点によると、前記ウエハマークの複数のエッジの長さが相互に均一ではなく、前記マスクマークの複数のエッジの長さが相互に均一ではない位置検出方法が提供される。
【0012】本発明の他の観点によると、前記相対位置を検出する工程が、対物レンズを有する光学系で前記散乱光を観測し、前記ウエハマークのエッジのうち少なくとも1つ、及び前記マスクマークのエッジのうち少なくとも1つは、その長さが前記対物レンズの分解能以下である位置検出方法が提供される。
【0013】本発明の他の観点によると、前記ウエハマークのエッジ及び前記マスクマークのエッジが、前記照明光の入射面に対して平行な方向に複数個配列されている位置検出方法が提供される。
【0014】本発明の他の観点によると、入射光を散乱させるエッジを有する位置合わせ用ウエハマークが形成された露光面を有し、前記エッジが、前記入射光の入射面に対して垂直な方向に沿って複数個配置されている半導体基板が提供される。
【0015】本発明の他の観点によると、入射光を散乱させるエッジを有する位置合わせ用マスクマークが形成され、前記エッジが、前記入射光の入射面に対して垂直な方向に沿って複数個配置されている露光マスクが提供される。
【0016】
【作用】一般に、照明光軸と観測光軸とを同軸とし、光軸を露光面に対して斜めに配置すると、通常ウエハマーク及びマスクマークからの反射光が観測光軸の方向に戻ってこないため、これらマークを観測することができない。ウエハマーク及びマスクマークに入射光を散乱させるエッジを設けておくと、散乱光の一部が観測光軸の方向に戻ってくるため、このエッジを観測することができる。
【0017】ウエハマーク及びマスクマークのエッジを、入射面に対して垂直な方向に複数個配置すれば、複数個のエッジを同時に結像させることができる。複数のエッジの像を同時に観測して位置検出を行えば、製造工程における各エッジの形状のばらつきによる位置検出誤差を吸収することができる。
【0018】ウエハマークを平行移動してマスクマークに重ね合わせることができるように、ウエハマーク及びマスクマークを構成することにより、ウエハマーク及びマスクマークの画像信号の自己相関関数を求めて相対位置を検出することができる。
【0019】マスクマークのエッジの長さ及びウエハマークのエッジの長さを不均一にしておけば、相似性パターンマッチングにおいてウエハマークとマスクマークのエッジのうち対応しないエッジの像は完全には重ならない。ウエハマーク及びマスクマークのエッジの像が完全に重なったときに相関値が大きなピークを示すが、対応しないエッジの像が一部重なっても、相関値はそれほど大きくならない。完全に重なったときと一部重なったときの相関値のピークの高さの比が大きくなるため、一部重なった状態を完全に重なった状態と誤認することを防止できる。
【0020】また、ウエハマーク及びマスクマークのエッジ列のピッチを不均一にしても同様の作用を奏する。ウエハマークもしくはマスクマークのエッジの長さをレンズの分解能以下にすると、このエッジからの散乱光による像は、レンズの点像強度分布に近似される。また、エッジの長さがレンズの分解能以上であると、このエッジからの散乱光による像はレンズの線像強度分布に近似される。
【0021】線像強度分布及び点像強度分布にそれぞれ近似される線像及び点像に含まれる位置検出誤差要因は異なるものと予想される。従って、線像及び点像の2種類の像を用いて位置検出を行うことにより、高精度に位置検出を行うことができると考えられる。
【0022】ウエハマーク及びマスクマークのエッジを照明光の入射面に対して平行に複数個配列し、照明光軸方向からエッジを観測すると、複数のエッジのうちいずれかのエッジに焦点が合う。従って、ウエハとマスクとの間隔が目標とする間隔からずれても、いずれかのエッジを鮮明に観測することができる。
【0023】
【実施例】図1(A)は、本発明の実施例で使用する位置検出装置の概略断面図を示す。位置検出装置はウエハ/マスク保持部10、光学系20、及び制御装置30を含んで構成されている。
【0024】ウエハ/マスク保持部10は、ウエハ保持台15、マスク保持台16、及び駆動機構17から構成されている。位置合わせ時には、ウエハ保持台15の上面にウエハ11を保持し、マスク保持台16の下面にマスク12を保持する。ウエハ11とマスク12とは、ウエハ11の露光面とマスク12との間に一定の間隙が形成されるように平行に配置される。ウエハ11の露光面には、位置合わせ用のウエハマーク13が形成され、マスク14の下面(マスク面)には位置合わせ用のマスクマーク14が形成されている。以下、ウエハマークとマスクマークとを総称してアライメントマークと呼ぶ。
【0025】ウエハマーク13及びマスクマーク14には、入射光を散乱させるエッジが形成されている。これらのマークに光が入射すると、エッジに当たった入射光は散乱し、その他の領域に当たった入射光は正反射する。ここで、正反射とは、入射光のうちほとんどの成分が、同一の反射方向に反射することをいう。
【0026】駆動機構17は、ウエハ保持台15及びマスク保持台16を相対的に移動することができる。図の左から右にx軸、紙面に垂直な方向に表面から裏面に向かってy軸、露光面の法線方向にz軸をとると、ウエハ11とマスク12は相対的に、x軸方向、y軸方向、z軸方向、及びz軸の回りの回転方向(θ方向)に移動可能である。
【0027】光学系20は、像検出装置21、レンズ22、ハーフミラー23、及び光源24を含んで構成されている。光学系20は、その光軸25が露光面に対して斜めになるように配置されている。光源24から放射された照明光はハーフミラー23で反射して光軸25に沿った光束とされ、レンズ22を通して露光面に斜入射される。光源24はレンズ22の像側の焦点に配置されており、光源24から放射された照明光はレンズ22でコリメートされて平行光束になる。なお、光源24は、照射光の強度を調整することができる。
【0028】ウエハマーク13及びマスクマーク14のエッジで散乱された散乱光のうちレンズ22に入射する光は、レンズ22で収束されて像検出装置21の受光面上に結像する。このように、光学系20による照明はテレセン照明とされ、照明光軸と観測光軸は同一光軸とされている。
【0029】像検出装置21は、受光面に結像したウエハマーク及びマスクマークの像を光電変換し画像信号に変換する。画像信号は制御装置30に入力される。制御装置30は、像検出装置21から入力された画像信号を処理して、ウエハマーク13とマスクマーク14の相対位置を検出する。さらに、ウエハマーク13とマスクマーク14が所定の相対位置関係になるように、駆動機構17に対して制御信号を送出する。駆動機構17は、この制御信号に基づいて、ウエハ保持台15もしくはマスク保持台16を移動させる。
【0030】図1(B)は、ウエハマーク13及びマスクマーク14の相対位置関係を示す平面図である。四辺がx軸もしくはy軸に平行に配置された長方形パターンをx軸方向に3個配列して、1個のマークが構成されている。なお、後述するように3個以上の長方形パターンを配列してもよい。ウエハマーク13は一対で構成されており、マスクマーク14が一対のウエハマーク13の間に配置されている。
【0031】図1(A)のウエハマーク13及びマスクマーク14は、図1(B)の一点鎖線A1−A1における断面を示している。ウエハマーク13及びマスクマーク14に入射した照明光は、図1(B)の各長方形パターンの光軸に向かって突き出したエッジで散乱される。エッジ以外の領域に照射された光は正反射し、レンズ22には入射しない。従って、像検出装置21でエッジからの散乱光のみを検出することができる。
【0032】次に、エッジ散乱光による像の性質について説明する。インコヒーレントな単色光による像の光強度分布Iは、
【0033】
【数1】


と表される。ここで、O(x,y)は観測物体表面からの反射光の強度分布、PSF(x,y)はレンズの点像強度分布(point spread function )、積分は観測物体の表面全域における積分を表す。
【0034】図1(B)の各長方形パターンの1つのエッジに着目すると、光を反射する微小な点がy軸に平行に配列したものと考えることができる。この微小な1点からの反射光強度分布をディラックのデルタ関数δと仮定する。実際に、微小な1点からの散乱光の強度分布はデルタ関数に近似することができるであろう。レンズのアイソプラナティズムが成立する範囲で、エッジがy軸方向に延びているとすると、O(x,y)=δ(x)とおくことができる。
【0035】式(1)は、
【0036】
【数2】


と変形できる。このI(x)はレンズの線像強度分布(line spred function )であり、
【0037】
【数3】
I(x)=LSF(x) …(3)
と書くことができる。ここで、LSF(x)はレンズの線像強度分布を表す。
【0038】照明光が連続スペクトルを有する場合には、
【0039】
【数4】


と表される。ここで、λは光の波長、LSFλは波長λの線像強度分布、Δxλは波長λの光に対するレンズの色収差による線像の横ずれ量、積分は全波長領域における積分を表す。
【0040】式(4)から、エッジからの散乱光を観測することはレンズの線像強度分布を観測していることと等価になることがわかる。従って、エッジからの散乱光を観測することにより、観測物体からの反射光の面内強度分布に左右されることなく、常に安定した像を得ることができる。
【0041】図1(C)の左図は、図1(A)の像検出装置21の受光面に結像した像の形状を示す。観測光軸を含む入射面と受光面との交線方向をx軸、受光面内のx軸に直交する方向をy軸とすると、1つのエッジによる像はy軸に平行な直線状形状になる。従って、各マークの像は、y軸に平行な直線状の像がx軸方向に3個配列した形状になる。
【0042】ウエハマーク13のエッジ散乱光による一対の像13Aの間に、マスクマーク14のエッジ散乱光による像14Aが形成されている。また、観測光軸が露光面に対して斜めであるため、マスクマークの像14Aとウエハマークの像13Aとは、x軸方向に関して異なる位置に検出される。
【0043】図1(C)の右図は、ウエハマークの像13A及びマスクマークの像14Aのy軸方向の光強度分布を示す。一方のウエハマークの像13Aとマスクマークの像14Aとのy軸方向の距離をy1、他方のウエハマークの像13Aとマスクマークの像14Aとのy軸方向の距離をy2とする。y1とy2を測定することにより、図1(B)におけるウエハマーク13とマスクマーク14のy軸方向の相対位置関係を知ることができる。
【0044】例えば、マスクマークがy軸方向に関して一対のウエハマークの中央にくるように位置決めしたい場合には、y1とy2とが等しくなるように、ウエハもしくはマスクのうち一方を他方に対して相対的に移動させればよい。このようにして、図1(B)におけるy軸方向に関して位置合わせすることができる。図1(A)、(B)に示すような位置合わせ用のマークと光学系とを3組配置することにより、x軸、y軸及びθ方向に関して位置合わせすることができる。なお、図1(A)では、照明光軸と観測光軸とが同軸である場合を説明したが、必ずしも同軸である必要はない。正反射光が観測光学系の対物レンズに入射せず、散乱光のみが入射する条件であればよい。
【0045】次に、露光面とマスク面との間隔を測定する方法について説明する。像検出装置21の受光面に結像している物点は、光学系20の物空間において光軸に垂直な平面上にある。以下、この平面を「被結像面」とよぶ。
【0046】ウエハマーク及びマスクマークの各エッジのうち、被結像面上にあるエッジは受光面上に合焦するが、被結像面上にないエッジは合焦せず被結像面から遠ざかるに従ってピントがぼける。従って、各マークのエッジのうち被結像面に最も近い位置にあるエッジの像が最も鮮明になり、そのエッジからx軸方向に離れるに従って像がぼける。
【0047】図1(C)において、距離x1 は、ウエハマークの像13Aとマスクマークの像14Aのそれぞれ最もピントが合っている点のx軸方向の距離を表す。すなわち、距離x1 は、ウエハマークの合焦点とマスクマークの合焦点とを入射面へ垂直投影した点の距離にほぼ等しい。
【0048】図1(D)は、ウエハ面11及びマスク面12の被結像面近傍の入射面における断面図を示す。点Q2 はウエハ面11と被結像面との交線上の点、点Q1 はマスク面12と被結像面との交線上の点である。線分Q1 2 の長さが図1(C)における距離x1 に対応する。
【0049】線分Q1 2 の長さをL(Q1 2 )で表すと、露光面11とマスク面12との間隔δは、
【0050】
【数5】
δ=L(Q1 2 )×sin(α) …(5)
と表される。ここで、αはウエハ面11の法線方向と光軸25とのなす角である。従って、図1(C)における距離x1 を測定して線分Q1 2 の長さを求めることにより、間隔δを知ることができる。間隔δをより正確に知るためには、距離x1 を正確に測定することが好ましい。このためには、レンズの焦点深度が浅いほうがよい。
【0051】制御装置30に、予め距離x1 の目標値を記憶させておき、測定された距離x1 が目標値に近づくように駆動機構17を制御することにより、ウエハ面11とマスク面12との間隔を所望の間隔に設定することができる。
【0052】次に、ウエハマークからの散乱光を観察した実験結果について説明する。図2(A)は、観察実験に用いたウエハマークの平面図を示す。3本の長方形のパターンが平行に配置されて1つのウエハマークを構成している。長方形パターンの幅は6μm、長さは100μmである。各長方形パターンは、入射光を散乱させるエッジを有する。以下、この長方形パターンのように、入射光を散乱させるエッジを有するパターンをエッジパターンと呼ぶ。
【0053】図2(B)及び図2(C)は、共に図2(A)の一点鎖線B2−B2における断面図を示す。図2R>2(B)に示すウエハにおいては、シリコン基板40の表面上に、レジストパターン41(シプレー社製のマイクロポジット2400)が形成されている。レジストパターン41の厚さH1は1.2μm、幅Wは6μmである。
【0054】中央のエッジパターンの中心線と両側のエッジパターンの中心線との距離を、それぞれy3、y4とする。実験に使用したウエハには、y3−y4が0nm、20nm、40nm、60nm、・・・180nmの10種類のウエハマークが形成されている。以下、y3−y4を中央のエッジパターンの変位量と呼ぶ。なお、各マークともy3+y4は26μmである。
【0055】図2(C)に示すウエハにおいては、シリコン基板40の表面上にシリコンの凸部44が形成されている。凸部44の高さH2は0.5μmである。シリコン基板40の表面を覆うように厚さ0.7μmのフォスフォシリケートガラス(PSG)膜42、厚さ1.45μmのレジスト膜43がこの順番に積層されている。凸部44の幅及び間隔は図2(B)に示すそれと同様である。
【0056】図3(A)は、図2(B)に示すレジストパターンで形成されたウエハマークを、図1(A)に示すように斜方から観察したときの像を示す。観察に用いた顕微鏡は、対物レンズの開口数NAが0.4、検出倍率が100倍のものである。照明光軸の入射面が図2(A)の各エッジパターンの長手方向に平行で、露光面の法線とのなす角が30°であり、照明光軸と同軸の観測光軸を有する光学系で観察した。図3(A)では、3つのウエハマークに対応する像が観察される。各ウエハマークごとに3つ並んだ長円状の像が現れている。これらは、図2(A)のエッジパターンの短辺からの散乱光による像である。
【0057】なお、図中、3つ並んだ長円状の像の下方に現れている像は、各マークの下方に形成された通し番号マークからのエッジ散乱光によるものである。ただし、像検出装置で図3(A)の横方向に走査し、3つ並んだ長円状の像に掛かる走査線の画像信号のみを基に位置検出を行えば、下方の像による影響を回避することができる。
【0058】図3(B)は、図2(B)に示すレジストパターンで形成されたウエハマークを、露光面の法線方向から観察したときの像を示す。図3(B)には、3つのウエハマークに対応する像が現れている。各マークの下方に形成された数字マークは、ウエハマークの通し番号を示す数字である。
【0059】図4は、図3(A)の長円状の像に掛かる走査線に対応する画像信号のうち、1つのウエハマークに相当する部分を示す。横軸は露光面上の位置を表し、縦軸は光強度を表す。3つ並んだ長円状の像に対応して3つの矩形状のピークが現れている。このように、エッジ散乱光を検出することにより、エッジ部分に対応してピークを示す画像信号を得ることができる。
【0060】図3、図4では、図2(B)に示すレジストパターンで形成したウエハマークを観察した場合の像及び画像信号を示したが、図2(C)に示す積層構造を有するウエハマークについても、同様の像及び画像信号を得ることができた。
【0061】図5は、画像信号を信号処理して、中央のエッジパターンの変位量y3−y4を測定した結果を示す。図5(A)は、図2(B)に示すレジストパターンで形成したウエハマークの場合、図5(B)は、図2(C)に示す積層構造のウエハマークの場合である。横軸は、ウエハマークの通し番号を表す。ここで、通し番号nのウエハマークの変位量y3−y4はn×20nmである。縦軸は、観測により求めた変位量y3−y4を単位nmで表す。
【0062】図中の記号◆は、垂直検出により観測した変位量を示し、記号■は、エッジ散乱光により観測した変位量を示す。エッジ散乱光により観測した変位量は、相似性パターンマッチング(特開平2−91502号公報の第4頁左下欄14行目〜第7頁左上欄3行目)により求めた。
【0063】以下に、相似性パターンマッチングによる変位量の測定方法を簡単に説明する。まず、図4に示す画像信号を微分した微分画像信号を得る。この微分画像信号の自己相関関数を計算する。図4の中央のピークと左側のピーク、及び中央のピークと右側のピークが重なるときに自己相関関数が極大値を示す。従って、自己相関関数が極大値をとるときの移動量を求めることにより、距離y3及びy4を求めることができる。このようにして求めた距離y3及びy4から変位量y3−y4を計算する。
【0064】距離y3及びy4をより正確に求めるためには、ウエハマークに対応する微分画像信号のピークを平行移動したときに、マスクマークに対応する微分画像信号のピークにほぼ重なるように、相似性を保った形状とすることが好ましい。
【0065】図5(A)に示すように、レジストパターンでウエハマークを形成した場合には、エッジ散乱光を観測して求めた変位量y3−y4が、ウエハマークの通し番号0〜9のすべてについて従来の垂直検出により求めたそれとほぼ等しい。
【0066】図5(B)に示すように、シリコンの凸部でウエハマークを形成した場合には、エッジ散乱光を観測して求めた変位量y3−y4が、マークの通し番号0〜9のすべてについて従来の垂直検出により求めたそれよりもやや大きくなった。観測された変位量の増分は、約13nmであった。13nm程度の差は、例えばX線露光におけるアライメントで大きな問題になる量ではない。また、後に実施例で説明するようなウエハマーク形状とすることにより、この差は小さくなるであろう。
【0067】上述の方法では、ウエハマーク及びマスクマークの1つのエッジからの散乱光により位置検出を行っている。マスク製造工程もしくはウエハ製造工程のばらつきにより、各マークのエッジ形状が理想的な形状からずれると、正確な位置検出ができなくなる。次に、ウエハマーク及びマスクマークの形状を、製造工程のばらつきによる影響を受けにくい形状とした第1の実施例について説明する。
【0068】図6(A)は、本発明の第1の実施例によるアライメントマークの平面図を示す。露光面をxy平面とし、その法線方向をz軸とする座標系を考える。一対のウエハマーク52A及び52Bがy軸に沿って配置され、その間にマスクマーク62が配置されている。なお、後述する他の実施例についても同様の座標系を用いて説明する。
【0069】ウエハマーク52A、52Bは、共に入射光を散乱させるエッジを有する長方形状のパターン(エッジパターン)51がx軸及びy軸に沿って格子状に配置された構成とされている。図6(A)では、y軸に沿って3個、x軸に沿って5個のエッジパターン51が配置されている場合を示している。マスクマーク62も同様に、エッジパターン61が格子状に配置された構成とされている。
【0070】図6(B)は、図6(A)の一点鎖線B6−B6における断面図を示す。ウエハ50の表面上にエッジパターン51が形成されている。マスク60の下面にエッジパターン61が形成されている。
【0071】図6(C)は、図6(A)の一点鎖線C6−C6における断面図を示す。各アライメントマーク内において、y軸方向の長さがWのエッジパターン51もしくは61が、y軸に沿ってピッチPで配置されている。ウエハマーク52Aとマスクマーク62との中心間距離をy5、ウエハマーク52Bとマスクマーク62との中心間距離をy6とする。
【0072】図6(D)は、図6(A)〜(C)に示すアライメントマークからのエッジ散乱光を、xz面に含まれる斜光軸から観測した場合の画像信号を示す。横軸はy軸方向の位置、縦軸は信号強度を表す。各アライメントマークにおいてy軸方向に並んだ3つのエッジパターンは、斜光軸に対して垂直な平面上にある。このため、y軸方向に並んだ3つのエッジパターンが同時に観測光学系の被結像面上に並ぶことができ、各エッジパターンからのエッジ散乱光はいずれも鮮明な像を結ぶ。ウエハマーク52A、52B、及びマスクマーク62に対応する位置に、それぞれ3個のピークが観測される。ピークの幅は、エッジパターンのy軸方向の長さWに等しく、ピーク列のピッチは、エッジパターンのy軸方向のピッチPに等しい。
【0073】図6(E)は、図6(D)に示す画像信号を微分した微分画像信号の自己相関関数を示す。横軸はy軸方向の移動量Δyを表し、縦軸は相関値を表す。図6R>6(D)において、ウエハマーク52Aに対応するピークをy軸の正の向きに平行移動する。ウエハマーク52Aの右端のピークがマスクマーク62の左端のピークに重なったところで相関値が大きくなり、図6(E)に示すようにピークa1が現れる。
【0074】さらにy軸の正の向きにピッチPだけ移動すると、ウエハマーク52Aの右端と中央のピークが、それぞれマスクマーク62の中央と左端のピークに重なる。このとき、画像信号の2つのピークが重なっているため、1つのピークが重なっているときよりも相関値が大きくなり、ピークa1よりも高いピークa2が現れる。
【0075】さらにy軸の正の向きにピッチPだけ移動すると、ウエハマーク52Aの3つのピークがマスクマーク62の3つのピークに重なる。このとき相関値が最大になり、最も高いピークa3が現れる。さらに移動すると、ピークa2及びa1とほぼ同じ高さのピークが順番に現れる。最も高いピークa3を与える移動量Δyが、ウエハマーク52Aとマスクマーク62との中心間距離y5に相当する。ウエハマーク52Bとマスクマーク62との中心間距離y6も、同様に求めることができる。
【0076】このように、y軸方向に3つのエッジパターンを配置すると、同時に3つのエッジパターンからのエッジ散乱光を観測することができる。このため、製造工程のばらつき等によって1つのエッジ部分の形状が理想的な形状からずれても、他のエッジ部分のエッジ散乱光も同時に観測しているため高精度に位置検出することができる。なお、y軸方向に沿って配置するエッジパターンの数は3個に限らず、2個以上のパターンを配置することにより、同様の効果を得ることができるであろう。
【0077】図6(A)〜(C)に示すアライメントマークを用いた場合には、図6(E)に示すように、最大のピークa3の両側にやや高さの低いピークa2が現れる。ピークa2を最大のピークと誤認した場合には、正確な位置検出ができなくなる。この誤認は、y軸に沿って配置されたエッジパターンの数が増加した場合や、画像信号のS/N比が低下した場合に起こりやすくなる。以下、アライメントマークを、ピークの誤認が生じにくい形状とした第2の実施例について説明する。
【0078】図7(A)は、第2の実施例によるアライメントマークの断面図を示す。なお、アライメントマークの平面配置は図6(A)に示す第1の実施例の場合と同様である。各アライメントマーク52A、52B、及び62は、y軸に沿って配置された3個のエッジパターンを含んで構成されている。各アライメントマークにおいて、エッジパターンのy軸に沿ったエッジの長さは均一ではない。各エッジパターンは、1つのアライメントマークをy軸に沿って平行移動して他のアライメントマークに重ね合わせたとき、対応するエッジパターンのエッジの長さが等しくなるように形成されている。
【0079】図7(A)に示す各アライメントマークの中央のエッジパターンのエッジの長さはW2、両側のエッジパターンのエッジの長さはW1である。各アライメントマーク内において、エッジパターンのy軸方向のピッチはPである。ウエハマーク52Aとマスクマーク62との中心間距離はy5、ウエハマーク52Bとマスクマーク62との中心間距離はy6である。
【0080】図7(B)は、図7(A)に示すアライメントマークからのエッジ散乱光を、xz面内の斜光軸から観測した場合の画像信号を示す。ウエハマーク52A、52B、及びマスクマーク62に対応する位置に、それぞれ3個のピークが観測される。各アライメントマークの中央のピークの幅はW2、両側のピークの幅はW1になる。1つのアライメントマーク内において、ピーク列のピッチは、エッジパターンのy軸方向のピッチPに等しい。
【0081】図7(C)は、図7(B)に示す画像信号を微分した微分画像信号の自己相関関数を示す。図6(E)の場合と同様に5個のピークが現れている。ピークb1はウエハマーク52Aの右端のピークとマスクマーク62の左端のピークが重なったときに対応し、ピークb2は、ウエハマーク52Aの右端及び中央のピークがそれぞれマスクマーク62の中央及び左端のピークに重なったときに対応している。ピークb3は、ウエハマーク52Aとマスクマーク62の3つのピークがそれぞれ重なったときに対応している。
【0082】ピークb2を示す状態において、相互に重なっている信号強度のピーク幅が異なるため、ピーク幅が等しい場合に比べて相関値が小さい。このため、ピークb2の高さは、図6(E)におけるピークa2の高さよりも低くなる。最大のピークb3とその両側のピークb2との高さの比が大きくなるため、最大ピークの誤認が生じにくくなる。
【0083】なお、図7(A)では、各アライメントマーク内のエッジパターンのエッジの長さを不均一にした場合を示したが、エッジの長さを均一にしエッジパターンのピッチを不均一にしてもよい。また、エッジの長さとピッチの双方を不均一にしてもよい。なお、ミスアライメントの発生を抑制するためには、エッジの長さもしくはピッチの不均一の程度を±10%以上とすることが好ましい。
【0084】次に、図8、図9を参照して第3の実施例について説明する。図8(A)は、ウエハマークの1つのエッジパターンの斜視図を示す。図のxz平面内の斜光軸に沿って照明光を斜入射させ、y軸に沿って延在するエッジからの散乱光を観測する。この場合、散乱光による像は、前述の式(4)で示す強度分布になるため、図8(B)に示すようなレンズの線像強度分布に相当する像が得られる。
【0085】図8(C)に示すように、y軸に沿って延在するエッジの長さを短くする。エッジの長さがレンズの解像度よりも短くなると、式(1)における反射光の強度分布O(x,y)はδ(x,y)とおくことができるであろう。従って、式(1)は、
【0086】
【数6】


と変形することができる。ここで、PSF(x,y)は、レンズの点像強度分布を表す。
【0087】照明光が連続スペクトルを有する場合には、
【0088】
【数7】


と表すことができる。ここで、λは光の波長、PSFλは波長λの点像強度分布、Δxλは波長λの光に対するレンズの色収差による点像の横ずれ量、積分は全波長領域における積分を表す。
【0089】このように、エッジの長さをレンズの分解能以下にすることにより、図8(D)に示すようにレンズの点像強度分布に近似される点像を得ることができる。線像強度分布及び点像強度分布にそれぞれ近似される線像及び点像に含まれる位置検出誤差要因は異なるものと予想される。エッジ散乱光による像をエッジの長さ方向に積分したとき、誤差成分が累積されるような誤差要因は、線像に大きく影響を与えるが点像には大きな影響を与えないと考えられる。逆に誤差成分が打ち消し合うような誤差要因は、点像に大きく影響を与えるが線像には大きな影響を与えないと考えられる。
【0090】アライメントマークに、線像を結ぶエッジと点像を結ぶエッジとを形成することにより、総合的に位置検出誤差が小さくなるものと考えられる。図9(A)は、第3の実施例によるアライメントマークの断面図を示す。ウエハ50の表面上にウエハマーク52A及び52Bが形成されている。マスク60の下面にマスクマーク62が形成されている。各アライメントマークは、y軸に沿って配置された5個のエッジパターンを含んで構成されている。5個のエッジパターンのうち両端のものは、y方向に延在するエッジの長さがレンズの解像度よりも短い。
【0091】図9(B)は、図9(A)のアライメントマークからのエッジ散乱光を、xz面内の斜光軸から観測した場合の画像信号を示す。ウエハマーク52A、52B及びマスクマーク62に対応する位置に、それぞれ5本のピークが現れている。5本のピークのうち両端のピーク幅は狭く、レンズの点像強度分布に近似できる。この画像信号を微分した微分画像信号を用いて相似性パターンマッチングを行うことにより、点像及び線像の両方を用いて位置検出を行うことができる。
【0092】上記第1〜第3の実施例では、エッジパターンを入射面の法線方向に沿って配置し、位置検出誤差を低減する方法を説明した。次に、エッジパターンを入射面に平行な方向に配列し、ウエハとマスクとの間隔のばらつきに影響を受けないで位置検出を行う方法を説明する。
【0093】図10(A)は、第4の実施例によるウエハマークの平面図を示す。21個の長方形状のエッジパターン70がx軸に沿って4μmピッチで配列している。このエッジパターン70の列がy軸方向に3列配置されている。
【0094】図10(B)は、図10(A)のウエハマークをxz面に含まれる入射角30°の光軸方向から観測する場合の、ウエハマーク及び光学系の概略断面図を示す。ウエハ71の表面上にエッジパターン70が形成されている。斜光軸73に平行な照明光を斜入射し、エッジパターン70のエッジからの散乱光を観測する。図中の破線72は観測光学系の被結像面を表している。
【0095】ウエハ71が図のu1の位置にあるとき、図の左から5番目のエッジパターンが被結像面72上に位置する。ウエハ71を光軸73に沿って平行移動し、ウエハ71が図のu2及びu3の位置に来ると、それぞれ図の左から3番目及び左端のエッジパターンが被結像面72上に位置することになる。
【0096】エッジパターン70のx軸方向のピッチが4μmのとき、ウエハ71を光軸方向に2μm移動させれば、被結像面72上に位置するエッジパターンが1つずれることになる。従って、レンズの焦点深度を1μmにすれば、常にいずれかのエッジパターンに焦点を合わせることができる。
【0097】図10(C)は、図10(A)に示すウエハマークを図10(B)に示す方法で観測して、エッジパターンの位置検出を行ったときの検出位置のウエハ位置依存性を示す。横軸は焦点が合っているエッジパターンの通し番号を表し、縦軸は検出値を単位nmで表す。ここで、検出値は、y軸方向に関して中央にあるエッジパターンとその両側にあるそれぞれのエッジパターンとの間隔の相互の差分の半分と定義した。
【0098】1番目のエッジパターンを観測している状態から21番目のエッジパターンを観測している状態までの、ウエハの光軸方向の移動距離は40μmである。図10(C)に示すように、ウエハを40μm移動しても、検出値は−17nm〜+25nmの範囲に納まる。
【0099】このように、ウエハを光軸方向に移動させても比較的高精度にエッジパターンの位置を検出することができる。また、検出値のばらつきの主な要因はエッジパターンの形状のばらつきによるものと思われる。従って、第1の実施例で説明したように、エッジパターンをy軸方向に複数配置し、複数のエッジパターンを同時に観測して位置検出を行えば、より高精度の位置検出を行うことができるであろう。
【0100】図11は、入射面に平行な方向に複数のエッジパターンを配列したウエハマーク及びマスクマークの断面図を示す。図中の破線72は、観測光学系の被結像面を示す。
【0101】ウエハ71が図のv1もしくはv2で表される位置にあるとき、いずれかのエッジパターンが被結像面72上に位置するため、ウエハ71がv1もしくはv2のいずれの位置にあっても、ウエハマーク及びマスクマークからの散乱光によるエッジの像を鮮明に検出することができる。また、マスクマークもx軸方向に複数のエッジパターンを配列して構成されているため、マスクのz軸方向の位置がずれてもマスクマークからの散乱光によるエッジの像を鮮明に検出することができる。なお、いずれかのエッジパターンがレンズの焦点深度内に納まるようにエッジパターン列のピッチを選んでおけば、エッジが丁度被結像面上になくてもエッジの像を鮮明に検出することができる。
【0102】従って、ウエハ及びマスクのz軸方向の位置が一定の範囲内で変動しても安定して位置検出を行うことができる。また、図1(C)、(D)で説明したのと同様の方法で、ウエハとマスクとの間隔を求めることができる。
【0103】以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【0104】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、斜方からウエハマーク及びマスクマークを観察して、高精度に位置検出することができる。位置合わせを行った後にウエハを露光する場合、露光範囲に光学系を配置する必要がないため、露光期間中も常時位置検出を行うことができる。このため、高精度な露光が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)は、本発明の実施例で使用する位置検出装置の概略断面図、図1(B)は、ウエハマーク及びマスクマークの平面図、図1(C)は、ウエハマーク及びマスクマークからのエッジ散乱光による像及び像面内の光強度分布を示す図、図1(D)は、ウエハ面及びマスク面の被結像面近傍の断面図である。
【図2】エッジ散乱光の観測実験に使用したウエハマークの平面図及び断面図である。
【図3】図3(A)は、図2(B)に示すウエハマークからのエッジ散乱光による像の写真をスケッチした図、図3(B)は、図2(B)に示すウエハマークを垂直検出した像の写真をスケッチした図である。
【図4】図2(B)に示すウエハマークからのエッジ散乱光による像の画像信号を示す図である。
【図5】画像信号を信号処理して、変位量を測定した結果を示すグラフである。
【図6】図6(A)は、第1の実施例によるアライメントマークの平面図、図6(B)は、図6(A)の一点鎖線B6−B6における断面図、図6(C)は、図6(A)の一点鎖線C6−C6における断面図、図6(D)は、エッジ散乱光による像の画像信号を表す図、図6(E)は、図6(D)に示す画像信号の自己相関関数を示すグラフである。
【図7】図7(A)は、第2の実施例によるアライメントマークの断面図、図7(B)は、エッジ散乱光による像の画像信号を表す図、図7(C)は、図7(B)に示す画像信号の自己相関関数を示すグラフである。
【図8】図8(A)及び(C)は、ウエハマークを構成する1つのエッジパターンの斜視図、図8(B)及び(D)は、それぞれ図8(A)及び(C)に示すエッジパターンからのエッジ散乱光による像を表す図である。
【図9】図9(A)は、第3の実施例によるアライメントマークの断面図、図9(B)は、エッジ散乱光による像の画像信号を表す図である。
【図10】図10(A)は、第4の実施例によるウエハマークの平面図、図10(B)は、図10(A)のウエハマークを斜め方向から観測する場合のウエハマーク及び観測光学系の概略断面図、図10(C)は、図10(A)に示すウエハマークを図10(B)に示す方法で観測してエッジパターンの位置検出を行ったときの検出位置のウエハ位置依存性を示すグラフである。
【図11】第4の実施例によるウエハマーク及びマスクマークの断面図である。
【符号の説明】
10 ウエハ/マスク保持部
11 ウエハ
12 マスク
13 ウエハマーク
14 マスクマーク
15 ウエハ保持台
16 マスク保持台
17 駆動機構
20 光学系
21 像検出装置
22 レンズ
23 ハーフミラー
24 光源
25 光軸
30 制御装置
40、50、71 ウエハ
41、44、52A、52B ウエハマーク
42 PSG膜
43 レジスト膜
51、61、70、75 エッジパターン
60、74 マスク
62 マスクマーク
72 被結像面
73 光軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】 入射光を散乱させるエッジを有する位置合わせ用ウエハマークが形成された露光面を有するウエハと、入射光を散乱させるエッジを有する位置合わせ用のマスクマークが形成された露光マスクとを、前記露光面が前記露光マスクに対向するように間隙を挟んで配置する工程と、前記ウエハマーク及びマスクマークに照明光を斜入射し、ウエハマーク及びマスクマークのエッジからの散乱光を観測して、前記ウエハと前記露光マスクとの相対位置を検出する工程とを含み、前記ウエハマークのエッジ及びマスクマークのエッジが、前記照明光の入射面に対して垂直な方向に沿って複数個配置されており、前記相対位置を検出する工程が、前記照明光の入射面に対して垂直な方向に沿って複数個配置されたウエハマーク及びマスクマークのエッジからの散乱光を観測する工程を含む位置検出方法。
【請求項2】 前記ウエハマークのエッジと前記マスクマークのエッジとは、位置合わせが完了した状態では一方を平行移動して他方に重ねることができるように配置されている請求項1に記載の位置検出方法。
【請求項3】 前記ウエハマークのエッジ及びマスクマークのエッジは、前記ウエハマーク及びマスクマークごとに前記照明光の入射面に対して垂直な方向に沿って少なくとも3個配置され、その間隔が均一でない請求項1または2に記載の位置検出方法。
【請求項4】 前記ウエハマークの複数のエッジの長さが相互に均一ではなく、前記マスクマークの複数のエッジの長さが相互に均一ではない請求項1〜3のいずれかに記載の位置検出方法。
【請求項5】 前記相対位置を検出する工程は、対物レンズを有する光学系で前記散乱光を観測し、前記ウエハマークのエッジのうち少なくとも1つ、及び前記マスクマークのエッジのうち少なくとも1つは、その長さが前記対物レンズの分解能以下である請求項1〜4のいずれかに記載の位置検出方法。
【請求項6】 前記ウエハマークのエッジ及び前記マスクマークのエッジが、前記照明光の入射面に対して平行な方向に複数個配列されている請求項1〜5のいずれかに記載の位置検出方法。
【請求項7】 表面に対して斜めに入射する入射光を散乱させるエッジを有する位置合わせ用ウエハマークが形成された露光面を有し、前記エッジが、前記入射光の入射面に対して垂直な方向に沿って複数個配置されている半導体基板。
【請求項8】 前記複数のエッジの長さが均一ではない請求項7に記載の半導体基板。
【請求項9】 前記エッジが、前記入射光の入射面に対して垂直な方向に沿って少なくとも3個配置されており、その間隔が均一ではない請求項7または8に記載の半導体基板。
【請求項10】 前記エッジが、前記入射光の入射面に対して平行な方向に沿って複数個配列されている請求項7〜9のいずれかに記載の半導体基板。
【請求項11】 表面に対して斜めに入射する入射光を散乱させるエッジを有する位置合わせ用マスクマークが形成され、前記エッジが、前記入射光の入射面に対して垂直な方向に沿って複数個配置されている露光マスク。
【請求項12】 前記複数のエッジの長さが均一ではない請求項11に記載の露光マスク。
【請求項13】 前記エッジが、前記入射光の入射面に対して垂直な方向に沿って少なくとも3個配置されており、その間隔が均一ではない請求項11または12に記載の露光マスク。
【請求項14】 前記エッジが、前記入射光の入射面に対して平行な方向に沿って複数個配列されている請求項11〜13のいずれかに記載の露光マスク。

【請求項15】 前記相対位置を検出する工程が、前記
ウエハマーク及びマスクマークのエッジの長手方向に関する相対位置を検出する請求項1〜6のいずれかに記載の位置検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図11】
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【図4】
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【図9】
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【図3】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図6】
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【図10】
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【特許番号】第2955668号
【登録日】平成11年(1999)7月23日
【発行日】平成11年(1999)10月4日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−121659
【出願日】平成7年(1995)5月19日
【公開番号】特開平8−316126
【公開日】平成8年(1996)11月29日
【審査請求日】平成9年(1997)2月6日
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【参考文献】
【文献】特開 平3−291504(JP,A)
【文献】特開 平3−177013(JP,A)
【文献】特開 平2−91502(JP,A)
【文献】特開 昭62−216231(JP,A)
【文献】特開 昭58−116541(JP,A)