説明

近赤外線撮影装置

【課題】撮影箇所が濡れたりするなどすると光を反射、散乱することによる虚像の映りこみを防止することで重点的に認識すべき撮影対象物が正確に認識しやすくする近赤外線撮影装置を提供する。
【解決手段】近赤外線を発する投光器21で近赤外線を撮影対象物41方向に照射して反射光を近赤外線カメラ11にて撮影する近赤外線撮影装置において、前記近赤外線カメラ11と投光器21の近赤外線カメラ11光軸と投光器21光軸上に近赤外線偏光板31を配置し、それぞれの近赤外線偏光板31の偏光軸が直交していることとする。また、前記近赤外線カメラ11の光軸上に前記近赤外線偏光板31を配置し、近赤外線偏光板31の偏光軸を撮影対象物41方向に対して水平方向としていることによって、特に撮影対象物41方向に対して水平方向にある虚像の映りこみを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
近赤外線を発する投光器で近赤外線を撮影対象物方向に照射して反射光を近赤外線カメラにて撮影する近赤外線撮影装置で、特に撮影箇所が濡れたりするなどすると光を反射、散乱することによる映り込み虚像を防止することで重点的に認識すべき撮影対象物が正確に認識しやすくすることができる近赤外線撮影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
肉眼では認識が困難な暗所を近赤外線カメラ、近赤外線投光器、ディスプレイの近赤外線撮影装置を使用することで明確な画像を得ることができる。
【0003】
近赤外線撮影装置の使用方法は画像として認識したい撮影対象物に近赤外線投光器で近赤外線を照射して反射光を近赤外線カメラで撮影し、画像をディスプレイに映し出すことで、肉眼で認識した以上に認識しやすい画像を得ることが出来る。
【0004】
近赤外線カメラは近赤外線波長域だけを映し出すのではなく、可視光線波長域の一部も画像として受光が可能であり、前記の近赤外線投光器が無くとも可視光を発する蛍光灯、白熱灯、LED等の投光器、また太陽光も光源として使用することが可能である。
【0005】
近赤外線カメラは主に光を集光するレンズと集光した光を画像として認識するCMOSセンサー、CMOSセンサーを稼動させる電気回路等からなる。
【0006】
近年、近赤外線撮影装置は暗所の撮影の他に夜間の車両走行におけるドライバーの視覚を補助するナイトビュー装置の提案されている(特許文献1乃至3参照。)。
【特許文献1】特開2001−313850号公報
【特許文献2】特開2003−259363号公報
【特許文献3】特開2005−303667号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の技術では撮影箇所が濡れたりするなどすると光を反射、散乱することによる虚像の映りこみ、画像に映っている撮影対象物、例えば人物や障害物など重点的に認識すべきものが正確に認識しにくくなってしまっていた。
【0008】
また、ナイトビュー装置の場合では濡れた路面が鏡となって反射して、路面上に虚像を映し出し、ドライバーにとって注意すべき対象物が正確に認識しにくくなってしまった。
【0009】
撮影箇所が濡れたりするなどすると光を反射、散乱することによる虚像の映りこみは画像として取り込まれた後に画像処理によって除去することが困難である。
【0010】
さらに近赤外線カメラと撮影対象物間に虚像の映りこみを防止するフィルターを配置すると近赤外線撮影装置自体が大きくなってしまい、広範な用途への使用がしにくくなってしまう。
【0011】
本発明は、このような従来の問題点を解決しようとするものであり、撮影箇所が濡れたりするなどすると光を反射、散乱することによる虚像の映りこみ、画像に映っている撮影対象物、例えば人物や障害物など重点的に認識すべきものが正確に認識しやすくする小型の近赤外線撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記目的を達成するため、近赤外線を発する投光器で近赤外線を撮影対象物方向に照射して反射光を近赤外線カメラにて撮影する近赤外線撮影装置において、前記近赤外線カメラと投光器の光軸上に近赤外線偏光板を配置し、それぞれの近赤外線偏光板の偏光軸が直交していることを特徴とする。
【0013】
本発明は、上記目的を達成するため、前記近赤外線カメラの光軸上に前記近赤外線偏光板を配置し、近赤外線偏光板の偏光軸を撮影対象物方向に対して水平方向としていることを特徴とする。
【0014】
本発明は、上記目的を達成するため、前記近赤外線カメラ内のCMOSセンサーと前記近赤外線偏光板が一体化されて配置していることを特徴とする。
【0015】
本発明は、上記目的を達成するため、前記近赤外線カメラ内のレンズと前記近赤外線偏光板が一体化されて配置していることを特徴とする。
【0016】
上記第1の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、近赤外線を発する投光器で近赤外線を撮影対象物方向に照射して反射光を近赤外線カメラにて撮影する近赤外線撮影装置において、前記近赤外線カメラと投光器の光軸上に近赤外線偏光板を配置し、それぞれの近赤外線偏光板の偏光軸が直交していることによって、撮影対象物周辺の撮影箇所が濡れたりするなどすると光を反射、散乱することによる虚像の映りこみを防止することで、重点的に認識すべき撮影対象物が正確に認識しやすくすることができる。
【0017】
上記第2の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、前記近赤外線カメラの光軸上に前記近赤外線偏光板を配置し、近赤外線偏光板の偏光軸を撮影対象物方向に対して水平方向としていることによって撮影対象物周辺の撮影箇所が濡れたりするなどすると光を反射、散乱することによる虚像の映りこみを特に撮影対象物方向に対して水平方向を防止することがで、例えば濡れた路面上に映る人物や障害物など重点的に認識すべき撮影対象物が正確に認識しやすくすることができる。
【0018】
上記第3の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、前記赤外線カメラ内のCMOSセンサーと前記近赤外線偏光板が一体化されて配置していることによって、赤外線カメラの外部に近赤外線偏光板を設置しないことから近赤外線撮影装置の小型化ができる。
【0019】
また、前記CMOSセンサーと前記近赤外線偏光板が一体化していることで近赤外線偏光板表面における反射が低減し、CMOSセンサーに入射する光量を増えて鮮明な画像が得られる。
【0020】
上記第4の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、前記近赤外線カメラ内のレンズと前記近赤外線偏光板が一体化されて配置していることによって、赤外線カメラの外部に近赤外線偏光板を設置しないことから近赤外線撮影装置の小型化ができる。
【0021】
また、前記レンズと前記近赤外線偏光板が一体化していることで近赤外線偏光板表面における反射が低減し、CMOSセンサーに入射する光量を増えて鮮明な画像が得られる。
【発明の効果】
【0022】
上述したように本発明の近赤外線撮影装置は撮影対象物周辺の撮影箇所が濡れたりするなどすると光を反射、散乱することによる虚像の映りこみを防止することで重点的に認識すべき撮影対象物が正確に認識しやすくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、本発明の近赤外線撮影装置の説明図であって、図2から図4と同様である。
【0024】
撮影対象物周辺の撮影箇所が濡れたりするなどすると光を反射、散乱することによる虚像の映りこみを防止することで重点的に認識すべき撮影対象物41が正確に認識しやすくする目的を、近赤外線を発する投光器21で近赤外線を撮影対象物41方向に照射して反射光を近赤外線カメラ11にて撮影する近赤外線撮影装置において、前記近赤外線カメラ11と投光器21の近赤外カメラ11光軸と投光器21光軸上に近赤外線偏光板31を配置し、それぞれの近赤外線偏光板31の偏光軸が直交していることで実現した。
【0025】
また、前記近赤外線カメラ11の光軸上に前記近赤外線偏光板31を配置し、近赤外線偏光板31の偏光軸を撮影対象物41方向に対して水平方向としていることによって、特に撮影対象物41方向に対して水平方向にある虚像の映りこみを防止することができる。
【0026】
ほかに赤外線カメラ11内のCMOSセンサー11aもしくはレンズ11bと前記近赤外線偏光板31が一体化されて配置していることによって、近赤外線カメラ11の外部に近赤外線偏光板31を設置しないことから近赤外線撮影装置の小型化ができる上、CMOSセンサー11aもしくはレンズ11bと近赤外線偏光板31が一体化していることで近赤外線偏光板31表面における反射が低減し、CMOSセンサー11aに入射する光量を増えて鮮明な画像が得られる。
【実施例1】
【0027】
近赤外線カメラ11の光軸上に600nm以上2000nm以内の波長において偏光性能を有している近赤外線偏光板31を偏光軸が撮影対象物41に対して水平方向に配置し、投光器21の光軸上に近赤外線偏光板31を偏光軸が、近赤外線カメラ11光軸上の近赤外線偏光板31偏光軸と直交するよう配置し、撮影対象物41周辺を濡らした上で撮影対象41を撮影したところ、ディスプレイ51に上下方向の映りこみ虚像52a及び左右方向の映りこみ虚像52bが防止できたことで撮影対象物41が正確に認識しやすくなった。
【実施例2】
【0028】
近赤外線カメラ11内のCMOSセンサー11a上に600nm以上2000nm以内の波長において偏光性能を有する近赤外線偏光板31を偏光軸が撮影対象物41に対して水平方向に配置できるように一体化し、投光器21光軸上に近赤外線偏光板31を偏光軸が近赤外線カメラ11内のCMOSセンサー11a上の近赤外線偏光板31偏光軸と直交するよう配置し、撮影対象物41周辺を濡らした上で撮影対象物41を撮影したところ、ディスプレイ51に上下方向の映りこみ虚像52a及び左右方向の映りこみ虚像52bが防止できたことで撮影対象物41が正確に認識しやすくなった。また、CMOSセンサー11aと近赤外線偏光板31が一体化したことで近赤外線偏光板31表面における反射が低減し、CMOSセンサー11aに入射する光量を増えて実施例1よりも鮮明な画像が得られた。
【実施例3】
【0029】
近赤外線カメラ11内のレンズ11b上に600nm以上2000nm以内の波長において偏光性能を有する近赤外線偏光板31を偏光軸が撮影対象物41に対して水平方向に一体化し、投光器21光軸上に近赤外線偏光板31を偏光軸が近赤外線カメラ11内のレンズ11b上の近赤外線偏光板31偏光軸と直交するよう配置し、撮影対象物41周辺を濡らした上で撮影対象物41を撮影したところ、ディスプレイ51に上下方向の映りこみ虚像52a及び左右方向の映りこみ虚像52bが防止できたことで撮影対象物41が正確に認識しやすくなった。また、レンズ11bと近赤外線偏光板31が一体化したこと近赤外線偏光板31表面における反射が低減し、CMOSセンサー11aに入射する光量を増えて実施例2同様、実施例1よりも鮮明な画像が得られた。
【0030】
次に比較例として、近赤外線カメラ11と投光器21の光軸上に近赤外線偏光板31を配置せず、近赤外線カメラ11と投光器21のみを配置し、撮影対象物41周辺を濡らした上で撮影対象物41を撮影したところ、ディスプレイ51に上下方向の映りこみ虚像52a及び左右方向の映りこみ虚像52bが生じた。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】近赤外線カメラと投光器それぞれの光軸上に近赤外線偏光板を配置した近赤外線撮影装置の説明図である。(実施例1)
【図2】近赤外線カメラ内のCMOSセンサー上と投光器それぞれの光軸上に近赤外線偏光板を配置した近赤外線撮影装置の説明図である。(実施例2)
【図3】近赤外線カメラ内のレンズ上と投光器それぞれの光軸上に近赤外線偏光板を配置した近赤外線撮影装置の説明図である。(実施例3)
【図4】近赤外線カメラと投光器それぞれの光軸上に近赤外線偏光板を配置していない近赤外線撮影装置の説明図である。(比較例)
【符号の説明】
【0032】
11 :近赤外線カメラ
11a:CMOSセンサー
11b:レンズ
21 :投光器
31 :近赤外線偏光板
41 :撮影対象物
51 :ディスプレイ
52a:上下方向の映りこみ虚像
52b:左右方向の映りこみ虚像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
近赤外線を発する投光器で近赤外線を撮影対象物方向に照射して反射光を近赤外線カメラにて撮影する近赤外線撮影装置において、前記近赤外線カメラと投光器の光軸上に近赤外線偏光板を配置し、それぞれの近赤外線偏光板の偏光軸が直交していることを特徴とする近赤外線撮影装置。
【請求項2】
前記近赤外線カメラの光軸上に近赤外線偏光板を配置し、前記近赤外線偏光板の偏光軸を撮影対象物方向に対して水平方向としていることを特徴とする請求項1記載の近赤外線撮影装置。
【請求項3】
前記近赤外線カメラ内のCMOSセンサーと前記近赤外線偏光板が一体化されて配置していることを特徴とする請求項1及び2記載の近赤外線撮影装置。
【請求項4】
前記近赤外線カメラ内のレンズと前記近赤外線偏光板が一体化されて配置していることを特徴とする請求項1及び2記載の近赤外線撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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