説明

近距離無線通信を介する結合された自動化構成要素の自動的な信頼性のある識別およびパラメータ化

近距離無線通信を介する結合された自動化構成要素の自動的な信頼性のある識別およびパラメータ化が開示されている。自動化技術において近距離無線通信のための手段が使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
現代の自動化装置は互いに接続されている多数の自動化構成要素を含んでいる。これらの接続は、「知的(インテリジェント)」な性質(イーサネット(登録商標)−ネットワーク、WLAN、ブルートゥース、フィールドバス、ISDNなど)または「原始的」な性質(アナログ信号、2進ターミナル信号、モータ給電線、系統給電線、アナログ電話回線など)であり得る。たいていの場合、互いに接続された構成要素は、それぞれの識別および適合化のために必要である情報を互いに必要とする。例えばインテリジェント構成要素および自動的なアドレス認識およびトポロジー認識を有するディジタルネットワーク(例えばイーサネット−ネットワーク)が存在する場合、部分的にこれらの情報は既に今日において問題なく交換可能である。しかしながら、多くの場合において、これらの情報交換はまだ可能でなく、あるいは快適でないまたは誤りの起こりやすい運転開始ステップにつながる。
【0002】
インテリジェント接続における例は次のとおりである。
− ブルートゥースおよびWLANのような無線ネットワークの場合には、無線で到達可能な自動化構成要素における結合して機能すべきである情報とそうでない情報とが交換されなければならない。相応の権限付与コードが交換されなければならない。これらのコードは今日では手動によって入力される。同じことが、伝達すべき情報を符号化するためのコードに対して当てはまる。
− PROFIBU(Sプロフィバス)のようなフィールドバス接続の場合には、まず個々の構成要素のアドレスが手動にて、例えば設定スイッチを介して構成要素に与えられなければならない。
【0003】
非インテリジェント接続における例は次のとおりである。
− インテリジェンスを組み込まれていない電動機(例えば標準非同期電動機)は、電動機相を介してのみ付属の電力変換器に接続される。電力変換器は運転のために電動機に関するデータを必要とする。これらのデータは、部分的にのみ、電力変換器に組み込まれている識別方法(例えば、電圧パルスによる電動機の励磁)を介して求めることができる。例えば電動機の最大許容回転数、極数および許容電流のような重要な基礎的情報は手動により予め与えられなければならない。
− インテリジェンスを組み込まれていない回転発信器の、例えばライン数のようなパラメータは、今日では手動にて入力されなければならない。
【0004】
更に多数の他の例を挙げることができる。
【0005】
これらの情報が手動にて入力されなければならない場合は、何よりもまず次の問題が存在する。すなわち、例えば構成要素の実際のデータシートを基に正しいデータを獲得することである。しかる後に、これらのデータの入力の際に誤入力が起こり得る。誤りのある情報は時間のかかる誤り探しをもたらし、最悪の場合には設備被害または人的被害を招く。したがって、運転開始のためには一般に相応に資格を与えられた人が必要である。
【0006】
他の問題は、互いに互換性のない誤った構成要素が互いに結合される場合に発生する。この例は次のとおりである。
− 電圧範囲または動作原理が電力変換器に対して適合していない電動機、
− 不適合な信号レベルまたは電源電圧レベル。
【0007】
従来においては、自動的に検出することができない情報は手動にて入力しなければならない。このために情報がデータシートから読み出され、運転開始装置(例えば、エンジニアリングシステムとしてのノートブック、PDA)を介して入力される。代替として、自動化構成要素は接続可能な構成要素のデータを有するリストを含む。この場合に運転設定者はそれぞれ接続される構成要素をこのリストから選択しなければならない。この場合に、自動化構成要素内に記憶されたリストが頻繁に更新されていないことが問題である。
【0008】
そこで、本発明の課題は、自動化装置の扱いを使用者に分かりやすくかつ確実にすることにある。
【0009】
この課題は独立請求項に指定された本発明によって解決される。有利な形態は従属請求項からもたらされる。
【0010】
それにしたがって、工業上の自動化構成要素は近距離無線通信のための手段を有する。近距離無線通信は、約0〜20cm、特に0〜5cm、より好ましくは0〜1cmの距離にわたってのみ行なわれ、大きな距離においてはもはや行なわれない通信である。
【0011】
本発明は、不足情報を交換するために近距離無線通信(NFC=Near Field Communication)を利用する。これは、僅かのセンチメートルの伝送区間に限定された簡単かつ割安の無線通信である。通信すべき構成要素間における強制された近さに基づいてこれらの構成要素の相互の明確な付属関係がもたらされる。この通信種類は、有線イーサネットの如き既に今日において完全なインテリジェント接続と、ブルートゥースおよびWLANの如き運転開始時になおも手動の入力を必要とするインテリジェント接続との間において存在するすき間を機能的に接続する。NFC技術は、能動的な構成要素のみならず、非常に割安なRFトランスポンダおよびスマートカードのような受動的な構成要素と通信することができることから、これにより標準電動機、保護装置および簡単なセンサの如き非インテリジェント構成要素の情報も、これらが相応の構成要素にて構成されるかぎり伝達可能である。
【0012】
− 近距離無線通信技術は自動化装置において適用される。
− 近距離無線通信技術は、エンジニアリングシステムとインテリジェント自動化構成要素との間の無線ネットワーク接続を自動的に運転中に設定するために使用される。
− 近距離無線通信は、RFトランスポンダを装備された非インテリジェント自動化構成要素からの情報をデータ収集装置(データロガー)またはエンジニアリングシステムに読み込むために使用される。エンジニアリングシステムは、例えば接続された自動化構成要素の互換性をチェックすべく、これらの情報を互いに結合しかつ処理するために使用される。
− 近距離無線通信は、データをエンジニアリングシステムまたはデータロガーからインテリジェント自動化構成要素へ伝達するために使用される。
− 近距離無線通信は、RFトランスポンダを装備された非インテリジェント自動化構成要素からインテリジェント自動化構成要素へデータを読み込むために使用される。
【0013】
一適用例は、無線ネットワーク接続(例えばWLANまたはブルートゥース)を介する1つ以上の自動化構成要素へのエンジニアリングシステムの接続である。従来、このために先ずこれらの無線通信の運転を開始しなければならず、このために場合によっては、先ず無線接続された運転開始装置が自動化構成要素に接続されなければならなかった。これは、時々のみ必要とされる通信区間の運転開始については容認できない。NFC使用時にはエンジニアリングシステムが短時間だけ空間的に自動化構成要素の近くに持ち込まれればよく、この際に自動的にWLAN接続またはブルートゥース接続がパラメータ化される。同様にWLANを介して通信可能でありかつ工場ホールにある他の構成要素は、通信相互接続内には組み込まれない。つまり、無線通信への加入者の一義的な権限付与が可能である。
【0014】
他の適用例では、標準電動機、保護装置および簡単なセンサの如き非インテリジェント構成要素に非常に割安な受動的なRFトランスポンダが装備される。例えばPDA(携帯情報端末)のようなエンジニアリングシステムまたはデータロガーが運転を開始すべき構成要素の空間的に近くに持ち込まれるので、一義的な付属関係が形成される。この場合に、これらの非インテリジェント構成要素の関連データが、NFCの助けにより、エンジニアリングシステムまたはデータロガーに受け取られる。その後で、エンジニアリングシステムまたはデータロガーが、非インテリジェント構成要素が接続されるべきインテリジェント自動化構成要素を有する空間的近くに持ち込まれる。インテリジェント自動化構成要素のデータは同様にNFCインターフェースを介してエンジニアリングシステムに読み込まれる。エンジニアリングシステムにおいては、接続された構成要素が自動的に互換性をチェックされる。非インテリジェント構成要素の読み込まれたデータは自動化構成要素へ伝達され、そこでそれらのデータは自動的に接続された構成要素に適合化する。
【0015】
他の適用例は、RFトランスポンダを有する非インテリジェント構成要素が運転開始時に短時間だけそれが接続されるべきインテリジェント自動化構成要素に保持されることを内容とする。この場合に、インテリジェント自動化構成要素は、自動的に、エンジニアリングシステムの助けなしに、NFCインターフェースを介してデータをRFトランスポンダから読み取り、自動的に接続された構成要素に適合化する。近距離無線通信技術は、今日において自動化構成要素に印刷されるバーコードの代わりにもなり得る。この場合に、近距離無線通信技術の利点は、実際上無制限の情報量にあり、かつデータを構成要素に戻し伝達することも原理的に可能であることにある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動化構成要素が近距離無線通信のための手段を有することを特徴とする自動化構成要素。
【請求項2】
自動化構成要素がインテリジェント自動化構成要素、特にエンジニアリングシステムであることを特徴とする請求項1記載の自動化構成要素。
【請求項3】
自動化構成要素が、特にPDAの相応の装置およびプログラミングによって実現されているデータ収集装置であることを特徴とする請求項1乃至2の1つに記載の自動化構成要素。
【請求項4】
自動化構成要素が、非インテリジェント自動化構成要素、特に電動機、保護装置および/またはセンサであることを特徴とする請求項1乃至3の1つに記載の自動化構成要素。
【請求項5】
自動化において近距離無線通信が使用されることを特徴とする方法。
【請求項6】
第1の自動化構成要素が第2の自動化構成要素の近距離無線範囲内に持ち込まれていることを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項7】
第2の自動化構成要素が、データを第1の自動化構成要素から受け入れて第3の自動化構成要素に転送するデータ収集装置であることを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
通信相互接続への加入の権限が近距離無線通信のための手段を介して付与されることを特徴とする請求項5乃至7の1つに記載の方法。

【公表番号】特表2008−522567(P2008−522567A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−541922(P2007−541922)
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【国際出願番号】PCT/EP2005/055848
【国際公開番号】WO2006/056532
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】