説明

送信側データ処理装置、受信側データ処理装置、データ再生記録システム、送信側データ処理方法、受信側データ処理方法、再生記録システム

【課題】ポータブルデジタルオーディオプレーヤ20の構成の簡単化を図る。
【解決手段】CD再生装置11において、光ピックアップ装置13は、CDをセットされて、CDに記録されているトラックのRF信号を出力する。CPU12は、RF信号を復調して、デジタル信号を生成する。該デジタル信号は、圧縮エンコーダ15により圧縮され、圧縮後のデジタル信号はメモリ14のバッファ領域に記憶される。CPU12は、ポータブルデジタルオーディオプレーヤ20のCPU21からデータ送信要求を受信すると、メモリ14のバッファ領域に蓄積されているデジタルデータの所定分を読み出して、DIT16を介してポータブルデジタルオーディオプレーヤ20へ送る。該ポータブルデジタルオーディオプレーヤ20では、DIR23に受信したデジタルデータは、HDD22に記憶される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楽曲等のコンテンツを記録及び再生自在とするポータブルデジタルプレーヤ等の受信側データ処理装置の構成の簡単化に寄与する送信側データ処理装置、受信側データ処理装置、データ再生記録システム、送信側データ処理方法、受信側データ処理方法、再生記録システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポータブルデジタルオーディオプレーヤは、HDD(ハードディスク装置)等の記憶装置を装備し、圧縮した楽曲データを記憶装置に記憶して、記憶装置から適宜、楽曲データを読み出して、楽曲を再生自在としている。
【0003】
ポータブルデジタルオーディオプレーヤ自体はCDドライブを装備していないので、CDの楽曲をポータブルデジタルオーディオプレーヤの記憶装置へ格納する場合は、ポータブルデジタルオーディオプレーヤをCDプレーヤへケーブルで接続し、CDプレーヤでは、CDを再生し、再生により得られるRF信号を復調して、非圧縮のLPCM(linear PCM)のデジタルデータを生成し、該デジタルデータをDIT(Digital Interface Transmitter)から、ケーブルを介してポータブルデジタルオーディオプレーヤのDIR(Digital Interface Receiver)へ伝送する。また、ポータブルデジタルオーディオプレーヤは、圧縮エンコーダを装備し、DIRに受信した非圧縮のLPCMのデジタルデータを圧縮エンコーダにより圧縮し、生成したデータを、バッファリング用メモリを介してHDDに記憶している。
【0004】
特許文献1はMD(ミニディスク)装置等の録再装置を開示する。該録再装置は圧縮部を装備し(特許文献1の図1及び図2)、CD等の録音ソース入力からのデータは、圧縮部において圧縮してから、記録データバッファを経て記録・再生ドライブのMDに記録し、他のMDからの再生データであれば、圧縮部をバイパスして、記録データバッファを経て記録・再生ドライブのMDに記録するようにしている(特許文献1の段落0038等)。
【0005】
特許文献2は、HDDを記憶装置として装備する録再装置を開示する。該録再装置は、DIRに入力されたデジタル信号を、圧縮することなく、DMACによりHDDへ記録している(特許文献2の図2の24)。
【0006】
特許文献3の装置は、映像音声記録装置を開示する。該映像音声記録装置は、変換手段、圧縮手段及び記憶手段を装備し、入力された映像音声は、変換手段においてデジタル信号へ変換され、さらに、圧縮手段において圧縮され、圧縮されたデジタル信号を記憶手段(バッファリング用メモリ)に記憶し、記憶手段のデジタル信号を間欠的に記録媒体に記録している(特許文献3の段落0028等)。
【特許文献1】特開平11−86421号公報
【特許文献2】特開2003−150199号公報
【特許文献3】特開2001−251588号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のポータブルデジタルオーディオプレーヤが、CDの楽曲を再生自在のデータ圧縮形式でHDD等に記録するためには、該ポータブルデジタルオーディオプレーヤは、該データ圧縮形式にデータを変換する圧縮エンコーダを実装する必要があり、このため、高い処理能力のCPUを装備する必要がある。
【0008】
また、ポータブルデジタルオーディオプレーヤでは、HDDへのデータの書込みは、間欠的に行われ、さらに、振動等により、保留されることもあるので、従来のポータブルデジタルオーディオプレーヤは、容量の比較的大きいバッファを必要とする。
【0009】
特許文献1,2は、入力された記録用デジタル信号を変換することなく、そのままMDやHDD等の記憶装置に記録することを開示する。しかしながら、特許文献1,2の録再装置において、DIRに入力されたデジタル信号について変換する必要がないのは、該録再装置における再生信号のデータ形式が、ソースの再生信号のデータ形式と一致しているからであり、もし、不一致であれば、当然に、DIRに入力されたデジタル信号のデータ形式を、該録再装置の再生に適合するデータ形式へ変換してから、記憶装置に記録する必要があり、高性能のCPUの装備を必要とする。
【0010】
特許文献3の記録装置では、連続的に生成されるMPEGデジタル信号を記録媒体に間欠的に、かつ振動に因る記録保留にもかかわらず、支障なく記録するために、変換手段と記録手段との間に十分に大きい容量の記憶手段(バッファ)を介在させている。
【0011】
本発明の目的は、送信側データ処理装置から受信側データ処理装置へデータを送信して、受信側データ処理装置において処理しようとしている場合であって、かつ送信側データ処理装置のデータ形式が受信側データ処理装置における処理に適合していない場合に、受信側データ処理装置に必要な処理性能を低下できる送信側データ処理装置、受信側データ処理装置、データ再生記録システム、送信側データ処理方法、受信側データ処理方法、再生記録システムを提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、受信側データ処理装置に適合するデータへの変換出力と、記憶装置へのデータの記録とに時間的な差異がある場合に、該差異に対処する、受信側データ処理装置におけるバッファの装備を廃止又は容量低減を図ることのできる送信側データ処理装置、受信側データ処理装置、データ再生記録システム、送信側データ処理方法、受信側データ処理方法、再生記録システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の送信側データ処理装置は、
所定の信号を、受信側データ処理装置における処理に適合する形式のデジタルデータへ変換する変換手段と、
変換手段が出力した適合形式のデジタルデータを蓄積するバッファリング用メモリと、
受信側データ処理装置からの送信要求を受け付けると、バッファリング用メモリから適合形式の蓄積デジタルデータの送信要求分を送信する送信手段と、
を備えている。
【0014】
本発明の受信側データ処理装置は、
適合形式のデジタルデータを送信側データ処理装置から受信する受信手段と、
受信したデジタルデータを記憶する記憶手段と、
受信した適合形式のデジタルデータを記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、
適合形式のデジタルデータの受信分に係るデータ分の次のデータ分の送信を送信側データ処理装置へ要求する送信要求手段と、
を備えている。
【0015】
本発明のデータ再生記録システムは、前述の送信側データ処理装置と、前述の受信側データ処理装置とを備えている。
【0016】
本発明の送信側データ処理方法は、
所定の信号を、受信側データ処理装置における処理に適合する形式のデジタルデータへ変換する変換ステップと、
変換手段が出力した適合形式のデジタルデータをバッファリング用メモリに蓄積するステップと、
受信側データ処理装置からの送信要求を受け付けると、バッファリング用メモリから適合形式の蓄積デジタルデータの送信要求分を送信する送信ステップと、
を備えている。
【0017】
本発明の受信側データ処理方法は、
適合形式のデジタルデータを送信側データ処理装置から受信するステップと、
受信した適合形式のデジタルデータを記憶手段に記憶させるステップと、
適合形式のデジタルデータの受信分に係るデータ分の次のデータ分の送信を送信側データ処理装置へ要求するステップと、
を備えている。
【0018】
本発明の再生記録システムは記録媒体再生装置と、データ記録再生装置とを含む。記録媒体再生装置は、記録媒体から読み出した所定の信号を、データ記録再生装置における再生処理に適合する形式のデジタルデータへ変換する変換手段と、適合形式のデジタルデータをデータ記録再生装置へ送信する送信手段と、を備えている。データ記録再生装置は、適合形式のデジタルデータを記録媒体再生装置から受信する受信手段と、受信したデジタルデータを記憶する記憶手段と、受信した適合形式のデジタルデータを記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、適合形式のデジタルデータの受信分に係るデータ分の次のデータ分の送信を送信側データ処理装置へ要求する送信要求手段と、を備えている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、受信側データ処理装置が、その処理に適合する形式のデジタルデータを必要とする場合に、所定信号から適合形式のデジタルデータへの変換は、受信側データ処理装置ではなく、送信側データ処理装置において行なわれる。結果、受信側データ処理装置おいて必要な処理能力を低下させることができる。
【0020】
本発明によれば、所定の信号から受信側データ処理装置の適合形式のデジタルデータへの変換処理が送信側データ処理装置において行なわれ、受信側データ処理装置は、受信した適合形式のデジタルデータについての記憶装置への記憶に応動して、データ送信要求を送信側データ処理装置へ出すようにすることにより、変換と記憶との時間差に係るデータ記憶のためのバッファを受信側データ処理装置においてほぼ廃止又は容量低減して、受信側データ処理装置の構成を簡単化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は楽曲送受システム10の概略構成図である。楽曲送受システム10はCD再生装置11とポータブルデジタルオーディオプレーヤ20とを装備する。CD再生装置11は、CPU12、光ピックアップ装置13、メモリ14、圧縮エンコーダ15及びDIT16を装備し、光ピックアップ装置13によりCDのデータを読取ることにより、CD内のトラックを再生自在になっている。
【0022】
ポータブルデジタルオーディオプレーヤ20は、CPU21、HDD22及びDIR23を装備する。ポータブルデジタルオーディオプレーヤ20は、適宜、メモリ24を装備することもできる。ポータブルデジタルオーディオプレーヤ20は、ユーザのポケット等に収容できる寸法及び重量であり、ユーザは、ポータブルデジタルオーディオプレーヤ20のヘッドホンの左右の耳挿入部(図示せず)を左右の耳内へ差し込んで、ポータブルデジタルオーディオプレーヤ20がHDD22のデータを読出して再生する楽曲を聴取するようになっている。
【0023】
CD再生装置11において、光ピックアップ装置13は、CDをセットされて、CDに記録されているトラックのRF信号を出力する。CPU12は、光ピックアップ装置13からのRF信号を復調して、デジタル信号を生成する。該デジタル信号は、圧縮エンコーダ15により圧縮され、圧縮後のデジタル信号はメモリ14のバッファ領域に記憶される。圧縮エンコーダ15における圧縮により生成されたデジタルデータは、ポータブルデジタルオーディオプレーヤ20において再生処理されて、ポータブルデジタルオーディオプレーヤ20に接続されているヘッドホン(図示せず)から音声出力自在のものになっている。
【0024】
CPU12は、ポータブルデジタルオーディオプレーヤ20のCPU21からデータ送信要求を受信すると、メモリ14のバッファ領域に蓄積されているデジタルデータの所定分を読み出して、DIT16を介してポータブルデジタルオーディオプレーヤ20へ送る。
【0025】
最初に、メモリ24を装備しないポータブルデジタルオーディオプレーヤ20について説明する。該ポータブルデジタルオーディオプレーヤ20では、DIR23に受信したデジタルデータは、メモリ24に記憶されることなく、直ちにHDD22に記憶される。図2はメモリ24無しポータブルデジタルオーディオプレーヤ20における転送要求、データ転送及びデータ書込みのタイミングチャートである。
【0026】
該メモリ24無しポータブルデジタルオーディオプレーヤ20では、ポータブルデジタルオーディオプレーヤ20がCD再生装置11へ転送要求を出すと、ポータブルデジタルオーディオプレーヤ20のDIR23には、変換済みの圧縮されたデジタルデータがCD再生装置11のDIT16から送られて来る。CPU21は、また、DIR23に受信したデジタルデータをHDD22に書込む(記憶する)。DIR23への受信デジタルデータの書込みは、図2に示されるように、DIR23へのデジタルデータの受信に対して少し遅れているが、受信デジタルデータを、DIR23内のバッファ(図示せず。該バッファの必要容量は、遅れに対応する分であり、極めて小さい。)を経由して、HDD22へ書込むことにより、遅れに起因して、一部の受信デジタルデータがHDD22へ書込まれないという事態は回避される。
【0027】
CPU21は、HDD22への1個の転送要求の対応分のデジタルデータの記憶が終了すると又は終了が見込まれると(図2は見込みの例。)、次のデータ分の転送要求をCD再生装置11のCPU12へ出す。
【0028】
次に、メモリ24付きポータブルデジタルオーディオプレーヤ20について説明する。図3はメモリ24付きのポータブルデジタルオーディオプレーヤ20における転送要求、データ転送及びデータ書込みのタイミングチャートである。
【0029】
該メモリ24付きポータブルデジタルオーディオプレーヤ20では、DIR23において受信したデジタルデータは、バッファとしてのメモリ24に記憶される。CPU21は、HDD22の消費電力の節約のために、HDD22へのメモリ24のデータの記憶を間欠的に行うこととし、典型的には、メモリ24におけるデータ蓄積量が所定レベルに達するごとに、First In First Outで、メモリ24から所定量のデジタルデータを読み出して、それをHDD22に記憶する。なお、HDD22へのデータ書込み速度は、メモリ24へのデータ蓄積速度より十分に大きい。
【0030】
図3では、CPU21は、DIR23への1個の転送要求の対応分のデジタルデータの受信が終了しだい、次のデータ分の転送要求をCD再生装置11のCPU12へ出す。
【0031】
従来の楽曲送受システム10では、圧縮エンコーダ15は、CD再生装置11ではなく、ポータブルデジタルオーディオプレーヤ20に装備され、CPU12は、光ピックアップ装置13からのRF信号を復調して生成されるデジタル信号を、圧縮エンコーダ15により圧縮することなく、ポータブルデジタルオーディオプレーヤ20へ伝送し、ポータブルデジタルオーディオプレーヤ20は、それを自機内の圧縮エンコーダにより圧縮してからHDD22へ記憶していた。したがって、従来の楽曲送受システム10では、CPU21は十分に高い性能のものを必要としていた。
【0032】
これに対して、楽曲送受システム10では、CD再生装置11に圧縮エンコーダ15を装備する代わりに、ポータブルデジタルオーディオプレーヤ20への圧縮エンコーダ15の装備を省略し、CPU21は、性能(処理速度)の高くないものを採用できる。
【0033】
さらに、HDD22へのデータの書込みは、HDD22の電力消費の節約のために、間欠的に行うようになっており、ポータブルデジタルオーディオプレーヤ20に圧縮エンコーダ15を装備する従来技術では、圧縮エンコーダ15の出力とHDD22への書込みとのタイミング差に対処するために、ポータブルデジタルオーディオプレーヤ20に十分大きな容量のバッファが必要となっている。
【0034】
これに対して、楽曲送受システム10では、圧縮エンコーダ15がCD再生装置11に配備され、CD再生装置11には、バッファが必要のなるものの、ポータブルデジタルオーディオプレーヤ20は、CD再生装置11に対してデータ転送要求したデータ分がDIR23に受信され、該受信分をHDD22に記録してから、次のデータ転送要求をCD再生装置11に対して出すようにすれば、ポータブルデジタルオーディオプレーヤ20では、圧縮エンコーダ15の出力とHDD22への書込みとのタイミング差に対処するための大容量のバッファを省略又は容量低減することもできる。
【0035】
DIT16からDIR23へ送信されるデジタルデータは、従来の楽曲送受システム10では、圧縮エンコーダ15による圧縮前のLPCMであり、伝送量が大きかったのに対し、該楽曲送受システム10では、圧縮エンコーダ15による圧縮後のLPCMとなり、伝送量の低減及び伝送時間の短縮を図ることができる。
【0036】
図4は送信側データ処理装置30のブロック図である。送信側データ処理装置30は変換手段31及び送信手段32を備えている。送信側データ処理装置30の一例はCD再生装置11(図1)である。送信側データ処理装置30は、楽曲(オーディオ)のデータの処理装置に限定されず、ビデオデータ等のその他のコンテンツデータや、コンテンツデータ以外のアプリケーションデータの処理装置であってもよい。
【0037】
変換手段31は、所定の信号を、受信側データ処理装置における処理に適合する形式のデジタルデータへ、変換する。送信手段32は、適合形式のデジタルデータを受信側データ処理装置へ送信する。
【0038】
受信側データ処理装置の例は、ポータブルデジタルオーディオプレーヤ20(図1)又は後述の受信側データ処理装置45(図6又は図7)である。受信側データ処理装置は、携帯型でなくてもよいし、オーディオ以外のコンテンツについての録再装置であってもよい。
【0039】
所定の信号とは、例えば、所定のRF信号の復調信号、所定のアプリケーションの所定のバージョンに対応するデジタルデータ、圧縮前のコンテンツデータに係る信号である。また、受信側データ処理装置における処理とは、再生処理、又は所定のアプリケーションに係るデータ処理である。
【0040】
RF信号には、CD、MD又はDVD等の光ディスクの記録データを読み取った光ピックアップの出力信号に限定されず、ラジオ放送又はテレビ放送のRF信号であってもよい。
【0041】
例えば、アプリケーションについて、上位のバージョンのものは、下位のバージョンのもので使用したデータを処理可能であるが、その逆は処理困難であることが多い。送信側データ処理装置30に変換手段31を実装して、該変換手段31により、例えば、上位バージョンのデータを下位バージョンのものへ変換して、受信側データ処理装置へ送信することにより、受信側データ処理装置では、変換手段31の実装を省略できるとともに、下位バージョンのアプリケーションにもかかわらず、データ処理が支障なく可能になる。
【0042】
このように、変換手段31を、受信側データ処理装置に実装する代わりに、送信側データ処理装置30に実装して、送信側データ処理装置30において、データ変換してから、変換後のデジタルデータを受信側データ処理装置へ送信することにより、受信側データ処理装置の装備を簡単化したり、受信側データ処理装置における処理性能の高度化の必要を回避することができる。
【0043】
図5は図4の送信側データ処理装置30をさらに具体化した送信側データ処理装置40である。送信側データ処理装置40は、さらに、バッファリング用メモリ41を備えている。
【0044】
バッファリング用メモリ41は、変換手段31が出力した適合形式のデジタルデータを蓄積する。送信手段32は、受信側データ処理装置からの送信要求を受け付けると、バッファリング用メモリ41から適合形式の蓄積デジタルデータの送信要求分を送信する。
【0045】
変換手段31がその入力信号を連続的に受付けるような場合、変換手段31の出力も常時生成されることになるので、変換手段31が受信側データ処理装置に実装されて、受信側データ処理装置における記憶装置への変換手段31の出力の書込みが間欠的になる場合には、受信側データ処理装置に十分な容量のバッファが必要になる。送信側データ処理装置40は、バッファリング用メモリ41を装備するものの、該バッファリング用メモリ41が受信側データ処理装置のバッファリング用メモリの代替となり、また、受信側データ処理装置が送信側データ処理装置40に対して、データ送信要求を出すタイミングを適切化することにより、受信側データ処理装置では、バッファの省略及び容量低減が可能になる。
【0046】
例えば、適合形式のデジタルデータとは特定の圧縮形式又はバージョンのデジタルデータである。ポータブルデジタルオーディオプレーヤ等では、楽曲のデジタルデータが特定の圧縮形式のもので、HDD等に記録され、適宜、HDD等から読み出して再生されるようになっている。また、アプリケーションのバージョンが異なると、処理可能なデータ形式も異なることがあり得る。
【0047】
図6は受信側データ処理装置45のブロック図である。受信側データ処理装置45は、記憶手段52と、該記憶手段52からの読出しデータを処理する読出しデータ処理手段53とを装備する。読出しデータ処理手段53は、ハード及びソフトのいずれで実現されるものであってよい。受信側データ処理装置45は、所定の信号を、読出しデータ処理手段53に適合する形式のデジタルデータへ、変換する変換器(例:図4及び図5の変換手段31)の装備は省略している。受信側データ処理装置45は、受信手段46、記憶制御手段47及び送信要求手段48を備えている。
【0048】
受信手段46は、所定の信号から変換された適合形式のデジタルデータを送信側データ処理装置から受信する。記憶制御手段47は、適合形式のデジタルデータの受信分を記憶手段52に記憶させる。送信要求手段48は、適合形式のデジタルデータの受信分に係るデータ分の次のデータ分の送信を送信側データ処理装置へ要求する。
【0049】
受信側データ処理装置45の実施例はポータブルデジタルオーディオプレーヤ20(図1)である。受信側データ処理装置45は、オーディオの録再装置に限定されず、ビデオ等の他のコンテンツや、コンテンツ以外のアプリケーションの処理装置であってもよい。受信側データ処理装置45は、携帯型でなくてもよい。記憶手段52は、典型的にはハードディスク装置であるが、フラッシュメモリ等のその他の記憶装置であってもよい。送信側データ処理装置の一例は、CD再生装置11(図1)、送信側データ処理装置30(図4)又は40(図5)である。
【0050】
読出しデータ処理手段53は、典型的には、記憶手段52からの読出しデータに係る再生を行う再生器であるが、それに限定されず、記憶手段52からの読出しデータに係る処理を行なうものであればよい。
【0051】
こうして、送信側データ処理装置40は、変換手段を実装を省略して、記憶手段52から読出したデジタルデータに基づく処理を確保しつつ、該デジタルデータを記憶手段52に記憶することができる。
【0052】
受信側データ処理装置45の具体的態様について説明する。
【0053】
受信側データ処理装置45の第1の具体的態様では、記憶制御手段47は、所定のデータ分を送信側データ処理装置から受信するつど、該データ分を記憶手段52に記憶させる。送信要求手段48は、記憶手段52への該データ分の記憶に応動して、該データ分の次のデータ分の送信を送信側データ処理装置へ要求する。
【0054】
受信手段46に受信したデジタルデータについての記憶手段52への記憶に応動して、送信要求手段48が送信側データ処理装置へ次のデータ送信要求を出すことにより、受信側データ処理装置45は、受信手段46に受信したデジタルデータを、記憶手段52に記憶する前に、蓄積する必要がなくなり、バッファの省略又はバッファの必要容量の低減が可能になる。
【0055】
なお、「記憶手段52への該データ分の記憶に応動して」とは、受信手段46に受信したデジタルデータが記憶手段52へ記憶された後や、記憶はまだ完了していないものの、完了が見込まれた時(図2の転送要求は見込みの例。)を含むものとする。
【0056】
図7は受信側データ処理装置45の第2の具体的態様のブロック図である。受信側データ処理装置45は、バッファリング用メモリ57を追加されている。そして、記憶制御手段47は、適合形式のデジタルデータの受信分を、バッファリング用メモリ57を経由して、記憶手段52に記憶させるものとなっている。
【0057】
バッファリング用メモリ57の装備により、送信要求手段48は、受信手段46への受信したデジタルデータが記憶手段52に記憶されるのを待たずに、送信側データ処理装置に対して次のデータ分の送信を要求することができる。これにより、送信側データ処理装置における変換データの全部が受信側データ処理装置45へ伝送される時間を短縮できる。
【0058】
なお、受信側データ処理装置45の第2の具体的態様では、バッファリング用メモリ57が装備されるものの、受信側データ処理装置45における変換手段の装備を省略できる利点は残る。
【0059】
図8は送信側データ処理装置制御方法70のフローチャートである。送信側データ処理装置制御方法70は送信側データ処理装置30(図4)に対応している。S71では、所定の信号を、受信側データ処理装置における処理に適合する形式のデジタルデータへ、変換する。S72では、適合形式のデジタルデータを受信側データ処理装置へ送信する。
【0060】
送信側データ処理装置制御方法70の具体的態様について説明する。
【0061】
例えば、S72では、変換により生成された適合形式のデジタルデータをバッファリング用メモリ41(図5)に蓄積し、受信側データ処理装置からの送信要求を受け付けると、バッファリング用メモリ41から適合形式の蓄積デジタルデータの送信要求分を送信する。
【0062】
S71における適合形式のデジタルデータとは、例えば、特定の圧縮形式又はバージョンのデジタルデータである。
【0063】
また、S71における所定の信号とは、例えば、所定のRF信号の復調信号、又は所定のアプリケーションの所定のバージョンに対応するデジタルデータに係る信号である。さらに、受信側データ処理装置における処理とは、例えば、再生処理、又は所定のアプリケーションに係るデータ処理である。
【0064】
図9は受信側データ処理装置制御方法80のフローチャートである。受信側データ処理装置制御方法80は受信側データ処理装置45(図6)に対応している。受信側データ処理装置45は、記憶手段52と、該記憶手段52からの読出しデータを処理する読出しデータ処理手段53とを装備している。受信側データ処理装置45は、所定の信号を、読出しデータ処理手段53に適合する形式のデジタルデータへ、変換する変換手段の装備は省略している。
【0065】
S81では、所定の信号から変換された適合形式のデジタルデータを送信側データ処理装置から受信する。S82では、適合形式のデジタルデータの受信分を記憶手段52に記憶させる。S83では、適合形式のデジタルデータの受信分に係るデータ分の次のデータ分の送信を送信側データ処理装置へ要求する。
【0066】
受信側データ処理装置制御方法80の具体的態様について述べる。
【0067】
受信側データ処理装置制御方法80の第1の具体的態様において、S82では、所定のデータ分を送信側データ処理装置から受信するつど、該データ分を記憶装置に記憶させる。S83では、記憶手段52への該データ分の記憶に応動して、該データ分の次のデータ分の送信を送信側データ処理装置へ要求する。
【0068】
受信側データ処理装置制御方法80の第2の具体的態様において、S82では、適合形式のデジタルデータの受信分を、バッファリング用メモリ57(図7)を経由して、記憶手段52に記憶させる。この場合、S83における送信側データ処理装置への次のデータ分の送信要求は、記憶装置への受信済みのデータ分の記憶とは独立に実施できる。
【0069】
送受システムは、前述の送信側データ処理装置30又は40(具体的態様の任意の組み合わせを含む。)と、受信側データ処理装置45(具体的態様の任意の組み合わせを含む。)とから構成される。
【0070】
図4の送信側データ処理装置30を記録媒体再生装置に具体化し、また、図6の受信側データ処理装置45をデータ記録再生装置に具体化して、該記録媒体再生装置と該データ記録再生装置とを含む再生記録システムを構築することができる。
【0071】
該再生記録システムにおける該記録媒体再生装置は、変換手段(図4の変換手段31に対応するもの)と、送信手段(図4の送信手段32に対応するもの)とを備えている。該変換手段は、記録媒体から読み出した所定の信号を、データ記録再生装置における再生処理に適合する形式のデジタルデータへ変換する。また、該送信手段は、適合形式のデジタルデータをデータ記録再生装置へ送信する。
【0072】
さらに、該再生記録システムにおける該データ記録再生装置は、受信手段(図6の受信手段46に対応するもの)と、記憶手段(図6の記憶手段52に対応するもの)と、記憶制御手段(図6の記憶制御手段47に対応するもの)と、送信要求手段(図6の送信要求手段48に対応するもの)とを備えている。該受信手段は、適合形式のデジタルデータを記録媒体再生装置から受信する。該記憶手段は、受信したデジタルデータを記憶する。該記憶制御手段は、受信した適合形式のデジタルデータを記憶手段に記憶させる。該送信要求手段は、適合形式のデジタルデータの受信分に係るデータ分の次のデータ分の送信を送信側データ処理装置へ要求する。
【0073】
本発明を最良の形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で、最良の形態における各構成要素を変形して具体化できる。また、発明の要旨を逸脱しない範囲で、最良の形態に開示されている複数の構成要素を便宜、組み合わせて、追加したり、いくつかの構成要素を削除したりして、種々の発明を形成することができる。さらに、開示した複数の実施形態間で、所定の構成要素を選択し、それらを組み合わせても、種々の発明を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】楽曲送受システムの概略構成図である。
【図2】メモリ無しポータブルデジタルオーディオプレーヤにおける転送要求、データ転送及びデータ書込みのタイミングチャートである。
【図3】メモリ付きのポータブルデジタルオーディオプレーヤにおける転送要求、データ転送及びデータ書込みのタイミングチャートである。
【図4】送信側データ処理装置のブロック図である。
【図5】図4の送信側データ処理装置をさらに具体化した送信側データ処理装置である。
【図6】受信側データ処理装置のブロック図である。
【図7】受信側データ処理装置の第2の具体的態様のブロック図である。
【図8】送信側データ処理装置制御方法のフローチャートである。
【図9】受信側データ処理装置制御方法のフローチャートである。
【符号の説明】
【0075】
30:送信側データ処理装置、31:変換手段、32:送信手段、40:送信側データ処理装置、41;バッファリング用メモリ、45:受信側データ処理装置、46:受信手段、47:記憶制御手段、48:送信要求手段、52:記憶手段、53:読出しデータ処理手段、57;バッファリング用メモリ、70:送信側データ処理装置制御方法、80:受信側データ処理装置制御方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の信号を、受信側データ処理装置における処理に適合する形式のデジタルデータへ変換する変換手段と、
前記変換手段が出力した適合形式のデジタルデータを蓄積するバッファリング用メモリと、
前記受信側データ処理装置からの送信要求を受け付けると、前記バッファリング用メモリから適合形式の蓄積デジタルデータの送信要求分を送信する送信手段と、
を備えていることを特徴とする送信側データ処理装置。
【請求項2】
前記適合形式のデジタルデータとは特定の圧縮形式又はバージョンのデジタルデータであることを特徴とする請求項1記載の送信側データ処理装置。
【請求項3】
適合形式のデジタルデータを送信側データ処理装置から受信する受信手段と、
受信したデジタルデータを記憶する記憶手段と、
受信した前記適合形式のデジタルデータを前記記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、
適合形式のデジタルデータの前記受信分に係るデータ分の次のデータ分の送信を送信側データ処理装置へ要求する送信要求手段と、
を備えていることを特徴とする受信側データ処理装置。
【請求項4】
前記記憶手段に記憶されたデジタルデータを再生する再生手段を更に備える、ことを特徴とする請求項3記載の受信側データ処理装置。
【請求項5】
前記記憶制御手段は、前記所定量のデータを前記送信側データ処理装置から受信するつど、該所定量のデータを前記記憶手段に記憶させ、
前記送信要求手段は、前記記憶手段への該データの記憶に応動して、該データの次の所定量のデータの送信を前記送信側データ処理装置へ要求することを特徴とする請求項3又は4記載の受信側データ処理装置。
【請求項6】
前記記憶制御手段は、前記適合形式のデジタルデータの受信分を、バッファリング用メモリを経由して、前記記憶手段に記憶させるものであることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の受信側データ処理装置。
【請求項7】
送信側データ処理装置と、受信側データ処理装置とを含むデータ再生記録システムであって、
前記送信側データ処理装置は、
所定の信号を、受信側データ処理装置における処理に適合する形式のデジタルデータへ変換する変換手段と、
前記変換手段が出力した適合形式のデジタルデータを蓄積するバッファリング用メモリと、
前記受信側データ処理装置からの送信要求を受け付けると、前記バッファリング用メモリから適合形式の蓄積デジタルデータの送信要求分を送信する送信手段と、
を備え、
前記受信側データ処理装置は、
適合形式のデジタルデータを送信側データ処理装置から受信する受信手段と、
受信したデジタルデータを記憶する記憶手段と、
受信した前記適合形式のデジタルデータを前記記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、
適合形式のデジタルデータの前記受信分に係るデータ分の次のデータ分の送信を前記送信側データ処理装置へ要求する送信要求手段と、
を備えている、
ことを特徴とするデータ再生記録システム。
【請求項8】
所定の信号を、受信側データ処理装置における処理に適合する形式のデジタルデータへ変換する変換ステップと、
前記変換手段が出力した適合形式のデジタルデータをバッファリング用メモリに蓄積するステップと、
前記受信側データ処理装置からの送信要求を受け付けると、前記バッファリング用メモリから適合形式の蓄積デジタルデータの送信要求分を送信する送信ステップと、
を備えていることを特徴とする送信側データ処理方法。
【請求項9】
適合形式のデジタルデータを送信側データ処理装置から受信するステップと、
受信した前記適合形式のデジタルデータを前記記憶手段に記憶させるステップと、
適合形式のデジタルデータの前記受信分に係るデータ分の次のデータ分の送信を送信側データ処理装置へ要求するステップと、
を備えていることを特徴とする受信側データ処理方法。
【請求項10】
記録媒体再生装置と、データ記録再生装置とを含む再生記録システムであって、
前記記録媒体再生装置は、
記録媒体から読み出した所定の信号を、データ記録再生装置における再生処理に適合する形式のデジタルデータへ変換する変換手段と、
適合形式のデジタルデータを前記データ記録再生装置へ送信する送信手段と
を備え、
前記データ記録再生装置は、
前記適合形式のデジタルデータを記録媒体再生装置から受信する受信手段と、
受信したデジタルデータを記憶する記憶手段と、
受信した前記適合形式のデジタルデータを前記記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、
適合形式のデジタルデータの前記受信分に係るデータ分の次のデータ分の送信を前記送信側データ処理装置へ要求する送信要求手段と、
を備えていることを特徴とする再生記録システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−172798(P2007−172798A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−373057(P2005−373057)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】