説明

送信装置、および送信方法

【課題】コンテンツデータの再生に応じた音声を聴取するユーザに対してより適した聴取体験を提供することが可能な送信装置、および送信方法を提供する。
【解決手段】受信装置と通信を行う通信部と、受信装置それぞれとの間の直接的な距離を測定する距離測定部と、測定された距離に基づいて、送信対象のコンテンツデータとコンテンツデータの再生を開始する時間を示す時間情報とを含む送信データを、受信装置ごとに設定する送信データ設定部と、設定された送信データを対応する送信対象の受信装置へ一斉に送信させる送信処理部とを備え、送信データ設定部は、自装置がコンテンツデータの再生を開始する時間を基準時間として設定し、設定された基準時間を基準として、自装置において再生されるコンテンツデータが示す音声と、受信装置において再生されるコンテンツデータが示す音声とを同期させる時間情報を受信装置ごとに設定する送信装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信装置、および送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、音声データや映像データなどの音声を含むコンテンツデータを機器間で送受信し、各機器において送受信されたコンテンツデータの再生が行われるコンテンツ再生システムの普及が進んでいる。上記コンテンツ再生システムとしては、例えば、マルチチャネルオーディオシステム(サラウンドシステム)や、DLNA(Digital Living Network Alliance)規格に則ったシステムなどが挙げられる。
【0003】
このような中、再生される音声を聴取するユーザに対してより適した聴取体験を提供するための技術が開発されている。再生される音声を聴取するユーザの位置に基づいて、スイートスポット(最適聴取範囲)を動的に調整する技術としては、例えば、特許文献1が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2007−514350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ユーザに対してより適した聴取体験を提供するための従来の技術(以下、「従来の技術」とよぶ場合がある。)は、マルチチャネルオーディオシステムにおける音場のスイートスポットを動的に調整することにより、立体的な臨場感をユーザに提供する。より具体的には、従来の技術は、ユーザに属する個人用機器の位置を追跡し、当該個人用機器の現在位置が音場のスイートスポットとなるように、スイートスポットを調整する。つまり、従来の技術を用いる場合には、個人用機器を所持するユーザが移動をしたとしても、従来の技術に係るコンテンツ再生システムがスイートスポットを調整可能な範囲内であれば、当該ユーザの位置が音場のスイートスポット内に入るようにスイートスポットを動的に調整することが可能となる。したがって、従来の技術を用いる場合には、個人用機器の位置において立体的な臨場感を作り出すことが可能であるので、ユーザに対してより適した聴取体験を提供することができる可能性がある。
【0006】
ここで、音声を含むコンテンツデータ(以下、単に「コンテンツデータ」とよぶ場合がある。)を機器間で送受信し、各機器において送受信されたコンテンツデータの再生が行われるコンテンツ再生システムは、従来の技術が対象とするようなマルチチャネルオーディオシステムに限られない。例えば、上記コンテンツ再生システムとしては、コンテンツデータを送信する送信装置が、1または2以上の受信装置に対して同一のコンテンツデータを含む送信データを一斉に送信し、送信装置および各受信装置が同期して当該コンテンツデータの再生を行うシステムが想定される。上記のような、送信装置および各受信装置が同期して同一のコンテンツを示すコンテンツデータの再生を行うコンテンツ再生システム(以下、単に「コンテンツ再生システム」とよぶ場合がある。)では、例えば、送信装置が、コンテンツデータとコンテンツデータを再生する時間を規定するタイムスタンプとを含む送信データを各受信装置へ送信する。そして、受信装置が、受信した送信データに含まれるタイムスタンプが規定する時間に当該送信データに含まれるコンテンツデータを再生することによって、送信装置および各受信装置による同期した当該コンテンツデータの再生が実現される。
【0007】
上記のように、送信装置および各受信装置が同期して同一のコンテンツを示すコンテンツデータの再生を行うことによって、例えば、家にある複数のコンテンツデータを再生可能な装置(上記送信装置、受信装置の一例)から同一の音楽(コンテンツの一例)を出力させて、家中で当該音楽をユーザに楽しませることが可能となる。しかしながら、上記のような、送信装置および各受信装置が同期して同一のコンテンツを示すコンテンツデータの再生を行うコンテンツ再生システムでは、複数の装置から出力された音声に遅延によるずれ(意図されないずれ)が生じることによって、ユーザに対してより適した聴取体験を提供することができないことが起こりうる。
【0008】
より具体的に説明すると、コンテンツ再生システムを構成する各装置から出力された音声は、340[m/sec](20[℃]、1[気圧]の場合)という所定の速さ(音速)で空気中を進む。そのため、コンテンツ再生システムを構成する一の装置と当該コンテンツ再生システムを構成する他の装置との間の距離が例えば10[m]であるときには、一の装置の位置では、他の装置から出力されるコンテンツデータに応じた音声が、約30[msec]遅延して聴こえることとなる。また、例えば上記距離が20[m]であるときには、上記一の装置の位置では、上記他の装置から出力されるコンテンツデータに応じた音声が、約60[msec]遅延して聴こえることとなる。つまり、コンテンツ再生システムにおいてコンテンツデータを再生する各装置間の距離がある程度離れている場合には、コンテンツ再生システムを構成するある装置を基準とした場合、基準となる装置(以下、「基準装置」とよぶ場合がある。)では、他の装置において出力された音声が遅延して聴こえてしまう。
【0009】
よって、コンテンツ再生システムを構成する装置全体において同期して再生されるコンテンツデータに応じた音声を、基準装置の位置付近にいるユーザが聴く場合、当該ユーザには、基準装置が出力する音声と、他の装置から出力された、遅延された音声とがずれて聴こえてしまう。そのため、コンテンツ再生システムでは、各装置が同期して同一のコンテンツデータの再生を行ったとしても、基準装置の位置付近にいるユーザには他の装置から出力された音声がずれて聴こえてしまうため、当該ユーザに不快感を与えてしまう恐れがある。さらに述べれば、上記他の装置が出力する音声の音量が大きい場合には、上記ユーザに不快感を与えてしまう可能性はさらに高まることとなる。
【0010】
ここで、コンテンツ再生システムにおいて上記のようにユーザに不快感を与えてしまうことを防止するための方策としては、例えば、ユーザが、他の装置における再生音量を適宜下げることや、当該再生音量を予め小さく設定しておくことが挙げられる。しかしながら、上記の方策をとる場合には、例えば、ユーザによる再生音量の調整操作を強いることとなり、また、コンテンツ再生システムにおけるコンテンツデータの再生に制限が設けられるので、ユーザの利便性を損ねる恐れがある。
【0011】
また、従来の技術は、上記のように、マルチチャネルオーディオシステムにおける音場のスイートスポットを動的に調整するものであるので、上記コンテンツ再生システムのように、複数の装置が同期して同一のコンテンツを示すコンテンツデータの再生を行うことは想定されていない。よって、従来の技術を用いたとしても、上記コンテンツ再生システムにおいて生じうる、コンテンツデータの再生により出力された音声の遅延によってユーザに不快感を与えてしまうことを防止することは望むべくもない。
【0012】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、コンテンツデータが複数の装置において同期して再生されるコンテンツ再生システムにおいて、コンテンツデータの再生に応じた音声を聴取するユーザに対してより適した聴取体験を提供することが可能な、新規かつ改良された送信装置、および送信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点によれば、1、または2以上の受信装置と通信を行う通信部と、上記受信装置それぞれとの間の直接的な距離を測定する距離測定部と、測定された上記受信装置それぞれとの間の距離に基づいて、音声が含まれる送信対象のコンテンツデータと上記コンテンツデータの再生を開始する時間を示す時間情報とを含む送信データを、上記距離が測定された受信装置ごとに設定する送信データ設定部と、上記送信データ設定部が設定した送信データを、対応する送信対象の受信装置へ一斉に送信させる送信処理部とを備え、上記送信データ設定部は、自装置が上記コンテンツデータの再生を開始する時間を基準時間として設定し、設定された上記基準時間を基準として、自装置において再生される上記コンテンツデータが示す音声と、上記受信装置において再生される上記コンテンツデータが示す音声とを同期させる上記時間情報を受信装置ごとに設定する送信装置が提供される。
【0014】
かかる構成により、コンテンツデータの再生に応じた音声を聴取するユーザに対してより適した聴取体験を提供することが可能なコンテンツ再生システムを実現させることができる。
【0015】
また、上記コンテンツデータの再生を開始する時間の基準となる装置を変更させるための調整信号を上記通信部が受信した場合、上記送信データ設定部は、上記調整信号を送信した上記受信装置が上記コンテンツデータの再生を開始する時間を基準時間として設定し、上記調整信号に基づいて設定された上記基準時間を基準として、自装置が上記コンテンツデータの再生を開始する時間と、受信装置ごとの上記時間情報を設定してもよい。
【0016】
また、上記基準時間および上記コンテンツデータの再生を開始する時間との間の時間間隔を調整する調整時間を受信装置との間の直接的な距離と対応付けて規定する、少なくとも1以上の再生制御情報を記憶する記憶部をさらに備え、上記送信データ設定部は、測定された上記受信装置それぞれとの間の距離と選択された再生制御情報とに基づく調整時間を反映させて上記時間情報を設定してもよい。
【0017】
また、上記距離測定部は、上記距離を測定するための測定信号を各受信装置に対して送信させ、上記測定信号を送信した時間と上記測定信号を受信した受信装置から送信される応答信号を受信した時間との時間間隔に基づいて、上記距離を測定してもよい。
【0018】
また、上記距離測定部は、上記距離を測定するための測定信号を各受信装置に対して送信させ、上記測定信号を送信した時間と、上記測定信号を受信した受信装置から送信される応答信号に含まれる、上記受信装置において上記測定信号が受信された時間の情報が示す時間との時間間隔に基づいて、上記距離を測定してもよい。
【0019】
また、上記送信データ設定において設定された自装置が上記コンテンツデータの再生を開始する時間に基づいて、上記コンテンツデータの再生させる再生処理部をさらに備えてもよい。
【0020】
上記目的を達成するために、本発明の第2の観点によれば、音声が含まれる送信対象のコンテンツデータと上記コンテンツデータの再生を開始する時間を示す時間情報とを含む送信データを送信する送信装置と、上記送信データの送信対象の受信装置それぞれとの間の直接的な距離を測定するステップと、上記測定するステップにおいて測定された上記受信装置それぞれとの間の距離に基づいて上記時間情報が設定された送信データを、送信対象の受信装置ごとに設定するステップと、上記設定するステップにおいて設定された送信データを、対応する送信対象の受信装置へ一斉に送信するステップとを有し、上記設定するステップでは、上記送信装置が上記コンテンツデータの再生を開始する時間が、基準時間として設定され、設定された上記基準時間を基準として、上記送信装置において再生される上記コンテンツデータが示す音声と、上記受信装置において再生される上記コンテンツデータが示す音声とを同期させる上記時間情報が、送信対象の上記受信装置ごとに設定される送信方法が提供される。
【0021】
かかる方法を用いることによって、コンテンツデータの再生に応じた音声を聴取するユーザに対してより適した聴取体験を提供することが可能なコンテンツ再生システムを実現させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、コンテンツデータが複数の装置において同期して再生されるコンテンツ再生システムにおいて、コンテンツデータの再生に応じた音声を聴取するユーザに対してより適した聴取体験を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係るコンテンツ再生システムの概要を示す説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係るデータ送信アプローチを説明するための説明図である。
【図3】本発明の実施形態に係るコンテンツ再生システムにおけるデータ送信アプローチに係る処理の一例を示す説明図である。
【図4】本発明の実施形態に係る送信装置が送信する送信データのフォーマットの一例を示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態に係る送信装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施形態に係る送信装置のハードウェア構成の一例を示す説明図である。
【図7】本発明の実施形態に係る受信装置の構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0025】
また、以下では、下記に示す順序で説明を行う。
1.本発明の実施形態に係るアプローチ
2.本発明の実施形態に係るコンテンツ再生システム
3.本発明の実施形態に係るプログラム
【0026】
(本発明の実施形態に係るアプローチ)
本発明の実施形態に係るコンテンツ再生システム(以下、「コンテンツ再生システム1000」とよぶ場合がある。)を構成する各装置の構成について説明する前に、ユーザに対してより適した聴取体験を提供するための本発明の実施形態に係るデータ送信アプローチについて説明する。
【0027】
[コンテンツ再生システム1000の概要]
後述する本発明の実施形態に係るデータ送信アプローチの概要を説明する前に、コンテンツ再生システム1000の概要について説明する。図1は、本発明の実施形態に係るコンテンツ再生システム1000の概要を示す説明図である。コンテンツ再生システム1000は、送信装置100と、受信装置200A、200B、…(以下、総称して「受信装置200」とよぶ場合がある。)とを有する。なお、図1では、コンテンツ再生システム1000が3つの受信装置200を有する構成を示しているが、コンテンツ再生システム1000を構成する受信装置200の数は、図1に示す例に限られない。
【0028】
送信装置100と受信装置200とは、例えば、LAN(Local Area Network)などによる有線通信や、IEEE802.11gやIEEE802.15.1などによる無線通信によって、通信を行う。ここで、図1では、送信装置100と受信装置200とが無線通信により通信を行う場合を示している。なお、図1では示していないが、例えば、無線通信としてIEEE802.11gが用いられる場合、送信装置100と受信装置200とは、アクセスポイントの役目を果たす中継装置(以下、「中継装置300」)を介して通信を行う。
【0029】
また、コンテンツ再生システム1000では、例えば、通信要求(後述する)や送信データの再送要求などの各種要求(コマンド)や、測定信号(後述する)、送信データ(後述する)などは、例えば、“UDP unicastパケット”により送受信される。なお、本発明の実施形態に係るコンテンツ再生システム1000は、例えば、DLNA規格に則った任意の形式で、各種要求などの送受信を行うことも可能である。
【0030】
本発明の実施形態に係るコンテンツ再生システム1000は、例えば、送信装置100が送信データの送信対象となりうる受信装置200それぞれに対して通信要求を送信し、各受信装置200が、当該通信要求に対して通信を行う旨の応答を行うことによって、形成される。つまり、コンテンツ再生システム1000は、送信装置100がシステムへの参加を各受信装置200へと要請し、各受信装置200が当該要請に応じることによって、形成される。
【0031】
以下、図1に示すコンテンツ再生システム1000を例に挙げて、送信装置100、受信装置200の概要について説明する。なお、例えば図1に示す受信装置200Aが上記通信要求を送信装置100や他の受信装置200へ送信する場合、図1に示す受信装置200Aは送信装置としての役目を果たし、図1に示す送信装置100は、受信装置としての役目を果たすことも可能である。
【0032】
送信装置100は、コンテンツ再生システム1000において、送信データの送信対象の受信装置200(以下、「送信対象装置」とよぶ場合がある。)それぞれに送信データを送信する役目を果たす。より具体的には、送信装置100は、送信対象装置それぞれに対して送信する送信データを、送信対象装置ごとに設定する。そして、送信装置100は、設定した各送信対象装置に送信する送信データを一斉に送信する。ここで、本発明の実施形態に係る送信装置100における送信データを一斉に送信するとは、例えば、送信装置100が、送信対象装置それぞれへ各送信対象装置に対応する送信データを、“同時に送信すること”や“順次に送信すること”をいう。
【0033】
ここで、本発明の実施形態に係る送信データとは、コンテンツデータと、当該コンテンツデータの再生を開始する時間を示す時間情報とを含むデータである。また、本発明の実施形態に係るコンテンツデータとは、例えば音声(音楽も含む。以下、同様とする。)を示す音声データや、音声および画像(静止画像/動画像)を示す映像データなど、音声や画像などのコンテンツを示す、音声が含まれるデータである。以下では、送信装置100から送信対象の受信装置200それぞれへと送信される送信データが、音声データである場合を主に例に挙げて説明する。また、以下では、本発明の実施形態に係る時間情報を、「タイムスタンプ」と示す場合がある。
【0034】
また、送信装置100は、各受信装置100へ送信したコンテンツデータと同一のコンテンツを示すコンテンツデータの再生を開始する再生開始時間を設定する。そして、送信装置100は、上記コンテンツデータを設定した再生開始時間に再生させる。なお、送信装置100が、コンテンツデータの再生機能を有しておらず、当該再生機能を有する外部装置(外部再生装置)と接続されている構成である場合には、送信装置100は、例えば、当該外部装置に上記コンテンツデータを再生させる。
【0035】
ここで、送信装置100が設定する上記所定の再生開始時間としては、例えば、送信装置100のユーザによるコンテンツデータの再生に係る操作が行われてから予め規定された時間(例えば、同期した再生を行うために要する実処理時間など)が経過した時刻が挙げられる。また、送信装置100は、例えば、設定した再生開始時間(自装置がコンテンツデータの再生を開始する時間)を基準として、送信対象の受信装置200ごとに時間情報を設定する。なお、送信装置100における再生開始時間、および受信装置200ごとの時間情報の設定方法は、上記に限られない。例えば、送信装置100は、送信対象の受信装置200の中の一の受信装置200がコンテンツデータの再生を開始する時間を基準として、送信装置100における再生開始時間と、他の受信装置200における時間情報を設定することもできる。以下では、送信装置100における再生開始時間、および各受信装置200の時間情報の設定における基準となる、コンテンツ再生システム1000を構成する一の装置におけるコンテンツデータの再生開始時間を、「基準時間」と示す。
【0036】
受信装置200は、送信装置100から送信された送信データを受信し、受信された送信データに含まれる時間情報が規定する時間に、当該送信データに含まれるコンテンツデータを再生する。より具体的に、受信装置200は、例えば、受信された送信データをバッファメモリ(図示せず)などの記録媒体に記憶し、時間情報が規定する時間に、当該記録媒体に記憶された送信データに含まれるコンテンツデータを再生する。
【0037】
上記のように、コンテンツ再生システム1000では、送信装置100が、自装置がコンテンツデータの再生を開始する時間を設定すると共に、時間情報を含む送信データを送信対象の受信装置200ごとに設定する。そして、送信装置100は、設定した送信データを対応する受信装置200へ一斉に送信する。また、コンテンツ再生システム1000では、送信データを受信した受信装置200が、受信された送信データに含まれる時間情報が規定する時間に、当該送信データに含まれるコンテンツデータを再生する。よって、コンテンツ再生システム1000では、コンテンツ再生システム1000を構成する各装置が、送信装置100が設定した所定の時間に同一のコンテンツを示すコンテンツデータの再生を開始することとなる。したがって、コンテンツ再生システム1000は、上記のような送信装置100と受信装置200を有することによって、送信装置100および送信データの送信対象の各受信装置200が同期してコンテンツデータの再生を行うことができる。
【0038】
[データ送信アプローチの概要]
次に、ユーザに対してより適した聴取体験を提供するための本発明の実施形態に係るデータ送信アプローチについて説明する。図2は、本発明の実施形態に係るデータ送信アプローチを説明するための説明図であり、図1に示すコンテンツ再生システム1000の適用例を示している。ここで、図2では、部屋(または、空間。以下、同様とする。)Aに送信装置100および中継装置300が設置され、部屋B、部屋C、部屋Dにそれぞれ受信装置200A、200B、200Cが設置されている例を示している。以下では、コンテンツ再生システム1000を構成する各装置が、図2に示すように配置されている場合を例に挙げて説明する。なお、本発明の実施形態に係るコンテンツ再生システム1000は、各装置が図2に示すように複数の部屋に設置される構成ことに限られない。例えば、本発明の実施形態に係るコンテンツ再生システム1000は、各装置が1つの部屋(例えば、図2に示す部屋A〜部屋Dが1つの部屋である場合など)に設置される構成であってもよい。
【0039】
例えば図2に示すように、コンテンツデータが複数の装置において同期して再生されるコンテンツ再生システムを構成する装置間の距離が20[m]程度であるときには、一の装置の位置では、他の装置から出力されるコンテンツデータに応じた音声が約60[msec]遅延して聴こえることとなる。そのため、上述したように、上記コンテンツ再生システムでは、各装置から出力される音声に遅延によるずれ(意図されないずれ)が生じることにより、ユーザに不快感を与えてしまう恐れがある。
【0040】
そこで、本発明の実施形態に係るコンテンツ再生システム1000では、送信装置100が、送信装置100と各受信装置200との間の距離に応じた音声の遅延が加味された時間情報を含む送信データを、各受信装置200に送信する。上述したように、送信データを受信する受信装置200は、受信された送信データに含まれる時間情報が規定する時間に、当該送信データに含まれるコンテンツデータを再生する。よって、送信装置100が距離に応じた音声の遅延が加味された時間情報を含む送信データを送信することによって、より適した聴取体験をユーザに提供する所定の位置では、音声の遅延による意図されないずれは生じない。
【0041】
ここで、コンテンツ再生システム1000では、送信装置100から送信された送信データを受信装置200が受信するので、各装置が無線により接続される場合には、伝送遅延の影響を考慮する必要がある。しかしながら、無線通信における伝送速度は、約300,000,000[m/sec]であるので、装置間の距離が約10[m]の場合には、伝送遅延は、0.0000333[msec]である。よって、伝送遅延は音声の遅延に比べて十分に小さいので、コンテンツ再生システム1000では、当該伝送遅延を無視することができる。なお、各装置が有線により接続される場合にも、伝送遅延は音声の遅延に比べて十分に小さいので、コンテンツ再生システム1000では、当該伝送遅延を無視することができる。
【0042】
したがって、送信装置100が距離に応じた音声の遅延が加味された時間情報を含む送信データを送信することによって、コンテンツデータの再生に応じた音声を聴取するユーザに対してより適した聴取体験を提供することが可能なコンテンツ再生システムが実現される。
【0043】
より具体的には、本発明の実施形態に係るコンテンツ再生システム1000では、送信装置100が、下記の(1)の処理〜(3)の処理を行うことによって、コンテンツデータの再生に応じた音声を聴取するユーザに対してより適した聴取体験を提供することが可能なコンテンツ再生システムの実現を図る。ここで、下記に示す(1)の処理〜(3)の処理は、本発明の実施形態に係る送信方法に係る処理の一例である。
【0044】
(1)距離測定処理
送信装置100は、送信対象の受信装置200それぞれとの間の直接的な距離を測定する。ここで、本発明の実施形態に係る直接的な距離とは、例えば図2における送信装置100と受信装置200A、200B、200Cそれぞれとの間の直線距離であり、中継装置300を介した通信経路の距離(間接的な距離)と区別されるものである。以下では、本発明の実施形態に係る直接的な距離を単に「距離」と示す場合がある。なお、本発明の実施形態に係る送信装置100における距離測定処理は、送信対象の受信装置200それぞれとの間の直接的な距離を推定する処理と捉えることができる。
【0045】
〔距離測定処理の一例〕
送信装置100は、例えば、各受信装置200との間の通信の往復時間を測定し、測定された往復時間と電波の速さ(規定値)とに基づいて、直接的な距離を算出する。
【0046】
送信装置100は、距離を測定するための測定信号を各受信装置に対して送信し、当該測定信号を送信した時間と当該測定信号を受信した受信装置200から送信される応答信号を受信した時間との時間間隔を測定する。そして、送信装置100は、測定された時間間隔と電波の速さとに基づいて、直接的な距離を算出する。なお、本発明の実施形態に係る第1の距離測定方法は、レーダーと同様な仕組みではある。しかしながら、レーダーが送信側が送信した送信波に対する物体からの反射波を検出して物体を検出するのに対して、本発明の実施形態に係る第1の距離測定方法では、測定対象の受信装置200が送信した信号が用いられる点が異なる。
【0047】
ここで、本発明の実施形態に係る測定信号としては、例えば、PN系列により受信装置ごとに符号化された信号が挙げられる。また、本発明の実施形態に係る応答信号としては、例えば、受信装置200が正常に受信した測定信号そのものが挙げられる。送信装置100は、例えばPN系列を用いて受信装置200ごとに用いる符号系列を変更することによって、複数の受信装置200を区別することができる。
【0048】
また、送信装置100における時間の測定方法としては、例えば、測定信号の送信時刻から応答信号の受信までを送信装置100における基準処理クロック(CLK)でカウントする方法や、NTP(Network Time Protocol)を基本とした用いた絶対的なタイムスタンプを用いる方法などが挙げられる。例えば、現在制定が勧められているNTPv.4(RFC 4330,RFC 1305)では64bitの実数部と64bitの小数点部を持つ時刻表記であるので、NTPv.4に基づくタイムスタンプを用いる場合には、距離測定に十分な分解能を有する。
【0049】
また、本発明の実施形態に係る距離測定処理における測定の精度は、測定信号を処理するクロックの周波数によって決まる。例えば、300[MHz]のクロックを用いれる場合には、距離にして1[m]以内の精度で直接的な距離を測定することが可能である。また、送信装置100は、距離測定処理に用いるクロック周波数をより上げることによって、より精度の高い測定を行うことが可能である。さらに、例えば、距離測定処理に係るハードウェア(例えば通信モジュール)において生じうる遅延など、距離測定処理における伝送遅延以外の遅延は、既知の遅延として校正しておくことによって、当該遅延の影響を低減させる(すなわち、測定精度を向上させる)ことができる。より具体的には、送信装置100は、例えば、伝送遅延以外の遅延を通信の物理層での信号の送受信時間を測定したり、通信モジュール内での遅延時間を予め補償することによって、測定精度を向上させることが可能である。なお、距離測定処理における伝送遅延は、上述したように十分に小さいので、無視しても測定精度に影響は与えない。
【0050】
また、送信装置100は、例えば、距離測定用の専用モジュールを備え、当該専用モジュールを用いて、距離測定処理に係る測定信号の送信や応答信号の受信を行うことができるが、送信装置100の構成は、上記に限られない。例えば、送信装置100は、IEEE802.11シリーズやIEEE802.15.1などに則った通信モジュールを用いたP2P(Pear to Pear)通信(例えば、Wi−Fi Directなど)を用いて、距離測定処理に係る測定信号の送信や応答信号の受信を行うこともできる。
【0051】
送信装置100は、例えば、上記のような処理を行うことによって、各受信装置200との間の距離を測定する。
【0052】
なお、本発明の実施形態に係る送信装置100における距離測定処理は、上記に限られない。例えば、送信装置100は、送信した信号が各受信装置200において受信されるまでの時間を測定し、測定された時間と電波の速さとに基づいて、直接的な距離を算出することもできる。
【0053】
より具体的には、送信装置100は、測定信号を各受信装置200に対して送信し、当該測定信号を送信した時間と、当該測定信号を受信した受信装置から送信される応答信号に含まれる、受信装置200において測定信号が受信された時間の情報が示す時間との時間間隔に基づいて、距離を測定する。上記の場合には、送信装置100は、通信の片道時間を測定することとなるが、測定された通信の片道時間から通信の往復時間を算出することが可能である。したがって、上記の場合であっても、送信装置100は、各受信装置200との間の距離を測定することができる。
【0054】
また、送信装置100は、指向性を有する測定信号を各受信装置200に対して送信することもできる。指向性を有する測定信号を各受信装置200に対して送信することによって、送信装置100は、各受信装置200との間の距離に加え、各受信装置200が存在する方向を認識することが可能となる。したがって、送信装置100は、指向性を有する測定信号を各受信装置200に対して送信することにより、送信装置100と各受信装置200との間の距離に加え、コンテンツ再生システム1000を構成する各受信装置200間の距離を測定(推定)することができる。
【0055】
上記では、送信装置100が各受信装置200との間の距離を測定(推定)することを示した。しかしながら、本発明の実施形態に係るコンテンツ再生システム1000における送信装置100と各受信装置200との間の距離を測定(推定)する方法は、送信装置100が各受信装置200との間の距離を測定(推定)することに限られない。例えば、本発明の実施形態に係るコンテンツ再生システム1000では、受信装置200が、受信された測定信号の電界強度に基づいて送信装置100との距離を推定することもできる。上記の方法を用いる場合には、送信装置100は、受信装置200それぞれから距離の推定結果を示す応答信号を受信することによって、各受信装置200との間の距離を認識することとなる。
【0056】
なお、上記の方法を用いる場合、送信装置100と受信装置200との距離が近距離であるときには、例えば受信装置200が備えるアンプが飽和する恐れがある。よって、上記の方法を用いる場合には、例えば、送信装置100が通常送信される信号よりも小電力で測定信号を送信することが望ましい。上記によって、送信装置100は、受信装置200の上記アンプが飽和することを防止することができる。
【0057】
また、上記の方法を用いる場合、送信装置100と受信装置200との間に壁があったり、1または2以上の人間などがいる場合には、受信装置200において検出される電界強度が減衰する。そのため、上記の場合には、距離の推定精度が低下してしまう。よって、上記の方法を用いる場合には、例えば、各受信装置200が、送信装置100と受信装置200との間にある壁の種類(例えば、厚さ、材質、アルミ箔断熱材の有無など)や壁の枚数などに応じた調整値をプリセット値として記憶し、当該プリセット値を用いる。上記によって、各受信装置200は、距離の推定精度の低下を防止することができる。さらに、上記の方法を用いる場合、送信装置100と受信装置200とは、例えば、ダイバシティアンテナを用いた測定信号の送受信を行ったり、測定信号の送受信を複数回行い電界強度の平均値をとるなどによって、距離の推定精度の低下を防止することができる。
【0058】
(2)送信データ設定処理
送信装置100は、上記(1)の処理(距離測定処理)において測定された受信装置200それぞれとの間の距離に基づいて、送信対象の受信装置200ごとに送信データを設定する。
【0059】
より具体的には、送信装置100は、自装置がコンテンツデータの再生を開始する時間を基準時間として設定する(送信装置100を基準装置とする場合)。そして、送信装置100は、設定した基準時間を基準として、上記(1)の処理(距離測定処理)において測定された受信装置200との間の距離に応じた遅延時間を加味した時間情報を、受信装置200ごとに設定する。例えば、測定された受信装置200Aとの間の距離が20[m]の場合には、送信装置100は、受信装置200に対応する時間情報に、基準時間よりも60[msec]早い時刻に設定する。送信装置100が上記のように測定された距離に応じた遅延時間を加味した時間情報を受信装置200ごとに設定することによって、送信装置100は、自装置の位置において送信装置100において再生されるコンテンツデータが示す音声と、受信装置200において再生されるコンテンツデータが示す音声とに意図されないずれが発生することを、防止することができる。
【0060】
なお、以下では、送信装置100において再生されるコンテンツデータが示す音声と、受信装置200において再生されるコンテンツデータが示す音声とを、総称して「コンテンツ再生システム1000の各装置から出力される音声」と示す場合がある。また、以下では、「基準装置の位置においてコンテンツ再生システム1000の各装置から出力される音声の遅延によるずれの発生を防止すること」を、「コンテンツ再生システム1000の各装置から出力される音声を、基準装置の位置において同期させる」と示す場合がある。
【0061】
なお、送信装置100における(2)の処理は、自装置がコンテンツデータの再生を開始する時間を基準時間として設定することに限られない。例えば、送信装置100は、コンテンツ再生システム1000を構成する受信装置200のうちの、いずれかの受信装置200がコンテンツデータの再生を開始する時間を基準時間として設定することもできる。つまり、送信装置100は、上記いずれかの受信装置200を基準装置とし、当該受信装置200の位置においてコンテンツ再生システム1000の各装置から出力される音声を同期させることができる。
【0062】
より具体的には、送信装置100は、例えば、受信装置200から送信された調整信号を受信すると、当該調整信号を送信した受信装置200がコンテンツデータの再生を開始する時間を基準時間として設定する。そして、送信装置100は、調整信号に基づいて設定した基準時間を基準として、自装置がコンテンツデータの再生を開始する時間と、基準装置である受信装置200以外の受信装置200がコンテンツデータの再生を開始する時間とをそれぞれ設定する。つまり、本発明の実施形態に係る調整信号とは、例えば、コンテンツデータの再生を開始する時間の基準となる装置を変更させるためのトリガの役目を果たす信号である。
【0063】
ここで、送信装置100は、上記(1)の処理(距離測定処理)によって、送信装置100と受信装置200との間の距離、および各受信装置200間の距離を測定(推定)することができる。よって、送信装置100は、調整信号を送信した受信装置200の位置においてコンテンツ再生システム1000の各装置から出力される音声が同期するように、各装置がコンテンツデータの再生を開始する時間をそれぞれ設定することが可能である。つまり、送信装置100は、上記いずれかの受信装置200がコンテンツデータの再生を開始する時間を基準時間として設定した場合であっても、遅延時間を加味した時間情報を、受信装置200ごとに設定することができる。
【0064】
送信装置100が上記にように測定された距離に応じた遅延時間を加味した時間情報を受信装置200ごとに設定することによって、送信装置100は、コンテンツ再生システム1000の各装置から出力される音声を、基準装置としての役目を果たす所定の受信装置200の位置において同期させることができる。
【0065】
送信装置100は、上記のように、上記(1)の処理(距離測定処理)において測定された距離に応じた遅延時間を加味した時間情報を受信装置200ごとに設定し、設定された時間情報と送信対象のコンテンツデータとを含む送信データを受信装置200ごとに設定する。また、送信装置100は、(2)の処理において設定された送信データが後述する(3)の処理において受信装置200へ送信する。よって、送信装置100は、コンテンツ再生システム1000の各装置から出力される音声を、基準装置の位置において同期させることができる。
【0066】
なお、送信装置100における(2)の処理は、コンテンツ再生システム1000の各装置から出力される音声が基準装置の位置において同期するように、受信装置200ごとの時間情報を設定することに限られない。例えば、送信装置100は、受信装置200ごとの時間情報を調整することによって、コンテンツ再生システム1000の各装置から出力される音声が基準装置の位置において意図的にずれるように、受信装置200ごとの時間情報を設定することも可能である。ここで、送信装置100が受信装置200ごとの時間情報を調整することによって、送信装置100は、コンテンツ再生システム1000の各装置から出力される音声に意図的なずれを生じさせて、マルチチャネルオーディオシステムのように擬似サラウンド効果を作りだすことができる。したがって、送信装置100は、コンテンツデータの再生に応じた音声を聴取するユーザに対してより適した聴取体験を提供することができる。
【0067】
より具体的には、送信装置100は、例えば、設定された基準時間および各装置におけるコンテンツデータの再生を開始する時間との間の時間間隔を調整する調整時間が規定された再生制御情報を、少なくとも1以上記憶する。ここで、送信装置100は、1以上の再生制御情報を再生制御情報データベースとして記憶していてもよい。そして、送信装置100は、例えば、上記(1)の処理(距離測定処理)において測定された距離に応じた遅延時間と、記憶する再生制御情報の中から選択された再生制御情報が示す調整時間とを加味した時間情報(調整時間が反映された時間情報)を、受信装置200ごとに設定する。また、送信装置100は、記憶する再生制御情報の中から選択された再生制御情報が示す調整時間により、自装置がコンテンツデータの再生を開始する時間を調整する。
【0068】
ここで、例えばコンサートホールなどでは、音源から発せられた音声(直接音)が聴取者に届いた後、アーリーリフレクションよばれる、天井や壁などに1度だけ反射した音声が、数十[msec]程度遅れて当該聴取者に届くことがある。上述したように、音声の遅延による意図しないずれはユーザに不快感を与えてしまう恐れがあるが、例えば上記アーリーリフレクションのように、音声のずれが必ずしもユーザに不快感を与えるとは限られない。つまり、送信装置100が、コンテンツ再生システム1000の各装置から出力される音声に意図的なずれを生じさせるように、自装置および受信装置200それぞれにおけるコンテンツデータの再生開始時間を設定することによって、例えば、コンサートホールなどにいるような情感をユーザに与えることが可能となる。
【0069】
送信装置100は、例えば、コンサートホールなど様々な場所を想定した調整時間がそれぞれ規定された再生制御情報を記憶し、ユーザ操作に基づいて選択された再生制御情報を用いることによって、ユーザの嗜好に応じた聴取体験を提供することができる。ここで、図2に示すコンテンツ再生システム1000を例に挙げると、再生制御情報が規定する調整時間としては、例えば、受信装置200Aが出力する音声を5[msec]、受信装置200Bが出力する音声を7[msec]、受信装置200Cが出力する音声を12[msec]、それぞれ遅延させることが挙げられる。
【0070】
なお、本発明の実施形態に係る再生制御情報は、調整時間が規定される情報に限られない。例えば、本発明の実施形態に係る再生制御情報は、調整時間と音量とが規定されていてもよい。再生制御情報が調整時間と音量とを規定する場合には、送信装置100は、各装置が出力する音声の遅延だけでなく、当該音声の音量を制御することができるので、コンテンツデータの再生に応じた音声を聴取するユーザに対してより適した聴取体験を提供することが可能となる。
【0071】
ここで、本発明の実施形態に係る再生制御情報は、例えば、送信装置100の製造時などに送信装置100に記録される(いわゆるプリセット)が、送信装置100における再生制御情報の記憶方法は、上記に限られない、例えば、送信装置100は、サーバなどの外部装置から再生制御情報を適宜取得して記憶することもできる。また、送信装置100に複数の再生制御情報が記憶されることによって、ユーザの選択肢がより広がるので、ユーザに対してより適した聴取体験を提供する(例えば、ユーザをより楽しませる)ことが可能となる。
【0072】
(3)送信処理
送信装置100は、上記(2)の処理(送信データ設定処理)において送信対象の受信装置200ごとに設定した送信データを、対応する受信装置200へ一斉に送信する。
【0073】
コンテンツ再生システム1000では、送信装置100が、上記(1)の処理(距離測定処理)〜(3)の処理(送信処理)を行うことによって、送信データが受信装置200へ一斉に送信される。ここで、送信装置100は、上記(2)の処理(送信データ設定処理)において、上記(1)の処理(距離測定処理)において測定された距離に応じた遅延時間を加味した時間情報を受信装置200ごとに設定して、受信装置200ごとの送信データを設定する。また、受信装置200は、受信された送信データに含まれる時間情報が規定する時間に、当該送信データに含まれるコンテンツデータを再生する。よって、コンテンツ再生システム1000では、基準装置の位置においてコンテンツ再生システム1000の各装置から出力される音声に意図されないずれは発生しない。さらに、送信装置100は、コンテンツ再生システム1000の各装置から出力される音声に意図的なずれを生じさせることによって、マルチチャネルオーディオシステムのように擬似サラウンド効果を作りだすことが可能である。
【0074】
したがって、送信装置100が上記(1)の処理(距離測定処理)〜(3)の処理(送信処理)を行うことによって、コンテンツデータの再生に応じた音声を聴取するユーザに対してより適した聴取体験を提供することが可能な、コンテンツ再生システムが実現される。
【0075】
[データ送信アプローチに係る処理の具体例]
次に、コンテンツ再生システム1000における本発明の実施形態に係るデータ送信アプローチに係る処理について、より具体的に説明する。以下では、送信装置100が、音声データを送信データとして受信装置200A、200B、200Cへ送信する場合を例に挙げて説明する。
【0076】
図3は、本発明の実施形態に係るコンテンツ再生システム1000におけるデータ送信アプローチに係る処理の一例を示す説明図である。ここで、図3は、送信装置100を基準装置とし、コンテンツ再生システム1000の各装置から出力される音声を、送信装置100の位置において同期させる処理の一例を示している。
【0077】
送信装置100は、例えば操作部(後述する)に対して行われたユーザ操作に基づいて、各受信装置200に対して通信要求を送信する(S100A、S100B、S100C。以下、総称して「S100」と示す。)。ここで、ステップS100において送信装置100が送信する通信要求とは、例えば、送信データの送信対象の受信装置200を特定するために各受信装置200に応答を送信させる、一種の命令である。また、本発明の実施形態に係る通信要求は、送信装置100から各受信装置200へと送信される、コンテンツ再生システム1000へと参加させるための招待状と捉えることもできる。つまり、送信装置100がステップS100の処理を行い、各受信装置200が後述するステップS102の処理を行うことによって、図1に示すようなコンテンツ再生システム1000が形成される。
【0078】
ステップS100において送信装置100から送信された通信要求を受信した受信装置200は、通信要求に対する応答を送信装置100へ送信する(S102A、S102B、S102C。以下、総称して「S102」と示す。)。ステップS102において各受信装置200から送信された応答を受信することによって、送信装置100は、送信データの送信対象となる受信装置200を特定することができる。
【0079】
ステップS102において各受信装置200から送信された応答を受信して送信データの送信対象となる受信装置200を特定すると、送信装置100は、各受信装置200との間において一斉に送信データを送信するための同期処理を行う(S104A、S104B、S104C。以下、総称して「S104」と示す。)。ここで、本発明の実施形態に係る同期処理としては、例えば、送信装置100の内部時刻と、各受信装置200の内部時刻とを合わせる処理が挙げられる。より具体的には、ステップS104では、例えば、送信装置100が、自装置の内部時刻を示す情報を各受信装置200へ送信し、受信装置200が、自装置の内部時刻を、受信された内部時刻の情報が示す時刻に合わせる処理が行われる。また、コンテンツ再生システム1000では、送信装置100が、各受信装置200から送信される内部時刻を示す情報の送信要求に応じて、自装置の内部時刻を示す情報を送信してもよい。
【0080】
なお、図3では、コンテンツ再生システム1000においてステップS104の処理が、ステップS102の処理の後に行われる例を示しているが、当該例に限られない。例えば、コンテンツ再生システム1000では、ステップS104の処理を後述するステップS106の処理の後や、ステップS108の処理の後など、様々なタイミングで行われてもよい。また、図3では、コンテンツ再生システム1000においてステップS104の処理が1回行われる例を示しているが、当該例に限られない。例えば、コンテンツ再生システム1000では、ステップS104の処理を複数回行うこともできる。また、コンテンツ再生システム1000では、ステップS104の処理が、定期的に行われてもよい。
【0081】
送信装置100は、特定された送信対象となる受信装置200との間の距離を測定する(S106A、S106B、S106C。以下、総称して「S106」と示す。)。ここで、送信装置100は、例えば、受信装置200ごとに用いる符号系列を変更した測定信号を、受信装置200A、200B、200Cそれぞれに送信する。そして、送信装置100は、各受信装置200から送信された応答信号に基づいて、各受信装置200との間の距離を測定する。ここで、送信装置100は、上記(1)の処理(距離測定処理)において示した様々な方法を用いて、送信装置100と各受信装置200との間の距離(または、送信装置100と各受信装置200との間の距離および各受信装置200間の距離)を測定する。
【0082】
ステップS106において各受信装置200との間の距離が測定されると、送信装置100は、各受信装置200へ送信する送信データを、受信装置200ごとに設定する(S108)。より具体的には、送信装置100は、ステップS106において測定された距離に基づいて時間情報を受信装置200ごとに設定し、設定された時間情報と送信対象のコンテンツデータとを含む送信データを、受信装置200ごとに設定する。
【0083】
ここで、ステップS106において、例えば、送信装置100と受信装置200A、200B、200Cとの間の距離が、それぞれ20[m]、28.28[m]、20[m]であると測定された場合、音波の伝達時間(すなわち遅延時間)は、それぞれ約59[msec]、約83[msec]、約59[msec]となる。送信装置100は、上記測定された受信装置200との間の距離に応じた遅延時間を、オフセットとして、各受信装置200の時間情報を設定する。上記の場合、自装置がコンテンツデータの再生を行う時間を基準時間(時刻N)とするときには、送信装置100は、受信装置200A、200B、200Cそれぞれに設定する時間情報に、“N−59[msec]”、“N−83[msec]”、“N−59[msec]”をそれぞれ設定する。
【0084】
なお、送信装置100は、例えばステップS106において測定された受信装置200との間の距離に応じた遅延時間が、例えば30[msec]などの所定の値以下(または、所定の値より小さい)場合には、オフセットを0(ゼロ)としてもよい。送信装置100と受信装置200との間の距離が十分に近い場合には、遅延時間を0(ゼロ)としても、ユーザに不快感を与えてしまう可能性は低いからである。以下では、送信装置100が、ステップS106において、受信装置200A、200B、200Cそれぞれに設定する時間情報に“N−59[msec]”、“N−83[msec]”、“N−59[msec]”をそれぞれ設定した場合を例に挙げて説明する。
【0085】
ステップS108において送信データが設定されると、送信装置100は、受信装置200A、200B、200Cに対して、ステップS108において設定した対応する送信データを一斉に送信する(S110A、S110B、S110C。以下、総称して「S110」と示す。)。
【0086】
図4は、本発明の実施形態に係る送信装置100が送信する送信データのフォーマットの一例を示す説明図である。図4に示すように、送信装置100は、例えば、識別子と、長さの情報と、タイムスタンプ(時間情報)と、音声データ(コンテンツデータの一例)とを有する送信データを、ステップS110において送信する。ここで、識別子は、プロトコルを識別するための情報であり、長さの情報は、例えばタイムスタンプのデータ長を示す。なお、本発明の実施形態に係る送信装置100がステップS110において送信する送信データのフォーマットが図4に限られないことは、言うまでもない。
【0087】
ステップS110において送信装置100から送信された送信データを受信した受信装置200は、受信された送信データに含まれる時間情報が規定する時間に、当該送信データに含まれるコンテンツデータを再生する(S112A、S112B、S112C)。ここで、送信装置100は、ステップS108において、受信装置200A、200B、200Cそれぞれに設定する時間情報に、“N−59[msec]”、“N−83[msec]”、“N−59[msec]”をそれぞれ設定している。よって、受信装置200Bは、時刻N−83[msec]にコンテンツデータの再生を開始し、また、受信装置200Aおよび受信装置200Cは、時刻N−59[msec]にコンテンツデータの再生を開始することとなる。
【0088】
また、送信装置100は、基準時間として設定した時刻Nに、送信データに含まれる送信対象のコンテンツデータと同一のコンテンツを示すコンテンツデータを再生する(S114)。
【0089】
コンテンツ再生システム1000では、例えば図3に示す処理が行われる。ここで、送信装置100は、ステップS106において測定した各受信装置との間の距離に基づいて、各受信装置200へ送信する送信データを設定し、設定した送信データを対応する受信装置200へ一斉に送信する。つまり、送信装置100は、上記(1)の処理(距離測定処理)〜(3)の処理(送信処理)を行うことによって、送信データを受信装置200へ一斉に送信する。よって、例えば図3に示す処理が行われることによって、コンテンツ再生システム1000では、上述した本発明の実施形態に係るデータ送信アプローチに係る処理が実現される。
【0090】
したがって、例えば図3に示す処理が行われることによって、コンテンツデータの再生に応じた音声を聴取するユーザに対してより適した聴取体験を提供することが可能なコンテンツ再生システムが実現される。
【0091】
(本発明の実施形態に係るコンテンツ再生システム)
次に、上述した本発明の実施形態に係るデータ送信アプローチに係る処理を実現することが可能な、コンテンツ再生システム1000を構成する送信装置100、受信装置200の構成の一例について説明する。
【0092】
[送信装置100]
図5は、本発明の実施形態に係る送信装置100の構成の一例を示すブロック図である。送信装置100は、通信部102と、記憶部104と、制御部106と、操作部108と、表示部110と、音声出力部112とを備える。
【0093】
また、送信装置100は、例えば、ROM(Read Only Memory;図示せず)や、RAM(Random Access Memory;図示せず)などを備えてもよい。送信装置100は、例えば、データの伝送路としてのバス(bus)により各構成要素間を接続する。
【0094】
ここで、ROM(図示せず)は、制御部106が使用するプログラムや演算パラメータなどの制御用データを記憶する。RAM(図示せず)は、制御部106により実行されるプログラムなどを一次記憶する。また、RAM(図示せず)は、バッファとしての役目を果たすこともできる。
【0095】
〔送信装置100のハードウェア構成例〕
図6は、本発明の実施形態に係る送信装置100のハードウェア構成の一例を示す説明図である。図6を参照すると、送信装置100は、例えば、MPU150と、ROM152と、RAM154と、記録媒体156と、入出力インタフェース158と、操作入力デバイス160と、表示デバイス162と、通信インタフェース164と、DSP166と、音声出力デバイス168とを備える。また、送信装置100は、例えば、データの伝送路としてのバス170で各構成要素間を接続する。
【0096】
MPU150は、MPU(Micro Processing Unit)や、制御機能を実現するための複数の回路が集積された集積回路などで構成され、送信装置100全体を制御する制御部106として機能する。また、MPU150は、送信装置100において、後述する要求送信部120、同期処理部122、距離測定部124、送信データ設定部126、送信処理部128、および再生処理部130としての役目を果たすこともできる。
【0097】
ROM152は、MPU150が使用するプログラムや演算パラメータなどの制御用データなどを記憶する。RAM154は、例えば、MPU150により実行されるプログラムなどを一次記憶する。また、RAM154は、MPU150の処理結果などを一時的に記憶するバッファとしての役目を果たすこともできる。
【0098】
記録媒体156は、記憶部104として機能し、例えば、再生制御情報や、コンテンツデータ、アプリケーションなど、様々なデータを記憶する。ここで、記録媒体156としては、例えば、ハードディスクなどの磁気記録媒体や、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ(flash memory)、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、PRAM(Phase change Random Access Memory)などの不揮発性メモリ(nonvolatile memory)が挙げられる。また、送信装置100は、送信装置100から着脱可能な記録媒体156を備えることもできる。
【0099】
入出力インタフェース158は、例えば、操作入力デバイス160や、表示デバイス162を接続する。操作入力デバイス160は、操作部108として機能し、また、表示デバイス162は、表示部110として機能する。ここで、入出力インタフェース158としては、例えば、USB(Universal Serial Bus)端子や、DVI(Digital Visual Interface)端子、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)端子、各種処理回路などが挙げられる。また、操作入力デバイス160は、例えば、送信装置100上に備えられ、送信装置100の内部で入出力インタフェース158と接続される。操作入力デバイス160としては、例えば、ボタン、方向キー、ジョグダイヤルなどの回転型セレクター、あるいは、これらの組み合わせなどが挙げられる。また、表示デバイス162は、例えば、送信装置100上に備えられ、送信装置100の内部で入出力インタフェース158と接続される。表示デバイス162としては、例えば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display;LCD)や有機ELディスプレイ(organic ElectroLuminescence display。または、OLEDディスプレイ(Organic Light Emitting Diode display)ともよばれる。)などが挙げられる。なお、入出力インタフェース158が、送信装置100の外部装置としての操作入力デバイス(例えば、キーボードやマウスなど)や、表示デバイス(例えば、外部ディスプレイなど)と接続することもできることは、言うまでもない。また、表示デバイス162は、例えばタッチスクリーンなど、表示とユーザ操作とが可能なデバイスであってもよい。
【0100】
通信インタフェース164は、送信装置100が備える通信手段であり、ネットワークを介して(あるいは、直接的に)、受信装置200やサーバ(図示せず)などの外部装置と無線/有線で通信を行うための通信部102として機能する。ここで、通信インタフェース164としては、例えば、IEEE802.11gポートおよび送受信回路(無線通信)や、IEEE802.15.1ポートおよび送受信回路(無線通信)、通信アンテナおよびRF回路(無線通信)、あるいはLAN端子および送受信回路(有線通信)などが挙げられる。なお、送信装置100は、例えば、受信装置200と通信を行うための通信インタフェース、およびサーバ(図示せず)などの外部装置と通信を行うための通信インタフェースなど、複数の通信インタフェースを備えていてもよい。
【0101】
ここで、本発明の実施形態に係るネットワークとしては、例えば、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)などの有線ネットワーク、基地局を介した無線WAN(WWAN;Wireless Wide Area Network)や無線MAN(WMAN;Wireless Metropolitan Area Network)などの無線ネットワーク、あるいは、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)などの通信プロトコルを用いたインターネットなどが挙げられる。
【0102】
DSP166は、記憶媒体156に記憶されたコンテンツデータ、または通信インタフェース164が受信したコンテンツデータを再生する再生処理部130の役目を果たす。DSP166は、DSP(Digital Signal Processor)や各種処理回路で構成され、音声データを処理する。また、音声出力デバイス168は、音声データの応じた音声を出力する音声出力部112の役目を果たし、DSP166で処理された音声データに応じた音声を出力する。ここで、音声出力デバイスとしては、例えば、増幅器(アンプ)やスピーカなどが挙げられる。
【0103】
送信装置100は、例えば図6に示す構成によって、本発明の実施形態に係るデータ送信アプローチに係る処理を行う。なお、本発明の実施形態に係る送信装置100のハードウェア構成は、図6に示す構成に限られない。例えば、送信装置100は、再生処理部130の役目を果たし、映像データを処理する映像処理回路を備えることもできる。また、送信装置100が、再生処理部130や音声出力部112を備えない構成である場合、DSP166および音声出力デバイス168や、映像処理回路を備えない構成であってもよい。また、送信装置100は、例えば、送信データの送信対象の受信装置200それぞれとの距離を測定するための、距離測定用の専用モジュール(図示せず)を備えていてもよい。
【0104】
再度図5を参照して、送信装置100の構成要素について説明する。通信部102は、送信装置100が備える通信手段であり、ネットワークを介して(あるいは、直接的に)、受信装置200やサーバ(図示せず)などの外部装置と無線/有線で通信を行う。また、通信部102は、例えば、制御部106により通信が制御される。ここで、通信部102としては、例えば、IEEE802.11gポートおよび送受信回路(無線通信)や、LAN端子および送受信回路(有線通信)などが挙げられる。また、通信部102は、送信データの送信対象の受信装置200それぞれとの距離を測定するための、距離測定用の専用モジュールを有していてもよい。
【0105】
記憶部104は、送信装置100が備える記憶手段である。ここで、記憶部104としては、例えば、ハードディスクなどの磁気記録媒体や、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリなどが挙げられる。
【0106】
また、記憶部104は、例えば、再生制御情報や、コンテンツデータ、アプリケーションなど、様々なデータを記憶する。ここで、図5では、再生制御情報130と、コンテンツデータA132、…とが記憶部104に記憶されている例を示している。
【0107】
制御部106は、例えば、MPUや、各種処理回路が集積された集積回路などで構成され、送信装置100全体を制御する役目を果たす。また、制御部106は、要求送信部120と、同期処理部122と、距離測定部124と、送信データ設定部126と、送信処理部128と、再生処理部130とを備え、本発明の実施形態に係るデータ送信アプローチに係る処理を主導的に行う役目を果たす。
【0108】
要求送信部120は、例えば通信要求などの各種要求を生成し、生成した各種要求を通信部102に送信させる。
【0109】
同期処理部122は、図3のステップS104の処理(同期処理)を行う役目を果たす。より具体的には、同期処理部122は、例えば、自装置の内部時刻を示す情報を生成して、生成した自装置の内部時刻を示す情報を通信部102に送信させる。また、同期処理部122は、例えば、受信装置200から送信された内部時刻を示す情報の送信要求を通信部102が受信した場合には、当該送信要求に応じて、自装置の内部時刻を示す情報を、当該送信要求を送信した受信装置200に対して送信させる。
【0110】
距離測定部124は、上記(1)の処理(距離測定処理)を主導的に行う役目を果たす。より具体的には、距離測定部124は、例えば、通信部102に測定信号を送信させ、通信部102が受信した、送信した測定信号に応じて各受信装置200から送信された応答信号に基づいて、各受信装置200との間の通信の往復時間を測定する。そして、距離測定部124は、例えば、測定された往復時間と電波の速さとに基づいて直接的な距離を算出することによって、各受信装置200との間の距離を測定(推定)する。
【0111】
また、距離測定部124は、測定された各受信装置200との間の距離を示す情報を、送信データ設定部126へ伝達するが、距離測定部124における処理は、測定された当該距離を示す情報を送信データ設定部126へ伝達することに限られない。例えば、距離測定部124は、RAM154などに設定した上記距離を示す情報を記録してもよい。上記の場合には、送信データ設定部126が、RAM154に記憶された上記距離を示す情報を読み出して処理することとなる。
【0112】
送信データ設定部126は、上記(2)の処理(送信データ設定処理)を主導的に行う役目を果たす。より具体的には、送信データ設定部126は、基準時間を設定し、距離測定部124が測定した受信装置200それぞれとの間の距離に基づいて、距離に応じた遅延時間を加味した時間情報を受信装置200ごとに設定する。また、送信データ設定部126は、例えば操作部108から所定のユーザ操作に応じた操作信号が伝達されるた場合には、さらに再生制御情報130に基づく時間情報を設定する。そして、送信データ設定部126は、設定した時間情報と送信対象のコンテンツデータとを含む送信データを、受信装置200ごとに設定する。
【0113】
ここで、送信データ設定部126は、例えば、記憶部104に記憶されたコンテンツデータを、送信データに含めるコンテンツデータとして設定するが、送信データ設定部126が送信データに含めるコンテンツデータは、上記に限られない。例えば、送信データ設定部126は、サーバなどの外部装置に記憶されたコンテンツデータを通信部102を介して取得し、取得されたコンテンツデータを含む送信データを設定することができる。また、送信データ設定部126は、例えば、USBメモリや光ディスクなどの外部記録媒体に記憶されたコンテンツデータを含む送信データを設定してもよい。
【0114】
また、送信データ設定部126は、例えば操作部108から伝達されるユーザ操作に応じた所定の操作信号に基づいて、ユーザが指定するコンテンツデータを含む送信データを設定するが、送信データの設定方法は、上記に限られない。例えば、送信データ設定部126は、記憶部104に記憶されるコンテンツデータや外部記録媒体に記憶されるコンテンツデータ中から任意のコンテンツデータを選択し、選択したコンテンツデータを含む送信データを設定することもできる。
【0115】
また、送信データ設定部126は、例えば、設定した送信データを送信処理部128へ伝達するが、送信データ設定部126における処理は、設定した送信データを送信処理部128へ伝達することに限られない。例えば、送信データ設定部126は、RAM154などに設定した送信データを記録してもよい。上記の場合には、送信処理部128が、RAM154に記憶された送信データを読み出して処理することとなる。
【0116】
また、送信データ設定部126は、自装置が送信データに含まれる送信対象のコンテンツデータと同一のコンテンツを示すコンテンツデータの再生を開始する時間を設定する。ここで、送信データ設定部126は、設定した自装置がコンテンツデータの再生を開始する時間を示す情報を、再生処理部130へ伝達するが、送信データ設定部126における処理は、設定した当該時間の情報を再生処理部130へ伝達することに限られない。例えば、送信データ設定部126は、RAM154などに設定した上記時間の情報を記録してもよい。上記の場合には、再生処理部130が、RAM154に記憶された上記時間の情報を読み出して処理することとなる。
【0117】
送信処理部128は、上記(3)の処理(送信処理)を主導的に行う役目を果たす。より具体的には、送信処理部128は、送信データ設定部126が設定した受信装置200ごとの送信データを、対応する受信装置200へ一斉に送信させる。
【0118】
再生処理部130は、図3のステップS114の処理(再生処理)を行う役目を果たす。より具体的には、再生処理部130は、例えば、送信データ設定部126が設定した自装置がコンテンツデータの再生を開始する時間の情報に基づいて、当該時間の情報が示す時刻に所定のコンテンツデータの再生を開始する。
【0119】
制御部106は、例えば、要求送信部120、同期処理部122、距離測定部124、送信データ設定部126、送信処理部128、および再生処理部130を備えることによって、図3に示す送信装置100における処理が実現される。よって、制御部106は、例えば図5に示す構成によって、本発明の実施形態に係るデータ送信アプローチに係る処理を主導的に行う役目を果たすことができる。なお、本発明の実施形態に係る送信装置100が備える制御部106の構成は、図5に示す構成に限られない。例えば、本発明の実施形態に係る制御部106は、コンテンツデータを再生する再生処理部130を備えない構成であってもよい(例えば、送信装置100が、コンテンツデータの再生機能を有さない場合)。
【0120】
操作部108は、ユーザによる操作を可能とする送信装置100が備える操作手段である。送信装置100は、操作部108を備えることによって、ユーザ操作を可能とし、ユーザ操作に応じてユーザが所望する処理を行うことができる。ここで、操作部108としては、例えば、ボタン、方向キー、ジョグダイヤルなどの回転型セレクタ、あるいは、これらの組み合わせなどが挙げられる。
【0121】
表示部110は、送信装置100が備える表示手段であり、表示画面に様々な情報を表示する。表示部110の表示画面に表示される画面としては、例えば、所望する動作を送信装置100に対して行わせるための操作画面や、コンテンツデータの再生に応じたコンテンツ再生画面などが挙げられる。ここで、表示部110としては、例えば、LCDや有機ELディスプレイなどが挙げられる。また、送信装置100は、例えばタッチスクリーンで表示部110を構成することもできる。上記の場合には、表示部110は、ユーザ操作および表示の双方が可能な操作表示部として機能することとなる。
【0122】
音声出力部112は、再生処理部130が処理したコンテンツデータに応じた音声を出力する。音声出力部112としては、例えば、増幅器(アンプ)やスピーカなどが挙げられる。
【0123】
送信装置100は、例えば、図5に示す構成によって、本発明の実施形態に係るデータ送信アプローチに係る処理を実現することができる。したがって、送信装置100は、例えば図5に示す構成によって、コンテンツデータの再生に応じた音声を聴取するユーザに対してより適した聴取体験を提供することが可能なコンテンツ再生システムを実現させることができる。なお、本発明の実施形態に係る送信装置100の構成が、図5に示す構成に限られないことは、言うまでもない。
【0124】
[受信装置200]
図7は、本発明の実施形態に係る受信装置200の構成の一例を示すブロック図である。受信装置200は、通信部202と、記憶部204と、制御部206と、操作部208と、表示部210と、音声出力部212とを備える。
【0125】
また、受信装置200は、例えば、ROM(図示せず)や、RAM(図示せず)、記憶部(図示せず)などを備えてもよい。受信装置200は、例えば、データの伝送路としてのバスにより各構成要素間を接続する。
【0126】
ここで、ROM(図示せず)は、制御部が使用するプログラムや演算パラメータなどの制御用データを記憶する。RAM(図示せず)は、制御部により実行されるプログラムなどを一次記憶する。また、RAM(図示せず)は、バッファとしての役目を果たすこともできる。
【0127】
〔受信装置200のハードウェア構成例〕
受信装置200は、例えば、図6に示す送信装置100と同様のハードウェア構成を有する。上記構成をとる場合、受信装置200では、MPU150やDSP166が制御部206としての役目を果たし、記録媒体156が記憶部204としての役目を果たす。また、上記構成をとる場合、受信装置200では、操作入力デバイス160が操作部208の役目を果たし、表示デバイス162が表示部210の役目を果たす。また、上記構成をとる場合、受信装置200では、通信インタフェース164が通信部202としての役目を果たし、音声出力デバイス168が音声出力部212としての役目を果たす。なお、本発明の実施形態に係る受信装置200の構成が、図6に示す送信装置100と同様の構成に限られないことは、言うまでもない。
【0128】
通信部202は、受信装置200が備える通信手段であり、ネットワークを介して(あるいは、直接的に)、送信装置100やサーバ(図示せず)などの外部装置と無線/有線で通信を行う。また、通信部202は、例えば、制御部204により通信が制御される。ここで、通信部202としては、例えば、IEEE802.11gポートおよび送受信回路(無線通信)や、LAN端子および送受信回路(有線通信)などが挙げられる。
【0129】
記憶部204は、受信装置200が備える記憶手段であり、例えば、コンテンツデータやアプリケーションなど、様々なデータを記憶する。ここで、図7では、記憶部204にコンテンツデータB230、…が記憶されている例を示している。
【0130】
制御部206は、例えば、MPUや、各種処理回路が集積された集積回路などで構成され、受信装置200全体を制御する役目を果たす。また、制御部206は、通信制御部220と、再生処理部222とを備え、例えば図2の受信装置200に係る処理を主導的に行う。
【0131】
通信制御部220は、通信部202を制御し、送信装置100などの外部装置との通信に係る処理を主導的に行う役目を果たす。より具体的には、通信制御部220は、例えば、通信部202が送信装置100から送信された各種要求や測定信号などを受信した場合には、受信された当該各種要求や測定信号に応じた処理を行い、通信部202に当該各種要求に応じた応答を送信させる。
【0132】
また、通信制御部220は、例えば操作部208から伝達される所定のユーザ操作に応じた操作信号に基づいて、調整信号を通信部202に送信させる。ここで、調整信号の送信に係る上記所定のユーザ操作としては、例えば、“ユーザが、受信装置200が備える調整信号を送信させるための専用の操作デバイスを操作すること”が挙げられるが、上記所定のユーザ操作は、上記に限られない。例えば、通信制御部220は、ユーザが受信装置200の電源を有効な状態としたとき(例えば電源ボタンを押下したときなど)に、調整信号を通信部202に送信させてもよい。
【0133】
再生処理部222は、コンテンツデータを再生する役目を果たす。より具体的には、再生処理部222は、例えば、受信部202が受信した送信データに含まれる時間情報が規定する時間に、当該送信データに含まれるコンテンツデータを再生する。また、再生処理部222は、例えば操作部208から伝達されるユーザ操作に応じた操作信号に基づいて、記憶部204に記憶されたコンテンツデータを再生する。そして、再生処理部222は、例えば、処理結果に応じた映像を表示部210に表示させ、処理結果に応じた音声を音声出力部212に出力させる。
【0134】
制御部206は、通信制御部220、および再生処理部222を備えることによって、例えば図3の受信装置200に係る処理を主導的に行う役目を果たす。
【0135】
操作部208は、ユーザによる操作を可能とする受信装置200が備える操作手段である。受信装置200は、操作部208を備えることによって、ユーザ操作を可能とし、ユーザ操作に応じてユーザが所望する処理を行うことができる。ここで、操作部208としては、例えば、ボタン、方向キー、ジョグダイヤルなどの回転型セレクタ、あるいは、これらの組み合わせなどが挙げられる。また、受信装置200は、調整信号を送信させるための専用の操作デバイスを、操作部208として備えていてもよい。
【0136】
表示部210は、受信装置200が備える表示手段であり、表示画面に様々な情報を表示する。表示部210の表示画面に表示される画面としては、例えば、所望する動作を受信装置200に対して行わせるための操作画面や、再生処理部222が処理したコンテンツデータの再生に応じたコンテンツ再生画面などが挙げられる。ここで、表示部210としては、例えば、LCDや有機ELディスプレイなどが挙げられる。
【0137】
音声出力部212は、再生処理部222が処理したコンテンツデータに応じた音声を出力する。音声出力部212としては、例えば、増幅器(アンプ)やスピーカなどが挙げられる。
【0138】
受信装置200は、例えば、図7に示す構成によって、例えば図3の受信装置200に係る処理を行い、受信した送信データに含まれる時間情報が規定する時間に、当該送信データに含まれるコンテンツデータを再生することができる。
【0139】
なお、本発明の実施形態に係る受信装置200の構成は、図7に示す構成に限られない。例えば、本発明の実施形態に係る受信装置200は、図5に示す制御部106と同様の構成を備え、本発明の実施形態に係るデータ送信アプローチに係る処理を行うこともできる。つまり、本発明の実施形態に係る受信装置200は、本発明の実施形態に係る送信装置100としての機能を有していてもよい。また、本発明の実施形態に係る受信装置200は、例えば、受信された測定信号の電界強度に応じて送信装置100との間の距離を推定する距離推定部(図示せず)を備えていてもよい。
【0140】
以上のように、本発明の実施形態に係るコンテンツ再生システム1000は、送信装置100と、受信装置200とを有する。送信装置100は、上記(1)の処理(距離測定処理)〜(3)の処理(送信処理)を行うことによって、送信データを受信装置200へ一斉に送信する。ここで、送信装置100は、上記(2)の処理(送信データ設定処理)において、上記(1)の処理(距離測定処理)において測定された距離に応じた遅延時間を加味した時間情報を受信装置200ごとに設定して、受信装置200ごとの送信データを設定する。また、受信装置200は、受信された送信データに含まれる時間情報が規定する時間に、当該送信データに含まれるコンテンツデータを再生する。よって、コンテンツ再生システム1000では、基準装置の位置におけるコンテンツ再生システム1000の各装置から出力される音声の遅延によるずれ(意図されないずれ)の発生が、防止される。したがって、コンテンツ再生システム1000では、上記意図されないずれによりユーザに不快感を与えてしまう可能性を低減させることができる。また、コンテンツ再生システム1000では、ユーザが不快感を低減させるために音量調整などの特定の操作を行わなくても、当該不快感を低減させることが可能であるので、ユーザの利便性を損ねる恐れもない。さらに、送信装置100は、コンテンツ再生システム1000の各装置から出力される音声に意図的なずれを生じさせることによって、マルチチャネルオーディオシステムのように擬似サラウンド効果を作りだすことが可能である。
【0141】
したがって、送信装置100が上記(1)の処理(距離測定処理)〜(3)の処理(送信処理)を行うことによって、コンテンツデータの再生に応じた音声を聴取するユーザに対してより適した聴取体験を提供することが可能な、コンテンツ再生システムが実現される。
【0142】
以上、本発明の実施形態に係るコンテンツ再生システム1000を構成する構成要素として送信装置100を挙げて説明したが、本発明の実施形態は、かかる形態に限られない。本発明の実施形態は、例えば、PC(Personal Computer)やサーバ、PDA(Personal Digital Assistant)などのコンピュータ、携帯電話やPHS(Personal Handyphone System)などの携帯型通信装置、映像/音楽再生装置、映像/音楽記録再生装置、ゲーム機など、様々な機器に適用することができる。
【0143】
また、本発明の実施形態に係るコンテンツ再生システム1000を構成する構成要素として受信装置200を挙げて説明したが、本発明の実施形態は、かかる形態に限られない。本発明の実施形態は、例えば、PCなどのコンピュータ、携帯電話などの携帯型通信装置、映像/音楽再生装置、映像/音楽記録再生装置、ゲーム機など、様々な機器に適用することができる。
【0144】
(本発明の実施形態に係るプログラム)
コンピュータを、本発明の実施形態に係る送信装置として機能させるためのプログラムによって、測定された装置間の距離に応じた遅延時間を加味した時間情報を含む送信データを、送信対象の受信装置ごとに設定して、設定した送信データを対応する受信装置へ送信させることができる。よって、コンピュータを、本発明の実施形態に係る送信装置として機能させるためのプログラムが用いられることによって、コンテンツデータの再生に応じた音声を聴取するユーザに対してより適した聴取体験を提供することが可能な、コンテンツ再生システムが実現される。
【0145】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0146】
例えば、図5では、送信装置100が、要求送信部120、同期処理部122、距離測定部124、送信データ設定部126、送信処理部128、および再生処理部130を個別に備える(例えば、それぞれを個別の処理回路で実現する)こともできる。
【0147】
また、上記では、コンピュータを、本発明の実施形態に係る送信装置として機能させるためのプログラム(コンピュータプログラム)が提供されることを示したが、本発明の実施形態は、さらに、上記プログラムを記憶させた記憶媒体も併せて提供することができる。
【0148】
上述した構成は、本発明の実施形態の一例を示すものであり、当然に、本発明の技術的範囲に属するものである。
【符号の説明】
【0149】
100 送信装置
102、202 通信部
104、204 記憶部
106、206 制御部
108、208 操作部
110、210 表示部
112、212 音声出力部
120 要求送信部
122 同期処理部
124 距離測定部
126 送信データ設定部
128 送信処理部
130 再生処理部
200、200A、200B、200C 受信装置
220 通信制御部
222 再生処理部
1000 コンテンツ再生システム



【特許請求の範囲】
【請求項1】
1、または2以上の受信装置と通信を行う通信部と;
前記受信装置それぞれとの間の直接的な距離を測定する距離測定部と;
測定された前記受信装置それぞれとの間の距離に基づいて、音声が含まれる送信対象のコンテンツデータと前記コンテンツデータの再生を開始する時間を示す時間情報とを含む送信データを、前記距離が測定された受信装置ごとに設定する送信データ設定部と;
前記送信データ設定部が設定した送信データを、対応する送信対象の受信装置へ一斉に送信させる送信処理部と;
を備え、
前記送信データ設定部は、
自装置が前記コンテンツデータの再生を開始する時間を基準時間として設定し、
設定された前記基準時間を基準として、自装置において再生される前記コンテンツデータが示す音声と、前記受信装置において再生される前記コンテンツデータが示す音声とを同期させる前記時間情報を受信装置ごとに設定する、送信装置。
【請求項2】
前記コンテンツデータの再生を開始する時間の基準となる装置を変更させるための調整信号を前記通信部が受信した場合、
前記送信データ設定部は、
前記調整信号を送信した前記受信装置が前記コンテンツデータの再生を開始する時間を基準時間として設定し、
前記調整信号に基づいて設定された前記基準時間を基準として、自装置が前記コンテンツデータの再生を開始する時間と、受信装置ごとの前記時間情報を設定する、請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
前記基準時間および前記コンテンツデータの再生を開始する時間との間の時間間隔を調整する調整時間を受信装置との間の直接的な距離と対応付けて規定する、少なくとも1以上の再生制御情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記送信データ設定部は、測定された前記受信装置それぞれとの間の距離と選択された再生制御情報とに基づく調整時間を反映させて前記時間情報を設定する、請求項1、または2のいずれか1項に記載の送信装置。
【請求項4】
前記距離測定部は、
前記距離を測定するための測定信号を各受信装置に対して送信させ、
前記測定信号を送信した時間と前記測定信号を受信した受信装置から送信される応答信号を受信した時間との時間間隔に基づいて、前記距離を測定する、請求項1、または2のいずれか1項に記載の送信装置。
【請求項5】
前記距離測定部は、
前記距離を測定するための測定信号を各受信装置に対して送信させ、
前記測定信号を送信した時間と、前記測定信号を受信した受信装置から送信される応答信号に含まれる、前記受信装置において前記測定信号が受信された時間の情報が示す時間との時間間隔に基づいて、前記距離を測定する、請求項1、または2のいずれか1項に記載の送信装置。
【請求項6】
前記送信データ設定において設定された自装置が前記コンテンツデータの再生を開始する時間に基づいて、前記コンテンツデータの再生させる再生処理部をさらに備える、請求項1、または2のいずれか1項に記載の送信装置。
【請求項7】
音声が含まれる送信対象のコンテンツデータと前記コンテンツデータの再生を開始する時間を示す時間情報とを含む送信データを送信する送信装置と、前記送信データの送信対象の受信装置それぞれとの間の直接的な距離を測定するステップと;
前記測定するステップにおいて測定された前記受信装置それぞれとの間の距離に基づいて前記時間情報が設定された送信データを、送信対象の受信装置ごとに設定するステップと;
前記設定するステップにおいて設定された送信データを、対応する送信対象の受信装置へ一斉に送信するステップと;
を有し、
前記設定するステップでは、
前記送信装置が前記コンテンツデータの再生を開始する時間が、基準時間として設定され、
設定された前記基準時間を基準として、前記送信装置において再生される前記コンテンツデータが示す音声と、前記受信装置において再生される前記コンテンツデータが示す音声とを同期させる前記時間情報が、送信対象の前記受信装置ごとに設定される、送信方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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