送出装置、クロック対応情報配信装置、コンテンツ提供システム及びプログラム
【課題】複数のコンテンツデータを異なる伝送経路によって配信する場合に、同期して提示すべきそれらコンテンツデータのフレームに同じ提示時刻を付加する。
【解決手段】送出装置3aは、制作装置1aから受信したコンテンツデータのフレームにシステムクロックを用いてタイムスタンプを付加し、受信機7に配信する。送出装置3aは、制作装置1aがフレームに付加した絶対時刻と、自装置が当該フレームに付加したタイムスタンプとを示す対応情報をクロック対応情報配信サーバ5に登録する。送出装置3bは、クロック対応情報配信サーバ5から対応情報を取得する。送出装置3bは、制作装置1bから受信したコンテンツデータのフレームに、制作装置1bが当該フレームに付加した絶対時刻と対応情報が示す絶対時刻との差分の時間を、対応情報が示すタイムスタンプの時刻に加算した時刻を算出し、算出した時刻のタイムスタンプを付加して受信機7に配信する。
【解決手段】送出装置3aは、制作装置1aから受信したコンテンツデータのフレームにシステムクロックを用いてタイムスタンプを付加し、受信機7に配信する。送出装置3aは、制作装置1aがフレームに付加した絶対時刻と、自装置が当該フレームに付加したタイムスタンプとを示す対応情報をクロック対応情報配信サーバ5に登録する。送出装置3bは、クロック対応情報配信サーバ5から対応情報を取得する。送出装置3bは、制作装置1bから受信したコンテンツデータのフレームに、制作装置1bが当該フレームに付加した絶対時刻と対応情報が示す絶対時刻との差分の時間を、対応情報が示すタイムスタンプの時刻に加算した時刻を算出し、算出した時刻のタイムスタンプを付加して受信機7に配信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送出装置、クロック対応情報配信装置、コンテンツ提供システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、放送と通信を連携したサービスの実現に向けた研究開発が行われている。例えば、非特許文献1には、マルチメディアコンテンツを構成する映像・音声・字幕などの複数のコンポーネントを放送と通信のように異なる複数の経路によって配信し、これらコンポーネントの受信点の装置である提示同期対応の受信機において、配信されたコンポーネントを同期させて提示することが記載されている。
【0003】
図13は、従来のコンテンツ提供システムの例を示す。カメラやマイクなどの第1制作装置及び第2制作装置は、同時に提示すべきコンテンツのコンポーネントを同時に制作している。第1送出装置は第1制作装置が制作したコンポーネントを放送により受信機に配信し、第2送出装置は第2制作装置が制作したコンポーネントを通信により受信機に配信している。
【0004】
しかし、各コンポーネントは伝送経路が違うため、映像・音声フレームなどの配信単位である配信ユニットのパケットが受信機に到達するまでに要する時間は異なる。例えば、第1制作装置から第1送出装置までの伝送時間t11と、第1送出装置から受信機までの伝送時間t12との合計の伝送時間は、第2制作装置から送出装置までの伝送時間t21と、第2送出装置から受信機までの伝送時間t22との合計の伝送時間とは異なる(t11+t12≠t21+t22)。
【0005】
そこで、受信機においてコンポーネント間の再生タイミングを同期させるために、コンテンツ提供システム全体で共通なシステムクロックを有し、第1送出装置及び第2送出装置は、システムクロックを基準として、コンポーネントの配信ユニットに提示時刻情報(PTS:Presentation Time Stamp)と呼ばれるタイムスタンプを付加する。タイムスタンプは、受信機において、配信ユニットのフレームが提示(映像表示や音声出力)されるべき時刻を示している。受信機は、異なる伝送経路によって受信した配信ユニットをバッファリングし、それらの配信ユニットに付加されているタイムスタンプの値に基づき、タイミングを同期させてフレームを提示する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】松村 欣司ほか,「インターネット配信情報との連動による放送番組パーソナライズシステムの検討」,映像情報メディア学会年次大会予稿集,3−8,2009年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来のコンテンツ提供システムのように複数の伝送経路それぞれに送出装置がある場合、各伝送経路により配信されたコンポーネントの配信ユニットを受信機において同期して提示することができるように、タイムスタンプの付加に用いるシステムクロックを送出装置間で共有している。一般的には、放送のような主となる伝送経路の送出装置がマスタークロックを持ち、他の伝送経路の送出装置のクロックをマスタークロックと同期させる。
【0008】
しかし、送出装置それぞれが離れた場所に位置しているような状況では、直接的な同期信号線の接続ではクロックを共有することができない。このような離れた2点間の装置の内部クロックを同期するための既存の手法として、IP(Internet Protocol)回線を介して装置間の時刻同期を行うNTP(Network Time Protocol)プロトコル(RFC(Request for Comments)1129/1305)がある。このNTPプロトコルと同等の手法を用いることによって、2つの送出装置のクロックを同期させることが可能である。
【0009】
ところが、現実には、タイムスタンプを付加する送出装置は制作から送出までの経路の途中に位置する場合が殆どである。一般的に送出装置は大規模な装置であり、スタジオや中継先で稼働させることは困難である。これは、制作装置と送出装置とは物理的に距離が離れていることを意味している。この場合、実際にカメラやマイクなどの制作装置でコンテンツを取得してから送出装置でタイムスタンプを付加するまでに要する時間も経路ごとに異なる(t11≠t21)。従って、複数の制作装置で同じ時刻に取得されたマルチメディアコンテンツのストリームを同じ時刻に受信機で再生させるためには、複数の送出装置間でクロックの時刻同期をとるだけでは不十分である。
【0010】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、複数のコンテンツデータを異なる伝送経路によって受信機に配信する場合に、同期して提示すべきそれらコンテンツデータのフレームに同じ提示時刻を付加するための送出装置、クロック対応情報配信装置、コンテンツ提供システム及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[1] 本発明の一態様は、現在時刻を出力するシステムクロックと、コンテンツデータを受信する受信部と、前記受信部が受信した前記コンテンツデータのフレームに付加されている絶対時刻情報を取得する絶対時刻取得部と、前記システムクロックに基づくタイムスタンプ情報を前記フレームに付加するタイムスタンプ付加部と、前記タイムスタンプ付加部が前記タイムスタンプ情報を付加した前記フレームを受信機に配信する送出部と、前記絶対時刻取得部が取得した前記絶対時刻情報と、前記タイムスタンプ付加部が付加した前記タイムスタンプ情報とを対応付けて出力する対応情報出力部と、を備えることを特徴とする送出装置である。
この態様によれば、送出装置は、コンテンツデータのフレームに、システムクロックに基づいてタイムスタンプ情報を付加し、受信機に配信する。さらに送出装置は、自装置が配信するコンテンツデータのフレームと同時に受信機において提示されるべき他のコンテンツデータのフレームに、他の装置において、自装置が付与するタイムスタンプ情報と同じ時刻のタイムスタンプ情報を付加するために必要な情報を出力する。この情報は、コンテンツデータのフレームが生成あるいは取得されたときの絶対時刻と、システムクロックの出力に基づいてこのフレームに付加したタイムスタンプ情報との対応付けを示す。
これにより、システムクロックを有する送出装置と、システムクロックを有していない送出装置とが、異なる伝送経路によって受信機にコンテンツデータを配信する場合に、それらの送出装置において、同じ絶対時刻情報が付加されているコンテンツデータのフレームに、同じ時刻を示すタイムスタンプ情報を付加することができる。よって、受信機に、同じ時刻に生成された複数のコンテンツデータを同期して同時に提示させることができる。
【0012】
[2] 本発明の一態様は、コンテンツデータのフレームに付加された第1の絶対時刻情報と、前記フレームに付加した第1のタイムスタンプ情報とを対応付けて受信する対応情報取得部と、コンテンツデータを受信する受信部と、前記受信部が受信した前記コンテンツデータのフレームに付加されている第2の絶対時刻情報を取得する絶対時刻取得部と、前記絶対時刻取得部において取得した前記第2の絶対時刻情報が示す時刻と前記対応情報取得部が取得した前記第1の絶対時刻情報が示す時刻との差分を、前記第1のタイムスタンプ情報が示す時刻に加算した時刻を算出するシステムクロック算出部と、前記システムクロック算出部が算出した前記時刻を示す第2のタイムスタンプ情報を、前記絶対時刻取得部が前記第2の絶対時刻情報を取得した前記フレームに付加するタイムスタンプ付加部と、前記タイムスタンプ付加部によって前記第2のタイムスタンプ情報が付加された前記フレームを受信機に配信する送出部と、を備えることを特徴とする送出装置である。
この態様によれば、送出装置は、コンテンツデータのフレームが生成あるいは取得されたときの絶対時刻を示す第1の絶対時刻情報と、システムクロックを有する送出装置がシステムクロックの出力に基づいてこのフレームに付加した第1のタイムスタンプ情報との対応付けを取得する。送出装置は、コンテンツデータのフレームに、当該フレームに付加されている第2の絶対時刻情報が示す時刻と第1の絶対時刻情報が示す時刻との差分を、第1のタイムスタンプ情報が示す時刻に加算した時刻の第2のタイムスタンプ情報を付加して、受信機に配信する。
これにより、システムクロックを有する送出装置と、システムクロックを有していない送出装置とが、異なる伝送経路によって受信機にコンテンツデータを配信する場合に、それらの送出装置において、同じ絶対時刻情報が付加されているコンテンツデータのフレームに、同じ時刻を示すタイムスタンプ情報を付加することができる。よって、受信機に、同じ時刻に生成された複数のコンテンツデータを同期して同時に提示させることができる。
【0013】
[3] 本発明の一態様は、コンテンツデータのフレームに付加される絶対時刻情報と、前記フレームに関するタイムスタンプ情報とを対応付けて記憶する対応情報保持部と、[1]に記載の送出装置から受信した前記絶対時刻情報と前記タイムスタンプ情報とを対応付けて前記対応情報保持部に書き込む対応情報登録受付処理部と、[2]に記載の送信装置に対して、前記対応情報保持部から読み出した前記絶対時刻情報と前記タイムスタンプ情報とを対応付けて送信する対応情報配信処理部と、を備えることを特徴とするクロック対応情報配信装置である。
この態様によれば、クロック対応情報配信装置は、コンテンツデータのフレームが生成あるいは取得されたときの絶対時刻を示す絶対時刻情報と、システムクロックを有する送出装置がシステムクロックの出力に基づいてこのフレームに付加したタイムスタンプ情報との対応付けを受信し、記憶する。クロック対応情報配信装置は、システムクロックを有する送出装置が配信するコンテンツデータと同期して表示すべき他のコンテンツデータのフレームにタイムスタンプ情報を付加する送信装置に、対応付けて記憶している絶対時刻情報とタイムスタンプ情報とを配信する。
これにより、複数の伝送経路によって受信機にコンテンツデータを配信する場合に、クロック対応情報配信装置は、システムクロックを有しない送信装置において、システムクロックを有する送出装置がコンテンツデータのフレームに付加したタイムスタンプ情報と同じ時刻のタイムスタンプ情報を、そのフレームと同期して提示すべき他のコンテンツデータのフレームに付与するために必要な情報を提供することができる。
【0014】
[4] 本発明の一態様は、クロック対応情報配信装置と複数の送出装置とを備えるコンテンツ提供システムであって、現在時刻を出力するシステムクロックを有する前記送出装置が、コンテンツデータを受信する第一受信部と、前記第一受信部が受信した前記コンテンツデータのフレームに付加されている第1の絶対時刻情報を取得する第一絶対時刻取得部と、前記システムクロックに基づく第1のタイムスタンプ情報を前記フレームに付加する第一タイムスタンプ付加部と、前記第一タイムスタンプ付加部が前記第1のタイムスタンプ情報を付加した前記フレームを受信機に配信する第一送出部と、前記第一絶対時刻取得部が取得した前記第1の絶対時刻情報と、前記第一タイムスタンプ付加部が付加した前記第1のタイムスタンプ情報とを対応付けて出力する対応情報出力部と、を備え、前記クロック対応情報配信装置は、前記第1の絶対時刻情報と前記第1のタイムスタンプ情報とを対応付けて記憶する対応情報保持部と、システムクロックを有する前記送出装置から受信した前記第1の絶対時刻情報と前記第1のタイムスタンプ情報とを対応付けて前記対応情報保持部に書き込む対応情報登録受付処理部と、システムクロックを有する前記送出装置とは異なる前記送出装置に対して、前記対応情報保持部から読み出した前記第1の絶対時刻情報と前記第1のタイムスタンプ情報とを対応付けて送信する対応情報配信処理部と、を備え、前記異なる送出装置は、前記第1の絶対時刻情報と前記第1のタイムスタンプ情報とを対応付けて、前記クロック対応情報配信装置から受信する対応情報取得部と、コンテンツデータを受信する第二受信部と、前記第二受信部が受信した前記コンテンツデータのフレームに付加されている第2の絶対時刻情報を取得する第二絶対時刻取得部と、前記第二絶対時刻取得部において取得した前記第2の絶対時刻情報が示す時刻と前記対応情報取得部が取得した前記第1の絶対時刻情報が示す時刻との差分を、前記第1のタイムスタンプ情報が示す時刻に加算した時刻を算出するシステムクロック算出部と、前記システムクロック算出部が算出した前記時刻を示す第2のタイムスタンプ情報を、前記第二絶対時刻取得部が前記第2の絶対時刻情報を取得した前記フレームに付加する第二タイムスタンプ付加部と、前記第二タイムスタンプ付加部によって前記第2のタイムスタンプ情報が付加された前記フレームを受信機に配信する第二送出部と、を備える、ことを特徴とするコンテンツ提供システムである。
この態様によれば、システムクロックを有する送出装置は、自装置が受信したコンテンツデータのフレームに、システムクロックに基づいて第1のタイムスタンプ情報を付加し、受信機に配信する。さらにシステムクロックを有する送出装置は、コンテンツデータのフレームに付加されていた第1の絶対時刻情報と、システムクロックの出力に基づいてこのフレームに付加した第1のタイムスタンプ情報との対応付けをクロック対応情報配信装置に登録する。
システムクロックを有していない送出装置は、クロック対応情報配信装置から第1の絶対時刻情報と第1のタイムスタンプ情報を対応付けて取得する。システムクロックを有していない送出装置は、自装置が受信したコンテンツデータのフレームに、当該フレームに付加されている第2の絶対時刻情報が示す時刻と第1の絶対時刻情報が示す時刻との差分を、第1のタイムスタンプ情報が示す時刻に加算した時刻の第2のタイムスタンプ情報を付加して、受信機に配信する。
これにより、システムクロックを有する送出装置と、システムクロックを有していない送出装置とが、異なる伝送経路によって受信機にコンテンツデータを配信する場合に、それらの送出装置において、同じ絶対時刻情報が付加されているコンテンツデータのフレームに、同じ提示時刻を示すタイムスタンプ情報を付加することができる。よって、受信機に、同じ時刻に生成された複数のコンテンツデータを同期して同時に提示させることができる。
【0015】
[5] 本発明の一態様は、システムクロックを有する送出装置に用いられるコンピュータを、 コンテンツデータを受信する受信部、前記受信部が受信した前記コンテンツデータのフレームに付加されている絶対時刻情報を取得する絶対時刻取得部、前記システムクロックに基づくタイムスタンプ情報を前記フレームに付加するタイムスタンプ付加部、前記タイムスタンプ付加部が前記タイムスタンプ情報を付加した前記フレームを受信機に配信する送出部、前記絶対時刻取得部が取得した前記絶対時刻情報と、前記タイムスタンプ付加部が付加した前記タイムスタンプ情報とを対応付けて出力する対応情報出力部、として機能させることを特徴とするプログラムである。
【0016】
[6] 本発明の一態様は、送出装置に用いられるコンピュータを、コンテンツデータのフレームに付加された第1の絶対時刻情報と、前記フレームに付加した第1のタイムスタンプ情報とを対応付けて受信する対応情報取得部、コンテンツデータを受信する受信部、前記受信部が受信した前記コンテンツデータのフレームに付加されている第2の絶対時刻情報を取得する絶対時刻取得部、前記絶対時刻取得部において取得した前記第2の絶対時刻情報が示す時刻と前記対応情報取得部が取得した前記第1の絶対時刻情報が示す時刻との差分を、前記第1のタイムスタンプ情報が示す時刻に加算した時刻を算出するシステムクロック算出部、前記システムクロック算出部が算出した前記時刻を示す第2のタイムスタンプ情報を、前記絶対時刻取得部が前記第2の絶対時刻情報を取得した前記フレームに付加するタイムスタンプ付加部、前記タイムスタンプ付加部によって前記第2のタイムスタンプ情報が付加された前記フレームを受信機に配信する送出部、として機能させることを特徴とするプログラムである。
【0017】
[7] 本発明の一態様は、クロック対応情報配信装置に用いられるコンピュータを、コンテンツデータのフレームに付加される絶対時刻情報と、前記フレームに関するタイムスタンプ情報とを対応付けて記憶する対応情報保持部、[1]に記載の送出装置から受信した前記絶対時刻情報と前記タイムスタンプ情報とを対応付けて前記対応情報保持部に書き込む対応情報登録受付処理部、[2]に記載の送信装置に対して、前記対応情報保持部から読み出した前記絶対時刻情報と前記タイムスタンプ情報とを対応付けて送信する対応情報配信処理部、として機能させることを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数のコンテンツデータを異なる伝送経路によって受信機に配信する場合に、同期して提示すべきそれらコンテンツデータのフレームに同じ提示時刻を付加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第一の実施形態によるコンテンツ提供システムの全体構成図である。
【図2】同実施形態による送出装置3aの機能ブロック図である。
【図3】同実施形態による送出装置3bの機能ブロック図である。
【図4】同実施形態によるクロック対応情報配信サーバ5の機能ブロック図である。
【図5】同実施形態による受信機7の機能ブロック図である。
【図6】同実施形態による主伝送経路による配信ユニット伝送処理の処理フローを示す図である。
【図7】同実施形態による対応情報登録処理の処理フローを示す図である。
【図8】同実施形態による対応情報配信処理の処理フローを示す図である。
【図9】同実施形態による副伝送経路による配信ユニット伝送処理の処理フローを示す図である。
【図10】本発明の第二の実施形態によるコンテンツ提供システムの全体構成図である。
【図11】同実施形態による制作装置1cの機能ブロック図である。
【図12】同実施形態による送出装置3cの機能ブロック図である。
【図13】従来のコンテンツ提供システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態によるコンテンツ提供システムの全体構成図である。本実施形態のコンテンツ提供システムは、m(mは2以上の整数)台の制作装置1と、n(nは2以上の整数)台の送出装置3と、クロック対応情報配信サーバ5と、受信機7とを備えて構成される。コンテンツ提供システムは、受信機7にコンテンツデータを配信する伝送経路をn経路有しており、各伝送経路に送出装置3が設置される。同図においては、n=m=2の場合を示している。伝送経路の1つは主伝送経路であり、他は副伝送経路である。主伝送経路に備えられた送出装置3を送出装置3a、副伝送経路に備えられた送出装置3を送出装置3bと記載し、送出装置3aと接続される制作装置1を制作装置1a、送出装置3bと接続される制作装置1を制作装置1bと記載する。また、同図においては受信機7を1台のみ代表して示しているが、現実には複数台の受信機7が設けられる。
【0021】
制作装置1は、カメラやマイクなどであり、マルチメディアコンテンツのコンポーネントであるコンテンツデータを生成する。各制作装置1は、生成したコンテンツデータをいずれかの送出装置3に伝送する。本実施形態では、制作装置1aは、コンテンツデータを送出装置3aに伝送し、制作装置1bは、コンテンツデータを送出装置3bに伝送する。各送出装置3は、制作装置1から受信したコンテンツデータのフレームにタイムスタンプを付加した配信ユニットを受信機7に配信する。フレームとは、映像フレームや音声フレームなどのタイムスタンプを付加する単位であり、配信ユニットとは、フレームを配信する単位である。受信機7は、送出装置3a、送出装置3bからそれぞれ異なる伝送経路により配信された配信ユニットを受信してバッファリングし、バッファリングした映像フレームや音声フレームなどのフレームを、そのフレームの配信ユニットに付加されているタイムスタンプの値に基づき同期させて提示する。
【0022】
送出装置3aは、放送局の放送設備であり、放送によりコンテンツデータの配信ユニットを伝送する。送出装置3aは、配信ユニットに付加するタイムスタンプの基準となるマスタークロックであるシステムクロックを備える。送出装置3bは、サーバコンピュータなどであり、IP(Internet Protocol)網などの通信ネットワークを経由してコンテンツデータの配信ユニットを伝送する。このように、主伝送経路には、システムクロックを有する送出装置3aが備えられ、副伝送経路には、システムクロックを有していない送出装置3bが備えられる。
【0023】
送出装置3と、クロック対応情報配信サーバ5とは、IP回線により接続される。クロック対応情報配信サーバ5は、UTC(Coordinated Universal Time:協定世界時)などの絶対時刻と、システムクロックに基づいたタイムスタンプとの対応を示す対応情報を送出装置3aから受信して保持し、マスタークロックを保有しない送出装置3bにこの対応情報を配信する。
【0024】
対応情報は、以下のようにしてクロック対応情報配信サーバ5に登録される。制作装置1aは、コンテンツデータを取得した時に、コンテンツデータのフレームに絶対時刻を付加し、送出装置3aに伝送する。送出装置3aは、制作装置1aから受信したフレームにシステムクロックを用いてタイムスタンプを付加し、配信ユニットを生成する。送出装置3aは、制作装置1aがフレームに付加した絶対時刻と、自装置においてこのフレームにシステムクロックを用いて付加したタイムスタンプとの組みを示す対応情報を生成し、生成した対応情報をクロック対応情報配信サーバ5に登録する。
【0025】
制作装置1aと同様に、制作装置1bは、コンテンツデータを取得した時に、コンテンツデータのフレームに絶対時刻を付加し、送出装置3bに伝送する。送出装置3bは、クロック対応情報配信サーバ5から取得した対応情報と、制作装置1bから受信したフレームに付加されている絶対時刻とを用いて、そのフレームにタイムスタンプを付加する。付加するタイムスタンプは、フレームに付加されている絶対時刻と対応情報が示す絶対時刻との差分の時間を、対応情報が示すタイムスタンプの時刻に加算した時刻を示す。
なお、実際には、タイムスタンプに、時刻を示す情報として、システムクロックのクロックカウンタ値が設定される。システムクロックは絶対時刻に対してリニアに増加する値であるため、対応情報の登録を一度行えば、当分の時間は再度登録の必要はない。
【0026】
図2は、送出装置3aの構成を示すブロック図である。送出装置3aは、例えば、一般的なデジタル放送用の放送設備であり、デジタル放送において従来から用いられているデジタル放送信号を伝送する。同図に示すように、送出装置3aは、システムクロック保持部31、ストリーム受信部32(受信部、第一受信部)、配信ユニット抽出部33、絶対時刻取得部34(第一絶対時刻取得部)、エンコード部35、タイムスタンプ付加部36(第一タイムスタンプ付加部)、フォーマット変換部37、ストリーム送出部38(送出部、第一送出部)及び対応情報登録部39(対応情報出力部)を備えて構成される。
【0027】
システムクロック保持部31は、システムクロックを備え、システムクロックのクロック値(システムクロック値)を出力する。クロック値は、現在の時刻を示す。ストリーム受信部32は、コンテンツデータのストリームを受信する。配信ユニット抽出部33は、ストリーム受信部32が受信したコンテンツデータのストリームから映像フレームや音声フレームなどのフレームが設定されている配信ユニットを抽出する。絶対時刻取得部34は、配信ユニット抽出部33が抽出した配信ユニットからフレームに付加されている絶対時刻情報(第1の絶対時刻情報)を取得する。エンコード部35は、エンコーダであり、配信ユニット抽出部33が抽出した配信ユニット内のフレームをエンコードし、符号化フレームを生成する。
【0028】
タイムスタンプ付加部36は、エンコード部35が生成した符号化フレームに、システムクロック保持部31から出力されたクロック値に基づくタイムスタンプ情報(第1のタイムスタンプ情報)を付加し、配信ユニットを生成する。タイムスタンプ付加部36は、例えば、多重化装置(マルチプレクサ(MUX))であり、生成した配信ユニットを多重してフォーマット変換部37に出力する。
【0029】
フォーマット変換部37は、タイムスタンプ付加部36が生成した配信ユニットを受信機7との間の伝送経路に応じたフォーマットに変換する。ストリーム送出部38は、フォーマット変換部37によりフォーマット変換された配信ユニットを放送信号により受信機7に伝送する。
【0030】
対応情報登録部39は、フレームに付加されていた絶対時刻情報と、このフレームから生成された符号化フレームにタイムスタンプ付加部36が付加したタイムスタンプ情報との組みから対応情報を生成し、クロック対応情報配信サーバ5に登録する。
【0031】
図3は、送出装置3bの構成を示すブロック図である。同図において、図2に示す送出装置3aと同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。同図に示すように、送出装置3bは、クロック保持部41、対応情報取得部42、ストリーム受信部32(受信部、第二受信部)、配信ユニット抽出部33、絶対時刻取得部34b(第二絶対時刻取得部)、エンコード部35、システムクロック算出部43、タイムスタンプ付加部36b(第二タイムスタンプ付加部)、フォーマット変換部37b及びストリーム送出部38b(送出部、第二送出部)を備えて構成される。
【0032】
クロック保持部41は、クロックを備え、このクロックのクロック値を出力する。クロック保持部41が保持するクロックは、システムクロックと同期されていなくともよい。対応情報取得部42は、クロック対応情報配信サーバ5から最新の対応情報を取得する。
【0033】
絶対時刻取得部34bは、フレームに付加された絶対時刻情報(第2の絶対時刻情報)を取得する。システムクロック算出部43は、絶対時刻取得部34bが取得した絶対時刻情報と、対応情報取得部42が取得した対応情報とを用いて、このフレームに付加するタイムスタンプ情報に設定すべきシステムクロックのクロック値を算出する。タイムスタンプ付加部36bは、エンコード部35がエンコードしたフレームに、システムクロック算出部43が算出したシステムクロック値に基づくタイムスタンプ情報(第2のタイムスタンプ情報)を付加し、配信ユニットを生成する。タイムスタンプ付加部36bは、例えば、多重化装置であり、生成した配信ユニットを多重してフォーマット変換部37bに出力する。
【0034】
フォーマット変換部37bは、タイムスタンプ付加部36bが生成した配信ユニットを受信機7との間の伝送経路に応じたフォーマットに変換する。ストリーム送出部38bは、フォーマット変換部37bによりフォーマット変換された配信ユニットを通信ネットワークを経由して受信機7に伝送する。
【0035】
図4は、クロック対応情報配信サーバ5の構成を示すブロック図である。同図に示すように、クロック対応情報配信サーバ5は、対応情報保持部51、通信部52、対応情報登録受付処理部53及び対応情報配信処理部54を備えて構成される。
【0036】
対応情報保持部51は、ハードディスク装置や半導体メモリなどで実現され、対応情報を記憶する。通信部52は、送出装置3との間でデータを送受信する。対応情報登録受付処理部53は、通信部52が送出装置3aから受信したデータから対応情報を読み出し、対応情報保持部51に書き込む。対応情報配信処理部54は、対応情報保持部51から対応情報を読み出し、送出装置3bに送信するよう通信部52に指示する。
【0037】
図5は、受信機7の構成を示すブロック図である。同図に示すように、受信機7は、チューナ71、時計72、通信部73、第1デコード部74−1、第2デコード部74−2、第1同期用バッファ75−1、第2同期用バッファ75−2及び提示合成処理部76を備える。
【0038】
チューナ71は、送出装置3aから放送信号を受信する。時計72は、時刻のデータとしてクロック値を出力する。通信部73は、通信ネットワークを経由して送出装置3bから配信ユニットを受信する。第1デコード部74−1、第2デコード部74−2は、デコーダである。第1デコード部74−1は、放送信号に含まれる配信ユニット内の符号化フレームをデコードする。第1デコード部74−1は、デコードした映像フレームや音声フレームなどのフレームと、配信ユニットから取得したタイムスタンプ情報とを対応付けて第1同期用バッファ75−1に書き込む。第2デコード部74−2は、通信部73が受信した配信ユニット内の符号化フレームをデコードする。第2デコード部74−2は、デコードした映像フレームや音声フレームなどのフレームと、配信ユニットから取得したタイムスタンプ情報とを対応付けて第2同期用バッファ75−2に書き込む。
【0039】
第1同期用バッファ75−1及び第2同期用バッファ75−2は、時計72から出力されたクロック値が示す時刻に提示すべきフレームをタイムスタンプ情報に基づいて選択して出力する。提示合成処理部76は、第1同期用バッファ75−1から出力された映像フレームの映像と第2同期用バッファ75−2から出力された映像フレームの映像とを同時にディスプレイに表示させる。さらに、提示合成処理部76は、第1同期用バッファ75−1から出力された音声フレームの音声と第2同期用バッファ75−2から出力された音声フレームの音声とを同時にスピーカーに出力させる。
【0040】
続いて、コンテンツ提供システムの動作について説明する。
制作装置1a及び制作装置1bは、例えば、インターネットに接続され、NTP(Network Time Protocol)プロトコルによりUTCの絶対時刻を取得している。制作装置1a及び制作装置1bは、受信機7において同期させて同時に提示すべきコンテンツデータを同時に生成(取得)し、生成したコンテンツデータのフレーム(映像フレーム、音声フレーム等)に、現在の絶対時刻を示す絶対時刻情報を付加して配信ユニットを生成する。例えば、絶対時刻情報は、フレームのヘッダ情報など、フレームに付加される制御情報に設定される。各制作装置1は、配信ユニットを含んだコンテンツデータのストリームを送出装置3に伝送する。
【0041】
図6は、主伝送経路による配信ユニット伝送処理の処理フローを示す図である。
送出装置3aのストリーム受信部32は、制作装置1aからコンテンツデータのストリームを受信し、配信ユニット抽出部33に出力する(ステップS105)。配信ユニット抽出部33は、ステップS105においてストリーム受信部32が受信したストリームからまだ抽出していない配信ユニットのうち、先頭の配信ユニットを抽出し、エンコード部35に出力する(ステップS110)。
【0042】
絶対時刻取得部34は、ステップS110においてエンコード部35に入力された配信ユニットに含まれる制御情報から絶対時刻情報を取得する(ステップS115)。取得した絶対時刻情報が示す絶対時刻をTab0とする。絶対時刻取得部34は、絶対時刻情報が示す絶対時刻Tab0をシステムクロックのクロック値Cab0に変換する。
【0043】
例えば、絶対時刻取得部34は、システムクロック保持部31が保持するシステムクロックのカウント開始時刻Ts0を、NTPプロトコルなどにより予め取得して記憶しておく。カウント開始時刻Ts0でのシステムクロックのクロック値は0である。絶対時刻取得部34は、カウント開始時刻Ts0を起算点とした絶対時刻Tab0までの総経過時間Tp0(=Tab0−Ts0)を算出し、算出した総経過時間Tp0から以下の式(1)により、クロック値Cab0を算出する。なお、fはシステムクロックの周波数であり、Csysmaxはシステムクロックの最大カウント値(システムクロック値の最大値)である。また、modは、剰余を求める演算である。
【0044】
Cab0=(Tp0×f) mod Csysmax …(1)
【0045】
絶対時刻取得部34は、クロック値Cab0をエンコード部35に出力する。
【0046】
エンコード部35は、配信ユニット抽出部33から入力された配信ユニット内のフレームをエンコードして符号化フレームを生成し、タイムスタンプを付加する(ステップS120)。ここで付加されるタイムスタンプ情報は、一時的に使用される情報であり、正確な時刻を示すものでなくともよい。エンコード部35により付加されたタイムスタンプ情報が示すクロック値をCsys0’とする。エンコード部35は、付加したタイムスタンプ情報が示すクロック値Csys0’と、絶対時刻取得部34から入力されたクロック値Cab0との差分である第一差分時間(Csys0’−Cab0)を算出する。エンコード部35は、符号化フレームと、符号化フレームに付加したタイムスタンプ情報と、算出した第一差分時間をタイムスタンプ付加部36に出力する。
【0047】
タイムスタンプ付加部36は、エンコード部35から入力された符号化フレームに付加されているタイムスタンプ情報を、システムクロック保持部31から出力されたクロック値Csys0を示すタイムスタンプ情報に書き換える(ステップS125)。タイムスタンプ付加部36は、符号化フレームに、制御情報を付加して配信ユニットを生成する。制御情報には、書き換えたタイムスタンプ情報が設定される。タイムスタンプ付加部36は、生成した配信ユニットをフォーマット変換部37に出力する。
【0048】
フォーマット変換部37は、タイムスタンプ付加部36から出力された配信ユニットを、放送信号のフォーマットに変換してストリーム送出部38に出力する(ステップS130)。ストリーム送出部38は、フォーマット変換部37によりフォーマット変換された配信ユニットを放送信号により受信機7に配信する(ステップS135)。
【0049】
配信ユニット抽出部33は、ステップS105においてストリーム受信部32が受信したストリームからまだ全ての配信ユニットを抽出していない場合(ステップS140:NO)、ステップS110からの処理を繰り返し、上記と同様の処理を行なう。
【0050】
配信ユニット抽出部33が、ステップS105においてストリーム受信部32が受信したストリームから全ての配信ユニットを抽出した場合(ステップS140:YES)、処理を終了する。
【0051】
図7は、対応情報登録処理の処理フローを示す図である。
送出装置3aの対応情報登録部39は、クロック対応情報配信サーバ5に対応情報を登録していない、もしくは、最後に対応情報をクロック対応情報配信サーバ5に登録してから一定時間が経過したことを検出する。対応情報登録部39は、タイムスタンプ付加部36に対応情報を生成するための情報を要求する。
【0052】
対応情報登録部39からの要求を受信したタイムスタンプ付加部36は、第二差分時間を算出する。第二差分時間は、図6のステップS125において、エンコード部35から入力された符号化フレームに付加されているタイムスタンプ情報が示すクロック値Csys0’と、書き換え後のタイムスタンプ情報が示すクロック値Csys0との差分(Csys0−Csys0’)である。タイムスタンプ付加部36は、エンコード部35から入力された第一差分時間と、算出した第二差分時間と、書き換え後のタイムスタンプ情報とを対応情報登録部39に出力する。
【0053】
対応情報登録部39は、以下の式(2)に示すように、書き換え後のタイムスタンプ情報が示すクロック値Csys0から、第一差分時間及び第二差分時間を減算し、フレームに付加されていた絶対時刻Tab0におけるシステムクロックのクロック値Cab0を算出する。
【0054】
Cab0=Csys0−{(Csys0−Csys0’)+(Csys0’−Cab0)} …(2)
【0055】
対応情報登録部39は、算出したクロック値Cab0を絶対時刻Tab0に変換する。例えば、絶対時刻取得部34は、図6のステップS115の処理等においてすでに取得していた絶対時刻とクロック値との対応関係に基づいて、クロック値Cab0を絶対時刻Tab0に変換する。対応情報登録部39は、絶対時刻Tab0を示す絶対時刻情報と、クロック値Csys0を示すタイムスタンプ情報との対応付けを示す対応情報を生成し(ステップS205)、生成した対応情報を設定した対応情報登録要求をクロック対応情報配信サーバ5に送信する(ステップS210)。
【0056】
クロック対応情報配信サーバ5の通信部52は、送出装置3aから対応情報登録要求を受信すると、受信した対応情報登録要求を対応情報登録受付処理部53に出力する(ステップS215)。対応情報登録受付処理部53は、通信部52から入力された対応情報登録要求から対応情報を読み出す(ステップS220)。対応情報登録受付処理部53は、読み出した対応情報を対応情報保持部51に書き込む(ステップS225)。なお、すでに対応情報保持部51に対応情報が記憶されている場合、対応情報登録受付処理部53は、対応情報登録要求から読み出した対応情報により対応情報保持部51に記憶されている対応情報を更新する。あるいは、対応情報登録受付処理部53は、対応情報保持部51に対応情報と、対応情報の書き込み時刻とを対応付けて対応情報保持部51に書き込む。
【0057】
図8は、対応情報配信処理の処理フローを示す図である。
送出装置3bの対応情報取得部42は、対応情報をまだ取得していない、もしくは、最後に対応情報を取得してから一定時間が経過したことを検出する。対応情報取得部42は、クロック対応情報配信サーバ5に対応情報配信要求を送信する(ステップS305)。
【0058】
クロック対応情報配信サーバ5の通信部52は、送出装置3bから対応情報配信要求を受信すると、受信した対応情報配信要求を対応情報配信処理部54に出力する(ステップS310)。対応情報配信処理部54は、対応情報配信要求が入力されると、対応情報保持部51から最新の対応情報を読み出す(ステップS315)。対応情報配信処理部54は、読み出した対応情報を通信部52に出力し、返送を指示する。通信部52は、対応情報配信要求の送信元の送出装置3bに、対応情報配信処理部54から入力された対応情報を送信する(ステップS320)。
【0059】
送出装置3bの対応情報取得部42は、クロック対応情報配信サーバ5から対応情報を受信する(ステップS325)。
【0060】
図9は、副伝送経路による配信ユニット伝送処理の処理フローを示す図である。
送出装置3bのストリーム受信部32は、制作装置1bからコンテンツデータのストリームを受信し、配信ユニット抽出部33に出力する(ステップS405)。配信ユニット抽出部33は、ステップS405においてストリーム受信部32が受信したストリームからまだ抽出していない配信ユニットのうち、先頭の配信ユニットを抽出し、エンコード部35に出力する(ステップS410)。
【0061】
絶対時刻取得部34bは、ステップS410においてエンコード部35に入力された配信ユニットに含まれる制御情報から絶対時刻情報を取得する(ステップS415)。取得した絶対時刻情報が示す絶対時刻をTabとする。絶対時刻取得部34bは、絶対時刻情報が示す絶対時刻Tabをクロック値Cabに変換する。
【0062】
例えば、絶対時刻取得部34bは、クロック保持部41が保持するクロックのカウント開始時刻Tsを、NTPプロトコルなどにより予め取得して記憶しておく。カウント開始時刻Tsでのクロック値は0である。絶対時刻取得部34bは、カウント開始時刻Tsを起算点とした絶対時刻Tabまでの総経過時間Tp(=Tab−Ts)を算出し、算出した総経過時間Tpから以下の式(3)により、クロック値Cabを算出する。なお、クロック保持部41が保持するクロックと、システムクロックの周波数及び最大カウント値は同じとする。
【0063】
Cab=(Tp×f) mod Csysmax …(3)
【0064】
絶対時刻取得部34bは、クロック値Cabをエンコード部35に出力する。
【0065】
エンコード部35は、配信ユニット抽出部33から入力された配信ユニット内のフレームをエンコードして符号化フレームを生成し、タイムスタンプを付加する(ステップS420)。エンコード部35は、付加したタイムスタンプ情報が示すクロック値Csys’と、絶対時刻取得部34bから入力されたクロック値Cabとの差分である第三差分時間(Csys’−Cab)を算出する。絶対時刻取得部34bは、符号化フレームと、符号化フレームに付加したタイムスタンプ情報と、算出した第三差分時間をタイムスタンプ付加部36bに出力する。
【0066】
タイムスタンプ付加部36bは、エンコード部35から入力された符号化フレームに付加されているタイムスタンプ情報を、クロック保持部41から出力されたクロック値に基づいたクロック値Csys”を示すタイムスタンプ情報に書き換える。タイムスタンプ付加部36bは、エンコード部35から入力された符号化フレームに付加されていた書き換え前のタイムスタンプ情報が示すクロック値Csys’と、書き換え後のタイムスタンプ情報が示すクロック値Csys”との差分である第四差分時間(Csys”−Csys’)を算出する。タイムスタンプ付加部36bは、エンコード部35から入力された第三差分時間と、算出した第四差分時間と、書き換え後のタイムスタンプ情報とをシステムクロック算出部43に出力する。
【0067】
システムクロック算出部43は、以下の式(4)に示すように、書き換え後のタイムスタンプ情報が示すクロック値Csys”から、第三差分時間及び第四差分時間を減算し、フレームに付加されていた絶対時刻Tabにおけるクロック値Cabを算出する。
【0068】
Cab=Csys”−{(Csys”−Csys’)+(Csys’−Cab)} …(4)
【0069】
システムクロック算出部43は、S415の処理等においてすでに取得していた絶対時刻とクロック保持部41が保持するクロックのクロック値との対応関係に基づいて、クロック値Cabを絶対時刻Tabに変換する。システムクロック算出部43は、絶対時刻Tabに対応したシステムクロックのクロック値Csysを、対応情報に設定されている絶対時刻情報が示す絶対時刻Tab0と、対応情報に絶対時刻Tab0の絶対時刻情報と対応付けて設定されているタイムスタンプ情報が示すクロック値Csys0とを用い、以下の式(5)により算出する(ステップS425)。
【0070】
Csys=(Tab−Tab0)×f+Csys0 …(5)
【0071】
ただし、Csysがシステムクロックの最大カウント値Csysmaxより大きく、オーバーフローした場合は、以下の式(6)により算出する。
【0072】
Csys=Csys−Csysmax …(6)
【0073】
システムクロック算出部43は、算出したクロック値Csysをタイムスタンプ付加部36bに出力する。
【0074】
タイムスタンプ付加部36bは、符号化フレームに付加したタイムスタンプ情報を、システムクロック算出部43から出力されたクロック値Csysを示すタイムスタンプ情報に書き換える(ステップS430)。タイムスタンプ付加部36bは、符号化フレームに、制御情報を付加して配信ユニットを生成する。制御情報には、書き換えたタイムスタンプ情報が設定される。タイムスタンプ付加部36bは、生成した配信ユニットをフォーマット変換部37bに出力する。
【0075】
フォーマット変換部37bは、タイムスタンプ付加部36bから出力された配信ユニットの伝送フォーマットを変換し、ストリーム送出部38bに出力する(ステップS435)。ストリーム送出部38bは、フォーマット変換部37bによりフォーマット変換された配信ユニットを通信ネットワークを経由して受信機7に配信する(ステップS440)。
【0076】
配信ユニット抽出部33は、ステップS405においてストリーム受信部32が受信したストリームからまだ全ての配信ユニットを抽出していない場合(ステップS445:NO)、ステップS410からの処理を繰り返し、上記と同様の処理を行なう。
【0077】
配信ユニット抽出部33が、ステップS405においてストリーム受信部32が受信したストリームから全てのフレームを抽出した場合(ステップS445:YES)、処理を終了する。
【0078】
受信機7のチューナ71は、図6のステップS135において送出装置3aが送信した放送信号を受信する。第1デコード部74−1は、放送信号に含まれる配信ユニット内の符号化フレームをデコードし、デコードした符号化データに付加されていたタイムスタンプ情報と対応付けて第1同期用バッファ75−1にバッファリングする。
一方、受信機7の通信部73は、図6のステップS440において送出装置3bが配信したコンテンツデータの配信ユニットを受信する。第2デコード部74−2は、通信部73が受信した配信ユニット内の符号化フレームをデコードし、デコードした符号化データに付加されていたタイムスタンプ情報と対応付けて第2同期用バッファ75−2にバッファリングする。
受信機7の第1同期用バッファ75−1及び第2同期用バッファ75−2は、時計72から出力されるクロック値を所定の時間分遅延させたクロック値のタイムスタンプ情報と対応付けられているフレームを出力し、提示合成処理部76は、これらのフレームを同時に同期させて提示する。
【0079】
なお、上記においては、送出装置3aのエンコード部35及び送出装置3bのエンコード部35は、フレームに付加されている絶対時刻情報を削除し、符号化フレームに新たにタイムスタンプを付加するエンコード方式の例を示したが、フレームに付加されている絶対時刻情報を含めて符号化フレームを生成するエンコード方式を用いてもよい。例えば、絶対時刻情報を、フレーム自体に埋め込んで設定する場合、その絶対時刻情報を含めて符号化フレームが生成される。絶対時刻情報をフレーム自体に埋め込んで設定する具体的としては、映像フレームの垂直ブランキングに絶対時刻情報を挿入する方法がある。
【0080】
この場合、送出装置3aは、第一差分時間、第二差分時間を算出する必要はなく、送出装置3bは、第三差分時間、第四差分時間を算出する必要はない。送出装置3aの絶対時刻取得部34は、タイムスタンプ付加部36がタイムスタンプ情報を設定した符号化フレームから絶対時刻情報を読み出し、対応情報登録部39に出力する。対応情報登録部39は、絶対時刻取得部34が符号化フレームから読み出した絶対時刻情報と、タイムスタンプ付加部36がこの符号化フレームに設定したタイムスタンプ情報の組からなる対応情報を生成し、生成した対応情報を設定した登録要求をクロック対応情報配信サーバ5に送信する。
【0081】
そして、図8のステップS415において、送出装置3bの絶対時刻取得部34bは、タイムスタンプ付加部36bがタイムスタンプ情報を設定した符号化フレームから絶対時刻情報を読み出し、システムクロック算出部43に出力する。ステップS425において、システムクロック算出部43は、絶対時刻取得部34bが符号化フレームから読み出した絶対時刻情報が示す絶対時刻Tabと、対応情報に設定されている絶対時刻情報が示す絶対時刻Tab0と、対応情報に設定されているタイムスタンプ情報が示すクロック値Csys0とを用い、上述した式(5)及び式(6)によりシステムクロックのクロック値Csysを算出する。
【0082】
上記実施形態においては、副伝送経路が1経路である場合を説明したが、副伝送経路は2経路以上ある場合、それらの副伝送経路に備えられた送出装置3bそれぞれが上記と同様の処理を行う。
【0083】
また、上記実施形態においては、送出装置3aは、対応情報をクロック対応情報配信サーバ5に登録し、送出装置3bは、対応情報をクロック対応情報配信サーバ5から取得しているが、送出装置3aは、送出装置3bに直接対応情報を配信してもよい。
【0084】
次に、本発明の第二の実施形態を説明する。第一の実施形態では、主伝送経路及び副伝送経路の両伝送経路とも送出装置3においてフレームに提示時刻を示すタイムスタンプ情報を付加している。一方、本実施形態では、副伝送経路については、制作装置1においてタイムスタンプ情報を付加する。以下、第一の実施形態との差分を中心に説明する。
【0085】
図10は、第二の実施形態のコンテンツ提供システムの全体構成を示す図である。同図において、図1に示す第一の実施形態のコンテンツ提供システムと同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。同図に示すコンテンツ提供システムが、図1に示すコンテンツ提供システムと異なる点は、副伝送経路の制作装置1として、制作装置1bに代えて制作装置1cを備える点、副伝送経路の送出装置3として送出装置3bに代えて送出装置3cを備える点である。制作装置1cとクロック対応情報配信サーバ5とは、IP回線で接続される。送出装置3cは、サーバコンピュータなどであり、IP(Internet Protocol)網などの通信ネットワークを経由してコンテンツデータの配信ユニットを伝送する。
【0086】
図11は、制作装置1cの構成を示すブロック図である。この図において、図5に示す送出装置3bと同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。制作装置1cは、カメラやマイクなどであり、クロック保持部41、対応情報取得部42、コンテンツデータ生成部11、配信ユニット抽出部12、絶対時刻取得部34b、エンコード部35、システムクロック算出部43、タイムスタンプ付加部36b、フォーマット変換部37b及びストリーム送出部38bを備える。
コンテンツデータ生成部11は、コンテンツデータを生成する。配信ユニット抽出部12は、コンテンツデータ生成部11が生成したコンテンツデータから配信ユニットを抽出する。
【0087】
図12は、送出装置3cの構成を示すブロック図である。同図に示すように、送出装置3cは、ストリーム受信部32cとストリーム送出部38cを備える。
ストリーム受信部32cは、制作装置1cからコンテンツデータの配信ユニットを受信する。ストリーム送出部38cは、ストリーム受信部32cが受信した配信ユニットを受信機7に配信する。
【0088】
次に、第二の実施形態のコンテンツ提供システムの動作を説明する。
本実施形態による主伝送経路による配信ユニット伝送処理は、図6に示す第一の実施形態の主伝送経路による配信ユニット伝送処理と同様である。また、本実施形態による対応情報登録処理は、図7に示す第一の実施形態の対応情報登録処理と同様である。
【0089】
本実施形態の対応情報配信処理は、図8に示す第一の実施形態の対応情報配信処理と以下の点が異なる。すなわち、ステップS305において、制作装置1cの対応情報取得部42が、クロック対応情報配信サーバ5に対応情報配信要求を送信し、ステップS310において、クロック対応情報配信サーバ5の通信部52は、制作装置1cから対応情報配信要求を受信する。また、ステップS320において、クロック対応情報配信サーバ5の通信部52は、対応情報配信要求の送信元の制作装置1cに対応情報配信処理部54から入力された対応情報を送信し、ステップS325において、制作装置1cの対応情報取得部42が、クロック対応情報配信サーバ5から対応情報を受信する。
【0090】
次に、本実施形態の副伝送経路による配信ユニット配信処理を説明する。
制作装置1cのコンテンツデータ生成部11は、コンテンツデータを生成し、配信ユニット抽出部12に出力する。以降の動作は、図9に示す第1の実施形態の副伝送経路による配信ユニット配信処理におけるステップS410〜S445の動作と同様である。ただし、ステップS410において、配信ユニット抽出部12は、コンテンツデータ生成部11が生成したコンテンツデータから配信ユニットを抽出する。また、ステップS440において、ストリーム送出部38bは、フォーマット変換部37bによりフォーマット変換された配信ユニットを送出装置3cに伝送する。ステップS445において、配信ユニット抽出部12は、コンテンツデータ生成部11から入力されたコンテンツデータからまだ全ての配信ユニットを抽出していない場合は、ステップS410からの処理を繰り返し、全ての配信ユニットを抽出していない場合は処理を終了する。
【0091】
送出装置3cのストリーム受信部32cは、制作装置1cから伝送された配信ユニットを受信し、ストリーム送出部38cは、ストリーム受信部32cが受信した配信ユニットを受信機7に配信する。
【0092】
上記実施形態によれば、複数のコンテンツデータを異なる伝送経路によって受信機に配信する場合に、同期して提示すべきそれらコンテンツデータのフレームに同じ提示時刻を付加することができる。よって、マルチメディアコンテンツを構成する複数のコンテンツデータ(コンポーネント)をそれぞれ異なる伝送経路で配信する場合でも、受信機においてそれらのコンテンツデータを高度に同期させて提示させることができる。
【0093】
上述した制作装置1a、1b、1c、送出装置3a、3b、3c、クロック対応情報配信サーバ5及び受信機7は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、制作装置1a、制作装置1b、制作装置1cのコンテンツデータ生成部11、配信ユニット抽出部12、絶対時刻取得部34b、エンコード部35、タイムスタンプ付加部36b、フォーマット変換部37b、ストリーム送出部38b及び対応情報取得部42、送出装置3aのストリーム受信部32、配信ユニット抽出部33、絶対時刻取得部34、エンコード部35、タイムスタンプ付加部36、フォーマット変換部37、ストリーム送出部38及び対応情報登録部39、送出装置3bのストリーム受信部32、配信ユニット抽出部33、絶対時刻取得部34b、エンコード部35、タイムスタンプ付加部36b、フォーマット変換部37b、ストリーム送出部38b及び対応情報取得部42、送出装置3cのストリーム受信部32c及びストリーム送出部38c、クロック対応情報配信サーバ5の通信部52、対応情報登録受付処理部53及び対応情報配信処理部54、ならびに、受信機7の第1デコード部74−1、第2デコード部74−2及び提示合成処理部76の動作の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータシステムが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでいうコンピュータシステムとは、CPU及び各種メモリやOS、周辺機器等のハードウェアを含むものである。
【0094】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶部のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0095】
なお、制作装置1a、1b、1cの各部、送出装置3a、3b、3cの各部、及び、受信機7の各部は、専用のハードウェアにより実現されてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1、1a、1b、1c…制作装置
11…コンテンツデータ生成部
12…配信ユニット抽出部
3、3a、3b、3c…送出装置
31…システムクロック保持部
32、32c…ストリーム受信部
33…配信ユニット抽出部
34、34b…絶対時刻取得部
35…エンコード部
36、36b…タイムスタンプ付加部
37、37b…フォーマット変換部
38、38b、38c…ストリーム送出部
39…対応情報登録部
41…クロック保持部
42…対応情報取得部
43…システムクロック算出部
5…クロック対応情報配信サーバ
51…対応情報保持部
52…通信部
53…対応情報登録受付処理部
54…対応情報配信処理部
7…受信機
71…チューナ
72…時計
73…通信部
74−1…第1デコード部
74−2…第2デコード部
75−1…第1同期用バッファ
75−2…第2同期用バッファ
76…提示合成処理部
【技術分野】
【0001】
本発明は、送出装置、クロック対応情報配信装置、コンテンツ提供システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、放送と通信を連携したサービスの実現に向けた研究開発が行われている。例えば、非特許文献1には、マルチメディアコンテンツを構成する映像・音声・字幕などの複数のコンポーネントを放送と通信のように異なる複数の経路によって配信し、これらコンポーネントの受信点の装置である提示同期対応の受信機において、配信されたコンポーネントを同期させて提示することが記載されている。
【0003】
図13は、従来のコンテンツ提供システムの例を示す。カメラやマイクなどの第1制作装置及び第2制作装置は、同時に提示すべきコンテンツのコンポーネントを同時に制作している。第1送出装置は第1制作装置が制作したコンポーネントを放送により受信機に配信し、第2送出装置は第2制作装置が制作したコンポーネントを通信により受信機に配信している。
【0004】
しかし、各コンポーネントは伝送経路が違うため、映像・音声フレームなどの配信単位である配信ユニットのパケットが受信機に到達するまでに要する時間は異なる。例えば、第1制作装置から第1送出装置までの伝送時間t11と、第1送出装置から受信機までの伝送時間t12との合計の伝送時間は、第2制作装置から送出装置までの伝送時間t21と、第2送出装置から受信機までの伝送時間t22との合計の伝送時間とは異なる(t11+t12≠t21+t22)。
【0005】
そこで、受信機においてコンポーネント間の再生タイミングを同期させるために、コンテンツ提供システム全体で共通なシステムクロックを有し、第1送出装置及び第2送出装置は、システムクロックを基準として、コンポーネントの配信ユニットに提示時刻情報(PTS:Presentation Time Stamp)と呼ばれるタイムスタンプを付加する。タイムスタンプは、受信機において、配信ユニットのフレームが提示(映像表示や音声出力)されるべき時刻を示している。受信機は、異なる伝送経路によって受信した配信ユニットをバッファリングし、それらの配信ユニットに付加されているタイムスタンプの値に基づき、タイミングを同期させてフレームを提示する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】松村 欣司ほか,「インターネット配信情報との連動による放送番組パーソナライズシステムの検討」,映像情報メディア学会年次大会予稿集,3−8,2009年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来のコンテンツ提供システムのように複数の伝送経路それぞれに送出装置がある場合、各伝送経路により配信されたコンポーネントの配信ユニットを受信機において同期して提示することができるように、タイムスタンプの付加に用いるシステムクロックを送出装置間で共有している。一般的には、放送のような主となる伝送経路の送出装置がマスタークロックを持ち、他の伝送経路の送出装置のクロックをマスタークロックと同期させる。
【0008】
しかし、送出装置それぞれが離れた場所に位置しているような状況では、直接的な同期信号線の接続ではクロックを共有することができない。このような離れた2点間の装置の内部クロックを同期するための既存の手法として、IP(Internet Protocol)回線を介して装置間の時刻同期を行うNTP(Network Time Protocol)プロトコル(RFC(Request for Comments)1129/1305)がある。このNTPプロトコルと同等の手法を用いることによって、2つの送出装置のクロックを同期させることが可能である。
【0009】
ところが、現実には、タイムスタンプを付加する送出装置は制作から送出までの経路の途中に位置する場合が殆どである。一般的に送出装置は大規模な装置であり、スタジオや中継先で稼働させることは困難である。これは、制作装置と送出装置とは物理的に距離が離れていることを意味している。この場合、実際にカメラやマイクなどの制作装置でコンテンツを取得してから送出装置でタイムスタンプを付加するまでに要する時間も経路ごとに異なる(t11≠t21)。従って、複数の制作装置で同じ時刻に取得されたマルチメディアコンテンツのストリームを同じ時刻に受信機で再生させるためには、複数の送出装置間でクロックの時刻同期をとるだけでは不十分である。
【0010】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、複数のコンテンツデータを異なる伝送経路によって受信機に配信する場合に、同期して提示すべきそれらコンテンツデータのフレームに同じ提示時刻を付加するための送出装置、クロック対応情報配信装置、コンテンツ提供システム及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[1] 本発明の一態様は、現在時刻を出力するシステムクロックと、コンテンツデータを受信する受信部と、前記受信部が受信した前記コンテンツデータのフレームに付加されている絶対時刻情報を取得する絶対時刻取得部と、前記システムクロックに基づくタイムスタンプ情報を前記フレームに付加するタイムスタンプ付加部と、前記タイムスタンプ付加部が前記タイムスタンプ情報を付加した前記フレームを受信機に配信する送出部と、前記絶対時刻取得部が取得した前記絶対時刻情報と、前記タイムスタンプ付加部が付加した前記タイムスタンプ情報とを対応付けて出力する対応情報出力部と、を備えることを特徴とする送出装置である。
この態様によれば、送出装置は、コンテンツデータのフレームに、システムクロックに基づいてタイムスタンプ情報を付加し、受信機に配信する。さらに送出装置は、自装置が配信するコンテンツデータのフレームと同時に受信機において提示されるべき他のコンテンツデータのフレームに、他の装置において、自装置が付与するタイムスタンプ情報と同じ時刻のタイムスタンプ情報を付加するために必要な情報を出力する。この情報は、コンテンツデータのフレームが生成あるいは取得されたときの絶対時刻と、システムクロックの出力に基づいてこのフレームに付加したタイムスタンプ情報との対応付けを示す。
これにより、システムクロックを有する送出装置と、システムクロックを有していない送出装置とが、異なる伝送経路によって受信機にコンテンツデータを配信する場合に、それらの送出装置において、同じ絶対時刻情報が付加されているコンテンツデータのフレームに、同じ時刻を示すタイムスタンプ情報を付加することができる。よって、受信機に、同じ時刻に生成された複数のコンテンツデータを同期して同時に提示させることができる。
【0012】
[2] 本発明の一態様は、コンテンツデータのフレームに付加された第1の絶対時刻情報と、前記フレームに付加した第1のタイムスタンプ情報とを対応付けて受信する対応情報取得部と、コンテンツデータを受信する受信部と、前記受信部が受信した前記コンテンツデータのフレームに付加されている第2の絶対時刻情報を取得する絶対時刻取得部と、前記絶対時刻取得部において取得した前記第2の絶対時刻情報が示す時刻と前記対応情報取得部が取得した前記第1の絶対時刻情報が示す時刻との差分を、前記第1のタイムスタンプ情報が示す時刻に加算した時刻を算出するシステムクロック算出部と、前記システムクロック算出部が算出した前記時刻を示す第2のタイムスタンプ情報を、前記絶対時刻取得部が前記第2の絶対時刻情報を取得した前記フレームに付加するタイムスタンプ付加部と、前記タイムスタンプ付加部によって前記第2のタイムスタンプ情報が付加された前記フレームを受信機に配信する送出部と、を備えることを特徴とする送出装置である。
この態様によれば、送出装置は、コンテンツデータのフレームが生成あるいは取得されたときの絶対時刻を示す第1の絶対時刻情報と、システムクロックを有する送出装置がシステムクロックの出力に基づいてこのフレームに付加した第1のタイムスタンプ情報との対応付けを取得する。送出装置は、コンテンツデータのフレームに、当該フレームに付加されている第2の絶対時刻情報が示す時刻と第1の絶対時刻情報が示す時刻との差分を、第1のタイムスタンプ情報が示す時刻に加算した時刻の第2のタイムスタンプ情報を付加して、受信機に配信する。
これにより、システムクロックを有する送出装置と、システムクロックを有していない送出装置とが、異なる伝送経路によって受信機にコンテンツデータを配信する場合に、それらの送出装置において、同じ絶対時刻情報が付加されているコンテンツデータのフレームに、同じ時刻を示すタイムスタンプ情報を付加することができる。よって、受信機に、同じ時刻に生成された複数のコンテンツデータを同期して同時に提示させることができる。
【0013】
[3] 本発明の一態様は、コンテンツデータのフレームに付加される絶対時刻情報と、前記フレームに関するタイムスタンプ情報とを対応付けて記憶する対応情報保持部と、[1]に記載の送出装置から受信した前記絶対時刻情報と前記タイムスタンプ情報とを対応付けて前記対応情報保持部に書き込む対応情報登録受付処理部と、[2]に記載の送信装置に対して、前記対応情報保持部から読み出した前記絶対時刻情報と前記タイムスタンプ情報とを対応付けて送信する対応情報配信処理部と、を備えることを特徴とするクロック対応情報配信装置である。
この態様によれば、クロック対応情報配信装置は、コンテンツデータのフレームが生成あるいは取得されたときの絶対時刻を示す絶対時刻情報と、システムクロックを有する送出装置がシステムクロックの出力に基づいてこのフレームに付加したタイムスタンプ情報との対応付けを受信し、記憶する。クロック対応情報配信装置は、システムクロックを有する送出装置が配信するコンテンツデータと同期して表示すべき他のコンテンツデータのフレームにタイムスタンプ情報を付加する送信装置に、対応付けて記憶している絶対時刻情報とタイムスタンプ情報とを配信する。
これにより、複数の伝送経路によって受信機にコンテンツデータを配信する場合に、クロック対応情報配信装置は、システムクロックを有しない送信装置において、システムクロックを有する送出装置がコンテンツデータのフレームに付加したタイムスタンプ情報と同じ時刻のタイムスタンプ情報を、そのフレームと同期して提示すべき他のコンテンツデータのフレームに付与するために必要な情報を提供することができる。
【0014】
[4] 本発明の一態様は、クロック対応情報配信装置と複数の送出装置とを備えるコンテンツ提供システムであって、現在時刻を出力するシステムクロックを有する前記送出装置が、コンテンツデータを受信する第一受信部と、前記第一受信部が受信した前記コンテンツデータのフレームに付加されている第1の絶対時刻情報を取得する第一絶対時刻取得部と、前記システムクロックに基づく第1のタイムスタンプ情報を前記フレームに付加する第一タイムスタンプ付加部と、前記第一タイムスタンプ付加部が前記第1のタイムスタンプ情報を付加した前記フレームを受信機に配信する第一送出部と、前記第一絶対時刻取得部が取得した前記第1の絶対時刻情報と、前記第一タイムスタンプ付加部が付加した前記第1のタイムスタンプ情報とを対応付けて出力する対応情報出力部と、を備え、前記クロック対応情報配信装置は、前記第1の絶対時刻情報と前記第1のタイムスタンプ情報とを対応付けて記憶する対応情報保持部と、システムクロックを有する前記送出装置から受信した前記第1の絶対時刻情報と前記第1のタイムスタンプ情報とを対応付けて前記対応情報保持部に書き込む対応情報登録受付処理部と、システムクロックを有する前記送出装置とは異なる前記送出装置に対して、前記対応情報保持部から読み出した前記第1の絶対時刻情報と前記第1のタイムスタンプ情報とを対応付けて送信する対応情報配信処理部と、を備え、前記異なる送出装置は、前記第1の絶対時刻情報と前記第1のタイムスタンプ情報とを対応付けて、前記クロック対応情報配信装置から受信する対応情報取得部と、コンテンツデータを受信する第二受信部と、前記第二受信部が受信した前記コンテンツデータのフレームに付加されている第2の絶対時刻情報を取得する第二絶対時刻取得部と、前記第二絶対時刻取得部において取得した前記第2の絶対時刻情報が示す時刻と前記対応情報取得部が取得した前記第1の絶対時刻情報が示す時刻との差分を、前記第1のタイムスタンプ情報が示す時刻に加算した時刻を算出するシステムクロック算出部と、前記システムクロック算出部が算出した前記時刻を示す第2のタイムスタンプ情報を、前記第二絶対時刻取得部が前記第2の絶対時刻情報を取得した前記フレームに付加する第二タイムスタンプ付加部と、前記第二タイムスタンプ付加部によって前記第2のタイムスタンプ情報が付加された前記フレームを受信機に配信する第二送出部と、を備える、ことを特徴とするコンテンツ提供システムである。
この態様によれば、システムクロックを有する送出装置は、自装置が受信したコンテンツデータのフレームに、システムクロックに基づいて第1のタイムスタンプ情報を付加し、受信機に配信する。さらにシステムクロックを有する送出装置は、コンテンツデータのフレームに付加されていた第1の絶対時刻情報と、システムクロックの出力に基づいてこのフレームに付加した第1のタイムスタンプ情報との対応付けをクロック対応情報配信装置に登録する。
システムクロックを有していない送出装置は、クロック対応情報配信装置から第1の絶対時刻情報と第1のタイムスタンプ情報を対応付けて取得する。システムクロックを有していない送出装置は、自装置が受信したコンテンツデータのフレームに、当該フレームに付加されている第2の絶対時刻情報が示す時刻と第1の絶対時刻情報が示す時刻との差分を、第1のタイムスタンプ情報が示す時刻に加算した時刻の第2のタイムスタンプ情報を付加して、受信機に配信する。
これにより、システムクロックを有する送出装置と、システムクロックを有していない送出装置とが、異なる伝送経路によって受信機にコンテンツデータを配信する場合に、それらの送出装置において、同じ絶対時刻情報が付加されているコンテンツデータのフレームに、同じ提示時刻を示すタイムスタンプ情報を付加することができる。よって、受信機に、同じ時刻に生成された複数のコンテンツデータを同期して同時に提示させることができる。
【0015】
[5] 本発明の一態様は、システムクロックを有する送出装置に用いられるコンピュータを、 コンテンツデータを受信する受信部、前記受信部が受信した前記コンテンツデータのフレームに付加されている絶対時刻情報を取得する絶対時刻取得部、前記システムクロックに基づくタイムスタンプ情報を前記フレームに付加するタイムスタンプ付加部、前記タイムスタンプ付加部が前記タイムスタンプ情報を付加した前記フレームを受信機に配信する送出部、前記絶対時刻取得部が取得した前記絶対時刻情報と、前記タイムスタンプ付加部が付加した前記タイムスタンプ情報とを対応付けて出力する対応情報出力部、として機能させることを特徴とするプログラムである。
【0016】
[6] 本発明の一態様は、送出装置に用いられるコンピュータを、コンテンツデータのフレームに付加された第1の絶対時刻情報と、前記フレームに付加した第1のタイムスタンプ情報とを対応付けて受信する対応情報取得部、コンテンツデータを受信する受信部、前記受信部が受信した前記コンテンツデータのフレームに付加されている第2の絶対時刻情報を取得する絶対時刻取得部、前記絶対時刻取得部において取得した前記第2の絶対時刻情報が示す時刻と前記対応情報取得部が取得した前記第1の絶対時刻情報が示す時刻との差分を、前記第1のタイムスタンプ情報が示す時刻に加算した時刻を算出するシステムクロック算出部、前記システムクロック算出部が算出した前記時刻を示す第2のタイムスタンプ情報を、前記絶対時刻取得部が前記第2の絶対時刻情報を取得した前記フレームに付加するタイムスタンプ付加部、前記タイムスタンプ付加部によって前記第2のタイムスタンプ情報が付加された前記フレームを受信機に配信する送出部、として機能させることを特徴とするプログラムである。
【0017】
[7] 本発明の一態様は、クロック対応情報配信装置に用いられるコンピュータを、コンテンツデータのフレームに付加される絶対時刻情報と、前記フレームに関するタイムスタンプ情報とを対応付けて記憶する対応情報保持部、[1]に記載の送出装置から受信した前記絶対時刻情報と前記タイムスタンプ情報とを対応付けて前記対応情報保持部に書き込む対応情報登録受付処理部、[2]に記載の送信装置に対して、前記対応情報保持部から読み出した前記絶対時刻情報と前記タイムスタンプ情報とを対応付けて送信する対応情報配信処理部、として機能させることを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数のコンテンツデータを異なる伝送経路によって受信機に配信する場合に、同期して提示すべきそれらコンテンツデータのフレームに同じ提示時刻を付加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第一の実施形態によるコンテンツ提供システムの全体構成図である。
【図2】同実施形態による送出装置3aの機能ブロック図である。
【図3】同実施形態による送出装置3bの機能ブロック図である。
【図4】同実施形態によるクロック対応情報配信サーバ5の機能ブロック図である。
【図5】同実施形態による受信機7の機能ブロック図である。
【図6】同実施形態による主伝送経路による配信ユニット伝送処理の処理フローを示す図である。
【図7】同実施形態による対応情報登録処理の処理フローを示す図である。
【図8】同実施形態による対応情報配信処理の処理フローを示す図である。
【図9】同実施形態による副伝送経路による配信ユニット伝送処理の処理フローを示す図である。
【図10】本発明の第二の実施形態によるコンテンツ提供システムの全体構成図である。
【図11】同実施形態による制作装置1cの機能ブロック図である。
【図12】同実施形態による送出装置3cの機能ブロック図である。
【図13】従来のコンテンツ提供システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態によるコンテンツ提供システムの全体構成図である。本実施形態のコンテンツ提供システムは、m(mは2以上の整数)台の制作装置1と、n(nは2以上の整数)台の送出装置3と、クロック対応情報配信サーバ5と、受信機7とを備えて構成される。コンテンツ提供システムは、受信機7にコンテンツデータを配信する伝送経路をn経路有しており、各伝送経路に送出装置3が設置される。同図においては、n=m=2の場合を示している。伝送経路の1つは主伝送経路であり、他は副伝送経路である。主伝送経路に備えられた送出装置3を送出装置3a、副伝送経路に備えられた送出装置3を送出装置3bと記載し、送出装置3aと接続される制作装置1を制作装置1a、送出装置3bと接続される制作装置1を制作装置1bと記載する。また、同図においては受信機7を1台のみ代表して示しているが、現実には複数台の受信機7が設けられる。
【0021】
制作装置1は、カメラやマイクなどであり、マルチメディアコンテンツのコンポーネントであるコンテンツデータを生成する。各制作装置1は、生成したコンテンツデータをいずれかの送出装置3に伝送する。本実施形態では、制作装置1aは、コンテンツデータを送出装置3aに伝送し、制作装置1bは、コンテンツデータを送出装置3bに伝送する。各送出装置3は、制作装置1から受信したコンテンツデータのフレームにタイムスタンプを付加した配信ユニットを受信機7に配信する。フレームとは、映像フレームや音声フレームなどのタイムスタンプを付加する単位であり、配信ユニットとは、フレームを配信する単位である。受信機7は、送出装置3a、送出装置3bからそれぞれ異なる伝送経路により配信された配信ユニットを受信してバッファリングし、バッファリングした映像フレームや音声フレームなどのフレームを、そのフレームの配信ユニットに付加されているタイムスタンプの値に基づき同期させて提示する。
【0022】
送出装置3aは、放送局の放送設備であり、放送によりコンテンツデータの配信ユニットを伝送する。送出装置3aは、配信ユニットに付加するタイムスタンプの基準となるマスタークロックであるシステムクロックを備える。送出装置3bは、サーバコンピュータなどであり、IP(Internet Protocol)網などの通信ネットワークを経由してコンテンツデータの配信ユニットを伝送する。このように、主伝送経路には、システムクロックを有する送出装置3aが備えられ、副伝送経路には、システムクロックを有していない送出装置3bが備えられる。
【0023】
送出装置3と、クロック対応情報配信サーバ5とは、IP回線により接続される。クロック対応情報配信サーバ5は、UTC(Coordinated Universal Time:協定世界時)などの絶対時刻と、システムクロックに基づいたタイムスタンプとの対応を示す対応情報を送出装置3aから受信して保持し、マスタークロックを保有しない送出装置3bにこの対応情報を配信する。
【0024】
対応情報は、以下のようにしてクロック対応情報配信サーバ5に登録される。制作装置1aは、コンテンツデータを取得した時に、コンテンツデータのフレームに絶対時刻を付加し、送出装置3aに伝送する。送出装置3aは、制作装置1aから受信したフレームにシステムクロックを用いてタイムスタンプを付加し、配信ユニットを生成する。送出装置3aは、制作装置1aがフレームに付加した絶対時刻と、自装置においてこのフレームにシステムクロックを用いて付加したタイムスタンプとの組みを示す対応情報を生成し、生成した対応情報をクロック対応情報配信サーバ5に登録する。
【0025】
制作装置1aと同様に、制作装置1bは、コンテンツデータを取得した時に、コンテンツデータのフレームに絶対時刻を付加し、送出装置3bに伝送する。送出装置3bは、クロック対応情報配信サーバ5から取得した対応情報と、制作装置1bから受信したフレームに付加されている絶対時刻とを用いて、そのフレームにタイムスタンプを付加する。付加するタイムスタンプは、フレームに付加されている絶対時刻と対応情報が示す絶対時刻との差分の時間を、対応情報が示すタイムスタンプの時刻に加算した時刻を示す。
なお、実際には、タイムスタンプに、時刻を示す情報として、システムクロックのクロックカウンタ値が設定される。システムクロックは絶対時刻に対してリニアに増加する値であるため、対応情報の登録を一度行えば、当分の時間は再度登録の必要はない。
【0026】
図2は、送出装置3aの構成を示すブロック図である。送出装置3aは、例えば、一般的なデジタル放送用の放送設備であり、デジタル放送において従来から用いられているデジタル放送信号を伝送する。同図に示すように、送出装置3aは、システムクロック保持部31、ストリーム受信部32(受信部、第一受信部)、配信ユニット抽出部33、絶対時刻取得部34(第一絶対時刻取得部)、エンコード部35、タイムスタンプ付加部36(第一タイムスタンプ付加部)、フォーマット変換部37、ストリーム送出部38(送出部、第一送出部)及び対応情報登録部39(対応情報出力部)を備えて構成される。
【0027】
システムクロック保持部31は、システムクロックを備え、システムクロックのクロック値(システムクロック値)を出力する。クロック値は、現在の時刻を示す。ストリーム受信部32は、コンテンツデータのストリームを受信する。配信ユニット抽出部33は、ストリーム受信部32が受信したコンテンツデータのストリームから映像フレームや音声フレームなどのフレームが設定されている配信ユニットを抽出する。絶対時刻取得部34は、配信ユニット抽出部33が抽出した配信ユニットからフレームに付加されている絶対時刻情報(第1の絶対時刻情報)を取得する。エンコード部35は、エンコーダであり、配信ユニット抽出部33が抽出した配信ユニット内のフレームをエンコードし、符号化フレームを生成する。
【0028】
タイムスタンプ付加部36は、エンコード部35が生成した符号化フレームに、システムクロック保持部31から出力されたクロック値に基づくタイムスタンプ情報(第1のタイムスタンプ情報)を付加し、配信ユニットを生成する。タイムスタンプ付加部36は、例えば、多重化装置(マルチプレクサ(MUX))であり、生成した配信ユニットを多重してフォーマット変換部37に出力する。
【0029】
フォーマット変換部37は、タイムスタンプ付加部36が生成した配信ユニットを受信機7との間の伝送経路に応じたフォーマットに変換する。ストリーム送出部38は、フォーマット変換部37によりフォーマット変換された配信ユニットを放送信号により受信機7に伝送する。
【0030】
対応情報登録部39は、フレームに付加されていた絶対時刻情報と、このフレームから生成された符号化フレームにタイムスタンプ付加部36が付加したタイムスタンプ情報との組みから対応情報を生成し、クロック対応情報配信サーバ5に登録する。
【0031】
図3は、送出装置3bの構成を示すブロック図である。同図において、図2に示す送出装置3aと同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。同図に示すように、送出装置3bは、クロック保持部41、対応情報取得部42、ストリーム受信部32(受信部、第二受信部)、配信ユニット抽出部33、絶対時刻取得部34b(第二絶対時刻取得部)、エンコード部35、システムクロック算出部43、タイムスタンプ付加部36b(第二タイムスタンプ付加部)、フォーマット変換部37b及びストリーム送出部38b(送出部、第二送出部)を備えて構成される。
【0032】
クロック保持部41は、クロックを備え、このクロックのクロック値を出力する。クロック保持部41が保持するクロックは、システムクロックと同期されていなくともよい。対応情報取得部42は、クロック対応情報配信サーバ5から最新の対応情報を取得する。
【0033】
絶対時刻取得部34bは、フレームに付加された絶対時刻情報(第2の絶対時刻情報)を取得する。システムクロック算出部43は、絶対時刻取得部34bが取得した絶対時刻情報と、対応情報取得部42が取得した対応情報とを用いて、このフレームに付加するタイムスタンプ情報に設定すべきシステムクロックのクロック値を算出する。タイムスタンプ付加部36bは、エンコード部35がエンコードしたフレームに、システムクロック算出部43が算出したシステムクロック値に基づくタイムスタンプ情報(第2のタイムスタンプ情報)を付加し、配信ユニットを生成する。タイムスタンプ付加部36bは、例えば、多重化装置であり、生成した配信ユニットを多重してフォーマット変換部37bに出力する。
【0034】
フォーマット変換部37bは、タイムスタンプ付加部36bが生成した配信ユニットを受信機7との間の伝送経路に応じたフォーマットに変換する。ストリーム送出部38bは、フォーマット変換部37bによりフォーマット変換された配信ユニットを通信ネットワークを経由して受信機7に伝送する。
【0035】
図4は、クロック対応情報配信サーバ5の構成を示すブロック図である。同図に示すように、クロック対応情報配信サーバ5は、対応情報保持部51、通信部52、対応情報登録受付処理部53及び対応情報配信処理部54を備えて構成される。
【0036】
対応情報保持部51は、ハードディスク装置や半導体メモリなどで実現され、対応情報を記憶する。通信部52は、送出装置3との間でデータを送受信する。対応情報登録受付処理部53は、通信部52が送出装置3aから受信したデータから対応情報を読み出し、対応情報保持部51に書き込む。対応情報配信処理部54は、対応情報保持部51から対応情報を読み出し、送出装置3bに送信するよう通信部52に指示する。
【0037】
図5は、受信機7の構成を示すブロック図である。同図に示すように、受信機7は、チューナ71、時計72、通信部73、第1デコード部74−1、第2デコード部74−2、第1同期用バッファ75−1、第2同期用バッファ75−2及び提示合成処理部76を備える。
【0038】
チューナ71は、送出装置3aから放送信号を受信する。時計72は、時刻のデータとしてクロック値を出力する。通信部73は、通信ネットワークを経由して送出装置3bから配信ユニットを受信する。第1デコード部74−1、第2デコード部74−2は、デコーダである。第1デコード部74−1は、放送信号に含まれる配信ユニット内の符号化フレームをデコードする。第1デコード部74−1は、デコードした映像フレームや音声フレームなどのフレームと、配信ユニットから取得したタイムスタンプ情報とを対応付けて第1同期用バッファ75−1に書き込む。第2デコード部74−2は、通信部73が受信した配信ユニット内の符号化フレームをデコードする。第2デコード部74−2は、デコードした映像フレームや音声フレームなどのフレームと、配信ユニットから取得したタイムスタンプ情報とを対応付けて第2同期用バッファ75−2に書き込む。
【0039】
第1同期用バッファ75−1及び第2同期用バッファ75−2は、時計72から出力されたクロック値が示す時刻に提示すべきフレームをタイムスタンプ情報に基づいて選択して出力する。提示合成処理部76は、第1同期用バッファ75−1から出力された映像フレームの映像と第2同期用バッファ75−2から出力された映像フレームの映像とを同時にディスプレイに表示させる。さらに、提示合成処理部76は、第1同期用バッファ75−1から出力された音声フレームの音声と第2同期用バッファ75−2から出力された音声フレームの音声とを同時にスピーカーに出力させる。
【0040】
続いて、コンテンツ提供システムの動作について説明する。
制作装置1a及び制作装置1bは、例えば、インターネットに接続され、NTP(Network Time Protocol)プロトコルによりUTCの絶対時刻を取得している。制作装置1a及び制作装置1bは、受信機7において同期させて同時に提示すべきコンテンツデータを同時に生成(取得)し、生成したコンテンツデータのフレーム(映像フレーム、音声フレーム等)に、現在の絶対時刻を示す絶対時刻情報を付加して配信ユニットを生成する。例えば、絶対時刻情報は、フレームのヘッダ情報など、フレームに付加される制御情報に設定される。各制作装置1は、配信ユニットを含んだコンテンツデータのストリームを送出装置3に伝送する。
【0041】
図6は、主伝送経路による配信ユニット伝送処理の処理フローを示す図である。
送出装置3aのストリーム受信部32は、制作装置1aからコンテンツデータのストリームを受信し、配信ユニット抽出部33に出力する(ステップS105)。配信ユニット抽出部33は、ステップS105においてストリーム受信部32が受信したストリームからまだ抽出していない配信ユニットのうち、先頭の配信ユニットを抽出し、エンコード部35に出力する(ステップS110)。
【0042】
絶対時刻取得部34は、ステップS110においてエンコード部35に入力された配信ユニットに含まれる制御情報から絶対時刻情報を取得する(ステップS115)。取得した絶対時刻情報が示す絶対時刻をTab0とする。絶対時刻取得部34は、絶対時刻情報が示す絶対時刻Tab0をシステムクロックのクロック値Cab0に変換する。
【0043】
例えば、絶対時刻取得部34は、システムクロック保持部31が保持するシステムクロックのカウント開始時刻Ts0を、NTPプロトコルなどにより予め取得して記憶しておく。カウント開始時刻Ts0でのシステムクロックのクロック値は0である。絶対時刻取得部34は、カウント開始時刻Ts0を起算点とした絶対時刻Tab0までの総経過時間Tp0(=Tab0−Ts0)を算出し、算出した総経過時間Tp0から以下の式(1)により、クロック値Cab0を算出する。なお、fはシステムクロックの周波数であり、Csysmaxはシステムクロックの最大カウント値(システムクロック値の最大値)である。また、modは、剰余を求める演算である。
【0044】
Cab0=(Tp0×f) mod Csysmax …(1)
【0045】
絶対時刻取得部34は、クロック値Cab0をエンコード部35に出力する。
【0046】
エンコード部35は、配信ユニット抽出部33から入力された配信ユニット内のフレームをエンコードして符号化フレームを生成し、タイムスタンプを付加する(ステップS120)。ここで付加されるタイムスタンプ情報は、一時的に使用される情報であり、正確な時刻を示すものでなくともよい。エンコード部35により付加されたタイムスタンプ情報が示すクロック値をCsys0’とする。エンコード部35は、付加したタイムスタンプ情報が示すクロック値Csys0’と、絶対時刻取得部34から入力されたクロック値Cab0との差分である第一差分時間(Csys0’−Cab0)を算出する。エンコード部35は、符号化フレームと、符号化フレームに付加したタイムスタンプ情報と、算出した第一差分時間をタイムスタンプ付加部36に出力する。
【0047】
タイムスタンプ付加部36は、エンコード部35から入力された符号化フレームに付加されているタイムスタンプ情報を、システムクロック保持部31から出力されたクロック値Csys0を示すタイムスタンプ情報に書き換える(ステップS125)。タイムスタンプ付加部36は、符号化フレームに、制御情報を付加して配信ユニットを生成する。制御情報には、書き換えたタイムスタンプ情報が設定される。タイムスタンプ付加部36は、生成した配信ユニットをフォーマット変換部37に出力する。
【0048】
フォーマット変換部37は、タイムスタンプ付加部36から出力された配信ユニットを、放送信号のフォーマットに変換してストリーム送出部38に出力する(ステップS130)。ストリーム送出部38は、フォーマット変換部37によりフォーマット変換された配信ユニットを放送信号により受信機7に配信する(ステップS135)。
【0049】
配信ユニット抽出部33は、ステップS105においてストリーム受信部32が受信したストリームからまだ全ての配信ユニットを抽出していない場合(ステップS140:NO)、ステップS110からの処理を繰り返し、上記と同様の処理を行なう。
【0050】
配信ユニット抽出部33が、ステップS105においてストリーム受信部32が受信したストリームから全ての配信ユニットを抽出した場合(ステップS140:YES)、処理を終了する。
【0051】
図7は、対応情報登録処理の処理フローを示す図である。
送出装置3aの対応情報登録部39は、クロック対応情報配信サーバ5に対応情報を登録していない、もしくは、最後に対応情報をクロック対応情報配信サーバ5に登録してから一定時間が経過したことを検出する。対応情報登録部39は、タイムスタンプ付加部36に対応情報を生成するための情報を要求する。
【0052】
対応情報登録部39からの要求を受信したタイムスタンプ付加部36は、第二差分時間を算出する。第二差分時間は、図6のステップS125において、エンコード部35から入力された符号化フレームに付加されているタイムスタンプ情報が示すクロック値Csys0’と、書き換え後のタイムスタンプ情報が示すクロック値Csys0との差分(Csys0−Csys0’)である。タイムスタンプ付加部36は、エンコード部35から入力された第一差分時間と、算出した第二差分時間と、書き換え後のタイムスタンプ情報とを対応情報登録部39に出力する。
【0053】
対応情報登録部39は、以下の式(2)に示すように、書き換え後のタイムスタンプ情報が示すクロック値Csys0から、第一差分時間及び第二差分時間を減算し、フレームに付加されていた絶対時刻Tab0におけるシステムクロックのクロック値Cab0を算出する。
【0054】
Cab0=Csys0−{(Csys0−Csys0’)+(Csys0’−Cab0)} …(2)
【0055】
対応情報登録部39は、算出したクロック値Cab0を絶対時刻Tab0に変換する。例えば、絶対時刻取得部34は、図6のステップS115の処理等においてすでに取得していた絶対時刻とクロック値との対応関係に基づいて、クロック値Cab0を絶対時刻Tab0に変換する。対応情報登録部39は、絶対時刻Tab0を示す絶対時刻情報と、クロック値Csys0を示すタイムスタンプ情報との対応付けを示す対応情報を生成し(ステップS205)、生成した対応情報を設定した対応情報登録要求をクロック対応情報配信サーバ5に送信する(ステップS210)。
【0056】
クロック対応情報配信サーバ5の通信部52は、送出装置3aから対応情報登録要求を受信すると、受信した対応情報登録要求を対応情報登録受付処理部53に出力する(ステップS215)。対応情報登録受付処理部53は、通信部52から入力された対応情報登録要求から対応情報を読み出す(ステップS220)。対応情報登録受付処理部53は、読み出した対応情報を対応情報保持部51に書き込む(ステップS225)。なお、すでに対応情報保持部51に対応情報が記憶されている場合、対応情報登録受付処理部53は、対応情報登録要求から読み出した対応情報により対応情報保持部51に記憶されている対応情報を更新する。あるいは、対応情報登録受付処理部53は、対応情報保持部51に対応情報と、対応情報の書き込み時刻とを対応付けて対応情報保持部51に書き込む。
【0057】
図8は、対応情報配信処理の処理フローを示す図である。
送出装置3bの対応情報取得部42は、対応情報をまだ取得していない、もしくは、最後に対応情報を取得してから一定時間が経過したことを検出する。対応情報取得部42は、クロック対応情報配信サーバ5に対応情報配信要求を送信する(ステップS305)。
【0058】
クロック対応情報配信サーバ5の通信部52は、送出装置3bから対応情報配信要求を受信すると、受信した対応情報配信要求を対応情報配信処理部54に出力する(ステップS310)。対応情報配信処理部54は、対応情報配信要求が入力されると、対応情報保持部51から最新の対応情報を読み出す(ステップS315)。対応情報配信処理部54は、読み出した対応情報を通信部52に出力し、返送を指示する。通信部52は、対応情報配信要求の送信元の送出装置3bに、対応情報配信処理部54から入力された対応情報を送信する(ステップS320)。
【0059】
送出装置3bの対応情報取得部42は、クロック対応情報配信サーバ5から対応情報を受信する(ステップS325)。
【0060】
図9は、副伝送経路による配信ユニット伝送処理の処理フローを示す図である。
送出装置3bのストリーム受信部32は、制作装置1bからコンテンツデータのストリームを受信し、配信ユニット抽出部33に出力する(ステップS405)。配信ユニット抽出部33は、ステップS405においてストリーム受信部32が受信したストリームからまだ抽出していない配信ユニットのうち、先頭の配信ユニットを抽出し、エンコード部35に出力する(ステップS410)。
【0061】
絶対時刻取得部34bは、ステップS410においてエンコード部35に入力された配信ユニットに含まれる制御情報から絶対時刻情報を取得する(ステップS415)。取得した絶対時刻情報が示す絶対時刻をTabとする。絶対時刻取得部34bは、絶対時刻情報が示す絶対時刻Tabをクロック値Cabに変換する。
【0062】
例えば、絶対時刻取得部34bは、クロック保持部41が保持するクロックのカウント開始時刻Tsを、NTPプロトコルなどにより予め取得して記憶しておく。カウント開始時刻Tsでのクロック値は0である。絶対時刻取得部34bは、カウント開始時刻Tsを起算点とした絶対時刻Tabまでの総経過時間Tp(=Tab−Ts)を算出し、算出した総経過時間Tpから以下の式(3)により、クロック値Cabを算出する。なお、クロック保持部41が保持するクロックと、システムクロックの周波数及び最大カウント値は同じとする。
【0063】
Cab=(Tp×f) mod Csysmax …(3)
【0064】
絶対時刻取得部34bは、クロック値Cabをエンコード部35に出力する。
【0065】
エンコード部35は、配信ユニット抽出部33から入力された配信ユニット内のフレームをエンコードして符号化フレームを生成し、タイムスタンプを付加する(ステップS420)。エンコード部35は、付加したタイムスタンプ情報が示すクロック値Csys’と、絶対時刻取得部34bから入力されたクロック値Cabとの差分である第三差分時間(Csys’−Cab)を算出する。絶対時刻取得部34bは、符号化フレームと、符号化フレームに付加したタイムスタンプ情報と、算出した第三差分時間をタイムスタンプ付加部36bに出力する。
【0066】
タイムスタンプ付加部36bは、エンコード部35から入力された符号化フレームに付加されているタイムスタンプ情報を、クロック保持部41から出力されたクロック値に基づいたクロック値Csys”を示すタイムスタンプ情報に書き換える。タイムスタンプ付加部36bは、エンコード部35から入力された符号化フレームに付加されていた書き換え前のタイムスタンプ情報が示すクロック値Csys’と、書き換え後のタイムスタンプ情報が示すクロック値Csys”との差分である第四差分時間(Csys”−Csys’)を算出する。タイムスタンプ付加部36bは、エンコード部35から入力された第三差分時間と、算出した第四差分時間と、書き換え後のタイムスタンプ情報とをシステムクロック算出部43に出力する。
【0067】
システムクロック算出部43は、以下の式(4)に示すように、書き換え後のタイムスタンプ情報が示すクロック値Csys”から、第三差分時間及び第四差分時間を減算し、フレームに付加されていた絶対時刻Tabにおけるクロック値Cabを算出する。
【0068】
Cab=Csys”−{(Csys”−Csys’)+(Csys’−Cab)} …(4)
【0069】
システムクロック算出部43は、S415の処理等においてすでに取得していた絶対時刻とクロック保持部41が保持するクロックのクロック値との対応関係に基づいて、クロック値Cabを絶対時刻Tabに変換する。システムクロック算出部43は、絶対時刻Tabに対応したシステムクロックのクロック値Csysを、対応情報に設定されている絶対時刻情報が示す絶対時刻Tab0と、対応情報に絶対時刻Tab0の絶対時刻情報と対応付けて設定されているタイムスタンプ情報が示すクロック値Csys0とを用い、以下の式(5)により算出する(ステップS425)。
【0070】
Csys=(Tab−Tab0)×f+Csys0 …(5)
【0071】
ただし、Csysがシステムクロックの最大カウント値Csysmaxより大きく、オーバーフローした場合は、以下の式(6)により算出する。
【0072】
Csys=Csys−Csysmax …(6)
【0073】
システムクロック算出部43は、算出したクロック値Csysをタイムスタンプ付加部36bに出力する。
【0074】
タイムスタンプ付加部36bは、符号化フレームに付加したタイムスタンプ情報を、システムクロック算出部43から出力されたクロック値Csysを示すタイムスタンプ情報に書き換える(ステップS430)。タイムスタンプ付加部36bは、符号化フレームに、制御情報を付加して配信ユニットを生成する。制御情報には、書き換えたタイムスタンプ情報が設定される。タイムスタンプ付加部36bは、生成した配信ユニットをフォーマット変換部37bに出力する。
【0075】
フォーマット変換部37bは、タイムスタンプ付加部36bから出力された配信ユニットの伝送フォーマットを変換し、ストリーム送出部38bに出力する(ステップS435)。ストリーム送出部38bは、フォーマット変換部37bによりフォーマット変換された配信ユニットを通信ネットワークを経由して受信機7に配信する(ステップS440)。
【0076】
配信ユニット抽出部33は、ステップS405においてストリーム受信部32が受信したストリームからまだ全ての配信ユニットを抽出していない場合(ステップS445:NO)、ステップS410からの処理を繰り返し、上記と同様の処理を行なう。
【0077】
配信ユニット抽出部33が、ステップS405においてストリーム受信部32が受信したストリームから全てのフレームを抽出した場合(ステップS445:YES)、処理を終了する。
【0078】
受信機7のチューナ71は、図6のステップS135において送出装置3aが送信した放送信号を受信する。第1デコード部74−1は、放送信号に含まれる配信ユニット内の符号化フレームをデコードし、デコードした符号化データに付加されていたタイムスタンプ情報と対応付けて第1同期用バッファ75−1にバッファリングする。
一方、受信機7の通信部73は、図6のステップS440において送出装置3bが配信したコンテンツデータの配信ユニットを受信する。第2デコード部74−2は、通信部73が受信した配信ユニット内の符号化フレームをデコードし、デコードした符号化データに付加されていたタイムスタンプ情報と対応付けて第2同期用バッファ75−2にバッファリングする。
受信機7の第1同期用バッファ75−1及び第2同期用バッファ75−2は、時計72から出力されるクロック値を所定の時間分遅延させたクロック値のタイムスタンプ情報と対応付けられているフレームを出力し、提示合成処理部76は、これらのフレームを同時に同期させて提示する。
【0079】
なお、上記においては、送出装置3aのエンコード部35及び送出装置3bのエンコード部35は、フレームに付加されている絶対時刻情報を削除し、符号化フレームに新たにタイムスタンプを付加するエンコード方式の例を示したが、フレームに付加されている絶対時刻情報を含めて符号化フレームを生成するエンコード方式を用いてもよい。例えば、絶対時刻情報を、フレーム自体に埋め込んで設定する場合、その絶対時刻情報を含めて符号化フレームが生成される。絶対時刻情報をフレーム自体に埋め込んで設定する具体的としては、映像フレームの垂直ブランキングに絶対時刻情報を挿入する方法がある。
【0080】
この場合、送出装置3aは、第一差分時間、第二差分時間を算出する必要はなく、送出装置3bは、第三差分時間、第四差分時間を算出する必要はない。送出装置3aの絶対時刻取得部34は、タイムスタンプ付加部36がタイムスタンプ情報を設定した符号化フレームから絶対時刻情報を読み出し、対応情報登録部39に出力する。対応情報登録部39は、絶対時刻取得部34が符号化フレームから読み出した絶対時刻情報と、タイムスタンプ付加部36がこの符号化フレームに設定したタイムスタンプ情報の組からなる対応情報を生成し、生成した対応情報を設定した登録要求をクロック対応情報配信サーバ5に送信する。
【0081】
そして、図8のステップS415において、送出装置3bの絶対時刻取得部34bは、タイムスタンプ付加部36bがタイムスタンプ情報を設定した符号化フレームから絶対時刻情報を読み出し、システムクロック算出部43に出力する。ステップS425において、システムクロック算出部43は、絶対時刻取得部34bが符号化フレームから読み出した絶対時刻情報が示す絶対時刻Tabと、対応情報に設定されている絶対時刻情報が示す絶対時刻Tab0と、対応情報に設定されているタイムスタンプ情報が示すクロック値Csys0とを用い、上述した式(5)及び式(6)によりシステムクロックのクロック値Csysを算出する。
【0082】
上記実施形態においては、副伝送経路が1経路である場合を説明したが、副伝送経路は2経路以上ある場合、それらの副伝送経路に備えられた送出装置3bそれぞれが上記と同様の処理を行う。
【0083】
また、上記実施形態においては、送出装置3aは、対応情報をクロック対応情報配信サーバ5に登録し、送出装置3bは、対応情報をクロック対応情報配信サーバ5から取得しているが、送出装置3aは、送出装置3bに直接対応情報を配信してもよい。
【0084】
次に、本発明の第二の実施形態を説明する。第一の実施形態では、主伝送経路及び副伝送経路の両伝送経路とも送出装置3においてフレームに提示時刻を示すタイムスタンプ情報を付加している。一方、本実施形態では、副伝送経路については、制作装置1においてタイムスタンプ情報を付加する。以下、第一の実施形態との差分を中心に説明する。
【0085】
図10は、第二の実施形態のコンテンツ提供システムの全体構成を示す図である。同図において、図1に示す第一の実施形態のコンテンツ提供システムと同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。同図に示すコンテンツ提供システムが、図1に示すコンテンツ提供システムと異なる点は、副伝送経路の制作装置1として、制作装置1bに代えて制作装置1cを備える点、副伝送経路の送出装置3として送出装置3bに代えて送出装置3cを備える点である。制作装置1cとクロック対応情報配信サーバ5とは、IP回線で接続される。送出装置3cは、サーバコンピュータなどであり、IP(Internet Protocol)網などの通信ネットワークを経由してコンテンツデータの配信ユニットを伝送する。
【0086】
図11は、制作装置1cの構成を示すブロック図である。この図において、図5に示す送出装置3bと同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。制作装置1cは、カメラやマイクなどであり、クロック保持部41、対応情報取得部42、コンテンツデータ生成部11、配信ユニット抽出部12、絶対時刻取得部34b、エンコード部35、システムクロック算出部43、タイムスタンプ付加部36b、フォーマット変換部37b及びストリーム送出部38bを備える。
コンテンツデータ生成部11は、コンテンツデータを生成する。配信ユニット抽出部12は、コンテンツデータ生成部11が生成したコンテンツデータから配信ユニットを抽出する。
【0087】
図12は、送出装置3cの構成を示すブロック図である。同図に示すように、送出装置3cは、ストリーム受信部32cとストリーム送出部38cを備える。
ストリーム受信部32cは、制作装置1cからコンテンツデータの配信ユニットを受信する。ストリーム送出部38cは、ストリーム受信部32cが受信した配信ユニットを受信機7に配信する。
【0088】
次に、第二の実施形態のコンテンツ提供システムの動作を説明する。
本実施形態による主伝送経路による配信ユニット伝送処理は、図6に示す第一の実施形態の主伝送経路による配信ユニット伝送処理と同様である。また、本実施形態による対応情報登録処理は、図7に示す第一の実施形態の対応情報登録処理と同様である。
【0089】
本実施形態の対応情報配信処理は、図8に示す第一の実施形態の対応情報配信処理と以下の点が異なる。すなわち、ステップS305において、制作装置1cの対応情報取得部42が、クロック対応情報配信サーバ5に対応情報配信要求を送信し、ステップS310において、クロック対応情報配信サーバ5の通信部52は、制作装置1cから対応情報配信要求を受信する。また、ステップS320において、クロック対応情報配信サーバ5の通信部52は、対応情報配信要求の送信元の制作装置1cに対応情報配信処理部54から入力された対応情報を送信し、ステップS325において、制作装置1cの対応情報取得部42が、クロック対応情報配信サーバ5から対応情報を受信する。
【0090】
次に、本実施形態の副伝送経路による配信ユニット配信処理を説明する。
制作装置1cのコンテンツデータ生成部11は、コンテンツデータを生成し、配信ユニット抽出部12に出力する。以降の動作は、図9に示す第1の実施形態の副伝送経路による配信ユニット配信処理におけるステップS410〜S445の動作と同様である。ただし、ステップS410において、配信ユニット抽出部12は、コンテンツデータ生成部11が生成したコンテンツデータから配信ユニットを抽出する。また、ステップS440において、ストリーム送出部38bは、フォーマット変換部37bによりフォーマット変換された配信ユニットを送出装置3cに伝送する。ステップS445において、配信ユニット抽出部12は、コンテンツデータ生成部11から入力されたコンテンツデータからまだ全ての配信ユニットを抽出していない場合は、ステップS410からの処理を繰り返し、全ての配信ユニットを抽出していない場合は処理を終了する。
【0091】
送出装置3cのストリーム受信部32cは、制作装置1cから伝送された配信ユニットを受信し、ストリーム送出部38cは、ストリーム受信部32cが受信した配信ユニットを受信機7に配信する。
【0092】
上記実施形態によれば、複数のコンテンツデータを異なる伝送経路によって受信機に配信する場合に、同期して提示すべきそれらコンテンツデータのフレームに同じ提示時刻を付加することができる。よって、マルチメディアコンテンツを構成する複数のコンテンツデータ(コンポーネント)をそれぞれ異なる伝送経路で配信する場合でも、受信機においてそれらのコンテンツデータを高度に同期させて提示させることができる。
【0093】
上述した制作装置1a、1b、1c、送出装置3a、3b、3c、クロック対応情報配信サーバ5及び受信機7は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、制作装置1a、制作装置1b、制作装置1cのコンテンツデータ生成部11、配信ユニット抽出部12、絶対時刻取得部34b、エンコード部35、タイムスタンプ付加部36b、フォーマット変換部37b、ストリーム送出部38b及び対応情報取得部42、送出装置3aのストリーム受信部32、配信ユニット抽出部33、絶対時刻取得部34、エンコード部35、タイムスタンプ付加部36、フォーマット変換部37、ストリーム送出部38及び対応情報登録部39、送出装置3bのストリーム受信部32、配信ユニット抽出部33、絶対時刻取得部34b、エンコード部35、タイムスタンプ付加部36b、フォーマット変換部37b、ストリーム送出部38b及び対応情報取得部42、送出装置3cのストリーム受信部32c及びストリーム送出部38c、クロック対応情報配信サーバ5の通信部52、対応情報登録受付処理部53及び対応情報配信処理部54、ならびに、受信機7の第1デコード部74−1、第2デコード部74−2及び提示合成処理部76の動作の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータシステムが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでいうコンピュータシステムとは、CPU及び各種メモリやOS、周辺機器等のハードウェアを含むものである。
【0094】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶部のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0095】
なお、制作装置1a、1b、1cの各部、送出装置3a、3b、3cの各部、及び、受信機7の各部は、専用のハードウェアにより実現されてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1、1a、1b、1c…制作装置
11…コンテンツデータ生成部
12…配信ユニット抽出部
3、3a、3b、3c…送出装置
31…システムクロック保持部
32、32c…ストリーム受信部
33…配信ユニット抽出部
34、34b…絶対時刻取得部
35…エンコード部
36、36b…タイムスタンプ付加部
37、37b…フォーマット変換部
38、38b、38c…ストリーム送出部
39…対応情報登録部
41…クロック保持部
42…対応情報取得部
43…システムクロック算出部
5…クロック対応情報配信サーバ
51…対応情報保持部
52…通信部
53…対応情報登録受付処理部
54…対応情報配信処理部
7…受信機
71…チューナ
72…時計
73…通信部
74−1…第1デコード部
74−2…第2デコード部
75−1…第1同期用バッファ
75−2…第2同期用バッファ
76…提示合成処理部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在時刻を出力するシステムクロックと、
コンテンツデータを受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記コンテンツデータのフレームに付加されている絶対時刻情報を取得する絶対時刻取得部と、
前記システムクロックに基づくタイムスタンプ情報を前記フレームに付加するタイムスタンプ付加部と、
前記タイムスタンプ付加部が前記タイムスタンプ情報を付加した前記フレームを受信機に配信する送出部と、
前記絶対時刻取得部が取得した前記絶対時刻情報と、前記タイムスタンプ付加部が付加した前記タイムスタンプ情報とを対応付けて出力する対応情報出力部と、
を備えることを特徴とする送出装置。
【請求項2】
コンテンツデータのフレームに付加された第1の絶対時刻情報と、前記フレームに付加した第1のタイムスタンプ情報とを対応付けて受信する対応情報取得部と、
コンテンツデータを受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記コンテンツデータのフレームに付加されている第2の絶対時刻情報を取得する絶対時刻取得部と、
前記絶対時刻取得部において取得した前記第2の絶対時刻情報が示す時刻と前記対応情報取得部が取得した前記第1の絶対時刻情報が示す時刻との差分を、前記第1のタイムスタンプ情報が示す時刻に加算した時刻を算出するシステムクロック算出部と、
前記システムクロック算出部が算出した前記時刻を示す第2のタイムスタンプ情報を、前記絶対時刻取得部が前記第2の絶対時刻情報を取得した前記フレームに付加するタイムスタンプ付加部と、
前記タイムスタンプ付加部によって前記第2のタイムスタンプ情報が付加された前記フレームを受信機に配信する送出部と、
を備えることを特徴とする送出装置。
【請求項3】
コンテンツデータのフレームに付加される絶対時刻情報と、前記フレームに関するタイムスタンプ情報とを対応付けて記憶する対応情報保持部と、
請求項1に記載の送出装置から受信した前記絶対時刻情報と前記タイムスタンプ情報とを対応付けて前記対応情報保持部に書き込む対応情報登録受付処理部と、
請求項2に記載の送信装置に対して、前記対応情報保持部から読み出した前記絶対時刻情報と前記タイムスタンプ情報とを対応付けて送信する対応情報配信処理部と、
を備えることを特徴とするクロック対応情報配信装置。
【請求項4】
クロック対応情報配信装置と複数の送出装置とを備えるコンテンツ提供システムであって、
現在時刻を出力するシステムクロックを有する前記送出装置が、
コンテンツデータを受信する第一受信部と、
前記第一受信部が受信した前記コンテンツデータのフレームに付加されている第1の絶対時刻情報を取得する第一絶対時刻取得部と、
前記システムクロックに基づく第1のタイムスタンプ情報を前記フレームに付加する第一タイムスタンプ付加部と、
前記第一タイムスタンプ付加部が前記第1のタイムスタンプ情報を付加した前記フレームを受信機に配信する第一送出部と、
前記第一絶対時刻取得部が取得した前記第1の絶対時刻情報と、前記第一タイムスタンプ付加部が付加した前記第1のタイムスタンプ情報とを対応付けて出力する対応情報出力部と、
を備え、
前記クロック対応情報配信装置は、
前記第1の絶対時刻情報と前記第1のタイムスタンプ情報とを対応付けて記憶する対応情報保持部と、
システムクロックを有する前記送出装置から受信した前記第1の絶対時刻情報と前記第1のタイムスタンプ情報とを対応付けて前記対応情報保持部に書き込む対応情報登録受付処理部と、
システムクロックを有する前記送出装置とは異なる前記送出装置に対して、前記対応情報保持部から読み出した前記第1の絶対時刻情報と前記第1のタイムスタンプ情報とを対応付けて送信する対応情報配信処理部と、
を備え、
前記異なる送出装置は、
前記第1の絶対時刻情報と前記第1のタイムスタンプ情報とを対応付けて、前記クロック対応情報配信装置から受信する対応情報取得部と、
コンテンツデータを受信する第二受信部と、
前記第二受信部が受信した前記コンテンツデータのフレームに付加されている第2の絶対時刻情報を取得する第二絶対時刻取得部と、
前記第二絶対時刻取得部において取得した前記第2の絶対時刻情報が示す時刻と前記対応情報取得部が取得した前記第1の絶対時刻情報が示す時刻との差分を、前記第1のタイムスタンプ情報が示す時刻に加算した時刻を算出するシステムクロック算出部と、
前記システムクロック算出部が算出した前記時刻を示す第2のタイムスタンプ情報を、前記第二絶対時刻取得部が前記第2の絶対時刻情報を取得した前記フレームに付加する第二タイムスタンプ付加部と、
前記第二タイムスタンプ付加部によって前記第2のタイムスタンプ情報が付加された前記フレームを受信機に配信する第二送出部と、
を備える、
ことを特徴とするコンテンツ提供システム。
【請求項5】
システムクロックを有する送出装置に用いられるコンピュータを、
コンテンツデータを受信する受信部、
前記受信部が受信した前記コンテンツデータのフレームに付加されている絶対時刻情報を取得する絶対時刻取得部、
前記システムクロックに基づくタイムスタンプ情報を前記フレームに付加するタイムスタンプ付加部、
前記タイムスタンプ付加部が前記タイムスタンプ情報を付加した前記フレームを受信機に配信する送出部、
前記絶対時刻取得部が取得した前記絶対時刻情報と、前記タイムスタンプ付加部が付加した前記タイムスタンプ情報とを対応付けて出力する対応情報出力部、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項6】
送出装置に用いられるコンピュータを、
コンテンツデータのフレームに付加された第1の絶対時刻情報と、前記フレームに付加した第1のタイムスタンプ情報とを対応付けて受信する対応情報取得部、
コンテンツデータを受信する受信部、
前記受信部が受信した前記コンテンツデータのフレームに付加されている第2の絶対時刻情報を取得する絶対時刻取得部、
前記絶対時刻取得部において取得した前記第2の絶対時刻情報が示す時刻と前記対応情報取得部が取得した前記第1の絶対時刻情報が示す時刻との差分を、前記第1のタイムスタンプ情報が示す時刻に加算した時刻を算出するシステムクロック算出部、
前記システムクロック算出部が算出した前記時刻を示す第2のタイムスタンプ情報を、前記絶対時刻取得部が前記第2の絶対時刻情報を取得した前記フレームに付加するタイムスタンプ付加部、
前記タイムスタンプ付加部によって前記第2のタイムスタンプ情報が付加された前記フレームを受信機に配信する送出部、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項7】
クロック対応情報配信装置に用いられるコンピュータを、
コンテンツデータのフレームに付加される絶対時刻情報と、前記フレームに関するタイムスタンプ情報とを対応付けて記憶する対応情報保持部、
請求項1に記載の送出装置から受信した前記絶対時刻情報と前記タイムスタンプ情報とを対応付けて前記対応情報保持部に書き込む対応情報登録受付処理部、
請求項2に記載の送信装置に対して、前記対応情報保持部から読み出した前記絶対時刻情報と前記タイムスタンプ情報とを対応付けて送信する対応情報配信処理部、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項1】
現在時刻を出力するシステムクロックと、
コンテンツデータを受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記コンテンツデータのフレームに付加されている絶対時刻情報を取得する絶対時刻取得部と、
前記システムクロックに基づくタイムスタンプ情報を前記フレームに付加するタイムスタンプ付加部と、
前記タイムスタンプ付加部が前記タイムスタンプ情報を付加した前記フレームを受信機に配信する送出部と、
前記絶対時刻取得部が取得した前記絶対時刻情報と、前記タイムスタンプ付加部が付加した前記タイムスタンプ情報とを対応付けて出力する対応情報出力部と、
を備えることを特徴とする送出装置。
【請求項2】
コンテンツデータのフレームに付加された第1の絶対時刻情報と、前記フレームに付加した第1のタイムスタンプ情報とを対応付けて受信する対応情報取得部と、
コンテンツデータを受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記コンテンツデータのフレームに付加されている第2の絶対時刻情報を取得する絶対時刻取得部と、
前記絶対時刻取得部において取得した前記第2の絶対時刻情報が示す時刻と前記対応情報取得部が取得した前記第1の絶対時刻情報が示す時刻との差分を、前記第1のタイムスタンプ情報が示す時刻に加算した時刻を算出するシステムクロック算出部と、
前記システムクロック算出部が算出した前記時刻を示す第2のタイムスタンプ情報を、前記絶対時刻取得部が前記第2の絶対時刻情報を取得した前記フレームに付加するタイムスタンプ付加部と、
前記タイムスタンプ付加部によって前記第2のタイムスタンプ情報が付加された前記フレームを受信機に配信する送出部と、
を備えることを特徴とする送出装置。
【請求項3】
コンテンツデータのフレームに付加される絶対時刻情報と、前記フレームに関するタイムスタンプ情報とを対応付けて記憶する対応情報保持部と、
請求項1に記載の送出装置から受信した前記絶対時刻情報と前記タイムスタンプ情報とを対応付けて前記対応情報保持部に書き込む対応情報登録受付処理部と、
請求項2に記載の送信装置に対して、前記対応情報保持部から読み出した前記絶対時刻情報と前記タイムスタンプ情報とを対応付けて送信する対応情報配信処理部と、
を備えることを特徴とするクロック対応情報配信装置。
【請求項4】
クロック対応情報配信装置と複数の送出装置とを備えるコンテンツ提供システムであって、
現在時刻を出力するシステムクロックを有する前記送出装置が、
コンテンツデータを受信する第一受信部と、
前記第一受信部が受信した前記コンテンツデータのフレームに付加されている第1の絶対時刻情報を取得する第一絶対時刻取得部と、
前記システムクロックに基づく第1のタイムスタンプ情報を前記フレームに付加する第一タイムスタンプ付加部と、
前記第一タイムスタンプ付加部が前記第1のタイムスタンプ情報を付加した前記フレームを受信機に配信する第一送出部と、
前記第一絶対時刻取得部が取得した前記第1の絶対時刻情報と、前記第一タイムスタンプ付加部が付加した前記第1のタイムスタンプ情報とを対応付けて出力する対応情報出力部と、
を備え、
前記クロック対応情報配信装置は、
前記第1の絶対時刻情報と前記第1のタイムスタンプ情報とを対応付けて記憶する対応情報保持部と、
システムクロックを有する前記送出装置から受信した前記第1の絶対時刻情報と前記第1のタイムスタンプ情報とを対応付けて前記対応情報保持部に書き込む対応情報登録受付処理部と、
システムクロックを有する前記送出装置とは異なる前記送出装置に対して、前記対応情報保持部から読み出した前記第1の絶対時刻情報と前記第1のタイムスタンプ情報とを対応付けて送信する対応情報配信処理部と、
を備え、
前記異なる送出装置は、
前記第1の絶対時刻情報と前記第1のタイムスタンプ情報とを対応付けて、前記クロック対応情報配信装置から受信する対応情報取得部と、
コンテンツデータを受信する第二受信部と、
前記第二受信部が受信した前記コンテンツデータのフレームに付加されている第2の絶対時刻情報を取得する第二絶対時刻取得部と、
前記第二絶対時刻取得部において取得した前記第2の絶対時刻情報が示す時刻と前記対応情報取得部が取得した前記第1の絶対時刻情報が示す時刻との差分を、前記第1のタイムスタンプ情報が示す時刻に加算した時刻を算出するシステムクロック算出部と、
前記システムクロック算出部が算出した前記時刻を示す第2のタイムスタンプ情報を、前記第二絶対時刻取得部が前記第2の絶対時刻情報を取得した前記フレームに付加する第二タイムスタンプ付加部と、
前記第二タイムスタンプ付加部によって前記第2のタイムスタンプ情報が付加された前記フレームを受信機に配信する第二送出部と、
を備える、
ことを特徴とするコンテンツ提供システム。
【請求項5】
システムクロックを有する送出装置に用いられるコンピュータを、
コンテンツデータを受信する受信部、
前記受信部が受信した前記コンテンツデータのフレームに付加されている絶対時刻情報を取得する絶対時刻取得部、
前記システムクロックに基づくタイムスタンプ情報を前記フレームに付加するタイムスタンプ付加部、
前記タイムスタンプ付加部が前記タイムスタンプ情報を付加した前記フレームを受信機に配信する送出部、
前記絶対時刻取得部が取得した前記絶対時刻情報と、前記タイムスタンプ付加部が付加した前記タイムスタンプ情報とを対応付けて出力する対応情報出力部、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項6】
送出装置に用いられるコンピュータを、
コンテンツデータのフレームに付加された第1の絶対時刻情報と、前記フレームに付加した第1のタイムスタンプ情報とを対応付けて受信する対応情報取得部、
コンテンツデータを受信する受信部、
前記受信部が受信した前記コンテンツデータのフレームに付加されている第2の絶対時刻情報を取得する絶対時刻取得部、
前記絶対時刻取得部において取得した前記第2の絶対時刻情報が示す時刻と前記対応情報取得部が取得した前記第1の絶対時刻情報が示す時刻との差分を、前記第1のタイムスタンプ情報が示す時刻に加算した時刻を算出するシステムクロック算出部、
前記システムクロック算出部が算出した前記時刻を示す第2のタイムスタンプ情報を、前記絶対時刻取得部が前記第2の絶対時刻情報を取得した前記フレームに付加するタイムスタンプ付加部、
前記タイムスタンプ付加部によって前記第2のタイムスタンプ情報が付加された前記フレームを受信機に配信する送出部、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項7】
クロック対応情報配信装置に用いられるコンピュータを、
コンテンツデータのフレームに付加される絶対時刻情報と、前記フレームに関するタイムスタンプ情報とを対応付けて記憶する対応情報保持部、
請求項1に記載の送出装置から受信した前記絶対時刻情報と前記タイムスタンプ情報とを対応付けて前記対応情報保持部に書き込む対応情報登録受付処理部、
請求項2に記載の送信装置に対して、前記対応情報保持部から読み出した前記絶対時刻情報と前記タイムスタンプ情報とを対応付けて送信する対応情報配信処理部、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−42361(P2013−42361A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177856(P2011−177856)
【出願日】平成23年8月16日(2011.8.16)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月16日(2011.8.16)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】
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