説明

送受信回路、情報処理装置、通信方法、およびプログラム

【課題】搬送波を用いた非接触通信において、通信不可領域の発生を防止することが可能な送受信回路、情報処理装置、通信方法、およびプログラムを提供する。
【解決手段】リーダ/ライタから送信された搬送波を受信し誘起電圧を発生させる通信アンテナと、検出信号を出力する搬送波検出部と、検出信号に基づいて入力電圧に応じた周波数の出力信号を出力する電圧制御発振部と、基準信号と出力信号との位相差に応じた位相差信号を出力する位相比較部と、搬送波信号を処理し位相差信号に基づいて制御信号を出力するデータ処理部と、位相差信号に基づいて位相補償電圧を出力するループフィルタと、制御信号に応じて位相補償電圧が選択的に入力され、位相補償電圧または保持した保持電圧を入力電圧として出力するレベル保持部と、制御信号に基づいて出力信号を選択的に通信アンテナへ出力しシンクロ搬送波を送信させる変調部とを備える送受信回路が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送受信回路、情報処理装置、通信方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非接触式IC(Integrated Circuit)カードや、RFID(Radio Frequency Identification)タグ、非接触式ICチップを搭載した携帯電話など、リーダ/ライタ(または、リーダ/ライタ機能を有する通信装置)と非接触式に通信可能な情報処理装置が普及している。
【0003】
リーダ/ライタと、ICカード、携帯電話などの情報処理装置とは、例えば13.56MHzなど特定の周波数の磁界(搬送波)を通信に使用している。具体的には、リーダ/ライタが搬送波信号をのせた搬送波を送信し、搬送波をアンテナで受信したICカードなどの情報処理装置が負荷変調によって受信した搬送波信号に対する応答信号を返信することにより、リーダ/ライタと情報処理装置とは通信を行うことができる。
【0004】
また、上記のようなリーダ/ライタと非接触式に通信可能な情報処理装置は、耐タンパ性を有するICチップを備え、当該ICチップを用いて搬送波を用いた非接触通信を行うことにより、例えば、電子マネーなどデータの改竄が問題となるデータの送受信や更新を安全に行うことができる。したがって、上記のようなリーダ/ライタと非接触式に通信可能なICチップを搭載した情報処理装置を利用した様々なサービスの提供が社会的に広がっている。そして、サービスの提供の広がりに伴い、ICカードや携帯電話などの非接触式ICチップを搭載した情報処理装置の普及がさらに進んでいる。
【0005】
このような中、リーダ/ライタと情報処理装置との間における搬送波を用いた非接触通信を安定化するための様々な技術が開発されている。通信距離を推定して同調させる周波数をシフトさせる技術としては、例えば、特許文献1、特許文献2が挙げられる。また、変調成分の検出の困難性を判定し判定結果に応じて搬送波を弱める技術としては、例えば、特許文献3が挙げられる。また、応答が受信されない時間の経過に応じて出力インピーダンスを切り替える技術としては、例えば、特許文献4が挙げられる。さらに、至近距離での通信を可能とさせるためにアンテナの共振周波数を予め所定の値だけ低く設定する技術としては、例えば、特許文献5が挙げられる。
【0006】
【特許文献1】特開2006−279813号公報
【特許文献2】特開2006−238398号公報
【特許文献3】特開2007−74153号公報
【特許文献4】特開2004−240716号公報
【特許文献5】特開2003−67689号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
リーダ/ライタやリーダ/ライタ機能(すなわち、搬送波を主体的に送信する機能)を有する通信装置(以下、単に「リーダ/ライタ」という。)と、ICカードや携帯電話などの情報処理装置とは、例えば、13.56MHzなどの所定の周波数の磁界(以下、「搬送波」という。)を用いて通信を行っているため、通信距離が近ければ近い程磁界のエネルギーは大きくなり、通信の安定化が望める。しかしながら、実際には、リーダ/ライタと情報処理装置との通信距離が近い場合(すなわち、通信可能範囲内)であっても通信が行えないことがある。これは、リーダ/ライタが、情報処理装置における負荷変調の前後における状態変化を捉えられないことにより、情報処理装置から送信される応答信号を受信しているにも関わらず復調できない場合に生じうる。
【0008】
ここで、通信距離を推定して同調させる周波数をシフトさせる従来の技術は、単に通信距離を推定してリーダ/ライタ側、あるいは情報処理装置側の同調周波数をシフトさせているに過ぎない。したがって、例えば、通信に用いるアンテナサイズや巻き数などによって通信が行えないポイントがずれた場合(すなわち、通信が行えないポイントが一定でない場合)には、通信距離を推定して同調させる周波数をシフトさせる従来の技術を用いたとしても通信の安定化は望めない。
【0009】
また、変調成分の検出の困難性を判定し判定結果に応じて搬送波を弱める技術は、通信が行えないポイントを回避するために通信に用いる搬送波を意図的に弱めなければならず、通信の安定化は望めない。また、変調成分の検出の困難性を判定し判定結果に応じて搬送波を弱める技術は、補助アンテナを備えなければ通信が行えないポイントを回避することすら十分にできない。したがって、変調成分の検出の困難性を判定し判定結果に応じて搬送波を弱める技術を用いたとしても通信の安定化は望めない。
【0010】
また、応答が受信されない時間の経過に応じて出力インピーダンスを切り替える従来の技術は、通信が行えないポイントを回避するために出力インピーダンスを単に切り替えているに過ぎない。したがって、切り替えた出力インピーダンスが通信に適した出力インピーダンスであるとは限らないことから、応答が受信されない時間の経過に応じて出力インピーダンスを切り替える従来の技術を用いたとしても通信の安定化は望めない。
【0011】
さらに、至近距離での通信を可能とさせるためにアンテナの共振周波数を予め所定の値だけ低く設定する従来の技術は、単にアンテナの共振周波数を予め設定しているに過ぎないことから、例えば、アンテナサイズや巻き数などによって通信が行えないポイントがずれた場合(すなわち、通信が行えないポイントが一定でない場合)には、予め設定された共振周波数において通信が行えない場合が起こりうる。したがって、至近距離での通信を可能とさせるためにアンテナの共振周波数を予め所定の値だけ低く設定する従来の技術を用いたとしても通信の安定化は望めない。
【0012】
したがって、従来のリーダ/ライタと情報処理装置との間における通信を安定化する技術は、上記通信可能範囲内において通信が行えない問題について解決を図ることができない。
【0013】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、搬送波を用いた非接触通信において、通信可能な範囲内における通信不可領域の発生を防止することが可能な、新規かつ改良された送受信回路、情報処理装置、通信方法、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点によれば、リーダ/ライタから送信された所定の周波数の搬送波を受信し、上記搬送波に応じた誘起電圧を発生させる通信アンテナと、上記誘起電圧を検出して検出信号を出力する搬送波検出部と、上記検出信号と入力電圧とが入力され、上記検出信号に基づいて、入力された入力電圧に応じた周波数の出力信号を出力する電圧制御発振部と、上記誘起電圧が検波された基準信号の位相と上記出力信号の位相との位相差を比較し、上記位相差に応じた位相差信号を出力する位相比較部と、上記誘起電圧に基づいて復調された搬送波信号を処理し、上記位相差信号に基づいて、上記処理に応じた制御信号を出力するデータ処理部と、上記位相差信号の交流成分を取り除き、位相補償電圧を出力するループフィルタと、上記制御信号に応じて上記位相補償電圧が選択的に入力されて上記位相補償電圧を保持し、上記制御信号に応じて入力された上記位相補償電圧、または、保持した保持電圧を上記入力電圧として選択的に上記電圧制御発振部へ出力するレベル保持部と、上記制御信号に基づいて上記出力信号を選択的に上記通信アンテナへ出力し、上記通信アンテナからシンクロ搬送波を送信させる変調部とを備える送受信回路が提供される。
【0015】
かかる構成により、搬送波を用いた非接触通信において、通信可能な範囲内における通信不可領域の発生を防止することができる。
【0016】
また、上記変調部は、上記制御信号に応じてオン/オフ動作する第1のスイッチを備え、上記レベル保持部は、上記制御信号に応じて、上記第1のスイッチがオンのときオフし上記第1のスイッチがオフのときオンして選択的に上記位相補償電圧を上記入力電圧として出力する第2のスイッチと、上記第2のスイッチから出力される上記位相補償電圧を保持し、上記第2のスイッチがオフのとき保持された上記保持電圧を上記入力電圧として出力するキャパシタとを備えてもよい。
【0017】
かかる構成により、搬送波に基づく基準信号と周波数および位相が同期した出力信号を用いて変調を行うことができる。
【0018】
また、上記データ処理部は、上記位相差信号が示す位相差が0のとき上記処理に応じた制御信号を出力してもよい。
【0019】
かかる構成により、搬送波に基づく基準信号と周波数および位相が同期した出力信号を用いて変調を行うことができる。
【0020】
また、上記制御信号に応じて上記変調部から選択的に出力される上記出力信号の位相を補正して上記通信アンテナへ伝達する位相補正部をさらに備えてもよい。
【0021】
かかる構成により、通信可能な範囲内における通信不可領域の発生をより確実に防止することができる。
【0022】
また、上記位相補正部は、上記出力信号の位相を所定の量遅延させてもよい。
【0023】
かかる構成により、通信可能な範囲内における通信不可領域の発生をより確実に防止することができる。
【0024】
また、上記制御信号に応じて上記変調部から選択的に出力される上記出力信号のゲインを増幅する増幅部をさらに備えてもよい。
【0025】
かかる構成により、よりゲインの大きなシンクロ搬送波を送信させて通信が正常に行える可能性を高めることができる。
【0026】
また、上記電圧制御発振部から出力される上記出力信号を分周する分周部をさらに備えてもよい。
【0027】
かかる構成により、電圧制御発振部から出力される出力信号と搬送波の周波数が異なるため、シンクロの誤動作を回避しつつ、デューティ(Duty)を50%に整えることができる。
【0028】
また、上記誘起電圧を包絡線検波して上記基準信号を出力する検波部をさらに備えてもよい。
【0029】
かかる構成により、誘起電圧に基づく基準信号を生成することができる。
【0030】
また、上記誘起電圧を包絡線検波し、上記包絡線検波した信号を2値化して上記搬送波信号として出力する復調部をさらに備えてもよい。
【0031】
かかる構成により、誘起電圧に基づいて搬送波信号を復調することができる。
【0032】
また、上記目的を達成するために、本発明の第2の観点によれば、リーダ/ライタから送信された所定の周波数の搬送波を受信し、上記搬送波に応じた誘起電圧を発生させる通信アンテナと、上記誘起電圧を検出して検出信号を出力する搬送波検出部と、上記検出信号によって動作状態となり出力信号を発生させる電圧制御発振部と、上記誘起電圧により検出された基準信号と上記出力信号との位相差を比較し、上記位相差に応じた位相差信号を出力する位相比較部と、上記位相差信号を平滑化し位相補償電圧を出力するループフィルタと、上記誘起電圧に基づいて復調された搬送波信号を処理し、上記位相差信号に基づいて、上記処理に応じた制御信号を出力するデータ処理部と、上記制御信号に応じて上記位相補償電圧が選択的に入力されて上記位相補償電圧を保持し、上記制御信号に応じて保持された上記位相補償電圧を入力電圧として上記電圧制御発振部へ出力するレベル保持部と、上記制信号に基づいて上記出力信号を選択的に上記通信アンテナへ出力し、上記通信アンテナからシンクロ搬送波を送信させる変調部とを備える情報処理装置が提供される。
【0033】
かかる構成により、搬送波を用いた非接触通信において、通信可能な範囲内における通信不可領域の発生を防止することができる。
【0034】
また、上記情報処理装置は、携帯型通信装置であってもよい。
【0035】
また、上記目的を達成するために、本発明の第3の観点によれば、リーダ/ライタと搬送波を用いた非接触通信を行う通信アンテナと、上記通信アンテナにおいて上記搬送波の受信に応じて発生した誘起電圧が検波された基準信号が入力され、上記基準信号と周波数および位相を同期させた出力信号を出力する位相同期部と、上記誘起電圧が復調された搬送波信号を処理し、上記位相同期部における上記同期に基づいて、上記処理に応じた制御信号を出力するデータ処理部と、上記制御信号に基づいて上記出力信号を選択的に上記通信アンテナへ出力し、上記通信アンテナからシンクロ搬送波を送信させる変調部とを備える情報処理装置に用いられる通信方法であって、上記搬送波の受信を検出するステップと、上記検出するステップの検出結果に応じて上記位相同期部における上記基準信号と上記出力信号との同期を行うステップと、上記検出するステップにおいて検出された上記搬送波に応じた上記搬送波信号を処理するステップと、上記位相同期部における上記基準信号と上記出力信号との位相の同期を判定するステップと、上記判定するステップの判定結果に基づいて、上記処理するステップの処理結果に応じた上記制御信号を出力するステップと、上記制御信号に応じて上記位相同期部から出力される出力信号の周波数および位相を一定に保つステップと、上記一定に保つステップにおいて周波数および位相が一定に保たれた出力信号を上記制御信号に応じて上記通信アンテナへ伝達し、シンクロ搬送波を送信するステップとを有する通信方法が提供される。
【0036】
かかる方法を用いることにより、搬送波を用いた非接触通信において、通信可能な範囲内における通信不可領域の発生を防止することができる。
【0037】
また、上記目的を達成するために、本発明の第4の観点によれば、リーダ/ライタと搬送波を用いた非接触通信を行う通信アンテナと、上記通信アンテナにおいて上記搬送波の受信に応じて発生した誘起電圧が検波された基準信号が入力され、上記基準信号と周波数および位相を同期させた出力信号を出力する位相同期部と、上記誘起電圧が復調された搬送波信号を処理し、上記位相同期部における上記同期に基づいて、上記処理に応じた制御信号を出力するデータ処理部と、上記制御信号に基づいて上記出力信号を選択的に上記通信アンテナへ出力し、上記通信アンテナからシンクロ搬送波を送信させる変調部とを備える情報処理装置に用いることか可能なプログラムであって、上記搬送波の受信を検出するステップ、上記検出するステップの検出結果に応じて上記位相同期部における上記基準信号と上記出力信号との同期を行うステップ、上記検出するステップにおいて検出された上記搬送波に応じた上記搬送波信号を処理するステップ、上記位相同期部における上記基準信号と上記出力信号との位相の同期を判定するステップ、上記判定するステップの判定結果に基づいて、上記処理するステップの処理結果に応じた上記制御信号を出力するステップ、上記制御信号に応じて上記位相同期部から出力される出力信号の周波数および位相を一定に保つステップ、上記一定に保つステップにおいて周波数および位相が一定に保たれた出力信号を上記制御信号に応じて上記通信アンテナへ伝達し、シンクロ搬送波を送信するステップをコンピュータに実行させるためのプログラムが提供される。
【0038】
かかるプログラムにより、搬送波を用いた非接触通信において、通信可能な範囲内における通信不可領域の発生を防止することができる。
【0039】
また、上記目的を達成するために、本発明の第5の観点によれば、リーダ/ライタから送信された所定の周波数の搬送波を受信し、上記搬送波に応じた誘起電圧を発生させる通信アンテナと、上記誘起電圧を検出して検出信号を出力する搬送波検出部と、上記検出信号と入力電圧とが入力され、上記検出信号に基づいて、入力された入力電圧に応じた周波数の出力信号を出力する電圧制御発振部と、上記誘起電圧が検波された基準信号の位相と上記出力信号の位相との位相差を比較し、上記位相差に応じた位相差信号を出力する位相比較部と、上記誘起電圧に基づいて復調された搬送波信号を処理し、上記位相差信号に基づいて、上記処理に応じた制御信号を出力するデータ処理部と、上記位相差信号の交流成分を取り除き、位相補償電圧を出力するループフィルタと、上記制御信号に応じて上記位相補償電圧が選択的に入力されて上記位相補償電圧を保持し、上記制御信号に応じて入力された上記位相補償電圧、または、保持した保持電圧を上記入力電圧として選択的に上記電圧制御発振部へ出力するレベル保持部と、上記制御信号に基づいて上記出力信号を選択的に上記通信アンテナへ出力し、上記通信アンテナからシンクロ搬送波を送信させる変調部とを備える情報処理装置が提供される。
【0040】
かかる構成により、搬送波を用いた非接触通信において、通信可能な範囲内における通信不可領域の発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、搬送波を用いた非接触通信において、通信可能な範囲内における通信不可領域の発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0043】
(従来のリーダ/ライタと従来の情報処理装置からなる非接触通信システム)
本発明の実施形態に係る情報処理装置(本発明の実施形態に係る送受信回路を備えた情報処理装置)について説明を行う前に、まず、従来のリーダ/ライタと従来の情報処理装置との間における搬送波を用いた非接触通信について説明する。図1は、従来のリーダ/ライタと従来の情報処理装置からなる従来の非接触通信システムを示す説明図である。
【0044】
図1を参照すると、従来の非接触通信システムは、搬送波を主体的に送信する従来のリーダ/ライタ10と、搬送波を受信して応答を行う従来の情報処理装置50とを有する。
【0045】
[リーダ/ライタ10]
リーダ/ライタ10は、搬送波信号生成部12と、搬送波送信部14と、復調部16と、制御部18とを備える。また、リーダ/ライタ10は、例えば、HostComputer20と接続され、HostComputer20からの送信命令に応じて搬送波信号を送信することができる。
【0046】
搬送波信号生成部12は、制御部18からの搬送波信号生成命令を受け、搬送波信号生成命令に応じた搬送波信号を生成する。
【0047】
搬送波送信部14は、例えば、所定のインダクタンスをもつコイルL10(インダクタ)と所定の静電容量をもつキャパシタC10とからなる共振回路で構成され、搬送波信号生成部12が生成した搬送波信号に応じた搬送波を送信する。また、搬送波送信部14は、情報処理装置50からの応答信号を所定の共振周波数で共振させて受信する。つまり、搬送波送信部14は、リーダ/ライタ10の通信アンテナとしての役目を果たす。
【0048】
復調部16は、例えば、搬送波送信部14のアンテナ端における電圧の振幅変化を包絡線検波し、検波した信号を2値化することによって、情報処理装置50からの応答信号を復調する。
【0049】
制御部18は、例えば、MPU(Micro Processing Unit)などで構成され、復調部16が復調したデータをHostComputer20へ送信する、または、復調部16が復調したデータに基づいて搬送波信号生成命令を生成するなど、様々な処理を行うことができる。
【0050】
リーダ/ライタ10は、例えば、上記のような構成によって、搬送波を送信し、情報処理装置50からの応答信号を復調することができる。
【0051】
[情報処理装置50]
情報処理装置50は、搬送波を受信し、負荷変調により応答信号を送信可能なICチップ52を備える。また、情報処理装置50は、MPUなどで構成され情報処理装置50全体を制御する制御部(図示せず)や、情報処理装置50において用いられるアプリケーション、データなどを記憶可能な記憶部(図示せず)などを備えてもよい。
【0052】
〔ICチップ52の構成〕
ICチップ52は、通信アンテナ54と、検波部56と、レギュレータ58(Regulator)と、フィルタ部60と、復調部62と、データ処理部64と、負荷変調部66とを備える。また、ICチップ52は、データ処理部64が使用するプログラムや演算パラメータなどの制御用データが記録されたROM68、データ処理部64により実行されるプログラム、演算結果、実行状態などを一次記憶するRAM70、データ処理部64が処理するデータを記憶可能な記録媒体72などを備えることができる。データ処理部64と、ROM68、RAM70、記録媒体72とは、例えば、データの伝送路としてのバス(bus)によって接続される。
【0053】
通信アンテナ54は、所定のインダクタンスをもつコイル(インダクタ)L11と、所定の静電容量をもつキャパシタC11とからなる共振回路で構成され、搬送波の受信に応じて電磁誘導により誘起電圧を生じさせる。そして、通信アンテナ54は、所定の共振周波数で誘起電圧を共振させた受信電圧を出力する。ここで、通信アンテナ54における共振周波数は、例えば、13.56MHzなど搬送波の周波数に合わせて設定される。通信アンテナ54は、上記構成により、搬送波を受信し、また、負荷変調部66において行われる負荷変調により送信される応答信号の送信を行うことができる。
【0054】
検波部56は、通信アンテナ54から出力される受信電圧を整流する。ここで、検波部56は、例えば、ダイオードD10と、キャパシタC12で構成される。
【0055】
レギュレータ58は、受信電圧を平滑、定電圧化し、データ処理部64へ駆動電圧を出力する。ここで、レギュレータ58は、受信電圧の直流成分を駆動電圧として用いる。
【0056】
フィルタ部60は、例えば、キャパシタC13と抵抗R10とからなるハイパス・フィルタ(High-Pass Filter)で構成され、受信電圧をフィルタリングする。
【0057】
復調部62は、フィルタ部60から出力される受信電圧を用いて復調し、搬送波に含まれる搬送波信号に対応するデータを取り出す。ここで、復調部62は、受信電圧の交流成分をデータとして取り出す。
【0058】
データ処理部64は、レギュレータ58から出力される駆動電圧を電源とすることによって、復調部62において復調されたデータの処理を行う。ここで、データ処理部64は、例えば、MPUで構成される。
【0059】
負荷変調部66は、例えば、負荷ZとトランジスタTrとを備え、例えば、データ処理部64の処理結果に応じて負荷変調を行う。ここで、負荷変調部66において負荷変調が行われることにより、リーダ/ライタ10からみた情報処理装置50のインピーダンスが変化する。リーダ/ライタ10は、上記インピーダンスの変化を、例えば、搬送波送信部14のアンテナ端における電圧の振幅変化を利用して検出することによって、情報処理装置50がリーダ/ライタ10へ送信した応答信号を受信することができる。
【0060】
情報処理装置50は、例えば、上記のような構成により、リーダ/ライタ10から送信される搬送波に基づいてデータ処理などを行い、応答信号を返信する。
【0061】
図1を参照して説明したように、従来の非接触通信システムでは、リーダ/ライタ10が搬送波を送信し、また、リーダ/ライタ10が、情報処理装置50における負荷変調により生じる搬送波送信部14のアンテナ端における電圧の振幅変化を包絡線検波することにより情報処理装置50からの応答信号を復調する。したがって、従来の非接触通信システムでは、リーダ/ライタ10と情報処理装置50との間における搬送波を用いた非接触通信が成立する。
【0062】
[従来の従来の非接触通信システムにおける問題]
しかしながら、従来のリーダ/ライタ10では、上述したように通信可能範囲内において通信が行えない場合がある。そこで、次に、従来の非接触通信システムにおける問題について説明する。
【0063】
図2は、従来の非接触通信システムにおける問題を説明するための第1の説明図である。図2は、情報処理装置50において負荷変調が行われていない場合(負荷変調OFF)および情報処理装置50において負荷変調が行われた場合(負荷変調ON)それぞれの、リーダ/ライタ10の通信アンテナ(搬送波送信部14)における電圧の振幅を示している。また、図3は、従来の非接触通信システムにおける問題を説明するための第2の説明図であり、リーダ/ライタ10における情報処理装置50から送信された応答信号を復調した応答データの正答率を示している。
【0064】
図2を参照すると、リーダ/ライタ10の通信アンテナにおける電圧は、情報処理装置50において負荷変調が行われていない場合(負荷変調OFF)と、情報処理装置50において負荷変調が行われた場合(負荷変調ON)とで変化することが分かる。これは、情報処理装置50が負荷変調を行うことによってリーダ/ライタ10が送信する磁界とは逆方向の反磁界が情報処理装置50から発生(情報処理装置50からの応答信号の送信)し、当該反磁界をリーダ/ライタ10の通信アンテナが受けるためである。
【0065】
従来のリーダ/ライタ10は、上述したように、情報処理装置50における負荷変調のON/OFFによって通信アンテナ(搬送波送信部14)に生じる電圧の振幅変化を利用して受信した応答信号から応答データを復調する。しかしながら、図2のAに示すように、情報処理装置50における負荷変調のOFFとONとの前後でリーダ/ライタ10の通信アンテナに生じる電圧が変化しない場合がある。ここで、リーダ/ライタ10が送信する搬送波は、例えば、13.56MHzなど所定の周波数(以下、従来のリーダ/ライタ10および本発明の実施形態に係るリーダ/ライタが出力する搬送波の所定周波数を「出力搬送波周波数」という。)f0を有するが、様々な要因によって出力搬送波周波数で共振させられない(すなわち、出力搬送波周波数f0と受信のための共振周波数fcとがずれる)ことがある。なお、上記要因としては、例えば、リーダ/ライタ10の通信アンテナ(搬送波送信部14)および情報処理装置50の通信アンテナ54それぞれのアンテナサイズや巻き数、またリーダ/ライタ10の通信アンテナ(搬送波送信部14)および情報処理装置50の通信アンテナ54のアンテナ間距離による結合係数の変化などが挙げられる。
【0066】
上記の場合には、リーダ/ライタ10は、情報処理装置50から送信される応答信号を受信しているにも関わらず、復調することができない。したがって、図3に示すように、情報処理装置50とリーダ/ライタ10との通信距離が近い場合であっても復調した応答データの正答率が極端に低くなる領域(以下、「通信不可領域」という。)が生まれてしまう。ここで、図3に示す距離aは、情報処理装置50とリーダ/ライタ10との通信距離であり、当該距離aにおいて図2のAに示すような状態となっていることを示している。
【0067】
図2、図3に示すように、従来のリーダ/ライタ10は、情報処理装置50から送信される応答信号を復調できない場合があるため、通信可能範囲内であっても通信不可領域が生じてしまう。したがって、従来の非接触通信システムは、通信不可領域を無くすことはできず、リーダ/ライタ10と情報処理装置50との通信を安定化することはできない。
【0068】
(本発明の実施形態に係る問題解決アプローチ)
上記のように、従来の非接触通信システムでは、通信不可領域が生じることによって、ユーザがリーダ/ライタにICカードや非接触ICチップを搭載した携帯電話などの情報処理装置をかざしても(情報処理装置をリーダ/ライタの通信範囲内に位置づけても)、通信が行われない場合がある。上記の場合には、ユーザは再度リーダ/ライタへ情報処理装置をかざす動作を行わなければならない。したがって、従来の非接触通信システムは、ユーザに過度の負担を課していた。
【0069】
そこで、本発明の実施形態に係る非接触通信システムでは、通信不可領域の発生を防止して通信を安定化させる。これにより、本発明の実施形態に係る非接触通信システムは、従来の非接触通信システムがユーザに課している上記のよう負担を取り除くことができる。
【0070】
[問題解決アプローチ]
本発明の実施形態に係る非接触通信システムは、通信不可領域の発生を防止するために、リーダ/ライタから送信される搬送波を受信し、搬送波の受信に応じて応答を行う情報処理装置が対応を行う。より具体的には、本発明の実施形態に係る情報処理装置は、従来の情報処理装置50が負荷変調により応答を行っていたのに対して、リーダ/ライタが送信する搬送波にシンクロナイズ(synchronize)させたシンクロ搬送波を自ら送信することによって、リーダ/ライタに対する応答を行う。なお、本発明の実施形態に係る情報処理装置は、リーダ/ライタが送信する搬送波と位相をずらしたシンクロ搬送波を送信することもできる。
【0071】
本発明の実施形態に係る情報処理装置は、以下の(1)〜(3)の処理により、シンクロ搬送波をリーダ/ライタに送信して応答を行う。
(1)搬送波の受信
(2)搬送波に基づく基準信号(後述する)と周波数および位相を同期させた出力信号の生成
(3)出力信号に基づくシンクロ搬送波を選択的に送信(応答信号の送信)
【0072】
図4は、本発明の実施形態に係る問題解決アプローチの効果を説明するための説明図である。図4は、図2と同様に、情報処理装置において負荷変調が行われていない場合(負荷変調OFF)および情報処理装置において負荷変調が行われた場合(負荷変調ON)それぞれの、リーダ/ライタの通信アンテナにおける電圧の振幅を示している。
【0073】
図4を参照すると、リーダ/ライタの通信アンテナにおける電圧は、情報処理装置において変調が行われていない場合(変調OFF)と、情報処理装置において変調が行われた場合(変調ON)とで変化することが分かる。ここで、本発明の実施形態に係る情報処理装置はシンクロ搬送波を送信することによって応答信号の送信を行うので、本発明の実施形態に係るリーダ/ライタのアンテナ端の電圧は、変調OFFの場合の波形が上方、あるいは下方にスライドした波形を示す。ここで、図4に示すように、本発明の実施形態に係るリーダ/ライタでは、情報処理装置における変調のOFFとONとの前後でリーダ/ライタの通信アンテナに生じる電圧が変化しない場合(すなわち、図2の点A)は生じない。つまり、本発明の実施形態に係る非接触通信システムでは、通信不可領域が発生しない。
【0074】
したがって、本発明の実施形態に係る非接触通信システムは、情報処理装置がシンクロ搬送波を選択的に送信することにより、通信可能な範囲内における通信不可領域の発生を防止し、リーダ/ライタと情報処理装置との通信を安定化させることができる。
【0075】
(本発明の実施形態に係る非接触通信システム)
以下、本発明の実施形態に係る非接触通信システムについて、より詳細に説明する。図5は、本発明の実施形態に係る非接触通信システムを示す説明図である。
【0076】
[リーダ/ライタ100]
リーダ/ライタ100は、搬送波信号生成部102と、搬送波送信部104と、復調部106と、制御部108とを備える。また、リーダ/ライタ100は、例えば、HostComputer120と接続され、HostComputer120からの送信命令に応じて搬送波信号を送信することができる。
【0077】
また、リーダ/ライタ100は、制御部108が使用するプログラムや演算パラメータなどの制御用データが記録されたROM(Read Only Memory;図示せず)、制御部108により実行されるプログラムなどを一次記憶するRAM(Random Access Memory;図示せず)、制御部108における演算結果や実行状態を保持するレジスタ(register;図示せず)、通信を暗号化するための暗号化回路(図示せず)、リーダ/ライタ100において用いられるアプリケーション、データなどを記憶可能な記憶部(図示せず)、HostComputer120や他の回路などと接続するためのインタフェース(図示せず)などを備えてもよい。リーダ/ライタ100は、例えば、データの伝送路としてのバス(bus)により各構成要素間を接続する。
【0078】
ここで、記憶部(図示せず)としては、例えば、ハードディスク(Hard Disk)などの磁気記録媒体や、フラッシュメモリ(flash memory)などの不揮発性メモリ(nonvolatile memory)が挙げられるが、上記に限られない。また、インタフェースとしては、例えば、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)や、ネットワーク端子などが挙げられるが、上記に限られない
【0079】
搬送波信号生成部102は、制御部108からの搬送波信号生成命令を受け、搬送波信号生成命令に応じた搬送波信号を生成する。ここで、図5では、搬送波信号生成部102として交流電源が示されているが、本発明の実施形態に係る搬送波信号生成部102は、上記に限られず、例えば、ASK変調(Amplitude Shift Keying)する変調回路(図示せず)と、変調回路の出力を増幅する増幅回路(図示せず)で構成することができる。なお、搬送波信号生成部102が生成する搬送波信号には、例えば、情報処理装置150に対する各種処理命令や処理するデータを含めることができるが、上記に限られない。例えば、本発明の実施形態に係る搬送波信号は、情報処理装置150に対して電力供給を行う搬送波を搬送波送信部104に発生させるための信号であってもよい(すなわち、この場合には、リーダ/ライタ100は、送電装置として機能する。)。
【0080】
搬送波送信部104は、例えば、所定のインダクタンスをもつコイルL0(インダクタ)と所定の静電容量をもつキャパシタC0とからなる共振回路で構成され、搬送波信号生成部102が生成した搬送波信号に応じた搬送波を送信する。また、搬送波送信部104は、情報処理装置150からの応答信号を所定の共振周波数で共振させて受信する。つまり、搬送波送信部104は、リーダ/ライタ100の通信アンテナとしての役目を果たす。
【0081】
復調部106は、例えば、搬送波送信部104のアンテナ端における電圧の振幅変化を包絡線検波し、検波した信号を2値化することによって、情報処理装置150からの応答信号を復調する。なお、復調部106における応答信号の復調手段は、上記に限られず、例えば、搬送波送信部104のアンテナ端における電圧の位相変化を用いて応答信号を復調することもできる。
【0082】
制御部108は、例えば、MPUなどで構成され、復調部106が復調したデータをHostComputer120へ送信する、または、復調部106が復調したデータに基づいて搬送波信号生成命令を生成するなど、様々な処理を行うことができる。
【0083】
リーダ/ライタ100は、例えば、上記のような構成によって、搬送波を送信し、また、情報処理装置150から送信されたシンクロ搬送波を受信して応答信号を復調することができる。
【0084】
[情報処理装置150]
次に情報処理装置150について説明する。上述したように、本発明の実施形態に係る情報処理装置は、シンクロ搬送波を自ら送信することによって、応答信号の送信を行う。そこで、以下では、リーダ/ライタ100から送信された搬送波を受信し、シンクロ搬送波を送信する送受信回路を備えた情報処理装置を示す。なお、図5では、情報処理装置150の送受信回路を構成する各構成要素がICチップの形態で実現されること、すなわち情報処理装置150が送受信回路を構成する各構成要素を集積回路で実現した形態であることを示していないが、本発明の実施形態に係る情報処理装置が、送受信回路を構成する各構成要素をICチップの形態で実現することができることは、言うまでもない。
【0085】
図5を参照すると、情報処理装置150は、通信アンテナ152と、検波回路154と、搬送波検出回路156と、復調回路158と、PLL回路160(Phase-Locked Loop Circuit;位相同期回路)と、データ処理回路162と、変調回路164と、位相補正回路166と、増幅回路168と、バッテリー170とを備える。
【0086】
ここで、図5では、情報処理装置150が備える電源としてバッテリー170を備える構成を示しているが、本発明の実施形態に係る情報処理装置は、バッテリー170を備える構成に限られない。例えば、本発明の実施形態に係る情報処理装置は、上述した図1に示すレギュレータ58と同様のレギュレータ(図示せず)検波回路154の後段に備え、搬送波の受信に応じて通信アンテナに発生する誘起電圧(または、後述する受信電圧)の直流成分を駆動電圧として用いることによって、情報処理装置の各構成要素に電力を供給することができる。なお、本発明の実施形態に係る情報処理装置が、バッテリー(第1の電源)と、レギュレータ(第2の電源)との双方を備え、各構成要素に対して選択的に電力を供給することもできる。例えば、より大きな電力を消費する構成要素(例えば、増幅回路など)にはバッテリーから電力を供給し、その他の構成要素(例えば、データ処理回路など)にはレギュレータから電力を供給してもよい。ただし、本発明の基本的な概念であるカード側の返信による通信不具合の改善では、従来のようにカード側のインピーダンスの変化による返信ではなく、「エネルギー」の返信によるため、基本的にはバッテリー等の電源を備えた場合を基本構成とする。
【0087】
また、情報処理装置150は、MPUなどで構成され情報処理装置150全体を制御する制御部(図示せず)や、制御部が使用するプログラムや演算パラメータなどの制御用データが記録されたROM(図示せず)、制御部により実行されるプログラムなどを一次記憶するRAM(図示せず)、制御部における演算結果や実行状態を保持するレジスタ(図示せず)、情報処理装置150において用いられるアプリケーション、データなどを記憶可能な記憶部(図示せず)、他の装置などと接続するためのインタフェース(図示せず)などを備えてもよい。情報処理装置150は、例えば、データの伝送路としてのバスによりデータ処理回路162と上記各構成要素間、および上記各構成要素間を接続することができる。なお、データ処理回路162は、上記制御部(図示せず)として機能することもできる。
【0088】
ここで、記憶部(図示せず)としては、例えば、ハードディスクなどの磁気記録媒体や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、PRAM(Phase change Random Access Memory)などの不揮発性メモリが挙げられるが、上記に限られない。また、インタフェースとしては、例えば、UARTや、ネットワーク端子などが挙げられるが、上記に限られない
【0089】
通信アンテナ152は、所定のインダクタンスをもつコイル(インダクタ)L1と、所定の静電容量をもつキャパシタC1とからなる共振回路で構成され、搬送波の受信に応じて電磁誘導により誘起電圧を生じさせる。そして、通信アンテナ152は、所定の共振周波数で誘起電圧を共振させた受信電圧を出力する。ここで、通信アンテナ152における共振周波数は、例えば、13.56MHzなど搬送波の周波数に合わせて設定することができる。なお、本発明の実施形態に係る通信アンテナが、キャパシタC1を備えない構成、すなわち、通信アンテナが共振回路で構成されない構成とすることができることは、言うまでもない。上記の場合には、通信アンテナからは搬送波の受信に応じて生じた誘起電圧が出力されることとなる。
【0090】
また、通信アンテナ152は、増幅回路168から出力される出力信号に応じてシンクロ搬送波を送信する送信アンテナとしても機能する。上記出力信号については、後述する。
【0091】
検波回路154は、通信アンテナ152から出力される受信電圧を整流(検波)し、リーダ/ライタ100から送信された搬送波に基づく基準信号をPLL回路160へ出力する。ここで、上記基準信号とは、後述するPLL回路160が出力する出力信号の周波数および位相の基準となる信号である。また、検波回路154は、例えば、ダイオードと、キャパシタで構成することができるが、上記に限られない。また、検波回路154は、AGC(Automatic Gain Control)を備えて、所定のゲインレベルの基準信号を出力することもできる。
【0092】
搬送波検出回路156は、通信アンテナ152から出力される受信電圧を検出し、受信電圧が検出されると検出信号をPLL回路160へ出力する。ここで、搬送波検出回路156は、例えば、13.56MHzなど特定の周波数帯域の信号のみを通過させ、その他の帯域の信号を減衰させるバンドパス・フィルタ(Band-Pass Filter)で構成することができるが、上記に限られない。
【0093】
復調回路158は、通信アンテナ152から出力される受信電圧を包絡線検波し、検波した信号を2値化することにより、リーダ/ライタ100から搬送波を用いて送信された搬送波信号を復調する。
【0094】
PLL回路160は、検波回路154から出力される基準信号と周波数および位相が同一の出力信号を変調回路164へ出力する。ここで、PLL回路160は、フィードバック制御によって基準信号と周波数および位相が同一の出力信号を出力することができる。以下では、出力信号の周波数および位相が、基準信号の周波数および位相と一致したことを、PLLが「ロック(同期)」したという。
【0095】
また、PLL回路160は、フィードバック制御によりPLLがロックした場合には、出力信号をホールドして出力する。ここで、出力信号のホールドとは、外因などによってロック後に基準信号が変化した場合であっても、当該基準信号に依存せずにロック状態の出力信号を出力することをいう。本発明の実施形態に係るPLL回路160は、いわゆる一般的なPLL回路とは異なり、フィードバック制御を選択的に行うことによって、出力信号をホールドして出力することができる。
【0096】
PLL回路160は、PLLがロックしたことを示すPLLロック検出信号をPLLのロックに応じてデータ処理回路162へ送信し、また、データ処理回路162から出力される制御信号(後述する)に応じて、出力信号をホールドする。したがって、PLL回路160における出力信号のホールドは、データ処理回路162により制御される。
【0097】
〔PLL回路160の構成〕
ここで、本発明の実施形態に係るPLL回路160の構成について説明する。PLL回路160は、電圧制御発振回路180(Voltage Controlled Oscillator。以下「VCO」とよぶ場合もある。)と、分周回路182と、位相比較回路184と、ループフィルタ186と、レベル保持回路188とを備える。
【0098】
電圧制御発振回路180は、入力された入力電圧に応じた周波数の出力信号を出力する。また、電圧制御発振回路180には、搬送波検出回路156から出力される検出信号が入力され、当該検出信号が入力された場合に選択的に出力信号を出力することができる。ここで、電圧制御発振回路180は、例えば、バリキャップを備えて構成することができるが、上記に限られない。
【0099】
分周回路182は、電圧制御発振回路180から出力される出力信号を2分周する。なお、本発明の実施形態に係る分周回路における分周が2分周に限られないことは、言うまでもない。
【0100】
また、図5では、情報処理装置150が分周回路182を備える構成を示しているが、本発明の実施形態は、上記に限られない。例えば、本発明の実施形態に係る情報処理装置は、分周回路182を備えない構成とすることもできる。ここで、分周回路182は、例えば、搬送波の回路への飛びつきが発生することによるPLL回路の誤動作(シンクロ誤動作)を防止するものである。また、分周回路182は、電圧制御発振回路180から出力される出力信号と、検波回路154から出力される基準信号とのデューティの差を小さくし、より確実に位相差を判定する役目を果たすこともできる。
【0101】
位相比較回路184は、検波回路154から出力される基準信号の位相と、分周回路182から出力される分周された出力信号の位相との位相差に応じた位相差信号をループフィルタ186およびデータ処理回路162へ出力する。以下では、分周回路182から出力された分周された出力信号を、電圧制御発振回路180から出力される出力信号と特に区別せずに「出力信号」という。また、以下では、データ処理回路162に出力される位相差信号を「PLLロック検出信号」という。ここで、位相比較回路184は、基準信号と出力信号との位相差に応じたPLLロック検出信号を出力するので、データ処理回路162は、PLLロック検出信号を用いることによってPLLがロック状態にあるのか否かを判定することができる。位相比較回路184は、例えば、ExORなどを用いて構成することができるが、上記に限られない。
【0102】
ループフィルタ186は、位相比較回路184から出力される位相差信号の交流成分を取り除くことによって位相補償電圧を出力する。PLL回路160は、ループフィルタ186を備えることによって、フィードバック制御における位相補償を行うことができる。ここで、ループフィルタ186は、例えば、遮断周波数以下の周波数の信号だけを通過させ、遮断周波数より大きな周波数の信号を減衰させるローパス・フィルタ(Low-Pass Filter)で構成することができるが、上記に限られない。
【0103】
レベル保持回路188は、レベル保持スイッチ190(第2のスイッチ)と、所定の静電容量をもつキャパシタC2とを備える。なお、レベル保持回路188は、レベルさえ保持できれば上記に限られず、例えば、「A/D、D/A変換回路」とそのディジタルの値を記憶する「メモリ(メモリ装置)」であってもよい。
【0104】
レベル保持スイッチ190は、データ処理回路162から出力される制御信号に応じてオン/オフ動作し、選択的に位相補償電圧を取り込む。ここで、レベル保持スイッチ190のオン/オフ動作は、後述する変調回路164におけるオン/オフ動作と逆の動作となる。すなわち、変調回路164がオンのときレベル保持スイッチ190はオフとなり、また変調回路164がオフのときレベル保持スイッチ190はオンとなる。レベル保持スイッチ190は、例えば、制御電極に制御信号が印加されるpMOSトランジスタで構成することができるが、上記に限られず、nMOSトランジスタで構成することもできる。
【0105】
また、キャパシタC2は、レベル保持スイッチ190から出力される位相補償電圧を保持する。以下、キャパシタC2に保持された位相補償電圧を「保持電圧」という。
【0106】
また、レベル保持回路188は、制御信号に応じて、ループフィルタ186から出力される位相補償電圧、またはキャパシタC2に保持された保持電圧を、電圧制御発振回路180に入力される入力電圧として選択的に出力する。
【0107】
ここで、本発明の実施形態に係る制御信号、レベル保持スイッチ190の動作、および出力される入力電圧の関係の一例を示す。なお、以下では、レベル保持スイッチ190がpMOSトランジスタで構成されているものとして説明する。
【0108】
〔i〕制御信号がローレベル(Low)のとき
制御信号がローレベルのときには、レベル保持スイッチ190はオンとなる。したがって、レベル保持回路188にはループフィルタ186から出力される位相補償電圧が入力され、レベル保持回路188からは位相補償電圧が出力される。またキャパシタC2は入力された位相補償電圧を保持する。
【0109】
〔ii〕制御信号がハイレベル(High)のとき
制御信号がハイレベルのときには、レベル保持スイッチ190はオフとなる。したがって、レベル保持回路188にはループフィルタ186から出力される位相補償電圧は入力されず、キャパシタC2に保持された保持電圧が出力される。したがって、保持電圧が入力された電圧制御発振回路180は、当該保持電圧と周波数が同一の出力信号を出力するので、出力信号がホールドされることとなる。
【0110】
レベル保持回路188は、上記のように制御信号に応じて、ループフィルタ186から出力される位相補償電圧、またはキャパシタC2に保持された保持電圧を電圧制御発振回路180へ出力することができる。
【0111】
また、レベル保持回路188が、上記「A/D、D/A変換回路」とそのディジタルの値を記憶する「メモリ(メモリ装置)」で構成されている場合には、例えば、その都度、新しいディジタルの値を使用するのか、「メモリ(メモリ装置)」に記憶した値を用いるのかによって、上記pMOSトランジスタ(あるいは、nMOSトランジスタ)およびキャパシタC2と同様の役目を果たすことができる。なお、レベル保持回路188が、上記「A/D、D/A変換回路」とそのディジタルの値を記憶する「メモリ(メモリ装置)」で構成されている場合の動作が上記に限られないことは、言うまでもない。
【0112】
PLL回路160は、上述した電圧制御発振回路180、分周回路182、位相比較回路184、ループフィルタ186、レベル保持回路188とを備えることにより、検波回路154から出力される基準信号と周波数および位相が同一の出力信号をホールドして変調回路164へ出力することができる。
【0113】
データ処理回路162は、復調回路158において復調された搬送波信号のデータ処理を行う。ここで、データ処理回路162は、例えば、MPUで構成することができる。
【0114】
また、データ処理回路162には位相比較回路184から送信されるPLLロック検出信号が入力され、PLLロック検出信号がPLLがロックされたことを示す場合(PLLロック検出信号が示す位相差が0(ゼロ)のとき)には、データ処理の結果に応じた制御信号を出力する。ここで、データ処理回路162が出力する制御信号は、PLL回路160のレベル保持スイッチ190と、変調回路164とに入力され、PLL回路160のレベル保持スイッチ190のスイッチ動作、および後述する変調回路164における変調の制御に用いられる。したがって、データ処理回路162は、制御信号を出力することにより、PLL回路160から出力される出力信号(電圧制御発振回路180から出力される出力信号)をホールドさせ、また、ホールドした出力信号を用いた変調を制御することができる。
【0115】
変調回路164には、データ処理回路162から出力される制御信号、およびPLL回路160から出力される出力信号が入力され、制御信号に応じて選択的に出力信号を位相補正回路166へ出力する。変調回路164は、例えば、スイッチ(第1のスイッチ)で構成され、制御信号に応じてオン/オフ動作する。ここで、変調回路164におけるオン/オフ動作は、レベル保持スイッチ190におけるオン/オフ動作と逆の動作となる。なお、変調回路164は、例えば、制御電極に制御信号が印加されるnMOSトランジスタで構成されることに限られず、例えば、pMOSトランジスタで構成することもできることは、言うまでもない。
【0116】
位相補正回路166は、変調回路164から制御信号に応じて選択的に出力される出力信号の位相を補正する。ここで、情報処理装置150が出力信号の位相を補正する意義について説明する。
【0117】
上述したように情報処理装置150は、PLL回路160を備え、リーダ/ライタ100から送信される搬送波に基づく基準信号と周波数および位相を同期させた出力信号を送信する。そして、情報処理装置150は、出力信号に基づいてシンクロ搬送波を送信させることにより、応答信号の送信を行う。しかしながら、情報処理装置150では、例えば、配線などによる出力信号の遅延などによって、通信アンテナ152に伝達されるシンクロ搬送波送信のための信号の位相と、PLL回路160から出力された出力信号の位相とがずれる場合が起こりうる。
【0118】
ここで、通信アンテナ152に伝達されるシンクロ搬送波送信のための信号の位相と、PLL回路160から出力された出力信号の位相とにずれが生じた場合における問題について説明する。
【0119】
図6は、本発明の実施形態に係るシンクロ搬送波送信のための信号の位相と出力信号の位相とにずれが生じた場合における問題を説明するための説明図である。図6(a)〜図6(d)は、リーダ/ライタ100から送信される搬送波と、情報処理装置150から送信されるシンクロ搬送波と、搬送波およびシンクロ搬送波の合成波とをそれぞれベクトル表現で表した説明図である。また、図6に示す合成波は、リーダ/ライタ100の復調部106内にある信号検波回路で検出された合成波を示している。情報処理装置150がシンクロ搬送波の送信のタイミングをコントロールすることによって、リーダ/ライタ100は図6に示す合成波を得ることができる。以下、図6を用いてシンクロ搬送波送信のための信号の位相と出力信号の位相とにずれが生じた場合における問題について説明するが、当該問題は、一般的な信号検波回路を備える多様なリーダ/ライタにおいて同様に生じうる。また、以下では、搬送波とシンクロ搬送波との位相差を「θ」で表している。
【0120】
(1)図6(a):通信可能な状態の第1の例
図6(a)を参照すると、θが0°<θ<90°のとき、搬送波と合成波との間でレベルの違いが生じていることが分かる。このレベルの違いが、リーダ/ライタ100では情報処理装置150からの応答信号の送信と捉えられ、リーダ/ライタ100は、ASK変調によって応答信号を復調することができる。したがって、リーダ/ライタ100と情報処理装置150との間の通信は正常に行われる。
【0121】
(2)図6(b):通信可能な状態の第2の例
図6(a)を参照すると、θが180°<θ<270°のとき、図6(a)と同様に搬送波と合成波との間でレベルの違いが生じていることが分かる。したがって、図6(b)の場合にも、リーダ/ライタ100と情報処理装置150との間の通信は正常に行われる。
【0122】
(3)図6(c):通信不能な状態の第1の例
図6(c)を参照すると、θが90°<θ<180°で、かつシンクロ搬送波が小さい場合(すなわち、リーダ/ライタ100と情報処理装置150との通信距離が長い場合)には、搬送波と合成波との間でレベルの違いが生じていないことが分かる。このとき、リーダ/ライタ100は、情報処理装置150からの応答信号を検出することはできないので、ASK変調によって応答信号を復調することができない。したがって、リーダ/ライタ100と情報処理装置150とは正常に通信を行うことができない。
【0123】
(4)図6(d):通信不能な状態の第2の例
図6(d)を参照すると、θがθ=180°で、かつシンクロ搬送波が大きい場合(すなわち、リーダ/ライタ100と情報処理装置150との通信距離が短い場合)には、搬送波と合成波との間でレベルの違いが生じていないことが分かる。このとき、リーダ/ライタ100は、図6(c)と同様に、情報処理装置150からの応答信号を検出することはできない。したがって、リーダ/ライタ100と情報処理装置150とは正常に通信を行うことができない。
【0124】
図6に示すように、搬送波とシンクロ搬送波との位相差、およびリーダ/ライタ100と情報処理装置150との通信距離が所定の場合には、リーダ/ライタ100と情報処理装置150とが通信を行うことができない場合が起こりうる。すなわち、上記の場合には、通信不可領域が生じることとなる。
【0125】
したがって、情報処理装置150においてシンクロ搬送波送信のための信号の位相と、PLL回路160から出力された出力信号の位相とに意図せぬずれが生じた場合には、上記のようにリーダ/ライタ100と情報処理装置150とが通信を行うことができない可能性がある。
【0126】
そこで、本発明の実施形態に係る情報処理装置150は、配線などによる意図せぬずれが生じたとしても通信不可領域を生じさせないようにするために位相補正回路166を備える。より具体的には、位相補正回路166は、出力信号の位相を意図的に遅らせることによって、通信不可領域が生じない位相へと出力信号の位相を補正する。
【0127】
ここで、通信不可領域が生じうる搬送波とシンクロ搬送波との関係を示す。図7は、通信不可領域が生じうる搬送波とシンクロ搬送波との関係を示す説明図である。ここで、図7は、図6(c)、図6(d)に示すように搬送波と合成波との間でレベルの違いが生じない場合における、搬送波とシンクロ搬送波との間の位相差の関係を示した図である。
【0128】
図7に示すように、搬送波とシンクロ搬送波との間の位相差θが、90°≦θ≦270°となるとき、搬送波と合成波との間でレベルの違いが生じないことが分かる。つまり、上記の場合には、通信不可領域が生じる可能性がある。また、逆に言えば、搬送波とシンクロ搬送波との間の位相差θが、−90°<θ<90°のときには、搬送波と合成波との間でレベルの違いが生じることから、通信不可領域は生じないこととなる。
【0129】
したがって、本発明の実施形態に係る位相補正回路166は、搬送波とシンクロ搬送波との間の位相差θが−90°<θ<90°の範囲内となるように、入力された出力信号の位相を遅延量分遅延させる。ここで、位相補正回路166が出力信号の位相を遅延させる上記遅延量は、位相補正回路を備えない場合におけるPLL回路160から出力された出力信号の位相と、通信アンテナ152に伝達されるシンクロ搬送波送信のための信号の位相差とを予め測定することによって、決定することができる。また、位相補正回路166としては、例えば、積分回路を用いることが挙げられるが、上記に限られない。
【0130】
増幅回路168は、位相補正回路166から出力された位相が補正された出力信号を増幅して通信アンテナ152へ出力する。情報処理装置150が送受信回路の構成要素として増幅回路168を備えることにより、よりゲインの大きなシンクロ搬送波を送信させて通信が正常に行える可能性を高めることができる。
【0131】
また、増幅回路168と通信アンテナ152との間には、ダイオードD1とキャパシタC3とが備えられ、増幅回路168から出力される増幅された出力信号を整流して通信アンテナ152へ伝達する。通信アンテナ152に出力信号(増幅回路168から出力される増幅された出力信号)が入力されることによって、通信アンテナ152からはシンクロ搬送波が送信される。
【0132】
バッテリー170は、情報処理装置150の送受信回路を構成する各構成要素や、情報処理装置150のその他の構成要素(例えば、記憶部(図示せず)など)に電力を供給する。なお、図5では、バッテリー170がデータ処理回路162、増幅回路168、および電圧制御発振回路180に電力を供給している構成を示しているが、本発明の実施形態に係る情報処理装置の構成が上記に限られないことは、言うまでもない。また、上述したように、本発明の実施形態に係る情報処理装置は、レギュレータ(図示せず)を備え、リーダ/ライタ100から送信される搬送波から電力を得て各構成要素に供給することもできる。
【0133】
情報処理装置150は、例えば、図5に示す構成の送受信回路を備えることによって、リーダ/ライタ100から送信される搬送波を受信(搬送波信号の受信)し、シンクロ搬送波を自ら送信することによって返信(応答信号の送信)を行うことができる。
【0134】
[通信方法]
ここで、本発明の実施形態に係る通信方法について説明する。図8は、本発明の実施形態に係る通信方法の一例を示す流れ図である。ここで、図8は、情報処理装置150における通信方法を示している。
【0135】
情報処理装置150は、搬送波が検出されたか否かを検出する(S100)。ステップS100における処理は、通信アンテナ152において搬送波の受信に応じて発生した誘起電圧に基づいて、検波回路154、搬送波検出回路156、復調回路158が行うことができる。
【0136】
ステップS100において搬送波が検出されると、情報処理装置150は、搬送波信号を復調し、搬送波信号をデータ処理する(S102)。ここで、ステップS102における復調は、復調回路158が行い、またデータ処理は、データ処理回路162が行うことができる。
【0137】
また、ステップS100において搬送波が検出されると、情報処理装置150は、PLL(Phase-Locked Loop)を起動する(S104)。ステップS104におけるPLLの起動は、例えば、搬送波検出回路156から出力される検出信号がPLL回路160を構成する電圧制御発振回路180に伝達されることによって、電圧制御発振回路180から出力信号が出力されることにより行われる。
【0138】
ステップS104においてPLLが起動されると、情報処理装置150は、PLLがロックしたか否かを判定する(S106)。ステップS106においてPLLがロックしたと判定されない場合には、PLLがロックされたと判定されるまで処理を進めない。ここで、ステップS106の処理は、PLL回路160から伝達されるPLLロック検出信号に基づいて、データ処理回路162が行うことができる。
【0139】
ステップS106においてPLLがロックされたと判定された場合には、情報処理装置150は、変調するタイミングであるか否かを判定する(S108)。ステップS108の処理は、ステップS102におけるデータ処理の結果に基づいて、データ処理回路162が行うことができる。なお、図8では、ステップS102の後にステップS104、S106を行う例を示しているが、本発明の実施形態に係る通信方法は、上記に限られない。例えば、本発明の実施形態に係る通信方法は、ステップS102と、ステップS104、S106との処理を平行して行うことができる。
【0140】
ステップS108において変調するタイミングではないと判定された場合には、情報処理装置150は、搬送波が検出されたか否かを判定する(S110)。ステップS110において搬送波が検出されたと判定された場合には、再度ステップS108の処理を行い、また、ステップS110において搬送波が検出されたと判定されない場合には、再度ステップS100から処理を行う。
【0141】
また、ステップS108において変調するタイミングであると判定された場合には、情報処理装置150は、レベル保持スイッチ190をONとしてレベルを保持する(S112)。ここで、ステップS112の処理は、PLLのVCOの出力をホールドすることに相当する。また、ステップS112の処理は、データ処理回路162が制御信号をPLL回路160を構成する電圧制御発振回路180(VCO)に伝達することによって行うことができる。ここで、上記VCOの出力とは、電圧制御発振回路180から出力される出力信号に対応する。
【0142】
ステップS112においてVCOの出力がホールドされると、情報処理装置150は、シンクロ搬送波を送信して応答を行う(S114)。ここで、ステップS114のシンクロ搬送波の送信は、情報処理装置150からの応答信号の送信に相当する。また、ステップS114の処理は、データ処理回路162が制御信号を変調回路164へ選択的に印加することにより、変調回路164からの出力信号の出力を制御することによって行うことができる。
【0143】
ステップS114においてシンクロ搬送波が送信されると、情報処理装置150は、VCOの出力を開放する(S116)。そして、情報処理装置150は、PLLが再ロックしたか否かを判定する(S118)。ステップS118においてPLLが再ロックしたと判定されない場合には、情報処理装置150は処理を進めない。ここで、ステップS118における処理は、ステップS106と同様に、データ処理回路162が行うことができる。
【0144】
また、ステップS118においてPLLが再ロックしたと判定された場合には、情報処理装置150は、応答信号を全て送信したか否かを判定する(S120)。ステップS120の処理は、ステップS102におけるデータ処理の結果に基づいて、データ処理回路162が行うことができる。
【0145】
ステップS120において応答信号を全て送信したと判定されない場合には、情報処理装置150は、ステップS110からの処理を繰り返す。
【0146】
また、ステップS120において応答信号を全て送信したと判定された場合には、情報処理装置150は、PLLおよびVCOを停止し(S122)、通信を終了させる。
【0147】
情報処理装置150は、例えば図8に示す通信方法を用いることによって、リーダ/ライタ100から送信された搬送波を受信(搬送波信号の受信)し、シンクロ搬送波を自ら送信することによって返信(応答信号の送信)を行うことができる。なお、図8に示す通信方法は、一度行われれば完了する類の方法ではなく、情報処理装置150は、搬送波信号を受信するごとに図8に示す通信方法を用いることができることは、言うまでもない。
【0148】
本発明の実施形態に係る非接触通信システムは、上述したように、リーダ/ライタ100から送信された搬送波を受信した情報処理装置150が、シンクロ搬送波を自ら送信することによって通信が行われる。そこで、次に、上述した本発明の実施形態に係る非接触通信システムにおける通信をより具体的に示すために、本発明の実施形態に係る非接触通信システムにおける通信の概略を示す。
【0149】
図9は、本発明の実施形態に係る非接触通信システムにおける通信の概略を説明するための説明図である。ここで、図9(a)は、リーダ/ライタ100における搬送波検波波形(リーダ/ライタ100の通信アンテナ(搬送波送信部104)における復調部106の電圧の波形)を示している。また、図9(b)は情報処理装置150におけるPLL動作をPLL回路160の出力信号の波形と共に示し、図9(c)は情報処理装置150から送信されるシンクロ搬送波の出力波形を示している。以下、図9(b)に示すPLL動作に基づいて、本発明の実施形態に係る非接触通信システムにおける通信の概略を説明する。
【0150】
情報処理装置150は、搬送波が検出されると(図9のA)、PLLを起動させる。PLLが起動されることにより、PLL回路160のVCO(電圧制御発振回路180)からは出力信号が出力され、PLLのロックが行われる(図9のB)。
【0151】
PLLがロックされると、情報処理装置150は、データ処理の結果に応じて変調を行う(図9のC、D)。ここで、図9のCは変調がオフの状態を示しており、図9のDは変調がオンの状態を示している。
【0152】
図9Dに示す変調がオンの状態のとき、VCOの出力(出力信号)はホールドされ、情報処理装置150の通信アンテナ152にはホールドされたVCO出力に基づく信号が伝達される。したがって、情報処理装置150は、図9(c)に示すようなシンクロ搬送波を出力することができる。なお、図9では、位相補正回路166によりVCOの出力(出力信号)の位相が補正された例を示している。
【0153】
このとき、図9(c)に示すような情報処理装置150からのシンクロ搬送波の送信を受信するリーダ/ライタ100の復調部106では、シンクロ搬送波の受信に応じて図9(a)に示すように、振幅の変化が生じる。
【0154】
上記の振幅変化は、図4に示す変調OFFの場合の波形が上方にスライドした波形に対応する。つまり、リーダ/ライタ100では、図2の点Aに示すような通信不可領域が発生しない。したがって、リーダ/ライタ100は、上記振幅変化を用いて、情報処理装置150から送信される応答信号を復調することができる(ASK変調)。
【0155】
同様に、情報処理装置150がデータ処理の結果に応じて変調を行うことにより(図9のE、F、G)、情報処理装置150からはシンクロ搬送波が送信され、リーダ/ライタ100はASK変調により応答信号を復調する。
【0156】
そして、情報処理装置150は、応答信号の送信が完了すると、PLLをオフして通信を終了する(図9のF)。
【0157】
図9に示すように、本発明の実施形態に係る非接触通信システムは、リーダ/ライタ100から送信される搬送波を情報処理装置150が受信し、情報処理装置150が受信した搬送波に応じたシンクロ搬送波を送信することによって、情報処理装置150からリーダ/ライタ100への応答が行われる。したがって、本発明の実施形態に係る非接触通信システムは、リーダ/ライタ100と情報処理装置150との間で正常に通信を行うことができる。
【0158】
以上のように、本発明の実施形態に係る非接触通信システムは、リーダ/ライタ100と、情報処理装置150とからなる。従来の非接触通信システムを構成する従来の情報処理装置50が負荷変調によって従来のリーダ/ライタ10へ返信を行うのに対して、本発明の実施形態に係る非接触通信システムは、情報処理装置150が自らシンクロ搬送波を送信することによってリーダ/ライタ100へ返信を行う。
【0159】
本発明の実施形態に係る情報処理装置150は、送受信回路の構成要素としてPLL回路160を備え、PLL回路160から出力される出力信号に基づくシンクロ搬送波を選択的に送信する。ここで、PLL回路160はレベル保持回路188を備え、データ処理回路162が出力する制御信号に基づいて、出力信号をホールドして出力する。また、制御信号は、搬送波を復調して得た搬送波信号をデータ処理するデータ処理回路162から出力され、データ処理回路162は、PLL回路160から出力されるPLLロック検出信号に基づいてデータ処理の結果に応じた制御信号を出力する。よって、情報処理装置150は、PLL回路160から出力される、搬送波と周波数および位相が同期された出力信号(ホールドされた出力信号)に基づいて、シンクロ搬送波を送信することができる。
【0160】
ここで、シンクロ搬送波を受信したリーダ/ライタ100のアンテナ端の電圧の振幅変化は、図4に示す変調OFFの場合の波形が上方、あるいは下方にスライドした波形に対応する(なお、当該スライドの方向は、シンクロ搬送波の位相に依存する。)。つまり、リーダ/ライタ100では、図2の点Aに示すような通信不可領域が発生しない。したがって、リーダ/ライタ100は、上記振幅変化を用いて、情報処理装置150から送信される応答信号を復調することができる。
【0161】
したがって、本発明の実施形態に係る非接触通信システムは、上記のように情報処理装置150がリーダ/ライタ100から送信された搬送波を受信(搬送波信号を受信)してシンクロ搬送波を自ら送信(応答信号を送信)することによって、通信不可領域の発生を防止することができる。よって、本発明の実施形態に係る非接触通信システムは、リーダ/ライタ100と情報処理装置150との間における通信を安定化することができる。
【0162】
また、情報処理装置150は、送受信回路として、PLL回路160から出力される出力信号の位相を所定の遅延量分遅延させる位相補正回路166を備える。したがって、例えば、配線などによって通信アンテナ152に伝達されるシンクロ搬送波送信のための信号の位相と、PLL回路160から出力された出力信号の位相とに意図せぬずれが生じる場合であっても、位相補正回路166によって意図した位相へと補正することができる。したがって、情報処理装置150は、位相補正回路166を備えることにより、リーダ/ライタ100においてより復調が確実となる位相のシンクロ搬送波を送信することができるので、通信不可領域の発生をより確実に防止することができる。
【0163】
上記では、本発明の実施形態に係る非接触通信システムを構成する構成要素として、リーダ/ライタ100を挙げて説明したが、本発明の実施形態はかかる構成に限られず、例えば、リーダ/ライタ機能を有する携帯電話などの携帯型通信装置、リーダ/ライタ機能を有するUMPC(Ultra Mobile Personal Computer)などのコンピュータなどに適用することができる。
【0164】
また、本発明の実施形態に係る非接触通信システムを構成する構成要素として、情報処理装置150を挙げて説明したが、本発明の実施形態はかかる構成に限られず、例えば、RFIDタグ、非接触ICカード、非接触ICチップを搭載した携帯電話などの携帯型通信装置、非接触ICチップを搭載したPC(Personal Computer)などのコンピュータなど、搬送波を用いて非接触通信を行う様々な装置に適用することができる。
【0165】
(本発明の実施形態に係るプログラム)
本発明の実施形態に係る情報処理装置をコンピュータとして機能させるためのプログラムによって、搬送波を用いた非接触通信において、通信可能な範囲内における通信不可領域の発生を防止することができる。
【0166】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0167】
例えば、図5に示す本発明の実施形態に係る情報処理装置150では、送受信回路を構成する検波回路154と、復調回路158とを別体の回路として示したが、本発明の実施形態は、かかる構成に限られない。例えば、本発明の実施形態に係る情報処理装置は、検波回路および復調回路の検波に係る部分を共通化することによって、一体の回路として構成することもできる。上記の構成であっても、上述した本発明の実施形態に係る情報処理装置150と同様に、シンクロ搬送波を送信することが可能であるので、情報処理装置150と同様の効果を奏することができる。
【0168】
また、図5に示す本発明の実施形態に係る情報処理装置150では、送受信回路として位相補正回路166および増幅回路168を備える構成を示したが、発明の実施形態は、かかる構成に限られない。例えば、本発明の実施形態に係る情報処理装置は、位相補正回路、および/または、増幅回路を備えない構成とすることもできる。上記の構成であっても、PLL回路から出力される出力信号に応じてシンクロ搬送波を送信することが可能であるので、通信不可領域の発生を防止することができる。
【0169】
上述した構成は、本発明の実施形態の一例を示すものであり、当然に、本発明の技術的範囲に属するものである。
【図面の簡単な説明】
【0170】
【図1】従来のリーダ/ライタと従来の情報処理装置からなる従来の非接触通信システムを示す説明図である。
【図2】従来の非接触通信システムにおける問題を説明するための第1の説明図である。
【図3】従来の非接触通信システムにおける問題を説明するための第2の説明図である。
【図4】本発明の実施形態に係る問題解決アプローチの効果を説明するための説明図である。
【図5】本発明の実施形態に係る非接触通信システムを示す説明図である。
【図6】本発明の実施形態に係るシンクロ搬送波送信のための信号の位相と出力信号の位相とにずれが生じた場合における問題を説明するための説明図である。
【図7】通信不可領域が生じうる搬送波とシンクロ搬送波との関係を示す説明図である。
【図8】本発明の実施形態に係る通信方法の一例を示す流れ図である。
【図9】本発明の実施形態に係る非接触通信システムにおける通信の概略を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0171】
10、100 リーダ/ライタ
12、102 搬送波信号生成部
14、104 搬送波送信部
16、106 復調部
18、108 制御部
50、150 情報処理装置
54、152 通信アンテナ
154 検波回路
156 搬送波検出回路
158 復調回路
160 PLL回路
162 データ処理回路
164 変調回路
166 位相補正回路
168 増幅回路
170 バッテリー
180 電圧制御発振回路
182 分周回路
184 位相比較回路
186 ループフィルタ
188 レベル保持回路
190 レベル保持スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リーダ/ライタから送信された所定の周波数の搬送波を受信し、前記搬送波に応じた誘起電圧を発生させる通信アンテナと;
前記誘起電圧を検出して検出信号を出力する搬送波検出部と;
前記検出信号と入力電圧とが入力され、前記検出信号に基づいて、入力された入力電圧に応じた周波数の出力信号を出力する電圧制御発振部と;
前記誘起電圧が検波された基準信号の位相と前記出力信号の位相との位相差を比較し、前記位相差に応じた位相差信号を出力する位相比較部と;
前記誘起電圧に基づいて復調された搬送波信号を処理し、前記位相差信号に基づいて、前記処理に応じた制御信号を出力するデータ処理部と;
前記位相差信号の交流成分を取り除き、位相補償電圧を出力するループフィルタと;
前記制御信号に応じて前記位相補償電圧が選択的に入力されて前記位相補償電圧を保持し、前記制御信号に応じて入力された前記位相補償電圧、または、保持した保持電圧を前記入力電圧として選択的に前記電圧制御発振部へ出力するレベル保持部と;
前記制御信号に基づいて前記出力信号を選択的に前記通信アンテナへ出力し、前記通信アンテナからシンクロ搬送波を送信させる変調部と;
を備えることを特徴とする、送受信回路。
【請求項2】
前記変調部は、前記制御信号に応じてオン/オフ動作する第1のスイッチを備え、
前記レベル保持部は、
前記制御信号に応じて、前記第1のスイッチがオンのときオフし前記第1のスイッチがオフのときオンして選択的に前記位相補償電圧を前記入力電圧として出力する第2のスイッチと;
前記第2のスイッチから出力される前記位相補償電圧を保持し、前記第2のスイッチがオフのとき保持された前記保持電圧を前記入力電圧として出力するキャパシタと;
を備えることを特徴とする、請求項1に記載の送受信回路。
【請求項3】
前記データ処理部は、前記位相差信号が示す位相差が0のとき前記処理に応じた制御信号を出力することを特徴とする、請求項1に記載の送受信回路。
【請求項4】
前記制御信号に応じて前記変調部から選択的に出力される前記出力信号の位相を補正して前記通信アンテナへ伝達する位相補正部をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の送受信回路。
【請求項5】
前記位相補正部は、前記出力信号の位相を所定の量遅延させることを特徴とする、請求項4に記載の送受信回路。
【請求項6】
前記制御信号に応じて前記変調部から選択的に出力される出力信号のゲインを増幅する増幅部をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の送受信回路。
【請求項7】
前記電圧制御発振部から出力される前記出力信号を分周する分周部をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の送受信回路。
【請求項8】
前記誘起電圧を包絡線検波して前記基準信号を出力する検波部をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の送受信回路。
【請求項9】
前記誘起電圧を包絡線検波し、前記包絡線検波した信号を2値化して前記搬送波信号として出力する復調部をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の送受信回路。
【請求項10】
リーダ/ライタから送信された所定の周波数の搬送波を受信し、前記搬送波に応じた誘起電圧を発生させる通信アンテナと;
前記誘起電圧を検出して検出信号を出力する搬送波検出部と;
前記検出信号によって動作状態となり出力信号を発生させる電圧制御発振部と;
前記誘起電圧により検出された基準信号と前記出力信号との位相差を比較し、前記位相差に応じた位相差信号を出力する位相比較部と;
前記位相差信号を平滑化し位相補償電圧を出力するループフィルタと;
前記誘起電圧に基づいて復調された搬送波信号を処理し、前記位相差信号に基づいて、前記処理に応じた制御信号を出力するデータ処理部と;
前記制御信号に応じて前記位相補償電圧が選択的に入力されて前記位相補償電圧を保持し、前記制御信号に応じて保持された前記位相補償電圧を入力電圧として前記電圧制御発振部へ出力するレベル保持部と;
前記制信号に基づいて前記出力信号を選択的に前記通信アンテナへ出力し、前記通信アンテナからシンクロ搬送波を送信させる変調部と;
を備えることを特徴とする、情報処理装置。
【請求項11】
前記情報処理装置は、携帯型通信装置であることを特徴とする、請求項10に記載の通信装置。
【請求項12】
リーダ/ライタと搬送波を用いた非接触通信を行う通信アンテナと;
前記通信アンテナにおいて前記搬送波の受信に応じて発生した誘起電圧が検波された基準信号が入力され、前記基準信号と周波数および位相を同期させた出力信号を出力する位相同期部と;
前記誘起電圧が復調された搬送波信号を処理し、前記位相同期部における前記同期に基づいて、前記処理に応じた制御信号を出力するデータ処理部と;
前記制御信号に基づいて前記出力信号を選択的に前記通信アンテナへ出力し、前記通信アンテナからシンクロ搬送波を送信させる変調部と;
を備える情報処理装置に用いられる通信方法であって:
前記搬送波の受信を検出するステップと;
前記検出するステップの検出結果に応じて前記位相同期部における前記基準信号と前記出力信号との同期を行うステップと;
前記検出するステップにおいて検出された前記搬送波に応じた前記搬送波信号を処理するステップと;
前記位相同期部における前記基準信号と前記出力信号との位相の同期を判定するステップと;
前記判定するステップの判定結果に基づいて、前記処理するステップの処理結果に応じた前記制御信号を出力するステップと;
前記制御信号に応じて前記位相同期部から出力される出力信号の周波数および位相を一定に保つステップと;
前記一定に保つステップにおいて周波数および位相が一定に保たれた出力信号を前記制御信号に応じて前記通信アンテナへ伝達し、シンクロ搬送波を送信するステップと;
を有することを特徴とする、通信方法。
【請求項13】
リーダ/ライタと搬送波を用いた非接触通信を行う通信アンテナと;
前記通信アンテナにおいて前記搬送波の受信に応じて発生した誘起電圧が検波された基準信号が入力され、前記基準信号と周波数および位相を同期させた出力信号を出力する位相同期部と;
前記誘起電圧が復調された搬送波信号を処理し、前記位相同期部における前記同期に基づいて、前記処理に応じた制御信号を出力するデータ処理部と;
前記制御信号に基づいて前記出力信号を選択的に前記通信アンテナへ出力し、前記通信アンテナからシンクロ搬送波を送信させる変調部と;
を備える情報処理装置に用いることか可能なプログラムであって:
前記搬送波の受信を検出するステップ;
前記検出するステップの検出結果に応じて前記位相同期部における前記基準信号と前記出力信号との同期を行うステップ;
前記検出するステップにおいて検出された前記搬送波に応じた前記搬送波信号を処理するステップ;
前記位相同期部における前記基準信号と前記出力信号との位相の同期を判定するステップ;
前記判定するステップの判定結果に基づいて、前記処理するステップの処理結果に応じた前記制御信号を出力するステップ;
前記制御信号に応じて前記位相同期部から出力される出力信号の周波数および位相を一定に保つステップ;
前記一定に保つステップにおいて周波数および位相が一定に保たれた出力信号を前記制御信号に応じて前記通信アンテナへ伝達し、シンクロ搬送波を送信するステップ;
をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−175976(P2009−175976A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−13040(P2008−13040)
【出願日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】