説明

送風機ユニット

【課題】外気および内気の両方を区分して吸入可能な送風機ユニットにおいて、送風機ユニットにおける送風空気の通風抵抗を低減する。
【解決手段】第1、第2吸入口111、112が形成されると共に、各吸入口111、112から吸入した空気が流れる第1、第2空気通路113、114が形成されたスクロールケーシング11と、第1空気通路113内に配置されて第1吸入口111から空気を吸入する第1ファン12と、第2空気通路114内に配置されて第2吸入口112から空気を吸入する第2ファン13と、各ファン12、13に連結された回転軸162、および回転軸162を回転駆動するモータ本体部161からなるファンモータ16と、第2吸入口112を覆うように配置されたブロワカバー15と、を備え、ファンモータ16は、ブロワカバー15における第2吸入口112に対向する部位に固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内空気と車室外空気の両方を区分して吸入可能な内外気2層式の送風機ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用空調装置として、車室内空気(内気)と車室外空気(外気)の両方を区分して吸入可能な内外気2層式の送風機ユニットを備えるものが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−115451号公報
【特許文献2】特開2000−255243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、従来の内外気2層式の送風機ユニットの内部構造について図4、図5に基づいて説明する。図4は、従来の送風機ユニットの内部構造を示す断面図であり、図5は、図4のA−A矢視図である。
【0005】
図4に示すように、従来の送風機ユニット100は、外殻を形成するブロワケーシング101、内気および外気を吸入するための吸入口102a、102bが形成されて車室内に送風する送風空気の空気通路を構成するスクロールケーシング102、スクロールケーシング102内に収容される一対の遠心式ファン103、遠心式ファン103を駆動するファンモータ104等を有して構成されている。
【0006】
スクロールケーシング102は、仕切り板102cによって、内部に2つの空気通路105、106が形成されている。
【0007】
遠心式ファン103は、スクロールケーシング102における一方の空気通路105内に配置され、その軸方向に形成された吸入口102aから空気を吸入する第1ファン103a、および他方の空気通路106内に配置され、その軸方向に形成された吸入口102bから外気を吸入する第2ファン103bを有して構成されている。第1ファン103aおよび第2ファン103bは、同軸上に配置されており、それぞれファンモータ104の回転軸104aに連結されて、当該回転軸104aと一体に回転するように構成されている。
【0008】
ファンモータ104は、回転軸104aを回転駆動する駆動源であり、スクロールケーシング102に固定されている。具体的には、図5に示すように、ファンモータ104は、ファンモータ104の外周側から放射状に延びる複数本(図5では3本)の取付ステー104bを介して、スクロールケーシング102における一方の吸入口102bの周縁部に取り付けられている。
【0009】
このようにファンモータ104をスクロールケーシング102に固定する構成では、取付ステー104bにより一方の吸入口102bの一部が塞がれてしまい、空気通路106に吸入する空気の抵抗となってしまう。これにより、送風機ユニットにおける送風空気の通風抵抗が増大して、車室内へ送風する空気の送風量の低下や送風時の騒音の増大等を引き起こすといった問題がある。
【0010】
なお、ファンモータ104を第1ファン103a側に配置し、取付ステー104bを他方の吸入口102aの周縁部に取り付ける構成とする場合であっても、取付ステー104bが空気通路105から吸入する空気の抵抗となり、送風機ユニットにおける送風空気の通風抵抗が増大する。
【0011】
本発明は上記点に鑑みて、送風機ユニットにおける送風空気の通風抵抗を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、車室外空気および車室内空気の両方を区分して吸入可能な内外気2層式の送風機ユニットであって、車室外空気および車室内空気の一方を吸入する第1吸入口(111)および第2吸入口(112)が形成されると共に、第1吸入口(111)から吸入した空気が流れる第1空気通路(113)、および第2吸入口(112)から吸入した空気が流れる第2空気通路(114)が形成されたスクロールケーシング(11)と、第1空気通路(113)内に配置されて第1吸入口(111)から空気を吸入する遠心式の第1ファン(12)と、第1ファン(12)と同軸上に配置され、第2空気通路(114)内に配置されて第2吸入口(112)から空気を吸入する遠心式の第2ファン(13)と、一端側が第1ファン(12)および第2ファン(13)それぞれに連結された回転軸(162)、および回転軸(162)の他端側に接続されて回転軸(162)を回転駆動するモータ本体部(161)を有して構成されるファンモータ(16)と、スクロールケーシング(11)における第1吸入口(111)および第2吸入口(112)のいずれか一方の吸入口に対向するように、一方の吸入口を覆うように配置されたブロワカバー(15)と、を備え、ファンモータ(16)は、ブロワカバー(15)における一方の吸入口に対向する部位に固定されていることを特徴とする。
【0013】
このように、スクロールケーシング(11)に形成された一方の吸入口を覆うように配置されたブロワカバー(15)にファンモータ(16)を固定する構成することで、一方の吸入口の周縁部にファンモータ(16)を固定する部材を配置する必要がない。
【0014】
これにより、送風機ユニットにおける送風空気の通風抵抗を低減することができる。この結果、車室内へ送風する空気の送風量の低下や送風時の騒音の増大を抑制することが可能となる。
【0015】
ここで、ファンモータ(16)のモータ本体部(161)が、スクロールケーシング(11)における一方の吸入口の内側に位置すると、モータ本体部(161)自体が当該一方の吸入口から吸入する空気の通風抵抗となることがある。
【0016】
そこで、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の送風機ユニットにおいて、モータ本体部(161)は、回転軸(162)の軸方向に直交する方向において、スクロールケーシング(11)と非重合となる位置に配置されていることを特徴とする。
【0017】
このように、モータ本体部(161)をスクロールケーシング(11)の外部に配置することで、モータ本体部(161)自体が通風抵抗となってしまうことを抑制することができる。これにより、送風機ユニットにおける送風空気の通風抵抗を充分に低減することができる。
【0018】
また、請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の送風機ユニットにおいて、スクロールケーシング(11)における一方の吸入口の内側に配置され、回転軸(162)を覆うように軸方向に沿って延びる筒状部材(164)を備えることを特徴とする。
【0019】
このように、回転軸(162)を覆う筒状部材(164)を一方の吸入口の内側に配置することで、スクロールケーシング(11)における一方の吸入口に吸入される空気流れを整流させることが可能となる。
【0020】
ところで、例えば、車室外空気を吸入する場合には、スクロールケーシング(11)内に水が浸入することがあるが、この水が筒状部材(164)の先端部位から筒状部材(164)の内部に侵入すると、ファンモータ(16)におけるモータ本体部(161)等が被水して、ファンモータ(16)の作動に不具合が生ずる虞がある。
【0021】
そこで、請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の送風機ユニットにおいて、筒状部材(164)は、回転軸(162)の一端側の先端部位が、少なくとも内側筒部(165)および内側筒部(165)を取り囲む外側筒部(166)に分岐されており、内側筒部(165)および外側筒部(166)は、内側筒部(165)および外側筒部(166)の分岐部(164a)から回転軸(162)の一端側に向かって延びていることを特徴とする。
【0022】
このように、筒状部材(164)の先端部位を少なくとも内側筒部(165)および外側筒部(166)に分岐させる構成とすれば、スクロールケーシング(11)内に水が侵入したとしても、内側筒部(165)および外側筒部(166)の間に受けることができ、筒状部材(164)の内部への水の浸入を抑制することができる。この結果、ファンモータ(16)の被水を効果的に抑制することができる。
【0023】
また、請求項5に記載の発明のように、請求項4に記載の送風機ユニットにおいて、外側筒部(166)に、分岐部(164a)の一部に内側筒部(165)から離間する隙間部(166a)を形成する構成とすることで、当該隙間部(166a)を介して、外側筒部(166)と内側筒部(165)との間に侵入した水を筒状部材(164)の外部に排出することが可能となる。
【0024】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1実施形態に係る送風機ユニットの内部構成を示す断面図である。
【図2】第2実施形態に係る送風機ユニットの内部構成を示す断面図である。
【図3】第3実施形態に係る送風機ユニットの内部構成を示す断面図である。
【図4】従来の送風機ユニットの内部構成を示す断面図である。
【図5】図4のA−A矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0027】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について車両用空調装置について説明する。車両用空調装置は、エンジンルームと車室内とを仕切るダッシュパネル(図示略)と車室内最前部のインストルメントパネル(図示略)との間の空間に配置された室内ユニットを備えている。
【0028】
車両用空調装置における室内ユニットは、車室内へ空気を送風する送風機ユニット1、および送風機ユニット1から送風された送風空気の温度を調整する空調ユニット(図示略)に大別される。
【0029】
本実施形態の室内ユニットは、送風機ユニット1を車両の略中央部に配置し、空調ユニットを送風機ユニット1の側方(助手席側)に配置するレイアウトとしている。勿論、送風機ユニット1および空調ユニットそれぞれを車両の略中央部に配置し、送風機ユニット1を空調ユニットの前方に配置するレイアウトとしてもよい。
【0030】
まず、空調ユニットについて説明すると、空調ユニットは、後述する送風機ユニット1に設けられたスクロールケーシング11の巻き終り端部に形成された吹出開口部115に接続され、送風機ユニット1からの送風空気が流れる空気通路を構成する樹脂製の空調ケーシングを有する。この空調ケーシングは、内部に形成される空気通路が、仕切り板により車両上方側の上方側通路と、車両下方側の下方側通路とに仕切られている。
【0031】
空調ケーシング内における最も送風機ユニット1の吹出開口部115側には、送風機ユニット1からの送風空気を冷却する蒸発器が配置されている。蒸発器は、周知の如く、冷凍サイクルの冷媒の蒸発潜熱を送風空気から吸熱して送風空気を冷却する冷却用熱交換器である。なお、蒸発器は、空調ケーシング内の上方側通路および下方側通路の全域を横切るように配置されている。
【0032】
蒸発器の空気流れ下流側には、蒸発器にて冷却された送風空気を再加熱するヒータコアが配置されている。このヒータコアは、空調ケーシング内の上方側通路および下方側通路それぞれに跨って配置されている。
【0033】
蒸発器とヒータコアの間には、蒸発器を通過した冷風のうち、ヒータコアを通過させる風量とヒータコアをバイパスさせる風量との風量比を変更することで、車室内に吹き出す空気の温度を調整するエアミックスドアが配置されている。
【0034】
空調ケーシングにおける空気流れ最下流側には、空調ケーシング内で温度調整された空気を車室内に設けられた各吹出口(フェイス吹出口、フット吹出口、およびデフロスタ吹出口)に連通する複数の開口部(フェイス開口部、フット開口部、およびデフロスタ開口部)が形成されている。すなわち、空調ケーシング内で温度調整された空気は、空調ケーシングに形成された複数の開口部を介して車室内へ吹き出されるようになっている。
【0035】
次に、送風機ユニット1について図1に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る送風機ユニットの断面図である。なお、図1に示す上下矢印は、車両搭載状態における各方向を示している。
【0036】
送風機ユニット1は、車室外空気(外気)および車室内空気(内気)の両方を区分して吸入可能な内外気2層式のもので構成されている。
【0037】
送風機ユニット1は、外気および内気を導入する内外気切替箱(図示略)と、内外気切替箱により導入された外気および内気の両方を区分して吸入し、吸入した空気を空調ユニットに向けて送風する送風機10を有する。
【0038】
内外気切替箱は、その外殻を形成するケーシングを有し、当該ケーシングの上部に外気および内気をケーシング内に導入するための2つの導入部(第1、第2導入部)が形成されている。各導入部は、それぞれ外気をケーシング内に導入する外気導入口および内気をケーシング内に導入する内気導入口からなる。
【0039】
また、内外気切替箱のケーシングは、仕切り板により第1導入部から導入された空気の導入通路と、第2導入部から導入される空気の導入通路に仕切られている。なお、各導入通路には、各導入部から導入された空気中の塵埃を除去して空気を浄化するフィルタ(図示略)が配置されている。
【0040】
各導入通路には、各導入部における外気導入口および内気導入口を切替開閉する開閉ドアが配置されている。開閉ドアは、その回転軸がサーボモータに連結されており、サーボモータの駆動力により開閉動作が操作される。なお、サーボモータは、空調制御装置(図示略)から出力される制御信号により、その作動が制御される。
【0041】
送風機10は、内外気切替箱の第1導入部から導入された外気および内気の一方を吸入する第1吸入口111、および第2導入部から導入された外気および内気の一方を吸入する第2吸入口112が形成されたスクロールケーシング11を有する。
【0042】
第1吸入口111は、車両上方側に開口しており、その開口縁部にベルマウス状の断面形状を有するガイド部111aが設けられている。第2吸入口112は、車両下方側に開口しており、その開口縁部にベルマウス状の断面形状を有するガイド部112aが設けられている。なお、ガイド部112aは、後述するファンモータ16のモータ収容部163に取付脚112bを介して固定されている。
【0043】
スクロールケーシング11は、その内部に第1吸入口111から吸入した空気が流れる渦巻き状の第1空気通路113、および第2吸入口112から吸入した空気が流れる渦巻状の第2空気通路114が形成されている。なお、スクロールケーシング11の巻き終り端部には、空調ユニット側に空気を吹き出す吹出開口部115が形成されている。
【0044】
スクロールケーシング11の内部に形成された各空気通路113、114は、第1空気通路内に第1吸入口111から空気を吸入する第1ファン12が配置され、第2空気通路内に第2吸入口112から空気を吸入する第2ファン13が配置されている。
【0045】
各ファン12、13は、それぞれ軸方向から吸い込んだ空気を径方向外方に送風する遠心式のファン(例えば、シロッコファン、ターボファン)で構成されている。各ファン12、13それぞれは、軸方向の一端側から空気から空気を吸い込む片吸いファンである。
【0046】
本実施形態の各ファン12、13は、互いに同軸上に配置されており、それぞれ吸入口111、112に対向する吸入側端部の反対側の端部が円盤状のファン主板14により連結されている。
【0047】
ファン主板14は、その中心部にて第2ファン13側に突出するボス部141が形成されている。そして、ファン主板14のボス部141には、後述するファンモータ16の回転軸162の一端側が嵌合により一体に連結されている。
【0048】
スクロールケーシング11に形成された各吸入口111、112のうち、第2吸入口112は、ブロワカバー15により覆われている。換言すれば、ブロワカバー15は、第2吸入口112を覆うように配置されている。
【0049】
ブロワカバー15は、スクロールケーシング11に連結されている。そして、ブロワカバー15の内側壁面と、スクロールケーシング11の外側壁面との間には、内外気切替箱の第2導入部から導入された空気を第2吸入口112へと導く導入通路が形成されている。
【0050】
ブロワカバー15は、第2吸入口112に対向する部位にファンモータ16を取り付けるためのモータ取付用の開口部151が開口している。この開口部151は、後述するファンモータ16のモータ本体部161の収容するモータ収容部163に嵌合する形状とされており、モータ収容部163が嵌合されることで閉鎖される。
【0051】
ファンモータ16は、一端側がファン主板14を介して第1ファン12および第2ファン13それぞれに連結された回転軸162、および回転軸162の他端側に接続されて回転軸162を回転駆動するモータ本体部161を有して構成されている。本実施形態のファンモータ16は、回転軸162がモータ本体部161の一端側から突出する片軸モータである。なお、モータ本体部161には、図示しないロータおよびステータコアが内蔵されている。
【0052】
ファンモータ16としては、直流モータおよび交流モータのいずれを採用してもよい。また、モータ本体部161の内部構成は、アウタロータ型およびインナーロータ型のいずれを採用することができる。
【0053】
モータ本体部161は、樹脂製のモータ収容部163の底面163aに固定された状態で、モータ収容部163の内部に収容されている。そして、モータ本体部161は、モータ収容部163がブロワカバー15の開口部151に嵌合されることでブロワカバー15に固定される。つまり、本実施形態のモータ本体部161は、従来の如くスクロールケーシング11の第2吸入口112の周縁部に取付部材(取付ステー)を介して固定されるのではなく、モータ収容部163を介してブロワカバー15に固定される。なお、モータ収容部163およびブロワカバー15は、防水用のパッキンを介在させて嵌合する構成としてもよい。
【0054】
ここで、モータ本体部161をスクロールケーシング11に形成された第2吸入口112の内側に配置する構成とすると、モータ本体部161自体が通風抵抗となってしまうことがある。
【0055】
このため、本実施形態では、モータ本体部161をスクロールケーシング11の第2吸入口112の外側に配置する構成としている。すなわち、モータ本体部161は、回転軸162の径方向(軸方向に直交する方向)において、スクロールケーシング11と重ならない位置(非重合となる位置)に配置されている。
【0056】
ファンモータ16の回転軸162は、ファン主板14のボス部141に嵌合されており、ファン主板14を介して第1ファン12および第2ファン13それぞれに連結されている。本実施形態の回転軸162は、モータ本体部161をスクロールケーシング11に形成された第2吸入口112の内側(第2ファン12の内部)に配置されている。すなわち、回転軸162は、その径方向において、スクロールケーシング11と重合する位置に配置されている。
【0057】
また、ファンモータ16は、スクロールケーシング11における第2吸入口112の内側(第2ファン12の内部)に、回転軸162を覆うように回転軸162の軸方向(モータ本体部161側からファン主板14側)に延びる筒状部材164を有する。
【0058】
この筒状部材164は、その長手方向のモータ本体部161側がモータ収容部163に一体に連結されており、第2ファン12により吸い込まれる空気を整流する整流部材およびモータ収容部163内への水の浸入を抑制する防水用部材として機能する。
【0059】
また、筒状部材164は、その長手方向のファン主板14側に位置する先端部位が、回転軸162の外周を取り囲む内側筒部165および内側筒部165の外周を取り囲む外側筒部166に分岐されている。内側筒部165および外側筒部166それぞれは、その分岐部164aから回転軸162の一端側(モータ本体部161側の端部)に向かって延びるように設けられている。
【0060】
本実施形態の内側筒部165は、その長手方向の径寸法がモータ本体部161側とファン主板14側とで同径となるように円筒形状とされている。一方、外側筒部166は、その長手方向の径寸法がモータ本体部161側からファン主板14側に向かって拡大するようにテーパ形状とされている。
【0061】
そして、外側筒部166には、内側筒部165との分岐部164aの一部に、内側筒部165から離間する隙間部166aが形成されている。この隙間部166aは、内側筒部165と外側筒部166の間に侵入した水を筒状部材164の外部に排出する排水通路として機能する。なお、図示しないが、隙間部166aには、ドレンホースに接続されており、内部に侵入した水は、当該ドレンホースを介して送風機ユニットの外部に排出される。
【0062】
次に、本実施形態の送風機ユニット1の作動を説明する。
【0063】
送風機ユニット1は、内外気切替箱の開閉ドアにて各導入部の内気導入口が開放されている場合(内気モード)、送風機10の第1ファン12および第2ファン13により各導入部から導入された内気が第1吸入口111および第2吸入口112それぞれから吸入される。そして、第1吸入口111および第2吸入口112から吸入された空気(内気)がスクロールケーシング11の各空気通路113、114を介して空調ユニットの内部に送風される。
【0064】
また、内外気切替箱の開閉ドアにて各導入部の外気導入口が開放される場合(外気モード)、送風機10の第1ファン12および第2ファン13により各導入部から導入された外気が第1吸入口111および第2吸入口112それぞれから吸入される。そして、第1吸入口111および第2吸入口112から吸入された空気(外気)がスクロールケーシング11の各空気通路113、114を介して空調ユニットの内部に送風される。
【0065】
さらに、内外気切替箱の開閉ドアにて第1導入部の内気導入口が開放され、第2導入部の外気導入口が開放される場合(内外気2層流モード)、送風機10の第1ファン12により第1導入部から導入された内気が第1吸入口111から吸入されると共に、第2ファン13により第2導入部から導入された外気が第2吸入口112から吸入される。
【0066】
そして、第1吸入口111から吸入された空気(内気)がスクロールケーシング11の第1空気通路113を介して空調ユニットの内部に送風されると共に、第2吸入口112から吸入された空気(外気)がスクロールケーシング11の第2空気通路114を介して空調ユニットの内部に送風される。
【0067】
ここで、本実施形態の送風機ユニット1では、第2吸入口112を覆うように配置されたブロワカバー15にファンモータ16を固定する構成としているので、従来の如く第2吸入口112の周縁部にファンモータ16を固定する部材(図4、図5参照)を設ける必要がない。このため、第2吸入口112から吸入される空気は、内気モード、外気モード、および内外気2層流モードのうち、いずれの吸入モードが設定されたとしても、ファンモータ16を固定する部材(取付ステー)による通風抵抗を受けることなく、スクロールケーシング11内の第2空気通路114を介して空調ユニットの内部に送風される。
【0068】
従って、本実施形態の構成によれば、送風機ユニット1における送風空気の通風抵抗を低減することができる。この結果、車室内へ送風する空気の送風量の低下や送風時の騒音の増大を抑制することが可能となる。
【0069】
また、本実施形態では、ファンモータ16のモータ本体部161を、回転軸162の径方向(軸方向に直交する方向)において、スクロールケーシング11と非重合となる位置(第2ファン13の外部)に配置しているので、モータ本体部161自体が第2ファン13により吸入される空気の通風抵抗となってしまうことを抑制することができる。これにより、送風機ユニットにおける送風空気の通風抵抗を充分に低減することができる。
【0070】
また、本実施形態では、第2ファン13の内側にファンモータ16の回転軸162を覆う筒状部材164を配置しているので、回転軸162周りに乱流が生ずるのを抑制して第2吸入口112に吸入される空気流れを整流することができる。
【0071】
さらに、当該筒状部材164により第2ファン13の内側に設けた回転軸162の外周を覆うことで、回転軸162に水分が付着することによりファンモータ16のモータ本体部161等が被水してしまうことを抑制することができる。
【0072】
さらにまた、本実施形態では、筒状部材164の先端部位を内側筒部165および外側筒部166に分岐させているので、スクロールケーシング11内に水が浸入したとしても、当該水を内側筒部165および外側筒部166との間に受けることができ、筒状部材164の内部への水の侵入を抑制することができる。この結果、ファンモータ16のモータ本体部161等が被水してしまうことを効果的に抑制することができる。なお、外側筒部166と内側筒部165との間に侵入した水は、外側筒部166に形成された隙間部166aを介して、筒状部材164の外部に排出される。
【0073】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図2に基づいて説明する。図2は、本実施形態に係る送風機ユニットの内部構成を示す断面図である。
【0074】
本実施形態では、ファンモータ16の筒状部材164の形状が第1実施形態と相違している。本実施形態では、第1実施形態と同様または均等な部分についての説明を省略、または簡略化して説明する。
【0075】
図2に示すように、本実施形態の筒状部材164は、内側筒部165の外周を取り囲む外側筒部166は、内側筒部165と同様に、その長手方向の径寸法がモータ本体部161側とファン主板14側とで同径となるように円筒形状とされている。
【0076】
本実施形態の如く、筒状部材164の内側筒部165と外側筒部166とを相似形状としても、第1実施形態の送風機ユニット1と同様の作用効果を奏することができる。
【0077】
なお、筒状部材164の形状は、例えば、外側筒部166を円筒形状とし、内側筒部165を、その長手方向の径寸法がモータ本体部161側からファン主板14側に向かって縮小するようにテーパ形状としてもよい。また、外側筒部166をその長手方向の径寸法がモータ本体部161側からファン主板14側に向かって拡大するようにテーパ形状とすると共に、内側筒部165を、その長手方向の径寸法がモータ本体部161側からファン主板14側に向かって縮小するようにテーパ形状としてもよい。
【0078】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図3に基づいて説明する。図3は、本実施形態に係る送風機ユニットの内部構成を示す断面図である。
【0079】
本実施形態の筒状部材164は、その長手方向のファン主板14側に位置する先端部位が、回転軸162の外周を取り囲む内側筒部165、内側筒部165の外周を取り囲む中間筒部167、および中間筒部167の外周を取り囲む外側筒部166に分岐されている。
【0080】
内側筒部165、中間筒部167、および外側筒部166それぞれは、その分岐部164aから回転軸162の一端側(モータ本体部161側の端部)に向かって延びるように設けられている。そして、各筒部165〜167それぞれは、その長手方向の径寸法がモータ本体部161側とファン主板14側とで同径となるように円筒形状とされている。
【0081】
中間筒部167には、内側筒部165との分岐部164aの一部に、内側筒部165から離間する隙間部167aが形成されている。同様に、外側筒部166には、中間筒部167との分岐部164aの一部に、中間筒部167から離間する隙間部166aが形成されている。
【0082】
これら隙間部166a、167aは、内側筒部165と中間筒部167との間や中間筒部167と外側筒部166の間に侵入した水を筒状部材164の外部に排出する排水通路として機能する。
【0083】
本実施形態の如く、筒状部材164の先端部位を3つの筒部165〜167に分岐させたとしても、第1、第2実施形態の送風機ユニット1と同様の作用効果を奏することができる。
【0084】
なお、本実施形態では、各筒部165〜167を円筒形状としているが、内側筒部165および外側筒部166の少なくとも一方をテーパ形状としてもよい。また、筒状部材164の先端部位を4以上の筒部に分岐させてもよい。
【0085】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。例えば、以下のように種々変形可能である。
【0086】
(1)上述の各実施形態で説明したように、ファンモータ16のモータ本体部161は、回転軸162の径方向において、スクロールケーシング11と重合しない位置に配置する構成が望ましいが、モータ本体部161の体格が小さい、或いは第2吸入口112の開口面積が大きい場合等には、モータ本体部161を回転軸162の径方向において、スクロールケーシング11と重合する位置に配置してもよい。
【0087】
(2)上述の各実施形態で説明したように、ファンモータ16の回転軸162を筒状部材164で覆う構成が望ましいが、ファンモータ16が被水し難い場合には、筒状部材164を省略する構成としてもよい。
【0088】
(3)上述の各実施形態では、ブロワカバー15を、第2吸入口112を覆うように配置し、当該ブロワカバー15における第2吸入口112に対向する部位(開口部151)にファンモータ16を固定する構成を例に説明したが、これに限定されない。例えば、ブロワカバー15を、第1吸入口111を覆うように配置し、当該ブロワカバー15における第1吸入口111に対向する部位にファンモータ16を固定する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0089】
1 送風機ユニット
11 スクロールケーシング
111 第1吸入口
112 第2吸入口
113 第1空気通路
114 第2空気通路
15 ブロワカバー
16 ファンモータ
161 モータ本体部
162 回転軸
164 筒状部材
165 内側筒部
166 外側筒部
166a 隙間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室外空気および車室内空気の両方を区分して吸入可能な内外気2層式の送風機ユニットであって、
前記車室外空気および前記車室内空気の一方を吸入する第1吸入口(111)および第2吸入口(112)が形成されると共に、前記第1吸入口(111)から吸入した空気が流れる第1空気通路(113)、および前記第2吸入口(112)から吸入した空気が流れる第2空気通路(114)が形成されたスクロールケーシング(11)と、
前記第1空気通路(113)内に配置されて前記第1吸入口(111)から空気を吸入する遠心式の第1ファン(12)と、
前記第1ファン(12)と同軸上に配置され、前記第2空気通路(114)内に配置されて前記第2吸入口(112)から空気を吸入する遠心式の第2ファン(13)と、
一端側が前記第1ファン(12)および前記第2ファン(13)それぞれに連結された回転軸(162)、および前記回転軸(162)の他端側に接続されて前記回転軸(162)を回転駆動するモータ本体部(161)を有して構成されるファンモータ(16)と、
前記スクロールケーシング(11)における前記第1吸入口(111)および前記第2吸入口(112)のいずれか一方の吸入口に対向すると共に、前記一方の吸入口を覆うように配置されたブロワカバー(15)と、を備え、
前記ファンモータ(16)は、前記ブロワカバー(15)における前記一方の吸入口に対向する部位に固定されていることを特徴とする送風機ユニット。
【請求項2】
前記モータ本体部(161)は、前記回転軸(162)の軸方向に直交する方向において、前記スクロールケーシング(11)と非重合となる位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の送風機ユニット。
【請求項3】
前記スクロールケーシング(11)における前記一方の吸入口の内側に配置され、前記回転軸(162)を覆うように前記軸方向に沿って延びる筒状部材(164)を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の送風機ユニット。
【請求項4】
前記筒状部材(164)は、前記回転軸(162)の一端側の先端部位が、少なくとも内側筒部(165)および前記内側筒部(165)を取り囲む外側筒部(166)に分岐されており、
前記内側筒部(165)および前記外側筒部(166)は、前記内側筒部(165)および前記外側筒部(166)の分岐部(164a)から前記回転軸(162)の一端側に向かって延びていることを特徴とする請求項3に記載の送風機ユニット。
【請求項5】
前記外側筒部(166)には、前記分岐部(164a)の一部に前記内側筒部(165)から離間する隙間部(166a)が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の送風機ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−166658(P2012−166658A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28468(P2011−28468)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】