説明

逆タンパク質

N末端が成熟腫瘍壊死因子のアミノ酸配列の1つ又は複数のC末端部分で構成され、C末端が成熟腫瘍壊死因子のアミノ酸配列の1つ又は複数のN末端部分で構成されるタンパク質であり、該タンパク質は、上皮イオンチャネルを活性化し、肺機能を改善し、また水腫等の肺機能に関連する疾患を治療するための薬剤の製造に使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆タンパク質に関し、すなわち、N末端が成熟腫瘍壊死因子(TNF)のアミノ酸配列の1つ又は複数のC末端部分で構成され、C末端がTNFのアミノ酸配列の1つ又は複数のN末端部分で構成される腫瘍壊死因子タンパク質(ポリペプチド)に関するものであり、それにより、該タンパク質は、例えば、上皮イオンチャネル活性化用、肺機能改善用、及び肺水腫等の水腫治療用の薬剤として使用できる。
【背景技術】
【0002】
第一に、細胞層及び組織を介する液体輸送は、活性ベクトルイオン輸送、例えばナトリウム輸送による浸透圧勾配に基づくものである。主として、例えば上皮ナトリウムチャネル複合体(ENaC)のような厳密に制御され且つ極めて重要なイオンチャネルによって達成される。水は、この勾配に受動的に従っており、とりわけ、水チャネルのアクアポリン5のような特定の水チャネルを通る。肺組織に関しては、ポンピング細胞の側底で、Na+/K+ ATPaseが、その間隙に向けてナトリウムのベクトル輸送を促進し、最終的にはイオンのベクトル輸送をリンパ管及び血管に向けて促進することが知られている。このように、前記輸送は能動的であって、肺圧差及び肺胞タンパク質濃度とは無関係に生じる。
【0003】
水腫は、例えば、肺だけでなく、脳や皮膚等の組織内における体液の病的な蓄積である。肺での水腫を肺水腫と呼ぶ。肺水腫は、主に、体液の溢出と再吸収間の不均衡が原因となる。非常に多くの場合、肺組織の透過性が損なわれると、体液供給の増加が起こり、体液が肺胞内に蓄積する。
【0004】
肺胞から間隙への体液の戻り輸送の欠如により生じるこのような透過性の異常は、急性肺損傷(ALI)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、又は重症急性呼吸器症候群(SARS)、肺炎及び多臓器不全に対して特に重大である。しかしながら、上記透過性異常はまた、呼吸により誘発される肺損傷、肺移植、輸液に関連する肺損傷、治療目的のIL-2投与又は喘息等の他の肺疾患にも関与する。
【0005】
組織又は臓器、例えば肺における体液の蓄積が増大する結果、必要なガス交換が遅れるか又は完全に抑制される。呼吸空気からの酸素が血液に供給されないと、酸素の欠乏により臓器が致死的な損傷を受ける可能性がある。
【0006】
透過性水腫の治療に対する一般的な標準治療法は存在しない。一般に、肺水腫の患者に人工呼吸を施行することによって、血液への酸素の供給を確保し、ひいては臓器への酸素供給を確保しようと試みる。
【0007】
TNFに由来する個々のペプチドが、特許文献1(独国特許第3841759号明細書)で知られている。
【0008】
Carswell et al. in Proc. Natl. Acad. Sci. USA 72, 3666, 1975(非特許文献1)では、マイコバクテリア株カルメット・ゲラン菌(BCG)に予め感染させた動物であって、内毒素で処理した動物の血清が、マウスの異なる腫瘍で出血性壊死を引き起こしたことが報告されている。この活性は、腫瘍壊死因子(TNF)に起因した。また、TNFは、複数の形質転換細胞株に対して、インビトロで細胞増殖抑制活性又は細胞毒性活性を示すが、正常なヒト及び動物の細胞株は、これによる影響を受けない(非特許文献2:M. R. Ruff et al, Lymphokines, Vol. II, Academic Press Inc., New York, 1981, pp 235-275)。ヒトTNFの生物学的特徴付け及び遺伝子は、既に報告されている(非特許文献3:D Pennica et al, Nature 312, 724, 1984; 非特許文献4:Aggarwal, B. B. et al, J. Biol. Chem. 260, 2334-2345, 1985; 非特許文献5:Nedwin, G.E. et al, Nucl. Acids Res. 13, 6361, 1985)。
【0009】
これらのデータから、ヒト成熟腫瘍壊死因子(TNF)について、以下に示すタンパク質の構造を導き出すことが可能である:
(NH2)Val Arg Ser Ser Ser Arg Thr Pro Ser Asp Lys Pro Val Ala His Val Val Ala Asn Pro Gln Ala Glu Gly Gln Leu Gln Trp Leu Asn Arg Arg Ala Asn Ala Leu Leu Ala Asn Gly Val Glu Leu Arg Asp Asn Gln Leu Val Val Pro Ser Glu Gly Leu Tyr Leu Ile Tyr Ser Gln Val Leu Phe Lys Gly Gln Gly Cys Pro Ser Thr His Val Leu Leu Thr His Thr Ile Ser Arg Ile Ala Val Ser Tyr Gln Thr Lys Val Asn Leu Leu Ser Ala Ile Lys Ser Pro Cys Gln Arg Glu Thr Pro Glu Gly Ala Glu Ala Lys Pro Trp Tyr Glu Pro Ile Tyr Leu Gly Gly Val Phe Gln Leu Glu Lys Gly Asp Arg Leu Ser Ala Glu Ile Asn Arg Pro Asp Tyr Leu Asp Phe Ala Glu Ser Gly Gln Val Tyr Phe Gly Ile Ile Ala Leu(COOH)
【0010】
更に、ウシ、ウサギ及びマウスのTNF遺伝子が記載されている(非特許文献6:Goeddel D. V. et al., Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol. 51, 597, 1986)。
【0011】
その細胞毒性作用に加えて、TNFは、とりわけ、炎症反応に深く関与している(非特許文献7:J. W. Larrick et al, Pharmac. Res. Vol. 5, No. 3, 129-139, 1988)。動物モデルでは、敗血性ショック(非特許文献8:Torti F. M. et al, Science 229, 867-869, 1985)及び移植片対宿主疾患(非特許文献9:Piguet, P F et al, J. Exp. Med., 166, 1280, 1987)においてTNFの関与を実証することができた。
【0012】
生化学検査により、ヒトTNFは、表1に載せた異なる構造要素から構成されることが知られている。
【0013】

【0014】
Lucas R et al, Science (1994) Vol. 263. no. 5148, pp. 814-817(非特許文献10)には、TNFのSer(99)からGlu(116)の領域に由来しており、水腫の治療のために提案したペプチドが記載されている。前記ペプチドは、特許文献2(国際公開第00/09149号)の主題でもある。しかしながら、特許文献2に記載のこのペプチドを使用可能にするため、Pro(100)の位置をアミノ酸のシステインに人為的に置換する必要があり、また、Cys(101)の位置をアミノ酸のグリシンに人為的に置換する必要がある。Ser(99)からGlu(116)の直鎖ペプチドは、本発明に従う効果を有していないので(非特許文献11:Hribar M. et al., Eur. J. Immunol. (1999), Vol. 29, 3105-3111; 非特許文献12:Braun C., J. Immunol. (2005), 175: 3402-3408; 非特許文献13:Fukuda N. et al. Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol (2001) 280: L1258-L1265)、構造を維持しつつ、2つのアミノ酸システイン間での閉環を可能にするには、Glu(116)の位置をアミノ酸のシステインで更に置換する必要があった。特許文献2に記載のペプチドの不利な点は、前記ペプチドが人為的なアミノ酸配列を含んでいることであって、すなわち、この形態ではTNFに含まれないということである。人為的な構造が与えられたこのようなペプチドは、ヒト免疫システムによって外来性物質として認識される。かかるペプチドの薬用形態での反復投与又は持続的投与は、致死的な免疫反応を引き起こす場合がある。
【0015】
驚くことに、成熟腫瘍壊死因子(TNF)のアミノ酸配列の部分からなるタンパク質は、興味深い生物学的性質を示し、かかるタンパク質は、人為的なアミノ酸配列を含んでいないことを見出した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】独国特許第3841759号明細書
【特許文献2】国際公開第00/09149号明細書
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Carswell et al. in Proc. Natl. Acad. Sci. USA 72, 3666, 1975
【非特許文献2】M. R. Ruff et al, Lymphokines, Vol. II, Academic Press Inc., New York, 1981, pp 235-275
【非特許文献3】D Pennica et al, Nature 312, 724, 1984
【非特許文献4】Aggarwal, B. B. et al, J. Biol. Chem. 260, 2334-2345, 1985
【非特許文献5】Nedwin, G.E. et al, Nucl. Acids Res. 13, 6361, 1985
【非特許文献6】Goeddel D. V. et al., Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol. 51, 597, 1986
【非特許文献7】J. W. Larrick et al, Pharmac. Res. Vol. 5, No. 3, 129-139, 1988
【非特許文献8】Torti F. M. et al, Science 229, 867-869, 1985
【非特許文献9】Piguet, P F et al, J. Exp. Med., 166, 1280, 1987
【非特許文献10】Lucas R et al, Science (1994) Vol. 263. no. 5148, pp. 814-817
【非特許文献11】Hribar M. et al., Eur. J. Immunol. (1999), Vol. 29, 3105-3111
【非特許文献12】Braun C., J. Immunol, (2005), 175: 3402-3408
【非特許文献13】Fukuda N. et al. Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol (2001) 280: L1258-L1265
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
一の態様において、本発明は、逆腫瘍壊死因子タンパク質、例えば、N末端が成熟腫瘍壊死因子のアミノ酸配列の1つ又は複数のC末端部分、好ましくは一部で構成され、C末端が成熟腫瘍壊死因子のアミノ酸配列の1つ又は複数のN末端部分、好ましくは一部で構成されるタンパク質を、例えば融合タンパク質の形態で提供する。
【0019】
本発明で使用される成熟腫瘍壊死因子(TNF)は、ヒト成熟腫瘍壊死因子であることが好ましい。
【0020】
本発明に従って提供されるタンパク質は、本明細書において「本発明に従うタンパク質」とも称される。
【0021】
成熟腫瘍壊死因子(TNF)のアミノ酸配列の部分は、本明細書において「腫瘍壊死因子(TNF)の構造要素」とも称される。
【0022】
他の態様において、本発明は、N末端が成熟腫瘍壊死因子の1つ又は複数のC末端構造要素で構成され、C末端が成熟腫瘍壊死因子の1つ又は複数のN末端構造要素で構成される本発明に従うタンパク質を、例えば融合タンパク質の形態で提供する。
【0023】
成熟腫瘍壊死因子の構造要素を表1に定義する。
【0024】
本発明に従うタンパク質には、先に定義したようにヒトTNFのアミノ酸配列の部分、例えばTNFの構造要素からなる融合タンパク質が含まれる。
【0025】
更に、本発明に従うタンパク質は、N末端がTNFのC末端構造要素であるβ−ストランド6〜β−ストランド10又はβ−ストランド8〜β−ストランド9に由来し、C末端がTNFのN末端構造要素であるβ−ストランド2〜β−ストランド3又はβ−ストランド3に由来し、例えば少なくとも2つのシステイン部分を含むという条件が付く場合には、特に有利であることを見出した。
【0026】
本発明によれば、アミノ酸配列
SEQ ID: NO: 1
(NH2)Ala-Ile-Lys-Ser-Pro-Cys-Gln-Arg-Glu-Thr-Pro-Glu-Gly-Ala-Glu-Ala-Lys-Gly-Gly-Cys-Pro-Ser-Thr-His-Val(COOH);
SEQ ID: NO: 2
(NH2)Lys-Ser-Pro-Cys-Gln-Arg-Glu-Thr-Pro-Glu-Gly-Ala-Glu-Ala-Lys-Gly-Gly-Cys-Pro-Ser(COOH);及び
SEQ ID:NO:3
(NH2)Cys-Gln-Arg-Glu-Thr-Pro-Glu-Gly-Ala-Glu-Ala-Lys-Gly-Gly-Cys(COOH)
を備える特に適したタンパク質が見出された。
【0027】
他の態様において、本発明は、アミノ酸配列SEQ ID: NO: 1、SEQ ID: NO: 2又はSEQ ID: NO: 3を備える本発明に従うタンパク質を提供する。
【0028】
アミノ酸配列SEQ ID: NO: 1を備えるタンパク質では、該タンパク質のN末端部分であるAla(96)からLys(112)までが、ヒトTNFのC末端構造要素であるβ-ストランド6からβ-ストランド9に由来し、C末端部分であるGly(68)からVal(74)までが、ヒトTNFのN末端構造要素であるβ-ストランド2及びβ-ストランド3に由来する。数字(96)、(112)、(68)及び(74)は、ヒトTNFにおけるアミノ酸の位置を意味する。
【0029】
アミノ酸配列SEQ ID: NO: 2を備えるタンパク質では、該タンパク質のN末端部分であるLys(98)からLys(112)までが、ヒトTNFのC末端構造要素であるβ-ストランド7からβ-ストランド9に由来し、逆融合タンパク質のC末端部分であるGly(68)からSer(71)までが、ヒトTNFのN末端構造要素であるβ-ストランド3に由来する。数字(98)、(112)、(68)及び(71)は、ヒトTNFにおけるアミノ酸の位置を意味する。
【0030】
アミノ酸配列SEQ ID: NO: 3を備えるタンパク質では、該タンパク質のN末端部分であるCys(101)からLys(112)までが、ヒトTNFのC末端構造要素であるβ-ストランド7からβ-ストランド9に由来し、C末端部分であるGly(68)からCys(69)までが、ヒトTNFのN末端構造要素のβ-ストランド3に由来する。
【0031】
さらに、驚くことに、本発明に係るタンパク質においては、閉環が可能となり、例えば、2つのシステイン部分間の結合によって提供され、例えば、TNFのN末端アミノ酸配列に由来するシステイン部分とTNFのC末端アミノ酸配列に由来するシステイン部分間の結合による閉環;例えば、2つのシステイン部分の各硫黄分子間でのジスルフィド架橋による閉環が提供されることを見出した。
【0032】
他の態様において、本発明は、2つのシステイン部分間での結合により閉環が可能になる本発明に従うタンパク質を提供するものであり、例えば、該タンパク質は、2つのシステイン部分間での結合による環状タンパク質である。
【0033】
SEQ ID NO: 1からSEQ ID NO: 9のタンパク質では、ヒトTNFのシステインCys(101)及びCys(69)に対応する2つのシステイン間で閉環が起こる。
【0034】
ジスルフィド架橋は、例えば、加水分解又は酵素分解で開裂させることができ、本発明に従うタンパク質が環状で存在するか又は非環状で存在するかは、周囲条件によって決まり、例えば、本発明に従うタンパク質は、生物環境下において環状又は非環状で存在することができる。本発明に従うタンパク質は、ここで説明される環状形態と非環状形態(ジスルフィド架橋が無い)の両方で存在でき、純粋に単離した形態では、環状で存在するのが好ましい。
【0035】
ヒトTNFの構造では、2つのシステイン部分の各硫黄分子間でのジスルフィド架橋によって閉環を形成しない。
【0036】
本発明に従うタンパク質は、遊離形態で存在してもよいし、塩の形態、例えば酢酸塩又はトリフルオロ酢酸塩等の酸付加塩の形態で存在することができ、更なる態様において、本発明は、本発明に従うタンパク質を塩の形態で提供する。
【0037】
本発明に従うタンパク質は、適切な方法で作製でき、例えば、ペプチド化学による化学合成や、又は例えばここで説明される微生物プロセスの使用等による既知の方法に類似の方法である。
【0038】
本発明に従うタンパク質は、興味深い生物学的活性を示し、それ故、薬剤として使用できることが分かった。
【0039】
更なる態様において、本発明は、薬剤として使用するための本発明に従うタンパク質を提供し、例えば、薬剤としての本発明に従うタンパク質の使用である。
【0040】
例えば、ヒト細胞での生化学検査は、本発明に従うタンパク質が、(ヒト)TNFとは対照的に、炎症性又は毒性を実質的に示さないことを示す。該検査のため、血液からのヒト免疫細胞を本発明に従うタンパク質と低濃度で混合し、実験室にて一般的な方法でインキュベートされる。続いて、炎症用マーカータンパク質を従来の方法によって決定する。本発明に従うタンパク質、例えば、アミノ酸配列SEQ ID No: 1、SEQ ID No: 2又はSEQ ID No: 3のタンパク質の添加にもかかわらず、例えば、炎症マーカーインターロイキン−6(IL-6)等の炎症性タンパク質を検出することができない。
【0041】
更なる態様において、本発明は、炎症を防ぐための方法、例えば、腫瘍壊死因子、例えばヒト腫瘍壊死因子に由来のタンパク質の医療用途においてIL-6等の炎症マーカーの形成を防ぐための方法を提供し、該方法は、本発明に従うタンパク質を使用することを特徴とする。
【0042】
更に、実験室にて一般的な方法は、パッチ・クランプ検査によってイオンチャネルの活性化を検出することであり、このことは、例えば、Clunes M.T. et al, J Physiol Volume 577, No. 3, 809-819(2004年6月15日)において説明される。イオンチャネルのパッチ・クランプ検査のため、ガラスカニューレを薄く伸展させ、中性緩衝液を充填する。該ガラスカニューレ(パッチ・クランプピペット)を、無傷の上皮細胞上に慎重に押し付ける。膜の一部がピペットの下に位置する。それにより、ピペット内部と外液の間に電気抵抗が生じる。感度の良い増幅器に取り付けた電極をピペット液に浸漬する。
【0043】
驚くことに、アミノ酸配列SEQ ID No: 1、SEQ ID No: 2、又はSEQ ID No: 3のタンパク質等の本発明に従うタンパク質は、上皮イオンチャネルを活性化し、このことは、電圧対アンペア数の変化によって検出できることが分かる。
【0044】
急性肺損傷のシミュレーション及び肺水腫の形成のため、例えばマウス又はラット等の実験動物の肺を、研究室にて一般的な方法で、酸性の食塩水により数回すすぎ洗いすることができる(例えば、Isik F. et al., Eur J Cardiothorac Surg (2005); 28: 301-305に従う)。この結果、肺機能が低下する。本発明に従うタンパク質、例えばアミノ酸配列SEQ ID NO: 1、SEQ ID NO: 2又はSEQ ID NO: 3のタンパク質を霧として又は水溶液で実験動物の肺に注入する場合、動脈血中の酸素含有量の増加によって示唆されるように、肺機能の明らかな改善が3〜5時間以内に起こる。従って、本発明に従うタンパク質は、肺水腫等の水腫の治療に使用できる。
【0045】
他の態様において、本発明は、本発明に従うタンパク質を肺機能に関連する疾患を治療するために提供するものであり、例えば、肺機能に関連する疾患の治療用の薬剤を製造するために本発明に係るタンパク質を使用することである。
【0046】
肺機能に関連する疾患の治療には、例えば、上皮イオンチャネルの活性化、肺機能の改善及び/又は肺水腫等の水腫の治療、
急性肺損傷ALIの治療、
急性呼吸窮迫症候群ARDSの治療、
重症急性呼吸器症候群(SARS)の治療、
肺炎の治療、
多臓器不全の場合の治療、
呼吸により誘発される肺損傷、肺移植、輸液により誘発される肺損傷、治療目的のIL-2投与又は喘息の場合の治療、
が含まれ、例えば、上皮イオンチャネルの活性化、肺機能の改善及び/又は肺水腫等の水腫の治療である。
【0047】
他の態様において、本発明は、肺機能に関連する疾患の治療方法を提供するものであり、かかる治療を必要とする患者に対して、本発明に従うタンパク質を十分な量投与することを特徴とする。
【0048】
本明細書で使用される患者には、哺乳類、例えばヒトが含まれる。
【0049】
本発明に従うタンパク質は、薬剤の形態で投与されることができる。
【0050】
他の態様において、本発明は、本発明に従うタンパク質を、キャリア若しくは希釈剤、例えば充填剤、結合剤、フロー調整剤、潤滑油、香味剤、糖質若しくは甘味剤、匂い物質、防腐剤、安定効果を有する物質、保湿剤、乳化剤、可溶化剤、浸透圧調整用の塩及び/又は緩衝液(混合物)等の少なくとも1つの薬学的に許容されるアジュバントと組み合わせて備えることを特徴とする薬剤を提供するものである。
【0051】
疾患治療用の本発明に従うタンパク質の適当量は、当然ながら、異なるパラメータ、例えば、使用されるタンパク質の化学的性質及び薬物動態、個々の患者、治療される疾患、適用の種類に強く依存するものの、大型哺乳類の成功した一日量は、例えば0.0001g〜1.5gの範囲に及ぶ量であり、例えば、0.001mg/kg体重〜約20mg/kg体重である。適用は、経腸的に又は非経口的に行ってもよいし、非経口的に行うのが好ましい。本発明に従う薬剤は、例えば、例えば混合、顆粒化、コーティング、溶解、凍結乾燥による既知の方法と類似した方法で作ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1A】SEQ ID NO: 1のアミノ酸配列を備えるタンパク質のHPLCクロマトグラムを示す。単位:y軸:吸収,mV;x軸:時間,分。
【図1B】SEQ ID NO: 2のアミノ酸配列を備えるタンパク質のHPLCクロマトグラムを示す。単位:y軸:吸収,mAU;x軸:時間,分。
【図1C】SEQ ID NO: 3のアミノ酸配列を備えるタンパク質のHPLCクロマトグラムを示す。単位:y軸:吸収,mAU;x軸:時間,分。
【図2A】右側の画像は、パッチ・クランプによって検出された、SEQ ID NO: 1(図面では「配列1」と称する)のアミノ酸配列のタンパク質によるナトリウムイオンチャネルの活性化を示す。比較のため、図2Aの左側の画像は、タンパク質が無い場合である。単位:y軸:アンペア数,pA;x軸:時間,秒。
【図2B】右側の画像は、パッチ・クランプによって検出された、SEQ ID NO: 2(図面では「配列2」と称する)のアミノ酸配列のタンパク質によるナトリウムイオンチャネルの活性化を示す。比較のため、図2Bの左側の画像は、タンパク質が無い場合である。単位:y軸:アンペア数,pA;x軸:時間,秒。
【図2C】左側の画像は、パッチ・クランプによって検出された、SEQ ID NO:3のアミノ酸配列のタンパク質によるナトリウムイオンチャネルの活性化を示し、10μMのアミロリド(右側の画像)によるイオンチャネルの抑制と比較する。単位:y軸:アンペア数,pA;x軸:時間,秒。
【図3A】SEQ ID NO: 1のアミノ酸配列を備えるタンパク質の投与に応じる動脈血中の酸素含有量の増加を示す。単位:y軸:酸素含有量,%;x軸:測定時間,分。
【図3B】SEQ ID NO: 2のアミノ酸配列を備えるタンパク質の投与に応じる動脈血中の酸素含有量の増加を示す。単位:y軸:酸素含有量,%;x軸:測定時間,分。
【図3C】SEQ ID NO: 3のアミノ酸配列を備えるタンパク質の投与に応じる動脈血中の酸素含有量の増加を示す。単位:y軸:酸素含有量,%;x軸:測定時間,分。
【発明を実施するための形態】
【0053】
実施例では、以下の略語を用いる:
TFA塩 トリフルオロ酢酸塩
【0054】
例1:アミノ酸配列SEQ ID NO: 1を備えるタンパク質の合成
アミノ酸配列SEQ ID NO: 1を備えるタンパク質は、以下に示す工程のFmoc固相合成を経て完全に自動で合成された。

【0055】
アミノ酸のシステイン(位置6)及びシステイン(位置20)の側鎖間にジスルフィド架橋を形成することによって、環化を達成した。これは、例えば、システイン(位置6)及びシステイン(位置20)の側鎖における硫黄原子の酸素酸化によって生じ、それにより、ジスルフィド架橋が形成され、閉環をもたらす。
【0056】
続いて、タンパク質を逆相HPLCに通して試験することで、図1Aに示す結果を得た。
【0057】
例2:アミノ酸配列SEQ ID NO: 2を備えるタンパク質の合成
アミノ酸配列SEQ ID NO: 2を備えるタンパク質は、以下に示す工程のFmoc固相合成を経て完全に自動で合成された。

【0058】
アミノ酸のシステイン(位置4)及びシステイン(位置18)の側鎖間にジスルフィド架橋を形成することによって、環化を達成した。これは、例えば、システイン(位置4)及びシステイン(位置18)の側鎖における硫黄原子の酸素酸化によって生じ、それにより、ジスルフィド架橋が形成され、閉環をもたらす。
【0059】
続いて、タンパク質を逆相HPLCに通して試験することで、図1Bに示す結果を得た。
【0060】
例3:アミノ酸配列SEQ ID NO: 3を備えるタンパク質の合成
アミノ酸配列SEQ ID NO: 3を備えるタンパク質は、以下に示す工程のFmoc固相合成を経て完全に自動で合成された。

【0061】
アミノ酸のシステイン(位置1)及びシステイン(位置15)の側鎖間にジスルフィド架橋を形成することによって、環化を達成した。これは、例えば、システイン(位置1)及びシステイン(位置15)の側鎖における硫黄原子の酸素酸化によって生じ、それにより、ジスルフィド架橋が形成され、閉環をもたらす。
【0062】
続いて、タンパク質を逆相HPLCに通して試験することで、図1Cに示す結果を得た。
【0063】
例4:細胞培養
電気生理学的検査をヒトA549細胞(ATTC No. CCL-185)に行った。A549細胞は、ヒト肺上皮細胞であって、肺中の水及び電解質の拡散に関与する。該細胞を、1%のペニシリン−ストレプトマイシン及び10%のウシ胎仔血清を含むDMEM-F-12培地に懸濁させ、プラスチック製細胞培養容器に移し、空気95%及びCO2 5%で37℃のインキュベータで培養した。培地は週に2〜3回交換した。細胞は、約22時間以内に倍増し、7×104個/cm2を超える細胞密度にはならなかった。
【0064】
例5:アミノ酸配列SEQ ID NO: 1、SEQ ID NO: 2又はSEQ ID NO: 3を備えるタンパク質によるヒト上皮細胞のイオンチャネルの活性化
「パッチ・クランプ」技術の「全細胞」及び「細胞接着」構造において、A549細胞から巨視的電流及び単一チャネル電流が放出された(Hamill et al, Pflugers Arch. 1981, 391 (2): 85-100, 1981)。「全細胞」構造における電流散逸に対して、以下に示す槽溶液及び電極溶液を用いた:
槽溶液:135 mMのメタンスルホン酸ナトリウム、10 mMのNaCl、2.7 mMのKCl、1.8 mMのCaCl2、2 mMのMgCl2、5.5 mMのグルコース及び10 mMのHEPES、pH 7.4。
電極溶液:120 mMのメチルスルホン酸カリウム、15mMのKCl、6 mMのNaCl、1mMのMg2ATP、2mMのNa3ATP、10 mMのHEPES及び0.5 mMのEGTA(pH 7.2)。
【0065】
カバーガラス上で細胞が培養されたカバーガラスを、容積が1 mlの試験槽に移し、顕微鏡台(Axiovert 100、倍率400倍)上に固定し、上述の槽溶液で細胞をかん流した。その結果、(カバーガラスに付着する)相当の細胞から電流が放出された。このため、電極溶液で満たした微小電極(約1〜3μmの規定された熱磨き先端開口部を有し、3〜5Ωの電極チップの抵抗に相当するガラス毛管)を細胞上に配置し、膜を吸引し、該膜と電極間に「ギガオーム・シール」を形成し、漏れ電流を最小限に抑える。「細胞接着」構造では、電極チップ下の個々のイオンチャネルを通して電流を測定することができる。「全細胞」構造では、電極チップ下の膜を貫通するので、細胞の全てのイオンチャネルに流れる電流を測定することができる。また、微視的電流の散逸を「穿孔パッチ・クランプ」技術を用いて行うこともできる。「全細胞」散逸に対して、ピペット溶液にイオノフォア・アンフォテリシンを加えることで、膜は、先端開口部の下が透過可能となり、電流が「全細胞」構造において放出され得る。ギガオーム・シールを得た上で、電位を保持する既定の膜をプリアンプ(CV-4 Headstage、Axon Instruments)及び増幅器(Axopatch 1D、Axon Instr.)を介して適用し、それによって、イオンチャネルを流れる電流を測定した。
【0066】
パルス・プロトコルは、5s間隔にて1s間−100mVへの過分極で構成された。更なる結果として、膜は、+100mVまで20mVずつ最終的に脱分極された。前記プロトコルは、アミノ酸配列SEQ ID NO: 1、SEQ ID NO: 2又はSEQ ID NO: 3に加えて、ナトリウムチャネル阻害因子であるアミロリドを備える合成タンパク質を加えることによって行われた。このようにして得られる電流散逸は、蓄積されて、プログラムPCLAMP 6.0を用いて解析された。このため、アミロリドの存在下で得られた電流散逸が、早期に記録された電流から引かれ、上皮ナトリウムチャネルを介するアミロリド感受性ナトリウム電流が測定され得る。
【0067】
アミノ酸配列SEQ ID NO: 1、SEQ ID NO: 2及びSEQ ID NO: 3を備えるタンパク質によるナトリウムイオンチャネルの活性化を示すという結果が、図2A、図2B及び図2Cから明らかである。
【0068】
例6:肺水腫の実験動物研究
オスのウィスター系ラット(体重250g〜350g)をRompun(登録商標)(0.02ml/100g)及びKetavet(登録商標)(0.1ml/100g)で麻酔する。呼吸は、72blows/分のサイクルで行われ、吸入時間が0.2秒で、呼気時間が0.5秒である。体温は、平均で37℃〜39℃の範囲である。正常状態で、PaO2(動脈の酸素分圧)は、500〜550mmHgの範囲である。急性肺損傷のシミュレーション及び肺水腫の形成のため、肺を酸性食塩水(pH 5)で7〜9回すすぎ洗いする。1時間後、アミノ酸配列SEQ ID NO: 1、SEQ ID NO: 2又はSEQ ID NO: 3を備えるタンパク質を滅菌食塩水に溶解させ、いずれの場合も、霧状で気管内に投与する(最大投与量:0.5ml)。それぞれ60分間隔で、動物から動脈血(0.1ml)を抜き、酸素含有量を通常値に対する%で決定する。アミノ酸配列SEQ ID NO: 1、SEQ ID NO: 2又はSEQ ID NO: 3を備えるタンパク質を投与した後、図3A、図3B又は図3Cから明らかなように、血液中の酸素含有量は増加する。また、例7も参照されたい。
【0069】
例7:肺機能の改善
本発明に従うタンパク質、例えばアミノ酸配列SEQ ID NO: 1、SEQ ID NO: 2又はSEQ ID NO: 3を備えるタンパク質の肺機能への刺激的効果の検証を、肺水腫を誘発させた実験動物研究によって行う。実験手順は、例6に記載される。測定値を客観的にするため、いずれの場合も、5匹の動物を使用する。
気管内吸入については、それぞれの場合で125μgのタンパク質をpH 7.3の150mMの食塩水に溶解させる。動脈血の酸素含有量は、肺のすすぎ洗いを行う直前、肺のすすぎ洗いの60分後、肺のすすぎ洗いの180分後に測定される。肺のすすぎ洗いを行う直前の酸素含有量が100%であると決定する。それぞれの最終的な肺のすすぎ洗いの60分後、血中の酸素含有量は、平均でほんの20%になる。酸素含有量のパーセンテージは、3時間以内に、アミノ酸配列SEQ ID NO: 1を備えるタンパク質で治療を行う場合で60%の値まで上昇し、アミノ酸配列SEQ ID NO: 2を備えるタンパク質で治療を行う場合で63%の値まで上昇し、アミノ酸配列SEQ ID NO: 3を備えるタンパク質で治療を行う場合で70%の値まで上昇する。
タンパク質を加えないと、肺機能の改善(酸素含有量20%)は、肺のすすぎ洗いから180分以内で起きないであろう。
上記結果は、
SEQ ID NO: 1のアミノ酸配列を備えるタンパク質に関しては図3Aで説明され、
SEQ ID NO: 2のアミノ酸配列を備えるタンパク質に関しては図3Bで説明され、
SEQ ID NO: 3のアミノ酸配列を備えるタンパク質に関しては図3Cで説明される。
【0070】
例8:炎症パラメータの測定
ヒトの新鮮血は、炎症促進性分子に対して極めて鋭敏な反応を示し、とりわけ、炎症マーカーのインターロイキン−6(IL-6)を放出する場合である。炎症促進反応を測定するため、異なる濃度のアミノ酸配列SEQ ID NO: 3を備えるタンパク質を有するヒト新鮮血のサンプルを、10μg/ml、3μg/ml、1μg/mlの濃度でインキュベートした。37℃で24時間インキュベートした後、ELISAによって溶液中の炎症マーカーインターロイキン-6を定量的に測定した。LPSは、ポジティブコントロールとして機能を果たした。
このようにして、表2に示す測定データが得られ、該測定データは、LPSと比較してSEQ ID NO: 3のアミノ酸配列を備えるタンパク質が及ぼす影響を示す。

【0071】
表2の測定データは、SEQ ID NO: 3のアミノ酸配列のタンパク質を有するヒトの新鮮血をインキュベートすることによって、炎症マーカーIL-6が実質的に放出されず、従って、炎症反応を引き起こさないことを示す。対照的に、ポジティブコントロールとしてのLPSでのインキュベーションは、炎症マーカーIL-6の激しい放出を引き起こす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
N末端が成熟腫瘍壊死因子のアミノ酸配列の1つ又は複数のC末端部分で構成され、C末端が成熟腫瘍壊死因子のアミノ酸配列の1つ又は複数のN末端部分で構成されるタンパク質。
【請求項2】
N末端が成熟腫瘍壊死因子の1つ又は複数のC末端構造要素で構成され、C末端が成熟腫瘍壊死因子の1つ又は複数のN末端構造要素で構成されてなり、但し、少なくとも2つのシステイン部分を含むことを特徴とする請求項1に記載のタンパク質。
【請求項3】
N末端が成熟腫瘍壊死因子のC末端構造要素であるβ-ストランド6〜β-ストランド10又はβ-ストランド8〜β-ストランド9に由来し、C末端が成熟腫瘍壊死因子のN末端構造要素であるβ-ストランド2〜β-ストランド3又はβ-ストランド3に由来することを特徴とする請求項1又は2に記載のタンパク質。
【請求項4】
アミノ酸配列
SEQ ID: NO: 1
(NH2)Ala-Ile-Lys-Ser-Pro-Cys-Gln-Arg-Glu-Thr-Pro-Glu-Gly-Ala-Glu-Ala-Lys-Gly-Gly-Cys-Pro-Ser-Thr-His-Val(COOH);
SEQ ID:NO:2
(NH2)Lys-Ser-Pro-Cys-Gln-Arg-Glu-Thr-Pro-Glu-Gly-Ala-Glu-Ala-Lys-Gly-Gly-Cys-Pro-Ser(COOH);及び
SEQ ID:NO: 3
(NH2)Cys-Gln-Arg-Glu-Thr-Pro-Glu-Gly-Ala-Glu-Ala-Lys-Gly-Gly-Cys(COOH)
から選択されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のタンパク質。
【請求項5】
2つのシステイン部分間の結合により閉環が可能になることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のタンパク質。
【請求項6】
薬剤として使用するための請求項1〜5のいずれかに記載のタンパク質。
【請求項7】
肺機能に関連する疾患を治療するための請求項1〜5のいずれかに記載のタンパク質。
【請求項8】
肺機能の改善及び/又は肺水腫等の水腫の治療用の請求項7に記載のタンパク質。
【請求項9】
肺機能に関連する疾患の治療方法において、かかる治療が必要な患者に請求項1〜5のいずれかに記載のタンパク質を十分な量投与することを特徴とする肺機能に関連する疾患の治療方法。
【請求項10】
請求項1〜5のいずれかに記載のタンパク質を備えることを特徴とする薬剤。
【請求項11】
前記腫瘍壊死因子に由来のタンパク質の医療用途により炎症を防ぐための方法において、請求項1〜5のいずれかに記載のタンパク質を使用することを特徴とする方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【公表番号】特表2011−506346(P2011−506346A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537208(P2010−537208)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【国際出願番号】PCT/AT2008/000447
【国際公開番号】WO2009/073908
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(510164245)アペプティコ フオルシユング ウント アントウィクラング ゲーエムベーハー (3)
【Fターム(参考)】