説明

逆相親水性ポリマーおよび水膨張性エラストマー組成物中におけるそれらの使用

水膨潤性組成物、それらの製造のための分散体およびポリマー微粒子、ならびに、それらの製造と使用が、記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水膨潤性組成物、分散体およびそれらの製造用のポリマー微粒子に関する。
【0002】
エラストマー成分ならびに微粒子の吸水性物質(多糖類、ならびにメタクリラート、アクリラート、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸およびそれらの塩類、ポリアクリルアミドなどに基づくポリマーより選択される高吸水性ポリマーの組み合わせである)を含む水膨潤性シールは、例えばUS 6,358,580から公知である。高吸水性ポリマーは、5〜800μmの範囲で平均粒径を有する。適切な高吸収のものにおいて、全粒子のわずか2.3重量%だけが、50μm以下の粒径を有する。
【0003】
水膨潤性部分と水非膨潤性部分とを含む、さまざまな土木技術や建築作業において、止水物質を目的として使用される水封のシーリング材は、例えばEP 588,286 A1に記載されている。水非膨潤性部分として、塩化ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、EPDMおよびシリコーン樹脂が選択可能であり、水膨潤性物質として、ウレタン樹脂、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウムなどである。塩化ビニル樹脂の場合には、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジトリデシルのようなフタル酸エステル、またはトリメリト酸エステル、ピロメリト酸エステルもしくはアジピン酸エステルまたは同様のもののような可塑剤を適用することも望ましいようである。例では、未知の原料および粒径からの水膨潤性ウレタン樹脂のみを開示する。
【0004】
US 4,532,298は、クロロプレンゴム、高吸水性樹脂、ゴム状ポリマーおよび金属酸化物に基づく加硫剤を含む水膨潤性ゴム製組成物を開示する。好ましくは、高膨潤性樹脂は、840μmに相当する、20メッシュ開きのふるいを通過する粒度分布を有するような粉砕による、粉末状の形態で適用される。水で膨潤するとき、より粗い粉末が、膨張において不均一を示すこともあり、または表層の平滑性を失う可能性があることが記載されている。
【0005】
WO 97/34945は、少なくとも90重量%が20μmを超えるサイズを有し、一次粒子から形成され、ここで、該一次粒子は、少なくとも90重量%が10μm未満のサイズを有し、水溶性のエチレン性不飽和モノマーもしくはモノマー混合物および5〜2000ppmのポリエチレン性不飽和架橋剤のポリマーから形成され、該粒剤は、非水液体中で一次ポリマー粒子の逆相乳濁液を噴霧乾燥することにより形成される噴霧乾燥粒剤を開示している。特に、一次粒子は、90重量%が0.5〜3μmの範囲の一次粒子サイズを示し、塩化メチルで四級化されたジメチルアミノエチルアクリラート80重量%、およびアクリルアミド20重量%を含む混合物の、メチレンビスアクリルアミドの存在下での逆相乳化重合によって得られることが開示されている。粒剤は、例えば、下水汚泥処理の分野において、または製紙の工程において、組成物の凝集または増粘に使用される。水膨潤特性は開示されていないし、水膨潤性組成物の製造のための使用でもない。
【0006】
US 4,585,812 Aは、油状物またはキシレンのような非水液体、1重量部が3μm以下であり、1〜7重量部(6、1.25〜34欄を参照)が、10〜300μmの粗い粒子である無水膨潤性ポリマー粒子の分散体を含有することを特徴とする組成物を開示する。例1は、重合前、すなわち脱酸素および開始剤の添加前の粒度が1〜2μmの範囲である、非架橋共重合体に関する。得られた重合微粒子の粒度は、開示されていない。例2において、粒度が3μm以下であるが、粒径が2μm以下かどうかは、はっきりしない、他の非架橋共重合体を製造した。微粒子は、不水溶性の熱可塑性ポリマーと混合されない。さらに、粒子はシールの製造のために使用されていない。
【0007】
EP 0 179 937 A1は、基本的に、エラストマー、吸水性樹脂および水溶性樹脂(ここで、水溶性樹脂が、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびそれらの混合物の群より選択される)の均一な混合物から構成される水膨張性エラストマー3成分系組成物を開示する。この特許出願の不利な点は、所望の効果を達成するために、エラストマーにさらに2種の樹脂を加えることが必要であることである。他の不利点は、エラストマーが水と接触して膨張する場合の溶解分離した分子がエラストマーから分離して水相の中へ浸透するための、水溶性樹脂の損失である。次の再水和段階において、エラストマーはより劣った膨張特性をもたらすことになる。この吸水性樹脂は、400μm以下、好ましくは100μm以下の粒度を有していなければならない。しかしながら、粒径の下限は、開示されていない。例1にのみ、ポリアクリル酸ナトリウムの架橋生成物、70μmの粒度を示すAquakeep(商標登録)4Sについて述べられている。他の吸水性樹脂もまた、例えば、例3(Sanwet IM−300)および例9(Sumikagel S−50)において述べられているが、しかしながら、粒径が記載されない。さらに、EP 0 179 937は、5頁16行目に、さらに細かい粒度の利点が、さらに均一組成物が得られ、そこから得られた膨張生成物は均一化されることを述べているが、水膨潤性樹脂と膨張能力またはエラストマーにおける保持力の粒度の間での関連についての教示は、与えられていない。
【0008】
よって、本発明の目的は、改善した膨潤性と、改善した水膨張性ポリマー粒子の保持力を有する水膨潤性組成物を提供することであった。さらに、分散体のほかに、例えば、粉末において、そのような水膨潤性組成物の製造用のポリマー微粒子もまた、さらなる目的である。それに加えて、第三のポリマー樹脂を含有しない微粒子、微粒子を含有する分散体、および微粒子を含有する水膨潤性組成物が、提供されるべきである。
【0009】
したがって、本発明は、水非膨潤性の熱可塑性もしくはエラストマーポリマーと、水膨張性物質を組み合わせることによって得られる水膨潤性組成物を対象にし、それは、
(a)親水性ポリマー微粒子を5〜70重量%、好ましくは10〜60重量%、最も好ましくは15〜50重量%、
(b)水不溶性の熱可塑性ポリマー、樹脂もしくはエラストマー物質を30〜95重量%、好ましくは40〜90重量%、最も好ましくは50〜85重量%、
を含み、ここで、親水性ポリマー微粒子は、2μm以下の粒子体積平均径(R1レンズおよびQuixcel分散系を有するSympatec Helos H1539を使用するレーザー回折技術により測定)を有する。
【0010】
親水性ポリマー微粒子を、後述の方法、すなわち、好ましくは分散体を後述のように製造する方法によって製造することことができる。通常、この分散体を、本発明の水膨潤性組成物の製造に使用するか、または親水性ポリマー微粒子を分散体(後述するように)から分離して、本発明の水膨潤性組成物を製造するために使用する。
【0011】
分子体積平均径を、後にさらに詳しく述べる。
【0012】
通常、使用可能な熱可塑性ポリマー、樹脂またはエラストマー材料は、エラストマーもしくはゴム状の特性を有するものか、または、ポリエチレン−コ−酢酸ビニル、ポリビニルブチラール樹脂、PVC(ポリ塩化ビニル)、ポリスチレン、ポリアクリル樹脂、ポリアミドのような適切な可塑剤;天然ゴム、NBR(ニトリル−ブタジエンゴム)、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン−イソプレン、フッ素ゴム、クロロ−硫酸化ポリエチレン、シリコーン、ポリクロロプレン、ブチルゴム、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)、EPR(エチレン−プロピレンゴム)およびポリスチレン−コ−イソブチレンのようなゴム類;ならびにアルキド樹脂、フェノール樹脂、アミノプラスト樹脂、ポリウレタン樹脂、多硫化ゴム、アクリル樹脂のような樹脂類を使用する、エラストマー特性を得るものである。好ましくは、可塑剤流体の相当量が、PVCおよびNBRのようなエラストマー組成物を製造することに一般的に使うものである。逆相分散体のために最も好ましい材料は、PVCおよびNBRであり、無担体の粉末生成物が所望である場合には、次に可塑剤の他に非可塑化エラストマー、好ましくはPVC、およびエラストマーゴムが好ましい。
【0013】
本発明の水膨潤性組成物を、従来の方法を使用することにより製造することができる。例えば、分散体として、または粉末として、不水溶性の熱可塑性ポリマー、樹脂またはエラストマー材料;親水性ポリマー;ならびに所望の任意の添加物を含む成分を、バンバリーミキサーのような高せん断ミキサーを使用して予備混合することができる。通常、そのような高せん断混合は、熱を発生させ、それは、塩基性熱可塑性ポリマー、樹脂またはエラストマー材料を軟化させ、混合物を通して微粒子親水性ポリマーの分散を促進する。好ましくはPVCのような熱可塑性ポリマーを含む組成物を、さらに押出、射出成形または他の熱技術により加工してシートまたは加工品にする。ゴムを、同様に加工することができて、通常、適切な硬化または加硫補助剤の作用を介して、高温でこの第二段階の間、硬化するか、または加硫する。
【0014】
したがって、本発明の他の実施態様は、発明の組成物の製造のための、親水性微粒子5〜70重量%および不水溶性の熱可塑性ポリマー、樹脂またはエラストマー材料30〜95重量%を混合する、方法に関する。
【0015】
本発明の好ましい実施態様は、さらなる成分として添加物(c)を含有する、本発明の組成物に関係する。添加物の例は、例えば、潤滑剤、プロセス油、帯電防止剤(例えば、グリセリンモノステアラートおよびグリセリンモノオレアート)、PVCプラスチゾルのための帯電防止剤および/または流動化剤としてのポリオキシエチレンアルコールエーテル、難燃剤、加硫促進剤、加硫助剤、老化抑制剤、色素剤(例えば、色素および染料)、湿潤剤、酸捕捉剤、熱安定剤、消泡剤、発泡剤、充てん剤(例えば、炭酸カルシウム、カーボンブラック、粘土、シリカ)ならびに、親水性ポリマー微粒子の分散媒として存在するために導入された可塑剤に加えて、さらなる可塑剤を含む。
【0016】
そのような添加物(c)を、所望の効果による量で添加することができ、それは、当業者により容易に測定することができる。通常、添加物を、組成物の総量に基づいて、1〜50重量%の範囲の量で添加する。
【0017】
したがって、好ましい実施態様は、添加物(c)をさらに含む本組成物を対象とし、ここで、添加物(c)が、潤滑剤、プロセス油、帯電防止剤、ポリオキシエチレンアルコール、難燃剤、加硫促進剤、加硫助剤、老化抑制剤、色素剤(例えば、色素および染料)、湿潤剤、酸捕捉剤、熱安定剤、消泡剤、発泡剤、充てん剤(例えば、炭酸カルシウム、カーボンブラック、粘土、シリカ)、または親水性ポリマー微粒子の分散媒として存在するために導入された可塑剤に加えて、さらなる可塑剤である。
【0018】
他の好ましい実施態様において、さらなる成分(d)を、発明の組成物に、組成物の総量に基づいて0〜20重量%の範囲の量で、添加物(c)の有無にかかわらず添加する。成分(d)は、通常、微粉化したナトリウムもしくはカルシウムベントナイトまたはシリカのような、第二の親水性物質の機能を有する。そのような材料を、直接、エラストマー組成物の膨張に関与するため、または水を微粒子親水性ポリマーへ輸送することを助けるために、使用してもよい。そのような材料の使用は、例えば、膨潤能力、膨潤率およびコスト(cost)(親水性無機物の低コストのため)に関して最適化された止水片の製造時に有益であることがある。
【0019】
本発明のさらなる好ましい実施態様は、例えば、非可動打継ぎ目のための止水材として、シーリング材材料のような、本発明の水膨潤性組成物の使用に関する。通常、止水材は、好ましくは柔軟な条片の形態であり、それは、通常、親水性ポリマー微粒子(乾燥量基準)10〜60重量%、好ましくは15〜50重量%、および不水溶性の熱可塑性ポリマー、樹脂もしくはエラストマー材料20〜70重量%、好ましくは30〜60重量%、残部は、通常、加工助剤および添加物(PVCは、最大50重量%までの高い比率の1種以上の可塑剤を含有することができる)からなる総量を100重量%にする。
【0020】
さらにまた、本発明の水膨潤性組成物は、塗膜、被膜、繊維、糸、布、泡、片、コードおよび他の柔軟な加工品の形態である他に、より柔軟性が少ない加工品も可能である。
【0021】
それゆえ、本発明の他の実施態様は、塗膜、被膜、繊維、糸、布、泡、片、およびコードのような柔軟な加工品に関係する。
【0022】
加えて、本発明の水膨潤性組成物は、例えば、
・流出物マットのような、望ましくない自由な水または水性液体を吸収するための物品;
・水もしくは水性液体をふき取るための、水吸収性の繊維、糸、もしくは布、もしくは布地(例えば、家庭用途、または水の進入に対して保護するためのケーブル束の包装のような用途);
・良い吸収能および/または通気性および/または湿分移動特性を与える創傷被覆材の成分としての使用のための、吸水性の繊維、布、被膜および膜と同様に、皮膚から離れる水または水分を吸い上げる能力を有する包帯接着剤のような物品;
・空気から水分、湿潤環境を処理するために、水分を除去するための物品;
・水膨潤性シール、例えば、打継ぎ目用の止水材ならびにオイル掘削用のゴム水膨潤性シール;
・水膨潤性マスチック材、コーク材またはシーリング材
・耐水性の膜、層もしくは塗膜などに結合するか、もしくは使用される水膨潤性塗膜または層;そのようなシステムは、例えば、膜または塗膜が被害を被るはずである、水の進入からの保護を提供するためにしようすることができる、すなわち、システムが「自己回復する」;
・水蒸気透過性フィルム、膜および塗膜、例えば、パーベーパレーション膜、プラスチゾルで被覆される壁紙(例えば、カレンダー加工工程を使用して、原紙上に塗膜または被膜をラミネートすることにより得られた壁紙を包含するビニル壁紙);
・水もしくは水蒸気を伝達するための能力を有する、接着剤、塗膜、マスチック材、コーク材、シーリング材、または被膜;
・極性噴射溶液がロールに対するよりもよりも強い親和性を有するような、より大きい親水性特性を有する印刷ロール;
の製造に有用である。
【0023】
加えて、本発明はまた、
(a)親水性ポリマー微粒子30〜75重量%、好ましくは40〜75重量%、それは、
(aa)水溶性のエチレン性一不飽和性極性非イオン性モノマー、
(ab)水溶性のエチレン性一不飽和性陰イオン性モノマー、および
(ac)水溶性のエチレン性一不飽和性陽イオン性モノマー
からなる群より選択されるモノマーの、架橋剤の存在下における逆相重合により得られ、
ここで、親水性ポリマー微粒子は、2μm未満の体積平均径(R1レンズおよびQuixcel分散系を有するSympatec Helos H1539を使用するレーザー回折技術により測定)を有し、
(b)水非混和性分散媒25〜70重量%、好ましくは25〜60重量%
を含む分散体を目的とする。
【0024】
好ましくは、分散体が
(a)親水性ポリマー微粒子30〜75重量%、好ましくは40〜75重量%、それは、
(aa)水溶性のエチレン性一不飽和性極性非イオン性モノマー、
(ab)水溶性のエチレン性一不飽和性陰イオン性モノマー、および
(ac)水溶性のエチレン性一不飽和性陽イオン性モノマー
からなる群より選択されるモノマーの、架橋剤の存在下における逆相重合により得られ、
そこで、親水性ポリマー微粒子は、2μm未満の体積平均径(R1レンズおよびQuixcel分散系を有するSympatec Helos H1539を使用するレーザー回折技術により測定)を有し、
(b)水非混和性分散媒25〜69.5重量%、好ましくは25〜58.5重量%
(c)一次乳化剤、安定化ポリマーおよび活性剤〔成分(a)、(b)および(c)の総量が、合計100重量%になる〕のような所望の他成分の0.5〜25重量%、好ましくは1.5〜15重量%
を含む。
【0025】
水溶性のエチレン性一不飽和性極性非イオン性モノマーとして、以下のモノマーが選択可能である。すなわち、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジ(C−Cアルキル)アクリルアミド(例えば、N,N−ジメチルアクリルアミド、ビニルアルコール、酢酸ビニル、アリルアルコール、ヒドロキシエチルメタクリラート、またはアクリロニトリル)。
【0026】
水溶性のエチレン性一不飽和性陰イオン性モノマーとして、以下のモノマーが選択可能である。すなわち、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、およびその対応する塩、より選択される酸性基(好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルホスホン酸、およびビニルホスホン酸のようなモノマーが選択可能である)を含有する水溶性のエチレン性一不飽和性陰イオン性モノマー。
【0027】
水溶性のエチレン性一不飽和性陽イオン性モノマーとして、以下のモノマーが選択可能である。すなわち、N,N−ジメチルアミノエチルアクリラートのような、N,N−ジ−C−Cアルキルアミノ−C−Cアルキルアクリラート、四級化型を含むN,N−ジメチルアミノエチルメタクリラート〔例えば、塩化メチルの四級化型、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、N,N−ジ−C−Cアルキルアミノ−C−Cアルキルアクリルアミドならびに四級化相当物(例えば、アクリルアミドプロピル トリメチル アンモニウム クロリド)〕のような、N,N−ジ−C−Cアルキルアミノ−C−Cアルキルメタクリラート。
【0028】
−Cアルキルは、通常、メチル、エチル、n、i−プロピル、n、i、sec−またはtert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、または2−エチル−ヘキシルを表す。
【0029】
一般に、モノマー量は、
(aa)0〜80重量%(極性および非イオン性)、
(ab)20〜100重量%(陰イオン性)、
(ac)20〜100重量%(陽イオン性)、ここで、総量が100%になる、
の範囲で選択される。
【0030】
本発明の好ましい実施態様において、水溶性の陰イオン性および陽イオン性のモノマーの総量が、40〜100重量%、好ましくは50〜100重量%の範囲で選択され、水溶性の極性非イオン性モノマーの量が、60〜0重量%、好ましくは50〜0重量%の範囲で選択され、より好ましくは、ポリマーが両性でない、すなわち、陰イオン性もしくは陰イオン性と極性非イオン性のモノマー、または陽イオン性もしくは陽イオン性と極性非イオンのモノマーのいずれかが選択されるか、あるいは、もし陰イオン性と陽イオン性のモノマーが選択される場合(極性非イオン性モノマーの有無にかかわらず)、その時、通常、いずれかのものが他のものを上回る。
【0031】
もう一方の好ましい実施態様において、陰イオン性モノマー量が40〜100重量%、好ましくは50〜100重量%の範囲で選択され、非イオン性極性モノマーの重量は60〜0、好ましくは50〜0重量%より選択される。最も好ましくは、陰イオン性モノマーがアクリル酸またはその水溶性塩である。
【0032】
共重合体が陰イオン性と陽イオン性の基の両方を含有し、極性基の有無にかかわらず、その時、陰イオン性モノマーと陽イオン性モノマーの好ましいモル比が、3:1〜20:1の範囲で選択されるか、または、陽イオン性モノマーと陰イオン性モノマーのモル比が、3:1〜20:1の範囲で選択される。
【0033】
親水性ポリマー微粒子に関する本発明の好ましい実施態様において、上述のモノマーから得られ、ここで、陰イオン性モノマーの量が0ではなく、その中で、酸性基が一部もしくは完全に中和されている。好ましくは、中和の度合いは50〜100%、より好ましくは75〜100%(モル基準で)の範囲で選択される。中和を、親水性ポリマー微粒子を担持している対応する酸性基に対して塩基を適用するような、公知の方法により行うことができる。通常の、最も便利な実行は、重合反応を行う前にモノマーを中和することである。酸性モノマーを中和するために適切なそのような塩基は、例えば、アンモニアまたはモノ−、ジ−もしくはトリ−エタノールアミンのようなアミンと同様に、NaOHまたはKOHのようなアルカリ金属水酸化物であることが可能であり、最も好ましくはNaOHが選択される。場合によっては、それが、膨張の程度および/または比率を制御する方法として、ポリアミン塩、またはMg(OH)、Ca(OH)もしくはBa(OH)のようなアルカリ土類金属塩のような、ジ−、トリ−もしくは多価の陽イオン性塩の形態において、酸性基(モル基準で)の50%まで中和するために、有益であることが可能である。
【0034】
好ましくは、親水性ポリマー微粒子を架橋する。架橋結合は、多くの方法において達成することができ、それは当業者にとって明らかであろう。例えば、ジ−もしくは多価の金属イオンが、酸性基、特にカルボン酸基を含有するポリマーに対して架橋結合の程度を検討するために使用することができる。ジ−もしくはポリアミンのような他の化合物は、類似方法において使用することができる。さらにまた、水溶性有機物質、それは親水性ポリマー微粒子上で、基と反応することができ、多価エポキシ化合物のようなものにも使用することができる。好ましくは、架橋結合は、適切な水溶性(またはモノマー相可溶性)ジ−、トリ−またはポリ不飽和の重合可能なモノマーの使用によって達成され、それは、通常、水性モノマー溶液に存在する。適切な架橋モノマーは、例えば、メチレンビスアクリルアミド、酢酸ジアクリルアミド、ペンタエリトリトール トリ(メタ)アクリラートもしくはエチレングリコール ジ(メタ)アクリラートのようなポリオール(メタ)アクリラート、ならびに塩化テトラアリルアンモニウムを包含する。好ましくは、架橋モノマー量を選択してポリマーを得、それは不水溶性および水膨張性および/または水または水分を送達可能であり、過度の構造化を回避する間に、それは親水性ポリマー微粒子、そのようなポリマー微粒子を含む発明の組成物またはその分散体の吸水度または水/水分の伝達を制限するであろう。
【0035】
架橋モノマーの所望のレベルは、通常、架橋ポリマーのポリマー鎖セグメントの鎖長(または分子量)に依存する。例えば、短い鎖を得る傾向にある連鎖移動試薬を使用して、親水性ポリマー微粒子の鎖長を制御することができる。特定の反応性の低いモノマーの使用はまた、より短い鎖を得ることができる。鎖長はまた、重合のために使用する開始剤の選択および量によりある程度制御することができる。より短い鎖長を得ることを期待されているような条件を使用する場合には、架橋性モノマーのより高いレベルを使用して、架橋の親水性微粒子の構造化の適切な程度が得られるかもしれない。一般に、架橋モノマーの適切なレベルを、選択される一不飽和性モノマーの重量に基づいて、5〜2000ppm、好ましくは5ppm〜500ppm、および最も好ましくは5〜100ppmの範囲内で選択できる。
【0036】
好ましくは、発明の分散体は、逆相重合により得られる、すなわち、良く知られている技術は、例えば、WO 97/34945に記述および議論されている従来技術において確立された。本発明において、通常、水性モノマー相が、選択されたモノマーと水を含んで製造される。必要に応じて、任意に、EDTAのような少量の錯化剤が、重合反応を不利に妨げるであろう遊離金属イオンを除去する。加えて、担体または油相は、例えば、ジイソデシルフタラートのような可塑剤、炭化水素の混合物のような揮発性油分、主要な乳化剤、および任意に重合安定剤を含有して製造される。モノマーおよび油相を、担体の相において水性モノマーの微粒子および安定した乳濁液を形成するため、適切なホモジナイザー(例えば、Silversonホモジナイザーまたは高圧ホモジナイザー)を使用して混合する。この均質化された未重合乳濁液の重合を、次いで好ましくは、酸化還元対、ならびに/または熱性および/もしくは光開始剤のような適切な開始剤で開始する。重合段階の後、水と揮発性油分は、次いで、例えば、蒸留により乳濁液/分散体から除去される。
【0037】
さらなる錯化剤は、ジエチレントリアミン五酢酸のようなEDTAの同族体、またはジエチレントリアミン五メチレンホスホン酸塩のようなメチレンホスホン酸塩錯化剤でありえる。
【0038】
錯化剤は、通常、モノマーの重量に基づいて、0.01〜0.5重量%の範囲内で適用される。
したがって、本発明の他の実施態様は、本分散体の製造のための方法に関し、それは、
(I)
(aa)水溶性のエチレン性一不飽和性極性非イオン性モノマー、
(ab)水溶性のエチレン性一不飽和性陰イオン性モノマー、および
(ac)水溶性のエチレン性一不飽和性陽イオン性モノマー
からなる群より選択されるモノマーを混合し、架橋剤、水、開始剤、非水溶性分散媒、揮発性油分、乳化剤、ならびに場合によっては、錯化剤および安定剤のようなさらなる添加剤と
(II)逆相重合を行い、
(III)水と揮発性油分を除去し、
ここで、このように得られた親水性ポリマー微粒子は、2μm以下の体積平均径を有する(R1レンズおよびQuixcel分散系を有するSympatec Helos H1539を使用するレーザー回折技術により測定)
ことを含む。
【0039】
一般に、親水性ポリマー微粒子は、2μm以下、好ましくは1μm以下、さらに好ましくは0.8μm以下、最も好ましいのは0.3〜0.8μmの範囲の体積平均径(VMD)を有し、ここで、VMDは、R1レンズおよびQuixcel分散系を有するSympatec Helos H1539を使用するレーザー回折技術により測定される。
【0040】
当業者は、通常、粒径を制御するためのいくつかの方法を知っている。1つの方法は、例えば、水性の油中モノマー乳濁液のための主要な乳化剤の選択および量を介するものである。通常、主要な乳化剤は、1〜5の範囲のHLBを有する。主要な乳化剤の1つの例は、ソルビタンモノオレイン酸エステル(例えば、SPAN80(登録商標)、CAS 1338−43−8、HLB 4.3)である。所望の粒度に達するために必要な主要な乳化剤の量は、通常、水性モノマー相の重量に対して0.5〜15重量%の範囲であるが、選択する多数の乳化剤があるように、均質化の装置および条件、水相および油相の性質だけでなく、乳化剤自体のような多くの因子に依存する。通常、主要な乳化剤の量は、1〜10%、最も好ましいのは2〜5%の範囲である。
【0041】
概して、非水溶性の分散媒(“担体”)は、プラスチック、ゴムならびに通常、エラストマー材料の製造における添加剤として一般的に使用される低粘度油状流体である可塑剤を含む。好ましくは、担体は、プロセス油または潤滑剤のようなエラストマー組成物の添加物である他の相溶性油状流体と結合して使用することができる可塑剤である。
【0042】
通常、担体は、親水性ポリマーの最大濃度を含有する逆相分散体の製造を促進するために、粘度が低いものが選択される。好ましくは、担体が、無毒性および非汚染である。適切な担体は、通常不活性であり、それ自体は、親水性ポリマー微粒子の製造の間、重合反応を不利に妨げない。好ましい担体は、アジピン酸C−C10アルキルエステル(アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジプロピル、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジオクチルおよびアジピン酸ジイソノニルを含む)のような脂肪族ジカルボン酸のアルキルエステル、ピメリン酸エステル、スベリン酸エステル、アゼライン酸エステル、セバシン酸エステル、ならびに高級分子量脂肪族ジカルボン酸のエステル、クエン酸エステルのような脂肪族トリカルボン酸のアルキルエステル(クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリヘキシルおよびクエン酸ブチリルトリヘキシルを含む)、ならびにトリメリト酸トリオクチルのようなトリメリト酸エステル、フタル酸のC−C20アルキルエステル(フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシルおよびフタル酸ジウンデシルを含む)、液体ポリエステル可塑剤、ならびにその混合物を非限定的に含む。最も好ましいのは、脂肪族ジカルボン酸のエステル、特に、脂肪族C−C10アルキルジ−およびトリカルボン酸のC−C10アルキルエステルならびにフタル酸のC−C20アルキルエステルである。
【0043】
ここで、C−C20アルキルは、例えば、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−ノナデシル、n−エイコシルを表す。
【0044】
−C10アルキルは、例えば、メチル、エチル、n−、i−プロピル、n−、i−、sec−またはtert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチル−ヘキシル、n−ノニル、n−デシルを表す。
−C10アルキルは、例えば、エチル、n−、i−プロピル、n−、i−、sec−またはtert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチル−ヘキシル、n−ノニル、n−デシルを表す。
【0045】
本発明の他の好ましい実施態様は、さらなる成分(c)を含む本発明の分散体、すなわち、改善された熱−および/またはせん断安定性を導き出す安定化両親媒性共重合体に関する。本発明の親水性ポリマー微粒子の逆相分散体の製造は、好ましくは、最終分散生成物に対して含水前駆体が、減圧蒸留もしくはフラッシュ蒸留または他の温熱的方法により、水または水/溶媒共沸混合物を除去する工程を包含する工程を含む。分散体が、特に、目的が最終分散生成物において分散相粒子が高い濃度に達することであるとき、そして、除去工程が薄膜蒸発のようなフラッシュ蒸留を含むとき、この除去工程により不安定になることを排除できない。この理由のために、安定化両親媒性共重合体を添加することは、好都合である。加えて、安定化両親媒性共重合体はまた、他の方法で可能なよりも、最終生成物における分散相の、より高い濃度を得ることも見出された。
【0046】
適切な安定化両親媒性共重合体は、通常、同じ共重合体において疎水基と親水基の両方を含有する。好ましい両親媒性の安定化共重合体は、1種以上の不水溶性のアルキル(メタ)アクリラートのモノマーの50〜90重量%、および1種以上の酸性、塩基性または第四級アミンのモノマーの10〜50重量%を重合することにより得られる。
【0047】
好ましいアルキル(メタ)アクリラートは、アクリル酸またはメタクリル酸のC−C20アルキルエステル、好ましくは1種以上のアクリル酸またはメタクリル酸のC12−C20アルキルエステルの少なくとも20重量%(総モノマー重量に基づく)を含有するその混合物である。
−C20アルキルは、例えば、メチル、エチル、n−、i−プロピル、n−、i−、sec−またはtert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−ノナデシル、n−エイコシルを表す。
【0048】
12−C20アルキルは、例えば、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−ノナデシル、n−エイコシルを表す。
【0049】
好ましい酸性モノマーは、アクリル酸およびメタクリル酸である。
【0050】
塩基性モノマーの例は、N,N−ジ−C−Cアルキルアミノ−C−Cアルキルアクリラート(例えば、N,N−ジメチルアミノエチルアクリラート)、N,N−ジ−C−Cアルキルアミノ−C−Cアルキルメタクリラート(例えば、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリラート、またはN,N−ジ−C−Cアルキルアミノ−C−Cアルキルアクリルアミド)である。
【0051】
特に、好ましい安定化両親媒性共重合体は、1種以上のアクリル酸もしくはメタクリル酸のC−C10アルキルエステル0〜25重量%、1種以上のアクリル酸もしくはメタクリル酸のC−C10アルキルエステル25〜90重量%、およびアクリル酸もしくはメタクリル酸10〜25重量%を重合することにより製造される。そのような安定剤は、従来技術において知られているか、または公知の方法により製造できる。市販の安定剤の例は、例えば、HypermerTM(Uniqemaにより供給される)である。
【0052】
安定化両親媒性共重合体は、例えば、適切な低粘度油状流体に溶解されたモノマーのフリーラジカル重合により製造できる。好ましくは油状流体が、逆相分散生成物の製造に使用される、例えば、それは、Exxsol D40のような揮発性オイルまたは逆相分散生成物の可塑剤であってもよい。油溶性の熱開始剤は、モノマーの重合を誘導するために用いることができる。
【0053】
安定化両親媒性共重合体は、通常、水性モノマー相の総量に基づいて、0〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%の量を加える。
【0054】
本発明の他の好ましい実施態様は、発明の分散体の高濃度の形態に関する。本発明の水膨潤性組成物を使用したとき、これが、生産性、保存性および処方の柔軟性に対する有益さが可能な限り高いことが、最終逆相分散体における親水性ポリマーの濃度にとって好都合であることが見出された。一般に、親水性ポリマー微粒子の濃度が増大するにつれて、本発明の分散体の粘度が増大する。しかしながら、粘度が非常に高い分散体は、通常、取り扱い、および本発明の水膨潤性組成物を製造する際の処理が困難である。本発明の観察によれば、粘度が低すぎる場合、問題は、親水性ポリマー微粒子の沈澱または沈降によって生じることがある。よって、適切に流体であり、取り扱いが可能な本発明の分散体中で親水性ポリマー微粒子の最大可能濃度を与えるために、粘度(およびそれゆえに濃度)を調整する必要性が存在した。
【0055】
好ましくは、本発明の分散体の粘度を、スピンドル 3を有するBrookfield RVT粘度計を使用して、10rpm〜50rpm(通常、20rpmの回転速度であると十分であることがわかっている)、25℃で、100cP〜10000、より好ましくは500cP〜5000cPの範囲で選択する。
【0056】
そのために、好ましい実施態様は、安定した両親媒性共重合体を含む分散体に関し、その中で、親水性ポリマー微粒子の濃度は、完全な分散体の少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも40重量%、および最も好ましくは少なくとも45重量%〜75重量%までである。
【0057】
本発明の他の好ましい実施態様は、本発明の分散体に関し、それは、時には「活性化剤」とも呼ばれる水中油乳濁液を追加の成分(d)として含有する。好ましくは、活性剤は、担体相の性質により9〜20の範囲内の親水性−親油性バランス(HLB)を有するものが選択される。そのような活性化剤の例は、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテルのようなポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、またはポリオキシエチレン(7モル)直鎖C12−C14アルキルアルコールエーテルのようなポリオキシエチレンアルキルアルコールエーテルである。
【0058】
一般に、油性分散体が水と混合する場合、活性化剤の効果は、水相に溶解するように親水性ポリマー微粒子を放出しつつ、水相に油性の分散媒を乳化することである。これは、通常、親水性ポリマー微粒子の溶解または膨潤が原因で、粘度が増加することを水相にもたらす。活性化率、または親水性ポリマー微粒子の溶解または膨張は、一般に、活性化剤の性質および濃度により制御できる。好ましい実施態様において、3〜8重量%(分散体の重量に基づく)の活性化剤が選択される。しかしながら、本発明の分散体が、本発明の水膨潤性組成物を製造することにおいて、その目的の用途のための活性化剤添加が有効でないことが見出されている。
【0059】
本発明のさらに別の好ましい実施態様は、さらなる成分(e)として活性成分を含む、本発明の分散体に関する。好ましくは、活性成分が、水溶性もしくは分散性の化合物か、または分散体の分散媒に不溶な化合物である。この場合、活性成分が、好ましくは親水性ポリマー微粒子中に存在する。
【0060】
今まで、2つの主要な方法が、水溶性または水分散性の活性成分を含有する親水性ポリマー微粒子の逆相分散体を形成することが、一般に公知である。一方の方法は、水溶液または有効成分の分散体を逆相親水性ポリマー微粒子の分散体に加えることを包含し、その場合には、有効成分が親水性ポリマー微粒子に吸収される。得られる生成物は、最終生成物でありえるか、または水(活性成分に伴って導かれる)を除去して(例えば減圧蒸留により)、最終生成物を得ることができる。
【0061】
もう一方の方法は、活性成分の存在下に、逆相重合を行うことを包含し、すなわち、活性成分が、重合を開始する前に水性モノマー溶液に溶解または分散される。この場合には、活性成分が、好ましくは水性モノマー相または重合添加物の成分により悪影響を受けず、そしてまた活性成分は、重合反応に悪影響を与えてはならない。後で混入する方法が、便宜上、好ましい。例えば、活性成分は、UV劣化、熱劣化、生物学的汚染、菌類の問題などから保護するような保護剤であってよく、または、香料、農薬、除草剤、帯電防止剤、防火剤などであってもよい。
【0062】
活性成分が、抗菌物質である場合には、それは、通常、本発明の組成物の使用期間において、本発明の組成物の親水性ポリマーおよび他の添加物を有害な細菌活性から保護するために使用される。
【0063】
一般に、活性成分の量は、所望の効果に依存し、そしてそれゆえに、当業者により容易に決定することができる。
【0064】
親水性ポリマー微粒子は、実質的には分散媒がなく、したがって、場合により分散媒の残りを含有しうる粉末または粒状の形態であるように、逆相分散体の分散媒を除去することが、しばしば有利である。
【0065】
したがって、本発明はまた、ポリマー微粒子を対象にし、それは通常、
(aa)水溶性のエチレン性一不飽和性極性非イオン性モノマー、および
(ab)水溶性のエチレン性一不飽和性陰イオン性モノマー
の、架橋剤の存在下での逆相重合により得られ、
そこで、ポリマー微粒子は、2μm以下の体積平均径を有する(R1レンズおよびQuixcel分散系を有するSympatec Helos H1539を使用するレーザー回折技術により測定)。
【0066】
モノマーおよび架橋剤などと同様、重合の記述は、本発明の分散体の記述に対するものと同じである。
【0067】
本発明のポリマー微粒子の製造に関する限りは、一般に、第一段階において、上記のように本発明の分散体が製造され、ついで、分散媒を、例えば、噴霧乾燥、濾過(例えば、ミクロ濾過)、または溶媒誘起の固体/液体の分離(例えば、ポリマー微粒子が不溶か、もしくはある程度だけ溶解する溶媒を添加することによる沈殿)による、公知の方法により分離する。
【0068】
したがって、本発明の他の実施態様は、本分散体から水不溶性の分散媒を分離することを含む、本ポリマー微粒子の製造のための方法に関する。
【0069】
好ましくは、親水性である本発明のポリマー微粒子は、通常、エラストマー組成物の製造に包含されるせん断力によるか、または粉砕段階で意図的に包含されるか、または意図的に必要な解凝集を達成するための、より強度の加工条件を使用することにより、大部分は解凝集される、一次粒子の凝集体の形態で得られる。好ましくは、解凝集が例外的な工程条件に頼らずに達成できるように、一次粒子が弱く凝集される。粒子が、2μmまたはそれ以下の体積平均径を有する一次粒子から実質的になる乾燥粉末に伴うことになる呼吸器の危険を回避するか、または最小限にするために、弱く凝集されることは、好都合である。
【0070】
本発明の他の実施態様は、シール、特に膨潤性止水材の製造用の、本発明の組成物の用途に関する。
【0071】
本発明の他の実施態様は、本発明の組成物およびポリマー微粒子、およびシール、特に膨潤性止水材の製造用の発明の分散体の用途に関する。
【0072】
本発明の他の実施態様は、本発明の組成物、およびシール、特に膨潤性止水材の製造用の本発明のポリマー微粒子の用途に関する。
本発明のさらなる実施態様は、本発明の組成物、分散体またはポリマー微粒子を含む膨潤性止水材、特にPVCまたはゴム製止水材、ならびに、非可動打継ぎ目のための止水材に関係する。
【0073】
本発明のさらなる実施態様は、本発明の組成物、分散体またはポリマー微粒子を含むシールに関する。
【0074】
止水材およびシールの製造は、公知の方法で行うことができ、それは、例えば、WO 00/78888、WO 99/35208、EP 588 286、EP 588 288、EP 179 937またはUS 4,532,298において記載されている。
【0075】
脱塩水を使用する試験において、本発明の水膨潤性組成物は、通常、エラストマー組成物の原重量に基づく水の、少なくとも25重量%、好ましくは少なくとも50重量%、最も好ましくは少なくとも100重量%を吸収する。
【0076】
実質的に乾燥、無担体の形態において、親水性ポリマー微粒子の供給は、多くの効果をもたらす。第一に、単一生成物(実質的に無担体の親水性ポリマー)がいくつかの生成物全てを特定のエラストマー組成物のために異なる分散媒と置換できる可能性がある。そうでなければ、生成物タイプから他方への製造の間で切り替えることから生じるであろう休止時間の費用を節約するために、さまざまな生成物を最小限にすること、ならびに原料(すなわち、分散媒)の在庫および最終生成物の在庫を最小限にすることもまた、親水性ポリマー微粒子の製造にとって好都合である。輸送費を節約するために、できるだけ形態を濃縮して親水性ポリマー微粒子を供給することは好都合である。重要な効果は、大量の油性液体の添加から得られない(または本当に悪影響を受ける)エラストマー材料を使用して本発明の水膨張性エラストマー組成物を製造する能力である。したがって、最終エラストマー組成物の30重量%を超える、好ましくは20重量%を超える、最も好ましくは10重量%を超える量で、可塑剤または他の油状流体の添加から得られないエラストマー材料を使用して、本発明のエラストマー組成物を製造するための、実質的に無担体である親水性ポリマー微粒子を使用することは好都合である。これは、例えばゴムに適用し、ここで、逆相分散体の結合が、油状流体(逆相分散体の分散媒)をゴム製組成物に不必要に加える。多くの場合には、大量の油状流体の添加は、ゴム組成物を弱化させるという観点で、またはそのように製造する組成物の他の機械的性質に悪影響を与えることにより、弊害を有するであろう。この問題は、実質的に無担体である親水性ポリマー微粒子を使用することにより、克服することができる。
【0077】
実施例
例1:水性のモノマー相を、アクリルアミド(83.7g)、アクリル酸(34.6g)、水酸化ナトリウム(19.2g)、水(138.9g)、EDTA溶液(水中に40%)(0.4g)、およびメチレン ビスアクリルアミド(0.1%水溶液)(3.2g)より製造した。油(担体)相を、フタル酸ジイソデシル(166.7g)、脱芳香族化した脂肪族炭化水素の混合物 108.8g(164〜192℃の蒸留範囲、および密度0.772 g/cmを有する;ExxonMobilにより販売されている、商標EXXSOLTM D40)、ソルビタン(Z)−モノ−9−オクタデカノアート(SPAN 80(登録商標)、CAS登録番号 1338−43−8)8.4g、および熱安定剤(EXXSOLTM D40において、溶液の形態でステアリル メタクリラート/メタクリル酸共重合体に基づいて濃度23重量%)(12.2g)より製造する。モノマーと油の相を、Silversonホモジナイザーを使用して3分間、混合した。この未重合乳濁液を、窒素注入口、撹拌器および開始剤供給注入口を取り付けた1リットル反応フラスコに移した。窒素パージを30分間適用し、その後、窒素封入を維持した。未重合の乳濁液の温度を20℃に調節した。重合を、t−ブチルヒドロペルオキシドとメタ重亜硫酸ナトリウムの両方を添加して開始した。重合を1時間にわたり、約85℃まで自然の上昇に任せた。水とEXXSOL D40を、次に100℃で、回転式蒸発器を使用して減圧蒸留により乳濁液/分散体から除去した。ノニルフェニルエトキシラート(5.5モル)とみられている、Akzo Nobelが提供しているEthylan55を、蒸留された分散体の100gにつきEthylan55を5gの割合で添加した。
【0078】
最終生成物−以下、生成物Aと呼ぶ−は、粘度 900cP(20rpmでスピンドル3を使用するブルックフィールド粘度計)、およびレーザー回折技術により作動する、R1レンズおよびQuixcel分散系を有するSympatec Helos H1539を使用する解析により測定する時に、体積平均径(VMD)0.7μmとして示される平均粒径を有していた。
【0079】
例2:例1の手順を、他のモノマー組成物を使用して繰り返した。すなわち、モノマーが、アクリル酸ナトリウム50重量%とアクリルアミド50重量%を含む(例1の生成物Aは、アクリル酸ナトリウム重量35%とアクリルアミド65重量%を含有する)。この生成物を生成物Bと呼び、水性のモノマー相が、アクリルアミド(64.5g)、アクリル酸(49.4g)、水酸化ナトリウム(27.4g)、水(135.1g)、EDTA溶液(水中に40%)(0.4g)、およびメチレンビスアクリルアミド(水中に0.1%溶液)(3.2g)を含むことを除いては、例1における生成物Aと同様の方法で製造した。最終生成物は、粘度1000cP(20rpmでスピンドル3を使用するブルックフィールド粘度計)およびVMD 0.72μm(例1に記載された方法による)を有していた。
【0080】
例3(比較例):例1の手順を、水性のモノマー相および以下で得られる溶媒相を使用して繰り返した。水性のモノマー相を、アクリルアミド(83.7g)、アクリル酸(34.6g)、水酸化ナトリウム(19.2g)、水(138.9g)、EDTA溶液(水中に40%)(0.4g)、およびメチレン ビスアクリルアミド(水中に0.1%溶液)(3.2g)から製造した。油相を、フタル酸ジイソデシル(172.3g)、Exxsol D40(108.8g)、Span 80(2.8g)、およびポリマー安定剤(例1と同じ)(12.2g)から製造した。重合を1時間以上、約80℃に自由に上昇できる。水とExxsol D40を、次に140℃で、薄膜蒸発器を使用する減圧蒸留により乳濁液から除去した。Ethylan55を、蒸留された分散体100gにつきEthylan55 5gの割合で添加した。生成物を生成物Cと呼ぶ。生成物Cは、例1で生じた生成物Aに類似しているが、2.97μmのVMDを伴う、より高い平均粒径を有していた。粘度は、650cPであった(例2のように測定した)。
【0081】
例4:ポリ塩化ビニル(PVC)組成物を、例1からの生成物Aと、以下の処方に従って製造した。
PVC懸濁ホモポリマー: 45.1重量部
加工助剤: 2.7重量部
外部潤滑剤: 0.2重量部
Ca/Zn安定剤: 0.5重量部
エポキシ化大豆油(ESBO): 4.5重量部
フタル酸ジイソデシル(DiDP): 1.8重量部
生成物A: 45.2重量部
(総量): (100重量部)

生成物A 45.2重量部は、およそ
フタル酸ジイソデシル(DiDP): 23.4重量部
共重合体: 18.1重量部
その他: 3.7重量部
(その他=重合性安定剤、主要な乳化剤、活性剤および開始剤の残部。)
を含んでいた。
【0082】
PVC懸濁ホモポリマーは、EVC(European Vinyls Corporation)により供給された、K値 35を有するEVIPOL(登録商標) SH6520であった。加工助剤は、VINURAN(登録商標) 3833(アクリル酸とメタクリル酸とのエステルに基づく共重合体、K値:105−120、BASFから)であった。外部潤滑剤は、N,N’−エチレン ジステアリン酸アミド(Cromptonが提供しているMARKLUBE(登録商標) 280)であった。Ca/Zn安定剤として、Lankromark(登録商標) LZC749(Akcros Chemicals、比重0.97g/cm、引火点(Pensky Martensクローズドカップ)100℃以上、亜鉛タレートおよび亜リン酸トリスノニルフェニルを含有する)を選択した。エポキシ化大豆油として、Lankroflex(登録商標) E2307(AKZO NOBEL、比重0.990g/cm、屈折率1.473)を使用した。
【0083】
以下の方法を使用した。PVC懸濁ホモポリマーを、最初に、ステンレス製混合ボウルに加えた。他の成分(フタル酸ジイソデシルとポリマーを除く)を、上記に記載された順序で、Kenwood Major Classic KM800ミキサーを使用して、約5分にわたってそれに加えた。フタル酸ジイソデシルとポリマーを、可能な限りの最高速度で設定された、内容物がボウルから放出されないことを確保するミキサーで、10分にわたって段階的に加えた。最終的に、全体を10分間、完全に混合した。
【0084】
混合物を、次に、150℃の温度に設定した後部ロール(速度25rpm)、および160℃の温度に設定した前部ロール(速度30rpm)を有するSchwabenthan 2本ロール機で約6分間、ロールがけをした。ニップは、必要に応じて、ロールから切り取るために十分な力を有する前部ロール上にシートを形成する範囲内で調整を行って、0.3mm〜1.5mmで変動した。この手順全体に、PVCを前部ロールから切り取り、均質シートの製造するのを助けるために、ニップの中に数回フィードバックした。最終的に、シートの形をしてPVCを、前部ロールから取り出した。
【0085】
シートを冷却し、次に四角に切り、磨かれた金属プレート上に抑えつけて、内法15.4cm×15.4cm×深さ0.5cmのステンレス製の枠からなる型に乗せることができた。PVCシートが型の容量に対して過剰になったとき、型が満たされた。第二の金属プレートを、型が2個の金属プレート(PVCに面する磨かれた側)の間に挟まれた型の上部に置いた。型を、1分間、約165〜170℃の温度に加熱したプレス機(Bradley & Turton)の下部プラテン上に置いた。29〜31MPaの範囲の圧力に相当する、70〜75トンの重量を、次に、プラテンを冷却する前の1分間に適用した。圧力を、プラテン温度が120℃以下に下がるときまで維持した。50℃で型を取り除き、PVCプラークをプレートから分離した。
【0086】
4cm長×2cm幅の試料をPVCプラークから切断した。これらは、脱イオン化した水を含有する瓶に、別々に浸漬され、重量の増加を20日間後に記録した。これから、重量により膨潤する百分率を、以下のとおりに算出した。

(W−W)/W×100
=原(乾燥状態)重量
=最終(水を条件付けた状態)重量

PVC試料を浸漬している水を、PVC試料から失われる親水性ポリマーの目印として、視覚的に評価した。
【0087】
例5:ポリ塩化ビニル(PVC)組成物を、例3のような手順を使用して、例2からの生成物Bを用いて製造した。PVC試料を、例3に記載されているような同様の方法で試験した。
【0088】
例6(比較例):ポリ塩化ビニル(PVC)組成物を、例3のような手順を使用して、例3からの生成物Cを用いて製造した。PVC試料を、例3に記載されているような同様の方法で試験した。
【0089】
例7(比較例):水性のモノマー相を、アクリルアミド(84g)、アクリル酸(27.6g)、水酸化ナトリウム(15.3g)、水(269.5g)、EDTA溶液(水中に40%)(0.4g)、およびメチレンビスアクリルアミド(0.1%水溶液)(3.2g)より製造した。水性のモノマーを0℃まで冷却し、30分間、窒素を用いて散布した。熱開始剤、4,4−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、0.2gを、ついでレドックス開始剤、t−ブチルヒドロペルオキシド(1%水溶液)0.4gおよび亜硫酸ナトリウム(1%水溶液)0.8gを加えた。重合は、約80℃まで発熱するに任せ、この温度で2時間、維持した。
【0090】
ゲル状ポリマーを、約2mmサイズ片に切り、熱気流中で乾燥した。乾燥したポリマーを、粉砕して粉末にし、75μmのふるいを通した。集めた粉末を、水5%を伴う、アクリルアミド:アクリル酸ナトリウムが70:30である95%共重合体を含み、以下、生成物Dと呼ぶ。生成物Dの試料を、走査電子顕微鏡法により分析し、粒度は5〜75μmで変動した。粒子は、不整形であり;それゆえに、示した粒度は、粒子の最大寸法である。
【0091】
例8(比較例):ポリマーDを使用することを除き、そしてさらに、DiDPと生成物Dの異なる量が使われることを除いて、例4を繰り返した。PVC試料を例3に記載されているのと同様の方法で試験した。
組成物は、以下のとおりであった。
PVC懸濁ホモポリマー: 45.1重量部
加工助剤: 2.7重量部
外部潤滑剤: 0.2重量部
Ca/Zn安定剤: 0.5重量部
ESBO: 4.5重量部
フタル酸ジイソデシル: 28.9重量部
生成物D: 18.1重量部
(総量): (100)重量部
【0092】
例9(比較例):粉末が、90μmと75μmのふるいにかけることにより得られる、すなわち、粒群が75〜90μmの範囲であることを除いて、例7を繰り返した。これを、生成物Eと呼ぶ。
【0093】
例10(比較例):生成物Eを使用することを除いて、例8を繰り返した。
【0094】
例11(比較例):粉末は、250μmと150μmのふるいにかけることによって得られる、すなわち、粒群が150〜250μmの範囲である場合を除いて例7を繰り返した。これを、生成物Fと呼ぶ。
【0095】
例12(比較例):生成物Fが使用されることを除いて例8を繰り返した。
【0096】
例4,5,6,8,10および12の結果
【0097】
【表1】

【0098】
例13:水性のモノマー相を、アクリルアミド、83.7g、アクリル酸、34.6g、水酸化ナトリウム、19.2g、水、138.9g、EDTA溶液(水中に40%)0.4g、およびメチレンビスアクリルアミド(0.2%水溶液)3.5gより製造した。油相を、Exxsol D100 45g、Exxsol D40、234.4g、Span 80、8.4g、および重合安定剤(Exxsol D40において、ステアリルメタクリラート:メタクリル酸共重合体23%溶液)、12.2gより製造した。モノマーと油の相を、Silversonホモジナイザーを使用して混合し、2μm未満の平均サイズを有する水性のモノマーを形成した。この未非重合乳濁液を、窒素注入口、撹拌器および開始剤供給注入口を取り付けた1リッター反応フラスコに移した。窒素パージを30分間適用し、その後、窒素封入を維持した。未重合乳濁液の温度を20℃に調節した。重合を、t−ブチルヒドロペルオキシドとメタ重亜硫酸ナトリウムの両方の添加により開始した。重合を1時間にわたり、約85℃まで自然に上昇するに任せた。次に100℃で、水とExxsol D40を、回転式蒸発器を使用して減圧蒸留により乳濁液から除去した。活性剤(反転界面活性剤、 Synperonic A4/Ethylan TU 3:2)を、活性剤5g:蒸留生成物100gの比率で加えた。したがって、得られた逆相分散体の体積平均径(VMD)は、R1レンズおよびQuixcel分散系を有するSympatec Helos H1539を使用し測定して、1.0μmであった。この分散体の粘度は、20rpmおよび20℃でスピンドル 6を有するBrookfield RVT粘度計を使用して、11500cPであった。
【0099】
ポリマーを以下の方法により逆相分散体から分離した。上記分散体250gを重質パラフィン油(Cepsaが提供するSolvent Neutral(登録商標) 150)100gと混合した。これに、機械的に撹拌してアセトン3リットルを加え、完全に良好な渦を維持した。2分後、撹拌器のスイッチを切り、固体を沈殿させた。全体を、ブナー漏斗(硬化無灰ろ紙Whatman 541を取り付けた)を通してろ過した。
【0100】
湿った固体を乾燥し、粉砕し、新鮮な蒸留アセトン750mlで洗浄して、ろ過し、最終的に温風機補助装置付のオーブンで乾燥した。このように乾燥した固体を、乳棒と乳鉢を使用して粉砕し、流動性を有する粒状粉を得た。
最終生成物を、走査電子顕微鏡法により分析し、一次粒子の凝集体を含有することを見出した。凝集体は、200μm未満であり、2μm未満の一次粒子であることが観察された。
【0101】
例14:EPDM(エチレンプロピレンジエンモノマー)ゴム組成物を、以下の処方に従って、例13から44.5重量%の微粒子ポリマーの粉末を含有するものを製造した。

EPDM: 37.9重量部
カーボンブラック: 11.4重量部
プロセス油: 3.8重量部
過酸化物: 1.9重量部
活性剤: 0.5重量部
例13のポリマー: 44.5重量部
(総量): (100)重量部
【0102】
EPDMは、Exxon Chemicalにより供給されているVistalon(登録商標) 7000(エチレン含量71〜74重量%、ムーニー粘度55〜65および三元重合体ENB型)であった。カーボンブラックは、FEF(登録商標) N550であった。プロセス油は、Strukpar(登録商標) 2280(パラフィン型)であった。過酸化物は、Perkadox(登録商標) 14/40(1,3−ビス−(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン)であった。活性剤は、Activator(登録商標)OC(シアヌル酸トリアリル)であった。
【0103】
以下の方法を使用した。EPDMゴムを、まず1.57リットル実験用バンバリー内部ミキサー(35℃、ラム圧430kPa(60psi)に設定した)に加えた。例13の粉末を、7時間かけて、3段階で加えた。さらに1時間後にカーボンブラック、その1時間後にプロセス油を加え、次の2時間後に混合物を冷却した清浄な22.86cm×45.72cm(9”×18”)の2本ロールミルに広げた。過酸化物と活性剤を加えて、完全に混合した。混合物を、最終的に6回狭いニップに通すことによって微細にした。コンパウンドをシートにして、冷却した。シートは、次に、160℃、69分間で圧縮成形をして、厚さ5mmのプラークを得た。
【0104】
プラークを、、新鮮な面を露出するために切断して、走査電子顕微鏡法により分析した。ゴムのマトリックスで明瞭に見えるのが、親水性ポリマーのポリマー微粒子であった。一次粒子は、もはや大きな凝集体ではなく、代わりに、それらは、個別の粒子として存在していた。
【0105】
長さ4cm×幅2cmの試料を、EPDMプラークから切り出した。これらを、脱イオン化した水を含有する瓶に、別々に浸漬し、重量の増加を20日間後に記録した。これから、重量により膨潤した百分率を、例4に記載したように計算して、20日後に376%になった。
【0106】
いずれかの親水性ポリマーなしのEPDMゴムは、膨潤0であることがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水非膨潤性の熱可塑性もしくはエラストマーポリマーと、水膨潤性材料とを組み合わせることによって得られる水膨潤性組成物であって、それは、
(a)親水性ポリマー微粒子5〜70重量%、
(b)非水溶性の熱可塑性ポリマー、樹脂もしくはエラストマー材料30〜95重量%、
を含み、ここで、親水性ポリマー微粒子は2μm以下の粒子体積平均径(R1レンズおよびQuixcel分散系を有するSympatec Helos H1539を使用するレーザー回折技術により測定)を有する
水膨潤性組成物。
【請求項2】
(a)親水性ポリマー微粒子30〜75重量%、それは、
(aa)水溶性のエチレン性一不飽和性極性非イオン性モノマー
(ab)水溶性のエチレン性一不飽和性陰イオン性モノマー、および
(ac)水溶性のエチレン性一不飽和性陽イオン性モノマー
からなる群より選択されるモノマーの、架橋剤の存在下における逆相重合により得られ、
、ここで、親水性ポリマー微粒子は、2μm未満の体積平均径(R1レンズおよびQuixcel分散系を有するSympatec Helos H1539を使用するレーザー回折技術により測定)を有する
(b)水非混和性分散媒25〜70重量%
を含む分散体。
【請求項3】
(aa)水溶性のエチレン性一不飽和性極性非イオン性モノマー、および
(ab)水溶性のエチレン性一不飽和性陰イオン性モノマー
を、架橋剤の存在下における逆相重合により得られ、ここで、そのポリマー微粒子は、2μm以下の体積平均径(R1レンズおよびQuixcel分散系を有するSympatec Helos H1539を使用してレーザー回折技術により測定)を有するポリマー微粒子。
【請求項4】
親水性微小粒子5〜70重量%と、不水溶性の熱可塑性ポリマー、樹脂もしくはエラストマー材料30〜95%を混合することを含む、請求項1記載の組成物の製造方法。
【請求項5】
(I)
(aa)水溶性のエチレン性一不飽和性極性非イオン性モノマー
(ab)水溶性のエチレン性一不飽和性陰イオン性モノマー、および
(ac)水溶性のエチレン性一不飽和性陽イオン性モノマー
からなる群より選択されるモノマーを、架橋剤、水、開始剤、水非混和性分散媒、揮発性油分、および乳化剤、ならびに場合により、錯化剤もしくは高分子安定剤のようなさらなる添加剤と混合し、
(II)逆相重合を行い、
(III)水と揮発性油分を除去し、
ここで、このようにして得られた親水性ポリマー微粒子は、2μm未満の体積平均径(R1レンズおよびQuixcel分散系を有するSympatec Helos H1539を使用してレーザー回折技術により測定)を有する
ことを含む、請求項2記載の分散体の製造方法。
【請求項6】
請求項2記載の、または請求項5記載の製造方法によって得られた分散体から水非混和性分散媒を分離することを含む請求項3のポリマー微粒子の製造方法。
【請求項7】
シールの製造のための請求項1記載の組成物の使用。
【請求項8】
請求項1記載の組成物、請求項3記載のポリマー微粒子、およびシールの製造のための、請求項2記載の分散体の使用。
【請求項9】
請求項1記載の組成物、およびシールの製造のための、請求項3のポリマー微粒子の使用。
【請求項10】
請求項1記載の組成物、請求項2記載の分散体、または請求項3記載のポリマー微粒子を含むシール。
【請求項11】
シールが膨潤性の止水材、好ましくはPVCまたはゴム製止水材である、請求項10記載のシール。

【公表番号】特表2008−536971(P2008−536971A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−505865(P2008−505865)
【出願日】平成18年4月5日(2006.4.5)
【国際出願番号】PCT/EP2006/061319
【国際公開番号】WO2006/108784
【国際公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(396023948)チバ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Holding Inc.
【Fターム(参考)】