説明

透かし印刷管理システム

【課題】 印刷するユーザの意思によらず、強制的に印刷物に透かしを挿入することが可能となり、機密情報の印刷物による漏洩を容易に防止することができる透かし印刷管理システムを提供する。
【解決手段】 印刷管理サーバ2の制御に基づき、プリンタ3の出力を制御するユーザ端末5を備えた透かし印刷管理システム1であって、印刷管理サーバ2は、透かし印刷ポリシー定義ファイル6、及び、透かし印刷定義情報ファイル7を格納する記憶手段8,9と、透かし定義情報作成ユーティリティ10とを備え、ユーザ端末5は、アプリケーションによって作成された印刷データに、透かし印刷データを付加する透かし印刷ドライバ11と、透かし印刷ドライバ11をアプリケーションに適用するための透かし印刷ドライバ挿入サービス12等を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システム管理者の設定したポリシーに従って、印刷物に透かしを埋め込むことにより、企業内の情報の漏洩を防止することを目的とした透かし印刷管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、機密文書の印刷物には、「機密」などの目に見える透かしを付与することで、その文書の漏洩を防いでいる。或いは、文書上に容易には見えず、文書のコピー上に明確に見えるようになるような透かしを埋め込むことで情報の漏洩を検知・追跡する方法がとられている。
尚、印刷物に透かしを埋め込む制御システムとして、例えば、特許文献1が提案されている。
【特許文献1】特開2005−38372
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
然しながら、従来、透かしを埋め込む場合に、印刷物に透かしを挿入するかどうかは印刷するプリンタに接続されたコンピュータのプリンタドライバの設定によるため、各作業コンピュータで作業している作業者に透かしを埋め込む意思がなければ、文書に透かしを挿入することはできない。
【0004】
又、文書に透かしを埋め込んだとしても、透かしに入る「機密」などの文字列を定義しているのみであり、その文字列だけでは印刷した日時、場所、人物などの特定はできない。
【0005】
更に、公知の透かし印刷制御方式では、印刷の制御のための特殊な機能を持ったプリンタ(デジタル複合機)を使用しなければならず、汎用性に欠ける問題があった。
【0006】
以上の現状に鑑み、本発明は、印刷するユーザの意思によらず、強制的に印刷物に透かしを挿入することが可能となり、機密情報の印刷物による漏洩を容易に防止することができる透かし印刷管理システムを提供することを目的とする。
又、前記システムに於いて、強制的に透かしを挿入する設定が適用されているユーザでも、管理者から提供されたUSBキー等の外部接続機器を使用することで、一時的に透かしなしで印刷することを可能とする機能を提供することを目的とする。
更に、前記システムを導入した端末をプリントサーバとして構築したときに、前記システムが導入されていない端末からの印刷を抑止できる機能を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決すべく、本発明は以下の構成を提供する。
請求項1に係る発明は、印刷ポリシーに従い、印刷物への透かしの挿入を制御する印刷管理サーバと、
印刷物に透かしを印刷するプリンタと、
該プリンタ及び前記印刷管理サーバに接続され、該印刷管理サーバの制御に基づき、該プリンタの出力を制御するユーザ端末とを備えた透かし印刷管理システムであって、
前記印刷管理サーバは、印刷要求をするユーザ又はグループ毎に透かしの有無と、透かしの種類とを定義した透かし印刷ポリシーを収納する透かし印刷ポリシー定義ファイル、及び、透かしのレイアウト、位置、大きさ等、透かしの出力内容である透かし印刷定義情報を収納する透かし印刷定義情報ファイルを格納する記憶手段と、
該透かし印刷定義情報を定義するための透かし定義情報作成ユーティリティとを備え、
前記ユーザ端末は、アプリケーションによって作成された印刷データに透かし印刷データを付加する透かし印刷ドライバと、
前記透かし印刷ドライバをアプリケーションに適用する透かし印刷ドライバ挿入サービスと、
前記透かし印刷ドライバによって透かしが挿入されたかチェックする透かしプリントプロセッサと、
前記プリンタと前記透かしプリントプロセッサのくくり付けを監視する透かしプリントプロセッサ監視サービスとを備え、
更に、前記透かし印刷ドライバは、透かし印刷情報を文書データに付加する透かし印刷情報付加手段と、
印刷ジョブパラメータに透かし挿入の有無を判別できる透かしパラメータを設定する透かしパラメータ設定手段とを備え、
前記透かし印刷ドライバ挿入サービスは、アプリケーションに対し前記透かし印刷ドライバを挿入し、印刷実行時に、前記透かし印刷ドライバの機能を適用させる透かし印刷ドライバ適用機能を備え、
前記透かしプリントプロセッサは、前記透かし印刷ドライバによって設定された印刷ジョブパラメータの透かしパラメータが存在しない場合に印刷を抑止する印刷抑止機能を備え、
前記透かしプリントプロセッサ監視サービスは、プリンタの設定状態を検知し、プリントプロセッサが透かしプリントプロセッサ以外のものに設定されていないかどうかをチェックするチェック手段と、
チェックの結果、異なるものがくくりつけられていた場合、透かしプリントプロセッサを割り当てる割当て手段とを備えることを特徴とする透かし印刷管理システムを提供するものである。
【0008】
請求項2に係る発明は、上記印刷管理サーバは、上記透かし印刷ドライバからの透かし印刷ポリシーの問合せを受信するポリシー問合せ受信手段と、
該ポリシー問合せに基づき、上記透かし印刷ポリシー定義ファイルを参照するポリシー参照手段と、
参照結果である透かし印刷ポリシーを前記透かし印刷ドライバに送信するポリシー送信手段と、
前記透かし印刷ドライバからの透かし印刷定義情報の問合せを受信する定義情報問合せ受信手段と、
該透かし印刷定義情報に基づき、上記透かし印刷定義情報ファイルを参照する定義情報参照手段と、
参照結果である透かし印刷定義情報を前記透かし印刷ドライバに送信する定義情報送信手段とを備え、
上記透かし印刷ドライバは、前記印刷管理サーバに透かし印刷ポリシーを問い合わせるポリシー問合せ手段と、
前記印刷管理サーバから透かし印刷ポリシーを受信するポリシー受信手段と、
前記印刷管理サーバに透かし印刷定義情報を問い合わせる定義情報問合せ手段と、
前記印刷管理サーバから透かし印刷定義情報を受信する定義情報受信手段と、
文書データを上記プリンタに出力するプリンタ出力手段とを備えることを特徴とする請求項1記載の透かし印刷管理システムを提供するものである。
【0009】
請求項3に係る発明は、上記プリンタは、プリントサーバを介して上記ユーザ端末に接続されることを特徴とする請求項1又は2記載の透かし印刷管理システムを提供するものである。
【0010】
請求項4に係る発明は、上記透かし印刷定義情報ファイルは、印刷データに挿入する透かしのレイアウト、位置、大きさを示す記号を含む複数の記号を列挙した電子データを格納し、該電子データはコンピュータ上のファイルのレコード形式をとることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一に記載の透かし印刷管理システムを提供するものである。
【0011】
請求項5に係る発明は、上記ユーザ端末は、キー情報を格納する透かし用外部接続機器が該ユーザ端末に接続されて存在しているかどうかを照会し、存在が確認される時は、上記印刷管理サーバへの透かし印刷ポリシーの問い合わせを行わないように機能させる機器存在照会手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一に記載の透かし印刷管理システムを提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1記載の発明によれば、印刷ポリシーに従い、印刷物への透かしの挿入を制御する印刷管理サーバと、印刷物に透かしを印刷するプリンタと、該プリンタ及び前記印刷管理サーバに接続され、該印刷管理サーバの制御に基づき、該プリンタの出力を制御するユーザ端末とを備えた透かし印刷管理システムであって、前記印刷管理サーバは、印刷要求をするユーザ又はグループ毎に透かしの有無と、透かしの種類とを定義した透かし印刷ポリシーを収納する透かし印刷ポリシー定義ファイル、及び、透かしのレイアウト、位置、大きさ等、透かしの出力内容である透かし印刷定義情報を収納する透かし印刷定義情報ファイルを格納する記憶手段と、該透かし印刷定義情報を定義するための透かし定義情報作成ユーティリティとを備え、前記ユーザ端末は、アプリケーションによって作成された印刷データに透かし印刷データを付加する透かし印刷ドライバと、前記透かし印刷ドライバをアプリケーションに適用する透かし印刷ドライバ挿入サービスと、前記透かし印刷ドライバによって透かしが挿入されたかチェックする透かしプリントプロセッサと、前記プリンタと前記透かしプリントプロセッサのくくり付けを監視する透かしプリントプロセッサ監視サービスとを備え、更に、前記透かし印刷ドライバは、透かし印刷情報を文書データに付加する透かし印刷情報付加手段と、印刷ジョブパラメータに透かし挿入の有無を判別できる透かしパラメータを設定する透かしパラメータ設定手段とを備え、前記透かし印刷ドライバ挿入サービスは、アプリケーションに対し前記透かし印刷ドライバを挿入し、印刷実行時に、前記透かし印刷ドライバの機能を適用させる透かし印刷ドライバ適用機能を備え、前記透かしプリントプロセッサは、前記透かし印刷ドライバによって設定された印刷ジョブパラメータの透かしパラメータが存在しない場合に印刷を抑止する印刷抑止機能を備え、前記透かしプリントプロセッサ監視サービスは、プリンタの設定状態を検知し、プリントプロセッサが透かしプリントプロセッサ以外のものに設定されていないかどうかをチェックするチェック手段と、チェックの結果、異なるものがくくりつけられていた場合、透かしプリントプロセッサを割り当てる割当て手段とを備える透かし印刷管理システムを提供するので、印刷するユーザの意思によらず、強制的に印刷物に透かしを挿入することが可能となり、機密情報の印刷物による漏洩を容易に防止することができる。
又、透かしプリントプロセッサの透かし印刷ドライバによって設定された印刷ジョブパラメータの透かしパラメータが存在しない場合に印刷を抑止することが可能となる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、上記印刷管理サーバは、上記透かし印刷ドライバからの透かし印刷ポリシーの問合せを受信するポリシー問合せ受信手段と、該ポリシー問合せに基づき、上記透かし印刷ポリシー定義ファイルを参照するポリシー参照手段と、参照結果である透かし印刷ポリシーを前記透かし印刷ドライバに送信するポリシー送信手段と、前記透かし印刷ドライバからの透かし印刷定義情報の問合せを受信する定義情報問合せ受信手段と、該透かし印刷定義情報に基づき、上記透かし印刷定義情報ファイルを参照する定義情報参照手段と、参照結果である透かし印刷定義情報を前記透かし印刷ドライバに送信する定義情報送信手段とを備え、上記透かし印刷ドライバは、前記印刷管理サーバに透かし印刷ポリシーを問い合わせるポリシー問合せ手段と、前記印刷管理サーバから透かし印刷ポリシーを受信するポリシー受信手段と、前記印刷管理サーバに透かし印刷定義情報を問い合わせる定義情報問合せ手段と、前記印刷管理サーバから透かし印刷定義情報を受信する定義情報受信手段と、文書データを上記プリンタに出力するプリンタ出力手段とを備えるので、請求項1記載の発明の効果に加え、透かし印刷ポリシー及び透かし印刷定義情報を印刷管理サーバから一元的に提供することができ、印刷管理サーバから提供される透かし印刷ポリシー及び透かし印刷定義情報に基づき、透かし印刷ドライバを出力させることができる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、上記プリンタは、プリントサーバを介して上記ユーザ端末に接続されるので、請求項1又は2記載の発明の効果に加え、ユーザ端末に負担を掛けることなくプリンタによる印刷が可能になり、且つ、プリンタもユーザ端末に拘束されることなく、自由な印刷が可能となる。
又、印刷ジョブパラメータに透かしパラメータが存在しない場合に印刷を抑止する機能により、透かし印刷ドライバを導入していない不当な端末からプリントサーバへの印刷を抑止することが可能となる。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、上記透かし印刷定義情報ファイルは、印刷データに挿入する透かしのレイアウト、位置、大きさを示す記号を含む複数の記号を列挙した電子データを格納し、該電子データはコンピュータ上のファイルのレコード形式をとるので、請求項1乃至3のうちいずれか一に記載の発明の効果に加え、透かし情報を容易に定義できると共に、データ処理が容易であり、且つ、多様な透かし印刷が可能となる。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、上記ユーザ端末は、キー情報を格納する透かし用外部接続機器が該ユーザ端末に接続されて存在しているかどうかを照会し、存在が確認される時は、上記印刷管理サーバへの透かし印刷ポリシーの問い合わせを行わないように機能させる機器存在照会手段を備えているので、請求項1乃至4のうちいずれか一に記載の発明の効果に加え、ユーザ端末にキー情報を格納する透かし用外部接続機器を接続することにより、透かし印刷を強制されるユーザが一時的に透かし無しで印刷することが可能になり、外部公開用の文書等、透かしを挿入したくない文書を一時的に透かし無しで印刷することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、実施例を示した図面を参照しつつ本発明の実施の形態を説明する。尚、説明の都合上、後に説明する実施例に於いて、先に説明した実施例と同一構成部分については同一符号を付してその説明を省略する。
図1に於いて、1は、本発明の第1実施例の透かし印刷管理システムを示し、透かし印刷管理システム1は、印刷ポリシーに従い、印刷物への透かしの挿入を制御する印刷管理サーバ2と、印刷物に透かしを印刷するプリンタ3と、プリンタ3をローカルに接続すると共に、印刷管理サーバ2にネットワーク4を介して接続され、印刷管理サーバ2の制御に基づき、プリンタ3の出力を制御するユーザ端末5とを備えている。
【0018】
そして、前記印刷管理サーバ2は、印刷要求をするユーザ又はグループ毎に透かしの有無と、透かしの種類とを定義した透かし印刷ポリシーを収納する透かし印刷ポリシー定義ファイル6、及び、透かしのレイアウト、位置、大きさ等、透かしの出力内容である透かし印刷定義情報を収納する透かし印刷定義情報ファイル7を夫々格納する記憶手段である記憶装置8,9を備え、更に、透かし印刷定義情報を定義するための透かし定義情報作成ユーティリティ10とを備えている。
【0019】
又、前記ユーザ端末5は、アプリケーションによって作成された印刷データに透かし印刷データを付加する透かし印刷ドライバ11と、透かし印刷ドライバ11をアプリケーションに適用するための透かし印刷ドライバ挿入サービス12と、透かし印刷ドライバ11によって透かしが挿入されたかチェックする透かしプリントプロセッサ13と、プリンタ3と透かしプリントプロセッサ13のくくり付けを監視する透かしプリントプロセッサ監視サービス14とを備えている。
【0020】
更に、図2に示すように、前記印刷管理サーバ2は、前記透かし印刷ドライバ11からの透かし印刷ポリシーの問合せを受信するポリシー問合せ受信手段21と、ポリシー問合せに基づき、前記透かし印刷ポリシー定義ファイル6を参照するポリシー参照手段22と、参照結果である透かし印刷ポリシーを透かし印刷ドライバ11に送信するポリシー送信手段23と、透かし印刷ドライバ11からの透かし印刷定義情報の問合せを受信する定義情報問合せ受信手段24と、透かし印刷定義情報の問合せに基づき、前記透かし印刷定義情報ファイル7を参照する定義情報参照手段25と、参照結果である透かし印刷定義情報を透かし印刷ドライバ11に送信する定義情報送信手段26とを備えている。
【0021】
又、図3に示すように、前記透かし印刷ドライバ11は、前記印刷管理サーバ2に透かし印刷ポリシーを問い合わせるポリシー問合せ手段31と、印刷管理サーバ2から透かし印刷ポリシーを受信するポリシー受信手段32と、印刷管理サーバ2に透かし印刷定義情報を問い合わせる定義情報問合せ手段33と、印刷管理サーバ2から透かし印刷定義情報を受信する定義情報受信手段34と、透かし印刷情報を文書データに付加する透かし印刷情報付加手段35と、印刷ジョブパラメータに透かしパラメータを設定する透かしパラメータ設定手段36と、文書データをプリンタ3に出力するプリンタ出力手段37とを備えている。
【0022】
更に、前記透かし印刷ドライバ挿入サービス12は、前記透かし印刷ドライバ11をアプリケーションに適用して、アプリケーションの印刷実行時に、前記透かし印刷ドライバ11の機能を呼び出させる透かし印刷ドライバ適用機能41を備える。
【0023】
更に、前記透かしプリントプロセッサ13は,前記透かし印刷ドライバ11によって設定された印刷ジョブパラメータの透かしパラメータが存在しない場合に印刷を抑止する印刷抑止機能42を備えている。
【0024】
更に又、前記透かしプリントプロセッサ監視サービス14は、プリンタ3の設定状態を検知し、プリントプロセッサが透かしプリントプロセッサ13以外のものに設定されていないかどうかをチェックするチェック手段43と、チェックの結果、異なるものがくくりつけられていた場合、透かしプリントプロセッサ13を割り当てる割当て手段44とを備える。
【0025】
図4は透かし印刷定義情報ファイル7に格納するデータを作成する透かし定義情報作成ユーティリティ10の説明図である。システム管理者である印刷管理サーバ2の操作者は、ディスプレイ装置52を見ながら、キーボード及びマウス51を使用して、透かし定義情報作成ユーティリティ10に対して、透かし印刷定義情報を指定する。指定された透かし印刷定義情報のデータは、透かし印刷定義情報ファイル7内に格納される。
【0026】
図5は、前記透かし印刷管理システム1に於いて、透かし印刷ドライバ11が透かし印刷情報の付加を決定する処理フローを示す。同図及び前図1乃至図3を用いて、処理の流れを説明すると、先ず、ユーザがユーザ端末5から文書の印刷をする場合、前記透かし印刷ドライバ挿入サービス12の透かし印刷ドライバ適用機能41により、透かし印刷ドライバ11の機能が実行される。
透かし印刷ドライバ11がポリシー問合せ手段31によって、印刷管理サーバ2へ透かし印刷ポリシーの問合せを行う(ステップS1)。
【0027】
印刷管理サーバ2は、ポリシー問合せ受信手段21によって、透かし印刷ドライバ11からの問合せを受信すると、ポリシー参照手段22によって、透かし印刷ポリシー定義ファイル6を参照し、ポリシー送信手段23によって、問い合わせのあったユーザに対する透かし印刷ポリシーの参照結果を透かし印刷ドライバ11へ送信(応答)する。
【0028】
その際、ユーザが透かしあり印刷ユーザであった場合、透かし印刷ポリシーとして「透かし印刷あり」が送信(応答)され、透かし印刷ドライバ11は、ポリシー受信手段32によって透かし印刷ポリシーを受信すると、定義情報問合せ手段33によって、透かし印刷定義情報を印刷管理サーバ2へ問い合わせる(ステップS2)。
【0029】
印刷管理サーバ2は、定義情報問合せ受信手段24によって、透かし印刷定義情報の問合せを受信すると、定義情報参照手段25によって、透かし印刷定義情報ファイル7を参照し、定義情報送信手段26によって、透かし印刷定義情報を透かし印刷ドライバ11へ送信(応答)する。
【0030】
透かし印刷ドライバ11は、定義情報受信手段34によって、透かし印刷定義情報を受信する。
そして、前記透かし印刷ドライバ11は、透かし印刷情報付加手段35によって、透かし印刷定義情報に基づいた透かし印刷情報を挿入し(ステップS3)、透かしパラメータ設定手段36によって、印刷ジョブパラメータに透かし挿入済みを表す透かしパラメータ(ステップS4)を設定し、プリンタ出力手段37によって、プリンタ3へ出力する(ステップS5)。
【0031】
この時、前記透かしプリントプロセッサ監視サービス14が、チェック手段43によって、プリンタ3の設定状態を検知し、プリントプロセッサ(図示せず)が透かしプリントプロセッサ13以外のものに設定されていないかチェックし、透かしプリントプロセッサ13以外のものに設定されている場合は、透かしプリントプロセッサ13を割当てる。
【0032】
次に前記透かしプリントプロセッサ13は、印刷抑止機能42によって、前記透かし印刷ドライバ11が設定した印刷ジョブパラメータが正当な値かチェックし、正当な値でない場合は、印刷を抑止する。
印刷抑止機能42によって印刷ジョブパラメータが正当な値であると判定された場合は、前記プリンタ3は、コマンドを追加された印刷データに基づき、透かし印刷を行なう。
【0033】
尚、ユーザが透かしなし印刷ユーザであった場合、即ち、透かし印刷ポリシーとして透かし印刷なしが応答された場合、透かし印刷ドライバ11は、透かし印刷情報付加手段35によって,透かし印刷定義情報に基づいた透かし印刷情報を挿入せず、透かしパラメータ設定手段36によって、印刷ジョブパラメータに透かし挿入無しを表す透かしパラメータを設定し(ステップS4)、プリンタ出力手段37によって、プリンタ3へ出力する(ステップS5)。
【0034】
図6は、透かし定義情報設定ダイアログで、透かし定義情報作成ユーティリティ10が起動されるとディスプレイ装置52に表示される。
図に於いて、欄501は、レイアウト指定ボックスで、透かしの情報を格子状に連続して配置するか、図に示す「単一」の如く、一箇所に一つだけ配置するかを選択する。欄502は、位置指定欄で、透かしを印刷する位置を指定する。
【0035】
欄503は、回転角指定欄で、透かしの文字の傾きを指定する。欄504は、文字サイズ指定欄で、透かしの文字サイズを指定する。欄505は、行間指定欄で、透かしを連続して配置する場合の行間を指定する。欄506は、濃度パターン指定欄で、透かしの文字の濃度を指定する。
ボックス507は、固定文字指定チェックボックスで、このボックスがチェックされた場合、文字列指定欄508に指定された文字列を固定文字として出力する。ボックス509は、ログインID指定チェックボックスで、このチェックボックスがチェックされた場合、固定文字としてログインIDを出力する。
【0036】
ボックス510は、ドメイン指定チェックボックスで、このチェックボックスがチェックされた場合、ドメインを固定文字として出力する。ボックス511は、日時指定チェックボックスで、このチェックボックスがチェックされた場合、日時を固定文字として出力する。
ボックス512は、マシン名指定チェックボックスで、このチェックボックスがチェックされた場合、マシン名を固定文字として出力する。ボックス513は、IPアドレス指定チェックボックスで、このチェックボックスがチェックされた場合、IPアドレスを固定文字として出力する。
【0037】
ボタン514は、読込ボタンで、読込ボタン514がクリックされた場合、透かし印刷定義情報ファイル7を読込み、保存されている情報をダイアログに表示する。
ボタン515は、保存ボタンで、保存ボタン515がクリックされた場合、ダイアログに指定されている透かし印刷定義情報を透かし印刷定義情報ファイル7に保存する。
【0038】
ボタン516は、プレビューボタンで、プレビューボタン516がクリックされた場合、後述する透かし定義情報印刷プレビューダイアログをディスプレイ装置52に表示する。
ボタン517は、テスト印刷ボタン517で、テスト印刷ボタン517がクリックされた場合、現在指定している透かし印刷定義情報をプリンタ3にテスト印刷する。
ボタン518は、終了ボタン518で、終了ボタン518がクリックされた場合、透かし定義情報作成ユーティリティ10を終了する。
【0039】
図7は、前記透かし定義情報作成ユーティリティ10によって作成され、前記透かし印刷定義情報ファイル7に格納される電子データを示し、この電子データは印刷データに挿入する透かしのレイアウト、位置、大きさを示す記号を含む複数の記号を列挙したものであり、コンピュータ上のファイルのレコード形式に生成される。
【0040】
図8は、透かし定義情報印刷プレビューダイアログで、ディスプレイ装置52に表示される。
同図に於いて、領域601は、プレビュー表示領域で、前図6で示した透かし定義情報設定ダイアログで指定した情報で印刷するときの出力形式を表示する。
【0041】
ボタン602は、印刷ボタン602で、印刷ボタン602がクリックされた場合、現在表示しているプレビューの形式をプリンタ3によって印刷する。
ボタン603は、拡大ボタン603で、拡大ボタン603がクリックされた場合、プレビューの画像を拡大する。
【0042】
ボタン604は、縮小ボタン604で、縮小ボタン604がクリックされた場合、拡大されているプレビューの画像を元に戻す。
ボタン605は、閉じるボタン605で、閉じるボタン605がクリックされた場合、図6に示す透かし定義情報設定ダイアログに戻る。
【0043】
斯くして、前記透かし印刷管理システム1は、印刷管理サーバ2から送信される透かし印刷ポリシーに基づき印刷されるので、印刷するユーザの意思によらず、強制的に印刷物に透かしを挿入することが可能となり、機密情報の印刷物による漏洩を容易に防止することができる。
又、前記透かし印刷管理システム1は、透かし印刷ポリシー及び透かし印刷定義情報を印刷管理サーバ2から一元的に提供することができ、印刷管理サーバ2から提供される透かし印刷ポリシー及び透かし印刷定義情報に基づき、透かし印刷ドライバ11を出力させることができる。
【0044】
更に、前記透かし印刷管理システム1に於いて、透かし印刷定義情報ファイル7は、印刷データに挿入する透かしのレイアウト、位置、大きさを示す記号を含む複数の記号を列挙した電子データを格納し、この電子データはコンピュータ上のファイルのレコード形式をとるので、レコード形式の電子データによって、透かし情報を容易に定義できると共に、データ処理が容易であり、且つ、多様な透かし印刷が可能となる。
【0045】
図9は、前記透かし印刷管理システム1に於いて、強制的に透かしを挿入して印刷する設定のユーザが、一時的に透かし無しで印刷する機能を示す説明図である。
前記ユーザ端末5は、管理者から提供されたUSB(Universal Serial Bus)キー等のキー情報を格納する透かし外部接続機器16がユーザ端末5に接続されて存在しているかどうかを照会し、存在が確認される時は、印刷管理サーバ2への透かし印刷ポリシーの問い合わせを行わないように機能させる機器存在照会手段45を備えている。
一方、透かし外部接続機器16は、印刷管理サーバ2の管理者等が設定したキー情報46が格納されるメモリー47と、機器存在照会手段45からのキー情報46を格納する透かし外部接続機器の機器存在確認信号を受信する機器存在確認受信手段48と、機器存在確認信号に対して、キー情報を格納する透かし外部接続機器が存在する信号を送信する機器存在確認送信手段49とを備えている。
【0046】
而して、ユーザ端末5で印刷するとき、透かし印刷ドライバ11は、機器存在照会手段45により、キー情報46が格納される前記透かし用外部接続機器16にその存在を問い合わせる(照会する)べく、機器存在確認信号を送信する。透かし用外部接続機器16は、機器存在確認受信手段48で透かし印刷ドライバ11の問い合わせを受信し、機器存在確認送信手段49により結果を返す(キー情報46が格納される透かし用外部接続機器16が存在する信号を送信する)。
【0047】
透かし印刷ドライバ11が、透かし用外部接続機器16より透かし用外部接続機器16が存在するという結果を受信した場合は、印刷管理サーバ2へ透かしポリシーの問い合わせを行わず、透かし無しとして印刷をする。即ち、ユーザ端末5に透かし用外部接続機器16が接続されている場合は、一時的に透かし無しで印刷することになり、ユーザ端末5に透かし用外部接続機器16が接続されていない場合は、透かし印刷が行なわれる。
【0048】
図10に於いて、61は、本発明の第2実施例の透かし印刷管理システムを示し、透かし印刷管理システム61は、前記透かし印刷管理システム(図1に於いて1)に於いてユーザ端末5にローカル接続したプリンタ3を、ユーザ端末5から切り離し、ネットワーク4に接続したプリントサーバ62に接続したものである。又、透かし印刷管理システム61には、透かし印刷ドライバ11を導入していない未導入端末15がネットワーク4に接続されている。
【0049】
前記透かし印刷管理システム61に於いて、透かし印刷ドライバ11が透かし印刷情報の付加を決定する処理フローは、前図5と同様であるので、その説明は省略する。但し、印刷データは、プリントサーバ62を介してプリンタ3に送られ印刷される。
【0050】
斯くして、前記透かし印刷管理システム61は、前記透かし印刷管理システム1と同様に、印刷管理サーバ2から送信される透かし印刷ポリシーに基づき印刷されるので、印刷するユーザの意思によらず、強制的に印刷物に透かしを挿入することが可能となり、機密情報の印刷物による漏洩を容易に防止することができる。
【0051】
又、未導入端末15から印刷指示された印刷ジョブパラメータには、透かし印刷ドライバ11による透かしパラメータ設定手段36で設定した透かしパラメータが存在しないため、プリントサーバ62内の透かしプリントプロセッサ13の印刷抑止機能42により、不当な印刷であると判断され印刷が抑止される。
【0052】
更に、プリンタ3がプリントサーバ62に接続されるので、ユーザ端末5に負担を掛けることなくプリンタ3による印刷が可能になり、且つ、プリンタ3もユーザ端末5に拘束されることなく、自由な印刷が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明による第1実施例の透かし印刷管理システムを概略的に示す構成図である。
【図2】本発明による透かし印刷管理システムの印刷管理サーバの機能を示す概略図である。
【図3】(a)本発明による透かし印刷管理システムの透かし印刷ドライバの機能を示す概略図である。(b)本発明による透かし印刷管理システムの透かし印刷ドライバ挿入サービスの機能を示す概略図である。(c)本発明による透かし印刷管理システムの透かしプリントプロセッサの機能を示す概略図である。(d)本発明による透かし印刷管理システムの透かしプリントプロセッサ監視サービスの機能を示す概略図である。
【図4】本発明による透かし印刷管理システムの透かし定義情報作成ユーティリティの説明図である。
【図5】本発明による第1実施例の透かし印刷管理システムの透かし印刷ドライバが透かし印刷情報の付加を決定する処理フローである。
【図6】本発明による透かし印刷管理システムの透かし定義情報ユーティリティの透かし定義情報設定ダイアログである。
【図7】本発明による透かし印刷管理システムの透かし印刷定義情報ファイルのデータレコードである。
【図8】本発明による透かし印刷管理システムの透かし定義情報印刷プレビューダイアログである。
【図9】本発明による一時的に強制透かし機能を無効にする機能の説明図である。
【図10】本発明による第2実施例の透かし印刷管理システムを概略的に示す構成図である。
【符号の説明】
【0054】
1,61 透かし印刷管理システム
2 印刷管理サーバ
3 プリンタ
5 ユーザ端末
6 透かし印刷ポリシー定義ファイル
7 透かし印刷定義情報ファイル
10 透かし定義情報作成ユーティリティ
11 透かし印刷ドライバ
12 透かし印刷ドライバ挿入サービス
13 透かしプリントプロセッサ
14 プリントプロセッサ監視サービス
16 透かし用外部接続機器
21 ポリシー問合せ受信手段
22 ポリシー参照手段
23 ポリシー送信手段
24 定義情報問合せ受信手段
25 定義情報参照手段
26 定義情報送信手段
31 ポリシー問合せ手段
32 ポリシー受信手段
33 定義情報問合せ手段
34 定義情報受信手段
35 透かし印刷情報付加手段
36 プリンタ出力手段
37 透かしパラメータ設定手段
41 透かし印刷ドライバ適用機能
42 印刷抑止機能
43 チェック手段
44 割当て手段
45 機器存在照会手段
46 キー情報
62 プリントサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ポリシーに従い、印刷物への透かしの挿入を制御する印刷管理サーバと、
印刷物に透かしを印刷するプリンタと、
該プリンタ及び前記印刷管理サーバに接続され、該印刷管理サーバの制御に基づき、該プリンタの出力を制御するユーザ端末とを備えた透かし印刷管理システムであって、
前記印刷管理サーバは、印刷要求をするユーザ又はグループ毎に透かしの有無と、透かしの種類とを定義した透かし印刷ポリシーを収納する透かし印刷ポリシー定義ファイル、及び、透かしのレイアウト、位置、大きさ等、透かしの出力内容である透かし印刷定義情報を収納する透かし印刷定義情報ファイルを格納する記憶手段と、
該透かし印刷定義情報を定義するための透かし定義情報作成ユーティリティとを備え、
前記ユーザ端末は、アプリケーションによって作成された印刷データに透かし印刷データを付加する透かし印刷ドライバと、
前記透かし印刷ドライバをアプリケーションに適用する透かし印刷ドライバ挿入サービスと、
前記透かし印刷ドライバによって透かしが挿入されたかチェックする透かしプリントプロセッサと、
前記プリンタと前記透かしプリントプロセッサのくくり付けを監視する透かしプリントプロセッサ監視サービスとを備え、
更に、前記透かし印刷ドライバは、透かし印刷情報を文書データに付加する透かし印刷情報付加手段と、
印刷ジョブパラメータに透かし挿入の有無を判別できる透かしパラメータを設定する透かしパラメータ設定手段とを備え、
前記透かし印刷ドライバ挿入サービスは、アプリケーションに対し前記透かし印刷ドライバを挿入し、印刷実行時に、前記透かし印刷ドライバの機能を適用させる透かし印刷ドライバ適用機能を備え、
前記透かしプリントプロセッサは、前記透かし印刷ドライバによって設定された印刷ジョブパラメータの透かしパラメータが存在しない場合に印刷を抑止する印刷抑止機能を備え、
前記透かしプリントプロセッサ監視サービスは、プリンタの設定状態を検知し、プリントプロセッサが透かしプリントプロセッサ以外のものに設定されていないかどうかをチェックするチェック手段と、
チェックの結果、異なるものがくくりつけられていた場合、透かしプリントプロセッサを割り当てる割当て手段とを備えることを特徴とする透かし印刷管理システム。
【請求項2】
上記印刷管理サーバは、上記透かし印刷ドライバからの透かし印刷ポリシーの問合せを受信するポリシー問合せ受信手段と、
該ポリシー問合せに基づき、上記透かし印刷ポリシー定義ファイルを参照するポリシー参照手段と、
参照結果である透かし印刷ポリシーを前記透かし印刷ドライバに送信するポリシー送信手段と、
前記透かし印刷ドライバからの透かし印刷定義情報の問合せを受信する定義情報問合せ受信手段と、
該透かし印刷定義情報に基づき、上記透かし印刷定義情報ファイルを参照する定義情報参照手段と、
参照結果である透かし印刷定義情報を前記透かし印刷ドライバに送信する定義情報送信手段とを備え、
上記透かし印刷ドライバは、前記印刷管理サーバに透かし印刷ポリシーを問い合わせるポリシー問合せ手段と、
前記印刷管理サーバから透かし印刷ポリシーを受信するポリシー受信手段と、
前記印刷管理サーバに透かし印刷定義情報を問い合わせる定義情報問合せ手段と、
前記印刷管理サーバから透かし印刷定義情報を受信する定義情報受信手段と、
文書データを上記プリンタに出力するプリンタ出力手段とを備えることを特徴とする請求項1記載の透かし印刷管理システム。
【請求項3】
上記プリンタは、プリントサーバを介して上記ユーザ端末に接続されることを特徴とする請求項1又は2記載の透かし印刷管理システム。
【請求項4】
上記透かし印刷定義情報ファイルは、印刷データに挿入する透かしのレイアウト、位置、大きさを示す記号を含む複数の記号を列挙した電子データを格納し、該電子データはコンピュータ上のファイルのレコード形式をとることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一に記載の透かし印刷管理システム。
【請求項5】
上記ユーザ端末は、キー情報を格納する透かし用外部接続機器が該ユーザ端末に接続されて存在しているかどうかを照会し、存在が確認される時は、上記印刷管理サーバへの透かし印刷ポリシーの問い合わせを行わないように機能させる機器存在照会手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一に記載の透かし印刷管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−299096(P2007−299096A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−124852(P2006−124852)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(000233055)日立ソフトウエアエンジニアリング株式会社 (1,610)
【Fターム(参考)】