説明

透明で湿潤性のシリコーン・ヒドロゲル物品を形成するための希釈剤

【課題】本発明は少なくとも1種類のシリコーン含有成分と、少なくとも1種類の親水性の成分と、高分子量親水性ポリマーと、約0.05乃至約1のアルファ値および所与のハンセン(Hansen)溶解度パラメータ、すなわち、約10以下のδp値を有する少なくとも1種類の希釈剤と、を含有している組成物に関連しており、この場合に、この組成物は選択された反応温度において透明な溶液を形成する。
【解決手段】本発明は組成物であり、この組成物は、コンタクト・レンズ等のような、透明な物品を形成するために使用可能であり、シリコーン含有の成分と、親水性の成分と、高分子量の親水性ポリマーと、約0.05乃至約1のアルファ値および約10よりも小さいハンセン(Hansen)溶解度パラメータを有する希釈剤と、を含有している。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は成形した物品、特に、コンタクト・レンズ等のような医療装置を形成するための相溶性のある組成物に関連している。さらに特に、本発明は新規な種類の希釈剤に関連しており、この希釈剤は親水性の成分、シリコーン含有の成分および内部湿潤化剤を含有している相溶性のある種々の溶液の形成を可能にする。
【0002】
〔発明の背景〕
シリコーン・ヒドロゲルは少なくとも1種類のシリコーン含有モノマーおよび少なくとも1種類の親水性のモノマーを含有している混合物を重合することにより調製されている。この場合に、このシリコーン含有モノマーまたは親水性のモノマーのいずれかが架橋剤として機能できるか、別の架橋剤が使用できる。また、n−ヘキサノール(n-hexanol)、エタノール(ethanol)、およびn−ノナノール(n-nonanol)を含む、種々のアルコールが前記のシリコーン・モノマーおよび親水性のモノマーを相溶性化するための希釈剤として用いられている。しかしながら、これらの成分および希釈剤により作成した物品は透明な物品を形成しないか、被膜を伴わずに用いるために十分に湿潤性でなかった。
【0003】
5個以上の炭素原子を有する一次および二次のアルコールも種々のヒドロゲルを含有しているシリコーンのための希釈剤として有用であることが開示されている。しかしながら、これらの希釈剤の多くは内部湿潤化剤がその反応混合物中に含まれる場合に透明で湿潤性の物品を形成しない。すなわち、これらの希釈剤は有用であるが、これらの多くは透明で湿潤性の成形品を製造するためにさらに付加的な相溶性化用の成分を必要とする。
【0004】
従って、経済的で効率的な方法で重合されるシリコーン・ヒドロゲルに対する要望が当該技術分野において依然として残っている。
【0005】
〔発明の概要〕
本発明は少なくとも1種類のシリコーン含有成分と、少なくとも1種類の親水性の成分と、高分子量親水性ポリマーと、約0.05乃至約1のアルファ値および所与のハンセン(Hansen)溶解度パラメータ、すなわち、約10以下のδp値を有する少なくとも1種類の希釈剤と、を含有している組成物に関連しており、この場合に、この組成物は選択された反応温度において透明な溶液を形成する。
【0006】
本発明はさらに、少なくとも1種類のシリコーン含有成分と、少なくとも1種類のヒドロキシル含有成分と、高分子量親水性ポリマーと、約0.05乃至約1のアルファ値および所与のハンセン溶解度パラメータ、すなわち約10以下のδp値を有する希釈剤と、随意的に、前記希釈剤の無い場合に前記混合物を相溶性化するために不十分な量のシリコーン含有の相溶性化用成分と、を含有している組成物に関連しており、この場合に、この組成物は選択された反応温度において透明な溶液を形成する。
【0007】
本発明はさらに、少なくとも1種類のシリコーン含有成分と、少なくとも1種類の親水性の成分と、高分子量親水性ポリマーと、ほぼ周囲温度において且つ2グラム(gm)の濃度において、約1.6グラム(gm)の前記親水性の成分、約0.3グラム(gm)の前記高分子量親水性ポリマーおよび少なくとも約1グラム(gm)の前記シリコーン含有モノマーを含有する相溶性の混合物を形成できる希釈剤と、を含有している組成物に関連している。
【0008】
さらに、本発明は種々の装置、具体的には種々の眼用装置、さらに具体的には種々のコンタクト・レンズおよび上記のようにして作成した物品を製造するための方法に関連している。
【0009】
〔発明の説明〕
本発明は少なくとも1種類の親水性の成分、少なくとも1種類のシリコーン成分、少なくとも1種類の高分子量親水性ポリマーおよび少なくとも1種類の希釈剤を含有している組成物に関連しており、この希釈剤は相溶性化剤を伴わずに前記種々の成分を相溶性化できる。
【0010】
本明細書において用いられているように、「生物医学装置(biomedical device)」は哺乳類動物の組織または流体の中またはその上において、好ましくは人間の組織または流体の中またはその上において使用するために設計されている何らかの物品である。これらの装置の例は種々のカテーテル、移植片、ステント、および眼内レンズおよびコンタクト・レンズ等のような眼用装置を含むがこれらに限定されない。さらに、好ましい生物医学装置は眼用装置、特に、コンタクト・レンズ、さらに特に、種々のシリコーン・ヒドロゲルにより作成されているコンタクト・レンズである。
【0011】
本明細書において用いられているように、用語の「レンズ(lens)」および「眼用装置(ophthalmic device)」は目の中またはその上に存在する装置を意味する。これらの装置は光学的な補正、傷の保護、薬物の配給、診断の機能性、美容的な向上または効果あるいはこれらの特性の組み合わせを提供できる。さらに、用語のレンズは種々のソフト・コンタクト・レンズ、ハード・コンタクト・レンズ、眼内レンズ、オーバーレイ・レンズ、眼用インサート、および光学的インサートを含むがこれらに限定されない。
【0012】
本明細書において用いられているように、語句の「表面処理を伴わずに(without a surface treatment)」は本発明の装置の外表面部がその装置の湿潤性を改善するために別に処理されていないことを意味する。このような本発明により無しで済ませることのできる処理はプラズマ処理、グラフト処理、塗布処理等を含む。しかしながら、抗菌性の被膜および色の適用またはその他の美容的な向上を含むがこれらに限定されない、改善された湿潤性以外の、種々の特性を付与する被膜が本発明の装置に適用可能である。
【0013】
本明細書において用いられているように、用語の「シリコーン含有の相溶性化用成分(silicone containing compatibilizing component)」は少なくとも1種類のシリコーンおよび少なくとも1個のヒドロキシル基を含む種々の反応成分を意味する。なお、このような成分は米国特許出願第10/236,538号および10/236,762号において開示されている。
【0014】
適当な希釈剤は所与の親水性および疎水性の両方の性質を有する種々の希釈剤を含む。なお、親水性の性質は、カムレット(Kamlet)のアルファ値を用いて、水素の供与能力により特徴付けできることが分かっている。一方、前記希釈剤の疎水性の性質はハンセン(Hansen)の溶解度パラメータのδp値により特徴付けできる。本発明のための適当な希釈剤は良好な水素結合の供与体であり極性である。本明細書において用いられているように、「良好な(good)」水素結合の供与体は少なくとも3−メチル−3−ペンタノール(3-methyl-3-pentanol)と同程度に容易にまたは速やかに水素を供与する。なお、特定の希釈剤について、前記カムレットのアルファ値(または、本明細書において用いられているように、「アルファ値(alpha value)」)を測定することにより前記水素結合の供与能力を測定することが可能である。この場合に、適当なアルファ値は約0.05乃至約1、好ましくは約0.1乃至約0.9の値を含む。
【0015】
本発明において有用な希釈剤は比較的に無極性である必要がある。すなわち、この選択される希釈剤は種々の反応条件において前記反応混合物の中の無極性の成分を可溶化するために十分に低い所与の極性を有する必要がある。本発明の希釈剤の極性を特徴付けるための一例の方法は前記ハンセン溶解度パラメータのδp値による方法である。特定の実施形態において、このδp値は約10よりも小さく、好ましくは約6よりも小さい。
【0016】
前記の選択される親水性および疎水性の成分の特性が所望の相溶性化を生じる希釈剤の特性に影響を与える可能性があることが認識されると考える。例えば、前記反応混合物が中位の極性の成分のみを含めば、中位のδp値を有する希釈剤が使用可能になる。しかしながら、前記反応混合物が強い極性の成分を含む場合には、その希釈剤は高いδp値を有することが必要になる可能性がある。
【0017】
使用可能である特定の希釈剤は1−エトキシ−2−プロパノール(1-ethoxy-2-propanol)、ジイソプロピルアミノエタノール(diisopropylaminoethanol)、イソプロパノール(isopropanol)、3,7−ジメチル−3−オクタノール(3,7-dimethyl-3-octanol)、1−デカノール(1-decanol)、1−ドデカノール(1-dodecanol)、1−オクタノール(1-octanol)、1−ペンタノール(1-pentanol)、2−ペンタノール(2-pentanol)、1−ヘキサノール(1-hexanol)、2−ヘキサノール(2-hexanol)、2−オクタノール(2-octanol)、3−メチル−3−ペンタノール(3-methyl-3-pentanol)、ターシャリー−アミル・アルコール(tert-amyl alcohol)、ターシャリー−ブタノール(tert-butanol)、2−ブタノール(2-butanol)、1−ブタノール(1-butanol)、2−メチル−2−ペンタノール(2-methyl-2-pentanol)、2−プロパノール(2-propanol)、1−プロパノール(1-propanol)、エタノール(ethanol)、2−エチル−1−ブタノール(2-ethyl-1-butanol)、SiGMA・アセテート(SiGMA acetate)、1−ターシャリー−ブトキシ−2−プロパノール(1-tert-butoxy-2-propanol)、3,3−ジメチル−2−ブタノール(3,3-dimethyl-2-butanol)、ターシャリー−ブトキシエタノール(tert-butoxyethanol)、2−オクチル−1−ドデカノール(2-octyl-1-dodecanol)、デカン酸(decanoic acid)、オクタン酸(octanoic acid)、ドデカン酸(dodecanoic acid)、2−(ジイソプロピルアミノ)エタノール(2-(diisopropylamino)ethanol)およびこれらの種々の混合物等を含む。
【0018】
適当な希釈剤の種類は2乃至20個の炭素を有する種々のアルコール、第一級アミンから誘導される10乃至20個の炭素原子を有する種々のアミドおよび8乃至20個の炭素原子を有するカルボン酸を含む。一部の実施形態において、第一級および第三級のアルコールが好ましい。さらに、好ましい種類は5乃至20個の炭素を有するアルコールおよび10乃至20個の炭素原子を有するカルボン酸を含む。
【0019】
好ましい希釈剤は3,7−ジメチル−3−オクタノール(3,7-dimethyl-3-octanol)、1−ドデカノール(1-dodecanol)、1−デカノール(1-decanol)、1−オクタノール(1-octanol)、1−ペンタノール(1-pentanol)、1−ヘキサノール(1-hexanol)、2−ヘキサノール(2-hexanol)、2−オクタノール(2-octanol)、3−メチル−3−ペンタノール(3-methyl-3-pentanol)、2−ペンタノール(2-pentanol)、ターシャリー−アミル・アルコール(t-amyl alcohol)、ターシャリー−ブタノール(tert-butanol)、2−ブタノール(2-butanol)、1−ブタノール(1-butanol)、2−メチル−2−ペンタノール(2-methyl-2-pantanol)、2−エチル−1−ブタノール(2-ethyl-1-butanol)、エタノール(ethanol)、3,3−ジメチル−2−ブタノール(3,3-dimethyl-2-butanol)、2−オクチル−1−ドデカノール(2-octyl-1-dodecanol)、デカン酸(decanoic acid)、オクタン酸(octanoic acid)、ドデカン酸(dodecanoic acid)、およびこれらの種々の混合物等を含む。
【0020】
さらに好ましい希釈剤は3,7−ジメチル−3−オクタノール(3,7-dimethyl-3-octanol)、1−ドデカノール(1-dodecanol)、1−デカノール(1-decanol)、1−オクタノール(1-octanol)、1−ペンタノール(1-pentanol)、1−ヘキサノール(1-hexanol)、2−ヘキサノール(2-hexanol)、2−オクタノール(2-octanol)、1−ドデカノール(1-dodecanol)、3−メチル−3−ペンタノール(3-methyl-3-pentanol)、1−ペンタノール(1-pentanol)、2−ペンタノール(2-pentanol)、ターシャリー−アミル・アルコール(t-amyl alcohol)、ターシャリー−ブタノール(t-butanol)、2−ブタノール(2-butanol)、1−ブタノール(1-butanol)、2−メチル−2−ペンタノール(2-methyl-2-pantanol)、2−エチル−1−ブタノール(2-ethyl-1-butanol)、3,3−ジメチル−2−ブタノール(3,3-dimethyl-2-butanol)、2−オクチル−1−ドデカノール(2-octyl-1-dodecanol)、およびこれらの種々の混合物等を含む。
【0021】
希釈剤の種々の混合物が使用可能である。一部の実施形態において、異なる特性を有する種々の希釈剤を使用することが有利になる可能性がある。さらに、混合物を使用する場合に、それらの混合物が本明細書において特定されている特性の範囲内の特性を有する所与の希釈剤およびそれらの定められている特性を有していない1種類以上の希釈剤を含有することができ、あるいは、その希釈剤の混合物の前記アルファ値および前記δp値が本明細書において特定されている値の範囲内にある限りにおいて、それぞれがそれらの特定されている特性の1種類のみを含む希釈剤を含有できることを認識する必要がある。
【0022】
前記希釈剤は前記反応混合物中の全ての成分の合計の約50重量%までの量で使用可能である。さらに好ましくは、この希釈剤は前記反応混合物中の全ての成分の合計の約45重量%よりも少ない量で、さらに好ましくは約15乃至約40重量%の量で用いられている。
【0023】
本発明のポリマーを作成するために用いられている前記1種類以上のシリコーン含有成分および1種類以上の親水性の成分は種々のシリコーン・ヒドロゲルを作成するために従来技術において用いられている既知の成分のいずれかとすることができる。これらの用語のシリコーン含有成分および親水性の成分は、そのシリコーン含有成分が親水性の基を有することができ、その親水性の成分がシリコーン基を有することができるので、そのシリコーン含有成分がいくぶん親水性であり、その親水性の成分がある程度のシリコーンを含有できると言うことにおいて、相互に排他的でない。
【0024】
さらに、シリコーン含有成分および親水性の成分は、本発明のポリマーを形成するために後に前記希釈剤の存在下に重合されるプレポリマーを形成するために、重合化の前に反応させることができる。このようなプレポリマーまたはマクロマーを用いる場合に、前記希釈剤の存在下に少なくとも1種類のシリコーン含有モノマーおよび少なくとも1種類の親水性のモノマーを重合することが好ましく、この場合に、このシリコーン含有モノマーと親水性のモノマーとは異なっている。なお、本明細書において用いられている用語の「モノマー(monomer)」は重合可能な低分子量の(すなわち、一般的に700よりも小さい数平均分子量を有する)化合物を意味する。従って、前記用語の「シリコーン含有モノマー(silicone-containing monomers)」および「親水性のモノマー(hydrophilic monomers)」は種々のモノマー、マクロモノマーおよびプレポリマーを含むと理解される。
【0025】
シリコーン含有成分はモノマー、マクロマーまたはプレポリマーの中に少なくとも1個の[−Si−O−Si−]基を含む成分である。好ましくは、このSi(ケイ素)および結合しているO(酸素)は、前記シリコーン含有成分の全体の分子量の、20重量パーセントよりも多く、さらに好ましくは30重量パーセントよりも多い量で当該シリコーン含有成分の中に存在している。有用なシリコーン含有成分は好ましくはアクリレート(acrylate)、メタクリレート(methacrylate)、アクリルアミド(acrylamide)、メタクリルアミド(methacrylamide)、N−ビニル・ラクタム(N-vinyl lactam)、N−ビニルアミド(N-vinylamide)、およびスチリル(styryl)の官能基等のような重合可能な官能基を含む。本発明において有用であるシリコーン含有成分の例は米国特許第3,808,178号、4,120,570号、4,136,250号、4,153,641号、4,740,533号、5,034,461号および5,070,215号および欧州特許公開第EP080539号において見ることができる。なお、本明細書において引用されているこれらの特許の全てはそれぞれの内容全体において本明細書に参考文献として含まれる。さらに、これらの参考文献はオレフィン系のシリコーン含有成分の多くの例を開示している。
【0026】
計算
以下はPVPを伴うシリコーン・ヒドロゲルのコンタクト・レンズが曇るか否かを決定する場合に有用であると考えられる計算方法について説明している。
【0027】
先ず、所与の成分のモル数が、通常の当業者により知られているように、計算される。その後、所与の成分中のケイ素の重量がその組成物中に存在している成分のグラム数にケイ素により構成されている分子量における重量の分数を掛けることにより計算される。例えば、SiMAAの分子量は422.8gである。さらに、SiMAAは3個のSi(ケイ素)原子を含むので、この場合のSiの重量の分数の値は3×28.09/422.8=0.199になり、この場合に、28.09gはケイ素の分子量である。それゆえ、XグラムのSiMAA中のケイ素のグラム数は0.199×Xになる。これにより、ケイ素のモル数が計算される。
【0028】
さらに、所与の成分中の水素結合供与体の基(「HBD」)のグラム数がその配合物中の成分のグラム数にHBD基の重量の分数を掛けることにより計算される。例えば、HEMAの分子量は130.14gである。このHEMAは1個のヒドロキシル基を含んでいるので、そのHBD基の重量の分数の値は17/130.14=0.131である(ヒドロキシル基に対して17gを用いている)。それゆえ、XグラムのHEMA中のHBD基のグラム数は0.131×Xである。
【0029】
次に、前記HBD基のモル数(「モルHBD」)は所与の成分中に存在しているHBD基のグラム数をそのHBD基の分子量で割ることにより計算される(ヒドロキシル基(−OH)に対して17g、アミド(−NH)に対して15gを用いている)。
【0030】
同様に、所与の成分中のHBA(水素結合受容体)基のグラム数(「グラムHBA」)がその配合物中の成分のグラム数にHBA基の重量の分数を掛けることにより計算される。例えば、DMAの分子量は99.13gである。このDMAは1個のHBA(アミド・カルボニル)基を含んでいるので、このHBA基の重量の分数の値は28/99.13=0.282になり、この場合に、28gはアミド・カルボニルの分子量である。従って、XグラムのDMA中のHBA基のグラム数は0.282×Xである。また、PVPの場合には、そのHBA基のモル数はそのモノマーの反復単位の分子量(111.14g)に基づいて計算される。
【0031】
HTSの比率(HTSはケイ素に対する水素結合供与体を意味する)が前記HBDのモル数の合計を得て、希釈剤を除く、配合物中のケイ素のモル数の合計により割ることにより計算されている。
【0032】
好ましいモルHBDが別の供給源からのHBA(水素結合受容体)基のモル数に対して存在しているPVP(希釈剤を含む)のモル数の2倍を加えることにより計算されている。この明細書の目的のために、HBA基はアミド、カルバメート、ラクタム、または尿素の官能基の一部であるカルボニルとして定義されている。
【0033】
さらに、前記「モルHBA(HMWHP)に対するモルHBDの比率」が配合物(希釈剤を除く)中に存在しているHBD基のモル数を前記高分子量親水性ポリマー(「HMWHP」として表現されている)(例えば、PVP)中に存在しているHBA基のモル数で割ることにより計算されている。
【0034】
また、前記「好ましいモルHBDに対する存在しているモルHBDの比率」が配合物(希釈剤を含む)中のHBD基の合計のモル数を必要とされる前記の計算したHBD基のモル数で割ることにより計算されている。
【0035】
PVPを含有している組成物により形成したレンズにおいて、以下の比率が好ましい比率である。前記「モルHBA(HMWHP)に対するモルHBDの比率」の好ましい範囲は約0.8以上(≧約0.8)であり、さらに好ましくは約0.8以上乃至約5以下(≧約0.8乃至≦約5)であり、さらに好ましくは約1.3以上乃至約5以下(≧約1.3乃至≦約5)であり、さらに好ましくは約1.7以上乃至約5以下(≧約1.7乃至≦約5)である。さらに、前記「好ましいモルHBDに対する存在しているモルHBDの比率」の好ましい範囲は約0.6以上(≧約0.6)であり、さらに好ましくは約0.6以上、約4.5未満(≧約0.6乃至<約4.5)、さらに好ましくは約0.8以上、約4.5未満(≧約0.8乃至<約4.5)、さらに好ましくは約1.0以上、約3.0以下(≧約1.0乃至≦約3.0)である。さらに、前記「HTSの比率」の好ましい範囲は約0.14よりも大きく(>約0.14)、さらに好ましくは約0.17よりも大きく約0.35以下(>約0.17乃至≦約0.35)であり、さらに好ましくは約0.18よりも大きく約0.35以下(>約0.18乃至≦約0.35)である。なお、当業者であれば、これらの計算が本発明の別のコンタクト・レンズにおいて有用であるが、使用するHMWHPにより決まる異なる好ましい範囲を有し得ることが理解できる。
【0036】
〔実施例〕
適当なシリコーン含有モノマーのさらに別の例は以下の化学式により表現されるポリシロキサニルアルキル(メタ)アクリル・モノマー(polysiloxanylalkyl(meth)acrylic monomers)である。
【0037】
【化1】

この場合に、RはHまたは低級アルキルを示し、XはOまたはNR4 を示し、それぞれのR4 は独立して水素またはメチルを示し、
それぞれのR1 乃至R3 は独立して低級アルキル・ラジカルまたはフェニル・ラジカルを示し、nは1または3乃至10である。
【0038】
前記ポリシロキサニルアルキル(メタ)アクリル・モノマー(polysiloxanylalkyl(meth)acrylic monomers)の例はメタクリルオキシプロピル・トリス(トリメチルシロキシ)シラン(methacryloxypropyl tris(trimethylsiloxy) silane)、ペンタメチルジシロキサニル・メチルメタクリレート(pentamethyldisiloxanyl methylmethacrylate)、およびメチルジ(トリメチルシロキシ)メタクリルオキシメチル・シラン(methyldi(trimethylsiloxy)methacryloxymethyl silane)を含む。なお、メタクリルオキシプロピル・トリス(トリメチルシロキシ)シラン(methacryloxypropyl tris(trimethylsiloxy) silane)が最も好ましい。
【0039】
シリコーン含有成分の一例の好ましい種類は以下の化学式II(Formula II)により表現されるポリ(オルガノシロキサン)プレポリマー(poly(organosiloxane) prepolymer)である。
【0040】
【化2】

この場合に、それぞれのAはアクリル酸またはメタクリル酸のエステルまたはアミド等のような活性化した不飽和な基、またはアルキル基またはアリール基(少なくとも1個のAがラジカル重合を受けることのできる活性化した不飽和な基を含む場合に限る)を示し、前記R5 、R6 、R7 およびR8 のそれぞれは炭素原子の間にエーテル結合を有することのできる1乃至18個の炭素原子を有する一価の炭化水素ラジカルまたはハロゲン置換した一価の炭化水素ラジカルから成る群から独立して選択され、
9 は1乃至22個の炭素原子を有する二価の炭化水素ラジカルを示し、
mは0または1よりも大きいかこれに等しく、好ましくは5乃至400、さらに好ましくは10乃至300の整数である。特定の一例はα,ω−ビスメタクリルオキシプロピル・ポリジメチルシロキサン(α,ω-bismethacryloxypropyl polydimethylsiloxane)である。別の好ましい例はmPDMS(モノメタクリルオキシプロピル末端化したモノ−n−ブチル・末端化ポリジメチルシロキサン(monomethacryloxypropyl terminated mono-n-butyl terminated polydimethylsiloxane))である。
【0041】
別の有用な種類のシリコーン含有成分は以下の化学式のシリコーン含有のビニル・カーボネート(vinyl carbonate)またはビニル・カルバメート(vinyl carbamate)のモノマーを含む。
【0042】
【化3】

この場合に、YはO,SまたはNHを示し、RSiはシリコーン含有の有機ラジカルを示し、Rは水素またはメチルを示し、dは1,2,3または4であり、qは0または1である。さらに、適当なシリコーン含有の有機ラジカルRSiは以下のラジカルを含む。
【0043】
【化4】

この場合に、pは1乃至6であり、R10は1乃至6個の炭素原子を有するアルキル・ラジカルまたはフルオロアルキル・ラジカルを示し、eは1乃至200であり、qは1,2,3または4であり、sは0,1,2,3,4または5である。
【0044】
前記シリコーン含有のビニル・カーボネート(vinyl carbonate)またはビニル・カルバメート(vinyl carbamate)のモノマーは具体的には1,3−ビス[4−(ビニルオキシカルボニルオキシ)ブト−1−イル]テトラメチル−シロキサン−3−(ビニルオキシカルボニルチオ)プロピル−[トリス(トリメチルシロキシシラン)](1,3-bis[4-(vinyloxycarbonyloxy)but-1-yl]tetramethyl-isiloxane 3-(vinyloxycarbonylthio)propyl-[trimethylsiloxysilane]、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピル・アリル・カルバメート(3-[tris(trimethylsiloxy)silyl]propyl allyl carbamate)、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピル・ビニル・カルバメート(3-[tris(trimethylsiloxy)wilyl]propyl vinyl carbamate)、トリメチルシリルエチル・ビニル・カーボネート(trimethylsilylethyl vinyl carbonate)、トリメチルシリルメチル・ビニル・カーボネート(trimethylsilylmethyl vinyl carbonate)および以下の化学式の化合物を含む。
【0045】
【化5】

【0046】
別の種類のシリコーン含有成分は以下の化学式の化合物を含む。
【0047】
【化6】

この場合に、
Dは6乃至30個の炭素原子を有するアルキル・ジラジカル、アルキル・シクロアルキル・ジラジカル、シクロアルキル・ジラジカル、アリール・ジラジカルまたはアルキルアリール・ジラジカルを示しており、
Gは1乃至40個の炭素原子を有していて主鎖においてエーテル、チオまたはアミンの結合を含むことのできるアルキル・ジラジカル、シクロアルキル・ジラジカル、アルキル・シクロアルキル・ジラジカル、アリール・ジラジカルまたはアルキルアリール・ジラジカルを示しており、
* はウレタンまたはウレイドの結合を示しており、
a は少なくとも1であり、
Aは以下の化学式の二価の高分子ラジカルを示しており、
【0048】
【化7】

前記R11は炭素原子の間にエーテル結合を含むことのできる1乃至10個の炭素原子を有するアルキル基またはフッ素置換したアルキル基を独立して示しており、yは少なくとも1であり、pは400乃至10,000の部分重量を示しており、EおよびE1 のそれぞれは以下の化学式により表現される重合可能で不飽和な有機ラジカルを示しており、
【0049】
【化8】

この場合に、R12は水素またはメチルであり、R13は水素、1乃至6個の炭素原子を有するアルキル・ラジカル、または−CO−Y−R15のラジカルであり、この場合に、Yは−O−、−S−または−NH−であり、R14は1乃至12個の炭素原子を有する二価のラジカルであり、Xは−CO−または−OCO−を示しており、Zは−O−または−NH−を示しており、Arは6個乃至30個の炭素原子を有する芳香族ラジカルを示しており、wは0乃至6であり、xは0または1であり、yは0または1であり、zは0または1である。
【0050】
好ましいシリコーン含有成分が以下の化学式により表現されている。
【0051】
【化9】

この場合にR16はイソホロン・ジイソシアネート(isophorone diisocyanate)のラジカル等のような、イソシアネート基の除去後のジイソシアネートのラジカルである。さらに、別の好ましいシリコーン含有マクロマーはフルオロエーテル(fluoroether)、ヒドロキシ末端化ポリジメチルシロキサン(hydroxy-terminated polydimethylsiloxane)、イソホロン・ジイソシアネート(isophorone diisocyanate)およびイソシアナトエチルメタクリレート(isocyanatoethylmethacrylate)の反応により形成される以下の化学式Xの化合物である(この場合に、x+yは10乃至30の範囲内の数である)。
【0052】
【化10】

【0053】
本発明における使用に適している別のシリコーン含有成分はポリシロキサン(polysiloxane)、ポリアルキレン・エーテル(polyalkylene ether)、ジイソシアネート(diisocyanate)、ポリフッ素化炭化水素(polyfluorinated hydrocarbon)、ポリフッ素化エーテル(polyfluorinated ether)および多糖類(polysaccharide)の基を含む種々のマクロマー等のようなPCT国際公開第WO96/31792号において記載されている成分を含む。また、米国特許第5,321,108号、5,387,662号および5,539,016号は末端の二フッ素置換型の炭素原子に結合している水素原子を有する極性のフッ素化したグラフト状のまたは側鎖の基を伴うポリシロキサンを記載している。これらのポリシロキサンもまた本発明のシリコーン・モノマーとして使用できる。
【0054】
親水性の成分は残りの反応性の成分と組み合わされる場合にその結果として得られるレンズに対して少なくとも約20%、さらに好ましくは少なくとも約25%の含水量を与えることのできる成分を含む。また、適当な親水性の成分は全ての反応性の成分の重量に基づいて約10乃至約60重量%で存在でき、好ましくは約15乃至約50重量%、さらに好ましくは約20乃至約40重量%の量で存在できる。本発明のポリマーを作成するために使用できる親水性のモノマーは少なくとも1個の重合可能な二重結合および少なくとも1個の親水性の官能基を有している。重合可能な二重結合の例はアクリル(acrylic)、メタクリル(methacrylic)、アクリルアミド(acrylamido)、メタクリルアミド(methacrylamido)、フマル(fumaric)、マレイン(maleic)、スチリル(styryl)、イソプロペニルフェニル(isopropenylphenyl)、O−ビニルカーボネート(O-vinylcarbonate)、O−ビニルカルバメート(O-vinylcarbamate)、アリル(allylic)、O−ビニルアセチル(O-vinylacetyl)およびN−ビニルラクタム(N-vinyllactam)およびN−ビニルアミド(N-vinylamido)の二重結合を含む。さらに、このような親水性のモノマーはそれら自体を架橋剤として使用できる。なお、「アクリル型(acrylic-type)」または「アクリル含有(acrylic-containing)」のモノマーはアクリル基(CR'H=CRCOX)を含むモノマーであり、この場合に、RはHまたはCH3 であり、R’はH、アルキルまたはカルボニルであり、XはOまたはNであり、これらは、N,N−ジメチルアクリルアミド(N,N-dimethylacrylamide)(DMA)、2−ヒドロキシエチル・アクリレート(2-hydroxyethyl acrylate)、グリセロール・メタクリレート(glycerol methacrylate)、2−ヒドロキシエチル・メタクリルアミド(2-hydroxyethyl methacrylamide)、ポリエチレングリコール・モノメタクリレート(polyethyleneglycol monomethacrlate)、メタクリル酸(methacrylic acid)、アクリル酸(acrylic acid)およびこれらの混合物等のように、容易に重合することも知られている。
【0055】
本発明のヒドロゲルに混合できる親水性のビニル含有モノマーは種々のN−ビニル・ラクタム(N-vinyl lactams)(例えば、N−ビニル・ピロリドン(N-vinyl pyrrolidone)(NVP))、N−ビニル−N−メチル・アセトアミド(N-vinyl-N-methyl acetamide)、N−ビニル−N−エチル・アセトアミド(N-vinyl-N-ethyl acetamide)、N−ビニル−N−エチル・ホルムアミド(N-vinyl-N-ethyl formamide)、N−ビニル・ホルムアミド(N-vinyl formamide)、N−2−ヒドロキシエチル・ビニル・カルバメート(N-2-hydroxyethyl vinyl carbamate)、N−カルボキシ−β−アラニン・N−ビニル・エステル(N-carboxy-β-aranine N-vinyl ester)等のようなモノマーを含むが、NVPが好ましいと考えられている。
【0056】
本発明において使用可能である別の親水性のモノマーは重合可能な二重結合を含む官能基により置換されている1個以上の末端のヒドロキシル基を有するポリオキシエチレン・ポリオール(polyoxyethylene polyols)を含む。さらに、これらの例は重合可能な二重結合を含む官能基により置換されている1個以上の末端のヒドロキシル基を伴うポリエチレン・グリコールを含む。さらに、これらの例はカルバメートまたはエステルの基等のような結合部分を介してポリエチレン・ポリオールに結合している1個以上の末端の重合可能なオレフィン基を有するポリエチレン・ポリオールを生成するために、イソシアナトエチル・メタクリレート(isocyanatoethyl methacrylate)(「IEM」)、無水メタクリル酸(methacrylic anhydride)、塩化メタクリロイル(methacryloyl chloride)、塩化ビニルベンゾイル(vinylbenzoyl chloride)等のような1モル当量以上のエンド・キャッピング基と共に反応しているポリエチレン・グリコールを含む。
【0057】
さらに別の例は米国特許第5,070,215号において開示されている親水性のビニル・カーボネート(vinyl carbonate)またはビニル・カルバメート(vinyl carbamate)のモノマー、および米国特許第4,190,277号において開示されている親水性のオキサゾロン(oxazolone)のモノマーである。さらに、別の適当な親水性のモノマーが当業者に明らかになると考えられる。
【0058】
本発明のポリマーに混合できるさらに好ましい親水性のモノマーはN,N−ジメチル・アクリルアミド(N,N-dimethyl acrylamide)(DMA)、2−ヒドロキシエチル・アクリレート(2-hydroxyethyl acrylate)、グリセロール・メタクリレート(glycerol methacrylate)、2−ヒドロキシエチル・メタクリルアミド(2-hydroxyethyl methacrylamide)、N−ビニルピロリドン(N-vinylpyrrolidone)(NVP)、およびポリエチレングリコール・モノメタクリレート(polyethyleneglycol monomethacrylate)等のような親水性のモノマーを含む。
【0059】
最も好ましい親水性のモノマーはDMA、NVPおよびこれらの混合物を含む。
【0060】
本明細書において用いられているように、「高分子量親水性ポリマー(high molecular weight hydrophilic polymer)」は100,000ダルトン以上の重量平均分子量を有する物質を意味しており、この場合に、これらの物質は種々のシリコーン・ヒドロゲル配合物に混合されると、これらの硬化したシリコーン・ヒドロゲルの湿潤性を高める。これらの高分子量親水性ポリマーの好ましい重量平均分子量は約150,000よりも大きく、さらに好ましくは約150,000乃至約2,000,000ダルトン、さらに好ましくは約300,000乃至約1,800,000ダルトン、最も好ましくは約500,000乃至約1,500,000ダルトンである。
【0061】
あるいは、本発明の親水性ポリマーの分子量はエンサイクロペデイア・オブ・ポリマー・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Encyclopedia of Polymer Science and Engineering),N−ビニル・アミド・ポリマーズ(N-Vinyl Amide Polymers),第2版,17巻,p.198−257,ジョン・ワイリー・アンド・サンズ・インコーポレーション(John Wiley & Sons Inc.)において記載されているような、動粘度測定に基づく、K値により表現することも可能である。この様式で表現される場合に、前記親水性モノマーは約46よりも大きく、好ましくは約46乃至約150のK値を有する。また、前記高分子量親水性ポリマーはコンタクト・レンズを提供するために十分な量で前記装置の配合物中に存在しており、これらの配合物は表面の改質を伴わずに少なくとも10%の湿潤性における改善を与えて、好ましくは湿潤性のレンズを提供する。なお、コンタクト・レンズにおいて、「湿潤性である(wettable)」とは、約80°よりも小さい、好ましくは70°よりも小さい、さらに好ましくは約60°よりも小さい進行時の動的接触角度を示すレンズである。
【0062】
前記高分子量親水性ポリマーの適当な量は約1乃至約15重量パーセント、さらに好ましくは約3乃至約15パーセント、最も好ましくは約3乃至約12パーセントを含み、これらは全て全部の反応性の成分の合計に基づいている。
【0063】
前記高分子量親水性ポリマーの例は種々のポリアミド(polyamides)、ポリラクトン(polylactones)、ポリイミド(polyimides)、ポリラクタム(polylactams)および、比較的に少ないモル量のHEMA等のようなヒドロキシル感応性のモノマーと共にDMAを共重合化した後に、その得られたコポリマーのヒドロキシル基を、イソシアナトエチルメタクリレート(isocyanatoethylmethacrylate)または塩化メタクリロイル(methacryloyl chloride)等のような、ラジカル重合可能な基を含む材料と共に反応させることにより官能性化したDMA等のような、官能性化した種々のポリアミド(polyamides)、ポリラクトン(polylactones)、ポリイミド(polyimides)、ポリラクタム(polylactams)を含むがこれらに限定されない。また、グリシジル・メタクリレート(glycidyl methacrylate)と共にDMAまたはn−ビニルピロリドン(n-vinyl pyrrolidone)により作成した親水性のプレポリマーも使用可能である。このグリシジル・メタクリレート(glycidyl methacrylate)の環は前記高分子量親水性ポリマー、ヒドロキシル官能性化したシリコーン含有モノマーおよび相溶性を賦与する任意の別の基の相溶性を高めるために所与の混合系の中において別の親水性のプレポリマーと共に使用できるジオールを生じるために開くことができる。前記の好ましい高分子量親水性ポリマーはその主鎖の中において環状の部分、さらに好ましくは、環状のアミドまたは環状のイミドを含むポリマーである。これらの高分子量親水性ポリマーはポリ−N−ビニル・ピロリドン(poly-N-vinyl pyrrolidone)、ポリ−N−ビニル−2−ピペリドン(poly-N-vinyl-piperidone)、ポリ−N−ビニル−2−カプロラクタム(poly-N-vinyl-2-caprolactam)、ポリ−N−ビニル−3−メチル−2−カプロラクタム(poly-N-vinyl-3-methyl-2-caprolactam)、ポリ−N−ビニル−3−メチル−2−ピペリドン(poly-N-vinyl-3-methyl-2-piperidone)、ポリ−N−ビニル−4−メチル−2−ピペリドン(poly-N-vinyl-4-methyl-2-piperidone)、ポリ−N−ビニル−4−メチル−2−カプロラクタム(poly-N-vinyl-4-methyl-2-caprolactam)、ポリ−N−ビニル−3−エチル−2−ピロリドン(poly-N-vinyl-3-ethyl-2-pyrrolidone)、ポリ−N−ビニル−4,5−ジメチル−2−ピロリドン(poly-N-vinyl-4-methyl-2-pyrrolidone)、ポリビニルイミダゾール(polyvinylimidazole)、ポリ−N−N−ジメチルアクリルアミド(poly-N-N-dimethylacrylamide)、ポリビニル・アルコール(polyvinyl alcohol)、ポリアクリル酸(polyacrylic acid)、ポリエチレン・オキシド(polyethylene oxide)、ポリ2エチル・オキサゾリン(poly 2 ethyl oxazoline)、ヘパリン・ポリサッカリド(heparin polysaccharides)、ポリサッカリド(polysaccharides)、およびこれらの混合物およびコポリマー(ブロックまたはランダム、分枝状、多鎖状、櫛形状または星形状を含む)を含むがこれらに限定されず、この場合に、ポリ−N−ビニルピロリドン(PVP)が特に好ましい。また、PVPのグラフト・コポリマー等のようなコポリマーも使用可能である。
【0064】
前記高分子量親水性ポリマーは改善された湿潤性、特に、本発明の医療装置に対して改善された生体内における湿潤性を賦与する。何らの理論にも束縛されることなく、前記高分子量親水性ポリマーが、水性の環境内において、水に対して水素結合することにより、効果的にさらに親水性になる水素結合の受容体であると考えられる。さらに、水が無いことが前記反応混合物中への前記親水性ポリマーの混合を容易にする。また、前記の特別に命名されている高分子量親水性ポリマーの他に、ポリマーが所与のシリコーン・ヒドロゲル配合物に添加される場合に、その親水性のポリマーが(a)その反応混合物から実質的に相分離せずに(b)その結果として得られる硬化したポリマーに湿潤性を賦与する限りにおいて、任意の高分子量ポリマーが本発明において有用になることが予測される。一部の実施形態において、前記高分子量親水性ポリマーは種々の処理温度において前記希釈剤中に可溶性であることが好ましい。また、水または水溶性の希釈剤を使用する種々の製造プロセスはそれらの単純さおよび削減された費用により好ましいと考えられる。従って、これらの実施形態において、種々の処理温度において水溶性である高分子量親水性ポリマーが好ましい。
【0065】
特定の実施形態において、所与のヒドロキシル含有の成分も含まれている。このような本発明のポリマーを作成するために使用可能であるヒドロキシル含有の成分は少なくとも1個の重合可能な二重結合および少なくとも1個の親水性の官能基を有している。この場合に、重合可能な二重結合の例はアクリル(acrylic)、メタクリル(methacrylic)、アクリルアミド(acrylamido)、メタクリルアミド(methacrylamido)、フマル(fumaric)、マレイン(maleic)、スチリル(styryl)、イソプロペニルフェニル(isopropenylphenyl)、O−ビニルカーボネート(O-vinylcarbonate)、O−ビニルカルバメート(O-vinylcarbamate)、アリル(allylic)、O−ビニルアセチル(O-vinylacetyl)およびN−ビニルラクタム(N-vinyllactam)およびN−ビニルアミド(N-vinylamido)の二重結合を含む。また、前記ヒドロキシル含有の成分は架橋剤としても作用できる。加えて、このヒドロキシル含有の成分はヒドロキシル基を含む。このヒドロキシル基は第一級、第二級または第三級のアルコールの基とすることができ、所与のアルキルまたはアリールの基において存在できる。使用可能であるヒドロキシル含有モノマーの例は2−ヒドロキシエチル・メタクリレート(2-hydroxyl methacrylate)、2−ヒドロキシエチル・アクリレート(2-hydroxyethyl acrylate)、2−ヒドロキシエチル・メタクリルアミド(2-hydroxyethyl methacrylamide)、2−ヒドロキシエチル・アクリルアミド(2-hydroxyethyl acrylamide)、N−2−ヒドロキシエチル・ビニル・カルバメート(N-2-hydroxyethyl vinyl carbamate)、2−ヒドロキシエチル・ビニル・カーボネート(2-hydroxyethyl vinyl carbonate)、2−ヒドロキシプロピル・メタクリレート(2-hydroxypropyl methacrylate)、ヒドロキシヘキシル・メタクリレート(hydroxyhexyl methacrylate)、ヒドロキシオクチル・メタクリレート(hydroxyoctyl methacrylate)および米国特許第5,006,622号、5,070,215号、5,256,751号および5,311,223号において開示されているようなその他のヒドロキシル官能性のモノマーを含むがこれらに限定されない。なお、好ましい親水性の成分は2−ヒドロキシエチル・メタクリレート(2-hydroxyl methacrylate)を含む。
【0066】
さらに、エチレン・グリコール・ジメタクリレート(ethylene glycol dimethacrylate)(「EGDMA」)、トリメチロールプロパン・トリメタクリレート(trimethylolpropane trimethacrylate)(「TMPTMA」)、グリセロール・トリメタクリレート(glycerol trimethacrylate)、ポリエチレン・グリコール・ジメタクリレート(polyethylene glycol dimethacrylate)(この場合に、このポリエチレン・グリコールは好ましくは、例えば、約5000までの分子量を有している)、および2個以上の末端のメタクリレート部分を含む前記のエンド・キャップ処理されているポリオキシエチレン・ポリオール(polyoxyethylene polyols)等のような、他のポリアクリレート(polyacrylate)およびポリメタクリレート(polymethacrylate)のエステル等のような、架橋性モノマーとも呼ばれている、1種類以上の架橋剤を前記反応混合物に添加することが一般に必要である。これらの架橋剤は、例えば、前記反応混合物中における100グラムの反応性の成分当たりに約0.000415乃至約0.0156モル等の、通常的な量で用いられる。(これらの反応性の成分は前記希釈剤を除く反応混合物中の全ての物質および前記ポリマーの構造の一部にならない任意の付加的な処理補助材料である。)あるいは、前記の親水性モノマーおよび/またはシリコーン含有モノマーが前記架橋剤として作用する場合には、前記の反応混合物に対する所与の架橋剤の添加は随意的になる。このような架橋剤として作用することができ、存在する場合に前記反応混合物に対する付加的な架橋剤の添加を必要としない親水性モノマーの例は2個以上の末端のメタクリレート(methacrylate)の部分を含む前記のポリオキシエチレン・ポリオール(polyoxyethylene polyols)を含む。
【0067】
架橋剤として作用することができ、存在する場合に、前記反応混合物に対する架橋剤の添加を必要としないシリコーン含有モノマーの例はα,ω−ビスメタクリルオキシプロピル・ポリジメチルシロキサン(α,ω-bismethacryloypropyl polydimethylsiloxane)を含む。
【0068】
前記反応混合物は種々のUV吸収剤、薬剤、抗菌性の化合物、反応性の着色剤、顔料、共重合可能または共重合不可能な色素、剥離剤およびこれらの種々の組み合わせ物等のような付加的な種々の成分を含有できる。
【0069】
さらに、前記反応混合物中に重合触媒が含まれていることが好ましい。これらの重合開始剤は適度に高められた温度において遊離ラジカルを発生するラウリル・ペルオキシド(lauryl peroxide)、ベンゾイル・ペルオキシド(benzoyl peroxide)、イソプロピル・パーカーボネート(isopropyl percarbonate)、アゾビスイソブチロニトリル(azobisisobutyronitrile)等のような化合物、および種々の芳香族アルファ−ヒドロキシ・ケトン(aromatic alpha-hydroxy ketones)、アルコキシオキシベンゾイン(alkoxyoxybenzoins)、アセトフェノン(acetophenones)、アシルホスフィン・オキシド(acylphosphine oxides)、ビスアシルホスフィン・オキシド(bisacylphosphine oxides)、および第三級アミン+ジケトン等のような光開始システム、およびこれらの種々の混合物等を含む。これらの光開始剤の実例は1−ヒドロキシシクロヘキシル・フェニル・ケトン(1-hydroxycyclohexyl phenyl ketone)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(2-hydroxy-2-methyl-1-phenyl-propan-1-one)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチル・ホスフィン・オキシド(bis(2,6-dimethoxybenzoyl)-2,4,4-trimethylpentyl phosphine oxide)(DMBAPO)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニル・ホスフィンオキシド(bis(2,4,6-trimethylbenzoyl)-phenyl phosphineoxide)(イルガキュア819(Irgacure 819))、2,4,6−トリメチルベンジルジフェニル・ホスフィン・オキシド(2,4,6-trimethylbenzyldiphenyl phosphine oxide)および2,4,6−トリメチルベンゾイル・ジフェニルホスフィン・オキシド(2,4,6-trimethylbenzoyl diphenylphosphine oxide)、ベンゾイン・メチル・エステル(benzoin methyl ester)およびカンファーキノン(camphorquinone)およびエチル・4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾエート(ethyl 4-(N,N-dimethylamino)benzoate)の組み合わせ物である。さらに、市場において入手可能な可視光開始剤システムはイルガキュア819(Irgacure 819)、イルガキュア1700、イルガキュア1800、イルガキュア819、イルガキュア1850(全てチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals)による)およびルシリンTPO(Lucirin TPO)(BASF社(BASF)から入手可能)を含む。また、市場において入手可能なUV光開始剤はダロキュア1173(Darocur 1173)およびダロキュア2959(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals))を含む。さらに、使用可能である前記およびその他の光開始剤がJ.V.クリベロ(J.V. Crivello)およびK.ディートリカー(K. Dietliker)による第III巻,フォトイニシエーターズ・フォー・フリー・ラジカル・カチオニック・アンド・アニオニック・フォトポリメライゼーション(Photoinitiators for Free Radical Cationic & Anionic Photopolymerization),第2版,G.ブラッドレイ(G. Bradley)編集,ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley and Sons),ニュー・ヨーク,1998年において開示されており、この文献は本明細書において参考文献として含まれる。この開始剤は前記反応混合物の光重合を開始するために、例えば、100部の反応性のモノマー当たりに約0.1乃至約2部等の、有効な量でその反応混合物中において用いられる。さらに、この反応混合物の重合は使用する重合開始剤に応じて熱または可視光または紫外光またはその他の手段の適当な選択により開始できる。あるいは、この開始は、例えば、電子ビームを用いて光開始剤を伴わずに行なうことができる。しかしながら、光開始剤を用いる場合に、その好ましい光開始剤はビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニル・ホスフィン・オキシド(bis(2,4,6-trimethylbenzoyl)-phenyl phosphine oxide)(イルガキュア819(Irgacure 819)(登録商標))等のようなビスアシルホスフィン・オキシド(bisacylphosphine oxides)または1−ヒドロキシシクロヘキシル・フェニル・ケトン(1-hydroxycyclohexyl phenyl ketone)およびビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチル・ホスフィン・オキシド(2,6-dimethoxybenzoyl)-2,4,4-trimethylpentyl phosphine oxide)(DMBAPO)の組み合わせ物であり、その重合開始の好ましい方法は可視光である。なお、最も好ましい材料はビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニル・ホスフィン・オキシド(bis(2,4,6-trimethylbenzoyl)-phenyl phosphine oxide)(イルガキュア819(Irgacure 819)(登録商標))である。
【0070】
前記反応混合物中に存在しているシリコーン含有モノマーの好ましい範囲はその反応混合物中の反応性の成分の約5乃至95重量パーセント、さらに好ましくは約30乃至85重量パーセント、最も好ましくは約45乃至75重量パーセントである。また、前記発明において存在している親水性モノマーの好ましい範囲は前記反応混合物中の反応性の成分の約5乃至80重量パーセント、さらに好ましくは約10乃至60重量パーセント、最も好ましくは約20乃至50重量パーセントである。さらに、前記発明において存在している希釈剤の好ましい範囲は全体の反応混合物(反応性の成分および無反応性の成分を含む)の約2乃至70重量パーセント、さらに好ましくは約5乃至50重量パーセント、さらに好ましくは約15乃至40重量パーセントである。なお、本発明の希釈剤が用いられる場合に、湿潤性の生物医学装置、特に、湿潤性の眼用装置が相当な量のシリコーン含有の相溶性化用の成分を混合せずに作成できることが意外にも見出されている。
【0071】
前記反応性の成分および希釈剤の好ましい組み合わせは約25乃至約55重量%のシリコーン含有モノマー、約20乃至約40重量%の親水性モノマー、約5乃至約20重量%のヒドロキシル含有の成分、約0.2乃至約3重量%の架橋性モノマー、約0乃至約3重量%のUV吸収性モノマー、約2乃至約10重量%の高分子量親水性ポリマー(これらは全て全部の反応性の成分の重量%に基づいている)および約20乃至約50重量%(反応性および無反応性の両方の全部の成分の重量%)の1種類以上の本発明の希釈剤を含む組み合わせである。
【0072】
前記の本発明の反応混合物は、振盪または攪拌等のような、当業者において知られている方法の任意のものにより形成することができ、既知の方法により高分子の種々の物品または装置を形成するために使用できる。
【0073】
例えば、本発明の生物医学装置は重合開始剤と共に種々の反応性の成分および前記希釈剤を混合して、その後に旋盤加工および切断等により適当な形状に形成可能である製品を形成するために、適当な条件により硬化することにより調製できる。あるいは、前記反応混合物は金型の中に配置した後に適当な物品に硬化できる。
【0074】
スピンキャスティングおよび静的キャスティングを含む、種々の処理方法がコンタクト・レンズの製造において前記反応混合物を処理するために知られている。スピンキャスティング法は米国特許第3,408,429号および3,660,545号において開示されており、静的キャスティング法は米国特許第4,113,224号および4,197,266号において開示されている。本発明の前記ポリマーを含有しているコンタクト・レンズを製造するための好ましい方法は前記シリコーン・ヒドロゲルの成形処理による方法であり、この方法は経済的であり、水和したレンズの最終的な形状について正確な制御を可能にする。この方法において、前記反応混合物はその最終的な所望のシリコーン・ヒドロゲル、すなわち、水により膨潤したポリマーの形状を有する金型の中に配置され、この反応混合物が種々の条件で処理されることにより、それぞれのモノマーが重合して、その最終的な所望の製品の形状で所与のポリマー/希釈剤の混合物が製造できる。その後、このポリマー/希釈剤の混合物はその希釈剤を除去して最終的にこれを水により置換するために所与の溶媒により処理されることにより、その元の成形処理したポリマー/希釈剤の物品の寸法および形状にきわめて類似している最終的な寸法および形状を有するシリコーン・ヒドロゲルを製造する。この方法はコンタクト・レンズを形成するために使用可能であり、本明細書において参考文献として含まれている、米国特許第4,495,313号、4,680,336号、4,889,664号および5,039,459号においてさらに記載されている。
【0075】
本発明の生物医学装置、特に眼用レンズはこれらを特に有用にしている所与の特性の釣り合いを有している。これらの特性は透明性、含水量、酸素の透過率および接触角度を含む。従って、一例の実施形態において、前記生物医学装置は約17%以上、好ましくは約20%以上、さらに好ましくは約25%以上の含水量を有するコンタクト・レンズである。
【0076】
本明細書において用いられているように、前記透明性は目で見える曇り(ヘイズ)が実質的に無いことを意味する。好ましくは、透明なレンズは約150%よりも小さい、さらに好ましくは、約100%よりも小さい曇り値を有している。
【0077】
適当な酸素透過率は好ましくは約40バール(40 barrer)よりも大きく、さらに好ましくは約60バール(60 barrer)よりも大きい。
【0078】
また、前記生物医学装置、特に、眼用装置およびコンタクト・レンズは約80°よりも小さく、好ましくは約70°よりも小さく、さらに好ましくは約65°よりも小さい接触角度(進行時)を有している。一部の好ましい実施形態において、本発明の物品は前記の酸素透過率、含水量および接触角度の種々の組み合わせを有している。なお、前記のそれぞれの範囲の全ての組み合わせが本発明の範囲に含まれると考えている。
【0079】
前記α値が以下の手順を用いて測定されている。HPLCグレードの塩化メチレン中における4−ニトロアニソール(4-nitroanisole)(アルドリッチ社(Aldrich),CAS番号:100−17−4)の原液の0.05重量%溶液を調製した。次に、HPLCグレードの塩化メチレン中におけるジムロス・ベタイン(Dimroth's betaine)(アルドリッチ社(Aldrich),CAS番号:10081−39−7)の0.1重量%溶液を調製した。この原液を使用するまで暗所において保管した。
【0080】
5mlの試験希釈剤に100マイクロリットルの前記4−ニトロアニソール(4-nitroanisole)溶液を加えて、4−ニトロアニソール(4-nitroanisole)の試験サンプル溶液を作成した。この試験希釈液をUV−VIS二重ビーム分光計の基準ビーム中に配置した(ユニカム・モデル(Unicam Model)UV300型UV−VIS二重ビーム分光計をこの手順において使用した)。吸収スキャンを250乃至350nmにおいて行なった。この場合に、最大の吸収が2吸収単位よりも大きければ、その4−ニトロアニソール(4-nitroanisole)試験サンプル溶液を試験希釈剤により希釈して、吸収スキャン測定を繰り返した。この最大吸収のピーク波長を記録した。
【0081】
5mlの試験希釈剤に500マイクロリットルの前記ジムロス・ベタイン(Dimroth's betaine)溶液を加えた。この試験希釈液をUV−VIS二重ビーム分光計の基準ビーム中に配置した。吸収スキャンを550乃至800nmにおいて行なった。この場合に、最大の吸収が2吸収単位よりも大きければ、そのジムロス・ベタイン(Dimroth's betaine)サンプル溶液を試験希釈剤により希釈して、吸収スキャン測定を繰り返した。この最大吸収のピーク波長を記録した。
【0082】
次に、α値を以下のように計算した。
1.nm単位で前記4−ニトロアニソール(4-nitroanisole)試験サンプル溶液について記録したλmax を逆数にして107 を掛けることによりcm-1に変換する。
2.cm-1単位で前記4−ニトロアニソール(4-nitroanisole)試験サンプル溶液について記録したλmax を1000で割ることによりキロカイザー(kK)に変換する。この結果をυ1 として示す。
3.前記工程1および2を前記ジムロス(Dimroth)の色素試験サンプル溶液について記録したλmax について繰り返す。この結果をυobsdとして示す。
4.υcalc=(−υ1 ×1.873)+74.58を計算する。
5.α=(υobsd−υcalc)/6.24を計算する。
これらのα値が以下の表1において示されている。
【0083】
【表1】

【0084】
前記ハンセン(Hansen)の溶解度パラメータのδp値はバートン(Barton),CRC・ハンドブック・オブ・ソリュービリティ・パラメータ(CRC Handbook of Solubility Par.),第1版,1983年,p.85−87において記載されているグループ・コントリビューション・メソッド(group contribution method)を用いて、さらに表13,14を用いることにより計算できる。
【0085】
曇り(ヘイズ)は平坦な黒色の背景の上方において周囲温度で透明な20×40×10mmのガラス・セルの中にホウ酸塩の緩衝液化した塩水中に水和した試験レンズを入れて、このレンズ・セルに対して角度66°で光ファイバー・ランプ(チタン・ツール・サプライ・コーポレーション(Titan Tool Supply Co.)の4乃至5.4の出力設定における0.5インチ(1,27cm)の直径の光ガイド・セットを伴う光ファイバーの光)により下方から照明し、レンズ・プラットホームの上方14mmに配置されているビデオ・カメラ(ナビタール・TV・ズーム7000(Navitar TV Zoom 7000)のズーム・レンズを伴うDVC・1300C:19130RGBカメラ)によりレンズ・セルに対して上方からレンズの画像を捕らえることにより測定される。次に、EPIX・XCAP・V1.0・ソフトウェアを用いてブランクのセルの画像を差し引くことによりレンズの散乱から背景の散乱が差し引かれる。この差し引かれた散乱光の画像を、レンズの中央の10mmにわたり積分することにより、定量的に分析した後に、100の曇り値に任意に設定されている、−1.00ジオプトリのCSIシン・レンズ(CSI Thin Lens)(登録商標)に対して比較した結果、0の曇り値として記録されたレンズは全く無かった。このようにして、5個のレンズを分析して、前記標準のCSIレンズのパーセント値としての曇り値を得るためにこれらの結果を平均化した。
【0086】
前記コンタクト・レンズの含水量は以下のように測定されている。すなわち、3組の3個のレンズが24時間にわたりパッキング用の溶液中に放置される。その後、それぞれのレンズをダンプ・ワイプにより吸い取って秤量する。さらに、これらのレンズを0.4インチHg(1.35×103 パスカル)またはそれ以下の圧力で4時間にわたり60℃において乾燥する。これらのレンズを秤量し、その含水量を以下のように計算する。
含水量(%)={(湿潤時の重量−乾燥時の重量)/(湿潤時の重量)}×100
【0087】
前記含水量の平均値および標準偏差が前記サンプルについて計算されて記録されている。
【0088】
さらに、弾性率が初期のゲージ高さに下降しているロード・セルを備えている定速度移動型の引張試験機のクロスヘッドを用いることにより測定されている。適当な試験機はインストロン(Instron)モデル1122を含む。この場合に、0.522インチ(1.33cm)の長さ、0.276インチ(0.70cm)の「耳(ear)」の幅および0.213インチ(0.54cm)の「首(neck)」の幅を有するドッグ−ボーン(犬の骨)形状のサンプルを各グリップの中に装填して、破壊するまで2インチ(5.08cm)/分の一定の速度で引き伸ばす。これにより、サンプルの初期のゲージ長さ(Lo)および破壊時のサンプルの長さ(Lf)が測定される。それぞれの組成物の12個の試料が測定されてその平均値が記録されている。この場合に、伸び率=[(Lf−Lo)]×100である。さらに、引張弾性率が応力/ひずみ曲線の初期の線形部分において測定されている。
【0089】
また、前記進行時の接触角度は以下のように測定されている。各組からの4個のサンプルを約5mmの幅でレンズから中心の細片を切り出すことにより調製してパッキング用の溶液中において平衡状態にした。その後、レンズ表面とホウ酸塩の緩衝液化した塩水との間の湿潤力をその塩水に対して各サンプルを浸漬および引き出ししながらウイルヘルミー(Wilhelmy)微量天秤を用いて23℃において測定する。さらに、以下の式が用いられている。
F=2γpcosθまたはθ=cos-1(F/2γp)
この場合に、Fは湿潤力であり、γはプローブ液の表面張力であり、pはメニスカスにおけるサンプルの周囲の長さであり、θは接触角度である。この場合に、前記進行時の接触角度は前記サンプルがパッキング用の溶液中に浸漬されている前記湿潤実験の部分により得られる。それぞれのサンプルは4回にわたり巡回されて、これらの結果がレンズにおける進行時の接触角度を得るために平均化されている。
【0090】
また、Dkは以下のように測定されている。レンズを4mmの直径の金のカソードおよび銀のリング・アノードにより構成されているポーラログラフィー酸素センサーの上に置いた後に、メッシュの支持体によりその上面を被覆した。その後、このレンズを湿らせた2.1%のO2 の雰囲気に曝した。このレンズの中に拡散する酸素を前記センサーにより測定する。これらのレンズは厚さを増すために互いに積み重ねられているか、比較的に厚いレンズが用いられている。このようにして、相当に異なる厚さの値を有する4個のサンプルのL/Dkを測定してその厚さに対してプロットしている。この場合に、その回帰推定された傾きの逆数がそのサンプルのDkである。また、それぞれの基準値を、前記方法を用いて市場において入手可能なコンタクト・レンズについて測定した。例えば、ボーシュ・アンド・ローム社(Bausch & Lomb)から入手可能なバラフィルコン(Balafilcon)A・レンズは約79バールの測定値を与えている。また、エタフィルコン(Etafilcon)レンズは20乃至25バールの測定値を与えている。(1バール=10-10 (cm3 の気体×cm2 )/(cm3 のポリマー×秒×cmHg))
【0091】
以下の実施例は本発明をさらに説明しているが、この発明を限定してはいない。すなわち、これらは本発明を実施する方法を示唆しているのみである。例えば、コンタクト・レンズの分野における有識者ならびにその他の専門家は本発明を実施する別の方法を見出すことが可能である。しかしながら、これらの方法は本発明の範囲内であると考えられる。
【0092】
前記実施例において用いられている材料の一部が以下のように確認されている。
DMA:N,N−ジメチルアクリルアミド(N,N-dimethylacrylamide)
HEMA:2−ヒドロキシエチル・メタクリレート(2-hydroxyethyl methacrylate)
mPDMS:800乃至1000の分子量(Mn)のモノメタクリルオキシプロピル末端化したモノ−n−ブチル末端化ポリジメチルシロキサン(monomethacryloxypropyl terminated mono-n-butyl terminated polydimethylsiloxane)
ノルブロック(Norbloc):2−(2’−ヒドロキシ−5−メタクリルイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(2-(2'-hydroxy-5-methacrylyloxyethylphenyl)-2H-benzotriazole)
PVP:ポリ(N−ビニル・ピロリドン)(poly(N-vinyl pyrrolidone))(K値:90)
SiGMA・アセテート:酢酸,2−ヒドロキシ−3−[3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロポキシ]プロピル・エステル(acetic acid, 2-hydroxy-3-[3-[1,3,3,3-tetramethyl-1-[(trimethylsilyl)oxy]disiloxanyl]propoxy]propyl ester)
SiGMA・ジオール:2,3−ジヒドロキシプロピルオキシプロピル−ビス(トリメチルシロキシ)−メチルシラン(2,3-dihydroxypropyloxypropyl-bis(trimethylsiloxy)-methylsilane)
IPA:イソプロピル・アルコール(isopropyl alcohol)
D3O:3,7−ジメチル−3−オクタノール(3,7-dimethyl-3-octanol)
3M3P:3−メチル−3−ペンタノール(3-methyl-3-pentanol)
2M2P:2−メチル−2−ペンタノール(2-methyl-2-pentanol)
TEGDMA:テトラエチレングリコール・ジメタクリレート(tetraethyleneglycol dimethacrylate)
TRIS:3−メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(3-methacryloxypropyltris(trimethylsiloxy)silane)
CGI819:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニル・ホスフィン・オキシド(bis(2,4,6-trimethylbenzoyl)-phenyl phosphine oxide)
CGI1850:1−ヒドロキシシクロヘキシル・フェニル・ケトン(1-hydroxycyclohexyl phenyl ketone)およびビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチル・ホスフィン・オキシド(bis(2,6-dimethoxybenzoyl)-2,4,4-trimethylpentyl phosphine oxide)の1:1(重量)混合物
【0093】
〔実施例1〕
以下の手順を用いて前記表1において記載されている化合物をmPDMS、DMAおよびPVP(K90)に対する相溶性について選別した。先ず、mPDMSを、結果として得られる混合物が曇って数分間にわたる攪拌の後に透明にならなくなるまで、室温において1.67gのDMA、0.33gのPVPおよび2.0gの試験希釈剤の速やかに攪拌している溶液の予め秤量されているビンに滴下して加えた。この添加したmPDMSの質量が決定されて以下の表2に記載されている。
【0094】
前記の希釈剤は以下のような供給元から購入している。
アルドリッチ・ケミカルズ(Aldrich Chemicals):1−デカノール(1-decanol)、1−ドデカノール(1-dodecanol)、1−オクタノール(1-octanol)、1−ペンタノール(1-pentanol)、1−ヘキサノール(1-hexanol)、デカン酸、2−ヘキサノール(2-hexanol)、2−オクタノール(2-octanol)、2−ペンタノール(2-pentanol)、1−ブタノール(1-butanol)、t−アミル・アルコール(t-amyl alcohol)、イソプロパノール(isopropanol)、2−(ジイソプロピルアミノ)エタノール(2-(diisopropylamino)ethanol)、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)、アセトン(acetone)、ジエチルカーボネート(diethylcarbonate)、エチル・アセテート(ethyl acetate)、吉草酸(valeric acid)、ジプロピレングリコール・メチル・エーテル・アセテート(dipropyleneglycol methyl ether acetate)、N,N−ジメチルプロピオンアミド(N,N-dimethylpropionamide)、アセトニトリル(acetonitrile)、2−メチル−2,4−ペンタンジオール(2-methyl-2,4-pentanediol)、N−t−ブチルホルムアミド(N-t-butylformamide)、エチル(S)ラクテート(ethyl(S)lactate)、N−エチルアセトアミド(N-ethylacetamide)、ソルケタール(solketal)、N−メチルプロピオンアミド(N-methylpropionamide)、ジメチルスルホキシド(dimethylsulfoxide)、ドデカン(dodecane)、イソプロピル・アセテート(isopropyl acetate)、N−エチル−2−メタリルアミン(N-ethyl-2-methallylamine)、およびトリエチルアミン(triethylamine)。
フルカ(Fluka):3−メチル−3−ペンタノール(3-methyl-3-pentanol)、エタノール(ethanol)、クロロホルム(chloroform)およびトルエン(toluene)。
ミレニアム・ケミカルズ(Millennium Chemicals):D3O。
フィッシャー・サイエンティフィック(Fisher Scientific):メタノール(methanol)および酢酸(acetic acid)。
アクロス(Acros):1−エトキシ−2−プロパノール(1-ethoxy-2-propanol)。
ゲレスト(Gelest):3−アミノプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(3-aminopropyltris(trimethylsiloxy)silane)、テトラエトキシシラン(tetraethoxysilane)、mPDMS1000、オクタメチルシクロテトラシロキサン(octamethylcyclotetrasiloxane)およびDMS−C15。
ジャルケム(Jarchem):DMA。また、PVP・K90はISP(ISP)から購入している。
【0095】
N−オクチルアセトアミド(N-octylacetamide)はNa2 CO3 の存在下に室温においてメタノール中に1−オクチルアミン(1-octylamine)と共に無水酢酸を反応させることにより調製されていてFTIRにより特性が決定されている。
【0096】
また、SiGMA・アセテートは酢酸リチウムを触媒として用いて酢酸と共に(3−グリシドキシプロピル)ビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン((3-glycidoxypropyl)bis(triemthylsiloxy)methylsilane)を反応させることにより調製されていてGC/MSにより特性が決定されている。さらに、SiGMA・ジオールは1,1,1,3,5,5,5ヘキサメチルトリシロキサン(1,1,1,3,5,5,5 hexamethyltrisiloxane)を伴う2,3−ジヒドロキシプロピル・アリル・エーテル(2,3-dihydroxypropyl allyl ether)のプラチナを触媒として用いるヒドロシリル化(hydrosilylation)により調製されていてGC/MS、FTIRおよびNMRにより特性が決定されている。それぞれの希釈剤の最低の純度が、既知の場合に、表1において示されている。
【0097】
【表2】

【0098】
前記の混合物中において約0.6グラムまたはそれ以上のmPDMSにより透明な混合物を形成できる希釈剤がそれぞれの試験成分に対する望ましい予備的な相溶性を示している。
【0099】
〔実施例2乃至23〕
以下の表3において示されているモノマー混合物によりコンタクト・レンズを作成するために実施例1による希釈剤の一部が用いられている。
【0100】
【表3】

【0101】
HEMAはローム社(Rohm)から購入した。CGI−819およびCGI1850はCIBA・スペシャルティ・ケミカルズ社(CIBA Specialty Chemicals)から購入した。また、TEGDMAはエステック社(Esstech)から購入し、ノルブロック(Norbloc)はヤンセン社(Janssen)から購入した。
【0102】
前記の各成分を組み合わせて室温において一晩にわたり混合した。
【0103】
このモノマー混合物(75マイクロリットル/キャビティ)を、窒素グローブ・ボックスの中において、チコナ・ポリマーズ社(Tocona Polymers)から入手したエチレンおよびノルボルネンのトパーズ(Topas)(登録商標)コポリマーにより作成した前方湾曲部分の中に分配した。その後、ポリプロピレンの後方湾曲部分をこれらの前方湾曲部分に係合して、金型を閉じた。各レンズをN2 中において約30分間にわたり45℃でフィリップス(Philips)TL・20W/03T蛍光電球により照射することにより硬化した。その後、これらの金型を開いて、レンズを取り出して70/30(容量/容量)のIPA/H2 Oの中に入れ、この溶液の2回の新しい交換により洗浄した後に、脱イオン水の中に入れて透明性を観察した。これらの結果が以下の表4において示されている。
【0104】
【表4】

【0105】
実施例5,6および14によるレンズの機械特性が測定されていて以下の表5において記載されている。これらの結果は、3種類の異性体のヘキサノールにおいて、第二級アルコールにより作成したレンズの弾性率が第一級または第三級のアルコールにより作成したレンズに比べて低下していることを示している。何らの理論にも束縛されることを望まないが、第二級アルコールの希釈剤による酸素原子の障害が結果として得られるレンズの弾性率ならびに透明性(表4を参照されたい)を低下可能にする様式で硬化を生じる可能性があると考えられる。
【0106】
【表5】

【0107】
〔実施例24〕
レンズを以下の表6において示されている成分により作成した。これらの成分を室温において一晩にわたり混合して透明な混合物を得た。この反応混合物を窒素ボックスの中において、チコナ・ポリマーズ社(Tocona Polymers)から入手したエチレンおよびノルボルネンのトパーズ(Topas)(登録商標)コポリマーにより作成した前方湾曲部分およびポリプロピレンの後方湾曲部分を有するレンズ金型の中に投入した。その後、各レンズをN2 中において約30分間にわたり60℃でフィリップス(Philips)TL・20W/03T蛍光電球により1.3mW/cm2 で硬化した。その後、これらの金型を開いて、レンズを取り出してIPAの中に入れて、約1時間にわたり周囲温度においてIPA中に浸漬することにより残留している希釈剤およびモノマーを除去した後に、IPAおよび水の約50:50の溶液の中に入れてから、脱イオン水の中に入れて透明性を観察した。これらのレンズは光学的に透明であり、軟質で湿潤可能であった。これらのレンズの特性が以下の表8において示されている。
【0108】
【表6】

【0109】
〔実施例25〕
レンズを以下の表7において示されている成分により作成した。これらの成分を室温において一晩にわたり混合して透明な混合物を得た。
【0110】
【表7】

【0111】
前記反応混合物を窒素ボックスの中において、チコナ・ポリマーズ社(Tocona Polymers)から入手したエチレンおよびノルボルネンのトパーズ(Topas)(登録商標)コポリマーにより作成した前方湾曲部分を有するレンズ金型に投入した。その後、各レンズをN2 中において約15分間にわたり表示されている温度においてフィリップス(Philips)TL・20W/03T蛍光電球により1.3mW/cm2 で照射して硬化した。その後、これらの金型を開いて、レンズを取り出してIPA/水の70/30(容量/容量)の混合液の中に入れて、その混合物を新しい70/30のIPA/水により2回交換した後に、脱イオン水の中に入れた。これらの結果が以下の表8において示されている。
【0112】
【表8】

【0113】
〔実施例26乃至27〕
フルオロエーテル−シロキサン−メタクリレート(fluoroether-siloxane-methacrylate)のマクロマーを米国特許第5,760,100号における実施例B−5の手順に従って調製した。以下の表9において示されている混合物を記載されている各成分を組み合わせて室温において一晩にわたり混合することにより調製した。各レンズを、75マイクロリットルの前記モノマー混合物により窒素雰囲気中においてトパーズ(TOPAS)金型の前方湾曲部分を充填して、ポリプロピレンの後方湾曲部分により各金型を閉じて室温においてフィリップス(Philips)TL・20W/09N蛍光電球により30分間にわたり照射することにより作成した。その後、これらの金型を分離して、各レンズを70/30(容量/容量)のIPAおよび水の溶液中に放出した。これらのレンズを新しい溶液による2回の交換によりその溶液中に溶出して、1回の工程当たりに少なくとも30分溶出した後に、ホウ酸塩緩衝液化した塩水溶液中に入れた。その後、各レンズの進行時のDCA(動的接触角度)を決定し、これらの結果が以下の表9において示されている。
【0114】
さらに、PVPおよびHEMAを添加したこと、およびこれらの付加的な成分を可能にするためにTRISおよびDMAの量を減少したことを除いて、実施例26を繰り返した。これらの成分の各量が以下の表9において示されている。これにより、各レンズを実施例26に従って作成して、その進行時のDCAを決定し、これらの結果が以下の表9において示されている。
【0115】
【表9】

【0116】
従って、適当な希釈剤の選択により、シリコーン含有のモノマーを含むヒドロゲルが、表面処理プロセスを全く伴わずに、湿潤可能な眼用装置に形成できる。
【0117】
〔実施の態様〕
(1)組成物であって、少なくとも1種類のシリコーン含有の成分と、少なくとも1種類の親水性の成分と、高分子量の親水性ポリマーと、約0.05乃至約1のアルファ値および約10よりも小さいハンセン(Hansen)溶解度パラメータのδp値を有する希釈剤と、を含有していて、前記組成物が選択された反応温度において透明な混合物を形成し、その反応温度が約75℃までである、組成物。
(2)実施態様1に記載の組成物であって、前記希釈剤が存在しない場合に、前記混合物を相溶性化するために不十分な量でシリコーン含有の相溶性化用の成分をさらに含有している、組成物。
(3)実施態様1に記載の組成物であって、前記反応温度が約40℃である、組成物。
(4)実施態様1に記載の組成物であって、前記アルファ値が約0.1乃至約0.9である、組成物。
(5)実施態様1に記載の組成物であって、前記親水性の成分および前記シリコーン含有の成分が重合可能であり、前記組成物が前記反応温度において重合する時に透明な物品を形成する、組成物。
【0118】
(6)実施態様1に記載の組成物であって、前記希釈剤が少なくとも3個の炭素原子を有するアルコールから成る群から選択される、組成物。
(7)実施態様1に記載の組成物であって、前記希釈剤が少なくとも4個の炭素原子を有するアルコールから成る群から選択される、組成物。
(8)実施態様1に記載の組成物であって、前記希釈剤が少なくとも6個の炭素原子を有するアルコールから成る群から選択される、組成物。
(9)実施態様1に記載の組成物であって、前記δp値が約6よりも小さい、組成物。
(10)実施態様1に記載の組成物であって、前記シリコーン含有の相溶性化用の成分が0乃至約5重量%の量で存在している、組成物。
【0119】
(11)実施態様1に記載の組成物であって、前記希釈剤が1−エトキシ−2−プロパノール(1-ethoxy-2-propanol)、ジイソプロピルアミノエタノール(diisopropylaminoethanol)、イソプロパノール(isopropanol)、3,7−ジメチル−3−オクタノール(3,7-dimethyl-3-octanol)、1−デカノール(1-decanol)、1−ドデカノール(1-dodecanol)、1−オクタノール(1-octanol)、1−ペンタノール(1-pentanol)、2−ペンタノール(2-pentanol)、1−ヘキサノール(1-hexanol)、2−ヘキサノール(2-hexanol)、2−オクタノール(2-octanol)、3−メチル−3−ペンタノール(3-methyl-3-pentanol)、ターシャリー−アミル・アルコール(tert-amyl alcohol)、ターシャリー−ブタノール(tert-butanol)、2−ブタノール(2-butanol)、1−ブタノール(1-butanol)、2−メチル−2−ペンタノール(2-methyl-2-pentanol)、2−プロパノール(2-propanol)、1−プロパノール(1-propanol)、エタノール(ethanol)、2−エチル−1−ブタノール(2-ethyl-1-butanol)、SiGMA・アセテート(SiGMA acetate)、1−ターシャリー−ブトキシ−2−プロパノール(1-tert-butoxy-2-propanol)、3,3−ジメチル−2−ブタノール(3,3-dimethyl-2-butanol)、ターシャリー−ブトキシエタノール(tert-butoxyethanol)、2−オクチル−1−ドデカノール(2-octyl-1-dodecanol)、デカン酸(decanoic acid)、オクタン酸(octanoic acid)、ドデカン酸(dodecanoic acid)、2−(ジイソプロピルアミノ)エタノール(2-(diisopropylamino)ethanol)およびこれらの混合物から成る群から選択される、組成物。
(12)実施態様1に記載の組成物であって、前記希釈剤が3,7−ジメチル−3−オクタノール(3,7-dimethyl-3-octanol)、1−ドデカノール(1-dodecanol)、1−デカノール(1-decanol)、1−オクタノール(1-octanol)、1−ペンタノール(1-pentanol)、1−ヘキサノール(1-hexanol)、2−ヘキサノール(2-hexanol)、2−オクタノール(2-octanol)、3−メチル−3−ペンタノール(3-methyl-3-pentanol)、2−ペンタノール(2-pentanol)、ターシャリー−アミル・アルコール(t-amyl alcohol)、ターシャリー−ブタノール(tert-butanol)、2−ブタノール(2-butanol)、1−ブタノール(1-butanol)、2−メチル−2−ペンタノール(2-methyl-2-pantanol)、2−エチル−1−ブタノール(2-ethyl-1-butanol)、エタノール(ethanol)、3,3−ジメチル−2−ブタノール(3,3-dimethyl-2-butanol)、2−オクチル−1−ドデカノール(2-octyl-1-dodecanol)、デカン酸(decanoic acid)、オクタン酸(octanoic acid)、ドデカン酸(dodecanoic acid)、およびこれらの混合物から成る群から選択される、組成物。
(13)実施態様1に記載の組成物であって、前記希釈剤が3,7−ジメチル−3−オクタノール(3,7-dimethyl-3-octanol)、1−ドデカノール(1-dodecanol)、1−デカノール(1-decanol)、1−オクタノール(1-octanol)、1−ペンタノール(1-pentanol)、1−ヘキサノール(1-hexanol)、2−ヘキサノール(2-hexanol)、2−オクタノール(2-octanol)、1−ドデカノール(1-dodecanol)、3−メチル−3−ペンタノール(3-methyl-3-pentanol)、1−ペンタノール(1-pentanol)、2−ペンタノール(2-pentanol)、ターシャリー−アミル・アルコール(t-amyl alcohol)、ターシャリー−ブタノール(t-butanol)、2−ブタノール(2-butanol)、1−ブタノール(1-butanol)、2−メチル−2−ペンタノール(2-methyl-2-pantanol)、2−エチル−1−ブタノール(2-ethyl-1-butanol)、3,3−ジメチル−2−ブタノール(3,3-dimethyl-2-butanol)、2−オクチル−1−ドデカノール(2-octyl-1-dodecanol)、およびこれらの混合物から成る群から選択される、組成物。
(14)実施態様1に記載の組成物であって、前記高分子量の親水性ポリマーが約150,000ダルトンよりも大きい分子量を有している、組成物。
(15)実施態様1に記載の組成物であって、前記高分子量の親水性ポリマーが約150,000乃至約2,000,000ダルトンの分子量を有している、組成物。
【0120】
(16)実施態様1に記載の組成物であって、前記高分子量の親水性ポリマーが約500,000乃至約1,500,000ダルトンの分子量を有している、組成物。
(17)実施態様1に記載の組成物であって、当該組成物が約1乃至約15重量パーセントの高分子量の親水性ポリマーを含有している、組成物。
(18)実施態様1に記載の組成物であって、当該組成物が約3乃至約12パーセントの高分子量の親水性ポリマーを含有している、組成物。
(19)実施態様1に記載の組成物であって、前記高分子量の親水性ポリマーの主鎖が環状アミドおよび環状イミドから成る群から選択される、組成物。
(20)実施態様1に記載の組成物であって、前記高分子量の親水性ポリマーがポリ−N−ビニル・ピロリドン(poly-N-vinyl pyrrolidone)、ポリ−N−ビニル−2−ピペリドン(poly-N-vinyl-piperidone)、ポリ−N−ビニル−2−カプロラクタム(poly-N-vinyl-2-caprolactam)、ポリ−N−ビニル−3−メチル−2−カプロラクタム(poly-N-vinyl-3-methyl-2-caprolactam)、ポリ−N−ビニル−3−メチル−2−ピペリドン(poly-N-vinyl-3-methyl-2-piperidone)、ポリ−N−ビニル−4−メチル−2−ピペリドン(poly-N-vinyl-4-methyl-2-piperidone)、ポリ−N−ビニル−4−メチル−2−カプロラクタム(poly-N-vinyl-4-methyl-2-caprolactam)、ポリ−N−ビニル−3−エチル−2−ピロリドン(poly-N-vinyl-3-ethyl-2-pyrrolidone)、ポリ−N−ビニル−4,5−ジメチル−2−ピロリドン(poly-N-vinyl-4,5-dimethyl-2-pyrrolidone)、ポリビニルイミダゾール(polyvinylimidazole)、ポリ−N−N−ジメチルアクリルアミド(poly-N-N-dimethylacrylamide)、ポリビニル・アルコール(polyvinyl alcohol)、ポリアクリル酸(polyacrylic acid)、ポリエチレン・オキシド(polyethylene oxide)、ポリ2エチル・オキサゾリン(poly 2 ethyl oxazoline)、ヘパリン・ポリサッカリド(heparin polysaccharides)、ポリサッカリド(polysaccharides)、およびこれらの混合物およびコポリマー(ブロックまたはランダム、分枝状、多鎖状、櫛形状または星形状を含む)から成る群から選択される、組成物。
【0121】
(21)実施態様1に記載の組成物であって、前記高分子量の親水性ポリマーがポリ−N−ビニル・ピロリドン(poly-N-vinyl pyrrolidone)を含む、組成物。
(22)実施態様1に記載の組成物であって、HBD(水素結合供与体)基のモル数対HBA(水素結合受容体)(HMWHP)基のモル数の比率が当該組成物において約0.8以上である、組成物。
(23)実施態様1に記載の組成物であって、好ましいHBD基のモル数に対する存在しているHBD基のモル数の比率が当該組成物において約0.6以上である、組成物。
(24)実施態様1に記載の組成物であって、HTS(ケイ素に対する水素結合供与体)の比率が当該組成物において約0.14よりも大きい、組成物。
(25)組成物であって、少なくとも1種類のシリコーン含有の成分と、少なくとも1種類のヒドロキシル含有の成分と、高分子量の親水性ポリマーと、約0.05乃至約1のアルファ値および約10よりも小さいハンセン(Hansen)溶解度パラメータのδp値を有する希釈剤と、を含有していて、前記組成物が選択された反応温度において透明な混合物を形成し、その反応温度が約75℃までである、組成物。
【0122】
(26)実施態様25に記載の組成物であって、前記希釈剤が存在しない場合に、前記混合物を相溶性化するために不十分な量でシリコーン含有の相溶性化用の成分をさらに含有している、組成物。
(27)実施態様25に記載の組成物であって、前記ヒドロキシル含有の成分が少なくとも1個の重合可能な二重結合および少なくとも1個の親水性の官能基を有している、組成物。
(28)実施態様27に記載の組成物であって、前記重合可能な二重結合がアクリル(acrylic)、メタクリル(methacrylic)、アクリルアミド(acrylamido)、メタクリルアミド(methacrylamido)、フマル(fumaric)、マレイン(maleic)、スチリル(styryl)、イソプロペニルフェニル(isopropenylphenyl)、O−ビニルカーボネート(O-vinylcarbonate)、O−ビニルカルバメート(O-vinylcarbamate)、アリル(allylic)、O−ビニルアセチル(O-vinylacetyl)およびN−ビニルラクタム(N-vinyllactam)およびN−ビニルアミド(N-vinylamido)の二重結合から成る群から選択される、組成物。
(29)実施態様27に記載の組成物であって、前記ヒドロキシル含有のモノマーが2−ヒドロキシエチル・メタクリレート(2-hydroxyl methacrylate)、2−ヒドロキシエチル・アクリレート(2-hydroxyethyl acrylate)、2−ヒドロキシエチル・メタクリルアミド(2-hydroxyethyl methacrylamide)、2−ヒドロキシエチル・アクリルアミド(2-hydroxyethyl acrylamide)、2−ヒドロキシエチル・ビニル・カルバメート(2-hydroxyethyl vinyl carbamate)、2−ヒドロキシエチル・ビニル・カーボネート(2-hydroxyethyl vinyl carbonate)、2−ヒドロキシプロピル・メタクリレート(2-hydroxypropyl methacrylate)、ヒドロキシヘキシル・メタクリレート(hydroxyhexyl methacrylate)、ヒドロキシオクチル・メタクリレート(hydroxyoctyl methacrylate)およびこれら混合物から成る群から選択される、組成物。
(30)実施態様27に記載の組成物であって、前記ヒドロキシル含有のモノマーが2−ヒドロキシエチル・メタクリレート(2-hydroxyl methacrylate)を含む、組成物。
【0123】
(31)実施態様27に記載の組成物であって、前記シリコーン含有の成分がフルオロエーテル−シロキサン−メタクリレート(fluoroether-siloxane-methacrylate)のマクロマーを含む、組成物。
(32)実施態様27または31に記載の組成物であって、前記ヒドロキシル含有のモノマーが2−ヒドロキシエチル・メタクリレート(2-hydroxyl methacrylate)を含み、前記高分子量の親水性ポリマーがポリ−N−ビニル・ピロリドン(poly-N-vinyl pyrrolidone)を含む、組成物。
(33)実施態様27に記載の組成物であって、前記シリコーン含有の成分がモノメタクリルオキシプロピル末端化したモノ−n−ブチル・末端化ポリジメチルシロキサン(monomethacryloxypropyl terminated mono-n-butyl terminated polydimethylsiloxane)を含む、組成物。
(34)実施態様33に記載の組成物であって、前記ヒドロキシル含有のモノマーが2−ヒドロキシエチル・メタクリレート(2-hydroxyl methacrylate)を含み、前記高分子量の親水性ポリマーがポリ−N−ビニル・ピロリドン(poly-N-vinyl pyrrolidone)を含む、組成物。
(35)組成物であって、少なくとも1種類のシリコーン含有の成分と、少なくとも1種類の親水性の成分と、高分子量の親水性ポリマーと、希釈剤と、を含有していて、この希釈剤がほぼ周囲温度において、約2:約1.6:約0.3:少なくとも約1の当該希釈剤:前記親水性の成分:前記高分子量の親水性ポリマー:前記シリコーン含有の成分の重量比率において、透明な混合物を形成できる、組成物。
【0124】
(36)実施態様32に記載の組成物であって、前記親水性の成分がN−N−ジメチルアクリルアミド(N-N-dimethylacrylamide)を含み、前記シリコーン含有の成分がモノメタクリルオキシプロピル末端化したモノ−n−ブチル・末端化ポリジメチルシロキサン(monomethacryloxypropyl terminated mono-n-butyl terminated polydimethylsiloxane)を含み、前記高分子量の親水性ポリマーがポリ−N−ビニル・ピロリドン(poly-N-vinyl pyrrolidone)を含む、組成物。
(37)硬化した化合物を含む眼用装置であって、当該化合物が前硬化の形態において
少なくとも1種類のシリコーン含有の成分と、
少なくとも1種類の親水性の成分と、
少なくとも1種類の高分子量の親水性ポリマーと、
約0.05乃至約1のアルファ値および約10よりも小さいハンセン(Hansen)溶解度パラメータのδp値を有する少なくとも1種類の希釈剤と、を含有している、眼用装置。
(38)硬化した化合物を含む眼用装置であって、当該化合物が前硬化の形態において
少なくとも1種類のシリコーン含有の成分と、
少なくとも1種類のヒドロキシル含有の成分と、
少なくとも1種類の高分子量の親水性ポリマーと、
約0.05乃至約1のアルファ値および約10よりも小さいハンセン(Hansen)溶解度パラメータのδp値を有する少なくとも1種類の希釈剤と、を含有している、眼用装置。
(39)透明で湿潤可能な眼用装置を作成する方法であって、
少なくとも1種類のシリコーン含有の成分、少なくとも1種類の親水性の成分、少なくとも1種類の高分子量の親水性ポリマー、および約0.05乃至約1のアルファ値および約10よりも小さいハンセン(Hansen)溶解度パラメータのδp値を有する少なくとも1種類の希釈剤を組み合わせる処理と、
前記組み合わせ物を金型の中に入れる処理と、
前記組み合わせ物を硬化する処理と、
前記組み合わせ物を前記金型から引き出す処理と、
前記組み合わせ物から前記希釈剤の実質的に全てを除去する処理と、を含む、方法。
(40)透明で湿潤可能な眼用装置を作成する方法であって、
少なくとも1種類のシリコーン含有の成分、少なくとも1種類のヒドロキシル含有の成分、少なくとも1種類の高分子量の親水性ポリマー、および約0.05乃至約1のアルファ値および約10よりも小さいハンセン(Hansen)溶解度パラメータのδp値を有する少なくとも1種類の希釈剤を組み合わせる処理と、
前記組み合わせ物を金型の中に入れる処理と、
前記組み合わせ物を硬化する処理と、
前記組み合わせ物を前記金型から引き出す処理と、を含む、方法。
【0125】
(41)組成物であって、
モノメタクリルオキシプロピル末端化したモノ−n−ブチル・末端化ポリジメチルシロキサン(monomethacryloxypropyl terminated mono-n-butyl terminated polydimethylsiloxane)と、
N,N−ジメチルアクリルアミド(N,N-dimethylacrylamide)と、
2−ヒドロキシエチル・メタクリレート(2-hydroxyethyl methacrylate)と、
テトラエチレングリコール・ジメタクリレート(tetraethyleneglycol dimethacrylate)と、
ポリ(N−ビニル・ピロリドン)(poly(N-vinyl pyrrolidone))(K値:90)と、 ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニル・ホスフィン・オキシド(bis(2,4,6-trimethylbenzoyl)-phenyl phosphineoxide)と、
3,7−ジメチル−3−オクタノール(3,7-dimethyl-3-octanol)と、を含有している、組成物。
(42)組成物であって、
モノメタクリルオキシプロピル末端化したモノ−n−ブチル・末端化ポリジメチルシロキサン(monomethacryloxypropyl terminated mono-n-butyl terminated polydimethylsiloxane)と、
N,N−ジメチルアクリルアミド(N,N-dimethylacrylamide)と、
2−ヒドロキシエチル・メタクリレート(2-hydroxyethyl methacrylate)と、
エチレン・グリコール・ジメタクリレート(ethylene glycol dimethacrylate)と、
2−(2’−ヒドロキシ−5−メタクリルイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(2-(2'-hydroxy-5-methacrylyloxyethylphenyl)-2H-benzotriazole)と、 ポリ(N−ビニル・ピロリドン)(poly(N-vinyl pyrrolidone))(K値:90)と、 ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニル・ホスフィン・オキシド(bis(2,4,6-trimethylbenzoyl)-phenyl phosphineoxide)と、
ターシャリー−アミル・アルコール(t-amyl alcohol)と、を含有している、組成物。
【図面の簡単な説明】
【0126】
〔図面の説明〕
【図1】種々の希釈剤についてのハンセン溶解度パラメータのδp値とアルファ値を示しているグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、少なくとも1種類のシリコーン含有の成分と、少なくとも1種類の親水性の成分と、高分子量の親水性ポリマーと、0.05乃至1のアルファ値および10よりも小さいハンセン(Hansen)溶解度パラメータのδp値を有する希釈剤と、を含有しており、
前記組成物が選択された反応温度において透明な混合物を形成し、その反応温度が75℃までであり、
前記組成物がシリコーン含有の相溶性化用の成分を含んでいない、組成物。
【請求項2】
組成物であって、少なくとも1種類のシリコーン含有の成分と、少なくとも1種類のヒドロキシル含有の成分と、高分子量の親水性ポリマーと、0.05乃至1のアルファ値および10よりも小さいハンセン(Hansen)溶解度パラメータのδp値を有する希釈剤と、を含有しており、
前記組成物が選択された反応温度において透明な混合物を形成し、その反応温度が75℃までであり、
前記組成物がシリコーン含有の相溶性化用の成分を含んでいない、組成物。
【請求項3】
硬化した化合物を含む眼用装置であって、当該化合物が前硬化の形態において
少なくとも1種類のシリコーン含有の成分と、
少なくとも1種類の親水性の成分と、
少なくとも1種類の高分子量の親水性ポリマーと、
0.05乃至1のアルファ値および10よりも小さいハンセン(Hansen)溶解度パラメータのδp値を有する少なくとも1種類の希釈剤と、を含有していて、
前記化合物がシリコーン含有の相溶性化用の成分を含んでいない、眼用装置。
【請求項4】
硬化した化合物を含む眼用装置であって、当該化合物が前硬化の形態において
少なくとも1種類のシリコーン含有の成分と、
少なくとも1種類のヒドロキシル含有の成分と、
少なくとも1種類の高分子量の親水性ポリマーと、
0.05乃至1のアルファ値および10よりも小さいハンセン(Hansen)溶解度パラメータのδp値を有する少なくとも1種類の希釈剤と、を含有しており、
前記化合物がシリコーン含有の相溶性化用の成分を含んでいない、眼用装置。
【請求項5】
透明で湿潤可能な眼用装置を作成する方法であって、
少なくとも1種類のシリコーン含有の成分、少なくとも1種類の親水性の成分、少なくとも1種類の高分子量の親水性ポリマー、および0.05乃至1のアルファ値および10よりも小さいハンセン(Hansen)溶解度パラメータのδp値を有する少なくとも1種類の希釈剤を組み合わせる処理と、
前記組み合わせ物を金型の中に入れる処理と、
前記組み合わせ物を硬化する処理と、
前記組み合わせ物を前記金型から引き出す処理と、
前記組み合わせ物から前記希釈剤の実質的に全てを除去する処理と、を含み、
前記組み合わせ物がシリコーン含有の相溶性化用の成分を含んでいない、方法。
【請求項6】
透明で湿潤可能な眼用装置を作成する方法であって、
少なくとも1種類のシリコーン含有の成分、少なくとも1種類のヒドロキシル含有の成分、少なくとも1種類の高分子量の親水性ポリマー、および0.05乃至1のアルファ値および10よりも小さいハンセン(Hansen)溶解度パラメータのδp値を有する少なくとも1種類の希釈剤を組み合わせる処理と、
前記組み合わせ物を金型の中に入れる処理と、
前記組み合わせ物を硬化する処理と、
前記組み合わせ物を前記金型から引き出す処理と、を含み、
前記組み合わせ物がシリコーン含有の相溶性化用の成分を含んでいない、方法。
【請求項7】
組成物であって、
モノメタクリルオキシプロピル末端化したモノ−n−ブチル・末端化ポリジメチルシロキサン(monomethacryloxypropyl terminated mono-n-butyl terminated polydimethylsiloxane)と、
N,N−ジメチルアクリルアミド(N,N-dimethylacrylamide)と、
2−ヒドロキシエチル・メタクリレート(2-hydroxyethyl methacrylate)と、
テトラエチレングリコール・ジメタクリレート(tetraethyleneglycol dimethacrylate)と、
ポリ(N−ビニル・ピロリドン)(poly(N-vinyl pyrrolidone))(K値:90)と、 ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニル・ホスフィン・オキシド(bis(2,4,6-trimethylbenzoyl)-phenyl phosphineoxide)と、
3,7−ジメチル−3−オクタノール(3,7-dimethyl-3-octanol)と、を含有しており、
前記組成物がシリコーン含有の相溶性化用の成分を含んでいない、組成物。
【請求項8】
組成物であって、
モノメタクリルオキシプロピル末端化したモノ−n−ブチル・末端化ポリジメチルシロキサン(monomethacryloxypropyl terminated mono-n-butyl terminated polydimethylsiloxane)と、
N,N−ジメチルアクリルアミド(N,N-dimethylacrylamide)と、
2−ヒドロキシエチル・メタクリレート(2-hydroxyethyl methacrylate)と、
エチレン・グリコール・ジメタクリレート(ethylene glycol dimethacrylate)と、
2−(2’−ヒドロキシ−5−メタクリルイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(2-(2'-hydroxy-5-methacrylyloxyethylphenyl)-2H-benzotriazole)と、 ポリ(N−ビニル・ピロリドン)(poly(N-vinyl pyrrolidone))(K値:90)と、 ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニル・ホスフィン・オキシド(bis(2,4,6-trimethylbenzoyl)-phenyl phosphineoxide)と、
ターシャリー−アミル・アルコール(t-amyl alcohol)と、を含有しており、
前記組成物がシリコーン含有の相溶性化用の成分を含んでいない、組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2009−185302(P2009−185302A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−125412(P2009−125412)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【分割の表示】特願2006−506979(P2006−506979)の分割
【原出願日】平成16年3月5日(2004.3.5)
【出願人】(500092561)ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド (153)
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
【Fターム(参考)】