説明

透明ポリマー複合材料

本発明は、(a)ポリマー先駆物質またはポリマー(ただし、該ポリマー先駆物質またはポリマーは、第1の屈折率を有する。)と、(b)(1)少なくとも2つの金属酸化物を基材とする核(ただし、該核は一次粒子の凝集体である。)、及び(2)該核に結合した表面処理剤を含む粒子とを含む複合材料を提供する。該ポリマー先駆物質またはポリマーの屈折率と該粒子の屈折率の差は、該ポリマー先駆物質またはポリマーの屈折率の概略2%以下である。本発明は、さらに、そのような複合材料を製造する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明ポリマー複合材料およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの透明ポリマーの加工性及び機械特性は、広い種類の用途において、そのような材料を有用にする。しかし、成分が温度変化を受ける用途において、多くのポリマーの比較的高い熱膨張率は、それらの実際の用途において、難点を示す。例えば、より低い熱膨張率を有する他の材料と共に透明ポリマー成分を含む光学構成は、大きい温度変化を受けるときに損傷を受ける可能性がある。
【0003】
充填材のポリマー材料への添加は、生じるポリマー複合材料の熱膨張率の減少、並びに、増加されたガラス転移温度、複合材料においてのポリマーの重量の減少、増加された引張強さ、増加された剛さ、増加された耐磨耗性、増加された寸法安定性、ガス、溶媒、及び水蒸気について減少された透過性等を与えることが可能であることが長く知られている。クレー、金属酸化物から調製された粒状ガラス、及び、金属酸化物粒子自体を包含する多数の充填材が、当該分野において用いられた。しかし、透明ポリマーを含むポリマー複合材料への充填材の組込みは、多くの場合、ポリマー成分単独の透明性に対するポリマー複合材料の透明性を減じる。
【0004】
透明性は、材料を通過する光透過率に関連する。光透過率は、材料による光吸収と充填材及び他の添加物による光散乱とを含む要因に依存する。光散乱は、充填材と充填材が分散される材料の屈折率についての不連続性により起こる。屈折率の差に加えて、粒子形状及び充填材の寸法は、充填材により光散乱に影響を及ぼす。
【0005】
多数の試みが、当該分野において、粒子充填材を含むポリマー複合材料を通過する光透過率を最適化するためになされた。特許文献1は、有機基材、及び2以上の金属酸化物に基づく粒子を含む充填材を含むポリマーまたは重合性の系を開示する。粒子においての金属酸化物の比率は、粒子の屈折率を決定し、従って金属酸化物の比率を制御することにより粒子の屈折率を有機基材の屈折率に合わせることを許容する。粒子は、球状、非孔質、及び単分散(例えば狭い粒子寸法分布を有する)として説明され、種々の表面処理剤の結合により表面改質可能である。表面処理剤は、有機基材と反応して共有原子により粒子を基材に均質混合することが可能であり得る。特許文献2は、分散されたアルカリ亜鉛珪硼酸ガラスを含む無機充填材を有する特別なエポキシ樹脂有機基材相を開示する。無機充填材は、基材相の屈折率に合う屈折率を有し、無機充填材は、基材相と反応可能な薬剤で表面処理可能であり、その結果、重合時、無機充填材は、共有原子により有機基材に均質混合される。
【特許文献1】米国特許第5618872号明細書
【特許文献2】米国特許第6246123号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、充填材料としての使用のために単分散の球状粒子の調製は、粒子調製の慎重な制御を必要とする。さらに、ポリマー複合材料に均質混合可能な単分散の球状粒子の添加についての限界、そのため、ポリマー複合材料の特性が変更可能である範囲についての限界が存在する。そこで、当該分野において、新規なポリマー複合材料、及びその製造方法についての必要性が残る。
【0007】
本発明は、そのようなポリマー複合材料及びその製造方法を提供する。本発明のこれらの及び他の利点、並びに追加的な発明の特徴は、ここで提供される本発明の説明から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、(a)ポリマー先駆物質またはポリマー(ただし、該ポリマー先駆物質またはポリマーは第1の屈折率を有する。)と、(b)(1)表面を有し、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化タンタル、酸化錫、酸化セシウム、酸化ハフニウムからなる群から選択された少なくとも2つの酸化物を含む核(ただし、該核は一次粒子の凝集体を含む。)、及び、(2)該核の該表面に結合した表面処理剤を含む粒子(ただし、該粒子は、第2の屈折率を有する。)と、を含む複合材料であって、第1の屈折率と第2の屈折率の差は、第1の屈折率の概略2%以下である、複合材料を提供する。
【0009】
本発明は、また、(i)ポリマー先駆物質またはポリマーを用意すること(ただし、該ポリマー先駆物質またはポリマーは第1の屈折率を有する。)、(ii)(1)表面を有し、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化タンタル、酸化錫、酸化セシウム、酸化ハフニウムからなる群から選択された少なくとも2つの酸化物を含む核(ただし、該核は一次粒子の凝集体を含む。)、及び、(2)該核の該表面に結合した表面処理剤を含む粒子(ただし、該粒子は第2の屈折率を有し、第1の屈折率と第2の屈折率の差は、第1の屈折率の概略2%以下である。)を用意すること、(3)該ポリマー先駆物質またはポリマーを該粒子と混合して複合材料を提供すること、を含む複合材料を製造する方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、複合材料を提供する。複合材料は、(a)ポリマー先駆物質またはポリマーと(b)粒子とを含む。粒子は、(1)表面を有し、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化タンタル、酸化錫、酸化セシウム、酸化ハフニウムからなる群から選択された少なくとも2つの酸化物を含む核(ただし、該核は一次粒子の凝集体を含む。)、及び、(2)該核の該表面に結合した表面処理剤を含む。第1の屈折率と第2の屈折率の差は、第1の屈折率の概略2%以下である。
【0011】
ポリマーは、任意の好適なポリマーであることが可能である。ポリマーは、好ましくは、所望の波長または波長範囲で入射光照射に対して透過性である。ポリマーは、好ましくは、概略5°未満の正反射角度で複合材料に向けられ、概略400nmの波長を有する光線について複合材料の概略2mmの厚さを通過する概略85%以上(例えば概略90%以上、または概略95%以上)の光透過率を許容する。典型的には、ポリマーは、非晶質であり、光の散乱に物質的に寄与する可能性がある結晶相を含まない。一般的に、ポリマーは、複合材料に配合されるとき、使用中に受ける最大温度より高いガラス転移温度を有する。
【0012】
ここで使用される用語「ポリマー先駆物質」は、反応時に前述のポリマーを生じさせる物質または物質の混合物をいう。このため、ポリマーは、ポリマーを調製するために使用されるポリマー先駆物質から誘導された構成単位を含む。ポリマー先駆物質の例として、限定するものではないが、アクリル酸エステルモノマー、メタクリル酸エステルモノマー、シリコーンモノマー、有機ジオールとホスゲン同等物の組合せ、及び、有機ジオール及びジイソシアン酸エステルの組合せ、からなる群から選択されたモノマー構成単位が挙げられる。
【0013】
アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルモノマーは、それぞれ、アクリル酸及びメタクリル酸の誘導体であり、一般構造R−O−CO−C(R’)=CH2(ただし、R’は、アクリル酸モノマーの場合に水素であり、R’は、メタクリル酸モノマーの場合にメチルである。)を有する。
【0014】
シリコーンモノマーは、重合されるときにシリコーンポリマーを提供する小さい分子をいう。シリコーンポリマー及びその生産方法は、当該分野において良く知られている。好適なシリコーンモノマーの限定しない例として、クロロシラン、アルコキシシラン、線状低重合シロキサン、及び、環状低重合シロキサンが挙げられる。望ましくは、シリコーンポリマーは、概略室温(例えば概略25℃)以上のガラス転移温度を有する。
【0015】
有機ジオールとホスゲン同等物は組み合わせて、反応してポリカーボネートを形成するモノマーである。任意の好適な有機ジオール及び任意の好適なホスゲン同等物並びにそれらの化合物は、本発明の実施において用いることが可能である。概略、有機ジオールは、構造HO−R−OH(ただし、RはC2〜C30アルキル、アリール、アルキルアリール、またはアリールアルキル基であり、各ヒドロキシル基(例えばOH基)は異なる炭素原子に結合している。)を有する。ホスゲン同等物として、ホスゲン、ジホスゲン、トリホスゲン、N,N′−カルボニルジアミダゾール、炭酸ジフェニル、アルキルクロロホルメート、炭酸ジアルキル、及び、ジシアノカルボニルが挙げられる。ジホスゲン(トリクロロメチルクロロホルメート)及びトリホスゲン(炭酸トリクロロメチル)は、それぞれ化学式ClC(O)CCl3及びCl3COC(O)OCCl3により表わされる。
【0016】
有機ジオール及びジイソシアン酸エステルは組合せて、反応してポリウレタンを形成するモノマーである。任意の好適なジオール及び任意の好適なジイソシアン酸エステル並びにそれらの化合物は、本発明の実施において用いることが可能である。有機ジオールは、ここで記載されるようなものであることが可能である。一般的に、ジイソシアン酸エステルは、構造O=C=N−R−N=C=O(ただし、RはC2〜C30アルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル基であり、各イソシアネート基(例えばO=C=N−基)は、異なる炭素原子に結合している。)を有する。
【0017】
ポリマー先駆物質は、限定するものではないが、重合開始剤及び連鎖停止剤を含む追加成分をさらに含むことが可能である。重合開始剤は、酸、塩基、アミン及びメルカプタンのような求核化合物、及び、過酸化物及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリルのような遊離基源を含む。連鎖停止剤は、成長重合体鎖と反応して鎖を「キャップ」してこれにより重合体鎖長を制御する化合物である。ポリマー先駆物質は、そのポリマー添加剤がポリマー先駆物質及びそれから生成したポリマーの光透過率を実質的に減じないとすれば、さらに、通常使用されるポリマー添加剤をさらに含むことが可能である。
【0018】
粒子は、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化タンタル、酸化錫、酸化セシウム、及び、酸化ハフニウムからなる群から選択された少なくとも2つの酸化物を含む核を含み、該核は一次粒子の凝集体を含む。核は、任意の好適な方法により調製可能である。核を調製する好適な方法は、熱分解処理及び溶液処理を含む。蒸発処理を含む熱分解処理において、少なくとも2つの揮発可能な金属酸化物先駆物質の混合物を含む供給原料は、気化されかつ燃焼ガスの流れに供給されて反応混合物を形成し、その結果、液体供給原料は、微粒化されて、燃焼流れにおいて、燃焼ガス温度が蒸気金属酸化物粒子の凝固温度以下に減少される前に蒸気金属酸化物粒子(すなわち核)を形成するために十分な温度及び滞留時間を受ける。好適な金属酸化物先駆物質は、限定するものではないが、ハロゲン化金属及び金属アルコキシドのような揮発性金属化合物を含む。核が珪素を含むとき、好適な珪素先駆物質は、限定するものではないが、ハロゲン化珪素、珪酸エステル(例えばオルト珪酸テトラエトキシ)、アルコキシシラン、シリコーン、シリコーン油、シロキサン、シラザン等を含む。核がチタンを含むとき、好適なチタン先駆物質は、限定するものではないが、四塩化チタン、チタニウムテトライソプロポキシド等を含む。ある実施形態において、核は、米国特許出願公開第2004/0156773号明細書に開示された処理により調製される。
【0019】
熱分解処理により形成された核は、一次粒子の凝集体を含む。蒸気金属酸化物粒子及び二以上の金属酸化物を含む共蒸気粒子のようないくつかの金属酸化物粒子は、共に溶融して、より大きい連鎖状凝集粒子を形成する小さい一次粒子を含む。これらの凝集粒子を一次粒子に分解するために、相当の力が必要とされ、その結果、通常の使用条件の下で、一次粒子が、個別の一次粒子としてではなく凝集体として単独で存在する。例えば、凝集粒子は、通常の分散力により分解しない。これは、凝集粒子の互いとの比較的緩い会合により形成される凝集粒子を集塊粒子と区別する。典型的には、熱分解処理により形成される核は、球形状を有しないが、むしろ一次粒子の連鎖状凝集による不整形状を有する。有利に、熱分解処理により形成される核は、それらの不整形状のために、与えられた容積に効率的に充填すること、及び、僅かの容積を核により占められなくすることが可能であり、その結果、熱分解により形成された核により形成される複合材料は、球状核に比較してより高い充填量の核を含むことが可能である(すなわち、複合材料は、実質的に球状核に比較すると、熱分解により形成された核の使用により複合材料の全重量に対する核のより高い重量を含むことが可能である)。
【0020】
核を調製する好適な溶液処理として、ゾル−ゲル処理、沈殿処理、及び、熱水処理が挙げられる。これらの処理のすべては、通常、溶液中で少なくとも2つの金属含有先駆物質の加水分解を介した金属酸化物先駆物質種の生成を含む。ゾル−ゲル処理は、金属−酸素結合を含有し、その種がさらなる重合を受けてゲルを形成する中間体種を形成する好適な金属含有先駆物質の加水分解を含む。ゲルは、乾燥されて、その後機械加工されて分離した混合金属酸化物粒子を形成することが可能である。沈殿処理は、通常、ゾル−ゲル処理においてのように好適な金属含有先駆物質の加水分解を含むが、混合金属酸化物粒子の直接生成を発生する条件で、これによりゲルの仲介を防止する。本発明の構成において有用な熱水処理は、通常、硝酸金属及び/又は炭酸金属のような少なくとも2つの金属塩と水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムのような塩基の反応、続いて混合金属酸化物粒子の生成を発生する高圧において生じる混合物の加熱を含む。溶液処理において使用される条件に応じて、生成した粒子は、熱分解により生成される核に関して論じたように、一次粒子からまたは一次粒子の凝集体として構成可能である。ある条件で、始めに形成された一次粒子は、一次粒子の表面において金属含有先駆物質の反応により粒子成長を経験して実質的に球状の核を形成する。他の条件で、始めに形成された一次粒子は、表面結合により一緒に接合して、結合した一次粒子を含む凝集核を形成する。例えば、ゾル−ゲル処理により調製された粒子は、典型的には、一次粒子の凝集体である。望ましくは、本発明の構成において有用であり、溶液処理により調製された粒子は、一次粒子の凝集体を含む。さらに、一次粒子の凝集体を含む溶液製法核は、熱分解により生成される核に関して論じたように、不整の球状でない形状を有する一次粒子の凝集体を含む溶液製法核は、利点を有する。溶液処理において有用な金属酸化物種の例は、熱分解処理について説明されたものであることが可能である。
【0021】
典型的に、本発明において有用な混合金属酸化物核の生成のための熱分解処理及び溶液処理は、所望の粒子寸法を有する粒子の直接生成を発生する。また、ガラスのような好適な混合金属酸化物供給原料を粉砕することにより混合金属酸化物を調製することが好適である。ガラスは、通常、金属酸化物先駆物質の高温溶融により調製されて金属酸化物副次単位を含む重合網状構造を調製する。本発明の構成において、好適な金属酸化物先駆物質の混合物、例えば、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム等の二以上が、調製され、その後高温融解を受けて溶融ガラスを生成することが可能である。冷却時に、ガラスは、非晶質、非結晶性塊として形成される。ガラスは、機械的粉砕のような任意の好適な手段により、本発明においての使用に好適な粒子直径を有する微粒子に粉砕される。
【0022】
粒子は、それらの表面に結合した表面処理剤を有する核を含む。有利に、結合した表面処理剤は、核とポリマー先駆物質またはポリマーとの間の付加相の存在を防止するかまたは減じる。典型的には、付加相は、核がポリマー先駆物質またはポリマーに均質混合されるときに、処理されていない個別の核の周囲に空気ポケットを形成する空気である。概略1.0の屈折率を有する空気ポケットは、ポリマー複合材料の屈折率に不連続性を導入して光散乱を増加し、これによりポリマー複合材料の光透過率を減じる。結合した表面処理剤は、また、核の凝集を減少してポリマー先駆物質またはポリマーにおいて処理された核の分布を最適化することが可能である。さらに、結合した表面処理剤は、ポリマー先駆物質と反応可能である付加官能基を有することが可能であり、その結果、表面処理された粒子は、官能基により、重合を実行する反応に加わること、及び、これによりポリマーに均質混合される(好ましくは共有原子により組み込まれる)ことが可能である。表面処理剤は、二以上の金属酸化物に表面結合可能であるか、または、表面処理剤は、粒子において存在する不純物または付加成分に結合可能である。
【0023】
好ましくは、核は、予備形成された核である。本発明の構成において、予備形成とは、複合材料を調製する粒子とポリマー先駆物質またはポリマーの複合前の核の形成をいう。いくつかの実施形態において、核は、表面処理剤の核への結合前に形成される。例えば、核が熱分解処理を用いて形成されるとき、表面処理剤が熱分解処理において用いられる高温で激しく崩壊または分解する可能性があるので、典型的には、核は、表面処理剤を核に結合する前に形成されて粒子を提供する。他の実施形態において、表面処理剤を核に結合すると同時に核を形成することが好適である。例えば、溶液処理が核を形成するために使用されるとき、少なくとも一の表面処理剤が、核の形成の前に、その間に、またはその後に反応混合物に加えられて、表面処理剤を核に結合して反応混合物から直接に粒子を提供する。
【0024】
1つの実施形態において、表面処理剤は、化学式Q−(CH2n−O−CO−C(R4)=CH2(式中、Qは、(R1O)3SiまたはXR23Siであり、ただし、R1、R2、R3は、独立にC1〜C8アルキル基またはC1〜C8アリール基であり、Xは、F、Cl、Br、及びIからなる群から選択され、R4はHまたはメチルであり、nは1〜30の整数である。)により表される。前述の化学式に対応する表面処理剤の例として、限定するものではないが、[3−((メタ)アクリロイロキシ)プロピル]トリメトキシシラン、[3−((メタ)アクリロイロキシ)プロピル]トリエトキシシラン、[3−((メタ)アクリロイロキシ)ブチル]トリメトキシシラン、[3−((メタ)アクリロイロキシ)ブチル]トリエトキシシランが挙げられ、用語(メタ)は、メタクリル酸誘導体及びアクリル酸誘導体の両方を表すと理解される。
【0025】
他の実施形態において、表面処理剤は、化学式Q−(CH2n−O−CO−CR4R5R6(式中、Qは、(R1O)3SiまたはXR23Siであり、ただし、R1、R2、R3は、独立にC1〜C8アルキル基またはC1〜C8アリール基であり、Xは、F、Cl、Br、及びIからなる群から選択され、R4、R5、R6は、同一または異なることが可能であり、水素、あるいは、C1〜C8アルキル、C1〜C8アリール、またはC1〜C8アルキルアリール基であり、nは1〜30の整数である。)により表される。前述した化学式に対応する表面処理剤の限定しない例は、アセトキシプロピルトリメトキシシラン、アセトキシブチルトリメトキシシラン、フェノキシプロピルトリメトキシシラン、及び、フェノキシペンチルトリエトキシシランである。
【0026】
表面処理剤は、任意の好適な形式で核の表面に結合可能である。例えば、結合は、任意の好適な結合を介して発生可能である。典型的には、表面処理剤を核の表面に結合する結合は、静電相互作用、共有結合、配位結合、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0027】
表面処理剤の核への結合は、その多数が当該分野において知られている任意の好適な手法を用いて実行可能である。例えば、米国特許第6132861号明細書及びそこで同定される文献は、トリアルコキシシランを金属酸化物粒子に共有結合する方法を開示する。米国特許第6344240号明細書は、シリカ粒子をオルガノクロロシランと反応させてオルガノシランをその表面に共有結合する方法を開示する。
【0028】
表面を有し、二以上の金属酸化物を含む粒子または粒子の凝集体が、粒子または粒子の凝集体の表面を含む各金属酸化物の屈折率の中間である屈折率を有することは、当該分野において良く知られている。例えば、二酸化珪素(SiO2)からなる単分散(例えば凝集していない)粒子は、概略1.4の屈折率を有することが可能である。酸化アルミニウム(Al23)からなる対応する粒子は、概略1.6の屈折率を有することが可能であり、酸化ジルコニウム(ZrO2)からなる対応する粒子は、概略2.0の屈折率を有することが可能であり、二酸化チタン(TiO2)からなる対応する粒子は、概略2.6の屈折率を有することが可能である。このため、例えば、二酸化珪素と二酸化チタンからなる粒子は、粒子においての二酸化珪素と二酸化チタンの相対比率に応じて、概略1.4と概略2.6の中間の屈折率を有することが可能である。結合した表面処理剤の存在は、核の屈折率に対して粒子の屈折率を変更する可能性があるが、粒子の屈折率は、本来、粒子の表面を含む二以上の金属酸化物の相対比に依存するであろう。したがって、粒子は、粒子の各金属酸化物成分の屈折率の中間である任意の屈折率を有するように調製可能である。例えば、所望の屈折率を有する粒子は、先行経験的試験を実行して所望の屈折率を有する粒子の組成を決定することにより、調製可能である。代替的に、処理中の観測は、粒子の最終屈折率を調整するため、及び、所望の屈折率を有する粒子に到達するために実行可能である。
【0029】
屈折率は、塊状物質の特性であることは、当該分野において良く知られている。塊状物質が複数の粒子を含むとき、各粒子の屈折率は異なることが可能であり、このため、塊状物質の屈折率は、各粒子の屈折率の平均値として考えることが可能である。統計的に、各粒子の屈折率は、平均について屈折率の分布により記述可能であり、分布は、平均についての粒子の屈折率の標準偏差を特性とする。粒子の屈折率の標準偏差が大きい場合、粒子の平均屈折率(すなわち粒子を含む塊状物質の屈折率)が、連続物体であり、このため平均について屈折率の分布を有するとして特性を決定できないポリマー先駆物質またはポリマーの屈折率の概略2%以下であるとしても、そのとき、そのような粒子により調製された複合材料は、ここで説明される測定条件で概略85%の光透過率を示さない可能性がある。望ましくは、粒子は、塊状物質の屈折率について屈折率の標準偏差を有し、その結果、粒子を含む塊状物質とポリマー先駆物質またはポリマーとの屈折率の差が概略2%以下であるとき、複合材料がここで説明される測定条件で概略85%以上の光透過率を示す。粒子の屈折率の標準偏差を決定することは必要ではないが、好ましくは、複合材料は、ここで説明される光透過率を示す。
【0030】
核及び粒子は、任意の好適な平均寸法(例えば平均直径)を有することが可能である。核または粒子の寸法または直径は、ここで、核または粒子を囲むことが可能である最小球面の直径として定義される。典型的には、核及び粒子の平均寸法は、概略5nm以上(概略10nm以上、または25nm以上)である。望ましくは、核及び粒子の平均寸法は、概略1000μm以下(例えば概略500μm、または概略250μm以下、または概略100μm以下、または概略10μm以下)である。より望ましくは、核及び粒子の平均寸法は、概略25nm〜概略100μm(例えば概略50nm〜概略10μm)である。さらにより望ましくは、核及び粒子の平均寸法は、概略25nm〜概略1000nm(例えば概略50nm〜概略500nm)である。
【0031】
核及び粒子は、任意の好適な表面積を有することが可能である。通常、表面積は、BET方法を用いて測定される。典型的には、核及び粒子は、概略25m2/g以上(例えば40m2/g)のBET表面積を有する。望ましくは、核及び粒子は、概略500m2/g以下(例えば概略400m2/g)のBET表面積を有する。いくつかの実施形態において、核及び粒子は、概略25m2/g〜概略125m2/g(例えば40m2/g〜
概略100m2/g)のBET表面積を有する。他の実施形態において、核及び粒子は、概略100m2/g〜概略250m2/g(例えば概略125m2/g〜概略200m2/g)のBET表面積を有する。BET表面積は、少なくとも一部が、核及び粒子を調製するために使用される条件に依存する。
【0032】
核及び粒子は、任意の好適な寸法分布を有することが可能である。通常、寸法分布は、核及び粒子の平均寸法の標準偏差を特性とする。典型的には、平均寸法の標準偏差は、平均寸法の概略5%以上(例えば、概略7.5%以上、または概略10%以上)である。望ましくは、平均寸法の標準偏差は、平均寸法の概略0.1%以上(例えば概略0.5%以上、または概略1%以上)である。概略、核及び粒子の平均寸法の標準偏差について上限は存在しない。
【0033】
複合材料は、任意の好適な量の粒子を含むことが可能である。ポリマー先駆物質またはポリマーと組み合わせる粒子の量は、通常、複合材料により示されるべき所望の膨張率を与えるように選択される。典型的には、複合材料は、概略1wt%以上(例えば、概略5wt%以上、概略10wt%以上)の粒子を含む。望ましくは、複合材料は、概略80wt%以下(例えば、概略70wt%以下、または概略60wt%以下)の粒子を含む。より望ましくは、複合材料は、概略10wt%〜概略50wt%の粒子(例えば、概略2wt%〜概略40wt%)を含む。
【0034】
ポリマー先駆物質またはポリマーは、典型的には、概略1.3〜概略1.6、より特別には概略1.45〜概略1.52の屈折率を有する。特定のポリマー先駆物質またはポリマーを仮定すると、屈折率を有する粒子は、好ましくは、ポリマー先駆物質またはポリマーの屈折率と粒子の屈折率の差がポリマー先駆物質またはポリマーの屈折率の概略2%以下(例えば、概略1.5%以下、概略1%以下、概略0.7%以下、または概略0.5%以下、または概略0.3%以下、または概略0.2%以下、または概略0.1%以下)であるように、選択される。例えば、ポリマー先駆物質またはポリマーが概略1.500の屈折率を有する場合、ここで論じられるように、粒子が塊状物質として粒子の(平均)屈折率に関する屈折率の標準偏差を有するとすれば、粒子は、概略1.470〜概略1.530(例えば、概略1.478〜概略1.523、概略1.485〜概略1.515、概略1.493〜概略1.508、概略1.496〜概略1.504)の屈折率を有するように選択される。
【0035】
典型的には、ポリマーの屈折率は、ポリマーを調製するために使用されるポリマー先駆物質の屈折率より概略0.03高い(例えば、Suzuki他、歯科学研究誌(J. Dent. Res.)、1991年5月、第70巻、第5号、p.883-888、を参照する。)。このため、粒子の屈折率は、ポリマー先駆物質の屈折率に合わせることが可能であるか、または、重合後のポリマーについてより正確に合わせるために、粒子の屈折率は、ポリマー先駆物質の屈折率より概略0.03高いように選択可能である。
【0036】
好ましくは、複合材料は、概略5°未満の正反射角度で向けられる、概略400nm〜概略800nmの波長を有する光線について、複合材料の概略2mmの厚さを通過する概略75%以上(例えば、概略80%以上、または概略85%以上、または概略90%以上、または概略95%以上)の光透過率を許容する。望ましくは、複合材料は、概略5°未満の正反射角度で複合材料に向けられ、概略400nmの波長を有する光線について、概略75%以上(例えば、概略80%以上、または概略85%以上、または概略90%以上、または概略95%以上)の光透過率を許容する。光透過率は、グラハム オプティカル システムズ(Graham Optical Systems of Chatsworth, CA)から使用可能であるような商業的に使用可能な透過率計で測定可能である。有利に、複合材料がポリマーを含むときに、複合材料は、少なくとも可視光について非常に透明であり、低い熱膨張率を有する材料の高度な光透過率を必要とする種々の用途において有用である。
【0037】
本発明は、さらに、複合材料を調製する方法を提供する。この方法は、(i)ポリマー先駆物質またはポリマーを用意すること(ただし、該ポリマー先駆物質またはポリマーは、第1の屈折率を有する。)、(ii)(1)表面を有し、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化タンタル、酸化錫、酸化セリウム、及び酸化ハフニウムからなる群から選択された少なくとも2つの酸化物を含む核(ただし、該核は一次粒子の凝集体を含む。)、及び、(2)該核の表面に結合した表面処理剤を含む粒子(ただし、該粒子は第2の屈折率を有し、第1の屈折率と第2の屈折率の差は、第1の屈折率の概略2%以下である。)を用意すること、及び、(iii )該ポリマー先駆物質を該粒子と混合することを含む。ポリマー先駆物質、ポリマー、及び、粒子は、ここで説明されたものである。
【0038】
粒子は、任意の好適な方法によりポリマー先駆物質またはポリマーに均質混合可能である。1つの好適な方法は、ポリマー先駆物質またはポリマーに適合している任意の好適な溶媒について溶液の形態のポリマー先駆物質またはポリマーを用意することである。粒子は、次に、粒子を溶液に均質混合されて溶液中で粒子の均一な分散を提供する任意の好適な方法を用いて、溶液に均質混合される。他の好適な方法は、ポリマー先駆物質またはポリマーに適合している溶媒中で粒子を予備分散することである。予備分散液は、次に、選択的に好適な溶媒を含むポリマー先駆物質またはポリマーに均質混合される。好適な溶媒の例として、エタノールまたはブタノール、アセトン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、及び、ポリグリコールのような脂肪族アルコールが挙げられる。粒子は、また、ポリマー先駆物質またはポリマーに直接分散可能である。ポリマー先駆物質またはポリマー中での粒子の高濃度分散液は、調製可能であり、その分散液(通常マスターバッチをいう)は、次に、追加的なポリマー先駆物質またはポリマーに分散されて、ポリマー先駆物質またはポリマー中で所望の量の粒子を提供する。望ましくは、粒子は、溶媒の使用なく、ポリマー先駆物質またはポリマーに分散される。
【0039】
ポリマー先駆物質が複合材料の調製において使用されるとき、ポリマー先駆物質と粒子の混合物は、重合可能であり、重合された複合材料を提供する。いかなる特定のポリマー先駆物質について適当な重合方法の選択は、当業者に容易に明らかであろう。例えば、(メタ)アクリル酸エステルは、遊離基または陽イオン機構により重合可能である。ポリカーボネートは、有機ジオールを含む混合物へのホスゲン同等物の導入により調製可能である。ポリウレタンは、酸または塩基触媒の作用を受け、且つ、ポリマー先駆物質を加熱することにより調製可能である。
【0040】
重合後、本発明の重合された複合材料は、さらに、処理されて所望の最終生成物を提供する。代替的に、本発明の方法は、金型内で重合を行うことにより実施されて所望の形状または輪郭を有する透明な成形物を提供することが可能である。有用な最終生成物の例として、限定するものではないが、窓、レンズ、光学絶縁体、導波管、光学コネクター、光学表示装置等が挙げられる。本発明の他の有用な用途は、通常の当業者に容易に明らかであろう。
【実施例】
【0041】
この以下の実施例は、本発明を説明するが、もちろん、決してその範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0042】
二酸化チタンと二酸化珪素を含み、656nmの波長及び25℃の温度において1.4828の公表された屈折率を有するチタニア−シリカガラス(CLE、コーニング アドバンスド オプティクス(Corning Advanced Optics)、Canton, NY)は、機械的に粉砕されて概略10μmの平均粒子寸法を有する微粒子を提供する。粒子は、次いで、(a)10gの粒子を50gの水及び50gのメタノールに混合すること、(b)概略0.3gの3−(メタクリロイロキシ)プロピルトリメトキシシラン及び次いで50gのメタノールを加えること、(c)混合物を4時間還流すること、(d)表面処理された粒子を濾過により単離すること、(d)粒子を乾燥すること、を含む処理により表面処理される。
【0043】
処理された粒子の試料は、テルフェニル(すなわち、フェニル繰り返し単位を含むポリマー)及び水素化テルフェニル(カーギル ラボラトリーズ(Cargille Laboratories)、Cedar Grove、NJ)を含み、589nmの波長及び25℃の温度において1.486の屈折率を有する屈折指標液と混和されて、表面処理された混合金属酸化物粒子を含む複合材料を提供する。表面処理された混合酸化物粒子の屈折率と屈折指標液の屈折率の差は、屈折指標液の屈折率の0.20%であった。
【0044】
589nmの波長及び25℃の温度において分光光度計により測定された、2mm厚さの複合材料により示された光透過率は、90%であった。
【0045】
この実施例の結果は、本発明に係る所望の屈折率に合わされた複合材料を調製することの実行可能性を証明する。
【0046】
本発明を記載する構成において(特に以下の請求の範囲の構成において)用語「1つ」及び「該」並びに同様の指示は、別段の定めがない限りまたは文脈により明らかに否定されない限り、単数及び複数の両方を含むと解釈することが可能である。用語「含む」、「有する」、「包含する」、及び、「含有する」は、別段の定めがない限り、制限のない用語(すなわち、「包含する、限定するものではないが」を意味する)として解釈することが可能である。値の範囲の列挙は、別段の定めがない限り、単に、その範囲内にあるそれぞれ別個の値として独立に参照する略記方法として機能することを意図され、各個別の値は、それが独立にここで列挙されたものであるように明細書に組み込まれている。ここで説明されたすべての方法は、別段の定めがない限りまたは文脈により明らかに否定されない限り、任意の好適な順序で実行可能である。いかなる及びすべての例、またはここで提供される例示語(例えば「のような」)の使用は、本発明を良好に明らかにすることのみを意図され、別段の請求がない限り、本発明の範囲に限定を与えない。明細書においてのいかなる語も、請求されない要素を本発明の実施に重要であると示唆するとして解釈されるべきではない。
【0047】
本発明を実施するために発明者に知られた最良のモードを含むこの発明の望ましい実施形態は、ここで説明された。それらの望ましい実施形態の変形は、前述の記載を読むときに当該分野において通常の技術を有するものに明らかになる可能性がある。発明者は、当業者にそのような変形を適当に用いることを予想し、発明者は、本発明が詳細にここで説明されたものとしてではなく実行可能であることを意図する。したがって、この発明は、適用可能な法律により許容されるように、これに添付された請求の範囲に列挙された主要事項のすべての改良及び均等物を含む。さらに、上述の要素の任意の組合せは、そのすべての可能な変形において、別段の定めがない限りまたは文脈により否定されない限り、本発明により包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ポリマー先駆物質またはポリマー(ただし、該ポリマー先駆物質またはポリマーは、第1の屈折率を有する。)と、(b)(1)酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化タンタル、酸化錫、酸化セシウム、及び酸化ハフニウムからなる群から選択された少なくとも2つの金属酸化物を含み、表面を有する核(ただし、該核は、一次粒子の凝集体を含む。)、及び、(2)該核の該表面に結合した表面処理剤、を含む粒子(ただし、該粒子は、第2の屈折率を有する。)と、を含む複合材料であって、第1の屈折率と第2の屈折率の差は、第1の屈折率の概略2%以下である、複合材料。
【請求項2】
該ポリマー先駆物質またはポリマーは、アクリル酸エステルモノマー、メタクリル酸エステルモノマー、シリコーンモノマー、有機ジオールとホスゲン同等物の組合せ、及び、有機ジオールとジイソシアン酸エステルの組合せ、からなる群から選択されたモノマー単位を含む、請求項1に記載の複合材料。
【請求項3】
該核は、気相処理により調製される、請求項1又は2に記載の複合材料。
【請求項4】
該核は、溶液処理により調製される、請求項1又は2に記載の複合材料。
【請求項5】
該複合材料は、概略5°未満の正反射角度で複合材料に向けられ、概略400nmの波長を有する光線について複合材料の概略2mmの厚さを通過する概略85%以上の光透過率を許容する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項6】
該核は、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化タンタル、及び酸化錫、からなる群から選択された少なくとも2つの金属酸化物を含む、請求項1に記載の複合材料。
【請求項7】
該ポリマー先駆物質またはポリマーは、アクリル酸エステルモノマー、メタクリル酸エステルモノマー、シリコーンモノマー、有機ジオールとホスゲン同等物の組合せ、及び、有機ジオールとジイソシアン酸エステルの組合せ、からなる群から選択されたモノマー単位を含む、請求項6に記載の複合材料。
【請求項8】
該核は、気相処理により調製される、請求項6又は7に記載の複合材料。
【請求項9】
該核は、溶液処理により調製される、請求項6又は7に記載の複合材料。
【請求項10】
該核は、表面処理剤の存在する溶液処理により調製される、請求項9に記載の複合材料。
【請求項11】
該表面処理剤は、該核の該表面に共有結合される、請求項6〜10のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項12】
該表面処理剤は、化学式Q−(CH2n−O−CO−C(R4)=CH2(式中、Qは、(R1O)3SiまたはXR23Siであり、R1、R2、R3は、独立にC1〜C8アルキルまたはアリール基であり、Xは、F、Cl、Br、及びIからなる群から選択され、R4は、Hまたはメチルであり、nは1〜30の整数である。)の化合物である、請求項6〜11のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項13】
該表面処理剤は、化学式Q−(CH2n−O−CO−CR456(式中、Qは、(R1O)3SiまたはXR23Siであり、R1、R2、R3は、独立にC1〜C8アルキルまたはアリール基であり、Xは、F、Cl、Br、及びIからなる群から選択され、R4、R5、R6は、同一または異なってもよく、水素、またはC1〜C8アルキル、アリール、またはアルキルアリール基であり、nは1〜30の整数である。)の化合物である、請求項6〜11のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項14】
該複合材料は、概略5°未満の正反射角度で複合材料に向けられ、概略400nmの波長を有する光線について複合材料の概略2mmの厚さを通過する概略85%以上の光透過率を許容する、請求項6〜13のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項15】
該複合材料は、ポリマー先駆物質を含む、請求項6〜14のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項16】
該複合材料は、ポリマーを含む、請求項6〜14のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項17】
複合材料を製造する方法であって、
(i)ポリマー先駆物質またはポリマー(ただし、該ポリマー先駆物質またはポリマーは第1の屈折率を有する。)を用意すること、
(ii)(1)酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化タンタル、酸化錫、酸化セシウム、及び酸化ハフニウムからなる群から選択された少なくとも2つの金属酸化物を含み、表面を有する、一次粒子の凝集体を含む核、及び、(2)該核の該表面に結合した表面処理剤、を含む粒子(ただし、該粒子は、第2の屈折率を有し、第1の屈折率と第2の屈折率の差は、第1の屈折率の概略2%以下である。)を用意すること、及び、
(iii )該ポリマー先駆物質またはポリマーを該粒子と混合して複合材料を提供すること、を含む方法。
【請求項18】
該ポリマー先駆物質またはポリマーは、アクリル酸エステルモノマー、メタクリル酸エステルモノマー、シリコーンモノマー、有機ジオールとホスゲン同等物の組合せ、及び、有機ジオールとジイソシアン酸エステルの組合せ、からなる群から選択されたモノマー単位を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
該核は、気相処理により調製される、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
該核は、溶液処理により調製される、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項21】
該複合材料は、概略5°未満の正反射角度で複合材料に向けられ、概略400nmの波長を有する光線について複合材料の概略2mmの厚さを通過する概略85%以上の光透過率を許容する、請求項17〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
工程(i)は、ポリマー先駆物質を用意することを含み、さらに、該ポリマー先駆物質を重合して重合された複合材料を提供する工程(iv)を含む、請求項17〜21に記載の方法。
【請求項23】
該重合された複合材料は、概略5°未満の正反射角度で該複合材料に向けられ、概略400nmの波長を有する光線について該重合された複合材料の概略2mmの厚さを通過する概略85%以上の光透過率を許容する、請求項17〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
該核は、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化タンタル、及び酸化錫、からなる群から選択された少なくとも2つの金属酸化物を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
該ポリマー先駆物質またはポリマーは、アクリル酸エステルモノマー、メタクリル酸エステルモノマー、シリコーンモノマー、有機ジオールとホスゲン同等物の組合せ、及び、有機ジオールとジイソシアン酸エステルの組合せ、からなる群から選択されたモノマー単位を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
該核は、気相処理により調製される、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項27】
該核は、溶液処理により調製される、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項28】
該核は、表面処理剤の存在する溶液処理により調製される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
該表面処理剤は、該核の該表面に共有結合される、請求項24〜28に記載の方法。
【請求項30】
該表面処理剤は、化学式Q−(CH2n−O−CO−C(R4)=CH2(式中、Qは、(R1O)3SiまたはXR23Siであり、R1、R2、R3は、独立にC1〜C8アルキルまたはアリール基であり、Xは、F、Cl、Br、及びIからなる群から選択され、R4は、Hまたはメチルであり、nは1〜30の整数である。)の化合物である、請求項24〜29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
該表面処理剤は、化学式Q−(CH2n−O−CO−CR456(式中、Qは、(R1O)3SiまたはXR23Siであり、R1、R2、R3は、独立にC1〜C8アルキルまたはアリール基であり、Xは、F、Cl、Br、及びIからなる群から選択され、R4、R5、R6は、同一または異なってもよく、水素、またはC1〜C8アルキル、アリール、またはアルキルアリール基であり、nは1〜30の整数である。)の化合物である、請求項24〜29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
該複合材料は、概略5°未満の正反射角度で複合材料に向けられ、概略400nmの波長を有する光線について複合材料の概略2mmの厚さを通過する概略85%以上の光透過率を許容する、請求項24〜31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
工程(i)は、ポリマー先駆物質を用意することを含み、さらに、該ポリマー先駆物質を重合して重合された複合材料を提供する工程(iv)を含む、請求項24〜32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
該重合された複合材料は、概略5°未満の正反射角度で該複合材料に向けられ、概略400nmの波長を有する光線について該重合された複合材料の概略2mmの厚さを通過する概略85%以上の光透過率を許容する、請求項24〜33のいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2009−520077(P2009−520077A)
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545840(P2008−545840)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/047893
【国際公開番号】WO2007/070673
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(391010758)キャボット コーポレイション (164)
【氏名又は名称原語表記】CABOT CORPORATION
【Fターム(参考)】