説明

透明導電材料及びそれを用いた透明導電素子

【課題】金属ナノ粒子と導電性高分子を複合化することによって、導電性と透明性に優れた透明導電材料を提供し、加えてコストや環境適性に優れた液相成膜法によって、軽量で柔軟性に富む透明導電素子を提供する。
【解決手段】金属ナノ粒子と導電性高分子を含む透明導電材料であって、該金属ナノ粒子が透明であることを特徴とする透明導電材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示素子、有機発光素子、無機電界発光素子、太陽電池、電磁波シールド、タッチパネル等の各種分野において好適に用いることができる、高い導電性と良好な透明性を併せ持つ透明導電材料及び透明導電素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子、有機発光素子、無機電界発光素子、太陽電池、電磁波シールド、タッチパネル等の各種分野における透明導電材料として、特定の金属酸化物を好適に用いることができる。透明導電材料として用いられる金属酸化物は、3eV以上の大きなバンドギャップと赤外域のプラズマ周波数のために可視光を透過し、赤外線を反射し、紫外線を吸収する性質を持ち、さらに元素置換によって伝導帯であるsバンドに電子をドープすることによって、金属的な電気伝導性を付与された無機材料である。具体例としては、錫や亜鉛をドープした酸化インジウム(ITO、IZO)、アルミニウムやガリウムをドープした酸化亜鉛(AZO、GZO)、フッ素やアンチモンをドープした酸化錫(FTO、ATO)等が挙げられる。
【0003】
一般に、金属酸化物透明導電膜の作製には、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の気相製膜法が用いられる。しかしながら、これらの製膜方法は真空環境を必要とするため装置が大掛りかつ複雑なものとなり、また製膜に大量のエネルギーを消費するため、製造コストや環境負荷を軽減できる技術の開発が求められていた。また、一方で、液晶ディスプレイやタッチディスプレイに代表されるように、透明導電材料の大面積化が指向されており、それに伴い透明導電材料の軽量化や柔軟性に対する要請が高まっていた。
【0004】
このような要請に対して、導電性微粒子を含有する液状材料を用いて塗布や印刷のような液相成膜法により透明導電膜を形成する方法が提案されている。例えば、特許文献1には、酸化インジウムや酸化錫よりなる導電性酸化物粒子を含む分散液を、支持体上に塗布し熱処理を行うことにより透明導電膜を形成する方法が開示されている。また、特許文献2には、基材上に塗布した無機酸化物微粒子の表面を溶解し、その後加熱処理により安定化させる成膜方法が開示されている。しかし、これらの方法は、透明導電膜形成時に加熱処理を必要とするため、プラスチックフィルムのような樹脂支持体上に透明導電膜を形成する場合には適用できない。また、一般に市販されている透明導電性ペーストや透明導電性インクと呼ばれる材料も、高い導電性を得るためには塗膜形成後に加熱処理や焼結処理が必要であり、樹脂支持体への使用には適さないものである。
【0005】
液相成膜に適した透明導電材料として、π共役系高分子に代表される導電性高分子材料が挙げられる。一般に導電性高分子は、二重結合と単結合が交互に並んだ(π共役を主鎖とする)構造を持ち、導電性はこの構造に由来する。π共役系高分子は、一般の高分子と異なり導電経路は有するものの、自由に動ける電荷(キャリア)が存在しないためそれ自身では導電性を発現しない。しかし、無機半導体のようにドーピングによって自由に動けるキャリアを注入することで導電性を付与することができる。導電性高分子材料を用いると、適当な溶媒に溶解または分散し、必要に応じてバインダー成分を加えて塗布や印刷することによって透明導電素子を形成することができる(特許文献3)。しかし、真空成膜法によるITOやZnO等の金属酸化物透明導電素子に較べると、導電性は低くかつ透明性にも劣る。
【0006】
金属酸化物や導電性高分子に較べ、Cu、Ag、Au等の金属材料の導電率は2桁以上高く導電性の観点では好ましいが、透明性を確保できないという問題があった。それに対して非特許文献1では、均質な金の超薄膜を形成することにより導電性と透明性を両立できることが報告されている。しかし、均質な金の超薄膜を形成するには、デュアルイオンビームスパッタ法という特殊な真空成膜法が必要であり、製造コストや環境負荷の軽減は実現できない。
【0007】
金属材料を用いた透明導電材料の液相成膜法として、特許文献4〜6には金属微粒子と金属酸化物微粒子を併用する技術が提案されている。また、特許文献7〜8には金属微粒子と導電性高分子を併用する技術が提案されている。一般に、貴金属や銅の金属微粒子が分散した系では、金属微粒子表面の自由電子の集団的な振動に起因した表面プラズモン吸収と呼ばれる光吸収が生ずる。例えば、金ナノ粒子の場合には520nm近傍に吸収ピークを有するため、補色の関係から赤色に着色して見える。また、銀ナノ粒子の場合には420nm近傍に吸収ピークを有するため、補色の関係から黄色に着色して見える。これら可視域における吸収は透明導電素子の着色要因となり、ディスプレイ材料として用いた場合には発色性を阻害し、太陽電池材料として用いた場合には光吸収効率を阻害する原因となる。従って、特許文献4〜8で提案された技術では、金属微粒子の着色によって十分な透明性は得られず、また透明性を改善するために金属微粒子の含有量を減らすと導電性が低下するため、導電性と透明性を両立する技術としては不十分なものであった。
【特許文献1】特許第3251066号公報
【特許文献2】特開2006−245516号公報
【特許文献3】特開平6−273964号公報
【非特許文献1】富山県工業技術センター技術情報誌,No.95号(2004)
【特許文献4】特開平9−53030号公報
【特許文献5】特開2003−77340号公報
【特許文献6】特開2003−128959号公報
【特許文献7】特開2004−359724号公報
【特許文献8】特開2006−237283号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、透明導電材料において、高い導電性と良好な透明性を両立することと、その製造コストを削減すると共に環境負荷を軽減することである。すなわち、可視光波長域で透明な金属ナノ粒子と導電性高分子を複合化することによって、導電性と透明性に優れた透明導電材料を提供することであり、加えて軽量で柔軟性に富む透明導電素子をコストや環境適性に優れた液相成膜法で提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、可視光波長域に表面プラズモン吸収を有さない金属ナノ粒子と導電性高分子を複合化することによって、導電性と透明性に優れた透明導電材料を実現できることを見出した。また、本発明の透明導電材料を塗布することによって、軽量で柔軟性を具備した透明導電素子を安価に実現できることを見出し、本発明に至った次第である。すなわち、本発明に係る上記課題は以下の手段により解決される。
【0010】
1.金属ナノ粒子と導電性高分子を含む透明導電材料であって、該金属ナノ粒子が透明であることを特徴とする透明導電材料。
【0011】
2.前記金属ナノ粒子の平均粒径が5〜50nmの範囲以内であることを特徴とする前記1に記載の透明導電材料。
【0012】
3.前記金属ナノ粒子が、Ag,Cu,Au,Rh,及びPdより選択される元素を含むことを特徴とする前記1又は2に記載の透明導電材料。
【0013】
4.前記金属ナノ粒子の表面プラズモン吸収が消失又は波長シフトすることにより、可視光波長域で透明化されたことを特徴とする前記1〜3のいずれか一項に記載の透明導電材料。
【0014】
5.前記金属ナノ粒子が、有機化合物との複合化によって表面プラズモン吸収が消失又は波長シフトし、可視光波長域で透明化されたことを特徴とする前記1〜4のいずれか一項に記載の透明導電材料。
【0015】
6.前記金属ナノ粒子が、少なくとも2種類の金属の複合化によって表面プラズモン吸収が消失又は波長シフトし、可視光波長域で透明化されたことを特徴とする前記1〜4のいずれか一項に記載の透明導電材料。
【0016】
7.透明樹脂支持体上に、前記1〜6のいずれか一項に記載の透明導電材料を液相成膜して形成されたことを特徴とする透明導電素子。
【0017】
8.前記透明導電素子の透明導電膜における金属ナノ粒子の体積分率が20〜80%の範囲以内であることを特徴とする前記7に記載の透明導電素子。
【発明の効果】
【0018】
本発明の上記手段によれば、その効果として、可視光波長域で透明な金属ナノ粒子と導電性高分子を複合化することによって、導電性と透明性に優れた透明導電材料を提供することができる。なおかつ軽量で柔軟性に富む透明導電素子をコストや環境適性に優れた液相成膜法で提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の透明導電材料は、金属ナノ粒子と導電性高分子を含む透明導電材料であって、該金属ナノ粒子が透明であることを特徴とする。この特徴は、請求項1〜8に係る発明に共通する技術的特徴である。
【0020】
なお、本願において、「透明である」とは、JIS K 7361−1:1997(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法)に準拠した方法で測定した可視光波長領域における全光線透過率が60%以上であることをいう。
【0021】
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための最良の形態等について詳細な説明をする。
【0022】
〔金属ナノ粒子〕
本発明の透明導電材料においては、主要構成要素である金属ナノ粒子が透明であることを特徴とする。本願において、「金属ナノ粒子が透明である」とは、表面プラズモン吸収が消失するか、又は表面プラズモン吸収が波長シフトし、すなわち、可視光波長域(380nm〜780nm)の外へ吸収波長域(又は吸収極大波長)がシフトし、可視光波長域に表面プラズモン吸収を有さない状態となり、上記全光線透過率が60%以上であることをいう。
【0023】
本発明で好ましく用いることができる金属ナノ粒子の金属元素としては、Ag,Cu,Au,Fe,Co,Ni,Ru,Rh,Pd,Os,Ir,Pt等を挙げることができる。本発明においては2種類以上の金属ナノ粒子を組み合わせて用いることもできるが、導電性の観点から少なくともAg,Cu,Au,Rh,及びPdより選択される元素を用いることが好ましい。
【0024】
本発明において金属ナノ粒子の製造方法には特に制限は無く、例えば、液相法や気相法などの公知の方法を用いて製造することができる。液相法としては、例えば液相還元法やアルコキシド法、逆ミセル法、ホットソープ法、水熱反応法のような化学的液相法や、噴霧乾燥法のような物理的液相法などを用いることができる。気相法としては、例えば一般的な化学気相析出法(CVD法)や物理気相析出法(PVD)などを用いることができる。
【0025】
一般に、金属ナノ粒子の表面プラズモン吸収は、同一元素であってもそのサイズや形状により吸収スペクトルが変化する。例えば金ナノ粒子では、530nm近辺の吸収極大波長が、粒子径が大きくなるに従い長波長側に移動することが知られている。また、棒状の金ナノロッドでは長軸と短軸の比(アスペクト比)の違いによって、可視から近赤外領域にかけて特異的な吸収を持つことが知られている。本発明において金属ナノ粒子の表面プラズモン吸収を消失させる、又は表面プラズモン吸収の波長シフト、すなわち、可視光波長域外へ吸収波長域(又は吸収極大波長)をシフトさせる方法について特に制限は無いが、有機化合物との複合化や2種類以上の金属の複合化を好ましく適用することができる。有機化合物との複合化には、金属ナノ粒子をπ共役系高分子で部分被覆する方法や、金属ナノ粒子表面をチオール基を有する化合物で部分修飾する方法などがある。2種類以上の金属の複合化には、金属ナノ粒子を異なる金属で部分的或いは完全に被覆する方法などがある。
【0026】
本発明において金属ナノ粒子の平均粒径としては、2〜100nmが好ましく、3〜80nmがより好ましく、5〜50nmが特に好ましい。粒径が100nm以下であれば、光散乱の影響を軽減でき、粒径がより小さい方が光透過率低下やヘイズ劣化を抑制することができため好ましい。一方で、安定性の観点から2nmより大きいことが好ましく、さらに導電性の観点から3nmより大きいことが好ましく、5nm以上であることがより好ましい。2種類以上の金属ナノ粒子を複合化して用いる場合には、複合化前の少なくとも1種の金属ナノ粒子の平均粒径、および/または複合化後の金属ナノ粒子の平均粒径が3nmより大きいことが好ましく、5nm以上であることがより好ましい。
【0027】
なお、本発明において、上記金属ナノ粒子の平均粒径は本来3次元で求める必要があるが、微粒子過ぎるため難しく、現実には二次元画像で評価せざるを得ないため、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて電子顕微鏡写真の撮影シーンを変えて数多く撮影し平均化することで求めることが好ましい。従って、本発明において、当該平均粒径は、TEMを用いて電子顕微鏡写真を撮影し十分な数の粒子について断面積を計測し、その計測値を相当する円の面積としたときの直径を粒径として求めて、その算術平均を平均粒径とした。TEMで撮影する粒子数としては50個以上が好ましく、100〜300個の粒子を撮影するのが更に好ましい。
【0028】
本発明において、透明導電素子の透明導電膜における金属ナノ粒子の体積分率は10%以上90%以下であることが好ましく、20%以上80%以下がより好ましい。金属ナノ粒子の体積分率が10%以上であれば、金属ナノ粒子を添加することによる導電性改良効果を有意に発現させることができ、体積分率が高くなるに従いより導電性を向上できるため好ましい。一方で、透明性の観点から、金属ナノ粒子の体積分率は90%以下が好ましく、80%以下であることがより好ましい。
【0029】
〔導電性高分子〕
本発明において導電性高分子は、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリアズレン、ポリイソチアナフテン、ポリカルバゾール、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、ポリフェニルアセチレン、ポリジアセチレン及びポリナフタレンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことが好ましい。
【0030】
本発明においては、1種類の導電性高分子を単独で用いてもよいし、2種類以上の導電性高分子を組み合わせて用いてもよいが、導電性及び透明性の観点から、下記一般式(I)及び/又は(II)で示される繰り返し単位を有するポリアニリンまたはその誘導体や、下記一般式(III)で示される繰り返し単位を有するポリピロール誘導体、または下記一般式(IV)で示される繰り返し単位を有するポリチオフェン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことがより好ましい。
【0031】
【化1】

【0032】
【化2】

【0033】
【化3】

【0034】
【化4】

【0035】
なお、上記一般式(III)及び一般式(IV)において、Rは主として線状有機置換基であり、アルキル基、アルコキシ基、アリル基又はこれらの基の組合せが好ましいが、さらにこれらにスルホネート基、エステル基、アミド基などが結合したり、組合わされてもよい。可溶性導電性高分子としての性質を失なわなければよい。また、nは整数である。
【0036】
本発明においては、上記導電性高分子の導電性をより高めるために、ドーピング処理を施すことが好ましい。導電性高分子に対するドーパントとしては、例えば、炭素数が6〜30の炭化水素基を有するスルホン酸(以下「長鎖スルホン酸」ともいう。)あるいはその重合体(例えば、ポリスチレンスルホン酸)、ハロゲン、ルイス酸、プロトン酸、遷移金属ハロゲン化物、遷移金属化合物、アルカリ金属、アルカリ土類金属、MClO4(M=Li+、Na+)、R4+(R=CH3、C4H9、C56)、またはR4+(R=CH3、C49、C56)からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。なかでも、上記長鎖スルホン酸が好ましい。
【0037】
長鎖スルホン酸としては、ジノニルナフタレンジスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等が挙げられる。ハロゲンとしては、Cl2、Br2、I2、ICl3、IBr、IF5等が挙げられる。ルイス酸としては、PF5、AsF5、SbF5、BF3、BCl3、BBr3、SO3、GaCl3等が挙げられる。プロトン酸としては、HF、HCl、HNO3、H2SO4、HBF4、HClO4、FSO3H、ClSO3H、CF3SO3H等が挙げられる。遷移金属ハロゲン化物としては、NbF5、TaF5、MoF5、WF5、RuF5、BiF5、TiCl4、ZrCl4、MoCl5、MoCl3、WCl5、FeCl3、TeCl4、SnCl4、SeCl4、FeBr3、SnI5等が挙げられる。遷移金属化合物としては、AgClO4、AgBF4、La(NO33、Sm(NO33等が挙げられる。アルカリ金属としては、Li、Na、K、Rb、Cs等が挙げられる。アルカリ土類金属としては、Be、Mg、Ca、Sc、Ba等が挙げられる。
【0038】
また、導電性高分子に対するドーパントは、水素化フラーレン、水酸化フラーレン、スルホン酸化フラーレンなどのフラーレン類に導入されていてもよい。本発明の透明導電材料及び透明導電素子において、上記ドーパントは、導電性高分子100質量部に対して、0.001質量部以上含まれていることが好ましい。さらには、0.5質量部以上含まれていることがより好ましい。尚、本実施形態の透明導電性組成物は、長鎖スルホン酸、長鎖スルホン酸の重合体(例えば、ポリスチレンスルホン酸)、ハロゲン、ルイス酸、プロトン酸、遷移金属ハロゲン化物、遷移金属化合物、アルカリ金属、アルカリ土類金属、MClO4、R4+、およびR4+からなる群から選ばれる少なくとも1種のドーパントと、フラーレン類との双方を含んでいてもよい。
【0039】
本発明の透明導電材料及び透明導電素子は、水溶性有機化合物を含有してもよい。水溶性有機化合物の中で、導電性高分子材料に添加することによって導電性を向上させる効果を有する化合物が知られており、2nd.ドーパント(或いは増感剤)と称する場合がある。本発明で用いることができる2nd.ドーパントには特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、酸素含有化合物が好適に挙げられる。
【0040】
前記酸素含有化合物としては、酸素を含有する限り特に制限はなく、例えば、水酸基含有化合物、カルボニル基含有化合物、エーテル基含有化合物、スルホキシド基含有化合物などが挙げられる。前記水酸基含有化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリンなどが挙げられ、これらの中でも、エチレングリコール、ジエチレングリコールが好ましい。前記カルボニル基含有化合物としては、例えば、イソホロン、プロピレンカーボネート、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。前記エーテル基含有化合物としては、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、などが挙げられる。前記スルホキシド基含有化合物としては、例えば、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよいが、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、ジエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種を用いることが特に好ましい。
【0041】
本発明の透明導電材料及び透明導電素子において、導電性高分子100質量部に対する上記2nd.ドーパントの含有量は0.001質量部以上が好ましく、0.01〜50質量がより好ましく、0.01〜10質量部が特に好ましい。
【0042】
〔透明樹脂及び透明樹脂支持体〕
本発明の透明導電材料は、導電性高分子化合物以外に透明樹脂を含有してもよい。透明導電材料中の透明樹脂の混合割合は特に限定されないが、より優れた導電性を得るためには透明樹脂の割合が、固形分換算で導電性ナノ粒子と導電性高分子の総量の50%以下であることが好ましい。
【0043】
本発明において用いられる透明樹脂支持体及び透明導電材料に含まれる透明樹脂として、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ノルボルネン系樹脂、変性ノルボルネン系樹脂、環状オレフィン共重合体(COC)、脂環式アクリル樹脂、非晶性ポリオレフィン、非晶性フッ素樹脂、ポリメチルペンテン−1、非晶性コポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアリレート(PAR)、ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)などを挙げることができるが、可視域の波長(380〜780nm)における透過率が80%以上である樹脂材料であれば、本発明に係る透明樹脂支持体や透明導電材料に適用することができる。透明樹脂支持体を構成する透明樹脂と透明導電材料に含まれる透明樹脂には、同一の化合物を用いてもよいし、異なる化合物を用いてもよい。また、これらの透明樹脂は単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0044】
〔添加剤〕
本発明に係る透明樹脂には、目的に応じて、可塑剤、酸化防止剤などの安定剤、界面活性剤、溶解促進剤、重合禁止剤、染料や顔料などの着色剤などの添加物を含んでいても良い。更に、本発明に係る透明樹脂には、塗布性などの作業性を高める観点から、溶媒(例えば、水や、アルコール類、グリコール類、セロソルブ類、ケトン類、エステル類、エーテル類、アミド類、炭化水素類等の有機溶媒)を含んでいてもよい。
【0045】
〔液相成膜法〕
本発明の透明導電材料を透明な支持体上に成膜して、透明導電素子を形成する方法としては、高生産性と生産コスト低減の両立、および環境負荷軽減の観点から、塗布法や印刷法などの液相成膜法を用いることが好ましい。塗布法としては、ロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法などを用いることができる。印刷法としては、凸版(活版)印刷法、孔版(スクリーン)印刷法、平版(オフセット)印刷法、凹版(グラビア)印刷法、スプレー印刷法、インクジェット印刷法などを用いることができる。また、本発明の透明導電材料で透明な支持体上に回路パターンを直接描画して、透明導電素子を形成することもできる。液相成膜法で本発明に係る透明導電層を形成した後、適宜乾燥処理を施すことができる。乾燥処理の条件として特に制限はないが、透明樹脂支持体や透明導電層が損傷しない範囲の温度で処理することが好ましい。
【0046】
〔透明導電素子〕
本発明の透明導電材料を透明支持体上に液相成膜することにより、本発明の透明導電素子を形成することができる。本発明の透明導電素子の透明性と導電性は、目的に応じて適宜選択することができ、透明性と導電性を調整する方法にも特に制限はない。例えば、透明導電材料で使用する金属ナノ粒子の種類や組み合わせや添加量で調整する方法、透明導電材料で使用する導電性高分子の種類や組み合わせや添加量、および/またはドーパンや2nd.ドーパントの種類や組み合わせや添加量で調整する方法、透明導電膜の膜厚で調整する方法、透明導電材料に添加する透明樹脂やその他添加剤の添加量で調整する方法、透明な支持体の種類やその厚さで調整する方法など、透明性と導電性を調整可能な方法であれば単独で、あるいはそれらの方法を組み合わせて適用することができる。
【0047】
なお、透明導電素子の透明導電膜における金属ナノ粒子の体積分率は20〜80%の範囲以内であることが好ましい。
【0048】
本発明の透明導電素子の全光線透過率は、60%以上、好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上であることが望ましい。全光透過率は、分光光度計等を用いた公知の方法に従って測定することができる。
【0049】
本発明の透明導電素子における電気抵抗値としては、表面抵抗率として104Ω/□以下であることが好ましく、103Ω/□以下であることがより好ましく、102Ω/□以下であることが特に好ましい。104Ω/□を越えると液晶ディスプレイ、透明タッチパネル等の透明電極や電磁波シールド材として用いたときに、電極として十分に機能しなかったり、十分な電磁波シールド特性が得られない場合がある。前記表面抵抗率は、例えば、JIS K6911、ASTM D257、などに準拠して測定することができ、また市販の表面抵抗率計を用いて簡便に測定することができる。
【0050】
本発明の透明導電素子の透明導電膜の厚みには特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、透明樹脂支持体との密着性および透明性の観点から10μm以下であることが好ましく、厚みが薄くなるほど透明樹脂支持体との密着性や透明性が向上するためより好ましい。一方で、透明導電膜の均質性の観点から透明導電膜の厚みは50nm以上であることが好ましく、100nm以上であることがより好ましい。
【0051】
本発明の透明導電素子には、必要に応じてアンカーコートやハードコート、バリアコートを付与していてもよい。
【実施例】
【0052】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
【0053】
《透明導電材料および透明導電素子の作製》
(実施例1)
硫酸第一鉄とクエン酸ソーダを含む水溶液に、硝酸銀水溶液を添加して銀イオンを還元することにより、平均粒径が10nmの銀ナノ粒子のコロイド分散液を調製した。得られたコロイド分散液は黄色を呈しており、吸収スペクトルを測定した結果、銀ナノ粒子の表面プラズモンによる吸収ピークが420nm近傍に確認された。
【0054】
硫酸第一鉄とクエン酸ソーダを含む水溶液に、酢酸パラジウム水溶液を添加してパラジウムイオンを還元することにより、平均粒径が2.4nmのパラジウムナノ粒子のコロイド分散液を調製した。吸収スペクトルを測定した結果、コロイド分散液中のパラジウムナノ粒子の表面プラズモン吸収は紫外域にあり、可視光波長域における吸収ピークは認められなかった。
【0055】
調製した各ナノ粒子コロイド分散液に対して、分画分子量(MWCO)10000の限外濾過膜を用いて水洗処理と濃縮処理(濃度30質量%)を施した。
【0056】
導電性高分子PEDOT/PSSの濃度1.3質量%分散液(BaytronRPH500:H.C.Starck社製)に、ジメチルスルホキシド(DMSO:和光純薬社製)をPEDOT/PSSに対して5質量%となるよう添加し、各成分が均一になるまで十分に攪拌混合して透明導電材料CM−11を調製した。ポリエチレンテレフタレート樹脂製の透明支持体上に、上記CM−11をスピンコート法により塗布し、次いで120℃の環境下で10分間加熱乾燥して透明導電素子CF−11を形成した。乾燥後の透明導電膜の厚さは180nmであった。乾燥後の透明導電膜中の銀ナノ粒子の体積分率が表1の値になるように、上記CM−11に対して前記濃縮後の銀ナノ粒子コロイド分散液を添加して透明導電材料CM−21〜CM−24を調製した後、CF−11と同様にして透明導電素子CF−21〜CF−24を作製した。乾燥後の透明導電膜中のパラジウムナノ粒子の体積分率が表1の値になるように、上記CM−11に対して前記濃縮後のパラジウムナノ粒子コロイド分散液を添加して透明導電材料CM−31を調製した後、CF−11と同様にして透明導電素子CF−31を作製した。乾燥後の透明導電膜中の銀−パラジウム複合ナノ粒子の体積分率が表1の値になるように、上記CM−11に対して前記濃縮後の銀−パラジウム複合ナノ粒子コロイド分散液を添加して本発明の透明導電材料CM−41〜CM−44を調製した後、CF−11と同様にして本発明の透明導電素子CF−41〜CF−44を作製した。
【0057】
作製した各透明導電素子の表面抵抗率および全光線透過率(以下、単に「透過率」という。)を、各々JIS K 6911およびJIS K 7361−1:1997に準拠した方法で測定した。得られた結果を表1に示す。
【0058】
【表1】

【0059】
導電性高分子単独のCF−11に対して、銀ナノ粒子を含む導電素子CF−21〜CF−24では、銀ナノ粒子の体積分率の増加に伴い表面抵抗率は低減するものの、銀ナノ粒子の表面プラズモン吸収の影響も大きくなるため透過率が大幅に劣化している。また、パラジウムナノ粒子を含む導電素子CF−31では、体積分率の増加によって表面プラズモンの間の相互作用が生じ、近紫外から可視領域の全領域で略フラットな光吸収特性が生じるため、銀ナノ粒子の場合と同様に透過率は大幅に劣化してしまう。一方、銀−パラジウム複合ナノ粒子を用いた本発明の透明導電素子CF−41〜CF−44では、ナノ粒子の体積分率の増加に伴い表面抵抗率は低減し、また、ナノ粒子が表面プラズモン吸収を有さないため透過率への影響も改善されている。
【0060】
(実施例2)
テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムクロリド水溶液と塩化金(III)酸水溶液を混合した溶液を、水酸化ナトリウム水溶液に添加して金イオンを還元することにより、平均粒径が8nmの金ナノ粒子のコロイド分散液を調製した。得られたコロイド分散液は赤褐色を呈しており、吸収スペクトルを測定した結果、金ナノ粒子の表面プラズモンによる吸収ピークが520nm近傍に確認された。次に、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムクロリド水溶液と、塩化金(III)酸と塩化パラジウム(II)ナトリウムを1:1のモル比で含む水溶液を混合した溶液を、水酸化ナトリウム水溶液に添加して金イオンとパラジウムイオンを同時還元して、平均粒径が9nmの金−パラジウム複合ナノ粒子のコロイド分散液を調製した。得られた金−パラジウム複合ナノ粒子コロイド分散液の吸収スペクトルを測定した結果、金ナノ粒子のコロイド分散液に認められた520nm近傍の表面プラズモン吸収が消失し、可視光波長域において表面プラズモン吸収ピークは認められなかった。調製した各ナノ粒子コロイド分散液に対して、分画分子量(MWCO)10000の限外濾過膜を用いて水洗処理と濃縮処理(濃度30質量%)を施した。
【0061】
実施例1のCM−11に、乾燥後の透明導電膜中の金ナノ粒子の体積分率が50%になるように上記濃縮後の金ナノ粒子コロイド分散液を添加して透明導電材料CM−51を調製した後、実施例1のCF−11と同様にして透明導電素子CF−51を作製した。同様に、乾燥後の透明導電膜中の金−パラジウム複合ナノ粒子の体積分率が50%になるように上記濃縮後の金−パラジウム複合ナノ粒子コロイド分散液を添加して本発明の透明導電材料CM−52を調製した後、実施例1のCF−11と同様にして本発明の透明導電素子CF−52を作製した。作製した各透明導電素子の表面抵抗率及び全光透過率を実施例1と同様に測定した。得られた結果を表2に示す。
【0062】
【表2】

【0063】
導電性高分子単独のCF−11に対して、金ナノ粒子を含む導電素子CF−51では金ナノ粒子の添加によって表面抵抗率は低減するが、金ナノ粒子の表面プラズモン吸収の影響により透過率が大幅に劣化している。一方、金−パラジウム複合ナノ粒子を用いた本発明の透明導電素子CF−52では、金−パラジウム複合ナノ粒子の添加によって表面抵抗率は低減し、また、ナノ粒子が表面プラズモン吸収を有さないため、CF−51に比較して透過率への影響も改善されている。
【0064】
(実施例3)
水素化ホウ素ナトリウム水溶液に硝酸銀水溶液を滴下して銀イオンを還元し、平均粒径が12nmの銀ナノ粒子分散液を調製した。得られた分散液は黄色を呈しており、吸収スペクトルを測定した結果、銀ナノ粒子の表面プラズモンによる吸収ピークが420nm近傍に確認された。次に、上記と同じ方法で調製した銀ナノ粒子分散液を攪拌しながら、ジアセチレンモノマー(1,6−ジ(9−カルバゾリル)−2,4−ヘキサジイン)のアセトン溶液を注入した。その後室温で放置してジアセチレンモノマーを銀ナノ粒子表面で結晶化し、銀ナノ粒子−ジアセチレンモノマー結晶分散液を得た。次いで、該分散液に紫外光を照射してジアセチレンモノマーを重合して、銀−ジアセチレン高分子複合ナノ粒子分散液を得た。調製後の複合ナノ粒子分散液の吸収スペクトルを測定した結果、銀ナノ粒子の分散液に認められた420nm近傍の吸収を含め、可視光波長域において銀ナノ粒子の表面プラズモン吸収ピークは認められなかった。調製した各ナノ粒子コロイド分散液に対して、分画分子量(MWCO)10000の限外濾過膜を用いて水洗処理と濃縮処理(濃度30質量%)を施した。
【0065】
実施例1のCM−11に、乾燥後の透明導電膜中の銀ナノ粒子の体積分率が30%になるように上記濃縮後の銀ナノ粒子コロイド分散液を添加して透明導電材料CM−61を調製した後、実施例1のCF−11と同様にして透明導電素子CF−61を作製した。同様に、乾燥後の透明導電膜中の銀ナノ粒子の体積分率が30%になるように上記濃縮後の銀−ジアセチレン高分子複合ナノ粒子コロイド分散液を添加して本発明の透明導電材料CM−62を調製した後、実施例1のCF−11と同様にして本発明の透明導電素子CF−62を作製した。作製した各透明導電素子の表面抵抗率及び全光透過率を実施例1と同様に測定した。得られた結果を表3に示す。
【0066】
【表3】

【0067】
導電性高分子単独のCF−11に対して、銀ナノ粒子を含む導電素子CF−61では銀ナノ粒子の添加によって表面抵抗率は低減するが、銀ナノ粒子の表面プラズモン吸収の影響により透過率が大幅に劣化している。一方、銀−導電性高分子複合ナノ粒子を用いた本発明の透明導電素子CF−62では、金−導電性高分子複合ナノ粒子の添加によって表面抵抗率は低減し、加えてナノ粒子が表面プラズモン吸収を有さないため、CF−61に比較して透過率への影響も大幅に改善されている。
【0068】
(実施例4)
PVPを含む塩化金(III)酸水溶液に水素化ホウ素ナトリウム水溶液を加えて金イオンを還元し、平均粒径が6nmの金ナノ粒子分散液を調製した。得られた分散液は赤褐色を呈しており、吸収スペクトルを測定した結果、金ナノ粒子の表面プラズモンによる吸収ピークが520nm近傍に確認された。次に、上記と同じ方法で調製した金ナノ粒子の分散液と、メルカプトジフェニルスルホンのトルエン溶液を激しく攪拌して、金ナノ粒子を有機化合物と複合化した。得られた金−有機化合物複合ナノ粒子分散液の吸収スペクトルを測定した結果、金ナノ粒子分散液に認められた520nm近傍の表面プラズモン吸収が消失し、可視光波長域において表面プラズモン吸収ピークは認められなかった。調製した各ナノ粒子コロイド分散液に対して、分画分子量(MWCO)10000の限外濾過膜を用いて脱塩処理と濃縮処理(濃度30質量%)を施した。
【0069】
トルエン/DMF(60/40)混合溶媒に、導電性高分子ポリピロール(SSPY:ティーエーケミカル株式会社製)を10質量%溶解したSSPY溶液と、前記と同様のトルエン/DMF混合溶液にドーパント(TCNA:ティーエーケミカル株式会社製)を10質量%溶解したTCNA溶液を3:1の質量比で混合して透明導電材料CM−71を調製した。ポリエチレンテレフタレート樹脂製の透明支持体上に、上記CM−71をスピンコート法により塗布し、次いで120℃の環境下で10分間加熱乾燥して透明導電素子CF−71を形成した。乾燥後の透明導電膜の厚さは200nmであった。上記CM−71に、乾燥後の透明導電膜中の金ナノ粒子の体積分率が50%になるように前記濃縮後の金ナノ粒子コロイド分散液を添加して透明導電材料CM−72を調製した後、上記CF−71と同様にして透明導電素子CF−72を作製した。同様に、乾燥後の透明導電膜中の金ナノ粒子の体積分率が50%になるように前記濃縮後の金−有機化合物複合ナノ粒子コロイド分散液を添加して本発明の透明導電材料CM−73を調製した後、上記CF−71と同様にして本発明の透明導電素子CF−73を作製した。作製した各透明導電素子の表面抵抗率及び全光透過率を実施例1と同様に測定した。得られた結果を表4に示す。
【0070】
【表4】

【0071】
導電性高分子単独のCF−71に対して、金ナノ粒子を含む導電素子CF−72では銀ナノ粒子の添加によって表面抵抗率は低減するが、銀ナノ粒子の表面プラズモン吸収の影響により透過率が大幅に劣化している。一方、金−有機化合物複合ナノ粒子を用いた本発明の透明導電素子CF−73では、金−有機化合物複合ナノ粒子の添加によって表面抵抗率は大幅に低減し、加えてナノ粒子が表面プラズモン吸収を有さないため、CF−72に比較して透過率への影響も大幅に改善されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属ナノ粒子と導電性高分子を含む透明導電材料であって、該金属ナノ粒子が透明であることを特徴とする透明導電材料。
【請求項2】
前記金属ナノ粒子の平均粒径が5〜50nmの範囲以内であることを特徴とする請求項1に記載の透明導電材料。
【請求項3】
前記金属ナノ粒子が、Ag,Cu,Au,Rh,及びPdより選択される元素を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の透明導電材料。
【請求項4】
前記金属ナノ粒子の表面プラズモン吸収が消失又は波長シフトすることにより、可視光波長域で透明化されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の透明導電材料。
【請求項5】
前記金属ナノ粒子が、有機化合物との複合化によって表面プラズモン吸収が消失又は波長シフトし、可視光波長域で透明化されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の透明導電材料。
【請求項6】
前記金属ナノ粒子が、少なくとも2種類の金属の複合化によって表面プラズモン吸収が消失又は波長シフトし、可視光波長域で透明化されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の透明導電材料。
【請求項7】
透明樹脂支持体上に、請求項1〜6のいずれか一項に記載の透明導電材料を液相成膜して形成されたことを特徴とする透明導電素子。
【請求項8】
前記透明導電素子の透明導電膜における金属ナノ粒子の体積分率が20〜80%の範囲以内であることを特徴とする請求項7に記載の透明導電素子。

【公開番号】特開2009−37752(P2009−37752A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−198687(P2007−198687)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】